説明

道路交通情報案内システム、サーバおよび端末装置ならびに道路交通情報案内方法

【課題】予め登録した渋滞監視ポイントにおける渋滞長を監視し、渋滞が解消に向かった時点で利用者に渋滞の解消を報知できるようにする。
【解決手段】道路交通情報案内システムは、所望の道路において渋滞を監視する監視ポイントを登録する監視ポイント登録手段372と、所定の時間間隔で道路交通情報データベース36を参照して、監視ポイントにおける渋滞長を監視する渋滞長監視手段373と、監視ポイントにおける渋滞監視長を登録する監視長登録手段371と、監視ポイントにおける道路交通情報を報知する報知手段(渋滞解消報知手段)33と、を備え、渋滞長監視手段373は、監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、監視ポイントおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長よりも下回ったことを検出した場合、端末装置20に渋滞解消の報知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の出発地から目的地までの経路に関する道路交通情報を案内する道路交通情報案内システムに関するものであり、特に、通常よく利用する経路における渋滞監視ポイントを定め、その渋滞監視ポイントにおける渋滞監視長を設定しておき、当該監視ポイントにおける渋滞長が渋滞監視長より短くなったら渋滞解消を利用者に報知するようにした道路交通情報案内システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られている。このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに交通機関の路線や運行時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
【0004】
一般的なナビゲーション装置、通信型のナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0005】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0006】
経路探索して得た出発地から目的地までの経路のうち、経路の累計コスト(距離または時間)が最小となる経路が最適な案内経路として決定され、案内経路データが作成される。案内経路データには、最適経路のデータの他に地図データ、ガイダンスデータが含まれ、案内経路データは必要に応じて案内データ記憶手段から読み出され表示手段に表示される。一般的には、ナビゲーション装置が有するGPS受信機を用いて測位したナビゲーション装置の現在位置を含む一定の縮尺、一定の範囲の地図に、案内経路と、ナビゲーション装置の現在位置を示すマークを重ね合わせ、該現在位置マークが表示画面の中心になるように表示する。
【0007】
一般的なナビゲーションシステムにおいては、所望の目的地に所望の時刻に到着できる経路を探索して案内することができる。この場合、経路探索サーバは目的地に所定の時刻に到着できる複数の推奨経路を探索して、それらの経路をリスト表示してユーザが所望の経路を選択することができるように構成される。
【0008】
自動車を移動手段として用いる場合には、経路の所要時間は渋滞や交通規制などの道路交通の状況に左右される。この場合、利用者に対して経路探索システムが道路交通の状況を加味した経路探索を行い、経路案内を提供できることが好ましい。このような経路探索システムは、例えば、特許文献2(特開2007−94785号公報)、特許文献3(特開2003−344074号公報)に情報処理装置、情報提供システムの発明として開示されている。
【0009】
この特許文献2に開示された情報処理装置の発明は、ナビゲーションシステムのサーバ装置は、交通情報受信部で受信された現在渋滞情報から受信可能領域に関するリンク別現在渋滞情報を選出し、CPUは、渋滞予測情報データベースから受信不可能隣接領域における所定の複数の時間後に関するリンク別渋滞予測情報を選出し、CPUは、これら選出されたリンク別現在渋滞情報およびリンク別渋滞予測情報に基づいて、可能領域現在情報および不可能隣接領域予測情報を有する配信情報を編成して、放送波HPを利用して受信可能領域に配信するように構成されたものである。
【0010】
また、特許文献3に開示された情報提供システムの発明は、情報提供サービスを行うセンタに、地図情報を蓄積する地図情報蓄積手段と、VICS(登録商標)センタの交通情報から生成した各道路区間の渋滞情報を蓄積する渋滞情報蓄積手段と、渋滞情報蓄積手段に蓄積された渋滞情報を用いて、通行所要時間を算出する地点間の渋滞予測を行う情報生成手段とを設け、この情報生成手段が渋滞予測を加味して生成した情報をセンタから提供するように構成されたものである。この情報提供システムでは、渋滞予測を織り込んだ精度の高い目的地到着時刻や最適経路の情報を車載機に提供することができ、また、施設に立ち寄る場合の施設の場所や施設の滞在時間を選択するための有益な情報を提供することができるようになる。
【0011】
また、下記の特許文献4(特開2000−304556号公報)には、自動車にて目的地まで行こうとするときに、道路交通の状況を加味して希望の到着時刻に目的地に到着できる経路を探索し、その目的地に応じた適切な準備開始時刻を自動的に設定しその準備開始時刻になったことを報知するようにした準備開始時刻報知装置の発明が開示されている。
【0012】
【特許文献1】特開2001−165681号公報
【特許文献2】特開2007−94785号公報
【特許文献3】特開2003−344074号公報
【特許文献4】特開2000−304556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ある地点を出発地とし、所望の目的地までの経路案内を要求する場合に、適切な出発時刻を報知してもらいたいという場合、上記特許文献4に開示された技術を用いれば、案内された出発時刻に出発すれば、到着希望時刻までに目的地に到着することができる。しかしながら、道路の混雑時には長時間の渋滞に巻き込まれて目的地に到着することも起こり得る。このような状態は多くの利用者が経験するところである。
【0014】
一般的には、出発時刻を遅くして道路の渋滞が解消した時間帯に走行すれば、目的地への到着時刻も当然に遅くなるが、運転者や同乗者の総合的な疲労度を小さくできる。このことは経験的に知られていることでもあり、経験に照らしてこのような行動をとる利用者も多い。
【0015】
例えば、週末に首都圏を脱出して地方の別荘やふるさとに滞在し、日曜の夜に首都圏にある自宅に戻る場合を考える。このような場合、日曜の夕方から夜にかけて上りの各高速道路は非常に渋滞する。これを定期的に繰り返すのは、ドライバーにとって大きなストレスとなるが、少し遅い時間帯に走行すると意外に空いていて帰宅も順調である場合がある。日によっても渋滞度が異なり、同じ日曜日であっても渋滞度に差があって、比較的早い時間帯に渋滞が解消することもある。
【0016】
このような帰宅方法を行おうとした場合に、上記特許文献4に開示された技術では最初に到着希望時刻を設定するので、目的にそぐわない。また、出発時刻を変えてみて、上記特許文献2や特許文献3の技術を適用したとしても、それはあくまでも予想なので、的中は難しい。また、ナビゲーションシステムの端末装置として用いる携帯電話で絶えず渋滞情報に注目しているのも苦労であり、携帯電話の電池の消耗という問題点も生ずる。
【0017】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、通常よく利用する経路における渋滞監視ポイントを定め、その渋滞監視ポイントにおける渋滞監視長を設定しておき、当該監視ポイントにおける渋滞長が渋滞監視長より短くなったら渋滞解消を利用者に報知するようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0018】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、予め登録した渋滞監視ポイントにおける渋滞長を監視し、渋滞が解消に向かった時点で利用者に渋滞の解消を報知できる道路交通情報案内システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
所定の時間間隔で取得した道路交通情報を道路に対応して蓄積する道路交通情報データベースを有するサーバを備えた道路交通情報案内システムにおいて、
前記道路交通情報案内システムは、所望の道路における監視ポイントを指定し、該監視ポイントにおける道路交通情報の報知要求を前記サーバに登録する端末装置を含み、
前記道路交通情報案内システムは、所望の道路において渋滞を監視する監視ポイントを登録する監視ポイント登録手段と、
前記所定の時間間隔で前記道路交通情報データベースを参照して、前記監視ポイントにおける渋滞長を監視する渋滞長監視手段と、
前記監視ポイントにおける渋滞監視長を登録する監視長登録手段と、
前記監視ポイントにおける道路交通情報を報知する報知手段と、を備え、
前記渋滞長監視手段は、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長よりも下回ったことを検出した場合、前記端末装置に渋滞解消の報知を行うことを特徴とする。
【0020】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる道路交通情報案内システムにおいて、前記渋滞長監視手段は、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長を超えたことを検出した場合、前記端末装置に渋滞発生の報知を行うことを特徴とする。
【0021】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかる道路交通情報案内システムにおいて、前記渋滞解消または渋滞発生の報知は、前記端末装置が登録した電子メールアドレスを送信先とした電子メールにより行うことを特徴とする。
【0022】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかる道路交通情報案内システムにおいて、前記渋滞監視長は、前記端末装置が指定した出発地と前記監視ポイントとに基づいて前記サーバが登録することを特徴とする。
【0023】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項1にかかる道路交通情報案内システムにおいて、前記サーバは、経路探索用ネットワークデータを蓄積した経路探索用ネットワークデータベースと、前記経路探索用ネットワークデータを参照して2地点間の経路を探索する経路探索手段と、を備え、
不特定多数の端末装置から登録された道路交通情報の報知要求に対して、前記監視ポイントにおける渋滞長監視手段の監視結果に基づいて前記渋滞解消の報知を行った時間を基準に、前記経路探索用ネットワークデータに道路交通情報データベースに蓄積した道路交通情報を適用して、前記監視ポイントを指定した端末装置の出発地から該監視ポイントまで経路を探索し、その所要時間に基づいて前記監視ポイント到達時に渋滞に遭遇しなかった場合の監視ポイントおよび渋滞監視長を参照情報として前記不特定多数の端末装置の要求に対して公開することを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求6にかかる発明は、
道路交通情報案内システムを構成するサーバであって、所定の時間間隔で取得した道路交通情報を道路に対応して蓄積する道路交通情報データベースを有するサーバにおいて、
前記道路交通情報案内システムは、所望の道路における監視ポイントを指定し、該監視ポイントにおける道路交通情報の報知要求を前記サーバに登録する端末装置を含み、
前記サーバは、所望の道路において渋滞を監視する監視ポイントを登録する監視ポイント登録手段と、
前記所定の時間間隔で前記道路交通情報データベースを参照して、前記監視ポイントにおける渋滞長を監視する渋滞長監視手段と、
前記監視ポイントにおける渋滞監視長を登録する監視長登録手段と、
前記監視ポイントにおける道路交通情報を報知する報知手段と、を備え、
前記渋滞長監視手段は、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長よりも下回ったことを検出した場合、前記端末装置に渋滞解消の報知を行うことを特徴とする。
【0025】
本願の請求項7にかかる発明は、請求項6にかかるサーバにおいて、前記渋滞長監視手段は、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長を超えたことを検出した場合、前記端末装置に渋滞発生の報知を行うことを特徴とする。
【0026】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項6または請求項7にかかるサーバにおいて、前記渋滞解消または渋滞発生の報知は、前記端末装置が登録した電子メールアドレスを送信先とした電子メールにより行うことを特徴とする。
【0027】
本願の請求項9にかかる発明は、請求項6または請求項7にかかるサーバにおいて、前記渋滞監視長は、前記端末装置が指定した出発地と前記監視ポイントとに基づいて前記サーバが登録することを特徴とする。
【0028】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項6にかかるサーバにおいて、前記サーバは、経路探索用ネットワークデータを蓄積した経路探索用ネットワークデータベースと、前記経路探索用ネットワークデータを参照して2地点間の経路を探索する経路探索手段と、を備え、
不特定多数の端末装置から登録された道路交通情報の報知要求に対して、前記監視ポイントにおける渋滞長監視手段の監視結果に基づいて前記渋滞解消の報知を行った時間を基準に、前記経路探索用ネットワークデータに道路交通情報データベースに蓄積した道路交通情報を適用して、前記監視ポイントを指定した端末装置の出発地から該監視ポイントまで経路を探索し、その所要時間に基づいて前記監視ポイント到達時に渋滞に遭遇しなかった場合の監視ポイントおよび渋滞監視長を参照情報として前記不特定多数の端末装置の要求に対して公開することを特徴とする。
【0029】
また、本願の請求項11にかかる発明は、
道路交通情報案内システムを構成するサーバであって、所定の時間間隔で取得した道路交通情報を道路に対応して蓄積する道路交通情報データベースを有するサーバに道路交通情報の報知要求を登録する端末装置において、
前記サーバは、所望の道路において渋滞を監視する監視ポイントを登録する監視ポイント登録手段と、
前記所定の時間間隔で前記道路交通情報データベースを参照して、前記監視ポイントにおける渋滞長を監視する渋滞長監視手段と、
前記監視ポイントにおける渋滞監視長を登録する監視長登録手段と、
前記監視ポイントにおける道路交通情報を報知する報知手段と、を備え、
前記渋滞長監視手段は、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長よりも下回ったことを検出した場合、前記端末装置に渋滞解消の報知を行うサーバであって、
前記端末装置は、所望の道路において渋滞を監視する監視ポイントを含む道路交通情報の報知要求を設定し、前記サーバに登録する操作入力手段を備えたことを特徴とする。
【0030】
本願の請求項12にかかる発明は、請求項11にかかる端末装置において、前記サーバは、経路探索用ネットワークデータを蓄積した経路探索用ネットワークデータベースと、前記経路探索用ネットワークデータを参照して2地点間の経路を探索する経路探索手段と、を備え、
不特定多数の端末装置から登録された道路交通情報の報知要求に対して、前記監視ポイントにおける渋滞長監視手段の監視結果に基づいて前記渋滞解消の報知を行った時間を基準に、前記経路探索用ネットワークデータに道路交通情報データベースに蓄積した道路交通情報を適用して、前記監視ポイントを指定した端末装置の出発地から該監視ポイントまで経路を探索し、その所要時間に基づいて前記監視ポイント到達時に渋滞に遭遇しなかった場合の監視ポイントおよび渋滞監視長を参照情報として前記不特定多数の端末装置の要求に対して公開するサーバであって、
前記端末装置は、該端末装置が設定した監視ポイントに関連する前記参照情報の取得を要求する操作入力手段を備えたことを特徴とする。
【0031】
また、本願の請求項13にかかる発明は、
所定の時間間隔で取得した道路交通情報を道路に対応して蓄積する道路交通情報データベースを有するサーバを備えた道路交通情報案内システムにおける道路交通情報案内方法において、
前記道路交通情報案内システムは、所望の道路における監視ポイントを指定し、該監視ポイントにおける道路交通情報の報知要求を前記サーバに登録する端末装置を含み、
前記道路交通情報案内システムは、所望の道路において渋滞を監視する監視ポイントを登録する監視ポイント登録手段と、
前記所定の時間間隔で前記道路交通情報データベースを参照して、前記監視ポイントにおける渋滞長を監視する渋滞長監視手段と、
前記監視ポイントにおける渋滞監視長を登録する監視長登録手段と、
前記監視ポイントにおける道路交通情報を報知する報知手段と、を備え、
前記渋滞長監視手段が、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較するステップと、渋滞長が前記渋滞監視長よりも下回ったことを検出した場合、前記端末装置に渋滞解消の報知を行う報知ステップとを有することを特徴とする。
【0032】
本願の請求項14にかかる発明は、請求項13にかかる道路交通情報案内方法において、前記渋滞長監視手段が、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較するステップにおいて、渋滞長が前記渋滞監視長を超えたことを検出した場合、前記端末装置に渋滞発生の報知を行う報知ステップを有することを特徴とする。
【0033】
本願の請求項15にかかる発明は、請求項13または請求項14にかかる道路交通情報案内方法において、前記渋滞解消または渋滞発生の報知ステップは、前記端末装置が登録した電子メールアドレスを送信先とした電子メールにより行う処理を含むことを特徴とする。
【0034】
本願の請求項16にかかる発明は、請求項13または請求項14にかかる道路交通情報案内方法において、前記渋滞監視長は、前記端末装置が指定した出発地と前記監視ポイントとに基づいて前記サーバが登録することを特徴とする。
【0035】
本願の請求項17にかかる発明は、請求項13にかかる道路交通情報案内方法において、前記サーバは、経路探索用ネットワークデータを蓄積した経路探索用ネットワークデータベースと、前記経路探索用ネットワークデータを参照して2地点間の経路を探索する経路探索手段と、を備え、
不特定多数の端末装置から登録された道路交通情報の報知要求に対して、前記監視ポイントにおける渋滞長監視手段の監視結果に基づいて前記渋滞解消の報知を行った時間を基準に、前記経路探索用ネットワークデータに道路交通情報データベースに蓄積した道路交通情報を適用して、前記監視ポイントを指定した端末装置の出発地から該監視ポイントまで経路を探索するステップと、その所要時間に基づいて前記監視ポイント到達時に渋滞に遭遇しなかった場合の監視ポイントおよび渋滞監視長を参照情報として前記不特定多数の端末装置の要求に対して公開するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
請求項1にかかる発明においては、前記道路交通情報案内システムは、所望の道路において渋滞を監視する監視ポイントを登録する監視ポイント登録手段と、前記所定の時間間隔で道路交通情報データベースを参照して、前記監視ポイントにおける渋滞長を監視する渋滞長監視手段と、前記監視ポイントにおける渋滞監視長を登録する監視長登録手段と、前記監視ポイントにおける道路交通情報を報知する報知手段と、を備え、
前記渋滞長監視手段は、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長よりも下回ったことを検出した場合、端末装置に渋滞解消の報知を行う。
【0037】
このような構成によれば、サーバから渋滞解消の報知を受けた利用者は、その報知を受けて出発地を出発すれば、渋滞がほぼ解消したタイミングで設定した渋滞の監視ポイントに到達できるようになり、渋滞が解消すると思われる時刻に該監視ポイントを通過することができるようになる。従って、利用者はいわゆる渋滞の名所といわれる箇所において渋滞に遭遇することなく目的地に移動することができるようになる。
【0038】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる道路交通情報案内システムにおいて、渋滞長監視手段は、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長を超えたことを検出した場合、前記端末装置に渋滞発生の報知を行う。
【0039】
かかる構成によれば、監視ポイントを設定した利用者は監視ポイントにおける渋滞の発生を知ることができるから、経路の走行経験あるいは本システムの使用経験があれば通常に比べ渋滞が早く始まったのか、遅いのか、感触を得ることができる。一般に首都圏への上りの渋滞が早く始まるときは、渋滞も激しいことが多いから出発地を出発するタイミングを考慮することができるようになる。
【0040】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項1または請求項2にかかる道路交通情報案内システムにおいて、渋滞解消または渋滞発生の報知は、前記端末装置が登録した電子メールアドレスを送信先とした電子メールにより行う。
【0041】
このような構成によれば、監視ポイントを設定した利用者は、電子メールの着信通知にのみ注意を向けていればよく、サーバと端末装置とを接続したままにすることなく、所望の情報を得ることができるようになる。
【0042】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項1または請求項2にかかる道路交通情報案内システムにおいて、渋滞監視長は、前記端末装置が指定した出発地と前記監視ポイントとに基づいて前記サーバが登録する。
【0043】
このような構成によれば、道路交通情報の案内を要求する利用者は、監視ポイントと出発地を設定するだけでよく、サーバが出発地と監視ポイントから渋滞監視長を設定するから、初めてこのサービスを利用する利用者が容易に所望の条件を設定することができるようになる。
【0044】
また、請求項5にかかる発明においては、請求項1にかかる道路交通情報案内システムにおいて、サーバは、経路探索用ネットワークデータを蓄積した経路探索用ネットワークデータベースと、前記経路探索用ネットワークデータを参照して2地点間の経路を探索する経路探索手段と、を備え、
不特定多数の端末装置から登録された道路交通情報の報知要求に対して、前記監視ポイントにおける渋滞長監視手段の監視結果に基づいて前記渋滞解消の報知を行った時間を基準に、前記経路探索用ネットワークデータに道路交通情報データベースに蓄積した道路交通情報を適用して、前記監視ポイントを指定した端末装置の出発地から該監視ポイントまで経路を探索し、その所要時間に基づいて前記監視ポイント到達時に渋滞に遭遇しなかった場合の監視ポインおよび渋滞監視長を参照情報として前記不特定多数の端末装置の要求に対して公開する。
【0045】
このような構成によれば、サーバが、他の利用者が設定し、渋滞解消の報知を受けてから、監視ポイントに到達した際の渋滞長の状況を公開するから、利用者が自身の出発地をベースに、サーバから公開される情報を参考にして監視ポイントと渋滞監視長を設定できるようになり、初めて本発明のサービスを受けようとする利用者にとって便利なシステムとすることができるようになる。
【0046】
また、請求項6ないし請求項10にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項5にかかる道路交通情報案内システムを構成するサーバを提供することができるようになり、請求項11、請求項12にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項5にかかる道路交通情報案内システムを構成する端末装置を提供することができるようになる。また、請求項13ないし請求項17にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項5にかかる道路交通情報案内システムにおける道路交通情報案内方法を提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための道路交通情報案内システムを例示するものであって、本発明をこの道路交通情報案内システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の道路交通情報案内システムにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0048】
本発明の実施例にかかる道路交通情報案内システムにおいては、経路探索機能を有する経路探索システム10により構成されるものとして説明するが、経路探索機能を備えず、地図情報POI情報、経路にあたる道路に関する道路交通情報などを提供する情報提供システムにより構成されるものであってもよい。
【0049】
経路探索システム10は、図1に示すように、携帯電話やPDA、ミュージックプレーヤーなどの携帯型端末を用いた端末装置20と経路探索サーバ30とがインターネットなどのネットワーク12を介して接続される構成になっている。なお、本実施例においては、携帯電話などの携帯端末を用いた通信型の経路探索、経路案内サービスを提供する経路探索システム10を具体例として説明するが、本発明はこれに限ることなく、パーソナルコンピュータを端末装置とする経路探索システムになどにも適用可能である。
【0050】
図1に示すように経路探索システム10は、ネットワーク12を介して接続される端末装置20と経路探索サーバ30を備えて構成されている。この経路探索システム10は更に、各種カテゴリに属するPOIの所在地やサービス内容などの詳細情報を提供するPOI情報配信サーバ50、各道路の渋滞度などの道路交通情報を提供する道路交通情報配信サーバ51などを備えて構成されている。
【0051】
経路探索サーバ30はPOI情報配信サーバ50や道路交通情報配信サーバ51からネットワーク12を経由して必要なデータを取得して自身のデータベースに追加することができる。また、同様にしてPOI情報配信サーバ50に検索要求を送信して所望の検索結果を取得することもできる。
【0052】
道路交通情報配信サーバ51は道路に設置された監視端末により一定の時間間隔で道路の交通量を検出し、道路ごとの渋滞度を示す道路交通情報を作成する。従って道路交通情報は一定の時間ごとに更新される。VICS(登録商標)の場合、5分ごとに最新の道路交通情報に更新される。道路交通情報はFM放送を通じて放送される他、経路探索サーバ30からアクセスされ最新データが要求されると、最新の道路交通情報を配信する。
【0053】
図1に示す経路探索サーバ30は、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35、道路交通情報データベース36を備え、端末装置20から経路探索要求があると、経路探索用ネットワークデータベース35を参照して経路探索する。そして経路探索の結果により得た案内経路(推奨経路)を端末装置20に送信する一般的なナビゲーション機能を有している。また、端末装置20から所望の地点やPOIを指定して地図データの取得要求があると、地図データベース34を参照して該当する地図データを読み出して端末装置20に配信する。
【0054】
経路探索用ネットワークデータベース35には、道路ネットワークデータが蓄積される。道路ネットワークデータは道路を交差点や結節点をノードとして、各ノードを接続するリンクで表現したものであり、各リンクには標準的な速度で走行した場合の所要時間がリンクのコストとして対応付けられている。従って、この道路ネットワークデータを用いて探索した経路は、標準コストの経路となる。以下、このような通常の経路探索を標準コスト探索、探索された経路を標準コスト経路、その経路のコストを標準コストという。
【0055】
また、経路探索サーバ30は道路交通情報が更新されるタイミングになると道路交通情報配信サーバ51にアクセスして最新の道路交通情報を取得して道路交通情報データベース36のデータを更新する。
渋滞などの道路交通情報を加味した経路探索を行う場合、経路探索サーバ30は、経路探索用ネットワークデータベース35に蓄積されたネットワークデータを、道路交通情報データベース36に記憶した最新の道路交通情報に基づくリンクコストをネットワークデータ編集手段により編集して経路探索を行う。これにより渋滞などの影響による所要時間を反映した経路探索を行うことができる。以下、このような経路探索を渋滞考慮経路探索ということとする。
【0056】
道路交通情報データベース36には、過去の道路交通情報を統計的に処理し、月日、曜日、祝祭日、時間帯、天候などの条件別に、各道路リンクの渋滞度、渋滞所要時間などが蓄積された統計的道路交通データ、各道路リンクごとの最新の渋滞度、所要時間などを蓄積した最新道路交通データが蓄積されている。渋滞許容時間を設定した経路探索を行うため、所望の経路探索日時が指定されると、経路探索サーバ30は、この統計的道路交通データから、経路探索条件として指定された日時条件に該当する日時の統計的道路交通データを取得して経路探索用ネットワークデータベース35の道路ネットワークデータを編集して経路探索を行う。以下、このようにして探索された経路を渋滞予測経路といい、その所要時間を渋滞予測経路コストという。
【0057】
端末装置20は、通常の経路探索要求(経路探索用ネットワークデータベース35に蓄積された標準のリンクコストを用いた経路探索)を行うモードの他、交通渋滞による影響を懸念する場合には、最新の道路交通情報に基づく渋滞などを加味した前述のような経路探索要求を行うモードを有している。また、所望の日時を指定して渋滞の状況を加味した経路探索を行う予測渋滞経路探索モードを有しており、この場合は、経路探索条件として指定された日時条件に該当する日時の統計的道路交通データを取得して経路探索用ネットワークデータベース35の道路ネットワークデータを編集して経路探索を行う。
【0058】
本発明においては、端末装置20の利用者は、所望の経路、例えば、帰省先から自宅までの経路における著名な渋滞箇所を渋滞の監視ポイントとして登録し、渋滞を監視する要求をすることができる。経路探索サーバ30は端末装置20(利用者)ごとに登録された渋滞監視ポイントにおける渋滞長を監視し、その渋滞監視ポイントにおける渋滞長が渋滞監視長より短くなった時点で、渋滞が解消に向かったものとして利用者に報知する。
【0059】
利用者は渋滞が解消に向かった報知を受けて出発地を出発して、渋滞がほぼ解消したタイミングで渋滞監視ポイントに到達できれば、渋滞による所要時間の増加に合うことなく目的地である自宅に到着することができる。このため、渋滞監視のための基準長(渋滞監視長)は、出発地と渋滞監視ポイントとの距離によって定まる適切な値とする。渋滞監視結果の報知は電子メールによって行う。以下、渋滞監視要求の登録を渋滞解消メール登録ということとする。また、渋滞長が渋滞監視長よりも長くなった場合に渋滞発生の報知を受けられるようにすることもできる。
【0060】
以下、具体例に基づいて本発明の実施例にかかる経路探索システム10を説明するが、その前に本発明にかかる経路探索システム10の詳細な構成を説明する。図2は、図1に示した経路探索システム10の詳細な構成を示すブロック図である。
【0061】
端末装置20は、ナビゲーションサービスを受けることができる端末であり、制御手段201、通信手段21、GPS受信手段22、処理要求手段23、配信データ記憶手段24、表示手段25、操作入力手段26などを備えて構成されている。操作入力手段26には、経路探索サーバ30に渋滞を監視する監視ポイントを登録し、監視ポイントにおける渋滞長を監視させ、渋滞が解消に向かった時点で報知を要求する渋滞監視要求登録手段261が含まれる。渋滞監視要求登録手段261は、具体的には文字入力キー、表示画面に表示されたメニュー画面の設定項目などを選択するカーソルキーなどで構成される。
【0062】
経路探索サーバ30は、図1において述べたように、地図データを蓄積した地図データベース34、経路探索用の道路ネットワークデータを蓄積した経路探索用ネットワークデータベース35、渋滞情報を含む道路交通情報を蓄積する道路交通情報データベース36を備えている。経路探索サーバ30が徒歩や公共交通機関を利用した経路を探索して端末装置20に案内する機能を有する場合、経路探索用ネットワークデータベース35には更に、徒歩専用のネットワークデータ、交通機関の運行時刻表データに基づく交通ネットワークデータを蓄積しておく。
【0063】
また、経路探索サーバ30は、制御手段301、通信手段31、配信データ編集手段32、渋滞解消報知手段33、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35、道路交通情報データベース36、ネットワークデータ編集手段37、渋滞監視長登録手段371、監視ポイント登録手段372、渋滞長監視手段373、処理要求記憶手段38、経路探索手段39などを備えて構成されている。
【0064】
経路探索サーバ30は、端末装置20から経路探索やPOI検索あるいは地図配信の要求があると、処理要求記憶手段38にその要求を一次記憶する。要求が経路探索要求である場合、経路探索手段39は経路探索用ネットワークデータベース35を参照して最適経路あるいは推奨経路(案内経路)を探索する。探索された案内経路のデータは配信データ編集手段32により端末装置20に対する配信データに編集され、端末装置20に配信される。また、地図データベース34から案内経路を含む地図データが読み出され、端末装置20に配信される。
【0065】
次に、経路探索用ネットワークデータベース35を用いた経路の概念について説明する。例えば、自動車や徒歩による経路探索に用いられる道路ネットワークデータは、以下のように構成される。道路が図3に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで構成される。
【0066】
すなわち、図3において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図3では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0067】
このような道路ネットワークのデータを経路探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図3において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積する。そして、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。
【0068】
図3ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至ることが可能な複数の経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0069】
徒歩経路を探索する場合の道路ネットワークデータには、歩行者専用の道路や通路(公園内の通路など)のデータが加えられ、自動車専用の道路、例えば、歩行者や自転車の立ち入りが禁止される高速道路のデータが除かれる。また、自動車による経路を探索する場合には、前述の歩行者専用道路等のデータが除かれる。交通機関による経路を含む探索の場合、交通機関の路線のデータが用いられる。交通機関のネットワークにおいては、各駅をノードとし、駅間がリンクで結ばれる。交通機関のネットワークにおけるリンクは電車やバスなどの交通手段ごとに作成され、その運行時刻表によって定められた所要時間が各リンクのリンクコストになる。
【0070】
渋滞考慮経路探索や渋滞予測経路探索を行う場合には、ネットワークデータ編集手段37により経路探索用ネットワークデータベース35に蓄積された道路ネットワークの各リンクコストを、道路交通情報データベース36に蓄積された道路リンクのコストで補正する編集を行った上で、経路探索手段39が出発地から目的地までの経路探索を行うようにされる。
【0071】
端末装置20の利用者は、所望の経路(道路)について予め経路探索サーバ30に渋滞監視要求を登録しておくことができる。例えば、週末に帰省先に滞在し日曜の夜に首都圏にある自宅に戻る場合、通常、帰省先から自宅までの経路について、渋滞監視ポイントを登録する。その経路における著名な渋滞箇所は経験的に知られているので、その渋滞箇所を監視ポイントとして登録する。
【0072】
図4は、渋滞監視要求を登録する際のメニュー画面の一例を示す図であり、図4(a)は初期メニュー画面、図4(b)、図4(c)は渋滞監視ポイントを設定する際に遷移する選択画面の一例を示す図である。端末装置20の利用者は、経路探索サーバ30に渋滞監視要求を登録する場合、図4(a)のメニュー画面を表示手段25に表示し、操作入力手段26の渋滞監視要求登録手段261を用いて、所定の条件を選択し、あるいは入力する。
【0073】
(1)まず、渋滞を監視するポイントを設定する。フリーワードで探すか、或いはエリアから道路名称→地点名称で選定する。図4(a)のメニュー画面に表示されたエリア名、例えば、関東を選択すると、図4(b)の画面に遷移して関東エリアの道路名称が表示される。表示された道路名称から、例えば、中央自動車道を選択すると、図4(c)の画面に遷移し、中央自動車道における著名な渋滞箇所(監視ポイントの候補)が一覧で表示される。
【0074】
この監視ポイントは、各インターチェンジ(I.C)、サービスエリア、パーキングエリア、トンネル、橋、交差点名など渋滞情報に関して有名な地点を含んでいる。また監視ポイントはピンポイントではなくて、例えば隣の監視ポイントまでの中間点を範囲とするように広めにしておく。そのようにすれば、渋滞長監視手段373(図2参照)は、その範囲の道路リンクの何れかに渋滞情報があり、その渋滞が連続している長さを渋滞長として捉えることができる。
【0075】
例えば、図5は、「小仏トンネル」を監視ポイントとした時の渋滞長を示す模式図である。図5に示すように「小仏トンネル」と言っても、トンネルの中は渋滞せず、その手前が渋滞していることが多く、渋滞はトンネルの入口を先頭に形成される。
【0076】
次に、(2)利用者は選択した道路の上り方向、下り方向の路線の別を選択する。
(3)監視する渋滞長を入力する。ここで入力した値を閾値として渋滞の解消タイミングを判定する。値の決め方については後述する。
(4)利用日は、監視と通知を行う日を設定する。1日だけの日付け設定でも、毎日、毎週という設定もできる。
(5)渋滞の発生(成長時)にも通知を行うかどうかを設定する。例えば、(3)で設定した渋滞長に成長したときに通知するのも、その日の渋滞の傾向を知る上で良い情報である。そもそも、長い渋滞が発生しているかどうかを知る目安にもなる。
【0077】
更に、(6)渋滞解消あるいは渋滞発生の報知は電子メールで通知するので、通知先メールアドレスを入力する。一般的には、この端末装置20のメールアドレスである。報知の方法として電子メールを用いれば、監視ポイントを設定した利用者は、電子メールの着信通知にのみ注意を向けていればよく、サーバと端末装置とを接続したままにすることなく、所望の情報を得ることができるようになる。
【0078】
そして、(7)出発地を設定する。出発地の設定は任意であるが、出発地を入力してもらえば、どの地点を出発しようとしている人が、何Km渋滞長を設定しているかを経路探索サーバ30が認識することができる。厳密な地点は必要ないので、室内で所得したGPSでも、基地局の位置でも良い。
【0079】
図4(a)のにメニュー画面において、「他の人の設定を見る」の選択項目は、同じ出発地、同じ監視ポイントを設定した人たちの渋滞長を参照できるページへジャンプするための選択項目である。この項目が選択された場合については後述する。
このような設定をした後、端末装置20から経路探索サーバ30に渋滞監視要求が送信され、渋滞監視要求を受け取った経路探索サーバ30は、渋滞の監視に入る。
【0080】
渋滞監視要求登録手段261(図2参照)によりメニュー画面を用いて設定された各設定情報は、経路探索サーバ30に送信され、監視ポイントの情報は監視ポイント登録手段372(図2参照)に利用者対応(端末装置20対応)に記憶され、同様に渋滞監視長は渋滞監視長登録手段371に記憶される。
【0081】
経路探索サーバ30は、例えば、5分ごとに最新の道路交通情報(渋滞情報)を取得しているので、その取得毎に、全利用者からの渋滞監視要求の登録に対して、渋滞長監視手段373は渋滞監視を実行する。監視にあたって、経路探索サーバ30は、利用日が一致しているかをチェックし、渋滞長監視手段373は、監視ポイントにおける渋滞長が渋滞監視長を横切ったか否かを監視して、以下の処理を行う。ここでいう、横切ったか否かとは、渋滞長が渋滞監視長を超えた長さになったか、あるいは、渋滞長が渋滞監視長を下回った長さになったかをいう。
【0082】
道路交通情報における渋滞長は道路のリンクで表される。例えば、監視ポイント「小仏トンネル」において渋滞監視長が、図5に示すように或るリンクの開始ポイント41から或るリンクの終了ポイント42で示す長さに設定されているものとする。このように、渋滞は点ではなくてある程度の距離を持った区間で表されることになる。従って監視ポイントといっても点で表されるボイントではなく、渋滞が表されるリンクの長さがあり、そのリンクを監視ポイントとし、渋滞が最後まで残りそうなリンクに監視ポイントを置くことになる(利用者は所望の地点名を監視ポイントとして指定し、経路探索サーバ30が地点名に基づいて上記のようにして監視ポイントを登録する)。小仏トンネルの場合、例えば、小仏トンネル入り口の手前1Kmあたりのポイントが監視ポイントとなる。
渋滞長監視手段373は、監視ポイントにおける渋滞長を5分間隔で監視し、渋滞監視長の両端を現実の渋滞長が横切ったか否かを監視して、該当監視ポイントにおける渋滞監視長を基準にして、渋滞長が成長方向にあるか、解消方向になったかを判別する。
【0083】
すなわち、図5に示すように、現実の渋滞長(実線の距離:長さ)が渋滞監視長(破線の距離:長さ)を超えた場合は渋滞が成長方向にあると判別できる。逆に、現実の渋滞長(実線の距離:長さ)が渋滞監視長(破線の距離:長さ)を下回った場合は渋滞が解消方向にあると判別できる。
【0084】
図6は、図5に示す監視ポイントにおける渋滞長の成長と解消の様子を示す渋滞長グラフである。図6において、縦軸は渋滞長を示し、横軸は時刻を示している。ここでは、監視ポイント「小仏トンネル」における渋滞監視長は16Kmに設定された例を示している。図6から、この監視ポイントでの渋滞の状況は、時刻16:15に渋滞長が渋滞監視長を超え、その後、時刻21:30に渋滞長が渋滞監視長を下回ったことがわかる。渋滞長監視手段373は、このようにして渋滞監視ポイントにおける渋滞長が渋滞監視長と比較して成長方向になった時点、解消方向になった時点を判別する。
【0085】
渋滞解消報知手段33は、渋滞長監視手段373の監視結果に基づいて、
(イ) 渋滞長が渋滞監視長を超えた場合は、渋滞が成長する方向であるので、渋滞開始通知の設定が「オン(ON)」なら渋滞開始報知のメールを設定されたメールアドレスに送信する。
(ロ) 渋滞長が渋滞監視長を下回った場合は、渋滞が解消する方向であるので、渋滞解消を報知するメールを設定されたメールアドレスに送信する。
【0086】
図7は、上記(イ)のように、監視ポイントにおける渋滞長が渋滞監視長と比較して、成長方向になった際に利用者に報知される報知画面の一例を示す図である。図7に示すように、渋滞の成長が渋滞監視長に達したときに、その時刻(5分刻み)を含めて送信している。この例では、時刻16:15に渋滞長が16Kmに達した(図6参照)ことが分かるので、この利用者は、経路の走行経験あるいは本システムの使用経験があれば通常に比べ渋滞が早く始まったのか、遅いのか、感触を得ることができる。一般に首都圏への上りの渋滞が早く始まるときは、渋滞も激しい。また、渋滞の始まりが遅いか、あるいは設定した渋滞長に達しない場合は、渋滞が軽微である。
【0087】
図8は、上記(ロ)のように監視ポイントにおける渋滞長が渋滞監視長と比較して、解消方向になった際に利用者に報知される報知画面の一例を示す図である。図6に示すグラフは、比較的長い渋滞が発生した日曜日の例であり、この場合、21:30に渋滞長が渋滞監視長を下回ったことが判別されるので、図8に示す渋滞解消メールが送信される。これを受信した利用者は、例えば岡谷地区から出発する利用者であるとすると、21:30の渋滞解消メールを受信して岡谷を出発すると、監視ポイントとして設定した「小仏トンネル」を通過するのが時刻23:30ごろになるので、渋滞も解消しており、目論見どおり順調な移動に成功する。
【0088】
もし、この結果、まだ渋滞に遭遇するようであれば、渋滞監視長の設定が短いので、次に利用する際には、もう少し渋滞監視長を長く設定すれば良い。また、全く渋滞の気配もなかった場合は、もう少し渋滞監視長を短く設定して再度利用してチャレンジするのが良い。なお、この設定を利用者毎に行うのは、利用者毎に走行速度の傾向が異なるからである。同一の出発地、同一の監視ポイントでも、そこに至る速度が異なれば、最適な設定値は利用者毎に異なるのである。
【0089】
次に、本発明の実施例にかかる経路探索システムの動作手順についてフローチャートを参照して説明する。図9は、端末装置における渋滞監視要求の設定手順を示すフローチャートであり、図10は、経路探索サーバにおける渋滞長監視および渋滞解消報知の処理手順を示すフローチャートである。
【0090】
端末装置20の利用者が経路探索サーバ30に渋滞監視要求をする場合、端末装置20において利用者は、図4に示すメニュー画面を表示手段25に表示し、ステップS101の処理で、渋滞を監視するポイントを設定する。監視ポイントの設定は、フリーワードで探すか、或いはエリアから道路名称→地点名称で選定する。メニュー画面に表示されたエリア名からそのエリア内の道路名称一覧を表示し、表示された道路名称から所望の道路を選択し、その道路における著名な渋滞箇所(監視ポイントの候補)の一覧を表示して、監視ポイントを選択することにより行うことができる(図4参照)。
【0091】
次に、利用者はステップS102の処理に進み、選択した道路の上り方向、下り方向の路線の別を選択し、ステップS103の処理において、渋滞監視長を設定する。この場合、利用者が数値を入力して設定することもできるが、前述したように、後述する出発地の入力を利用して経路探索サーバ30に設定をさせることもできる。
【0092】
次いで、利用者はステップS104の処理で利用日を設定する。利用日は、監視と通知を行う日を設定する。1日だけの日付け設定でも、毎日、毎週という設定もできる。そしてステップS105の処理に進み、渋滞の発生(成長時)にも通知を行うかどうかを設定する。更に、ステップS106の処理では、渋滞解消メールの通知先となる端末装置20のメールアドレスを設定する。このメールアドレスは、渋滞監視要求を設定した端末装置20と異なる携帯電話のメールアドレス等であってもよい。
【0093】
次に利用者は、出発地の設定をするか否かを判断し、出発地を設定する場合はステップS107で出発地を入力してステップS108の渋滞監視要求送信処理に進む。出発地を入力しない場合にはステップS108の処理に飛びステップS101〜ステップS106の処理で設定した情報を含む渋滞監視要求を経路探索サーバ30に送信して処理を終了し、以後は、経路探索サーバ30からの渋滞解消メール等の報知メールの受信を待つ。
【0094】
端末装置20から渋滞監視要求を受信した経路探索サーバ30は利用者ごとに監視ポイントを監視ポイント登録手段372に記憶するとともに、監視ポイントにおける渋滞監視長を渋滞監視長記憶手段371に記憶し、渋滞長監視手段373は、各監視ポイントごとに図10のフローチャートに示す渋滞長の監視処理を開始する。
【0095】
ステップS201の処理において渋滞長監視手段373は、道路交通情報データベース36から監視ポイントにおける渋滞長および時刻の情報を取得する。そしてステップS202の処理で、渋滞長が渋滞監視長を超えたか否かを判別する。判別結果が「YES」であるとステップS203の処理に進み、渋滞発生通知の設定があるかを判別し、渋滞発生通知の設定がなければステップS205の処理に進み、渋滞発生通知の設定があれば、ステップS204の処理に進み、設定されたメールアドレスに渋滞発生を報知するメールを送り、ステップS205の処理に進む。
【0096】
ステップS205の処理では、渋滞長が渋滞監視長を下回ったか否かを判別する。判別結果が「NO」、すなわち、渋滞長が渋滞監視長を下回っていなければ、ステップS201の処理に戻り、渋滞長監視手段373は所定の時間間隔で監視ポイントにおける渋滞長および時刻の情報を取得する処理を繰り返す。
【0097】
ステップS205の判別処理の結果が「YES」、すなわち、渋滞長が渋滞監視長を下回ったと判別されると、ステップS206の処理に進み、渋滞解消報知手段33は、設定されたメールアドレスに渋滞解消を報知するメールを送って処理を終了する。この処理は、渋滞監視要求によって設定された監視ポイントごとに行われる。
【0098】
このように、本発明は、利用者が出発しようとする出発地から、渋滞の名所である監視ポイントまで移動する標準的な所要時間をベースに、監視ポイントにおける渋滞が解消方向に向かった報知を受け、利用者が報知を受けてから出発して、その監視ポイントに到達するまでの間に該監視ポイントにおける渋滞が解消していれば渋滞に遭遇することなく目的地に到着できるものであるから、出発地から監視ポイントまでの標準的な所要時間内に該監視ポイントで渋滞が解消するために要する時間を渋滞監視長として設定することになる。
【0099】
従って、渋滞監視長の設定は、出発地と監視ポイントの設定に基づいて、経路探索サーバ30が過去の渋滞状況を統計的に処理して得た道路交通情報に基づいて算出してもよく、また、利用者が過去の経験から割り出して設定してもよい。経路探索サーバ30が渋滞監視長を設定する構成であれば、利用者は、監視ポイントと出発地を設定するだけでよく、始めてこのサービスを利用する利用者が容易に所望の条件を設定することができるようになる。
【0100】
更に、経路探索サーバ30が、他の利用者が設定し、渋滞解消の報知を受けてから、監視ポイントに到達した際の渋滞長の状況を経路探索サーバ30が公開し、利用者が自身の出発地をベースに、サーバから公開される情報を参考にして監視ポイントと渋滞監視長を設定できるようにすると、初めて本発明のサービスを受けようとする利用者にとって便利なシステムになる。
【0101】
このような要求に応えるため、経路探索サーバ30は、不特定多数の端末装置20から登録された道路交通情報の報知要求に対して、監視ポイントにおける渋滞長監視手段373の監視結果に基づいて、渋滞解消の報知を行った時間を基準に、経路探索用ネットワークデータに道路交通情報データベースに蓄積した道路交通情報を適用して、監視ポイントを指定した端末装置20の出発地から該監視ポイントまで経路を探索し、その所要時間に基づいて、監視ポイント到達時に渋滞に遭遇しなかった場合の監視ポイントおよび渋滞監視長を参照情報として、端末装置20の要求に対して公開する。
【0102】
図11は、経路探索サーバが公開する渋滞監視処理情報の回答画面の一例を示す図である。この回答画面は、図4のメニュー画面の「他人の設定をみる」の項目を選択することで参照することができる。参照する渋滞監視処理情報は、端末装置20が設定した監視ポイントと出発地に基づいて、関連する処理情報を経路探索サーバが選択して回答画面に表示する。 ただし、他の利用者が設定したデータを見るだけでは有効な設定か疑わしいので、経路探索サーバ30が検証した後、設定値をソートして公開する。
【0103】
例えば、経路探索サーバ30は、各利用日の2日後に(翌日にしないのは、日をまたがって走行することがあるため)送信した渋滞解消メールに対し、出発地の入力があったものは、出発地から監視ポイントまでの経路探索を実際の渋滞情報(リンクコスト)を用いて行う。出発時刻は、たとえばメール送信の10分後とする。このようにして経路探索を行い、監視ポイント付近で渋滞に遭遇したグループと、渋滞が無かったグループとに分ける。
【0104】
渋滞の影響が無かったグループは、渋滞長の設定が短い可能性があるが、その中でも渋滞長の長いものが、目的を達成した限界値と考えられる。また、渋滞に遭遇した(影響が残った)グループは、不幸にして渋滞が解消しなかったことを表しており、その中でも渋滞長の短いものが、最悪値を表していると考えられる。
【0105】
従って、渋滞監視長の設定の目安としては、
(a)渋滞の影響が無かった長い設定例以上に長く設定してしまうと、出発が早くなりすぎて、渋滞に遭遇してしまうことになる。
(b)渋滞の影響が残った短い設定より短く設定すれば、渋滞に遭遇することはまず無いが、出発が遅くなる傾向にある。
と言う点を考慮すると、上記(a)と(b)の中間が一般的な渋滞監視長の設定と言える。
【0106】
また、個人の運転のタイプによっても設定値は異なり、ゆっくり運転し、休憩も多めに取るタイプの人は、上記(a)のように長めの渋滞監視長を参考にし、移動速度が速い傾向の人は上記(b)のように短い渋滞監視長の設定が目安になるであろう。
【0107】
図5、図6に示す例では、渋滞監視長を16Kmの設定にして渋滞に遭遇しなかった点、および19Km以上の設定では渋滞に遭遇しそうなことが分かるので、しばらく16Kmの設定を維持しようという方針を利用者が検討することができるようになる。このような留意点は、サービスの利用説明書等で十分解説しておけばよい。
【0108】
なお、実際の利用者の移動履歴で検証しても良いが、利用者によって途中で休憩を長く取ったり、速度が異なったり、或いは計画を変更して渋滞監視ポイントを通過しなかったり、様々な要因で渋滞に遭遇したかどうか調べても無意味な場合がある。従って、本実施例では、渋滞解消メールを送信した時点を起点に(10分ほどの出発準備時間をとって)、実際の交通情報データで後日経路探索した際の渋滞の影響度を採用して検証している。なお、探索した結果を保存しておき、図11の各日付けをクリックしたときに詳細データを表示するようにしても良い。
【0109】
また、この出発地と監視ポイントの組み合わせで一番多く設定されている距離を、図11の表示例の最下行の表示のように、渋滞監視長の設定例として表示しても良い。
【0110】
なお、監視ポイントにおける渋滞が始まっていないか、あるいはまだピークに達していないうちに出発しなければならないような遠方の出発地に対しては、渋滞解消のタイミングが予測できないので、出発地を入力した時点で経路探索サーバ30はエラー表示をするように構成してもよい。
【0111】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、予め登録した渋滞監視ポイントと渋滞監視長に基づいて渋滞長を監視し、渋滞が解消に向かった時点で利用者に渋滞の解消を報知することができるようになる。報知を受けた利用者はその報知に従って出発すれば、渋滞が解消すると思われる時刻に該監視ポイントを通過することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の利用法は、出発地を起点とする場合だけに限らない。例えば、今まで渋滞の手前で食事や休憩を取りながら渋滞解消を待つ習慣だった人たちは、サービスエリアを出発地に設定して、渋滞解消のメールが来るまでゆっくりと時間を過ごすと言った使い方もできる。或いは、渋滞区間の中で解消を待つ場合も、休憩しているサービスエリアを監視ポイントにして、渋滞監視長を1kmなどに設定しておけば、渋滞が解消したら直ちにメールで通知を受けることができる。サービスエリアからは本線の状況が見えない場合もあるので、便利である。
【0113】
また、本発明を用いて渋滞に遭遇しないように走行すれば燃費も向上するので、燃費を向上させ、CO2の排出量削減にも貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施例にかかる道交通情報案内システムを構成する経路探索システムを示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施例にかかる図1の経路探索システムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】道路ネットワークのデータの概念を示す模式図である。
【図4】渋滞監視要求を登録する際のメニュー画面の一例を示す図であり、図4(a)は初期メニュー画面、図4(b)、図4(c)は渋滞監視ポイントを設定する際に遷移する選択画面の一例を示す図である。
【図5】渋滞の監視ポイントと渋滞長の関係の一例を示す模式図である。
【図6】図5に示す監視ポイントにおける渋滞長の成長と解消の様子を示す渋滞長グラフである。
【図7】監視ポイントにおける渋滞長が渋滞監視長と比較して、成長方向になった際に利用者に報知される報知画面の一例を示す図である。
【図8】監視ポイントにおける渋滞長が渋滞監視長と比較して、解消方向になった際に利用者に報知される報知画面の一例を示す図である。
【図9】端末装置における渋滞監視要求の設定手順を示すフロチャートである。
【図10】経路探索サーバにおける渋滞長監視および渋滞解消報知の処理手順を示すフロチャーである。
【図11】経路探索サーバにより公開される不特定多数の利用者の渋滞監視要求の情報を端末装置において参照する際のメニュー画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
10・・・・経路探索システム
12・・・・ネットワーク
20・・・・端末装置
201・・・制御手段
21・・・・通信手段
22・・・・GPS受信手段
23・・・・処理要求手段
24・・・・配信データ記憶手段
25・・・・表示手段
26・・・・操作入力手段
261・・・渋滞監視要求登録手段
30・・・・経路探索サーバ
301・・・制御手段
31・・・・通信手段
32・・・・配信データ編集手段
33・・・・渋滞解消報知手段
34・・・・地図データベース
35・・・・経路探索用ネットワークデータベース
36・・・・道路交通情報データベース
37・・・・ネットワークデータ編集手段
371・・・渋滞監視長登録手段
372・・・監視ポイント登録手段
373・・・渋滞長監視手段
38・・・・処理要求記憶手段
39・・・・経路探索手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の時間間隔で取得した道路交通情報を道路に対応して蓄積する道路交通情報データベースを有するサーバを備えた道路交通情報案内システムにおいて、
前記道路交通情報案内システムは、所望の道路における監視ポイントを指定し、該監視ポイントにおける道路交通情報の報知要求を前記サーバに登録する端末装置を含み、
前記道路交通情報案内システムは、所望の道路において渋滞を監視する監視ポイントを登録する監視ポイント登録手段と、
前記所定の時間間隔で前記道路交通情報データベースを参照して、前記監視ポイントにおける渋滞長を監視する渋滞長監視手段と、
前記監視ポイントにおける渋滞監視長を登録する監視長登録手段と、
前記監視ポイントにおける道路交通情報を報知する報知手段と、を備え、
前記渋滞長監視手段は、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長よりも下回ったことを検出した場合、前記端末装置に渋滞解消の報知を行うことを特徴とする道路交通情報案内システム。
【請求項2】
前記渋滞長監視手段は、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長を超えたことを検出した場合、前記端末装置に渋滞発生の報知を行うことを特徴とする請求項1に記載の道路交通情報案内システム。
【請求項3】
前記渋滞解消または渋滞発生の報知は、前記端末装置が登録した電子メールアドレスを送信先とした電子メールにより行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の道路交通情報案内システム。
【請求項4】
前記渋滞監視長は、前記端末装置が指定した出発地と前記監視ポイントとに基づいて前記サーバが登録することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の道路交通情報案内システム。
【請求項5】
前記サーバは、経路探索用ネットワークデータを蓄積した経路探索用ネットワークデータベースと、前記経路探索用ネットワークデータを参照して2地点間の経路を探索する経路探索手段と、を備え、
不特定多数の端末装置から登録された道路交通情報の報知要求に対して、前記監視ポイントにおける渋滞長監視手段の監視結果に基づいて前記渋滞解消の報知を行った時間を基準に、前記経路探索用ネットワークデータに道路交通情報データベースに蓄積した道路交通情報を適用して、前記監視ポイントを指定した端末装置の出発地から該監視ポイントまで経路を探索し、その所要時間に基づいて前記監視ポイント到達時に渋滞に遭遇しなかった場合の監視ポイントおよび渋滞監視長を参照情報として前記不特定多数の端末装置の要求に対して公開することを特徴とする請求項1に記載の道路交通情報案内システム。
【請求項6】
道路交通情報案内システムを構成するサーバであって、所定の時間間隔で取得した道路交通情報を道路に対応して蓄積する道路交通情報データベースを有するサーバにおいて、
前記道路交通情報案内システムは、所望の道路における監視ポイントを指定し、該監視ポイントにおける道路交通情報の報知要求を前記サーバに登録する端末装置を含み、
前記サーバは、所望の道路において渋滞を監視する監視ポイントを登録する監視ポイント登録手段と、
前記所定の時間間隔で前記道路交通情報データベースを参照して、前記監視ポイントにおける渋滞長を監視する渋滞長監視手段と、
前記監視ポイントにおける渋滞監視長を登録する監視長登録手段と、
前記監視ポイントにおける道路交通情報を報知する報知手段と、を備え、
前記渋滞長監視手段は、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長よりも下回ったことを検出した場合、前記端末装置に渋滞解消の報知を行うことを特徴とするサーバ。
【請求項7】
前記渋滞長監視手段は、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長を超えたことを検出した場合、前記端末装置に渋滞発生の報知を行うことを特徴とする請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
前記渋滞解消または渋滞発生の報知は、前記端末装置が登録した電子メールアドレスを送信先とした電子メールにより行うことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のサーバ。
【請求項9】
前記渋滞監視長は、前記端末装置が指定した出発地と前記監視ポイントとに基づいて前記サーバが登録することを特徴とする請求項6または請求項7に記載のサーバ。
【請求項10】
前記サーバは、経路探索用ネットワークデータを蓄積した経路探索用ネットワークデータベースと、前記経路探索用ネットワークデータを参照して2地点間の経路を探索する経路探索手段と、を備え、
不特定多数の端末装置から登録された道路交通情報の報知要求に対して、前記監視ポイントにおける渋滞長監視手段の監視結果に基づいて前記渋滞解消の報知を行った時間を基準に、前記経路探索用ネットワークデータに道路交通情報データベースに蓄積した道路交通情報を適用して、前記監視ポイントを指定した端末装置の出発地から該監視ポイントまで経路を探索し、その所要時間に基づいて前記監視ポイント到達時に渋滞に遭遇しなかった場合の監視ポイントおよび渋滞監視長を参照情報として前記不特定多数の端末装置の要求に対して公開することを特徴とする請求項6に記載のサーバ。
【請求項11】
道路交通情報案内システムを構成するサーバであって、所定の時間間隔で取得した道路交通情報を道路に対応して蓄積する道路交通情報データベースを有するサーバに道路交通情報の報知要求を登録する端末装置において、
前記サーバは、所望の道路において渋滞を監視する監視ポイントを登録する監視ポイント登録手段と、
前記所定の時間間隔で前記道路交通情報データベースを参照して、前記監視ポイントにおける渋滞長を監視する渋滞長監視手段と、
前記監視ポイントにおける渋滞監視長を登録する監視長登録手段と、
前記監視ポイントにおける道路交通情報を報知する報知手段と、を備え、
前記渋滞長監視手段は、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較し、渋滞長が前記渋滞監視長よりも下回ったことを検出した場合、前記端末装置に渋滞解消の報知を行うサーバであって、
前記端末装置は、所望の道路において渋滞を監視する監視ポイントを含む道路交通情報の報知要求を設定し、前記サーバに登録する操作入力手段を備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項12】
前記サーバは、経路探索用ネットワークデータを蓄積した経路探索用ネットワークデータベースと、前記経路探索用ネットワークデータを参照して2地点間の経路を探索する経路探索手段と、を備え、
不特定多数の端末装置から登録された道路交通情報の報知要求に対して、前記監視ポイントにおける渋滞長監視手段の監視結果に基づいて前記渋滞解消の報知を行った時間を基準に、前記経路探索用ネットワークデータに道路交通情報データベースに蓄積した道路交通情報を適用して、前記監視ポイントを指定した端末装置の出発地から該監視ポイントまで経路を探索し、その所要時間に基づいて前記監視ポイント到達時に渋滞に遭遇しなかった場合の監視ポイントおよび渋滞監視長を参照情報として前記不特定多数の端末装置の要求に対して公開するサーバであって、
前記端末装置は、該端末装置が設定した監視ポイントに関連する前記参照情報の取得を要求する操作入力手段を備えたことを特徴とする請求項11に記載の端末装置。
【請求項13】
所定の時間間隔で取得した道路交通情報を道路に対応して蓄積する道路交通情報データベースを有するサーバを備えた道路交通情報案内システムにおける道路交通情報案内方法において、
前記道路交通情報案内システムは、所望の道路における監視ポイントを指定し、該監視ポイントにおける道路交通情報の報知要求を前記サーバに登録する端末装置を含み、
前記道路交通情報案内システムは、所望の道路において渋滞を監視する監視ポイントを登録する監視ポイント登録手段と、
前記所定の時間間隔で前記道路交通情報データベースを参照して、前記監視ポイントにおける渋滞長を監視する渋滞長監視手段と、
前記監視ポイントにおける渋滞監視長を登録する監視長登録手段と、
前記監視ポイントにおける道路交通情報を報知する報知手段と、を備え、
前記渋滞長監視手段が、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較するステップと、渋滞長が前記渋滞監視長よりも下回ったことを検出した場合、前記端末装置に渋滞解消の報知を行う報知ステップとを有することを特徴とする道路交通情報案内方法。
【請求項14】
前記渋滞長監視手段が、前記監視ポイントに対して登録された渋滞監視長と、前記監視ポイントにおける渋滞長とを比較するステップにおいて、渋滞長が前記渋滞監視長を超えたことを検出した場合、前記端末装置に渋滞発生の報知を行う報知ステップを有することを特徴とする請求項13に記載の道路交通情報案内方法。
【請求項15】
前記渋滞解消または渋滞発生の報知ステップは、前記端末装置が登録した電子メールアドレスを送信先とした電子メールにより行う処理を含むことを特徴とする請求項13または請求項14に記載の道路交通情報案内方法。
【請求項16】
前記渋滞監視長は、前記端末装置が指定した出発地と前記監視ポイントとに基づいて前記サーバが登録することを特徴とする請求項13または請求項14に記載の道路交通情報案内方法。
【請求項17】
前記サーバは、経路探索用ネットワークデータを蓄積した経路探索用ネットワークデータベースと、前記経路探索用ネットワークデータを参照して2地点間の経路を探索する経路探索手段と、を備え、
不特定多数の端末装置から登録された道路交通情報の報知要求に対して、前記監視ポイントにおける渋滞長監視手段の監視結果に基づいて前記渋滞解消の報知を行った時間を基準に、前記経路探索用ネットワークデータに道路交通情報データベースに蓄積した道路交通情報を適用して、前記監視ポイントを指定した端末装置の出発地から該監視ポイントまで経路を探索するステップと、その所要時間に基づいて前記監視ポイント到達時に渋滞に遭遇しなかった場合の監視ポイントおよび渋滞監視長を参照情報として前記不特定多数の端末装置の要求に対して公開するステップとを有することを特徴とする請求項13に記載の道路交通情報案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−236567(P2009−236567A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80713(P2008−80713)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】