道路交通情報表示装置および方法
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、道路交通情報を受信して車両内に設けられたディスプレイにその情報を表示する道路交通情報表示装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】FM多重放送やビーコン送信機等によって送信される交通情報を受信して、車両内に設けられたディスプレイにその情報を表示するようにした道路交通情報表示装置(例えば実開平1−102999号公報参照)が知られている。この種の装置では、受信した情報を図14(a),(b)に示すように箇条書きにして表示する。図14(a)は渋滞情報の表示画面例、図14(b)は所要時間情報の表示画面例である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、受信した交通情報を箇条書きにして表示すると、例えば図14(b)に示すように表示すべき文字情報が多い場合、その中から運転者は所望の情報を自ら探さなければならず大変に煩わしい。また、表示された情報を読み間違えるおそれもある。
【0004】本発明の目的は、受信した道路交通情報を矢印を用いて分類して表示し、かつ道路交通情報に基づいて矢印の色を変えて表示することにより、道路交通情報を一目で認識できるようにした道路交通情報表示装置および方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】実施例を示す図1に対応づけて本発明を説明する。請求項1の発明は、道路交通情報を受信する受信手段1と、この受信手段1で受信した道路交通情報をディスプレイ4に表示する制御を行う表示制御手段3とを備えた道路交通情報表示装置に適用され、道路交通情報から、少なくとも、渋滞道路名に関する情報と、渋滞の位置に関する情報とを抽出する渋滞情報抽出手段3を備え、表示制御手段3は、渋滞情報抽出手段3により抽出された情報に基づき、少なくとも、渋滞道路名と、車両の進行方向との関係が分かるように示された所定幅所定長さの矢印形の図形と、渋滞の始点地点名と、渋滞の終点地点名とをディスプレイ4に表示するように制御し、渋滞の始点地点名は図形の矢尻側に、渋滞の終点地点名は図形の矢先側にそれぞれ表示することを特徴とするものである。請求項2の発明は、請求項1に記載された道路交通情報表示装置において、渋滞情報抽出手段3は、道路交通情報から、渋滞長に関する情報と区間通過時間に関する情報とをさらに抽出し、表示制御手段3は、渋滞情報抽出手段3により抽出された渋滞長に関する情報と区間通過時間に関する情報とに基づき、渋滞長と区間通過時間とをさらにディスプレイ4に表示するように制御するものである。請求項3の発明による情報表示方法は、道路交通情報から所要時間に関する始点地点名、終点地点名、所要時間および経由地名を所要時間情報として抽出し、請求項1または請求項2に記載された渋滞情報抽出手段3により抽出された情報と、所要時間情報とを択一的に選択し、選択された情報を表示するものである。請求項4の発明による渋滞情報表示方法は、道路交通情報を受信し、受信した道路交通情報の中から渋滞情報を抽出し、抽出した渋滞情報を渋滞度合いにより分類し、所定幅、所定長さで分類結果に応じた異なる色の矢印を簡略図として渋滞の始点地点名および渋滞の終点地点名とともに表示し、始点地点名および終点地点名は道路交通情報に応じて変更されるものである。請求項5の発明による渋滞情報表示方法は、道路交通情報を受信し、受信した道路交通情報の中から渋滞情報を抽出し、抽出された渋滞情報を簡略化した経路図として渋滞の始点地点名および渋滞の終点地点名とともに表示し、始点地点名および終点地点名は道路交通情報に応じて変更されるものである。請求項6の発明は、請求項3の情報表示方法において、受信した道路交通情報の中から駐車場の情報を抽出し、渋滞情報抽出手段により抽出された情報と、所要時間情報と、抽出された駐車場の情報とを択一的に選択し、選択された情報を表示するものである。請求項7の発明は、請求項3の情報表示方法において、受信した道路交通情報の中から緊急情報を抽出し、抽出された緊急情報を他の情報に優先して表示するものである。
【0006】なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明が実施例に限定されるものではない。
【0007】
【実施例】図1は本発明による道路交通情報表示装置の一実施例のブロック図である。本実施例は、不図示のビーコン送信機から送信された各種交通情報を受信する場合について説明する。1はアンテナ2で受信されたビーコン送信機からの電波を復調するチューナ部である。3は後述する図2〜4の処理を行ってディスプレイ4に表示するデータを作成するCPUである。51〜56はディスプレイ4に表示されたメニュー情報を選択する選択スイッチであり、ディスプレイ画面に表示される6個のメニュー枠(図5参照)にそれぞれ対応して設けられる。このうち、いずれかの選択スイッチが押されると、その選択スイッチに対応するメニュー枠に示された情報項目が選択されて表示される。6はCPU3の制御プログラムやディスプレイ表示用の文字フォントデータ等を記憶するROM、7は受信した情報をID番号別に分類して記憶するRAMである。ビーコン送信機から送信される道路交通情報は、情報項目ごとにID番号がつけられており、CPU3は受信されたID番号によって情報の種類を識別する。8はビーコン送信機からの電波の受信を指示するビーコンキーである。
【0008】図2はCPU3による画面表示処理のメインルーチン、図3はCPU3による渋滞情報の表示処理、図4はCPU3による所要時間情報の表示処理をそれぞれ示すフローチャートであり、これらフローチャートを用いて本実施例の動作を説明する。CPU3は不図示のイグニションキーがACC(アクセサリ)位置に操作されると図2の処理を開始する。図2のステップS1では、図5に示す情報メニュー画面をディスプレイ4に表示する制御を行う。この情報メニュー画面には、図示のように選択スイッチ51〜56に対応させて6個のメニュー枠101〜106が表示され、各メニュー枠内の文字およびその背景色は特定の色で表示される。このメニュー枠101〜106は、上から順に渋滞情報、規制・事故情報、駐車場情報、所要時間情報、行先案内情報および緊急情報を表示するためのものであり、このステップS1ではいずれの情報もまだ受信されていないため、情報の提供ができないことを示す目的で、例えば各メニュー枠内の文字を白色で、文字の背景色を灰色で表示する。
【0009】そして、上記のいずれかの情報が受信されると、図6に示すように、受信された情報に対応するメニュー枠の文字色を白色から黒色に、またメニュー枠内の背景色を灰色から黄色に変える。このように表示色を変えることにより、操作者に情報の受信が可能か否かを知らせることができる。例えば、図6は規制・事故情報と行先案内情報が受信可能であることを示す。
【0010】ステップS2では、操作者が選択スイッチ51〜56のいずれかを押したか否かを判定する。操作者が選択スイッチ51〜56のいずれかを押すと、図6に示すように、その選択スイッチに対応するメニュー枠に三角マーク107を表示して、そのメニュー枠の情報項目が選択されたことを示す。ステップS2の判定が否定されるとステップS1に戻り、判定が肯定されるとステップS3に進む。ステップS3では、ステップS2で選択された情報項目の情報についてすでに受信が終了しているか否かを判定する。判定が否定されるとステップS4に進み、図7に示す画面を表示させ、まだ情報を表示できない旨を報知してステップS1に戻る。一方、ステップS3の判定が肯定されるとステップS5に進み、選択された情報項目に応じた画面表示を行ってステップS2に戻る。このステップS5で表示される画面データは、例えば渋滞情報が選択されると図8が、規制・事故情報が選択されると図9が、駐車場情報が選択されると図10が、所要時間情報が選択されると図11が、行先案内情報が選択されると図12が、緊急情報が選択されると図13がそれぞれ表示される。
【0011】なお、上記図2の処理をCPU3が行っている最中に緊急情報が受信されると、CPU3は図2の処理を中断して図13に示す緊急情報表示画面を表示させる。この緊急情報表示画面では、「緊急情報」と記載されたタイトルの下に、受信された緊急情報の内容が表示される。
【0012】図3は図8の渋滞情報を表示する際のCPU3による処理を示すフローチャートである。ステップS21では、これから表示する渋滞情報画面の背景色で画面全体を塗りつぶすことにより、表示画面の初期設定を行う。例えば図8に示す渋滞情報の表示画面の背景色が緑の場合、画面全体を緑で塗りつぶす。ステップS22では、渋滞度がどの程度かを判定する。ビーコン送信機からは渋滞度を示す情報が送信されるため、この情報を受信することにより、渋滞度が「渋滞」、「混雑」あるいは「それ以外」のいずれかを判定する。ここで、「渋滞」と判定されるとステップS23に進み、赤色の矢印を表示するとともに、矢印の内側に「渋滞」という文字を表示してステップS26に進む。一方、「混雑」と判定されるとステップS24に進み、オレンジ色の矢印を表示するとともに、矢印の内側に「混雑」という文字を表示してステップS26に進む。また、渋滞度が「それ以外」と判定されると、ステップS25に進んで白色の矢印を表示してステップS26に進む。
【0013】ステップS26では画面の左上隅に路線名枠を表示し、ステップS27では路線名枠内に受信した路線名を表示する。ステップS28では路線名枠の下に終点地域名枠を表示し、ステップS29では終点地域名枠内に受信した終点地域名を表示する。ステップS30では画面の下辺側に始点地域名枠を表示し、ステップS31では始点地域名枠内に受信した始点地域名を表示する。続いてステップS32では矢印の左脇に受信した渋滞長を表示し、ステップS33では矢印の右脇に受信した区間通過時間を表示する。続いてステップS34では渋滞情報が提供された時刻を画面の右上隅に表示するとともに、画面の右辺側に他の情報項目を選択するためのメニュー枠を表示し、これにより、図8に示す渋滞情報画面が完成する。
【0014】このように、渋滞情報を表示する際に、受信情報を単に箇条書きするのではなく、始点地域名から終点地域名に向けて矢印を表示し、その矢印の両脇に渋滞長と通過時間を表示するようにしたため、渋滞が車両進行方向のどこから始まりどこまで続くのかが一目で認識できるとともに、渋滞長および通過時間を即座に把握できるようになる。また、渋滞度に応じて矢印の色を変化させるようにしたため、渋滞度を視覚的に認識できるようになる。
【0015】図4は図11の所要時間情報を表示する際のCPU3による処理を示すフローチャートである。ステップS41では、これから表示する所要時間情報画面の背景色で画面全体を塗りつぶすことにより、表示画面の初期設定を行う。ステップS42では、受信された各経路の所要時間を比較し、所要時間が最も短い経路を検出する。図11の例では、経路1〜3の中から最短所要時間経路を検出する。ステップS42で所要時間が最も短い経路が経路1と検出されるとステップS43に進み、経路1を白色矢印で表示し、経路2および経路3は矢印の外枠だけを黄色表示して、ステップS46に進む。
【0016】ステップS42において、最も短い経路が経路2と判定されるとステップS44に進み、経路2を白色矢印で表示し、それ以外の経路は矢印の外枠だけを黄色表示してステップS45に進む。同様に最も短い経路が経路3と判定されるとステップS45に進み、経路3を白色矢印で表示し、それ以外の経路は矢印の外枠だけを黄色表示してステップS46に進む。
【0017】ステップS46では、画面の左上隅に終点地域名枠を表示し、ステップS47では終点地域名枠に終点地域名を表示し、ステップS48では所要時間枠を表示し、ステップS49では所要時間枠に所要時間を表示する。続いてステップS50では経由地点名枠を表示し、ステップS51では経由地点名枠に経由地点名を表示し、ステップS52では画面の下辺側に始点地域名枠を表示し、ステップS53では始点地域名枠に始点地域名を表示する。続いてステップS54では所要時間情報が提供された時刻を画面の右上隅に表示するとともに、画面の右辺側に他の情報項目を選択するためのメニュー枠を表示し、これにより、図11に示す所要時間情報画面が完成する。
【0018】このように、所要時間情報を表示する際に、受信情報を単に箇条書きするのではなく、始点地域から終点地域に向けて矢印を表示し、この矢印上に経由地と所要時間を表示するようにしたため、始点地域から終点地域まで複数の経路がある場合でも、操作者はどの経路がどの程度の所要時間を要するのかを正確に把握できる。また、表示された経路のうち所要時間が最も短い経路については、他の経路と異なり白色の矢印で表示するようにしたため、操作者はどの経路が最も短いかを即座に認識できる。
【0019】上記実施例では、ビーコン送信機からの電波を受信する例を示したが、FM多重放送等の他の電波を受信するようにしてもよい。図8では、渋滞始点名称をディスプレイの下辺側に、渋滞終点名称を上辺側に表示したが、例えば始点名称を上辺側に、終点名称を下辺側に表示してもよい。あるいは、始点名称を左辺側に終点名称を右辺側に、またはその逆に表示してもよい。同様に、図11の出発地名称および目的地名称の表示位置を変えてもよい。図3,4の処理では、矢印を最初に表示し、その後文字データを表示したが、表示の順番は実施例に限定されない。
【0020】このように構成した実施例にあっては、チューナ部1が受信手段に、CPU3が表示制御手段に、図2のステップS5が渋滞情報抽出手段に、それぞれ対応する。
【0021】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、渋滞情報を一目で認識できるようになり、各情報の読み間違いが少なくなる。また、所要時間が最も短い経路を即座に把握できる。以上
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による道路交通情報表示装置の一実施例のブロック図である。
【図2】図1に示すCPUのメイン動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すCPUの渋滞情報表示処理を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すCPUの所要時間情報表示処理を示すフローチャートである。
【図5】情報メニュー画面の表示例を示す図である。
【図6】情報メニュー画面の表示例を示す図である。
【図7】選択された情報の受信が終了していない場合の表示例を示す図である。
【図8】渋滞情報の表示例を示す図である。
【図9】規制・事故情報の表示例を示す図である。
【図10】駐車場情報の表示例を示す図である。
【図11】所要時間情報の表示例を示す図である。
【図12】行先案内情報の表示例を示す図である。
【図13】緊急情報の表示例を示す図である。
【図14】従来の道路交通情報の表示例を示す図である。
【符号の説明】
1 チューナ部
2 アンテナ
3 CPU
4 ディスプレイ
6 ROM
7 RAM
51〜56 選択スイッチ
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、道路交通情報を受信して車両内に設けられたディスプレイにその情報を表示する道路交通情報表示装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】FM多重放送やビーコン送信機等によって送信される交通情報を受信して、車両内に設けられたディスプレイにその情報を表示するようにした道路交通情報表示装置(例えば実開平1−102999号公報参照)が知られている。この種の装置では、受信した情報を図14(a),(b)に示すように箇条書きにして表示する。図14(a)は渋滞情報の表示画面例、図14(b)は所要時間情報の表示画面例である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、受信した交通情報を箇条書きにして表示すると、例えば図14(b)に示すように表示すべき文字情報が多い場合、その中から運転者は所望の情報を自ら探さなければならず大変に煩わしい。また、表示された情報を読み間違えるおそれもある。
【0004】本発明の目的は、受信した道路交通情報を矢印を用いて分類して表示し、かつ道路交通情報に基づいて矢印の色を変えて表示することにより、道路交通情報を一目で認識できるようにした道路交通情報表示装置および方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】実施例を示す図1に対応づけて本発明を説明する。請求項1の発明は、道路交通情報を受信する受信手段1と、この受信手段1で受信した道路交通情報をディスプレイ4に表示する制御を行う表示制御手段3とを備えた道路交通情報表示装置に適用され、道路交通情報から、少なくとも、渋滞道路名に関する情報と、渋滞の位置に関する情報とを抽出する渋滞情報抽出手段3を備え、表示制御手段3は、渋滞情報抽出手段3により抽出された情報に基づき、少なくとも、渋滞道路名と、車両の進行方向との関係が分かるように示された所定幅所定長さの矢印形の図形と、渋滞の始点地点名と、渋滞の終点地点名とをディスプレイ4に表示するように制御し、渋滞の始点地点名は図形の矢尻側に、渋滞の終点地点名は図形の矢先側にそれぞれ表示することを特徴とするものである。請求項2の発明は、請求項1に記載された道路交通情報表示装置において、渋滞情報抽出手段3は、道路交通情報から、渋滞長に関する情報と区間通過時間に関する情報とをさらに抽出し、表示制御手段3は、渋滞情報抽出手段3により抽出された渋滞長に関する情報と区間通過時間に関する情報とに基づき、渋滞長と区間通過時間とをさらにディスプレイ4に表示するように制御するものである。請求項3の発明による情報表示方法は、道路交通情報から所要時間に関する始点地点名、終点地点名、所要時間および経由地名を所要時間情報として抽出し、請求項1または請求項2に記載された渋滞情報抽出手段3により抽出された情報と、所要時間情報とを択一的に選択し、選択された情報を表示するものである。請求項4の発明による渋滞情報表示方法は、道路交通情報を受信し、受信した道路交通情報の中から渋滞情報を抽出し、抽出した渋滞情報を渋滞度合いにより分類し、所定幅、所定長さで分類結果に応じた異なる色の矢印を簡略図として渋滞の始点地点名および渋滞の終点地点名とともに表示し、始点地点名および終点地点名は道路交通情報に応じて変更されるものである。請求項5の発明による渋滞情報表示方法は、道路交通情報を受信し、受信した道路交通情報の中から渋滞情報を抽出し、抽出された渋滞情報を簡略化した経路図として渋滞の始点地点名および渋滞の終点地点名とともに表示し、始点地点名および終点地点名は道路交通情報に応じて変更されるものである。請求項6の発明は、請求項3の情報表示方法において、受信した道路交通情報の中から駐車場の情報を抽出し、渋滞情報抽出手段により抽出された情報と、所要時間情報と、抽出された駐車場の情報とを択一的に選択し、選択された情報を表示するものである。請求項7の発明は、請求項3の情報表示方法において、受信した道路交通情報の中から緊急情報を抽出し、抽出された緊急情報を他の情報に優先して表示するものである。
【0006】なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明が実施例に限定されるものではない。
【0007】
【実施例】図1は本発明による道路交通情報表示装置の一実施例のブロック図である。本実施例は、不図示のビーコン送信機から送信された各種交通情報を受信する場合について説明する。1はアンテナ2で受信されたビーコン送信機からの電波を復調するチューナ部である。3は後述する図2〜4の処理を行ってディスプレイ4に表示するデータを作成するCPUである。51〜56はディスプレイ4に表示されたメニュー情報を選択する選択スイッチであり、ディスプレイ画面に表示される6個のメニュー枠(図5参照)にそれぞれ対応して設けられる。このうち、いずれかの選択スイッチが押されると、その選択スイッチに対応するメニュー枠に示された情報項目が選択されて表示される。6はCPU3の制御プログラムやディスプレイ表示用の文字フォントデータ等を記憶するROM、7は受信した情報をID番号別に分類して記憶するRAMである。ビーコン送信機から送信される道路交通情報は、情報項目ごとにID番号がつけられており、CPU3は受信されたID番号によって情報の種類を識別する。8はビーコン送信機からの電波の受信を指示するビーコンキーである。
【0008】図2はCPU3による画面表示処理のメインルーチン、図3はCPU3による渋滞情報の表示処理、図4はCPU3による所要時間情報の表示処理をそれぞれ示すフローチャートであり、これらフローチャートを用いて本実施例の動作を説明する。CPU3は不図示のイグニションキーがACC(アクセサリ)位置に操作されると図2の処理を開始する。図2のステップS1では、図5に示す情報メニュー画面をディスプレイ4に表示する制御を行う。この情報メニュー画面には、図示のように選択スイッチ51〜56に対応させて6個のメニュー枠101〜106が表示され、各メニュー枠内の文字およびその背景色は特定の色で表示される。このメニュー枠101〜106は、上から順に渋滞情報、規制・事故情報、駐車場情報、所要時間情報、行先案内情報および緊急情報を表示するためのものであり、このステップS1ではいずれの情報もまだ受信されていないため、情報の提供ができないことを示す目的で、例えば各メニュー枠内の文字を白色で、文字の背景色を灰色で表示する。
【0009】そして、上記のいずれかの情報が受信されると、図6に示すように、受信された情報に対応するメニュー枠の文字色を白色から黒色に、またメニュー枠内の背景色を灰色から黄色に変える。このように表示色を変えることにより、操作者に情報の受信が可能か否かを知らせることができる。例えば、図6は規制・事故情報と行先案内情報が受信可能であることを示す。
【0010】ステップS2では、操作者が選択スイッチ51〜56のいずれかを押したか否かを判定する。操作者が選択スイッチ51〜56のいずれかを押すと、図6に示すように、その選択スイッチに対応するメニュー枠に三角マーク107を表示して、そのメニュー枠の情報項目が選択されたことを示す。ステップS2の判定が否定されるとステップS1に戻り、判定が肯定されるとステップS3に進む。ステップS3では、ステップS2で選択された情報項目の情報についてすでに受信が終了しているか否かを判定する。判定が否定されるとステップS4に進み、図7に示す画面を表示させ、まだ情報を表示できない旨を報知してステップS1に戻る。一方、ステップS3の判定が肯定されるとステップS5に進み、選択された情報項目に応じた画面表示を行ってステップS2に戻る。このステップS5で表示される画面データは、例えば渋滞情報が選択されると図8が、規制・事故情報が選択されると図9が、駐車場情報が選択されると図10が、所要時間情報が選択されると図11が、行先案内情報が選択されると図12が、緊急情報が選択されると図13がそれぞれ表示される。
【0011】なお、上記図2の処理をCPU3が行っている最中に緊急情報が受信されると、CPU3は図2の処理を中断して図13に示す緊急情報表示画面を表示させる。この緊急情報表示画面では、「緊急情報」と記載されたタイトルの下に、受信された緊急情報の内容が表示される。
【0012】図3は図8の渋滞情報を表示する際のCPU3による処理を示すフローチャートである。ステップS21では、これから表示する渋滞情報画面の背景色で画面全体を塗りつぶすことにより、表示画面の初期設定を行う。例えば図8に示す渋滞情報の表示画面の背景色が緑の場合、画面全体を緑で塗りつぶす。ステップS22では、渋滞度がどの程度かを判定する。ビーコン送信機からは渋滞度を示す情報が送信されるため、この情報を受信することにより、渋滞度が「渋滞」、「混雑」あるいは「それ以外」のいずれかを判定する。ここで、「渋滞」と判定されるとステップS23に進み、赤色の矢印を表示するとともに、矢印の内側に「渋滞」という文字を表示してステップS26に進む。一方、「混雑」と判定されるとステップS24に進み、オレンジ色の矢印を表示するとともに、矢印の内側に「混雑」という文字を表示してステップS26に進む。また、渋滞度が「それ以外」と判定されると、ステップS25に進んで白色の矢印を表示してステップS26に進む。
【0013】ステップS26では画面の左上隅に路線名枠を表示し、ステップS27では路線名枠内に受信した路線名を表示する。ステップS28では路線名枠の下に終点地域名枠を表示し、ステップS29では終点地域名枠内に受信した終点地域名を表示する。ステップS30では画面の下辺側に始点地域名枠を表示し、ステップS31では始点地域名枠内に受信した始点地域名を表示する。続いてステップS32では矢印の左脇に受信した渋滞長を表示し、ステップS33では矢印の右脇に受信した区間通過時間を表示する。続いてステップS34では渋滞情報が提供された時刻を画面の右上隅に表示するとともに、画面の右辺側に他の情報項目を選択するためのメニュー枠を表示し、これにより、図8に示す渋滞情報画面が完成する。
【0014】このように、渋滞情報を表示する際に、受信情報を単に箇条書きするのではなく、始点地域名から終点地域名に向けて矢印を表示し、その矢印の両脇に渋滞長と通過時間を表示するようにしたため、渋滞が車両進行方向のどこから始まりどこまで続くのかが一目で認識できるとともに、渋滞長および通過時間を即座に把握できるようになる。また、渋滞度に応じて矢印の色を変化させるようにしたため、渋滞度を視覚的に認識できるようになる。
【0015】図4は図11の所要時間情報を表示する際のCPU3による処理を示すフローチャートである。ステップS41では、これから表示する所要時間情報画面の背景色で画面全体を塗りつぶすことにより、表示画面の初期設定を行う。ステップS42では、受信された各経路の所要時間を比較し、所要時間が最も短い経路を検出する。図11の例では、経路1〜3の中から最短所要時間経路を検出する。ステップS42で所要時間が最も短い経路が経路1と検出されるとステップS43に進み、経路1を白色矢印で表示し、経路2および経路3は矢印の外枠だけを黄色表示して、ステップS46に進む。
【0016】ステップS42において、最も短い経路が経路2と判定されるとステップS44に進み、経路2を白色矢印で表示し、それ以外の経路は矢印の外枠だけを黄色表示してステップS45に進む。同様に最も短い経路が経路3と判定されるとステップS45に進み、経路3を白色矢印で表示し、それ以外の経路は矢印の外枠だけを黄色表示してステップS46に進む。
【0017】ステップS46では、画面の左上隅に終点地域名枠を表示し、ステップS47では終点地域名枠に終点地域名を表示し、ステップS48では所要時間枠を表示し、ステップS49では所要時間枠に所要時間を表示する。続いてステップS50では経由地点名枠を表示し、ステップS51では経由地点名枠に経由地点名を表示し、ステップS52では画面の下辺側に始点地域名枠を表示し、ステップS53では始点地域名枠に始点地域名を表示する。続いてステップS54では所要時間情報が提供された時刻を画面の右上隅に表示するとともに、画面の右辺側に他の情報項目を選択するためのメニュー枠を表示し、これにより、図11に示す所要時間情報画面が完成する。
【0018】このように、所要時間情報を表示する際に、受信情報を単に箇条書きするのではなく、始点地域から終点地域に向けて矢印を表示し、この矢印上に経由地と所要時間を表示するようにしたため、始点地域から終点地域まで複数の経路がある場合でも、操作者はどの経路がどの程度の所要時間を要するのかを正確に把握できる。また、表示された経路のうち所要時間が最も短い経路については、他の経路と異なり白色の矢印で表示するようにしたため、操作者はどの経路が最も短いかを即座に認識できる。
【0019】上記実施例では、ビーコン送信機からの電波を受信する例を示したが、FM多重放送等の他の電波を受信するようにしてもよい。図8では、渋滞始点名称をディスプレイの下辺側に、渋滞終点名称を上辺側に表示したが、例えば始点名称を上辺側に、終点名称を下辺側に表示してもよい。あるいは、始点名称を左辺側に終点名称を右辺側に、またはその逆に表示してもよい。同様に、図11の出発地名称および目的地名称の表示位置を変えてもよい。図3,4の処理では、矢印を最初に表示し、その後文字データを表示したが、表示の順番は実施例に限定されない。
【0020】このように構成した実施例にあっては、チューナ部1が受信手段に、CPU3が表示制御手段に、図2のステップS5が渋滞情報抽出手段に、それぞれ対応する。
【0021】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、渋滞情報を一目で認識できるようになり、各情報の読み間違いが少なくなる。また、所要時間が最も短い経路を即座に把握できる。以上
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による道路交通情報表示装置の一実施例のブロック図である。
【図2】図1に示すCPUのメイン動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すCPUの渋滞情報表示処理を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すCPUの所要時間情報表示処理を示すフローチャートである。
【図5】情報メニュー画面の表示例を示す図である。
【図6】情報メニュー画面の表示例を示す図である。
【図7】選択された情報の受信が終了していない場合の表示例を示す図である。
【図8】渋滞情報の表示例を示す図である。
【図9】規制・事故情報の表示例を示す図である。
【図10】駐車場情報の表示例を示す図である。
【図11】所要時間情報の表示例を示す図である。
【図12】行先案内情報の表示例を示す図である。
【図13】緊急情報の表示例を示す図である。
【図14】従来の道路交通情報の表示例を示す図である。
【符号の説明】
1 チューナ部
2 アンテナ
3 CPU
4 ディスプレイ
6 ROM
7 RAM
51〜56 選択スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 道路交通情報を受信する受信手段と、この受信手段で受信した道路交通情報をディスプレイに表示する制御を行う表示制御手段とを備えた道路交通情報表示装置において、前記道路交通情報から、少なくとも、渋滞道路名に関する情報と、渋滞の位置に関する情報とを抽出する渋滞情報抽出手段を備え、前記表示制御手段は、前記渋滞情報抽出手段により抽出された情報に基づき、少なくとも、渋滞道路名と、車両の進行方向との関係が分かるように示された所定幅所定長さの矢印形の図形と、渋滞の始点地点名と、渋滞の終点地点名とを前記ディスプレイに表示するように制御し、渋滞の始点地点名は前記図形の矢尻側に、渋滞の終点地点名は前記図形の矢先側にそれぞれ表示することを特徴とする道路交通情報表示装置。
【請求項2】 請求項1に記載された道路交通情報表示装置において、前記渋滞情報抽出手段は、前記道路交通情報から、渋滞長に関する情報と区間通過時間に関する情報とをさらに抽出し、前記表示制御手段は、前記渋滞情報抽出手段により抽出された渋滞長に関する情報と区間通過時間に関する情報とに基づき、渋滞長と区間通過時間とをさらに前記ディスプレイに表示するように制御することを特徴とする道路交通情報表示装置。
【請求項3】 前記道路交通情報から所要時間に関する始点地点名、終点地点名、所要時間および経由地名を所要時間情報として抽出し、請求項1または請求項2に記載された渋滞情報抽出手段により抽出された情報と、前記所要時間情報とを択一的に選択し、前記選択された情報を表示することを特徴とする情報表示方法。
【請求項4】 道路交通情報を受信し、受信した道路交通情報の中から渋滞情報を抽出し、抽出した渋滞情報を渋滞度合いにより分類し、所定幅、所定長さで分類結果に応じた異なる色の矢印を簡略図として渋滞の始点地点名および渋滞の終点地点名とともに表示し、前記始点地点名および前記終点地点名は前記道路交通情報に応じて変更されるものであることを特徴とする渋滞情報表示方法。
【請求項5】 道路交通情報を受信し、受信した道路交通情報の中から渋滞情報を抽出し、抽出された渋滞情報を簡略化した経路図として渋滞の始点地点名および渋滞の終点地点名とともに表示し、前記始点地点名および前記終点地点名は前記道路交通情報に応じて変更されるものであることを特徴とする渋滞情報表示方法。
【請求項6】 請求項3の情報表示方法において、受信した道路交通情報の中から駐車場の情報を抽出し、渋滞情報抽出手段により抽出された情報と、所要時間情報と、抽出された駐車場の情報とを択一的に選択し、前記選択された情報を表示することを特徴とする情報表示方法。
【請求項7】 請求項3の情報表示方法において、受信した道路交通情報の中から緊急情報を抽出し、抽出された緊急情報を他の情報に優先して表示することを特徴とする情報表示方法。
【請求項1】 道路交通情報を受信する受信手段と、この受信手段で受信した道路交通情報をディスプレイに表示する制御を行う表示制御手段とを備えた道路交通情報表示装置において、前記道路交通情報から、少なくとも、渋滞道路名に関する情報と、渋滞の位置に関する情報とを抽出する渋滞情報抽出手段を備え、前記表示制御手段は、前記渋滞情報抽出手段により抽出された情報に基づき、少なくとも、渋滞道路名と、車両の進行方向との関係が分かるように示された所定幅所定長さの矢印形の図形と、渋滞の始点地点名と、渋滞の終点地点名とを前記ディスプレイに表示するように制御し、渋滞の始点地点名は前記図形の矢尻側に、渋滞の終点地点名は前記図形の矢先側にそれぞれ表示することを特徴とする道路交通情報表示装置。
【請求項2】 請求項1に記載された道路交通情報表示装置において、前記渋滞情報抽出手段は、前記道路交通情報から、渋滞長に関する情報と区間通過時間に関する情報とをさらに抽出し、前記表示制御手段は、前記渋滞情報抽出手段により抽出された渋滞長に関する情報と区間通過時間に関する情報とに基づき、渋滞長と区間通過時間とをさらに前記ディスプレイに表示するように制御することを特徴とする道路交通情報表示装置。
【請求項3】 前記道路交通情報から所要時間に関する始点地点名、終点地点名、所要時間および経由地名を所要時間情報として抽出し、請求項1または請求項2に記載された渋滞情報抽出手段により抽出された情報と、前記所要時間情報とを択一的に選択し、前記選択された情報を表示することを特徴とする情報表示方法。
【請求項4】 道路交通情報を受信し、受信した道路交通情報の中から渋滞情報を抽出し、抽出した渋滞情報を渋滞度合いにより分類し、所定幅、所定長さで分類結果に応じた異なる色の矢印を簡略図として渋滞の始点地点名および渋滞の終点地点名とともに表示し、前記始点地点名および前記終点地点名は前記道路交通情報に応じて変更されるものであることを特徴とする渋滞情報表示方法。
【請求項5】 道路交通情報を受信し、受信した道路交通情報の中から渋滞情報を抽出し、抽出された渋滞情報を簡略化した経路図として渋滞の始点地点名および渋滞の終点地点名とともに表示し、前記始点地点名および前記終点地点名は前記道路交通情報に応じて変更されるものであることを特徴とする渋滞情報表示方法。
【請求項6】 請求項3の情報表示方法において、受信した道路交通情報の中から駐車場の情報を抽出し、渋滞情報抽出手段により抽出された情報と、所要時間情報と、抽出された駐車場の情報とを択一的に選択し、前記選択された情報を表示することを特徴とする情報表示方法。
【請求項7】 請求項3の情報表示方法において、受信した道路交通情報の中から緊急情報を抽出し、抽出された緊急情報を他の情報に優先して表示することを特徴とする情報表示方法。
【図5】
【図6】
【図7】
【図1】
【図8】
【図9】
【図14】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図13】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図1】
【図8】
【図9】
【図14】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図13】
【図3】
【図4】
【特許番号】特許第3408610号(P3408610)
【登録日】平成15年3月14日(2003.3.14)
【発行日】平成15年5月19日(2003.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−29424
【出願日】平成6年2月28日(1994.2.28)
【公開番号】特開平7−239997
【公開日】平成7年9月12日(1995.9.12)
【審査請求日】平成13年2月28日(2001.2.28)
【早期審査対象出願】早期審査対象出願
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【参考文献】
【文献】特開 平5−273914(JP,A)
【文献】特開 平4−39800(JP,A)
【文献】特開 平3−194417(JP,A)
【文献】特開 平7−98796(JP,A)
【文献】特開 平6−160108(JP,A)
【文献】特開 平5−133760(JP,A)
【文献】特開 平2−278500(JP,A)
【文献】特開 平3−138515(JP,A)
【文献】特開 平7−85395(JP,A)
【文献】実開 昭62−159512(JP,U)
【文献】実開 平1−127100(JP,U)
【登録日】平成15年3月14日(2003.3.14)
【発行日】平成15年5月19日(2003.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成6年2月28日(1994.2.28)
【公開番号】特開平7−239997
【公開日】平成7年9月12日(1995.9.12)
【審査請求日】平成13年2月28日(2001.2.28)
【早期審査対象出願】早期審査対象出願
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【参考文献】
【文献】特開 平5−273914(JP,A)
【文献】特開 平4−39800(JP,A)
【文献】特開 平3−194417(JP,A)
【文献】特開 平7−98796(JP,A)
【文献】特開 平6−160108(JP,A)
【文献】特開 平5−133760(JP,A)
【文献】特開 平2−278500(JP,A)
【文献】特開 平3−138515(JP,A)
【文献】特開 平7−85395(JP,A)
【文献】実開 昭62−159512(JP,U)
【文献】実開 平1−127100(JP,U)
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