説明

道路交通情報装置

【課題】ドライバーが前もってその運転を最適化するように計画を立てることを可能にする道路交通情報装置を提供する。
【解決手段】本発明は、道路網内における道程の所要時間についてドライバーに情報を与えるために設計された片方向無線メッセージの携帯可能な受信器(10)を含む道路交通情報装置であって、この受信器にはエレクトロニクスの中央処理装置と、記憶装置と、キーボード(12)とそしてスクリーン(11)とが含まれている道路交通情報装置に関する。この受信器の記憶装置には、道路網の各区間ごとに、出発点と、到達点とそして道程の基本所要時間とが収められる。更に、中央処理装置は、受信された無線メッセージに応じて、区間の道程の基本所要時間を更新し、そして記憶された上記道程の基本所要時間に応じて、所望の出発点と到達点間の全道程の所要時間を計算しそして表示するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路交通情報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の道路交通情報装置は大別すると、以下の2つのカテゴリー、すなわち、
・ 基本的にはドライバーに道路地図情報を提供するためのものであって、このシステムは一般的には自動車に搭載し、そして場合によって気象や、道路網のある区間における工事の存在や、道路網の渋滞に関する質的情報を与えることができるものと、
・ そして所定の1道路網内の行程の所要時間に関する情報を与えるためのものとがある。
【0003】
本発明は、この後者の種類の道路交通情報装置である。
【0004】
このタイプの公知の装置は、現在地とそして道路網の所定の1地点または数地点間の行程の所要時間の推定値を表示する発光性のディスプレーパネルの形態を成している。
【0005】
しかし、これらの情報装置は次のような欠点がある。すなわち、
・ ドライバーがすでに当該の道路網上にいるかまたはそのすぐ近辺に来ているときにしか、こうした装置は利用できず、したがってもしその問題の道路網の交通が困難であると判明しても、ドライバーがその運転を中止したり、または容易にそのルートを変更したりするには、すでに遅すぎるのが通常であって、より一般的には、既存のこうした装置は当該道路網の現利用者の現在時の情報の提供を可能にするようになっているが、ドライバーが前もってその運転を最適化するように計画を立てることを可能にするものではなく、
・ また、こうしたディスプレーパネルは、行程の所要時間の表示対象である所定の地点に達していないドライバーには、不完全にしか情報を提供できない。
その他、特許文献1および特許文献2には、自動車に搭載する「ナビゲーション」システムが記載されているが、これらのシステムは複雑でかつ高価であり、しかもリアルタイムの行程の所要時間に関する情報を利用者に与えるだけである。
【特許文献1】仏国特許発明FR−A−2726382号明細書
【特許文献2】国際公開WO−A−9617315号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は特に、これらの欠点を緩和することである。
【0007】
そのため本発明は、互いに連結し合っている幾つかの区間に分割される所定の道路網における行程の所要時間に関する情報を与えるための道路交通情報装置において、この道路交通情報装置は無線メッセージの携帯可能な受信機から成り、そしてこの無線メッセージの携帯可能な受信機には、
・ 無線メッセージを受信するための受信手段と、
・ 受信したメッセージを記録するための少なくとも1つの記憶装置と、
・ これらのメッセージを処理するためのエレクトロニクスの中央処理装置と、
・ 利用者の中央処理装置に対する指令を可能にするコマンドインターフェースと、
・ そして受信されたメッセージのうちの少なくとも幾つかのメッセージから生じる情報を、コマンドインターフェースを介して受信された利用者の指示にしたがって、表示するためのスクリーンとが含まれ、上記受信機の記憶装置には、
・ 当該道路網に固有な空間上の位置関係(topologie)のデータであって、少なくともこの道路網の各区間における出発点と到達点との識別を含むデータと、
・ 行程の基本所要時間(temps de trajet elementaires)といわれる、当該道路網の幾つかの区間における行程の所要時間(temps)を表すデジタルデータとが含まれ、そして、前記受信機の中央処理装置は、
・ 更新された行程の基本所要時間を表すデジタルデータを少なくとも含む、所定の幾つかの無線メッセージを認知し、
・ 受信されたデジタルデータに応じて、行程の基本所要時間を表す記憶された上記デジタルデータを更新し、
・ そして、コマンドインターフェースを用いて利用者により上記中央処理装置に伝達された所望の出発点および到達点に応じて、
この所望の出発点と到達点間において採用されるべき道路網の幾つかの区間を決定し、
その所望の出発点と到達点間において採用されるべき上記幾つかの区間における行程の基本所要時間の合計に等しい全行程の所要時間を計算し、
そして、スクリーン上に少なくともこの全行程の所要時間を表示させる、道路交通情報装置を提案する。
【0008】
このような幾つかの機能により、ドライバーは、前もってその行程の所要時間の正確な概念を得て、その運転を計画しそして最適化することができる。
【0009】
本発明の好ましい幾つかの実施態様においては、場合によっては、その上、以下の機能のうちの一方および/または他方に頼ることができる。すなわち、
・ 記憶されたデジタルデータおよび受信されたデジタルデータには、当該道路網の各区間の行程の基本所要時間が含まれていることと、
・ 少なくとも受信されたデジタルデータには、当該道路網の各区間における車の流れ循環の速度が含まれ、またそのほかに受信機の記憶装置には、道路網の各区間の長さが含まれていること。
・ 当該の道路交通情報装置は、少なくとも幾つかの出発点と幾つかの到達点と間で数個のルートを採用することができる1つの道路網内で使用するためのもので、受信機の中央処理装置は、所望の出発点および到達点に応じて、
・所望の出発点と到達点間において可能な様々なルートを決定し、そしてこれらのルートのそれぞれに対して、所望の出発点と到達点間において採用されるべき道路網の区間を決定し、
・可能な各ルートごとに、前記所望の出発点と到達点間における上記全区間に関する全行程の所要時間を計算し、
・上記可能なルートから、全行程の所要時間が最小である最適ルートを決定し、
・そして少なくともこの最適ルートとこれに対応する行程の所要時間をスクリーンに表示させる。
・ 上記中央処理装置は、所望の出発点と到達点間の数個の可能なルートと、そしてこれらの可能なルートに対応する全行程の所要時間とをスクリーン上に表示することができ、
・ 上記中央処理装置は、当該の道路網の少なくとも1部分を表す図、すなわち道路網の上記1部分の様々な区間が、当該区間における車の流れ循環に対応する視覚的特徴を備えた線によって表されている図をスクリーン上に表示させることができ、
・ 上記中央処理装置は、当該の道路網の少なくとも1部分の略図、すなわち所望の出発点と到達点との箇所にそれぞれ対応する2つの記号が配置されている図面をスクリーン上に表示させるようになっており、
・ 受信機の記憶装置には、その出発点およびその到達点によって識別される、少なくとも1つの所定の行程が含まれ、中央処理装置は、
・利用者が出発点と到達点とを選択する手間を省いて、この行程を直接に選択することを可能にし、
・そしてこの所定の行程に対応する全行程の所要時間を表示することができる。
・ 上記中央処理装置は、道路網の空間上の位置関係に関する新しい情報を有する所定の無線メッセージを認知し、そしてこのメッセージに応じて受信機の記憶装置内に保存されている空間上の位置関係のデータを更新することができ、
・ 当該の道路交通情報装置は、100gを越えない重量のボックスから成り、その中におけるコマンドインターフェースは10個以下のキーを備えた簡単なキーボードであり、
・ 当該の道路交通情報装置には、利用者の注意を引くのに適宜な告知手段が含まれており、そして中央処理装置は、
・少なくとも利用者に最後に参照された最後の全行程の所要時間TOを記憶し、
・無線によって受信されたデジタル情報であって、現行の行程の基本所要時間を表すこのデジタル情報から、この最後の全行程の所要時間を周期的に再更新し、このようにして現行の全行程の所要時間Tを決定し、
・そして上記2つの全行程の所要時間TOとTとがある限界値を越えてΔT時間だけ異なっているときには、告知手段を活性化させることができる。
・ 上記受信機の記憶装置には、行程の基本所要時間が上記記憶装置内で最後に更新された時間を示すデータが含まれ、中央処理装置は、全行程の所要時間の計算および表示に際し、この全行程の所要時間において考慮されている幾つかの行程の基本所要時間の少なくとも1つがこの計算時に先立って予め定められた所定期間内に更新されなかった場合、警報メッセージを表示させ、
・ 上記受信機の記憶装置には道路網の幾つかの部分へのアクセス可能性に関する情報が含まれ、上記中央処理装置は、
・アクセス可能性の上記データに関する情報を含む、所定の幾つかの無線メッセージを認知し、そしてこれらの無線メッセージに応じて、記憶されたアクセス可能性のデータを更新し、
・そして、この中央処理装置が所望の出発点と到達点間における全行程の所要時間を表示させるとき、同様に、所望の出発点と到達点間に含まれる道路網の幾つかの部分に関するアクセス可能性の少なくとも幾つかのデータを表示させることができる。
・ 上記中央処理装置は道路網の各区間における車の流れ循環の平均速度を決定し、そして所望の出発点と到達点間に含まれる少なくとも1つの区間における車の流れの平均速度が所定の限度値より小さいとき、警報メッセージを表示させるようになっている。
【0010】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の図面に関して、非限定的な例証として示されている、幾つかの実施態様の一つに関する以後の説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明による道路交通情報装置を利用することができる道路網の略図である。
【図2】図2は、本発明の実施態様の一つによる道路交通情報装置を構成する片方向無線メッセージの受信機の略図である。
【図3】図3は、図2の受信機の部分的なブロック図である。
【図4】図4は、図2の受信機のスクリーンに表示され得るディスプレーの例を示す図である。
【図5】図5は、図2の受信機のスクリーンに表示され得るディスプレーの例を示す図である。
【図6】図6は、図2の受信機のスクリーンに表示され得るディスプレーの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
・ 図1は、本発明による道路交通情報装置を利用することができる道路網の略図であり、
・ 図2は、本発明の実施態様の一つによる道路交通情報装置を構成する片方向無線メッセージの受信機の略図であり、
・ 図3は、図2の受信機の部分的なブロック図であり、
・ そして図4〜6は、図2の受信機のスクリーンに表示され得るディスプレーの例を示している。勿論、同じ情報を表示するために、美的外観その他を含む、異なる様々なディスプレーも可能であろう。
【0013】
異なる図面においても、同一の参照番号は同様なまたは類似の構成要素を示している。
【0014】
本発明は、例えば、図1に示されているような都市圏内の環状高速道路であり得るが、これに限定されるものではない道路網における、行程の時間に関して、ドライバーに情報を与えるためのものである。
【0015】
都市圏内のこのような高速道路は、例えば、反対方向に向かう2組の環状車線2、3で表すことができる。なお、この2組の車線は以下の説明においてはそれぞれ内回り環状線、外回り環状線と呼ばれる。
【0016】
内回り環状線2と外回り環状線3とはそれぞれ、入口点/出口点5によって互いに分離されている多くのの区間に分けられ、これらの入口点/出口点5はここでは以後「ゲート」と呼ばれ、内回り環状線2と外回り環状線3とに共通であることができる。
【0017】
したがって、各区間4は1つのゲート5によって構成される出発点と、そしてもう1つのゲート5によって構成される到達点とを備えている。
【0018】
この内回り環状線2および外回り環状線3には、また好ましくは少なくとも各区間4には、特に車道に組み込まれているか、または車道上の門形構造物に固定され、例えば車両の平均運転速度を測定するためのセンサ6が備えられている。
【0019】
このようなセンサ6は現在の技術水準で公知であるので、ここでは詳細に説明しない。これらのセンサ6によってなされた測定は、有線または無線の連絡によって、情報センタ7に集中される。
【0020】
この情報センタ7は、1つまたは幾つかの無線メッセージの固定ベースステーション8に接続されており、この場合、上記情報センタ7自身も、場合によっては、道路網1の各区間4における車両の行程の基本所要時間に関するデジタル情報を含む所定の無線メッセージを発信するために、無線メッセージの固定ベースステーションを構成することが可能である。
【0021】
問題の無線メッセージはコード化することができ、そのコード化は、例えば、欧州標準規格「ERMES」(ヨーロッパ経済共同体のガイドライン85/374および92/59)にしたがって、または一方向の無線メッセージの、もしくは場合によっては無線電話のあらゆる他のプロトコルにしたがって行うことができる。
【0022】
これらの無線メッセージは、固定ベースステーション8によって、定期的な時間間隔で、例えば3分毎に発信される。
【0023】
このようにして、これらの更新メッセージの1つが適正に無線メッセージの受信機により受信されなかった場合でも、この受信機は3分後に発信される次のメッセージを適切に受信してそれ以後、信頼できる情報の受信を享受することができる。
【0024】
このようにして、受信機による受信を伝えるメッセージを発信する必要がなくなる。このような発信は、一方では一方向性の無線メッセージと相いれないであろうし、また他方では、すでに負荷一杯になっている電波空間を更に混雑させることになるであろう。
【0025】
それらの所定の無線メッセージは、他の搬送無線メッセージ、または一般的情報、または後になって無線メッセージの携帯可能な受信機に名あて人によって参照される個人的なメッセージの中から発信されることが好ましい。
【0026】
当該所定の無線メッセージには、例えば
道路網における行程の所要時間に関するデジタルデータを含むメッセージであることを、無線メッセージの携帯可能な受信機に識別させる識別範囲と、
道路網1の異なる区間4において実現される行程の基本所要時間を表す一連のデジタル情報であって、これらのデジタル値は、(センサ6によって測定された速度と区間4の長さに応じて、例えば情報センタ7で計算されもので)例えば、当該の各区間4における車の循環の平均速度から成るか、または上記区間4における行程の基本所要時間から成るデジタル情報と、
このようにして伝達される、実現されている車の循環の速度または行程の基本所要時間に対応する区間4の識別であって、この識別は例えば番号によって、または各区間の出発点および到達点によってなされることが可能であり、そしてもし各無線メッセージが、常に同じ順序で示されている、道路網の区間4すべてに関する情報を含むならば、場合によってはこの識別は省略されることも可能である区間4の識別と、
そして場合によっては、道路網の少なくとも幾つかの区間4および/またはゲート5に関し、ドライバーはある区間4またはあるゲート5を通ることができるかどうかを示すアクセス可能性、とが含まれることができる。
【0027】
行程の所要時間に関する情報を伝送する無線メッセージは、図2に示されているような、携帯可能な無線メッセージ受信機10を用いて、または場合によっては無線メッセージの機能を有する無線電話を用いて、利用者に受信される。
【0028】
これらの受信機はそれぞれ、独立の軽いボックス(例えば、重量は100g未満)の形態で、文字数字式のスクリーン11と簡単化されたキーボード12とを備えており、そしてこのキーボードは、例えば以下のような簡単な4つのキー、すなわち
特殊な機能にアクセスすることができる特殊機能キー13と、
スクリーン11上でのカーソルの移動および/または上記スクリーンの特定ゾーン、すなわち以後は「アイコン」と呼ばれるゾーンの選択を可能にする2つの送りキー14と、
そして送りキー14によってスクリーン上でなされた選択を確認することができる確認キー15とを有している。
【0029】
図3は、受信機10の部分的なブロック図を示しており、この受信機はごく普通には、
・ 固定ベースステーション8によって発信される無線メッセージを受信するためのアンテナ16と、
・ 特に、一方ではアンテナ16によって捕捉された信号を受ける増幅器18(AMPLIF.)と、そして他方ではこの増幅器18によって増幅された信号を受ける復調器19(DEMOD.)とが含まれる受信装置17(REC.)と、
・ そして、復調器19の出力において復調された信号を受信する中央処理装置20(CPU)であって、この中央処理装置20には、1つのクロック22(CL.)および少なくとも1つの記憶装置23(MEM)に連結されているマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ21(MP)とが含まれており(なお、このクロックと記憶装置とは場合によっては中央処理装置20に含まれていないこともあり得る)、そして、このマイクロプロセッサ21はスクリーン11と、キー12と、そして利用者の注意を引くのに適宜な告知手段、例えば、エレクトロニクスのベル24および/またはブザー25とに接続されている中央処理装置20とを備えている。
【0030】
更に、マイクロプロセッサ21は、携帯可能なメモリカード37と情報を伝達し合うようになっているカードリーダ38に接続されている(図2参照)。
【0031】
このカードリーダ38は、1997年3月11日に提出されたフランス特許出願第97 02857号に記載されているように、例えば道路網1における行程の所要時間に関する無線メッセージを利用することを可能にするプログラムによって、(または、中央処理装置21にこのプログラムをロードするか、または中央処理装置21がメモリカード37の内部でもこのプログラムを実行させることを可能にすることによって)、中央処理装置21を作動させるために利用することができる。
【0032】
そのうえカードリーダ38はまた、例えば1997年3月11日に出されたフランス特許出願第97 02857号に示されているように、メモリカード37から読み取られる妥当性検査データ(前払い金の総額または有効期限を表す単位数字)に応じて、道路網1における行程の所要時間に関する利用を認証するか否かの決定にも用いることができる。
【0033】
上述された無線メッセージの受信機10は以下のように作動する。
【0034】
固定ベースステーション8が受信機10の利用者に個人的に向けたメッセージを発するとき、マイクロプロセッサ21はこの受信機10に固有な識別番号をこのメッセージ内に認知し、そして記憶装置23にそのメッセージを保存し、そして同時に、利用者に自分に関係のあるメッセージの到着を知らせるように、ベル24および/またはブザー25を作動させる。
【0035】
この時、その利用者はスクリーン11でこのメッセージを見ることができ、それから場合によっては記憶装置23からそれを消去することもできる。
【0036】
更に、固定ベースステーション8が道路網1における行程の所要時間に関する情報を含む無線メッセージを発するとき、マイクロプロセッサ21は、上記メッセージに含まれる識別範囲によって、またはこのメッセージ内に含まれているアドレスであって道路網1における行程の所要時間に関する無線メッセージを利用する資格のある全ての受信機10に共通であるアドレスによって、このメッセージを認知する。
【0037】
したがって、マイクロプロセッサはベル24もブザー25も作動させず、その反対に、こうして受信した情報を記憶装置23内における道路情報のための専用部分に格納するだけにとどめる。
【0038】
記憶装置23のこの部分には、
・ 例えば道路網の各区間4の出発点と到達点との識別とそして上記区間の長さとから成る、道路網1に関する空間上の位置関係(donness de topologie)データと、
・ 区間4およびゲート5がドライバーにとってアクセス可能であるかどうかを示すアクセス可能性のデータと
・ そして道路網1の様々な区間4における行程の基本所要時間に関するデジタルデータであって、これらのデジタル情報は、例えば各区間4における車の流れの平均速度から成るか、または直接的に上記各区間4における行程の平均所要時間から成るデジタルデータとが含まれる。
【0039】
行程の所要時間に関するデジタルデータおよびアクセス可能性のデータはこうして、記憶装置23内で定期的に更新される。
【0040】
そのうえ、道路網の区間4が新たに作られたり、またはそのような区間4が新たに道路交通情報システム内に組み込まれたりしたときには、道路網1の空間上の位置関係データを同様にその時ごとに更新することができる。
【0041】
空間上の位置関係データのこのような更新は、無線メッセージによって、またはもし受信機10がカードリーダ38を備えているならば、メモリカード37から読み取ることによって、またはその他の何らかの方法によって行うことができる。
【0042】
受信機10の利用者が道路網1における行程の所要時間についての情報を得たいときは、先ずスクリーン11に表示されている一般メニューから、受信機10の作動開始に対応するオプションを選択しそして確認すると、図4に示されているディスプレーがスクリーン11に現れる。
【0043】
このディスプレーには、送りキー14によって選択することができる、4つのスクリーンゾーンすなわち4つの「アイコン」があるが、それらはすなわち、
・ 内回り環状線2の略図を表すアイコン26であって、この内回り環状線2の様々な区間4は幾種類かの線によって表されており、その視覚的特徴は、車の流れの平均速度に対応しており(車の流れが順調である地域、すなわち車の流れの平均速度が例えば60km/h以上である地域は点線で、遅滞している地域、すなわち車の流れの平均速度が例えば40〜60km/hである地域は実線で、そして渋滞している地域、すなわち車の流れの平均速度が例えば40km/h以下である地域は太線で表されている)、そしてこの平均速度は、記憶装置23に格納されているか、または上記記憶装置23に格納されている行程の基本所要時間および区間の長さから、マイクロプロセッサ21によって計算されたものであるアイコン26と、
・ アイコン26におけると同様な記号表示になっている、外回り環状線3の略図を表す第2のアイコン27と、
・ テキスト「bis」を含むアイコン28と、
・ そしてテキスト「mem」を含むアイコン29とである。
【0044】
図4に示されているスクリーンから、利用者が送りキー14により所望のアイコンを選択すると、他のアイコンとは異なる様子でそのアイコンが輝くので(図4に示されている実施例では、選択されているアイコンはアイコン27である)、利用者は確認キー15でその選択を確認する。
【0045】
利用者が外回り環状線3に対応するアイコン27を選択しそして確認したと仮定すると、中央処理装置20は当初、図5において「A」および「Muette」を表示しているテキストゾーンのない図5のようなディスプレーをスクリーン11上に表示する。
【0046】
このスクリーン上に、この場合は車の流れの順調な地域とあまり順調ではない地域との区別はせずに、外回り環状線3の略図30が再び現れる。
【0047】
更に、スクリーン11上にはまた、2つのテキストゾーン、すなわち
・ 受信機10の利用者が所望している行程の出発点を告知するために、「DE」(「〜から」)という言葉を表す第一のテキストゾーンと、
・ そして、外回り環状線3のゲート5の1つを識別させる名前または場合によっては番号が表されている第2のテキストゾーン31(この場合は、「Clichy」)とが現れる。
【0048】
利用者は、その所望の出発点に対応するゲート5が現れるまで、送りキー14によって、テキストゾーン31内で次々と様々なゲート5の名前を送り出すことができる。
【0049】
同時に、外回り環状線3において出発点に対応するゲート5の位置を模式的に表示する正方形32がこの略図30に現れる。
【0050】
利用者がその時、確認キー15で出発点の選択を確認すると、受信機10の利用者が所望している到達点に対応する第2のゲートの名前を示すための言葉「A」(「〜まで」)を含むもう一つのテキストゾーンの下に、またこの場合は「Muette」というゲート5の名前を表す新しいテキストゾーン33がスクリーンに現れる。
【0051】
その時、利用者が送りキー14で所望の到達点に対応するゲート5を選択すると、到達点にほぼ近い位置に対応する第2の正方形34が略図30に現れる。
マイクロプロセッサ21はこの時、スクリーン11上に図6によって示されているディスプレーを表示させ、これは、それぞれ所望の出発点と到達点とに対応するゲート5と、そしてこれらの出発点と到達点との間で推定される行程の所要時間(例えば、この場合は9分)とを示す。
【0052】
この行程の推定所要時間は、所望の出発点と到達点間の行程を構成する様々な区間4における行程の基本所要時間の総計として、マイクロプロセッサ21によって計算される。
【0053】
これらの行程の基本所要時間は、記憶装置23に直接、格納されそして受信された無線メッセージによって直接、再生されるか、または中央処理装置20によって、
・ 各区間4に関する記憶装置23内に格納されておりかつ受信された無線メッセージによって再生された車の流れの平均速度から、
・ そして、上記記憶装置23に格納されている区間の長さから、計算される。
【0054】
そのほか、図6に示されているディスプレーはまた、出発点と到達点との位置を示す正方形32および34を含む、外回り環状線3の略図30を表示できるという利点を有している。
【0055】
図6に示されているディスプレーにはまた、出発点と到達点との間を走る道路の視覚的表現が含まれることが好ましい。
【0056】
この視覚的表現はこの場合、2本の水平な線に挟まれている帯35から構成されており、この帯35は出発点と到達点間の様々なゲート5を表す記号36によって画されており、そしてこの帯35は、記号36に対応する各ゲート間における道路網の区間4の車の流れにしたがって異なる相を示す。
【0057】
例えば、車の流れの平均速度が60km/hを越えている区間は白で示され、車の流れの平均速度が40〜60km/hである区間は点線で示され、そして車の流れの平均速度が40km/hに達しない区間は黒で示されている。
【0058】
更に、図6に示されているディスプレーは場合によって、そのほかに所望の出発点と到達点間に含まれる区間4およびゲート5へのアクセス可能性に関する情報を示すことも可能である。
【0059】
例えば、一般人には閉鎖されている区間4またはゲート5には、「x」の記号を付けることもできる。
【0060】
更に、所望の出発点と到達点間にある、道路網の少なくとも1区間4における車の流れの平均速度が所定の限界値(例えば、10km/h)より小さいとき、マイクロプロセッサ21は、行程の推定所要時間を表示する位置に「交通閉鎖」のような告知メッセージをスクリーン11上に表示させる。
【0061】
最後に、図6に示されているディスプレーは場合によってはまた、行程の所要時間を計算するために利用されるデジタルデータが古すぎるとき、「?」または「無効データ」のようなメッセージを表示させることができる。
【0062】
そのために、記憶装置23は、道路網の各区間4に関して、当該区間における行程の基本所要時間および/または車の流れの平均速度が最後に更新された日時を保存しておくことができる。
【0063】
マイクロプロセッサ21が所望の出発点と到達点間の全行程の所要時間を計算するとき、このマイクロプロセッサは、この出発点とこの到達点との間の様々な区間4の更新が古すぎないことを確認する。
【0064】
例えば、もし所望の出発点と到達点間に含まれる幾つかの区間4の一つに関するデータが半時間以上にわたって更新されていなかったならば、マイクロプロセッサ21は「無効データ」または「?」という上記の告知メッセージを表示させるであろう。
【0065】
もし全ての区間4に関するデジタルデータが無線メッセージが受信されるたびに同時に更新されるならば、記憶装置23は場合によっては、全ての区間4全体に対する再更新の日時のみを保存しておくことも可能である。
【0066】
そのうえ、マイクロプロセッサ21は、利用者によってなされた最後の参照の終了後、例えば15分の間、利用者によって最後に参照された行程の推定所要時間TOを周期的に再生するように設計されているという利点を有している。このようにして、マイクロプロセッサ21は、利用者が最後に行った参照に対応する推定された行程の初期所要時間TOと、現行の行程の所要時間Tとを比較し、そして上記マイクロプロセッサ21は、これら2つの所要時間の相互間の差ΔTが所定の値より大きくなっているとき、ベル24および/またはブザー25を作動させる。ただし、上記所定の値は絶対的値(例えば、5分)か、または相対的値(例えば、TOの20%)のいずれかあり得る。
【0067】
こうして、利用者は、この行程の所要時間の正確な推定を行うために携帯可能な受信機10上に示されているその行程の所要時間をまた新たに参照しなければならないことを告知される。
【0068】
そのほか、もう一度図4を参照すると、もし利用者が内回り環状線2に対応するアイコン26を選択しそして確認していれば、受信機10の作動は上述のものと類似している。
【0069】
更に、利用者がアイコン28(bis)を選択しそして確認すれば、マイクロプロセッサ21は図6のそれのようなディスプレーを直ちに表示させ、利用者によってなされた最後の参照に対応する再生された行程の所要時間を与える。
【0070】
最後に、アイコン29「mem」を選択しそして確認すると、利用者は、以前に記憶された行程と、そして対応する行程の推定所要時間とをスクリーン11上に出現させる。
【0071】
幾つかの行程を記憶できるとき、記憶されたある行程から別の行程への移行は確認キー15を単に連続して押すことによって行われる。
【0072】
特定の行程の初期記憶は、例えばスクリーンが図6に示されているディスプレーを表示するときに、特殊機能キー13を押すと、記憶メニューが現れるので、実施することができる。
【0073】
最後に、本発明の可能な変形によれば、利用者はそれぞれ内回り環状線2と外回り環状線3とに対応するアイコン26および27から当初、いずれかを選択しなければならない代わりに、一方では、内回り環状線2による、そして他方では、外回り環状線3による、所望の出発点と到達点間のそれぞれの行程の所要時間を中央処理装置20が計算するようにすることが可能であり、2つの行程の推定所要時間がこのようにしてスクリーン11上で利用者に示される。
【0074】
もう一つの変形では、マイクロプロセッサ21はこのようにして、それぞれ内回り環状線2と外回り環状線3とによる、所望の出発点と到達点間の2つの可能なルートに対応する2つの行程の所要時間を計算することができるが、上記中央処理装置は、行程の最小所要時間が内回り環状線2に対応するか、または外回り環状線3に対応するかを示して、行程の最小所要時間のみを表示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結し合っている幾つかの区間に分割される所定の道路網における行程の所要時間に関する情報を提供する道路交通情報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−128879(P2012−128879A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−63184(P2012−63184)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【分割の表示】特願2008−256252(P2008−256252)の分割
【原出願日】平成10年3月11日(1998.3.11)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】