説明

道路情報作成方法及びその装置、並びに道路情報を作成するためのコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体

【課題】ナビゲーションシステムで利用するナビゲーション情報において、道路を詳細に種別化して道路種別を特定し、当該道路種別についての道路情報を自動的に作成する方法及びその装置を提供する。
【解決手段】地図データから施設の位置を示す座標データを抽出し、当該抽出された座標データへ所定のデータベースに基づき属性を付与し、さらに、単位道路毎に、該単位道路に面する当該属性の付与された座標データを処理して、当該単位道路の道路種別を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路情報作成方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路を種別化することにより、道路表示に制限を設ける技術が提案されている。例えば、予め設定した所定エリアの細街路を所定エリア外の細街路と区別し、所定エリア内の細街路の道路表示に制限を加えることで、運転者が不必要に住宅地等の細街路に入り込まないようにする車載ナビゲーション装置が記載されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−315064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、道路を種別化するに際し、所定エリア内に含まれるすべての細街路に同一の種類が付与されていた。
そこで本発明者は、道路種別に関し、さらに詳細に種別化することにより、より利用し易いナビゲーション情報を作成することができると考えた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するため、この発明の第1の局面は次のように規定される。即ち、
地図データから施設の位置を示す座標データを抽出する座標データ抽出ステップと、
前記抽出された座標データへ所定のデータベースに基づき属性を付与する属性付与ステップと、
単位道路毎に、該単位道路に面する前記属性の付与された座標データを処理し、前記単位道路の種別を特定する道路種別特定ステップと、
を備える、道路情報作成方法。
【0006】
このように規定される第1の局面の道路情報作成方法によれば、施設の位置を示す座標データに属性を付与することが可能な所定のデータベースを用いて、抽出された座標データに属性を付与し、当該付与された属性に基づき単位道路毎に道路種別を特定する。
当該所定のデータベースを用いれば、当該データベースに格納された属性データに基づき、詳細かつ正確に道路種別を特定することが可能となる。また、単位道路毎に道路種別を特定すれば、より利用し易いナビゲーション情報を作成することが可能となる。例えば、当該道路種別にかかる道路情報をナビゲーションに用いる際、特定の道路種別を経路探索から除外したり、特定の道路種別の表示を制限する場合等に、より細やかな設定ができるからである。
ここで、「施設の位置を示す座標データ」において、「施設」とは、座標データを有するものであれば特に限定されず、建物や施設の敷地の他、公園、道路、河川等も含まれる。
【0007】
施設の位置を示す座標データは、住所の名称及び該住所の座標データを含む住所データであることが好ましい(第2の局面)。
ここで、上記所定のデータベースとは、施設の位置を示す座標データに属性を付与することができるデータベースであれば特に限定されない。例えば、住所データと属性とが関連付けられて格納されているデータベースとして、例えば、主に個人宅情報が格納されているハローページ(登録商標)、主に営業所情報が格納されているタウンページ(登録商標)、家形種別等に関する情報が格納されている家形データ、などが挙げられる。
また、上記住所データとは、住所の名称、当該住所の座標データを含むデータであれば特に限定されない。当該住所データに含まれる情報として、上記住所名称及び住所座標データの他、市区町村、街区等の階層情報に代表される、住所の詳細さを表す種別情報や、住所コード等が挙げられる。
【0008】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第1又は第2の局面の道路情報作成方法において、前記所定のデータベースは個人宅の電話番号を集計した第1のデータベースである。
このように規定される第3の局面の道路情報作成方法によれば、抽出された座標データに個人宅である旨の属性を付与することが可能となる。個人宅である旨の属性に基づき道路種別を特定できれば、ナビゲーションする際に、当該道路を避けるルート案内、当該道路へ進入した際に最短距離で当該道路から退出する案内、または、当該道路の走行に対して注意を促す案内、等を詳細かつ正確に行うことが可能となる。
【0009】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
第1又は第2の局面に規定の道路情報作成方法において、前記所定のデータベースは個人宅の電話番号を集計した第1のデータベース及び営業所の電話番号を集計した第2のデータベースである。
このように規定される第4の局面の道路情報作成方法によれば、抽出された座標データに上記個人宅である旨の属性に加え、営業所である旨の属性を道路に付与することが可能となる。当該第2のデータベースとして、営業所にかかる属性を詳細に業種別したデータベース、例えば、商業施設や工業施設等に業種別されたデータベースを用いれば、当該業種別に対応した詳細な属性を付与することが可能となる。当該各属性に基づき道路種別を特定できれば、さらに詳細に道路を種別化することができることとなる。
【0010】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、
第1又は第2の局面に規定の道路情報作成方法において、前記所定のデータベースは家形に関する第3のデータベースである。
このように規定される第5の局面の道路情報作成方法によれば、第3のデータベースに格納された家形に関するデータのうちの家形種別データに基づき、各種属性を付与することとなる。当該各種属性に基づき道路種別を特定できれば、詳細に道路を種別化することが可能となる。
【0011】
ここで家形に関するデータとは、所定の地域に含まれる家形の形状データに、住所データ、種別データ、階数データ、隣接道路データ、詳細データ等の場所の識別データを関連させたデータである。また、説明の便宜上「家形」と表現するが、家形に関するデータには、施設の敷地、公園、道路、河川等の家以外のデータも含まれる。
また、家形種別データとして、例えば、個人宅や営業所などを示すデータが格納されている。その他にも、学校、区役所、公民館などを示すデータが格納されている。
【0012】
この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
第1〜第5の局面に規定の道路情報作成方法において、前記道路種別特定ステップでは、前記単位道路に面する前記属性の付与された座標データの密度に応じて前記単位道路の種別を特定する。
このように規定される第6の局面の道路情報作成方法によれば、単位道路に面する当該属性の付与された座標データの密度に応じて当該単位道路の種別を特定するため、より実際的に道路種別を特定することが可能となる。
【0013】
当該道路種別が特定された単位道路の種別に関して、幅員データ及び/又は交通規制データ(第7の局面)、あるいは、プローブデータ(第8の局面)に基づき検証することが好ましい。当該検証を行うことにより、より正確な情報がナビゲーション情報に反映されることとなる。
【0014】
また、この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
地図データから施設の位置を示す座標データを抽出する座標データ抽出部と、
前記抽出された座標データへ所定のデータベースに基づき属性を付与する属性付与部と、
単位道路毎に、該単位道路に面する前記属性の付与された座標データを処理し、前記単位道路の種別を特定する道路種別特定部と、
を備える、道路情報作成装置。
このように規定される第9の局面の発明によれば、第1の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0015】
この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、
第9の局面に規定の道路情報作成装置において、前記施設の位置を示す座標データは、住所の名称及び該住所の座標データを含む住所データである。
このように規定される第10の局面の発明によれば、第2の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0016】
この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
第9又は第10の局面に規定の道路情報作成装置において、前記所定のデータベースは個人宅の電話番号を集計した第1のデータベースである。
このように規定される第11の局面の発明によれば、第3の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0017】
この発明の第12の局面は次のように規定される。即ち、
第9又は第10の局面に規定の道路情報作成装置において、前記所定のデータベースは個人宅の電話番号を集計した第1のデータベース及び営業所の電話番号を集計した第2のデータベースである。
このように規定される第12の局面の発明によれば、第4の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0018】
この発明の第13の局面は次のように規定される。即ち、
第9又は第10の局面に規定の道路情報作成装置において、前記所定のデータベースは家形に関する第3のデータベースである。
このように規定される第13の局面の発明によれば、第5の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0019】
この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、
第9〜第13のいずれかの局面に規定の道路情報作成装置において、前記道路種別特定部では、前記単位道路に面する前記属性の付与された座標データの密度に応じて前記単位道路の種別を特定する。
このように規定される第14の局面の発明によれば、第6の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0020】
この発明の第15の局面は次のように規定される。即ち、
第9〜第14のいずれかの局面に規定の道路情報作成装置において、前記道路種別特定部で特定された前記単位道路の種別を検証する検証部が更に備えられ、該検証部は該単位道路に属する幅員データ及び/又は交通規制データに基づき検証する。
このように規定される第15の局面の発明によれば、第7の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0021】
この発明の第16の局面は次のように規定される。即ち、
第9〜第14のいずれかの局面に規定の道路情報作成装置において、前記道路種別特定部で特定された前記単位道路の種別を検証する検証部が更に備えられ、該検証部はプローブデータに基づき検証する。
このように規定される第16の局面の発明によれば、第8の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0022】
更に、この発明の第17の局面は次のように規定される。即ち、
道路情報を作成するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
地図データから施設の位置を示す座標データを抽出する座標データ抽出手段と、
前記抽出された座標データへ所定のデータベースに基づき属性を付与する属性付与手段と、
単位道路毎に、該単位道路に面する前記属性の付与された座標データを処理し、前記単位道路の種別を特定する道路種別特定手段、
として機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
このように規定される第17の局面の発明によれば、第1の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0023】
この発明の第18の局面は次のように規定される。即ち、
第17の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記施設の位置を示す座標データは、住所の名称及び該住所の座標データを含む住所データである。
このように規定される第18の局面の発明によれば、第2の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0024】
この発明の第19の局面は次のように規定される。即ち、
第17又は第18の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記所定のデータベースは個人宅の電話番号を集計した第1のデータベースである。
このように規定される第19の局面の発明によれば、第3の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0025】
この発明の第20の局面は次のように規定される。即ち、
第17又は第18の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記所定のデータベースは個人宅の電話番号を集計した第1のデータベース及び営業所の電話番号を集計した第2のデータベースである。
このように規定される第20の局面の発明によれば、第4の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0026】
この発明の第21の局面は次のように規定される。即ち、
第17又は第18の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記所定のデータベースは家形に関する第3のデータベースである。
このように規定される第21の局面の発明によれば、第5の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0027】
この発明の第22の局面は次のように規定される。即ち、
第17〜第21のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記道路種別特定手段では、前記単位道路に面する前記属性の付与された座標データの密度に応じて前記単位道路の種別を特定する。
このように規定される第22の局面の発明によれば、第6の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0028】
この発明の第23の局面は次のように規定される。即ち、
第17〜第22のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記道路種別特定手段で特定された前記単位道路の種別を検証する検証手段、として機能させ、
該検証手段は該単位道路に属する幅員データ及び/又は交通規制データに基づき検証する。
このように規定される第23の局面の発明によれば、第7の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0029】
この発明の第24の局面は次のように規定される。即ち、
第17〜第22のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記道路種別特定手段で特定された前記単位道路の種別を検証する検証手段、として機能させ、
該検証手段はプローブデータに基づき検証する。
このように規定される第24の局面の発明によれば、第8の局面の発明と同等の作用効果を奏する。
【0030】
第17〜第24の局面に規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第25の局面として規定される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態の道路情報作成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の道路情報作成装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の他の実施の形態の道路情報作成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の道路情報作成装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施の形態の道路情報作成装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施の形態の道路情報作成装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施の形態の道路情報作成装置を構成するコンピュータシステムを示す。
【図8】本発明の他の実施の形態の道路情報作成装置で特定されたナビゲーション情報を利用するナビゲーションシステムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、この発明の実施の形態の道路情報作成装置を説明する。
当該実施形態では、施設の位置を示す座標データとして、住所データを用いて説明する。
図1に、この発明の道路情報作成装置1の機能ブロック図を示す。
図1に示すように、この道路情報作成装置1はナビゲーション情報保存部2、属性付与部3、住所データ毎属性保存部4、単位道路毎データ処理部5、単位道路毎属性保存部6、道路種別特定部7を備えている。
【0033】
ナビゲーション情報保存部2は、地図データ保存部8、属性データベース10、道路情報保存部11を備える。
地図データ保存部8には地図情報が保存される。地図情報にはリンクやノードなど地図情報を規定するための道路要素に関する情報と地図に描画される情報等が含まれる。この地図データ保存部8には、更に、住所データ保存部9が備えられる。住所データ保存部9には地図上における住所データとして、住所の名称及び当該住所の座標データが保存されている。
【0034】
属性データベース10には、属性データが住所データに関連付けられて保存されている。当該属性データベースは、地図上の住所データに、個人宅情報や営業所情報等の属性が、直接的にあるいは間接的に関連付けられているデータベースであればよい。当該属性データベースとしては、個人宅の電話番号を集計したデータベース、営業所の電話番号を集計したデータベース、及び、家形に関するデータベース等が挙げられる。具体的には、個人宅の電話番号がその氏名や住所等と関連付けられて収録されたハローページ(登録商標)、施設や店舗等の電話番号がその名称や住所等と関連付けられて収録されたタウンページ(登録商標)、及び、個人宅、営業所等の属性を示す種別データが、家形の形状データや住所データ、階数データ、隣接道路データ等とともに収録されている家形データ等が挙げられる。
【0035】
道路情報保存部11には道路や交差点など各道路要素の特性を規定する道路情報が保存される。例えば道路(リンク)の特性を規定する道路情報として、道路種、道路幅、走行規制、車線数及びその他がある。この道路情報保存部11には道路種別情報保存部12が備えられる。後述するようにこの発明では、単位道路毎に道路種別を特定し、当該単位道路に関連する道路種別が、当該道路種別情報保存部12に保存される。
属性付与部3は、属性データベース10を参照して、地図データ保存部8内の住所データ保存部9から抽出された住所データに属性データを付与する。当該付与された属性データは、住所データと関連付けて住所データ毎属性保存部4に保存される。
【0036】
単位道路毎データ処理部5は、地図データ保存部8から単位道路を抽出するとともに、住所データ毎属性保存部4を参照して、各属性毎に、当該単位道路に面した住所データを処理する。例えば、属性データベース10として、上記第1のデータベースを用いた場合、当該単位道路に個人宅属性を付与されることとなる。この場合、単位道路毎データ処理部5は、例えば、当該単位道路に面する個人宅属性の付与された住所データが存在するか否かの処理を行っても良いし、当該単位道路に対する個人宅属性の付与された住所データ数の統計をとるよう処理を行っても良い。属性データベース10として、第2のデータベース、第3のデータベースを用いた場合も同様にして処理を行うことができる。当該処理結果は、単位道路毎属性保存部6に送られる。
ここで、単位道路としては、リンク、ノードの各単位、あるいは、複数のリンク及びノードからなる組み合わせを挙げることができる。
【0037】
道路種別特定部7は、当該単位道路毎に処理された属性データに基づき、当該単位道路の道路種別を特定する。当該特定された情報は、道路種別情報として道路情報保存部11内の道路種別情報保存部12へ保存される。
【0038】
図2を用いて、図1に示す道路情報作成装置1の動作を説明する。
属性付与部3は、地図データ保存部8内の住所データ保存部9から住所データを抽出し、属性データベース10を参照して、当該抽出した住所データへ属性データを付与する(ステップ1、3)。当該付与された属性データを、住所データに関連付けて住所データ毎属性保存部4に保存する(ステップ5)。ステップ7では、地図データ保存部8から抽出した単位道路毎に、属性別に、当該単位道路に面する住所データを処理する。例えば、図2に示すように、属性別に、単位道路に面する住所データ数の統計をとることができる。当該統計結果は、単位道路に関連付けて単位道路毎属性保存部6に保存する(ステップ9)。単位道路毎属性保存部6に保存された情報に基づき、単位道路の道路種別を特定する(ステップ11)。当該道路種別の特定は、例えば、個人宅属性の付与された住所データが存在することにより特定しても良いし、予め設定した閾値数以上の住所データ数が存在する場合に特定することとしても良い。特定された道路種別は、道路種別情報として、当該単位道路に関連付けて道路種別情報保存部12に保存される(ステップ13)。
【0039】
図3に、他の実施の形態の道路情報作成装置21の機能ブロック図を示す。なお、図3において図1と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
図3に示す道路情報作成装置21では、図1に示す道路情報作成装置1において、密度特定部25を備える点で異なる。また、属性データベース10内には、第1のデータベース22及び第2のデータベース23を備えている。
【0040】
第1のデータベース22として、上述したように、個人宅の電話番号がその氏名や住所等と関連付けて収録されたハローページ(登録商標)からなるデータベースを用いた。また、第2のデータベース23としては、施設や店舗等の電話番号がその名称や住所等と関連付けて収録されたタウンページ(登録商標)からなるデータベースを用いている。当該第1のデータベース22及び第2のデータベース23を参照することにより、住所データ保存部9から抽出された住所データに、個人宅属性及び営業所等属性を付与することが可能となる。また、当該営業所等属性を、商業施設にかかる営業所等属性、及び、工業施設にかかる営業所等属性のように、詳細に業種別された属性として住所データに付与することも可能である。
【0041】
密度特定部25は、当該単位道路について、当該単位道路に面する全住所データ数に対する、各属性データ毎の住所データ数の密度を特定する。単位道路に面する全住所データ数のうちの、例えば個人宅属性が付与された住所データの数の割合を算出することにより、当該密度を特定することができる。同様にして、工業施設にかかる営業所等属性、及び、商業施設にかかる営業所等属性が付与された住所データの数の割合を算出し、各々密度を特定する。密度を特定する際の基準となる全体数は、上記した単位道路に面する住所データの数の他に、単位道路に面する住所データに関連付けられる電話番号の数を基準としても良い。このほか、密度特定部25は、地図データ保存部8を参照し、住所データに関連付けられる面積データを用いて行うこともできる。
【0042】
道路情報作成装置21において、道路種別特定部7は、密度特定部25で特定された密度を参照し、予め設定された値を基準にして当該単位道路の道路種別を特定する。道路種別として、例えば、個人宅属性が、単位道路あたりの住所データ数の5割以上付与された単位道路に「第1種細街路」の道路種別を付与することができる。また、営業所等属性が、単位道路あたりの住所データ数の5割以上付与された単位道路に「第2種細街路」の道路種別を付与することができる。また、当該第2種細街路の道路種別は、営業所等の詳細属性が付与された住所データの割合に応じて、「第2種商業施設密集道路」あるいは「第2種工業施設密集道路」の道路種別を付与してもよい。
【0043】
図4を用いて、図3に示す道路情報作成装置21の動作を説明する。図4において図2と同じ処理を行うステップには同一の符号を付してその説明を部分的に省略する。
図4においてステップ21では、密度特定部25は単位道路毎属性保存部6を参照し、当該単位道路に面する全住所データ数に対して、個人宅属性の付与された住所データ数及び営業所属性の付与された住所データ数の占める割合を算出する。道路種別特定部7は、個人宅属性が付与された住所データ数の割合が5割以上の場合(ステップ23:Yes)、当該単位道路の道路種別を第1種細街路と特定する(ステップ25)。また、ステップ23において「No」の場合であって、ステップ21で算出された単位道路毎の属性密度において、営業所属性が付与された住所データ数の割合が5割以上の場合には(ステップ27:Yes)、道路種別特定部7は当該単位道路の道路種別を第2種細街路と特定する(ステップ29)。ステップ25及びステップ29で特定された道路種別は、単位道路と関連付けて道路種別情報保存部12に保存される(ステップ31)。
【0044】
図5に、他の実施の形態の道路情報作成装置31の機能ブロック図を示す。なお、図5において図1及び図3と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
図5に示す道路情報作成装置31では、図1に示す道路情報作成装置1において、検証部33及び交通規制データ等保存部35を備える点で異なる。
検証部33は、道路種別特定部7で特定された単位道路の道路種別を、交通規制データ等保存部35を参照して、検証する。
【0045】
交通規制データ等保存部35には、交通規制データ及び幅員データが保存される。交通規制データとしては、例えば財団法人日本交通管理技術協会の提供するデジタル交通規制データを用いることができる。デジタル交通規制データに挙げられる交通規制情報の全てが必要ではないが、この発明では一時停止情報、信号機情報、歩行者専用時間規制情報、制限速度情報、大型車規制情報等に関する交通規制情報が保存されていることが好ましい。検証部33は、例えば、複数のリンク及びノードから構成される単位道路が、道路種別特定部7において、個人宅が多く存在する第1種細街路と特定された場合、当該単位道路に含まれる全ノード数のうち、各ノードに設定された一時停止情報数または信号機数を予め定められた閾値数と比較して検証する。例えば、一時停止情報数が所定閾値数未満、または、信号機数が所定閾値数を越える場合には、当該単位道路に関して特定された第1種細街路の道路種別を解除する。また、第1種細街路と特定された単位道路の幅員が所定幅(例えば3m)を越える場合も同様に、第1種細街路の道路種別を解除する。
【0046】
同様にして、第1種細街路と特定された単位道路に、予め定められた所定閾値以上(例えば40km/h以上)の速度制限情報が付されている場合、あるいは、大型車規制が付されていない、即ち、当該単位道路が大型車が通行可能な道路である場合にも、第1種細街路の道路種別を解除することができる。
道路種別特定部7で特定された道路種別が「解除」されるとは、当該単位道路において、本発明で規定される道路種別を特に付与しないことを意味する。上述のように、検証部33は、得られた検証結果に基づいて、道路種別を解除することもできるし、また、道路種別特定部7で特定した道路種別を修正し、他の道路種別として特定することもできる。
このほか、検証部33が検証する際に参照するデータとして、プローブデータを用いても良い。
例えば、通勤時間帯に出発もしくは到着している地点の付近は個人宅である可能性が高い。したがって、プローブデータから、当該出発地点もしくは到着地点を抽出し、当該地点から所定範囲に含まれる単位道路の道路種別を検証し、当該範囲に第1種細街路以外の道路種別が特定されている単位道路について、当該道路種別を解除する。
【0047】
図6を用いて、図5に示す道路情報作成装置31の動作を説明する。図6において図2及び図4と同じ処理を行うステップには同一の符号を付してその説明を部分的に省略する。
図6においてステップ41では、ステップ11で道路種別を第1種細街路と特定された単位道路を抽出する。抽出された単位道路について、当該単位道路の幅員が所定幅以下(例えば3m以下)か、検証する(ステップ43)。当該単位道路の幅員が所定幅以下の場合(ステップ43:Yes)、当該単位道路の道路種別は、道路種別特定部7で特定された第1種細街路の道路種別のまま、道路種別情報保存部12へ保存される(ステップ45)。第1種細街路と特定された単位道路の幅員が所定幅を超える場合(ステップ43:No)、検証部33は、当該単位道路について、道路種別特定部7で特定した道路種別を解除する。
また、道路情報保存部11に保存された車線数情報に基づき、検証することも可能である。この場合、当該第1種細街路と特定された単位道路の車線数が所定数(例えば1車線)以下であるか検証し、当該車線数が所定数を超える場合には、当該特定された道路種別を解除することとする。
【0048】
図7は道路情報作成装置21のハード構成を示すブロック図である。
この装置21のハード構成は、一般的なコンピュータシステムと同様に中央制御装置221に対してシステムバス222を介して各種の要素が結合されたものである。
中央制御装置221は汎用的なCPU、メモリ制御装置、バス制御装置、割り込み制御装置更にはDMA(直接メモリアクセス)装置を含み、システムバス222もデータライン、アドレスライン、制御ラインを含む。システムバス222にはRAM(ランダムアクセスメモリ)223、不揮発メモリ(ROM224,CMOS−RAM225等)からなるメモリ回路が接続されている。RAM223に格納されるデータは中央制御装置221や他のハードウエア要素によって読み取られたり、書き換えられたりする。不揮発メモリのデータは読み取り専用であり、装置をオフとしたときにもそこのデータは喪失されない。このハードウエアを制御するシステムプログラムはハードディスク装置227に保存されており、また、RAM223に保存されており、ディスクドライブ制御装置226を介して適宜中央制御装置221に読みこまれて使用される。このハードディスク装置227には、汎用的な構成のコンピュータシステムを道路種別作成装置21として動作させるためのコンピュータプログラムを保存する領域が確保される。
このハードディスク装置227の所定の領域がナビゲーション情報保存部2用に割り付けられる。
ハードディスク装置227の他の領域が道路種別情報保存部12用に割り付けられる。
【0049】
システムバス222には、フレキシブルディスク232に対してデータの読み込み及び書き込みを行うフレキシブルドライブ制御装置231、コンパクトディスク234に対してそれからデータの読み取りを行うCD/DVD制御装置233が接続されている。この例ではプリンタインターフェース237にプリンタ238を接続させている。
システムバス222にはキーボード・マウス制御装置241が接続され、キーボード242及びマウス243からのデータ入力を可能としている。モニタ245がモニタ制御装置244を介してシステムバス222に接続されている。モニタ245にはCRTタイプ、液晶タイプ、プラズマディスプレイタイプなどを利用することができる。
各種の要素(モデムなど)の増設を可能とするため空きのスロット251が準備されている。
【0050】
この装置21はネットワークアダプタ261を介して、ネットワークNに接続される。このネットワーク(インターネット)Nにはプローブカーが連結されている。
【0051】
このコンピュータシステムからなる道路情報作成装置21を稼動させるために必要なプログラム(OSプログラム、アプリケーションプログラム(本発明のものも含む))は、各種の記録媒体を介してシステムの中にインストールされる。例えば非書き込み記録媒体(CD−ROM、ROMカード等)、書き込み可能記録媒体(FD、DVD等)、更にはネットワークNを利用して通信媒体の形式でインストールすることも可能である。勿論、不揮発メモリ224、225やハードディスク装置227に予めこれらのプログラムを書きこんでおくこともできる。
【0052】
ナビゲーション情報保存部2の情報はナビゲーションシステムによりそのまま利用できる。ナビゲーションシステムの例を図8に示す。
このナビゲーションシステム300は制御部301、メモリ部302、入力部303、出力部304、インターフェース部305、自車位置特定部306、探索部307、ナビゲーション情報保存部2を備えている。
制御部301はCPU、バッファメモリその他の装置を備えたコンピュータ装置であり、ナビゲーションシステム300を構成する他の要素を制御する。メモリ部302にはコンピュータプログラムが保存され、このコンピュータプログラムはコンピュータ装置である制御部301に読み込まれて、これを機能させる。このコンピュータプログラムはDVD等の汎用的な媒体へ保存できる。
【0053】
入力部303は目的地等を設定するため用いられる。入力部303としてディスプレイの表示内容と協働するタッチパネル式の入力装置を用いることができる。
出力部304はディスプレイを含み、ナビゲーションに必要な地図情報、その他の情報を表示する。この出力部304は音声案内装置を含むこともできる。
インターフェース部305はナビゲーションシステム300を無線ネットワーク等へ連結させる。
自車位置特定部306はGPS装置やジャイロ装置を用いて利用者端末の現在の位置を検出する。
【0054】
探索部307は指定された出発地から目的地までの経路を探索する。経路探索の際に、探索部307はナビゲーション情報保存部2に保存の情報を参照する。
ナビゲーション情報保存部2に保存された道路種別情報に注意喚起情報を付与すれば、当該単位道路において注意を払うべき対象をより具体化できる。これにより、安全運行に集中できる。
【0055】
例えば、個人宅が多く面している第1種細街路へ注意喚起メッセージを関連付けておくことにより、ナビゲーションシステム300は、当該第1種細街路へアクセスしたときに当該注意喚起メッセージを出力できる。この場合、制御部301は、探索した経路上の道路に設定されている要注意進入道路情報のフラグに関連する注意喚起メッセージをナビゲーション情報保存部2内に備えられた注意喚起メッセージ保存部から読み出し、出力部304を介して出力する。
経路探索をせずに、ナビゲーションシステム300の出力部304のディスプレイへ現在の地図を表示している場合においても、自車の進行先の道路について上記と同様に処理することができる。
【0056】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 21 31 道路情報作成装置
2 ナビゲーション情報保存部
3 属性付与部
4 住所データ毎属性保存部
5 単位道路毎データ処理部
6 単位道路毎属性保存部
7 道路種別特定部
8 地図データ保存部
9 住所データ保存部
10 属性データベース
11 道路情報保存部
12 道路種別情報保存部
22 第1のデータベース
23 第2のデータベース
25 密度特定部
33 検証部
35 交通規制データ等保存部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データから施設の位置を示す座標データを抽出する座標データ抽出ステップと、
前記抽出された座標データへ所定のデータベースに基づき属性を付与する属性付与ステップと、
単位道路毎に、該単位道路に面する前記属性の付与された座標データを処理し、前記単位道路の種別を特定する道路種別特定ステップと、
を備える、道路情報作成方法。
【請求項2】
前記施設の位置を示す座標データは、住所の名称及び該住所の座標データを含む住所データである、請求項1に記載の道路情報作成方法。
【請求項3】
前記所定のデータベースは個人宅の電話番号を集計した第1のデータベースである、請求項1又は2に記載の道路情報作成方法。
【請求項4】
前記所定のデータベースは個人宅の電話番号を集計した第1のデータベース及び営業所の電話番号を集計した第2のデータベースである、請求項1又は2に記載の道路情報作成方法。
【請求項5】
前記所定のデータベースは家形に関する第3のデータベースである、請求項1又は2に記載の道路情報作成方法。
【請求項6】
前記道路種別特定ステップでは、前記単位道路に面する前記属性の付与された座標データの密度に応じて前記単位道路の種別を特定する、請求項1〜5のいずれかに記載の道路情報作成方法。
【請求項7】
前記道路種別特定ステップで特定された前記単位道路の種別を検証する検証ステップが更に備えられ、該検証ステップは該単位道路に属する幅員データ及び/又は交通規制データに基づき検証する、請求項1〜6のいずれかに記載の道路情報作成方法。
【請求項8】
前記道路種別特定ステップで特定された前記単位道路の種別を検証する検証ステップが更に備えられ、該検証ステップはプローブデータに基づき検証する、請求項1〜6のいずれかに記載の道路情報作成方法。
【請求項9】
地図データから施設の位置を示す座標データを抽出する座標データ抽出部と、
前記抽出された座標データへ所定のデータベースに基づき属性を付与する属性付与部と、
単位道路毎に、該単位道路に面する前記属性の付与された座標データを処理し、前記単位道路の種別を特定する道路種別特定部と、
を備える、道路情報作成装置。
【請求項10】
前記施設の位置を示す座標データは、住所の名称及び該住所の座標データを含む住所データである、請求項9に記載の道路情報作成装置。
【請求項11】
前記所定のデータベースは個人宅の電話番号を集計した第1のデータベースである、請求項9又は10に記載の道路情報作成装置。
【請求項12】
前記所定のデータベースは個人宅の電話番号を集計した第1のデータベース及び営業所の電話番号を集計した第2のデータベースである、請求項9又は10に記載の道路情報作成装置。
【請求項13】
前記所定のデータベースは家形に関する第3のデータベースである、請求項9又は10に記載の道路情報作成装置。
【請求項14】
前記道路種別特定部では、前記単位道路に面する前記属性の付与された座標データの密度に応じて前記単位道路の種別を特定する、請求項9〜13のいずれかに記載の道路情報作成装置。
【請求項15】
前記道路種別特定部で特定された前記単位道路の種別を検証する検証部が更に備えられ、該検証部は該単位道路に属する幅員データ及び/又は交通規制データに基づき検証する、請求項9〜14のいずれかに記載の道路情報作成装置。
【請求項16】
前記道路種別特定部で特定された前記単位道路の種別を検証する検証部が更に備えられ、該検証部はプローブデータに基づき検証する、請求項9〜14のいずれかに記載の道路情報作成装置。
【請求項17】
道路情報を作成するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
地図データから施設の位置を示す座標データを抽出する座標データ抽出手段と、
前記抽出された座標データへ所定のデータベースに基づき属性を付与する属性付与手段と、
単位道路毎に、該単位道路に面する前記属性の付与された座標データを処理し、前記単位道路の種別を特定する道路種別特定手段、
として機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記施設の位置を示す座標データは、住所の名称及び該住所の座標データを含む住所データである、請求項17に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
前記所定のデータベースは個人宅の電話番号を集計した第1のデータベースである、請求項17又は18に記載のコンピュータプログラム。
【請求項20】
前記所定のデータベースは個人宅の電話番号を集計した第1のデータベース及び営業所の電話番号を集計した第2のデータベースである、請求項17又は18に記載のコンピュータプログラム。
【請求項21】
前記所定のデータベースは家形に関する第3のデータベースである、請求項17又は18に記載のコンピュータプログラム。
【請求項22】
前記道路種別特定手段では、前記単位道路に面する前記属性の付与された座標データの密度に応じて前記単位道路の種別を特定する、請求項17〜21のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項23】
前記コンピュータを、更に、
前記道路種別特定手段で特定された前記単位道路の種別を検証する検証手段、として機能させ、
該検証手段は該単位道路に属する幅員データ及び/又は交通規制データに基づき検証する、請求項17〜22のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項24】
前記コンピュータを、更に、
前記道路種別特定手段で特定された前記単位道路の種別を検証する検証手段、として機能させ、
該検証手段はプローブデータに基づき検証する、請求項17〜22のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項25】
請求項17〜請求項24のいずれかに記載のコンピュータプログラムを記録する記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−52981(P2011−52981A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199579(P2009−199579)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(501271479)株式会社トヨタマップマスター (56)
【Fターム(参考)】