説明

道路情報入手システム

【課題】運転者が実際の道路の状況を把握可能な道路情報入手システムの提供。
【解決手段】複数の路側装置22は、路側間通信機25により互いに通信可能な情報入手ネットワーク21を形成している。車両の近傍に位置する路側装置22は、車両の車載装置2から、別の路側装置22のカメラ23により撮影した道路画像の要求を受ける。要求を受けた路側装置22は、別の路側装置22により取得した道路画像データを、情報入手ネットワーク21を介して入手し、路車間通信機24および路車間通信装置17により車載装置2へと送信する。道路画像データを入手した車載装置2は、入手したデータにより表示装置8に道路画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両から離れた位置にある道路の状況に関する情報を入手するための道路情報入手システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、道路上の車両進行方向に沿って複数の監視地点を設け、この監視地点間を通過する車両台数および平均速度を検出し、平均速度が所定値を下回る地点間を渋滞区間として、運転者に伝達する従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。この従来技術によれば、運転者は乗車しながら道路上の渋滞区間を知ることができ、車両の走行計画の立案に役立てることができる。
【特許文献1】特開2003−272089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の従来技術においては、監視センタにおいて独自に道路上の渋滞区間を検出するものであって、センタによる渋滞区間の検出結果が、必ずしも各々の運転者の感覚に合致するとは限らない。すなわち、監視センタが検出した渋滞区間における実際の車両の混み具合が、運転者にとってはさほどの渋滞とは思われず、センタによる検出結果を信用して車両を走行させた場合に、実際の走行状況が運転者の予想に反する場合がある。
【0004】
あるいは、それとは逆に、センタによる検出箇所以外にも運転者にとっての渋滞区間と思われる道路があった場合、走行車両が実際にそういう予期せぬ渋滞区間に進入した場合には、運転者の焦燥感はより大きくなることが考えられる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転者が実際の道路の状況を把握可能な道路情報入手システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の道路情報入手システムによれば、車載装置が近傍に位置する情報入手ネットワーク中の路側装置に対して、入手したい道路画像あるいは入手したい道路画像を撮影可能な路側装置を指定し、指定した路側装置からの道路画像データを、情報入手ネットワークを介して、近傍に位置する路側装置から受信して、道路画像データによる道路画像を表示装置に表示する。これにより、入手した道路画像を見た運転者が、実際の道路の状況をリアルタイムに把握することができる。
【0006】
請求項2記載の道路情報入手システムによれば、車両の現在位置を受信した路側装置が受信した現在位置と入手したい道路画像あるいは入手したい道路画像を撮影可能な路側装置の位置とにより車両の予想走行経路を算出し、車載装置は指定した路側装置からの道路画像データを、情報入手ネットワークを介して、予想走行経路上にある路側装置の内、入手時において車載装置の近傍に位置する路側装置から受信する。これにより、予想走行経路上にある路側装置のみが道路画像データを保有すれば、車両の移動にかかわらず、常に情報入手ネットワークを介して運転者が所望する道路画像を入手することができる。
【0007】
請求項3記載の道路情報入手システムによれば、車載装置は指定した路側装置からの道路画像データを、情報入手ネットワークを介して、車両の誘導経路上にある路側装置の内、入手時において車載装置の近傍に位置する路側装置から受信する。これにより、路側装置が車両の予想走行経路を算出しなくても、車両の移動にかかわらず、常に運転者が所望する道路画像を入手することができる。
【0008】
請求項4記載の道路情報入手システムによれば、車載装置は入手したい道路画像あるいは入手したい道路画像を撮影可能な路側装置を指定する際に、該当する路側装置を含んだ情報入手ネットワーク内の路側装置の配置に関するデータを記憶していれば、記憶されている路側装置の配置に関するデータ内の路側装置を指定する。これにより、過去に記憶した路側装置の配置に関するデータを有効に利用することができ、路側装置と車載装置間のデータ通信回数を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<実施形態1>
以下、図1乃至図7に基づいて、本発明の実施形態1による道路情報入手システムについて説明する。図1は、道路情報入手システム1の構成を示すブロック図である。車載装置(本実施形態においてはカーナビゲーション装置である)2は、マイコンを主体として構成された制御装置3、車両の現在位置を検出するための位置検出器4、地図データ入力器5、操作スイッチ群6、外部メモリ7、カラー液晶ディスプレイ等からなる表示装置8、スピーカ9が接続された音声コントローラ10、マイク11から入力された音声を認識する音声認識装置12、リモコン13との間でコマンド等の送受信を行うリモコンセンサ14、例えばVICSセンタ15(VICS:登録商標)や種々の情報センタとの間で無線通信によりデータの送受信を行う送受信機16および後述する車両外部の路側装置22の路車間通信機24との間で通信可能な路車間通信装置17(本発明の通信装置に該当する)から構成されている。
【0010】
位置検出器4は、車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ18、車両の走行距離を検出する距離センサ19、人工衛星からの送信電波に基づいて車両の現在位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機20を有している。各センサ18〜20は、それぞれ性質の異なる誤差を有している。このため、制御装置3は、各センサ18〜20の検出値を補間しながら用いることにより、車両の現在位置、進行方向、速度、走行距離、現在時刻等を高精度で検出するようになっている。なお、精度によっては、位置検出器4を上述したセンサ18〜20の一部のみで構成してもよい。また、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0011】
地図データ入力器5は、道路地図データ、目印データ、マップマッチング用データ、目的地データ(施設データベース)、交通情報を道路データに変換するためのテーブルデータなどの各種データを記録した地図データ記録メディアからデータを読み出すためのドライブ装置により構成されている。地図データ記録メディアには、DVD等の大容量記憶媒体を用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク装置等の媒体を用いてもよい。
【0012】
設定手段である操作スイッチ群6は、表示装置8の画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチや、表示装置8の画面上に設けられるタッチパネルを含んで構成されている。ドライバは、この操作スイッチ群6を用いて、目的地、目的地の検索に必要な情報(目的地検索条件)、通過点などの入力、表示装置8の画面や表示態様の切り替え(地図縮尺変更、メニュー表示選択、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、音量調整等)を行う各種のコマンドの入力を行う。また、リモコン13には複数の操作スイッチが設けられており、スイッチ操作によりリモコン13からリモコンセンサ14を介して各種の指令信号が制御装置3に送信される。なお、操作スイッチ群6とリモコン13は、何れの操作によっても制御装置3に同様の機能を実行させることができる。
【0013】
外部メモリ7は、フラッシュメモリカード等から構成されている。この外部メモリ7には、特定のデータ例えば経路案内時に制御装置3が設定した目的地までの経路のデータ、車両が通過した経路のデータ等が記憶される。また、外部メモリ7内には、後述するように車載装置2が道路画像を入手した後において、車載装置2が路側装置22から受信した情報入手ネットワーク21内の路側装置22の設置情報(路側装置22の配置に関するデータ)が記憶される。
【0014】
表示装置8の画面には、車両の位置周辺の地図が各種縮尺で表示されるとともに、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置と進行方向とを示す現在地マーク(ポインタ)が表示される。また、目的地までの経路案内の実行時には経路案内用の画面が表示される。さらに、ドライバが目的地の検索に必要な情報等を入力したり、目的地の検索や設定を行うための入力用の画面や、各種のメッセージ等も表示される。更に、表示装置8には、車載装置2が情報入手ネットワーク21を介して入手した(路側装置22のいずれかによって取得された)道路画像データに基づいて、道路画像も表示される。
【0015】
音声認識装置12は、マイク11を介して入力した音声と内部に記憶する認識用の辞書データとを照合し、入力された音声を認識する。音声コントローラ10は、音声認識装置12を制御して音声認識結果を制御装置3に出力するとともに、認識された音声はスピーカ9を介してトークバック出力する。また、制御装置3からの音声出力指令に基づいて音声出力信号をスピーカ9に出力する。スピーカ9から出力される音声は、案内に関する音声、操作説明に関する音声、盗難防止機能の動作中であることを報知する音声、音声認識結果に応じたトークバック音声などである。
【0016】
制御装置3を構成するマイコンは、CPU、メモリ(RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ等)、I/Oなどを備えており、表示装置8あるいは路車間通信装置17といった車載装置2が具備する構成を制御している。CPUがROM(またはフラッシュメモリ)に記憶されたプログラムを実行することにより、制御装置3は、ナビゲーション装置としての目的地設定機能、経路探索機能、表示制御機能、経路案内機能として作動する。経路探索機能は、車両の出発地(現在位置)から目的地までの推奨する走行経路を自動計算するものであり、その手法としては例えばダイクストラ法が用いられている。
【0017】
経路案内機能は、走行経路に沿って移動可能なように、表示装置8の画面に現在地周辺の道路地図を表示するとともに、車両の現在位置と進行方向を示す現在地マークを道路地図に重ね合わせて表示する機能である。この場合、車両の走行に伴って現在地の表示は地図上を移動し、地図は車両の位置に応じてスクロール表示される。このとき、車両の現在地を道路上にのせるマップマッチングが行われる。路車間通信装置17は、複数の路側装置22とデータ通信(例えば、DSRC(Dedicated Short Range Communication)など)を行うためのものである。
【0018】
一方、複数の路側装置22は、道路沿線上に適宜配置されている(図6において○内に×印を配した記号(以下、路側シンボル32と呼ぶ)にて示す)。各路側装置22は、近辺道路の状態を撮影可能なカメラ23、車載装置2の路車間通信装置17との間で双方向通信可能な路車間通信機24、各路側装置22間で、互いに通信可能な路側間通信機25、カメラ23、路車間通信機24および路側間通信機25を制御可能な制御部26、および制御部26と接続されたメモリ27とを具備している。
【0019】
各々のカメラ23は、近辺にある道路を撮影するもので、例えば、CCDカメラやCMOSイメージセンサなどで構成されている。路車間通信機24は車載装置2の路車間通信装置17との間で様々なデータの送受信が行われる。各々の路側装置22に設けられた路側間通信機25は、これに限定されるものではないが、光ファイバーなどの高速通信回線にて互いに接続され、これにより路側装置22間においてデータ通信を可能にしている。制御部26は主にマイコン部およびインタフェイス部(図示せず)とから成り、上述したカメラ23、路車間通信機24、および路側間通信機25を制御している。メモリ27は主にカメラ23によって撮影された画像データを記憶するためのものである。
【0020】
図2に示すように、複数の路側装置22は、路側間通信機25による互いの間の通信機能により情報入手ネットワーク21を形成している。車両28は、近傍に位置するネットワーク21内の路側装置22aとの間で送受信を行い、車両28から離れた位置にある別の路側装置22bにより撮影された道路画像を、情報入手ネットワーク21を介して入手する。各路側装置22は、それが含まれている情報入手ネットワーク21を形成する路側装置22の設置情報(路側装置22の配置に関するデータ)を保有している。以下、情報入手ネットワーク21内の一般的な路側装置を「路側装置22」、車載装置2の近傍に位置しており、車載装置2から道路画像の要求を受ける路側装置を「路側装置22a」、車載装置2の指定を受けて、道路を撮影する路側装置を「路側装置22b」とする。尚、各路側装置22は、互いを識別するために、それぞれIDを有している。
【0021】
次に、図3乃至図7に基づいて本実施形態の制御方法について説明する。図3は車載装置2の制御装置3による制御フローチャートを示している。最初、車両28の運転者が、路側装置22のカメラ23による画像(以下、道路画像と呼ぶ)を見るために、その入手要求をした場合(ステップS301)、ステップS302へと進む。運転者によるカメラ23による道路画像の入手要求は、図4に示すように表示装置8のナビゲーション機能による地図画面に、常時、カメラの図柄をデザインした画像入手スイッチ29を表示させておき、これに指等をタッチさせて当該スイッチを作動させて実行する。
【0022】
次に、ステップS302においては、外部メモリ7に記憶されている、過去に使用した情報入手ネットワーク21内の路側装置22の設置情報(路側装置22の配置に関するデータ)を使うために、路側装置22の設置情報の使用履歴を確認するか否かが判定される。上述した画像入手スイッチ29が作動されると、図5に示すように、画面上には履歴スイッチ30および新規スイッチ31が表示されるため、運転者はそのどちらかを指等でタッチすることにより、いずれかのスイッチを作動させ、使用履歴の確認をするかどうかの選択をする。
【0023】
外部メモリ7に記憶されている路側装置22の設置情報に関するデータを入手する場合、履歴スイッチ30にタッチし、路側装置22の設置情報の使用履歴を表示装置8に表示させる(ステップS303)。過去に使用した複数の設置情報の使用履歴は、表示装置8の画面中において、例えば、使用した日時順に次々とスクロールされて表示される。これを見た運転手は、これから使用することのできる、換言すれば、現在、車両28が走行しているエリア内の路側装置22の設置情報が記憶されているか否かを確認する。記憶された設置情報中に、これから使用可能なものがある場合、運転者の選択に従い(ステップS304)、表示装置8のナビゲーション機能による地図画面に重ねるように、情報入手ネットワーク21を形成する路側装置22の配置が表示される(ステップS308:図6において路側シンボル32(1つのみ符号を付す)にて示す)。
【0024】
表示された路側装置22の配置を見た運転者が、表示画面の路側シンボル32上に指でタッチする等して、入手したい道路画像を撮影可能な路側装置22bを選択すると(ステップS309)、ステップS310へと進んで、道路画像を撮影する路側装置22を追加するか否かが判定される。これにより、複数の路側装置22によって撮影された道路画像を入手することも可能である。また、路側装置22の設置情報中に、路側装置22のIDを含ませ、路側装置22を選択する場合、操作スイッチ群6から路側装置22のIDを直接に入力することによって行ってもよい。
【0025】
次に、ステップS311において、運転者により、選択された路側装置22bが道路を撮影する時間間隔が入力される。これまでの操作が終了すると、選択された1つ、あるいは複数の路側装置22bを路側装置IDにより指定して、道路画像を要求する信号が、時間間隔データおよび車両28のIDとともに、路車間通信装置17および路車間通信機24を介して車載装置2の近傍に位置する路側装置22aへと送信される(ステップS312)。
【0026】
車載装置2の近傍に位置して、車載装置2から路側装置22bを指定して道路画像を要求するデータを受信した路側装置22aは、路側間通信機25を介して、運転者が指定した路側装置22bに対して、車両28(車両IDにより特定する)から道路画像の要求があることを通知して、カメラ23を使用して道路画像を取得する指示を行う。
【0027】
指定された路側装置22bは、指示された時間間隔で道路を撮影し、その道路画像データを、再び路側間通信機25を使用することにより情報入手ネットワーク21を介して、車載装置2の近傍に位置する路側装置22aに送信する。道路画像データを受信した路側装置22aは、路車間通信機24および路車間通信装置17を介して、道路画像データを、車両28のIDとともに車載装置2へ送信する(ステップS313)。車載装置2は、車両IDの一致から要求したデータであると確認した上で道路画像データを受信し、表示装置8において、ナビゲーション画面に代えて道路画像を表示する(ステップS314:図7示)。
【0028】
一方、ステップS302において、運転者が外部メモリ7に記憶されている路側装置22の設置情報(路側装置22の配置に関するデータ)を使わないと判断して、表示画面上の新規スイッチ31にタッチした場合、あるいは、ステップS304において、外部メモリ7に記憶されている路側装置22の設置情報中に、これから使用可能なものがないと判断した場合、ともに、運転者の入力に基づいてステップS305へと進む。ステップS305において、車載装置2は路車間通信装置17および路車間通信機24を介して車載装置2の近傍に位置する路側装置22aに対して、路側装置22aが保有する情報入手ネットワーク21を形成する路側装置22の設置情報の入手要求を発信する。
【0029】
これに対して、路側装置22aが、その保有する路側装置22の設置情報を路車間通信機24および路車間通信装置17を介して車載装置2に向けて送信すると(ステップS306)、設置情報を受信した車載装置2は、表示装置8のナビゲーション機能による地図画面に重ねるように路側装置22の配置を表示する(ステップS307:図6において路側シンボル32にて示す)。これ以降は、ステップS309へと進み、上述した場合と同様の制御が行われるため、説明は省略する。尚、車載装置2は、道路画像をこのようにして入手した後も、入手した路側装置22の設置情報(路側装置22の配置に関するデータ)を記憶し、以後、路側装置22を指定する場合に利用される。
【0030】
本実施形態によれば、車載装置2が近傍に位置する情報入手ネットワーク21中の路側装置22aに対して、入手したい道路画像を撮影可能な路側装置22bを指定し、指定した路側装置22bからの道路画像データを、情報入手ネットワーク21を介して、近傍に位置する路側装置22aから受信して、道路画像データによる道路画像を表示装置8に表示する。これにより、入手した道路画像データによる道路画像を見た運転者が、実際の道路の状況をリアルタイムに把握することができる。また、道路画像に基づいて、道路上の渋滞箇所を判定するセンタ等を設ける必要がなく、低コストの道路情報入手システムにすることができる。
【0031】
また、車載装置2は入手したい道路画像を撮影可能な路側装置22bを指定する際に、該当する路側装置22bを含んだ情報入手ネットワーク21内の路側装置22の設置情報(路側装置22の配置に関するデータ)を記憶していれば、記憶されている設置情報中の路側装置22を指定する。これにより、過去に記憶した路側装置22の設置情報を有効に利用することができ、路側装置22と車載装置2間のデータ通信回数を低減できる。
【0032】
<実施形態2>
次に、図8乃至図13に基づいて、本発明の実施形態2による道路情報入手システムについて説明する。図8は車載装置2の近傍に位置しており、車載装置2から道路画像の要求を受けた路側装置22aの制御部26による制御フローチャートを示している。最初に、車載装置2の近傍に位置している路側装置22aが、車載装置2から道路画像の要求を受ける(ステップS801)。路側装置22aが道路画像の要求を受けるとは、設置情報から選択された路側装置22bを、路側装置IDにより指定して道路画像を要求する信号とともに、時間間隔データ、車両IDおよび位置検出器3により検出された車両28の現在位置データを車載装置2から受信することである。
【0033】
次に、画像要求を受けた路側装置22aは、車両28の現在位置データおよび選択された路側装置22bの位置とから、車両28の予想走行経路を算出する(ステップS802:図9示)。尚、図9および図10は、制御部26内において、その独自に保有する周辺の地図データ上に、予想走行経路が形成されたことを示すイメージ図であり、表示装置8等の実際の画面を表したものではない。
【0034】
その後、道路画像の要求を受けた路側装置22aは、設定した車両28の予想走行経路から、予想走行経路上の路側装置22を検出、設定する(ステップS803:図9において路側シンボル32(1つのみ符号を付す)にて示す)。路側装置22aは、路側間通信機25を介して、運転者が指定した路側装置22bに対して、車両28から道路画像の要求があることを通知して、カメラ23を使用して道路画像を取得する指示を行う。また、路側装置22aは、路側間通信機25を介して、予想走行経路上のその他の路側装置22に対しても、車両28から路側装置22bに対して、道路画像の要求があることを通知する(ステップS804)。その後、路側装置22bによって取得された道路画像は、情報入手ネットワーク21を介して、道路画像データの受信時において車両28の近傍に位置する路側装置22から、車載装置2へと送信される(ステップS805)。
【0035】
次に、図11乃至図13に基づいて、実施形態2による、取得した道路画像の車載装置2への送信方法(図8のステップS805の詳細)について説明する。本実施形態においては、路側装置22bにより取得された道路画像データを予想走行経路上のすべての路側装置22において保有し、道路画像の要求を受けた路側装置22aに限らず、車両28の移動に合わせて、車載装置2による道路画像データの受信時において、予想走行経路上の車載装置2の近傍に位置する路側装置22から発信する方法をとっている。そのために、車載装置2は、常に車両28の現在位置データとともに、画像要求信号を近傍に位置する路側装置22に対して継続して発信するとともに、路側装置22は、道路画像データ全体を道路画像を構成する例えば9つの細分データ群に分割し(図12示)、細分データ群毎に車載装置2へ送信する。
【0036】
図11は、取得した道路画像データを車載装置2へ発信する場合の、各路側装置22の制御部26による制御フローチャートを示している。図11に示すステップS1101において、路側装置22aが車載装置2から道路画像の要求を受けると、ステップS1102へと進んで、他の路側装置22から通知を受けていないと判定され、ステップS1104において、メモリ27内のカウンタをN=1とする。当該カウンタ値は、図12に示したように、道路画像を構成する分割された9つの細分データ群のどれかを特定するもの(パーツ番号)である。
【0037】
次に、制御部26内のタイマをリセットした後にスタートさせる(ステップS1105)。その後、路側装置22aは、路側装置22bから入手した道路画像の細分データ群(1)を、路車間通信機24および路車間通信装置17を介して車載装置2へ送信する(ステップS1106)。図12に示すように、細分データ群(1)は道路画像の最上部左端を形成するものである。
【0038】
路側装置22aによる細分データ群(1)の送信に対して、車載装置2から細分データ群(1)の受信完了通知を受信すると(ステップS1107)、ステップS1108において、メモリ27内のカウンタを1つだけインクリメントした後、ステップS1109において、メモリ27内のカウンタ値が9以下であると判定されると、ステップS1105へと戻り、上述した場合と同様に、細分データ群(2)(図12において、細分データ群(1)の右隣に位置する)について車載装置2への送信を行う。車両28が路側装置22aの近傍に位置する場合、このようにして、細分データ群(1)〜(9)が車載装置2に対し送信される。
【0039】
もし、図13に示すように、路側装置22aから車載装置2に対して細分データ群(1)〜(4)の送信が終了した後(図13において斜線にて示す)、路側装置22aによる車載装置2への細分データ群(5)の送信に対して、車載装置2からデータの受信完了通知が到達しない場合は(ステップS1107)、ステップS1110を介してステップS1106へと進んで、所定時間だけ待機することになる。車載装置2からデータの受信完了通知を受信しないまま所定時間が経過した場合、細分データ群(5)の送信中に、車両28が路側装置22aから通信不能な位置に離れたとして、路側間通信機25により、予想走行経路上の他の路側装置22に対して、細分データ群(5)〜(9)を車載装置2へ送信するように通知する(ステップS1111)。
【0040】
予想走行経路上にあり、路側装置22aとは異なる路側装置22であって、車両28の接近により、新たに車載装置22から車両28の現在位置データとともに、画像要求信号を受信した路側装置22は、ステップS1101において、車載装置2から道路画像の要求を受けたと判定された後、ステップS1102において、路側装置22aから、上述のステップS1111における通知を受信したと判定されて、ステップS1103へと進む。当該路側装置22は、ステップS1103においてメモリ27内のカウンタ値を5とした後、ステップS1105へと進む。これ以降、上述した路側装置22aの場合と同様に、車両28が近傍に位置している間、当該路側装置22による車載装置2への細分データ群(5)〜(9)の送信が継続される。
【0041】
もし、その後、車両28が送信中の路側装置22から通信不能な位置に離れた場合、上述した場合と同様に、当該路側装置22から通知を受けた、予想走行経路上にある次に車載装置2と通信可能になる路側装置22が、車載装置2に対して以後の細分データ群(N)の送信を行う。
【0042】
また、路側装置22から車載装置2への細分データ群(N)の送信中に、車両28の実際の走行経路が、路側装置22aによって設定された予想走行経路から逸脱した場合、その時に車載装置2から車両28の現在位置データを受信した路側装置22、あるいは当該路側装置22から、路側間通信機25により現在位置データを入手した路側装置22aは、車両28の現在位置データおよび選択された路側装置22bの位置とから、車両28の予想走行経路を修正する(図10示)。これ以降、修正された予想走行経路に基づいて、上述した場合と同様に、道路情報入手のための制御が行われる。
【0043】
本実施形態によれば、車両28の現在位置データを受信した路側装置22aが受信した現在位置データと、入手したい道路画像を撮影可能な路側装置22bの位置とにより、車両28の予想走行経路を算出し、車載装置22は指定した路側装置22bからの道路画像データを、情報入手ネットワーク21を介して、予想走行経路上にある路側装置22の内、入手時において車載装置2の近傍に位置する路側装置22から受信する。これにより、予想走行経路上にある路側装置22のみが道路画像データを保有すれば、車両28の移動にかかわらず、常に情報入手ネットワーク21を介して運転者が所望する道路画像を入手することができる。
また、道路画像データを、道路画像を構成する複数の細分データ群に分割して車載装置2に対して送信しているため、道路画像データの総数が多くても、移動中の車両28に対してすべてのデータを送信することができる。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
車載装置は近傍に位置する路側装置に対し道路画像の入手を要求する場合、入手したい道路画像を撮影可能な路側装置の代わりに、入手したい道路画像の位置を指定してもよい。
【0045】
車載装置が道路画像を要求する際に、車両の誘導されている経路を送信し、誘導経路を受信した路側装置が誘導経路上にある路側装置に対し車載装置から道路画像の要求があることを通知し、車載装置は指定した路側装置からの道路画像データを、情報入手ネットワークを介して、車両の誘導経路上にある路側装置の内、入手時において車載装置の近傍に位置する路側装置から受信するようにしてもよい。これにより、路側装置が車両の予想走行経路を算出しなくても、車両の移動にかかわらず、常に運転者が所望する道路画像を入手することができる。
【0046】
路側装置の設置情報(路側装置の配置に関するデータ)は、車載装置の道路地図データ内に含まれているものを利用してもよい。
車載装置は、必ずしもナビゲーション装置の機能を有さなくてもよい。
情報入手ネットワーク内の通信は無線通信によって行われてもよい。
車載装置が路側装置から入手する道路画像データは静止画像データに限られず、車載装置が動画画像データを入手して、表示装置に道路の動画画像を表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態1による道路情報入手システムの構成を示すブロック図
【図2】道路情報入手システムの機能説明をするためのイメージ図
【図3】車載装置の制御装置による制御フローチャート
【図4】車載装置の表示装置の初期画面を示す図
【図5】道路画像の入手を要求した場合の画面を示す図
【図6】地図に路側装置が配置されて表示された画面の図
【図7】表示装置に道路画像が表示された図
【図8】実施形態2による路側装置の制御部によるメインの制御フローチャート
【図9】地図上に予想走行経路が形成されたことを示すイメージ図
【図10】修正後の予想走行経路を表したイメージ図
【図11】取得した道路画像データを車載装置へ発信する場合の、路側装置の各々の制御部による制御フローチャート
【図12】道路画像を構成するデータを9つの細分データ群に分割したことを表す図
【図13】4つの細分データ群を送信したことを表す図
【符号の説明】
【0048】
図面中、1は道路情報入手システム、2は車載装置、3は制御装置、8は表示装置、17は路車間通信装置(通信装置)、21は情報入手ネットワーク、22、22a、22bは路側装置、23はカメラ、24は路車間通信機、25は路側間通信機、26は制御部、28は車両を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部と通信可能な通信装置、前記通信装置によって受信した画像データに基づいて画像表示可能な表示装置および前記通信装置と前記表示装置とを制御可能な制御装置を具備する車載装置と、
道路に沿って設けられた複数の路側装置であって、それぞれ近辺道路の状態を撮影可能なカメラ、前記車載装置の前記通信装置との間で通信可能な路車間通信機、互いに通信可能な路側間通信機、および前記カメラ、前記路車間通信機および前記路側間通信機を制御可能な制御部とを具備した複数の路側装置とを備え、
前記複数の路側装置は前記路側間通信機により情報入手ネットワークを形成し、前記車載装置が近傍に位置する前記情報入手ネットワーク内の前記路側装置に対して、入手したい道路画像あるいは入手したい道路画像を撮影可能な前記路側装置を指定し、指定した前記路側装置からの道路画像データを、前記情報入手ネットワークを介して近傍に位置する前記路側装置から受信して、前記道路画像データによる道路画像を前記表示装置に表示することを特徴とする道路情報入手システム。
【請求項2】
前記車載装置は入手したい道路画像あるいは入手したい道路画像を撮影可能な前記路側装置を指定する際に、車両の現在位置を送信し、車両の現在位置を受信した前記路側装置においては、受信した現在位置と入手したい道路画像あるいは入手したい道路画像を撮影可能な前記路側装置の位置とにより車両の予想走行経路を算出するとともに、前記予想走行経路上にある前記路側装置に対し前記車載装置から道路画像の要求があることを通知し、前記車載装置は指定した前記路側装置からの道路画像データを、前記情報入手ネットワークを介して、前記予想走行経路上にある前記路側装置の内、入手時において前記車載装置の近傍に位置する前記路側装置から受信することを特徴とする請求項1記載の道路情報入手システム。
【請求項3】
前記車載装置は入手したい道路画像あるいは入手したい道路画像を撮影可能な前記路側装置を指定する際に、車両の誘導されている経路を送信し、前記誘導経路を受信した前記路側装置は、前記誘導経路上にある前記路側装置に対し前記車載装置から道路画像の要求があることを通知し、前記車載装置は指定した前記路側装置からの道路画像データを、前記情報入手ネットワークを介して、前記誘導経路上にある前記路側装置の内、入手時において前記車載装置の近傍に位置する前記路側装置から受信することを特徴とする請求項1記載の道路情報入手システム。
【請求項4】
前記車載装置は入手したい道路画像あるいは入手したい道路画像を撮影可能な前記路側装置を指定するのに先立って、前記情報入手ネットワーク内の前記路側装置の配置に関するデータを入手し、前記車載装置は道路画像の入手後も前記路側装置の配置に関するデータを記憶するとともに、入手したい道路画像あるいは入手したい道路画像を撮影可能な前記路側装置を指定する際に、該当する前記路側装置を含んだ前記情報入手ネットワーク内の前記路側装置の配置に関するデータを記憶していれば、記憶されている前記路側装置の配置に関するデータ内の前記路側装置を指定することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の道路情報入手システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−286684(P2008−286684A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132889(P2007−132889)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】