説明

道路構造およびこれに用いられる蓋ブロック用緩衝体

【課題】 効率良く排水する道路構造とする。
【解決手段】 道路構造は、側溝13の上端開口を被覆するように複数の蓋ブロック15が連続して並べられており、隣り合う蓋ブロック15間に緩衝体16が介在させられ、緩衝体16に排水路41が形成されているものである。緩衝体16は、蓋ブロック15の端面15Aにそわされた基板31と、基板31の片面に側方突出状に設けられている排水路形成用スペーサ32とを備えている。スペーサ32は、歩道側の端部に位置させられる歩道側端部構成部33と、車道側の端部に位置させられる車道側端部構成部34とを備えている。歩道側端部構成部33および車道側端部構成部34の上縁は、互いに接近するにしたがって低くなるように傾斜させられている。歩道側端部構成部33および車道側端部構成部上縁の下端は、側溝13内に臨ませられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路構造、とくに、排水機能をもった道路構造およびこれに用いられる蓋ブロック用緩衝体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の道路構造としては、U形側溝の上端開口を被覆するように複数の蓋ブロックが連続して並べられており、所定数置きの蓋ブロックには格子付排水口が形成されているものが知られている。
【0003】
近年、バリアフリーが声高に叫ばれているが、道路構造としても例外ではない。その顕著な例としては、車道と歩道の間の段差であり、この段差は年々小さくなる傾向にある。とくに、横断歩道がある部分では、車道と歩道の間の段差は無いに等しい。
【0004】
上記の道路構造では、排水口と排水口の間に溜まった水は、いずれかの排水口に向かって流れることになるが、上記段差が小さいと、水が大きく拡がることとなって、流れ難く、排水効率が悪いという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、効率良く排水することができる道路構造およびこれに用いられる蓋ブロック用緩衝体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による道路構造は、側溝の上端開口を被覆するように複数の蓋ブロックが連続して並べられており、隣り合う蓋ブロック間に緩衝体が介在させられ、緩衝体に排水路が形成されているものである。
【0007】
この発明による道路構造では、各蓋ブロックの両側に緩衝体があり、各緩衝体の排水路を通じて排水することができるから、効率よく排水することができる。
【0008】
さらに、緩衝体が、蓋ブロックの端面の上縁にそわされた基板と、基板の片面に側方突出状に設けられている排水路形成用スペーサとを備えていると、隣り合う蓋ブロック間に緩衝体を介在させるだけで、排水路を簡単に形成することができる。
【0009】
また、スペーサが、歩道側の端部に位置させられた歩道側端部構成部と、車道側の端部に位置させられた車道側端部構成部とを備えており、歩道側端部構成部および車道側端部構成部の上縁が、互いに接近するにしたがって低くなるように傾斜させられており、歩道側端部構成部および車道側端部構成部上縁の下端が側溝内に臨ませられていると、排水される水は、歩道側端部構成部および車道側端部構成部上縁を伝って流れて、側溝まで導かれるから、緩衝体の全長にわたる部分から排水することができる。
【0010】
また、車道に排水性舗装が施されており、排水性舗装が、上透水層および下不透水層よりなり、車道側端部構成部上縁の上端が下不透水層の上面と同レベル、またはそれよりも低レベルに位置させられていると、車道において、上透水層を通過し、下不透水層の上面を伝って流れる水を効率良く側溝に導くことができる。
【0011】
また、基板およびスペーサが互いに接着されていると、緩衝体を効率良く製造することができる。
【0012】
また、基板およびスペーサが互いに同一の厚みを有していると、緩衝体を製造するための材料として、基板およびスペーサのいずれにも同じ材料を使用することができ、材料費を節約することができる。
【0013】
この発明による蓋ブロック用緩衝体は、隣り合う蓋ブロック間に介在させられる緩衝体であって、蓋ブロックの端面の上縁にそわされる基板と、基板の片面に側方突出状に設けられている排水路形成用スペーサとを備えているものである。
【0014】
この発明による蓋ブロック用緩衝体では、隣り合う蓋ブロック間に緩衝体を介在させるだけで、蓋ブロックに排水機能がを付加することができる。
【0015】
さらに、スペーサが、歩道側の端部に位置させられる歩道側端部構成部と、車道側の端部に位置させられる車道側端部構成部と、歩道側端部構成部および車道側端部構成部の間に位置させられる少なくとも1つの中間部分構成部とを備えていると、緩衝体の全長にわたって排水路をバランス良く形成することができる。
【0016】
また、歩道側端部構成部および車道側端部構成部の上縁が、互いに接近するにしたがって低くなるように傾斜させられていると、緩衝体の両端部分にある水を緩衝体の中央部分に向かって導くことができる。
【0017】
また、基板およびスペーサが互いに接着されていると、緩衝体を効率良く製造することができる。
【0018】
また、基板およびスペーサが互いに同一の厚みを有していると、緩衝体を製造するための材料として、基板およびスペーサのいずれにも同じ材料を使用することができ、材料費を節約することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、効率良く排水することができる道路構造およびこれに用いられる蓋ブロック用緩衝体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明の実施の形態を図面を参照しながらつぎに説明する。
【0021】
図1は、道路の横断歩道の部分を示すものであって、歩道11、車道12、歩道11および車道12の境界に連続して並べられかつU形側溝13を有する側溝ブロック14を示すものである。図2に示すように、側溝ブロック14上には蓋ブロック15および緩衝体16が1つ置き交互に並べられて、側溝13を被覆している。
【0022】
車道12には歩道11に向かって3〜5%程度の勾配がつけられかつ排水性舗装21が施されている。排水性舗装21は、上透水性層22および下不透水性層23よりなる。側溝ブロック14は、コンクリート製である。蓋ブロック15は、コンクリート製で、2m程度の長さをもっている。蓋ブロック15の上面は、車道側から側溝13を超える部分までには水平面24が形成されるとともに、これに傾斜面25が続いている。傾斜面25の上端が歩道11と同レベルとなっている。
【0023】
緩衝体16は、蓋ブロック15の端面15Aの上部を被覆しかつ側溝13の上方を余裕をもって横断しうる長さをもった略帯状基板31と、基板31の片面に側方突出状に設けられている排水路形成用スペーサ32と、基板31の他面に被覆されている両面粘着シート(図示略)とを備えている。基板31の上縁は、蓋ブロック15の端面15Aの上縁と合致させられている。粘着シート33の露出させられた粘着面には剥離紙が貼り付けられている。
【0024】
基板31およびスペーサ32は、独立発泡材シートの同一材料から打抜き成形されたもので、互いに接着されている。シートの厚みは、例えば、5mmである。基板31およびスペーサ32の厚みは異なっていてもよい。
【0025】
スペーサ32は、歩道側の端部に位置させられる略台形状歩道側端部構成部33と、車道側の端部に位置させられる略三角形状車道側端部構成部34と、歩道側端部構成部33および車道側端部構成部34の間に位置させられている2つの方形状中間部分構成部35とを備えている。
【0026】
歩道側端部構成部33の上縁の、蓋ブロック15の傾斜面25に相当する部分は、基板31と同一形状に形成されているが、これより先の部分に、側溝13に向かって漸次低くなるように傾斜させられた歩道側傾斜部36が形成されている。歩道側傾斜部36の下端は側溝13に上方臨ませられている。車道側端部構成部34の上縁全体に、側溝13に向かって漸次低くなるように傾斜させられた車道側傾斜部37が形成されている。車道側傾斜部37の上端は、下不透水層23上面とほぼ同レベルであるが、これよりも低レベルであってもよい。車道側傾斜部37の下端は、側溝13に上方臨ませられている。両中間部分構成部35は、同一形状のもので、若干の間隔をおいて並んでいる。
【0027】
道路の施行に際しては、緩衝体16から剥離紙を剥がして、粘着シートの粘着面を1つの蓋ブロック15の端面に貼り付ける。その緩衝体16のスペーサ32に別の蓋ブロック15の端面を押し付けるように蓋ブロック15が並べられていく。
【0028】
隣り合う蓋ブロック15間に緩衝体16が介在された状態で、隣り合う蓋ブロック15間にスペーサ32の厚みに相当間隙が形成される。同間隙内における歩道側端部構成部33、車道側端部構成部34および中間部分構成部35の相互の間が蓋ブロック15の水平面から側溝13に通じる排水路41となる。
【0029】
図4は、横断歩道のない歩道11および車道12の境界部分を示すものである。蓋ブロック15の、上記水平面25に相当する部分には車道12と同じ角度だけ傾斜させられた傾斜面51が形成されている。この傾斜面51の車道側端部には、これに続いて段差部52が立ち上がっている。
【0030】
図4においても、上記緩衝体16に相当する緩衝体16が用いられている。この緩衝体16もまた、蓋ブロック15の端面15Aにそわされた基板31と、基板31の片面に側方突出状に設けられている排水路形成用スペーサ32とを備えている。スペーサ32は、歩道側端部構成部33、車道側端部構成部34および中間部分構成部35よりなる。
【0031】
側溝の例としては、上記U形側溝以外に、円形側溝、箱形側溝、門型側溝等を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明による道路構造の横断面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】この発明による緩衝体の斜視図である。
【図4】この発明による他の道路構造の横断面図である。
【符号の説明】
【0033】
11 歩道
12 車道
13 側溝
15 蓋ブロック
16 緩衝体
31 基板
32 スペーサ
33 歩道側端部構成部
34 車道側端部構成部
41 排水路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝の上端開口を被覆するように複数の蓋ブロックが連続して並べられており、隣り合う蓋ブロック間に緩衝体が介在させられ、緩衝体に排水路が形成されている道路構造。
【請求項2】
緩衝体が、蓋ブロックの端面の上縁にそわされた基板と、基板の片面に側方突出状に設けられている排水路形成用スペーサとを備えている請求項1に記載の道路構造。
【請求項3】
スペーサが、歩道側の端部に位置させられた歩道側端部構成部と、車道側の端部に位置させられた車道側端部構成部とを備えており、歩道側端部構成部および車道側端部構成部の上縁が、互いに接近するにしたがって低くなるように傾斜させられており、歩道側端部構成部および車道側端部構成部上縁の下端が側溝内に臨ませられている請求項2に記載の道路構造。
【請求項4】
車道に排水性舗装が施されており、排水性舗装が、上透水層および下不透水層よりなり、車道側端部構成部上縁の上端が下不透水層の上面と同レベル、またはそれよりも低レベルに位置させられている請求項2または3に記載の道路構造。
【請求項5】
基板およびスペーサが互いに接着されている請求項2〜4のいずれか1つに記載の道路構造。
【請求項6】
基板およびスペーサが互いに同一の厚みを有している請求項5に記載の道路構造。
【請求項7】
隣り合う蓋ブロック間に介在させられる緩衝体であって、蓋ブロックの端面の上縁にそわされる基板と、基板の片面に側方突出状に設けられている排水路形成用スペーサとを備えている蓋ブロック用緩衝体。
【請求項8】
スペーサが、歩道側の端部に位置させられる歩道側端部構成部と、車道側の端部に位置させられる車道側端部構成部と、歩道側端部構成部および車道側端部構成部の間に位置させられる少なくとも1つの中間部分構成部とを備えている請求項7に記載の蓋ブロック用緩衝体。
【請求項9】
歩道側端部構成部および車道側端部構成部の上縁が、互いに接近するにしたがって低くなるように傾斜させられている請求項8に記載の蓋ブロック用緩衝体。
【請求項10】
基板およびスペーサが互いに接着されている請求項8または9に記載の蓋ブロック用緩衝体。
【請求項11】
基板およびスペーサが互いに同一の厚みを有している請求項10に記載の蓋ブロック用緩衝体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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