説明

道路測量システム及び道路横断情報図作成システム

【課題】道路画像に基づいて道路の測量を簡易に行うことができるようにする。
【解決手段】データ関連マスタ22には道路の写真画像が記憶されており、データ処理部25は、該写真画像の座標を道路の現地座標に変換することによって、画像上に表示するスケールの目盛りの間隔を、画像座標のX座標及びY座標がカメラに近いほど大きくなるように見えるレンズ効果と同様に設定して、同一の現地距離を同一の目盛り数で表すことができるように設定する。データ処理部25は、このように設定された目盛りを有するスケールと、データ関連マスタ22に記憶された道路の写真画像とをモニタ27上に表示する。スケールはモニタ上で移動可能であり、移動に連れて、目盛り間隔が変更される。オペレータは、モニタ27上で、道路の写真画像上でスケールを測定位置に移動させて距離を読み取ることにより、現地の道路の測量値を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路測量システム及び道路横断情報図作成システムに関する。さらに詳細には、本発明は、測量すべき道路に沿ってカメラを移動させつつ道路及びその周辺を撮影し、コンピュータ支援の下で得られた画像データを処理して、道路の車道、側溝、縁石、歩道、法面、及び擁壁等の幅、並びに縁石、歩道、法面及び擁壁の高さを、オペレータが取得できるようにした道路測量システム、並びに、該システムを用いて入力された測量値に基づいて道路横断情報図を作成するための道路横断情報図作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の多数の位置に出向いて実際に測量を行うことにより、道路に関する測量値、例えば、車道及び歩道の幅等を得ている。
また、カメラで撮影した画像に基づいて道路図を作成することも行われおり、このような場合、道路を異なる複数の距離及び角度で撮影した複数の画像を得、該複数の画像に基づいて、道路の種々の箇所の2次元座標及び3次元座標を取得し、道路の種々の部分の測量値を得ている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、実際の道路の測量地点に出向いて測量を行う場合、多大な労力と時間とを必要としている。また、従来、カメラ等で撮影した画像に基づいて道路図を作成することも行われているが、このような場合、植木等の障害物が道路上にせり出していることが多々あり、このような障害物がある箇所では、画像情報から自動的に測定しようとしても、本来の道路情報を正確に測量することは不可能である。
【0004】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、撮影された道路画像に基づき、障害物のある箇所を人間が目視して画像情報に連動したスケールから測定値を読み取る又は推測することによって、道路の種々の部分の測量値を得ることで道路情報を取得し、道路の測量を簡易に行うことができるようにすることである。
本発明の第2の目的は、撮影により得られた道路画像から上記のようにして得られた測量値に基づいて、道路の断面情報図を簡易に作成することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した第1の目的を達成するために、本発明は、コンピュータ支援の下で道路写真から道路測量を行う道路測量システムにおいて、
道路を撮影する手段と、
道路の現地座標と撮影された道路の画像座標の変換を行って画像上に表示するスケールの目盛りを決定する手段であって、スケールの目盛りの間隔が、画像座標のX座標及びY座標がカメラに近いほど大きくなるように見えるレンズ効果と同様に設定されて、同一の現地距離を同一の目盛り数で表すことができるようにした、スケール目盛り決定手段と、
道路の画像とスケールとを同一のモニタ上に表示する手段と
を備え、スケールの目盛りを読むことによって現地の道路の測量を行うことができるようにしたことを特徴とする道路測量システムを提供する。
【0006】
上記した本発明に係る道路測量システムにおいて、スケールが、モニタ上で、道路の現地座標のX軸方向(道路の横断方向)に対応する方向に延在され、現地座標のY軸方向(道路の進行方向)に対応する方向に移動可能であり、道路の横断方向の測量を行うことができるようにすることが好ましい。また、スケールが、モニタ上で、道路の現地座標のY軸方向(道路の進行方向)に対応する方向に延在され、X軸方向(道路の横断方向)に対応する方向に移動可能であり、道路の進行方向の測量を行うことができるようにすることが好ましい。さらに、スケールが、道路の現地座標のZ軸方向(道路地面からの高さ方向)の測量を行うことができるようにモニタ上で移動可能であることが好ましい。
【0007】
上記した第2の目的を達成するために、本発明は、コンピュータ支援の下で道路横断情報図を作成する道路横断情報図作成システムにおいて、
上記した道路測量システムと、
道路の横方向断面図を表す複数のテンプレートをモニタ上に表示する手段と、

横方向断面図のテンプレートの1つが選択されたときに、該テンプレートによって表される横断図を、該横断図に含まれる構造物パーツのサイズを入力するための入力欄とともにモニタ上に表示する手段と、
構造物パーツのサイズを入力する入力手段と
からなり、道路測量システムのモニタ上に表示された画像上のスケールから読み取った構造物パーツのサイズを入力手段から入力することにより、道路の横断情報図を作成することができるようにしたことを特徴とする道路横断情報図作成システムを提供する。
【0008】
上記した本発明に係る道路横断情報図作成システムにおいて、該システムはさらに、道路の構造物パーツを表すテンプレートをモニタ上に表示する手段と、モニタ上で、表示された横断図に含まれる構造物パーツを、テンプレートで表された構造物パーツに置換する手段とを備えていることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1−1及び図1−2は、本発明に係る道路測量システムを構成する、カメラを搭載し測量すべき道路を撮影して道路画像を取得するための車両1、及び、得られた道路画像の画像データを処理するコンピュータ支援システム2を示す概略図である。車両1は、通常、走行しながら道路画像を取得する。
【0010】
車両1は、図1−1に示すように、PC等からなる制御及びデータ処理部10、カメラ11、車両1のローリング、ピッチング及びヨーイング検出用の3軸センサ12、車両の位置及び高度検出用のGPS受信機13、写真データ記憶部14、3軸センサデータ記憶部15、GPSデータ記憶部16を備えている。カメラ11、3軸センサ12、及びGPS受信機13により得られたデータは、写真データ記憶部14、3軸センサデータ記憶部15、及びGPSデータ記憶部16にそれぞれ記憶され、これら記憶部に記憶されたデータは、データ収集終了後データ退避記憶部17のCD−ROM等の外部記憶媒体に退避すなわち記憶される。その外部記憶媒体はコンピュータ支援システム2にバッチで渡される。カメラ11は、測量すべき道路の幅及びカメラの視野に応じて、1又は複数を車両1に搭載することができる。
【0011】
制御及びデータ処理部10は、車両1に備えられたシステム全体の制御を行う。例えば、制御及びデータ処理部10の制御の下で、カメラ11の位置合わせ、ピント、輝度等の制御が行われ、また、カメラから得られた画像は写真データ記憶部14に記憶される。3軸センサ12及びGPS受信機13から得られたデータも、制御及びデータ処理部10の制御の下で記憶部15及び16に記憶される。記憶部14〜16への記憶は、撮影時におけるそれぞれのデータの取得に関連付けて記憶される。これらの記憶されたデータは、データ収集終了後に外部記憶媒体に退避し、コンピュータ支援システム2においてバッチで渡されて復元される。必要に応じて、データを車両1側からコンピュータ支援システム2側にリアルタイムで送信しても良い。
【0012】
コンピュータ支援システム2は、図1−2に示すように、車両1側から外部記憶媒体で退避されたデータの復元データを記憶するデータ記憶部20、該記憶部20に記憶されたデータを関連付けるデータ関連付部21、関連付けられたデータを記憶するデータ関連マスタ(記憶部)22、テンプレート記憶部23、横断情報図作成用のモニタ24、データ処理部25、道路3Dデータ記憶部26、道路写真表示用のモニタ27を備えている。
【0013】
データ関連付部21は、受信データ記憶部20に記憶された写真データ、3軸センサのデータ、GPSデータを、それぞれの取得場所を基準にして関連づけを行う。すなわち、同一取得場所の写真データ3軸センサデータ及びGPSデータを関連付けて、データ関連マスタ22に格納する。このとき、後の検索のために、以下のようなデータを検索キーワードとして利用できるようにすることが好ましい。

道路位置(X,Y,Z)
道路ID(道路の上線/下線を含む)
車両位置(X,Y,Z)(=GPSデータ)
写真取得日時

なお、道路位置は、車両位置から所定距離前方(例えば、前方10m)の位置である。また、道路位置及び車両位置の座標は、GPSデータ(経度、緯度及び高度(標高)座標)に基づくものであるが、予め設定した適宜の座標系の位置座標に変換している。
【0014】
データ処理部25は、データ関連マスタ22に記憶されたデータを処理して、道路の写真画像を、長さ及び高さを示す目盛りが付されたスケールと共にモニタ27上に表示させるよう制御する。オペレータは、該表示された道路画像からスケールの目盛りを参照して、車道及び歩道の幅、歩道の車道からの高さ等の種々の値を読み取り、3Dデータからなる測量値として、横断情報図24の入力部から入力する。該入力部から入力された3Dデータは、道路3Dデータ記憶部26に記憶される。モニタ27は、車両1のカメラ11に対応して設けることが好ましく、カメラが例えば2台であれば、図1−2に示すように、モニタ27も2台備えることが好ましい。
【0015】
モニタ27上のスケールは、現地道路の同一の横方向(横断方向)ラインであっても、車両1の進行方向に近いほど画像上のスケールの目盛り間隔が大きく設定され、また、現地道路の同一の進行方向ラインであっても、車両1に近いほど画像上のスケールの目盛り間隔が大きく設定される。目盛り間隔の設定については、以降で詳細に説明する。
このように、写真画像の位置に応じてスケールの目盛り間隔が調整されることにより、長さが同一であれば、同一の目盛り数で表示することができる。
【0016】
上記したように、本発明の道路測量システムにおいては、コンピュータ支援システム2のモニタ27に道路の写真画像をスケールとともに表示し、オペレータが該スケールを参照して道路写真から道路の種々の部分の幅及び高さを読み取って入力することができるように構成されている。
このように用いられるスケールの目盛りを決定する原理を、図2−1及び図2−2を参照して以下に説明する。なお、理解を容易にするために所定の数値を用いてスケール決定の原理を説明するが、これら数値に限定されるものではないことが勿論である。
【0017】
図2−1に示すような現地のXY座標を考える。すなわち、現地において、車両1の道路上の進行方向線を基準線(X=0)とし、車両上のカメラの位置を基準位置O(0,0)とし、左前方に1m間隔の行列8×10を構成する線を描き、行列の交点それぞれを座標(X,Y)で表す。カメラ11は、車両の地上から2mの位置である現地座標(X,Y,Z)=(0,0,2000)から、カメラの中心が地上の現地座標(5000,10000,0)を向くように設定する。
現地撮影で得られた画像は、例えば、図2−2に示すようになり、画像のXY座標の原点(0,0)を左下とし、左上端座標(0,132)、右下端座標(156,0)、右上端座標(156,132)とする。
【0018】
地点A〜Fの図2−1における現地座標系と図2−2における画像座標系は、以下のような関係が得られる。なお、以下において、大文字のアルファベットは現地地点を表し、対応する小文字のアルファベットは、これら現地地点に対応する画像上の位置を表すものとする。(ただし、図2−2においては、画像上の位置であっても大文字のアルファベットで示している。)
地点A:(XA,YA)=(4000,7000) (Xa,Ya)=(47,43)
地点B:(XB,YB)=(4000,6000) (Xb,Yb)=(27,34)
地点C:(XC,YC)=(3000,6000) (Xc,Yc)=(46、31)
地点D:(XD,YD)=(3000,7000) (Xd,Yd)=(64,41)
地点E:(XE,YE)=(4000,5000) (Xe,Ye)=( 5,23)
地点F:(XF,YF)=(4000,8000) (Xf,Yf)=(64,37)
このようにして、現地の複数地点の現地座標及び画像座標を予め取得する。
【0019】
現地の地点A−地点E上の任意の地点Pについて、以下の関係式が成り立つ。なお、以下の式において、2つのアルファベットの前に付けられたΔは距離を表すものとする。例えば、ΔABは現地の地点A及びBの間の距離、Δabは地点A及びBに対応する画像上の位置a及びbの間の距離を表している。

Δep=(Δba−Δeb)ΔEP2/ΔEA
+(3*Δeb−Δba)ΔEP/ΔEA (1)
【0020】
上記式(1)において、ΔEAは予め設定した固定値(=2m)であり、Δbaは現地画像と画像座標との関係で画像座標から得られる固定値である。したがって、画像上に表示されたスケールを読んでΔepが得られれば、上記式からΔEP、すなわち、地点Eと地点Pとの距離を演算することができる。言い換えると、画像上に、現地座標の距離に対応する目盛りを付けたスケールを表示し、該スケール上でΔepに相当する目盛りを読むだけで、現地の距離ΔEPを取得することができることになる。
【0021】
上記においては、地点A及びEの現地座標を既知として説明したが、現地座表系と画像座標系との間の関係を予め求めておけば、現地の同一距離をスケール上の同一目盛り数で表すことができるので、同一列(道路の前方方向=車両の進行方向)上に存在する任意の2地点間の距離を取得することができる。すなわち、以降で詳細に説明するが、画像座標の基準Y座標がカメラに近いほど大きくなるように見えるレンズ効果と同様にスケールの目盛りを設定することにより、同一の現地距離を同一の目盛り数で表すことができるので、スケール目盛りを読み取ることにより、同一列上の任意の2地点の間の距離を取得することができる。
同様に、同一行(道路の幅方向)上の2地点間の距離及び地上からの高さについても、スケール目盛りを、現地座標がカメラに近いほど、距離が大きく見えるレンズ効果と同様に設定することにより、同様に求めることができる。
【0022】
次に、画像上に表示するスケールの目盛りの設定について説明する。画像上のスケール上の目盛りは、例えば、現地における10cm単位(拡大時には1cm単位)に相当するように付ける。このとき、図2−2からも明らかなように、現地での地点間の距離と画像上の地点間の距離とは非線形である。これは、レンズ効果によるものである。そこで、同一現地距離を示す目盛りであっても、間隔を変化させる必要がある。
例えば、図2−1及び図2−2に示すように、車両1から6.3m先の道路を横断するライン上に地点Pが存在し、同様に6.3mの横断ライン上でP点より1m右方向の地点P’までの間の10cm毎の距離を表す画像上のスケール目盛りを演算する。

地点P:現地座標(XP,YP)=(4000,6300)
画像座標(Xp,Yp)=(33.26,36.82)
地点P’:現地座標(XP’,YP’)=(3000,6300)
画像座標(Xp’,Yp’)=(52.26,23.82)

演算の結果、現地座標及び画像座標のX座標は、以下のような関係にある。
【表1】

【0023】
上記からも明らかなように、画像上の変化量は、車両1の進行ライン(カメラ進行線)に近づくほど大きくなっており、画像上のスケールには、実際の10cm単位の距離を表すために、上記表の変動する変化量毎に目盛りを付せばよいことが分かる。
モニタ27上に表示された画像の任意の横方向ライン上にスケールを置いたときの全体の目盛りの変化量は、以下のようにして求めることができる。
まず、任意の横方向ライン(行ライン)の現地座標Yを決定し、該ライン上で1m離れている2つの地点P及びP’の間を10cm単位で区分した場合の3つの連続する地点P1〜P3を考える。
地点P1現地座標(XP1,YP1)=(XP1,YQ
地点P2現地座標(XP2,YP2)=(XP2+k,YQ
地点P3現地座標(XP3,YP3)=(XP1+2k,YQ
(ただし、k=10)
【0024】
式(1)から、10cm離間している現地の地点P1とP2との間の画像上の変化量すなわち距離Δp12は、式(1)と同様にして、以下の式で表される。

Δp12=(Δp23−Δp12)X2/ΔP13
+3*Δp12−Δp23)X/ΔP13 (2)

ただし、Xは地点P1とP2との間のX座標であるが、P1を地点Pから地点P’までの間で順次移動させても(ただし、XP1=>XP+80)、上記式(2)は成立するので、式(1)におけるXは地点Pと地点P’との間の任意地点のX座標としても、上記式(2)は成立する。また、地点PのX座標を任意としても上記式(2)は成立する。
したがって、現地X座標に応じて、スケール上の目盛り間の距離(間隔)を式(2)に基づいて変化させれば良いことが分かる。
【0025】
同様に、車両の進行方向の距離を表すためのスケールの目盛りの距離、すなわち、同一の現地X座標上の1m離間した2つの地点Q及びQ’の間の10cmを表すための式は、以下のように表すことができ、この場合も、現地Y座標に応じてスケール上の目盛り間の間隔を変化させればよい。

Δq12=(Δq23−Δq12)Y2/ΔQ13
+3*Δq12−Δq23)Y/ΔQ13 (3)
(ただし、Yは現地のY座標)
【0026】
さらに、高さ方向を表すためのスケール目盛りの変化量は、予め、現地座標の各交点に高さ2mのスケールを配置した画像を撮影しておき、上記と同様にして式(1)から求めることができる。
例えば、図2−3に示すように、現地座標(X,Y)=R1(4000,6000)、R2(5000,6000)、R3(6000,6000)に高さ2mのスケールを配置した場合、R1,R2,R3における画像上の長さは、それぞれ23.0、20.5、19.0となり、進行方向や横方向のスケールと同様に車両1に近づくほど目盛りの間隔が大きくなることがわかる。
そして、図2−3に示すような、現地座標(X,Y,Z)=(4000,6000,0)と(4000,6000,1000)と(4000,6000,2000)を結ぶラインについて、式(1)を適用すれば、地点R1における任意の高さでの画像上の点が求められる。
Δr12=(Δr23−Δr12)Z2/ΔR13
+3*Δr12−Δr23)Z/ΔR13 (4)
(ただし、Zは現地座標)
地点R2でも同様に計算が可能なので、同じ高さの点を結ぶことで、地点R1とR2間における任意の位置についてスケールの目盛りを設定することができる。よって該任意の地点のXY座標によって変動するスケールの目盛りを設定することができる。
【0027】
このように、モニタ27上に表示された道路画像上でスケールを測定したい箇所に移動させると、それに連れてスケールの目盛り間隔が変更され、実際の道路のXYZ方向の単位長さ(例えば10cm)を表す目盛りとして画面上に表示される。したがって、オペレータは、スケールの目盛りを読み取るだけで、道路を構成する車道、歩道等の大きさを測量することができる。
一旦、スケールの目盛りを設定すると、カメラ11の地上からの高さ、中心方向、視野角等を変更しない限り、設定されたスケール目盛りを使用して測量することができる。カメラのローリング、ピッチングおよびヨーイングが変化した画像は、撮影時に3軸センサ12からのデータにより画像を標準位置に修正する。
【0028】
次いで、オペレータは、表示された写真画像から道路の所定位置の横断情報図の構造を決定し、該横断情報図を構成する要素それぞれの幅/高さの測量値として、読み取ったスケールの値を入力することができ、これにより、幅等の測量値が挿入された道路の横断情報図を作成することができる。以下に、このような道路の横断情報図の作成について、より詳細に説明する。
【0029】
データ処理部25は、モニタ27上で道路の進行方向であるY座標がスケールの位置によって特定され、横断情報図作成用のモニタ24上で、横断情報図作成機能が選択されると、テンプレート記憶部23に予め記憶された複数の模式的な横断図テンプレートを読み出して該モニタ24上に表示する。図3−1は、横断情報図作成用のモニタ24上に表示される横断図テンプレートの代表的な3つの例を示している。必要に応じて、左右山タイプ等の別の横断図テンプレートをさらに追加しても良い。
【0030】
オペレータが、モニタ27上に表示された道路の写真画像から道路の基本的な形状及び構造を把握し、それに類似する横断図テンプレートを横断情報図作成用のモニタ24上で選択すると、データ処理部25により、該選択されたタイプのテンプレートのみが、そのモニタ24上に、道路を構成する構造物パーツそれぞれのサイズを入力可能な状態で表示される。この状態で、構造物パーツは置換可能となる。
道路の構造物パーツとして、車道(断面構造が異なる複数の車道を含む)、歩道、法面、山パーツ、谷パーツ、側溝(U字側溝、L字側溝)、擁壁等が含まれ、これらパーツのテンプレートもテンプレート記憶部23に記憶されている。また、必要に応じて他の構造物パーツを追加格納可能である。
【0031】
構造物パーツを置換するためには、横断情報図作成用のモニタ24上に表示された複数のパーツテンプレートから1つを選択して、表示された横断図テンプレートのパーツ上にドラグすること等によって、置換される。例えば、山パーツと谷パーツとを入れ替えることができ、U字側溝とL字側溝とを入れ替えることもできる。車道の断面構造も置換可能である。また、選択され表示された横断図テンプレートの中で任意の構造物パーツの幅サイズをゼロにすると、その構造物パーツを削除することができる。これらの機能は、データ処理部25によって実行される。
【0032】
データ処理部25は、入力された構造物パーツのサイズに応じて、該パーツの表示サイズを変更し、これにより、実際の道路のサイズに対応する横断情報図を表示することができる。
図3−2は、模式的な左谷右山タイプの横断図テンプレートを選択して該テンプレートを横断情報図作成用のモニタ24上に表示し、かつ、モニタ27から読み取ったそれぞれの構造物パーツのサイズを入力した状態を示している。この例では、パーツの置換が行われていない。このように、道路の横断的構造を一元的に表示することができる。
【0033】
本発明は以上のように構成され、撮影された道路画像に基づき、障害物のある箇所を人間が目視して画像位置に連動したスケールから測定値を読み取る又は推測することによって、道路の種々の部分の測量値を得ることができるので、障害物があっても道路の測量を簡易に行うことができる。また、このようにして得られた測量値に基づいて、道路の横断情報図を簡易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1−1】本発明の道路測量システム及び該システムを備えた道路断面情報図作成システムに具備される、道路画像を得るための車両の構成を示すブロック図である。
【図1−2】本発明の道路測量システム及び該システムを備えた道路断面情報図作成システムに具備される、コンピュータ支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2−1】本発明の道路測量システムにおける動作原理を説明するための図である。
【図2−2】本発明の道路測量システムにおける動作原理を説明するための図である。
【図2−3】本発明の道路測量システムにおける動作原理を説明するための図である。
【図3−1】本発明の道路横断情報図作成システムにおいて表示される横断図テンプレートの代表例を示す図である。
【図3−2】本発明の道路横断情報図作成システムにおいて作成表示された道路横断情報図の一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ支援の下で道路写真から道路測量を行う道路測量システムにおいて、
道路を撮影する手段と、
道路の現地座標と撮影された道路の画像座標の変換を行って画像上に表示するスケールの目盛りを決定する手段であって、スケールの目盛りの間隔が、画像座標のX座標及びY座標がカメラに近いほど大きくなるように見えるレンズ効果と同様に設定されて、同一の現地距離を同一の目盛り数で表すことができるようにした、スケール目盛り決定手段と、
道路の画像とスケールとを同一のモニタ上に表示する手段と
からなり、スケールの目盛りを読むことによって現地の道路の測量を行うことができるようにしたことを特徴とする道路測量システム。
【請求項2】
請求項1記載の道路測量システムにおいて、スケールは、モニタ上で、道路の現地座標のX軸方向(道路の横断方向)に対応する方向に延在され、現地座標のY軸方向(道路の進行方向)に対応する方向に移動可能であり、道路の横断方向の測量を行うことができるようにしたことを特徴とする道路測量システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の道路測量システムにおいて、スケールは、モニタ上で、道路の現地座標のY軸方向(道路の進行方向)に対応する方向に延在され、X軸方向(道路の横断方向)に対応する方向に移動可能であり、道路の進行方向の測量を行うことができるようにしたことを特徴とする道路測量システム。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の道路測量システムにおいて、スケールは、道路の現地座標のZ軸方向(道路地面からの高さ方向)の測量を行うことができるようにモニタ上で移動可能であることを特徴とする道路測量システム。
【請求項5】
コンピュータ支援の下で道路横断情報図を作成する道路横断情報図作成システムにおいて、
請求項1〜4いずれかに記載の道路測量システムと、
道路の横方向断面図を表す複数のテンプレートをモニタ上に表示する手段と、

横方向断面図のテンプレートの1つが選択されたときに、該テンプレートによって表される横断図を、該横断図に含まれる構造物パーツのサイズを入力するための入力欄とともにモニタ上に表示する手段と、
構造物パーツのサイズを入力する入力手段と
からなり、道路測量システムのモニタ上に表示された画像上のスケールから読み取った構造物パーツのサイズを入力手段から入力することにより、道路の横断情報図を作成することができるようにしたことを特徴とする道路横断情報図作成システム。
【請求項6】
請求項5記載の道路横断情報図作成システムにおいて、該システムはさらに、
道路の構造物パーツを表すテンプレートをモニタ上に表示する手段と、
モニタ上で、表示された横断図に含まれる構造物パーツを、テンプレートで表された構造物パーツに置換する手段と
を備えていることを特徴とする道路横断情報図作成システム。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【公開番号】特開2009−139259(P2009−139259A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316818(P2007−316818)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【特許番号】特許第4160106号(P4160106)
【特許公報発行日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(505145242)エー・シー・エス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】