道路照明システム
【課題】無駄な電気エネルギーの使用を従来よりもさらに少なくすることができる道路照明システムを提供する。
【解決手段】複数のLEDランプが設けられている照明器具5(A1〜A6)と親機コンピュータ4bとを通信線7で接続して、親機コンピュータ4bが光センサ3が測定した野外輝度に基づいて、トンネルの入口部照明曲線に沿ったLEDランプごとの調光率を設定し、各照明器具5へ送信して、各照明器具5では、受信したLEDランプの調光率で点灯させる。
【解決手段】複数のLEDランプが設けられている照明器具5(A1〜A6)と親機コンピュータ4bとを通信線7で接続して、親機コンピュータ4bが光センサ3が測定した野外輝度に基づいて、トンネルの入口部照明曲線に沿ったLEDランプごとの調光率を設定し、各照明器具5へ送信して、各照明器具5では、受信したLEDランプの調光率で点灯させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路トンネル外部の野外の輝度条件に基づいて道路トンネル内の照明器具の輝度調整を行う道路照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル外部(野外)からトンネル内に通じる場所に配設される照明には、野外輝度により照度調整を行う制御方法が用いられている。例えば、一般道や高速道路のトンネルには、視覚の暗順応に対応した入口部照明が設置されている。このような入口部照明はトンネル外部の野外輝度に基づいて制御を行い必要な照度(輝度)を確保している。
【0003】
従来のトンネルにおける照明システムを図10に示す。図10に示された、照明システム101は、受電設備102と、自動調光装置受光部103と、自動調光装置104と、が屋外に設けられ、トンネル内には、複数の照明器具105(A1〜A3、B1〜B3、C1〜C3、D1〜D3、E1〜E3)と、電力線106、107、108、109、110と、が設けられている。
【0004】
受電設備102は、電力線106、107、108、109、110を介して複数の照明器具105に電源を供給している。自動調光装置受光部103は、トンネルの入口付近に設けられ野外の輝度を観測し、観測信号を自動調光装置104に出力している。自動調光装置104は、複数のスイッチ104a、104b、104c、104d、104eを備え、自動調光装置受光部103からの観測信号に基づいて各スイッチのON/OFFを制御して電力線106、107、108、109、110への電力を供給するか否かの切り替えを行っている。
【0005】
照明器具105は、トンネル内に設けられ、入口部の晴天用照明としてA1〜A3、入口部の曇天用照明としてB1〜B3、基本の昼間用照明としてC1〜C3、基本の夜間用照明としてD1〜D3、基本の深夜用照明としてE1〜E3にグループ分けされ、そして、A1〜A3は電力線106で、B1〜B3は電力線107で、C1〜C3は電力線108で、D1〜D3は電力線109で、E1〜E3は電力線110で、それぞれ接続されている。
【0006】
上述した構成の照明システム101は、自動調光装置受光部103が観測した観測情報に基づいて、グループごとに点灯する照明器具105の台数を増減させて照度を調整している。例えば、自動調光装置104が観測情報から野外が晴天であると判断した場合は、スイッチ104a及びスイッチ104bを閉制御して、A1〜A3、B1〜B3を点灯させる。また、自動調光装置104が観測情報から野外が曇天であると判断した場合は、スイッチ104aを開制御スイッチ104bを閉制御して、A1〜A3を消灯させ、B1〜B3を点灯させる。なお、基本照明であるC1〜C3、D1〜D3、E1〜E3は、時間によって制御される照明であり自動調光装置受光部103が観測した観測情報による制御を受けない。
【0007】
図10の照明システム101では、各グループごとに電力線を設けなければならず、配管や配線などの施工が多くなってしまうという問題があった。
【0008】
また、グループごとに照明器具の切り替えを行うと、路面輝度の均斉度が低下したり、照明器具の切り替えのタイミングで明るさが急変するといった問題がある。このような問題の影響により運転者がちらつきを感じるなど視環境に悪影響を及ぼす可能性があった。
【0009】
このような問題に対して、例えば、特許文献1に記載の照度調整システムが提案されている。特許文献1に記載の照度調整システムは、制御室と複数の照明器具とをネットワークで接続し、制御室からの制御信号によって、個々の照明器具のON/OFFを行っている。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載された照度調整システムでは、各照明器具は、ON/OFFの切り替え制御しか行われないため、グループ分けよりはよいものの、段階照明であることから、路面輝度の均斉度低下や、照明器具の切り替えのタイミングでの明るさ急変といった問題は解消しきれない。
【0011】
また、トンネルの入口部照明には図11に示すような入口部照明曲線Lが定められている。図11は、縦軸に路面輝度、横軸にトンネル入口からの距離を指し、トンネルの入口からの距離が遠くなるに従って徐々に路面輝度を低下させることを表している。入口部照明は、入口部照明曲線Lに沿った路面輝度となるように制御されなければならないが、上述した図10の照明システム101や特許文献1に記載された照度調整システムでは、段階調光であるために、図12に示すような電気エネルギーが無駄に消費される部分が多くなってしまう。図12のlは、図10の照明システムや特許文献1に記載された照度調整システムにおける路面輝度の変化であり、入口部照明曲線Lと図10の照明システムや特許文献1に記載された照度調整システムにおける路面輝度の変化lとの差分(図12の塗りつぶした部分)が無駄な電気エネルギーとなっている部分である。
【0012】
また、照明器具は、故障したことを通知する手段が無いため、従来ではトンネル内に定期的に車両を走行させて照明器具の状態を点検していた。さらに、図10の照明システムでは、曇天時に点灯する照明器具105(B1〜B3)は晴天時も点灯するため晴天時に点灯する照明器具105(A1〜B3)よりも点灯時間が長くなるが、従来は点灯時間を把握することができなかったために一斉に交換を行っていた。そのため、照明器具内のランプの寿命が正確に反映されておらず、ライフサイクルコストが増大していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−130259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したような問題に対して、本出願人は、照度補正機能付きの照明器具と自動調光装置とを通信経路で接続して、自動調光装置が自動調光装置受光部が測定した野外輝度からトンネルの入口部照明曲線を算出し、その入口部照明曲線に基づいて各照明器具の目標光束値を算出して送信し、照明器具では、目標光束値に基づいて輝度の調整を行うことを提案している。
【0015】
上述した各照明器具ごとに輝度の調整を行うことで、特許文献1に記載された照度調整システムよりも電気エネルギーの無駄を省き、入口部照明曲線に近づけることができるが、数メートル毎に設置される照明器具ごとの輝度調整であるので、設置間隔の範囲でしか調光することができないために、入口部照明曲線に完全に沿うようにするまでは至らず、図12の塗りつぶした部分が存在し、電気エネルギーの無駄を省く余地を残していた。
【0016】
また、上述した各照明器具ごとに輝度の調整や特許文献1に記載された照度調整システムでは、測定された野外輝度から晴天、曇天、夜間などの複数のモードに合わせて照明器具の輝度を調整したり、点灯/消灯を切替えていたが、例えば、曇天を示す野外輝度が検出されるまでは、晴天のモードで点灯するため、晴天を示す野外輝度と曇天を示す野外輝度の中間の輝度では無駄に明るい状態で点灯することとなり、無駄な電気エネルギーを消費していた。
【0017】
本発明はかかる問題を解決することを目的としている。
【0018】
すなわち、本発明は、無駄な電気エネルギーの使用を従来よりもさらに少なくすることができる道路照明システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載された発明は、光源と、前記光源の輝度を予め定めた目標値に調整する調整部と、を備え、トンネル内に所定の間隔を空けて設置された複数の照明器具と、前記トンネルの外部の野外輝度を測定する野外輝度測定装置と、前記複数の照明器具と通信経路で接続されるとともに、前記野外輝度測定装置が測定した野外輝度に基づいて前記複数の照明器具の輝度を調整する輝度制御装置と、を備えた道路照明システムにおいて、前記照明器具には、連続的に輝度の調整が可能な前記光源を複数備えているとともに、前記輝度制御装置が、複数の前記光源それぞれに対応した輝度調整情報を前記通信経路を介して送信し、前記照明器具の前記調整部が、前記通信経路から受信した前記輝度調整情報を前記目標値として対応する前記光源の点灯輝度を調整することを特徴とする道路照明システムである。
【0020】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記輝度制御装置が、前記野外輝度測定装置が測定した前記野外輝度に基づいて野外から前記トンネル内への入口部照明曲線を決定し、その入口部照明曲線に基づいて各光源の調光率を算出して、算出した前記調光率を前記輝度調整情報として送信することを特徴とするものである。
【0021】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2に記載された発明において、前記輝度制御装置が、前記野外輝度測定装置が測定した前記野外輝度が連続的に変化するのに応じて前記輝度調整情報を連続的に変化させることを特徴とするものである。
【0022】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載された発明において、前記調整部が、受信した前記輝度調整情報から前記光源の輝度を調整するためのパルス幅変調信号を生成して前記光源の輝度を調整することを特徴とするものである。
【0023】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載された発明において、前記輝度調整装置が、前記複数の照明器具に対して点灯状況を示す情報を取得する点灯状況要求を出力することを特徴とするものである。
【0024】
請求項6に記載された発明は、請求項5に記載された発明において、前記輝度調整装置が、前記複数の照明器具から送信されてきた前記点灯状況を示す情報から、寿命か否かを判断し、寿命である場合は、寿命であることを外部に出力することを特徴とするものである。
【0025】
請求項7に記載された発明は、請求項5または6に記載された発明において、調整部が、複数の前記光源の各々の点灯時間を計測し、前記点灯状況要求に応じて前記点灯状況を示す情報として前記輝度制御装置へ送信することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に記載の発明によれば、輝度制御装置が、複数の光源それぞれに対応した輝度調整情報を通信経路を介して連続的に輝度の調整が可能な光源を複数備えている照明器具に送信し、照明器具の調整部が、通信経路から受信した輝度調整情報に合うように対応する光源の点灯輝度を調整するので、連続的に輝度の調整が可能な光源によるによる細かな明るさの調整が行えるとともに、ネットワークから得られる野外の輝度に基づいた目標値に合うように輝度を調整するので、照明器具単位で調光するよりも細かい分解能で調光が可能となり、より入口部照明曲線に近づけることができ、無駄な電気エネルギーの使用をさらに少なくすることができる。また、路面輝度の均斉度も保たれ、さらに、入口部照明の電力線を1つにまとめることができるので、電力線の取り回しの自由度が向上する。
【0027】
請求項2に記載の発明によれば、輝度制御装置が、野外輝度測定装置が測定した野外輝度に基づいて野外からトンネル内への入口部照明曲線を決定し、その入口部照明曲線に基づいて各光源の調光率を算出して、算出した調光率を輝度調整情報として送信するので、例えば野外の天候に応じて各光源の明るさを変更することができる。
【0028】
請求項3に記載の発明によれば、輝度制御装置が、野外輝度測定装置が測定した野外輝度が連続的に変化するのに応じて輝度調整情報を連続的に変化させるので、単に晴天、曇天とった2段階ではなく、天候や時刻によって逐次変化する野外輝度に追従して例えば100%〜0%まで連続的に輝度を変化させることができ、よりきめ細かい調節を行うことができる。
【0029】
請求項4に記載の発明によれば、調整部が、受信した輝度調整情報から光源の輝度を調整するためのパルス幅変調信号を生成して光源の輝度を調整しているので、輝度調整情報をパルスのデューティ比に変換して出力することで、従来パルス幅変調で輝度調整を行っている照明に対して容易に適用することができる。
【0030】
請求項5に記載の発明によれば、輝度調整装置が、複数の照明器具に対して点灯状況を示す情報を取得する点灯状況要求を出力するので、照明器具が蓄積記憶している累積点灯時間などの点灯状況を示す情報を、輝度調整装置の必要とするタイミングで収集することができる。
【0031】
請求項6に記載の発明によれば、輝度調整装置が、複数の照明器具から送信されてきた点灯状況を示す情報から、寿命か否かを判断し、寿命である場合は、寿命であることを外部に出力するので、各照明器具の寿命を判断して、例えば、表示装置や遠隔地にいる管理者などに通知するため、正確な寿命まで使用することができ、ライフサイクルコストの増大を抑えることができる。
【0032】
請求項7に記載の発明によれば、調整部が、照明部の点灯時間を計測し、点灯状況要求に応じて点灯状況を示す情報として前記輝度制御装置へ送信するので、例えば、累積点灯時間などの寿命判断の目安となる情報を輝度制御装置に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態にかかる道路照明システムの構成図である。
【図2】図1に示された光センサの設置位置の説明図である。
【図3】図1に示された照明器具の内部構成図である。
【図4】入口部照明曲線と調光率調整後の路面輝度とを示した説明図である。
【図5】照明器具内のLEDランプの調光率の例を示した説明図である。
【図6】曇天時の入口部照明曲線と路面輝度とを示した説明図である。
【図7】夜間時の路面輝度を示した説明図である。
【図8】図1に示された親機コンピュータの動作を示したフローチャートである。
【図9】図1に示された照明器具の動作を示したフローチャートである。
【図10】従来の照明システムの構成図である。
【図11】入口部照明曲線を示した図である。
【図12】図10に示した照明システムにおいて入口部照明曲線と実際の路面輝度とを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態を、図1ないし図9を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる道路照明システムの構成図である。図2は、図1に示された光センサの設置位置の説明図である。図3は、図1に示された照明器具の内部構成図である。図4は、入口部照明曲線と調光率調整後の路面輝度とを示した説明図である。図5は、照明器具内のLEDランプの調光率の例を示した説明図である。図6は、曇天時の入口部照明曲線と路面輝度とを示した説明図である。図7は、夜間時の路面輝度を示した説明図である。図8は、図1に示された親機コンピュータの動作を示したフローチャートである。図9は、図1に示された照明器具の動作を示したフローチャートである。
【0035】
図1に本発明の一実施形態にかかる道路照明システム1を示す。図1に示した道路照明システム1は、受電設備2と、光センサ3と、自動調光部4と、がトンネル外(野外)に設けられ、トンネル内には、複数の照明器具5(A1〜A6、C1〜C3、D1〜D3、E1〜E3)と、電力線6、8、9、10と、通信線7と、が設けられている。
【0036】
受電設備2は、電力線6、8、9、10を介して複数の照明器具5に電源を供給している。
【0037】
野外輝度測定装置としての光センサ3は、トンネルの入口付近に設けられ野外の輝度を測定し、測定信号を自動調光部4に出力している。光センサ3は、図2に示したように、トンネル坑口から所定距離離れた場所にトンネル坑口に向かって設置され(図2は150m)、トンネル坑口を中心とした所定の視角の視野範囲(図2では20度)の輝度を測定している。
【0038】
自動調光部4は、自動調光装置4aと、親機コンピュータ4bと、を備えている。自動調光装置4aは、光センサ3からの測定信号に基づいて電力線6、8、9、10の受電設備2からの電源供給のON/OFFを切り替えて入口部照明や基本照明の点灯/消灯の切り替えを行うとともに、光センサ3からの測定信号を親機コンピュータ4bへ出力する。
【0039】
親機コンピュータ4bは、光センサ3からの測定信号に基づいて入口部照明曲線を算出・決定し、各照明器具5に入口部照明曲線の輝度値に合うように調光率(明るさ)を輝度調整情報として出力する。なお、親機コンピュータ4bは、図1に示したように通信線7を介して入口部照明の各照明器具5と通信可能に接続されており、各照明器具5から送信されてきた情報等を格納する記憶装置を備え、本実施形態においては前記した調光率を通信線7を介して各照明器具5へ送信し、各照明器具5から送信されてきた累積点灯時間などを受信している。また、親機コンピュータ4bと照明器具5との通信経路は有線に限らず、無線通信や電力線通信などを用いてもよく、本発明を実施するための通信経路は特に限定されない。
【0040】
照明器具5は、屋内としてのトンネル内に所定の間隔を空けて設けられ、入口部照明としてA1〜A6、基本の昼間用照明としてC1〜C3、基本の夜間用照明としてD1〜D3、基本の深夜用照明としてE1〜E3にグループ分けされ、そして、A1〜A6は電力線6で、C1〜C3は電力線8で、D1〜D3は電力線9で、E1〜E3は電力線10で、それぞれ受電設備2と接続されている。つまり、基本照明は従来と同様である。
【0041】
照明器具5は、図3に示すように、LEDランプ11と、定電流駆動回路12と、PWM信号処理回路13と、を備えている。
【0042】
光源としてのLEDランプ11は、定電流駆動回路12から出力される定電流によって点灯される発光ダイオード素子を用いたランプであり、PWM制御によって輝度(照度)が調整可能となっている。そして、LEDランプ11は、1つの照明器具5に複数設けられている。図3の例では5個設けられているが2個以上であって照明器具5内に配置できる数であれば特に限定しない。なお、本発明における光源としてはLEDランプ11に限らず、有機ELを用いた光源など連続的に輝度の調整が可能なものであればよい。
【0043】
調整部としての定電流駆動回路12は、PWM信号処理回路13から出力されるパルス変調(PWM)信号のデューティ比に応じた電圧の定電流を出力して親機コンピュータ4bから指定されたLEDランプ11の輝度を変更する。
【0044】
調整部としてのPWM信号処理回路13は、自動調光部4と通信するための通信回路などを備え、さらに、LEDランプ11ごとに割り当てられた固有のアドレスが記憶されている。そして、自動調光部4から送信された調光率を受信する。
【0045】
PWM信号処理回路13は、自動調光部4からの調光率を受信すると、指定されたアドレスのLEDランプ11が受信した調光率となるようなデューティ比のPWM信号を生成して定電流駆動回路12に出力する。また、PWM信号処理回路13は、タイマ及び不揮発性メモリを備え、LEDランプ11ごとの点灯時間をタイマで計測し、その累積点灯時間を不揮発性メモリに記憶させる。
【0046】
照明器具5は上述したように、PWM信号処理回路13で、受信した調光率となるようにPWM信号のデューティ比を変更して定電流駆動回路12に出力することでLEDランプ11の輝度を連続的に変化させることができる。
【0047】
次に、上述した構成の道路照明システム1の動作を図4ないし図7を参照して説明する。
【0048】
図4、図6および図7は、トンネル内の各照明器具5の配置と入口部照明曲線と実際の路面輝度とを示した図である。図4は晴天時の入口部照明曲線と調光率調整後の路面輝度とを示した図である。図4は図12などと同様に縦軸に路面輝度、横軸にトンネル入口からの距離を指し、晴天時の入口部照明曲線Lfと晴天時の路面輝度l1とを示している。
【0049】
また、図の上部には横軸に沿うように入口部照明と基本照明が示されている。入口部照明は図1ではA1〜A6までしか表示していないが、図4、図6および図7ではA1〜A20までの20個が設けられていることとしている。また、入口部照明はトンネルの入口から徐々に出力の小さいLEDランプ11を使用した照明器具5を設置している。図4、図6および図7では、A1〜A4、A5〜A8、A9〜A12、A13〜A16、A17〜A20の5グループに分け、トンネルの奥に設置されるグループほど出力の小さいLEDランプ11を使用した照明器具5を設置することを示している。
【0050】
まず、図4を説明する。光センサ3からの測定信号(野外輝度)を参照して、その野外輝度が晴天を示す輝度であった場合は、親機コンピュータ4bにおいて入口部照明曲線Lfを設定し、LEDランプ11毎に入口部照明曲線Lfに沿った調光率を算出して送信する。各照明器具5では、入口部照明曲線Lfに基づいて送信されてきた調光率を受信し、調光率と同時に指定されるアドレスのLEDランプ11を当該調光率に調整する。
【0051】
ここで、照明器具5は、上述したようにLEDランプ11毎に調光率が指定される。これは、例えば、図5に示すように、トンネルの入口に近いLEDランプ11から徐々に調光率を低く設定してLEDランプ11の輝度が徐々に低くなるようにすることで、入口部照明曲線Lfに近づくようにしている。図4では反映されていないが、実際は図5に示したように照明器具5は2〜3m程度の間隔で設置されているので、LEDランプ11毎に調光率を設定することで、設置間隔よりも細かい分解能での調光が可能になるとともに、トンネルの入口に近いLEDランプ11から徐々に調光率を低く設定することで、照明器具5間の輝度を入口部照明曲線Lfに近づけることができる。なお、図5に示した調光率は、説明を容易にするために例示した数値であって、実際はLEDランプ11の出力や設置間隔などを考慮して設定する。
【0052】
図6に晴天から曇天になった場合の図を示す。トンネルの入り口の天候が曇天になって光センサ3からの測定信号が変化すると、親機コンピュータ4bがその変化した野外輝度に応じた調光率を算出する。この場合の調光率は、例えば測定された野外輝度の晴天時の野外輝度を100%とした場合の割合で示す。図6の場合、曇天で野外輝度が晴天時の80%まで下降した場合は、入口部照明曲線Lfが輝度方向に20%低下した入口部照明曲線Lcとなり、この入口部照明曲線Lcに沿うように各LEDランプ11の調光率を算出し、路面輝度l2に示したようになる。なお、この際に調光率が0%となったLEDランプ11が設けられている照明器具5(A18〜A20)は消灯している。
【0053】
図6の例では、野外輝度の変化を分かり易く説明するために晴天、曇天といった天候を示して説明したが、本実施形態では、実際には野外輝度の測定値に応じて連続的に変化させる。例えば、晴天時の野外輝度を3300cd/m2とすると、
野外輝度3300cd/m2のときは調光率100.0%、
野外輝度3250cd/m2のときは調光率98.5%、
野外輝度3200cd/m2のときは調光率97.0%、
・
・
・
野外輝度1650cd/m2のときは調光率50.0%、
などとして天候や時刻などによる野外輝度の変化に追従して調光率を変化させる。上記では50cd/m2ごと野外輝度が変化するように記載しているが、勿論もっと細かい分解能としてもよい。要するに、晴天時など調光率100%とする野外輝度を設定し、その野外輝度よりも低下した場合は、その割合に応じて調光率も低下させるように制御している。即ち、光センサ3が測定した野外輝度が連続的に変化するのに応じて調光率を連続的に変化させている。
【0054】
図7に夜間の場合の図を示す。トンネルの入り口の天候が曇天になって光センサ3からの測定信号が変化し、夜間であると判断できる場合は、調光率0%を全てのLEDランプ11に送信し、各照明器具5(A0〜A20)を消灯させる。したがって、トンネル内は基本照明のみとなる(路面輝度l3)。
【0055】
なお、このような動作は入口部照明曲線に合わせて輝度を変更する必要がある入口部照明A1〜A20が行うものであり、基本照明C1〜C3、D1〜D3、E1〜E3は適用範囲外である。そのため、基本照明C1〜C3、D1〜D3、E1〜E3に使用される照明器具5は通信機能が予めOFFになるように設定されている。或いは、通信機能のない周知の照明器具を用いてもよい。
【0056】
次に、上述した動作の詳細を図8および図9のフローチャートを参照して説明する。図8は親機コンピュータ4bの動作を示したフローチャートである。なお、図8に示したフローチャートにおいて、なお、照明器具5内の複数のLEDランプ11の各々をLEDランプCi(i=1、2、…、m)、複数の照明器具5各々を照明器具Bj(j=1、2、…、n)と表記して識別する。
【0057】
まず、ステップS11において、変数i,jを1に初期化してステップS12に進む。この変数iは、上述したように照明器具5内でのLEDランプ11の識別を示す値であり、変数jは、上述したように照明器具5の識別を示す値である。
【0058】
次に、ステップS12において、照明器具1灯当たりのLEDランプ11数m、照明器具5の灯数nを設定し、ステップS13に進む。
【0059】
次に、ステップS13において、調光率(X1(1)、X2(1)・・・Xm(1)、X1(2)、X2(2)・・・Xm(2)、・・・Xm(n))を親機コンピュータ4bにて設定し、ステップS14に進む。本ステップでは、光センサ3測定された野外輝度に応じた入口部照明曲線に合う各LEDランプ11の調光率が算出され設定される。なお、初期値として例えば晴天時の入口部照明曲線Lfを設定して、晴天時の入口部照明曲線Lfに基づいた調光率を算出し、後述するステップS17から戻った場合は、光センサ3測定された野外輝度に応じた入口部照明曲線に合う調光率が算出されるようにしてもよい。
【0060】
次に、ステップS14において、ステップS13で設定した調光率Xiを照明器具BjのLEDランプCiへ送信してステップS15に進む。つまり、照明器具BjのLEDランプCiを指定して対応する調光率Xiを送信している。
【0061】
次に、ステップS15において、変数iをインクリメント(+1)してステップS16に進む。
【0062】
次に、ステップS16において、変数iが照明器具5内のLEDランプ11数m以上か否かを判断し、照明器具5内のLEDランプ11数m以上である場合(yesの場合)はステップS17に進み、そうでない場合(noの場合)はステップS14に戻る。即ち、本ステップで、1つの照明器具5内の各LEDランプ11に対する調光率の送信が終了したかを判断している。
【0063】
次に、ステップS17において、変数jをインクリメント(+1)してステップS18に進む。
【0064】
次に、ステップS18において、変数jが照明器具5の灯数n以上か否かを判断し、照明器具5の灯数n以上である場合(yesの場合)はステップS11開始前に戻り、そうでない場合(noの場合)はステップS13に戻る。即ち、本ステップで、入口部全ての照明器具5のLEDランプ11に対する調光率の送信が終了したかを判断している。そして、全ての調光率の送信を終了した場合は、変数i、jの初期化をするためにステップS11開始前に戻って、改めて変化した野外輝度に応じた調光率を算出・設定する。
【0065】
図9は照明器具5の動作を示したフローチャートである。図9に示したフローチャートにおいて、mは図8と同様に照明器具5内のLEDランプ11数を示している。
【0066】
まず、ステップS21において、親機コンピュータ4bから調光率Xiを受信してステップS22に進む。この調光率Xiは、親機コンピュータ4bから送信された際に指定されるアドレス(Bj、Ci)が自照明器具5内のLEDランプ11を示すものであるかPWM信号処理回路13で判断し、自照明器具5内のLEDランプ11を示すものである場合は受信する。
【0067】
次に、ステップS22において、調光率Xiが通信フォーマットのデータであるか否かを判断し、通信フォーマットのデータである場合(yesの場合)はステップS23に進み、通信フォーマットのデータでない場合(noの場合)はステップS25に進む。本ステップでは、親機コンピュータ4bから送信されてきた調光率Xiが正しいフォーマットで送信されてきたかをチェックしている。
【0068】
次に、ステップS24において、調光率Xiの値が5%〜100%の範囲であるか否かを判断し、5〜100の範囲である場合(yesの場合)はステップS24に進み、そうでない場合(noの場合)はステップS21に戻る。
【0069】
次に、ステップS24において、LEDランプCiをデューティ比Xi%のPWM制御で点灯しステップS28に進む。つまり、親機コンピュータ4bから指定されたLEDランプCiを、受信した調光率Xi%の輝度で点灯させる。
【0070】
一方、ステップS25においては、LEDランプCiを常時点灯してステップS21に戻る。常時点灯とは、調光率100%で点灯することである。本ステップの場合は、通信フォーマットが正しくない場合や、調光率Xiの値が5%〜100%の範囲でない場合といった異常と判定された場合であり、この場合は、フェールセーフの観点から調光率100%で点灯することとしている。なお、本実施形態では調光率Xiの値が5%〜100%の範囲でない場合を異常と判定しているが、この範囲は任意に設定すればよい。
【0071】
本実施形態によれば、複数のLEDランプ11が設けられている照明器具5(A1〜A20)と親機コンピュータ4bとを通信線7で接続して、親機コンピュータ4bが光センサ3が測定した野外輝度に基づいて、トンネルの入口部照明曲線に沿ったLEDランプ11ごとの調光率を設定し、各照明器具5へ送信して、各照明器具5では、受信したLEDランプ11の調光率で点灯させるので、照明器具5単位で調光するよりも細かい分解能で調光が可能となり、より入口部照明曲線に近づけることができ、無駄な電気エネルギーの使用をさらに少なくすることができる。また、路面輝度の均斉度も保たれ、さらに、入口部照明の電力線を1つにまとめることができるので、電力線の取り回しの自由度が向上する。
【0072】
また、親機コンピュータ4bが、光センサ3で測定した野外輝度が連続的に変化するのに応じて調光率を連続的に変化させるので、単に晴天、曇天とった2段階ではなく、天候や時刻によって逐次変化する野外輝度に追従して例えば100%〜5%まで連続的に輝度を変化させることができ、よりきめ細かい調節を行うことができる。
【0073】
また、PWM信号処理回路13が、受信した調光率からLEDランプ11の輝度を調整するためのPWM信号を生成して出力しているので、調光率をパルスのデューティ比に変換して出力することで、従来PWMで輝度調整を行っている照明に対して容易に適用することができる。
【0074】
なお、上述した実施形態の道路照明システム1において、照明器具5では、各LEDランプ11の累積点灯時間を計測し保存し、親機コンピュータ4bからの問い合わせに応じて保存した累積点灯時間を送信し、親機コンピュータ4bでは、取得した累積点灯時間から寿命か否かを判断し、寿命である場合は、寿命であることを表示装置等に表示してもよい。このようにすることで、LEDランプ11の累積点灯時間を蓄積記憶し、親機コンピュータ4bの必要とするタイミングで収集して、LEDランプ11(或いは各照明器具5)の寿命を判断することができるため、正確な寿命まで使用して、ライフサイクルコストの増大を抑えることができる。
【0075】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 道路照明システム
3 光センサ(野外輝度測定装置)
4 自動調光部
4a 自動調光装置(輝度制御装置)
4b 親機コンピュータ(輝度制御装置)
5 照明器具
11 LEDランプ(光源)
12 定電流駆動回路(調整部)
13 PWM信号処理回路(調整部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路トンネル外部の野外の輝度条件に基づいて道路トンネル内の照明器具の輝度調整を行う道路照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル外部(野外)からトンネル内に通じる場所に配設される照明には、野外輝度により照度調整を行う制御方法が用いられている。例えば、一般道や高速道路のトンネルには、視覚の暗順応に対応した入口部照明が設置されている。このような入口部照明はトンネル外部の野外輝度に基づいて制御を行い必要な照度(輝度)を確保している。
【0003】
従来のトンネルにおける照明システムを図10に示す。図10に示された、照明システム101は、受電設備102と、自動調光装置受光部103と、自動調光装置104と、が屋外に設けられ、トンネル内には、複数の照明器具105(A1〜A3、B1〜B3、C1〜C3、D1〜D3、E1〜E3)と、電力線106、107、108、109、110と、が設けられている。
【0004】
受電設備102は、電力線106、107、108、109、110を介して複数の照明器具105に電源を供給している。自動調光装置受光部103は、トンネルの入口付近に設けられ野外の輝度を観測し、観測信号を自動調光装置104に出力している。自動調光装置104は、複数のスイッチ104a、104b、104c、104d、104eを備え、自動調光装置受光部103からの観測信号に基づいて各スイッチのON/OFFを制御して電力線106、107、108、109、110への電力を供給するか否かの切り替えを行っている。
【0005】
照明器具105は、トンネル内に設けられ、入口部の晴天用照明としてA1〜A3、入口部の曇天用照明としてB1〜B3、基本の昼間用照明としてC1〜C3、基本の夜間用照明としてD1〜D3、基本の深夜用照明としてE1〜E3にグループ分けされ、そして、A1〜A3は電力線106で、B1〜B3は電力線107で、C1〜C3は電力線108で、D1〜D3は電力線109で、E1〜E3は電力線110で、それぞれ接続されている。
【0006】
上述した構成の照明システム101は、自動調光装置受光部103が観測した観測情報に基づいて、グループごとに点灯する照明器具105の台数を増減させて照度を調整している。例えば、自動調光装置104が観測情報から野外が晴天であると判断した場合は、スイッチ104a及びスイッチ104bを閉制御して、A1〜A3、B1〜B3を点灯させる。また、自動調光装置104が観測情報から野外が曇天であると判断した場合は、スイッチ104aを開制御スイッチ104bを閉制御して、A1〜A3を消灯させ、B1〜B3を点灯させる。なお、基本照明であるC1〜C3、D1〜D3、E1〜E3は、時間によって制御される照明であり自動調光装置受光部103が観測した観測情報による制御を受けない。
【0007】
図10の照明システム101では、各グループごとに電力線を設けなければならず、配管や配線などの施工が多くなってしまうという問題があった。
【0008】
また、グループごとに照明器具の切り替えを行うと、路面輝度の均斉度が低下したり、照明器具の切り替えのタイミングで明るさが急変するといった問題がある。このような問題の影響により運転者がちらつきを感じるなど視環境に悪影響を及ぼす可能性があった。
【0009】
このような問題に対して、例えば、特許文献1に記載の照度調整システムが提案されている。特許文献1に記載の照度調整システムは、制御室と複数の照明器具とをネットワークで接続し、制御室からの制御信号によって、個々の照明器具のON/OFFを行っている。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載された照度調整システムでは、各照明器具は、ON/OFFの切り替え制御しか行われないため、グループ分けよりはよいものの、段階照明であることから、路面輝度の均斉度低下や、照明器具の切り替えのタイミングでの明るさ急変といった問題は解消しきれない。
【0011】
また、トンネルの入口部照明には図11に示すような入口部照明曲線Lが定められている。図11は、縦軸に路面輝度、横軸にトンネル入口からの距離を指し、トンネルの入口からの距離が遠くなるに従って徐々に路面輝度を低下させることを表している。入口部照明は、入口部照明曲線Lに沿った路面輝度となるように制御されなければならないが、上述した図10の照明システム101や特許文献1に記載された照度調整システムでは、段階調光であるために、図12に示すような電気エネルギーが無駄に消費される部分が多くなってしまう。図12のlは、図10の照明システムや特許文献1に記載された照度調整システムにおける路面輝度の変化であり、入口部照明曲線Lと図10の照明システムや特許文献1に記載された照度調整システムにおける路面輝度の変化lとの差分(図12の塗りつぶした部分)が無駄な電気エネルギーとなっている部分である。
【0012】
また、照明器具は、故障したことを通知する手段が無いため、従来ではトンネル内に定期的に車両を走行させて照明器具の状態を点検していた。さらに、図10の照明システムでは、曇天時に点灯する照明器具105(B1〜B3)は晴天時も点灯するため晴天時に点灯する照明器具105(A1〜B3)よりも点灯時間が長くなるが、従来は点灯時間を把握することができなかったために一斉に交換を行っていた。そのため、照明器具内のランプの寿命が正確に反映されておらず、ライフサイクルコストが増大していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−130259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したような問題に対して、本出願人は、照度補正機能付きの照明器具と自動調光装置とを通信経路で接続して、自動調光装置が自動調光装置受光部が測定した野外輝度からトンネルの入口部照明曲線を算出し、その入口部照明曲線に基づいて各照明器具の目標光束値を算出して送信し、照明器具では、目標光束値に基づいて輝度の調整を行うことを提案している。
【0015】
上述した各照明器具ごとに輝度の調整を行うことで、特許文献1に記載された照度調整システムよりも電気エネルギーの無駄を省き、入口部照明曲線に近づけることができるが、数メートル毎に設置される照明器具ごとの輝度調整であるので、設置間隔の範囲でしか調光することができないために、入口部照明曲線に完全に沿うようにするまでは至らず、図12の塗りつぶした部分が存在し、電気エネルギーの無駄を省く余地を残していた。
【0016】
また、上述した各照明器具ごとに輝度の調整や特許文献1に記載された照度調整システムでは、測定された野外輝度から晴天、曇天、夜間などの複数のモードに合わせて照明器具の輝度を調整したり、点灯/消灯を切替えていたが、例えば、曇天を示す野外輝度が検出されるまでは、晴天のモードで点灯するため、晴天を示す野外輝度と曇天を示す野外輝度の中間の輝度では無駄に明るい状態で点灯することとなり、無駄な電気エネルギーを消費していた。
【0017】
本発明はかかる問題を解決することを目的としている。
【0018】
すなわち、本発明は、無駄な電気エネルギーの使用を従来よりもさらに少なくすることができる道路照明システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載された発明は、光源と、前記光源の輝度を予め定めた目標値に調整する調整部と、を備え、トンネル内に所定の間隔を空けて設置された複数の照明器具と、前記トンネルの外部の野外輝度を測定する野外輝度測定装置と、前記複数の照明器具と通信経路で接続されるとともに、前記野外輝度測定装置が測定した野外輝度に基づいて前記複数の照明器具の輝度を調整する輝度制御装置と、を備えた道路照明システムにおいて、前記照明器具には、連続的に輝度の調整が可能な前記光源を複数備えているとともに、前記輝度制御装置が、複数の前記光源それぞれに対応した輝度調整情報を前記通信経路を介して送信し、前記照明器具の前記調整部が、前記通信経路から受信した前記輝度調整情報を前記目標値として対応する前記光源の点灯輝度を調整することを特徴とする道路照明システムである。
【0020】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記輝度制御装置が、前記野外輝度測定装置が測定した前記野外輝度に基づいて野外から前記トンネル内への入口部照明曲線を決定し、その入口部照明曲線に基づいて各光源の調光率を算出して、算出した前記調光率を前記輝度調整情報として送信することを特徴とするものである。
【0021】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2に記載された発明において、前記輝度制御装置が、前記野外輝度測定装置が測定した前記野外輝度が連続的に変化するのに応じて前記輝度調整情報を連続的に変化させることを特徴とするものである。
【0022】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載された発明において、前記調整部が、受信した前記輝度調整情報から前記光源の輝度を調整するためのパルス幅変調信号を生成して前記光源の輝度を調整することを特徴とするものである。
【0023】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載された発明において、前記輝度調整装置が、前記複数の照明器具に対して点灯状況を示す情報を取得する点灯状況要求を出力することを特徴とするものである。
【0024】
請求項6に記載された発明は、請求項5に記載された発明において、前記輝度調整装置が、前記複数の照明器具から送信されてきた前記点灯状況を示す情報から、寿命か否かを判断し、寿命である場合は、寿命であることを外部に出力することを特徴とするものである。
【0025】
請求項7に記載された発明は、請求項5または6に記載された発明において、調整部が、複数の前記光源の各々の点灯時間を計測し、前記点灯状況要求に応じて前記点灯状況を示す情報として前記輝度制御装置へ送信することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に記載の発明によれば、輝度制御装置が、複数の光源それぞれに対応した輝度調整情報を通信経路を介して連続的に輝度の調整が可能な光源を複数備えている照明器具に送信し、照明器具の調整部が、通信経路から受信した輝度調整情報に合うように対応する光源の点灯輝度を調整するので、連続的に輝度の調整が可能な光源によるによる細かな明るさの調整が行えるとともに、ネットワークから得られる野外の輝度に基づいた目標値に合うように輝度を調整するので、照明器具単位で調光するよりも細かい分解能で調光が可能となり、より入口部照明曲線に近づけることができ、無駄な電気エネルギーの使用をさらに少なくすることができる。また、路面輝度の均斉度も保たれ、さらに、入口部照明の電力線を1つにまとめることができるので、電力線の取り回しの自由度が向上する。
【0027】
請求項2に記載の発明によれば、輝度制御装置が、野外輝度測定装置が測定した野外輝度に基づいて野外からトンネル内への入口部照明曲線を決定し、その入口部照明曲線に基づいて各光源の調光率を算出して、算出した調光率を輝度調整情報として送信するので、例えば野外の天候に応じて各光源の明るさを変更することができる。
【0028】
請求項3に記載の発明によれば、輝度制御装置が、野外輝度測定装置が測定した野外輝度が連続的に変化するのに応じて輝度調整情報を連続的に変化させるので、単に晴天、曇天とった2段階ではなく、天候や時刻によって逐次変化する野外輝度に追従して例えば100%〜0%まで連続的に輝度を変化させることができ、よりきめ細かい調節を行うことができる。
【0029】
請求項4に記載の発明によれば、調整部が、受信した輝度調整情報から光源の輝度を調整するためのパルス幅変調信号を生成して光源の輝度を調整しているので、輝度調整情報をパルスのデューティ比に変換して出力することで、従来パルス幅変調で輝度調整を行っている照明に対して容易に適用することができる。
【0030】
請求項5に記載の発明によれば、輝度調整装置が、複数の照明器具に対して点灯状況を示す情報を取得する点灯状況要求を出力するので、照明器具が蓄積記憶している累積点灯時間などの点灯状況を示す情報を、輝度調整装置の必要とするタイミングで収集することができる。
【0031】
請求項6に記載の発明によれば、輝度調整装置が、複数の照明器具から送信されてきた点灯状況を示す情報から、寿命か否かを判断し、寿命である場合は、寿命であることを外部に出力するので、各照明器具の寿命を判断して、例えば、表示装置や遠隔地にいる管理者などに通知するため、正確な寿命まで使用することができ、ライフサイクルコストの増大を抑えることができる。
【0032】
請求項7に記載の発明によれば、調整部が、照明部の点灯時間を計測し、点灯状況要求に応じて点灯状況を示す情報として前記輝度制御装置へ送信するので、例えば、累積点灯時間などの寿命判断の目安となる情報を輝度制御装置に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態にかかる道路照明システムの構成図である。
【図2】図1に示された光センサの設置位置の説明図である。
【図3】図1に示された照明器具の内部構成図である。
【図4】入口部照明曲線と調光率調整後の路面輝度とを示した説明図である。
【図5】照明器具内のLEDランプの調光率の例を示した説明図である。
【図6】曇天時の入口部照明曲線と路面輝度とを示した説明図である。
【図7】夜間時の路面輝度を示した説明図である。
【図8】図1に示された親機コンピュータの動作を示したフローチャートである。
【図9】図1に示された照明器具の動作を示したフローチャートである。
【図10】従来の照明システムの構成図である。
【図11】入口部照明曲線を示した図である。
【図12】図10に示した照明システムにおいて入口部照明曲線と実際の路面輝度とを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態を、図1ないし図9を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる道路照明システムの構成図である。図2は、図1に示された光センサの設置位置の説明図である。図3は、図1に示された照明器具の内部構成図である。図4は、入口部照明曲線と調光率調整後の路面輝度とを示した説明図である。図5は、照明器具内のLEDランプの調光率の例を示した説明図である。図6は、曇天時の入口部照明曲線と路面輝度とを示した説明図である。図7は、夜間時の路面輝度を示した説明図である。図8は、図1に示された親機コンピュータの動作を示したフローチャートである。図9は、図1に示された照明器具の動作を示したフローチャートである。
【0035】
図1に本発明の一実施形態にかかる道路照明システム1を示す。図1に示した道路照明システム1は、受電設備2と、光センサ3と、自動調光部4と、がトンネル外(野外)に設けられ、トンネル内には、複数の照明器具5(A1〜A6、C1〜C3、D1〜D3、E1〜E3)と、電力線6、8、9、10と、通信線7と、が設けられている。
【0036】
受電設備2は、電力線6、8、9、10を介して複数の照明器具5に電源を供給している。
【0037】
野外輝度測定装置としての光センサ3は、トンネルの入口付近に設けられ野外の輝度を測定し、測定信号を自動調光部4に出力している。光センサ3は、図2に示したように、トンネル坑口から所定距離離れた場所にトンネル坑口に向かって設置され(図2は150m)、トンネル坑口を中心とした所定の視角の視野範囲(図2では20度)の輝度を測定している。
【0038】
自動調光部4は、自動調光装置4aと、親機コンピュータ4bと、を備えている。自動調光装置4aは、光センサ3からの測定信号に基づいて電力線6、8、9、10の受電設備2からの電源供給のON/OFFを切り替えて入口部照明や基本照明の点灯/消灯の切り替えを行うとともに、光センサ3からの測定信号を親機コンピュータ4bへ出力する。
【0039】
親機コンピュータ4bは、光センサ3からの測定信号に基づいて入口部照明曲線を算出・決定し、各照明器具5に入口部照明曲線の輝度値に合うように調光率(明るさ)を輝度調整情報として出力する。なお、親機コンピュータ4bは、図1に示したように通信線7を介して入口部照明の各照明器具5と通信可能に接続されており、各照明器具5から送信されてきた情報等を格納する記憶装置を備え、本実施形態においては前記した調光率を通信線7を介して各照明器具5へ送信し、各照明器具5から送信されてきた累積点灯時間などを受信している。また、親機コンピュータ4bと照明器具5との通信経路は有線に限らず、無線通信や電力線通信などを用いてもよく、本発明を実施するための通信経路は特に限定されない。
【0040】
照明器具5は、屋内としてのトンネル内に所定の間隔を空けて設けられ、入口部照明としてA1〜A6、基本の昼間用照明としてC1〜C3、基本の夜間用照明としてD1〜D3、基本の深夜用照明としてE1〜E3にグループ分けされ、そして、A1〜A6は電力線6で、C1〜C3は電力線8で、D1〜D3は電力線9で、E1〜E3は電力線10で、それぞれ受電設備2と接続されている。つまり、基本照明は従来と同様である。
【0041】
照明器具5は、図3に示すように、LEDランプ11と、定電流駆動回路12と、PWM信号処理回路13と、を備えている。
【0042】
光源としてのLEDランプ11は、定電流駆動回路12から出力される定電流によって点灯される発光ダイオード素子を用いたランプであり、PWM制御によって輝度(照度)が調整可能となっている。そして、LEDランプ11は、1つの照明器具5に複数設けられている。図3の例では5個設けられているが2個以上であって照明器具5内に配置できる数であれば特に限定しない。なお、本発明における光源としてはLEDランプ11に限らず、有機ELを用いた光源など連続的に輝度の調整が可能なものであればよい。
【0043】
調整部としての定電流駆動回路12は、PWM信号処理回路13から出力されるパルス変調(PWM)信号のデューティ比に応じた電圧の定電流を出力して親機コンピュータ4bから指定されたLEDランプ11の輝度を変更する。
【0044】
調整部としてのPWM信号処理回路13は、自動調光部4と通信するための通信回路などを備え、さらに、LEDランプ11ごとに割り当てられた固有のアドレスが記憶されている。そして、自動調光部4から送信された調光率を受信する。
【0045】
PWM信号処理回路13は、自動調光部4からの調光率を受信すると、指定されたアドレスのLEDランプ11が受信した調光率となるようなデューティ比のPWM信号を生成して定電流駆動回路12に出力する。また、PWM信号処理回路13は、タイマ及び不揮発性メモリを備え、LEDランプ11ごとの点灯時間をタイマで計測し、その累積点灯時間を不揮発性メモリに記憶させる。
【0046】
照明器具5は上述したように、PWM信号処理回路13で、受信した調光率となるようにPWM信号のデューティ比を変更して定電流駆動回路12に出力することでLEDランプ11の輝度を連続的に変化させることができる。
【0047】
次に、上述した構成の道路照明システム1の動作を図4ないし図7を参照して説明する。
【0048】
図4、図6および図7は、トンネル内の各照明器具5の配置と入口部照明曲線と実際の路面輝度とを示した図である。図4は晴天時の入口部照明曲線と調光率調整後の路面輝度とを示した図である。図4は図12などと同様に縦軸に路面輝度、横軸にトンネル入口からの距離を指し、晴天時の入口部照明曲線Lfと晴天時の路面輝度l1とを示している。
【0049】
また、図の上部には横軸に沿うように入口部照明と基本照明が示されている。入口部照明は図1ではA1〜A6までしか表示していないが、図4、図6および図7ではA1〜A20までの20個が設けられていることとしている。また、入口部照明はトンネルの入口から徐々に出力の小さいLEDランプ11を使用した照明器具5を設置している。図4、図6および図7では、A1〜A4、A5〜A8、A9〜A12、A13〜A16、A17〜A20の5グループに分け、トンネルの奥に設置されるグループほど出力の小さいLEDランプ11を使用した照明器具5を設置することを示している。
【0050】
まず、図4を説明する。光センサ3からの測定信号(野外輝度)を参照して、その野外輝度が晴天を示す輝度であった場合は、親機コンピュータ4bにおいて入口部照明曲線Lfを設定し、LEDランプ11毎に入口部照明曲線Lfに沿った調光率を算出して送信する。各照明器具5では、入口部照明曲線Lfに基づいて送信されてきた調光率を受信し、調光率と同時に指定されるアドレスのLEDランプ11を当該調光率に調整する。
【0051】
ここで、照明器具5は、上述したようにLEDランプ11毎に調光率が指定される。これは、例えば、図5に示すように、トンネルの入口に近いLEDランプ11から徐々に調光率を低く設定してLEDランプ11の輝度が徐々に低くなるようにすることで、入口部照明曲線Lfに近づくようにしている。図4では反映されていないが、実際は図5に示したように照明器具5は2〜3m程度の間隔で設置されているので、LEDランプ11毎に調光率を設定することで、設置間隔よりも細かい分解能での調光が可能になるとともに、トンネルの入口に近いLEDランプ11から徐々に調光率を低く設定することで、照明器具5間の輝度を入口部照明曲線Lfに近づけることができる。なお、図5に示した調光率は、説明を容易にするために例示した数値であって、実際はLEDランプ11の出力や設置間隔などを考慮して設定する。
【0052】
図6に晴天から曇天になった場合の図を示す。トンネルの入り口の天候が曇天になって光センサ3からの測定信号が変化すると、親機コンピュータ4bがその変化した野外輝度に応じた調光率を算出する。この場合の調光率は、例えば測定された野外輝度の晴天時の野外輝度を100%とした場合の割合で示す。図6の場合、曇天で野外輝度が晴天時の80%まで下降した場合は、入口部照明曲線Lfが輝度方向に20%低下した入口部照明曲線Lcとなり、この入口部照明曲線Lcに沿うように各LEDランプ11の調光率を算出し、路面輝度l2に示したようになる。なお、この際に調光率が0%となったLEDランプ11が設けられている照明器具5(A18〜A20)は消灯している。
【0053】
図6の例では、野外輝度の変化を分かり易く説明するために晴天、曇天といった天候を示して説明したが、本実施形態では、実際には野外輝度の測定値に応じて連続的に変化させる。例えば、晴天時の野外輝度を3300cd/m2とすると、
野外輝度3300cd/m2のときは調光率100.0%、
野外輝度3250cd/m2のときは調光率98.5%、
野外輝度3200cd/m2のときは調光率97.0%、
・
・
・
野外輝度1650cd/m2のときは調光率50.0%、
などとして天候や時刻などによる野外輝度の変化に追従して調光率を変化させる。上記では50cd/m2ごと野外輝度が変化するように記載しているが、勿論もっと細かい分解能としてもよい。要するに、晴天時など調光率100%とする野外輝度を設定し、その野外輝度よりも低下した場合は、その割合に応じて調光率も低下させるように制御している。即ち、光センサ3が測定した野外輝度が連続的に変化するのに応じて調光率を連続的に変化させている。
【0054】
図7に夜間の場合の図を示す。トンネルの入り口の天候が曇天になって光センサ3からの測定信号が変化し、夜間であると判断できる場合は、調光率0%を全てのLEDランプ11に送信し、各照明器具5(A0〜A20)を消灯させる。したがって、トンネル内は基本照明のみとなる(路面輝度l3)。
【0055】
なお、このような動作は入口部照明曲線に合わせて輝度を変更する必要がある入口部照明A1〜A20が行うものであり、基本照明C1〜C3、D1〜D3、E1〜E3は適用範囲外である。そのため、基本照明C1〜C3、D1〜D3、E1〜E3に使用される照明器具5は通信機能が予めOFFになるように設定されている。或いは、通信機能のない周知の照明器具を用いてもよい。
【0056】
次に、上述した動作の詳細を図8および図9のフローチャートを参照して説明する。図8は親機コンピュータ4bの動作を示したフローチャートである。なお、図8に示したフローチャートにおいて、なお、照明器具5内の複数のLEDランプ11の各々をLEDランプCi(i=1、2、…、m)、複数の照明器具5各々を照明器具Bj(j=1、2、…、n)と表記して識別する。
【0057】
まず、ステップS11において、変数i,jを1に初期化してステップS12に進む。この変数iは、上述したように照明器具5内でのLEDランプ11の識別を示す値であり、変数jは、上述したように照明器具5の識別を示す値である。
【0058】
次に、ステップS12において、照明器具1灯当たりのLEDランプ11数m、照明器具5の灯数nを設定し、ステップS13に進む。
【0059】
次に、ステップS13において、調光率(X1(1)、X2(1)・・・Xm(1)、X1(2)、X2(2)・・・Xm(2)、・・・Xm(n))を親機コンピュータ4bにて設定し、ステップS14に進む。本ステップでは、光センサ3測定された野外輝度に応じた入口部照明曲線に合う各LEDランプ11の調光率が算出され設定される。なお、初期値として例えば晴天時の入口部照明曲線Lfを設定して、晴天時の入口部照明曲線Lfに基づいた調光率を算出し、後述するステップS17から戻った場合は、光センサ3測定された野外輝度に応じた入口部照明曲線に合う調光率が算出されるようにしてもよい。
【0060】
次に、ステップS14において、ステップS13で設定した調光率Xiを照明器具BjのLEDランプCiへ送信してステップS15に進む。つまり、照明器具BjのLEDランプCiを指定して対応する調光率Xiを送信している。
【0061】
次に、ステップS15において、変数iをインクリメント(+1)してステップS16に進む。
【0062】
次に、ステップS16において、変数iが照明器具5内のLEDランプ11数m以上か否かを判断し、照明器具5内のLEDランプ11数m以上である場合(yesの場合)はステップS17に進み、そうでない場合(noの場合)はステップS14に戻る。即ち、本ステップで、1つの照明器具5内の各LEDランプ11に対する調光率の送信が終了したかを判断している。
【0063】
次に、ステップS17において、変数jをインクリメント(+1)してステップS18に進む。
【0064】
次に、ステップS18において、変数jが照明器具5の灯数n以上か否かを判断し、照明器具5の灯数n以上である場合(yesの場合)はステップS11開始前に戻り、そうでない場合(noの場合)はステップS13に戻る。即ち、本ステップで、入口部全ての照明器具5のLEDランプ11に対する調光率の送信が終了したかを判断している。そして、全ての調光率の送信を終了した場合は、変数i、jの初期化をするためにステップS11開始前に戻って、改めて変化した野外輝度に応じた調光率を算出・設定する。
【0065】
図9は照明器具5の動作を示したフローチャートである。図9に示したフローチャートにおいて、mは図8と同様に照明器具5内のLEDランプ11数を示している。
【0066】
まず、ステップS21において、親機コンピュータ4bから調光率Xiを受信してステップS22に進む。この調光率Xiは、親機コンピュータ4bから送信された際に指定されるアドレス(Bj、Ci)が自照明器具5内のLEDランプ11を示すものであるかPWM信号処理回路13で判断し、自照明器具5内のLEDランプ11を示すものである場合は受信する。
【0067】
次に、ステップS22において、調光率Xiが通信フォーマットのデータであるか否かを判断し、通信フォーマットのデータである場合(yesの場合)はステップS23に進み、通信フォーマットのデータでない場合(noの場合)はステップS25に進む。本ステップでは、親機コンピュータ4bから送信されてきた調光率Xiが正しいフォーマットで送信されてきたかをチェックしている。
【0068】
次に、ステップS24において、調光率Xiの値が5%〜100%の範囲であるか否かを判断し、5〜100の範囲である場合(yesの場合)はステップS24に進み、そうでない場合(noの場合)はステップS21に戻る。
【0069】
次に、ステップS24において、LEDランプCiをデューティ比Xi%のPWM制御で点灯しステップS28に進む。つまり、親機コンピュータ4bから指定されたLEDランプCiを、受信した調光率Xi%の輝度で点灯させる。
【0070】
一方、ステップS25においては、LEDランプCiを常時点灯してステップS21に戻る。常時点灯とは、調光率100%で点灯することである。本ステップの場合は、通信フォーマットが正しくない場合や、調光率Xiの値が5%〜100%の範囲でない場合といった異常と判定された場合であり、この場合は、フェールセーフの観点から調光率100%で点灯することとしている。なお、本実施形態では調光率Xiの値が5%〜100%の範囲でない場合を異常と判定しているが、この範囲は任意に設定すればよい。
【0071】
本実施形態によれば、複数のLEDランプ11が設けられている照明器具5(A1〜A20)と親機コンピュータ4bとを通信線7で接続して、親機コンピュータ4bが光センサ3が測定した野外輝度に基づいて、トンネルの入口部照明曲線に沿ったLEDランプ11ごとの調光率を設定し、各照明器具5へ送信して、各照明器具5では、受信したLEDランプ11の調光率で点灯させるので、照明器具5単位で調光するよりも細かい分解能で調光が可能となり、より入口部照明曲線に近づけることができ、無駄な電気エネルギーの使用をさらに少なくすることができる。また、路面輝度の均斉度も保たれ、さらに、入口部照明の電力線を1つにまとめることができるので、電力線の取り回しの自由度が向上する。
【0072】
また、親機コンピュータ4bが、光センサ3で測定した野外輝度が連続的に変化するのに応じて調光率を連続的に変化させるので、単に晴天、曇天とった2段階ではなく、天候や時刻によって逐次変化する野外輝度に追従して例えば100%〜5%まで連続的に輝度を変化させることができ、よりきめ細かい調節を行うことができる。
【0073】
また、PWM信号処理回路13が、受信した調光率からLEDランプ11の輝度を調整するためのPWM信号を生成して出力しているので、調光率をパルスのデューティ比に変換して出力することで、従来PWMで輝度調整を行っている照明に対して容易に適用することができる。
【0074】
なお、上述した実施形態の道路照明システム1において、照明器具5では、各LEDランプ11の累積点灯時間を計測し保存し、親機コンピュータ4bからの問い合わせに応じて保存した累積点灯時間を送信し、親機コンピュータ4bでは、取得した累積点灯時間から寿命か否かを判断し、寿命である場合は、寿命であることを表示装置等に表示してもよい。このようにすることで、LEDランプ11の累積点灯時間を蓄積記憶し、親機コンピュータ4bの必要とするタイミングで収集して、LEDランプ11(或いは各照明器具5)の寿命を判断することができるため、正確な寿命まで使用して、ライフサイクルコストの増大を抑えることができる。
【0075】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 道路照明システム
3 光センサ(野外輝度測定装置)
4 自動調光部
4a 自動調光装置(輝度制御装置)
4b 親機コンピュータ(輝度制御装置)
5 照明器具
11 LEDランプ(光源)
12 定電流駆動回路(調整部)
13 PWM信号処理回路(調整部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源の輝度を予め定めた目標値に調整する調整部と、を備え、トンネル内に所定の間隔を空けて設置された複数の照明器具と、
前記トンネルの外部の野外輝度を測定する野外輝度測定装置と、
前記複数の照明器具と通信経路で接続されるとともに、前記野外輝度測定装置が測定した野外輝度に基づいて前記複数の照明器具の輝度を調整する輝度制御装置と、
を備えた道路照明システムにおいて、
前記照明器具には、連続的に輝度の調整が可能な前記光源を複数備えているとともに、
前記輝度制御装置が、複数の前記光源それぞれに対応した輝度調整情報を前記通信経路を介して送信し、
前記照明器具の前記調整部が、前記通信経路から受信した前記輝度調整情報を前記目標値として対応する前記光源の点灯輝度を調整する
ことを特徴とする道路照明システム。
【請求項2】
前記輝度制御装置が、前記野外輝度測定装置が測定した前記野外輝度に基づいて野外から前記トンネル内への入口部照明曲線を決定し、その入口部照明曲線に基づいて各光源の調光率を算出して、算出した前記調光率を前記輝度調整情報として送信することを特徴とする請求項1に記載の道路照明システム。
【請求項3】
前記輝度制御装置が、前記野外輝度測定装置が測定した前記野外輝度が連続的に変化するのに応じて前記輝度調整情報を連続的に変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の道路照明システム。
【請求項4】
前記調整部が、受信した前記輝度調整情報から前記光源の輝度を調整するためのパルス幅変調信号を生成して前記光源の輝度を調整することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の道路照明システム。
【請求項5】
前記輝度調整装置が、前記複数の照明器具に対して点灯状況を示す情報を取得する点灯状況要求を出力することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の道路照明システム。
【請求項6】
前記輝度調整装置が、前記複数の照明器具から送信されてきた前記点灯状況を示す情報から、寿命か否かを判断し、寿命である場合は、寿命であることを外部に出力することを特徴とする請求項5に記載の道路照明システム。
【請求項7】
調整部が、複数の前記光源の各々の点灯時間を計測し、前記点灯状況要求に応じて前記点灯状況を示す情報として前記輝度制御装置へ送信することを特徴とする請求項5または6に記載の道路照明システム。
【請求項1】
光源と、前記光源の輝度を予め定めた目標値に調整する調整部と、を備え、トンネル内に所定の間隔を空けて設置された複数の照明器具と、
前記トンネルの外部の野外輝度を測定する野外輝度測定装置と、
前記複数の照明器具と通信経路で接続されるとともに、前記野外輝度測定装置が測定した野外輝度に基づいて前記複数の照明器具の輝度を調整する輝度制御装置と、
を備えた道路照明システムにおいて、
前記照明器具には、連続的に輝度の調整が可能な前記光源を複数備えているとともに、
前記輝度制御装置が、複数の前記光源それぞれに対応した輝度調整情報を前記通信経路を介して送信し、
前記照明器具の前記調整部が、前記通信経路から受信した前記輝度調整情報を前記目標値として対応する前記光源の点灯輝度を調整する
ことを特徴とする道路照明システム。
【請求項2】
前記輝度制御装置が、前記野外輝度測定装置が測定した前記野外輝度に基づいて野外から前記トンネル内への入口部照明曲線を決定し、その入口部照明曲線に基づいて各光源の調光率を算出して、算出した前記調光率を前記輝度調整情報として送信することを特徴とする請求項1に記載の道路照明システム。
【請求項3】
前記輝度制御装置が、前記野外輝度測定装置が測定した前記野外輝度が連続的に変化するのに応じて前記輝度調整情報を連続的に変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の道路照明システム。
【請求項4】
前記調整部が、受信した前記輝度調整情報から前記光源の輝度を調整するためのパルス幅変調信号を生成して前記光源の輝度を調整することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の道路照明システム。
【請求項5】
前記輝度調整装置が、前記複数の照明器具に対して点灯状況を示す情報を取得する点灯状況要求を出力することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の道路照明システム。
【請求項6】
前記輝度調整装置が、前記複数の照明器具から送信されてきた前記点灯状況を示す情報から、寿命か否かを判断し、寿命である場合は、寿命であることを外部に出力することを特徴とする請求項5に記載の道路照明システム。
【請求項7】
調整部が、複数の前記光源の各々の点灯時間を計測し、前記点灯状況要求に応じて前記点灯状況を示す情報として前記輝度制御装置へ送信することを特徴とする請求項5または6に記載の道路照明システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−204054(P2012−204054A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65677(P2011−65677)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(390010054)コイト電工株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(390010054)コイト電工株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
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