説明

道路用照明装置

【課題】光出射面の全体からほぼ均一な光強度の光を出射する。
【解決手段】アクリル板21の左右端面の外方に,左右端面に向けて光を出射する複数のLED光源26L,26Rが配列されている。アクリル板21内には光を乱反射する乱反射材22が混入されており,左右端面からアクリル板21内に入射した光はアクリル板21内で乱反射材によって乱反射してアクリル板21の表面から外部に出射する。アクリル板21の裏面の全体には光反射シート23が貼付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,道路用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル内の道路を明るく照らしたり,道路標識をその背面側から照明して夜間の道路標識の視認性を高めるために照明装置が用いられている。特許文献1,2には,光出射面の背後に,行方向および列方向に多数の発光ダイオード(LED)(Light Emitting Diode)が配列された照明装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−324408号公報
【特許文献2】特開2010−153357号公報
【0004】
しかしながら,光出射面の背後に多数の発光ダイオード(LED)を配列しただけでは,出射光にむらが生じてしまう。
【発明の開示】
【0005】
この発明は,光出射面の全体から,ほぼ均一な光強度の光を出射できるようにすることを目的とする。
【0006】
この発明による道路用照明装置は,少なくとも一つの光入射端面を備え,内部に多数の微少な乱反射材が混入された樹脂板,樹脂板の上記光入射端面に沿って配置された複数の発光ダイオード光源,および上記樹脂板の裏面に設けられた光反射シートを備え,上記複数の発光ダイオード光源からの光が上記光入射端面から入射し,上記乱反射材によって乱反射して上記樹脂板の表面からほぼ均一の光強度で出射するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
樹脂板中に乱反射材が混入されているので,光入射端面から入射した複数の発光ダイオード光源からの光は樹脂板内において様々な方向に乱反射し,そのうち樹脂板の表面に向かう光が樹脂板の表面から外部に出射する。
【0008】
この発明によると,樹脂板内で様々な方向に乱反射した光を樹脂板の表面から外部に導くことができるので,樹脂板の表面のほぼ全面からほぼ均一な光強度の光を出射させることができる。また,樹脂板の裏面に光反射シートが設けられているので,樹脂板の裏面から樹脂板の外に出た光を,光反射シートにおいて反射させて再び樹脂板内に戻すことができる。光源からの光を無駄なく樹脂板の表面から出射させることができる。
【0009】
好ましくは,上記樹脂板の上記光入射端面以外の端面に光反射シートが設けられている。樹脂板の光入射端面以外の端面から樹脂板の外に出た光を樹脂板内に戻すことができる。光源からの光を無駄なく樹脂板の表面から出射させることができる。
【0010】
他の実施態様では,複数の発光ダイオード光源が固定される光源固定部材を備え,上記光源固定部材の上記樹脂板の光入射端面に臨む面に光反射シートが設けられている。発光ダイオード光源から出射されて樹脂板の光入射端面において反射した光,および光入射端面から外に出た光も,樹脂板内に入射することができる。
【0011】
好ましくは,上記樹脂板の表面の外側に透明板を有する外カバーが設けられている。外カバーを用いることで樹脂板の表面(光出射面)を清潔に保つことができ,道路用照明装置の保守(清掃など)が便利になる。
【0012】
好ましくは,上記外カバーの上記透明板の表面に透明の耐火シートが設けられている。たとえば,道路用照明装置がトンネル内に設置されており,そのトンネル内で火災が発生したときに,道路用照明装置を火災によって発生する熱から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】道路用照明装置の分解斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う端面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う端面図である。
【図4】道路用照明装置の他の実施例を示すもので,図2に相当する端面図である。
【実施例】
【0014】
図1は道路用照明装置の分解斜視図を示している。図2,図3は組立て状態の道路用照明装置を示すもので,それぞれ図1のII−II線,III−III線に沿う端面図である。図2,図3において中央部分は省略されて示されている。
【0015】
図1を参照して,道路用照明装置は,外カバー10,照明器具20および内枠30を含む。内枠30内に照明器具20が収められ,それが外カバー10内に収められる。
【0016】
照明器具20は,表面および裏面がほぼ正方形で,所定の厚さを持つ平板状の透明(半透明を含む)のアクリル板21と,アクリル板21の互いに対向する端面のそれぞれの外方に,上記端面に平行に一列に配列された複数のLED光源26L,26Rとを含む。LED光源26L,26Rは好ましくは白色光を出射するもので,たとえばLEDチップを蛍光体,光散乱部材等でモールドしたものを用いることができる。アクリル板21の裏面(底面)の全体に光反射シート23が貼付けられている。詳細は後述するが,複数のLED光源26L,26Rから出射された光はアクリル板21の両端面からアクリル板21内に入射し,アクリル板21の表面(図1〜図3において上向きの面)から出射する。以下の説明では,複数のLED光源26L,26Rを結ぶ向きを左右方向とし,LED光源26L,26Rからの光が入射するアクリル板21の両端面を左右端面と呼ぶ。アクリル板21の左右端面と垂直な上下端面を結ぶ,上記左右方向に直交する向きを上下方向とする。
【0017】
照明器具20は,平板状のアクリル板載置台24aを含む支持部材24を備える。上記アクリル板21は,支持部材24の載置台24a上に置かれる。載置台24aはその左右方向の長さが上下方向の長さよりもわずかに長く,上下方向はアクリル板21の上下方向の長さとほぼ一致している。
【0018】
載置台24aの左右の両側端のそれぞれに,その全体にわたって,裏面(底面)側に垂直に曲がってわずかに延びる脚部24bが連続している。載置台24aの上下端のそれぞれには,載置台24aの表面側に垂直に曲がってわずかに延び,続いて載置台24a上に向けて垂直に曲がって載置台24aの表面と平行にわずかに延びる形状を持つ固定枠24cが連続している。固定枠24cは載置台24aの上下端の全体にわたって形成されていず,載置台24aの上下端の左右の端部には,固定枠24cが形成されていない箇所がそれぞれ存在する。
【0019】
載置台24aと,この載置台24aに平行に延びる固定枠24cの先端部分との間の間隔は,アクリル板21の厚さとほぼ等しい。アクリル板21は左右のいずれかの側方から上記固定枠24cの枠内に差込まれて載置台24a上に置かれる。アクリル板21の上下部分の一部が,固定枠24cによって,表面側および上下端面側から挟まれる。
【0020】
上述のように,載置台24aの左右方向の長さはアクリル板21の左右方向の長さよりも長い。アクリル板21は載置台24aの左右方向の中央に配置される。載置台24aの左右の端部にはアクリル板21が配置されない範囲(領域)がある。
【0021】
照明器具20はさらに1対のLED光源固定部材25L,25Rを備える。LED光源固定部材25L,25Rは互いに垂直な向きを向く上面部と側面部とを持ち,その長さはアクリル板21の上下方向の長さとほぼ一致している。複数のLED光源26L,26Rが,LED光源固定部材25L,25Rの側面部の内側(アクリル板24の左右端面に臨む面)の上部に一列に配列されて固定されている。
【0022】
LED光源固定部材25L,25Rによって支持部材24をその左右側方からそれぞれ挟むと,LED光源固定部材25L,25Rの上面部の先端縁の両端部が,支持部材24の固定枠24cの側端縁に当接する。また,LED光源固定部材25L,25Rの側面部の内面下部が,支持部材24の脚部24bの外面に当接する。LED光源固定部材25L,25Rの側面部と支持部材24の脚部24bとがねじ止めされることで,支持部材24にLED光源固定部材25L,25Rが固定される。
【0023】
照明器具20はその裏面側から内枠30内に収納される。内枠30は,中央に矩形の大きな開口33があけられた矩形の裏面部(底面部)32と,裏面部32の4辺のそれぞれから垂直に立ち上がる側壁31を備える。正面(上面)は全体が開口している。内枠30の左右方向の内寸および上下方向の内寸(対向する側壁31同士を結ぶ長さ)は,照明器具20の対応する外寸よりも少し大きい。また,内枠30の側壁31の高さは照明器具20の高さ(厚さ)とほぼ等しい。正面(表面)と,裏面の開口33の範囲とを除いて,照明器具20の周囲が内枠30によって囲まれる。
【0024】
図2,図3を参照して,支持部材24の載置台24aの裏面の四隅に固定部材27が固定されている。この固定部材27に内枠30の裏面部32がねじ止めされることで,固定部材27を介して照明器具20に内枠30が固定される。
【0025】
外カバー10は,照明器具20,特にアクリル板21の表面をキズや汚れから保護するためのものである。外カバー10は,アクリル板21の表面よりも大きな矩形の開口13が中央にあいている矩形の正面部(上面部)12と,正面部12の4辺のそれぞれから垂直に下がる側壁11を備える。裏面(底面)は全体が開口している。
【0026】
外カバー10の正面部12の開口13は,その全体が正面部12の内側において固定部材15によって固定された透明板(半透明を含む)(たとえば,ガラス板またはアクリル板)14によって閉じられている。
【0027】
外カバー10の左右方向の内寸および上下方向の内寸(対向する側壁11同士を結ぶ長さ)は,内枠30の対応する外寸よりも少し大きい。外カバー10の側壁11の高さは内枠30の側壁31の高さとほぼ等しい。内枠30が固定された照明器具20に,その表面側から外カバー10が被せられる。裏面を除いて,内枠30が固定された照明器具20の周囲が外カバー10によって囲まれる。外カバー10の正面の透明板14が照明器具20のアクリル板21の外側に位置する。外カバー10の側壁11と内枠30の側壁31とをねじ止めすることで,内枠30に外カバー10が固定される。
【0028】
図2を参照して,アクリル板21の左右端面の外側に配置されている複数のLED光源26L,26Rから出射する光が,アクリル板21の左右端面からアクリル板21内に入射する。左右端面から光が入射するアクリル板21には粒径の小さい,微少な乱反射材(たとえばガラス粒)22が多数分散して混入されている。乱反射材22の粒径およびアクリル板21内における分布は,アクリル板21の表面から出射する光が,アクリル板21の表面のほぼ全体からほぼ均一の光強度で出射するように選択ないし調整される。
【0029】
アクリル板21の裏面(底面)の全体に,上述したように光反射シート23が貼り付けられている。アクリル板21の左右端面から入射した光(乱反射材22で乱反射した光)のうち,アクリル板21の裏面から外に出た光は光反射シート23において高い反射率で反射され,再びアクリル板21内に入射する。LED光源26L,26Rからの光を無駄なく利用することができる。
【0030】
上述のように,アクリル板21内に混入されている乱反射材22によって,左右端面からアクリル板21内に入射した光はアクリル板21内で様々な方向に乱反射し,その一部がアクリル板21の表面から外に出る。アクリル板21の表面のほぼ全体からほぼ均一な光強度の光が出射する。アクリル板21の表面から出射するほぼ均一な光強度を持つ光が,外カバー10の透明板14を通して外部に出射する。
【0031】
道路用照明装置は,道路に関連して設置される構造物に取付けられて用いられる。たとえば,トンネル内の天井または側壁に,トンネルが延びる方向に沿って,複数の道路用照明装置が並べられて固定される。道路用照明装置(透明板14の表面全体)からほぼ均一の光強度の光が出射するので,トンネル内を,均一な明るさでむらなく照らすことができる。
【0032】
上述した実施例において,複数のLED光源26L,26Rは一列に配列されているが,アクリル板21の厚さに応じて2列以上で配列してもよいのは言うまでもない。
【0033】
また,上述した実施例において,光反射シート23はアクリル板21の裏面全体に貼付けられているが,アクリル板21の上下端面の全体にも光反射シート23を貼付けてもよい。アクリル板21の上下端面からの光の漏れを防ぐことができる。
【0034】
さらに,複数のLED光源26L,26Rが固定されているLED光源固定部材25L,25Rの側面部の内面(アクリル板21の左右端面に臨む面)にも光反射シート23を貼付けてもよい。LED光源26L,26Rから出射してアクリル板21の左右端面で反射した光およびアクリル板21の左右端面から外に出た光も,アクリル板21内に入射することができる。
【0035】
図4は道路用照明装置の他の実施例を示すもので,図2に対応する端面図を示している。図1〜図3の道路用照明装置とは,外カバー10の透明板14の表面に,透明の耐火シート(たとえば,ガラス繊維を主体とするシート(織物))41が貼付けられている点が異なる。
【0036】
たとえば道路用照明装置がトンネル内に設置されており,このトンネル内で火災が発生したとしても,耐火シート41によって道路用照明装置を保護することができる。外カバー10の透明板14としてアクリル板を用いた場合に特に,アクリル板が火災の熱によって溶けるのを抑制するまたは遅らせることができる。
【0037】
道路用照明装置はトンネル内の照明に用いるのみならず,道路標識のバックライトとして用いることもできる。道路用照明装置によって道路標識の全体がその背面側からむらなく照らされるので,特に夜間の道路標識の視認性を高めることができる。
【符号の説明】
【0038】
10 外カバー
14 透明板
20 照明器具
21 アクリル板
22 乱反射材
25L,25R LED固定部材
26L,26R LED光源
30 内枠
41 耐火シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの光入射端面を備え,内部に多数の微少な乱反射材が混入された樹脂板,
樹脂板の上記光入射端面に沿って配置された複数の発光ダイオード光源,および
上記樹脂板の裏面に設けられた光反射シートを備え,
上記複数の発光ダイオード光源からの光が上記光入射端面から入射し,上記乱反射材によって乱反射して上記樹脂板の表面からほぼ均一の光強度で出射するように構成された,
道路用照明装置。
【請求項2】
上記樹脂板の上記光入射端面以外の端面に光反射シートが設けられている,
請求項1に記載の道路用照明装置。
【請求項3】
複数の発光ダイオード光源が固定される光源固定部材を備え,上記光源固定部材の上記樹脂板の光入射端面に臨む面に光反射シートが設けられている,
請求項1または2に記載の道路用照明装置。
【請求項4】
上記樹脂板の表面の外側に透明板を有する外カバーが設けられている,請求項1から3のいずれか一項に記載の道路用照明装置。
【請求項5】
上記外カバーの上記透明板の表面に透明の耐火シートが設けられている,請求項4に記載の道路用照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−160390(P2012−160390A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20444(P2011−20444)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000003528)東京製綱株式会社 (139)
【出願人】(390028185)株式会社エダキン (5)
【Fターム(参考)】