説明

遠心分離による血液の分離のための方法および使い捨て装置

一定容積の生理学的液体、特に血液のこの遠心分離方法によれば、遠心分離プロセスの最初の段階において、この液体中に<1%の割合で含有されるより大きい粒子(L3)のサイズに近い厚さを有する前記液体の流れを形成し、次に、この液体の厚さを増大させかつ前記より大きい粒子(L3)を、遠心軸線に最も近い、密度が最も高い前記液体の相(L1)の表面に導くために前記液体の流量を低下させ、この表面の外部に、前記より大きい粒子(L3)の容積にほぼ等しい容量のデッドボリューム(32)を設け、少なくとも密度が最も低い前記相(L2)を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心分離による血液の連続的分離のための方法ならびに遠心分離による一定容積の血液の連続的分離のための使い捨て装置に関し、該使い捨て装置は、その回転軸線周りに回転可能に取り付けられた円形の遠心分離室と、遠心分離すべき血液のための流入導管であって、その配分開口部が前記遠心分離室の底部近傍に位置する流入導管と、少なくとも最も低い密度を呈する前記血液の分離成分のための流出通路であって、その採集開口部が前記底部の反対側の前記室の端部の近傍に位置する流出通路とを含み、前記液体は、前記配分開口部と前記採集開口部との間で前記室の円形側壁に接触して軸方向流れを形成し、採集開口部は、前記分離成分を連続的に抽出するために前記分離成分の濃縮区域中に位置する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0257755号および欧州特許第0664159号はどちらも、上述のタイプの血漿瀉血のための遠心分離ボウルに関する。
【0003】
欧州特許第0257755号または欧州特許第0664159号に記載されるタイプの装置を用いて血液を分離する場合、多血小板血漿(PRP)および濃縮赤血球(RBC)が本質的に得られる。白血球は、全血液の非常に小さな割合を構成し、RBCの場合の40容積%に対して0.3容積%程度である。7μm程度である赤血球のサイズと比較して、白血球のサイズは12μm程度と大きいことがあるが、白血球の密度ρ=1.08は、赤血球の密度ρRBC=1.095よりあまり小さくなく、その結果、動的沈降において、白血球の沈降速度は、RBCの沈降速度よりも高い。その結果、遠心分離の開始からすぐに、白血球は、遠心分離室の遠心分離壁に向かって急速に沈降させられる。RBCの粘度、白血球とRBCの比率およびそれらの密度の小さな違いを考慮して、白血球は、たいていの場合、赤血球層の下に閉じこめられたままなので、白血球は、遠心分による血液成分の分離の間に、RBC層の表面に戻りがたい。
【0004】
そのようなわけで、白血球の大きいサイズを考慮して、白血球は、遠心分離によるRBCおよびPRPの分離後に濾過することにより、これらの成分から分離される。従って、この補足的操作により、血液の分離操作のコスト、使い捨ての装置のコスト、および白血球フィルタ中でのRBCの損失が増大する。
【0005】
本発明の目的は、これらの欠点を少なくとも部分的に改善することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
その目的のため、本発明は第一に、請求項1による一定容積の生理学的液体、特に血液の遠心分離による分離方法を目的とする。本発明は、請求項3による生理学的液体、特に血液の遠心分離による分離のための使い捨て装置も目的とする。
【0007】
本発明による方法および装置は、液体の遠心分離による分離の間に分離成分からの白血球除去を可能にすることにより、生理学的液体、特に血液の分離操作の大幅な単純化をもたらす。
【0008】
有利には、本発明による装置の分離成分の供給および流出導管は固定されており、2つの主要成分RBCおよびPRPは装置から連続的に流出する。
【0009】
好ましくは、遠心室の側壁の内面は、前記液体の軸方向流れの方向に広がっている環状セグメントを有しており、この液体の局所的加速および前記液体の層の厚さの対応する減少を引き起こす。厚さの減少を引き起こすこの流れの加速領域は、密度は赤血球の密度をごくわずかに下回るが、サイズは赤血球をかなり上回る白血球が、大半の赤血球から解放されるようにすることを目的とし、その結果、分離領域の後、流れの速度が低下し、液体の層が増大し、白血球は、赤血球とPRPとの間の境界面に戻る。さらに、この加速領域により、濃縮の間に赤血球から血小板を追い出すことも可能になり、その結果、PRPからの血小板の収率が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
添付図面は、本発明の目的である生理学的液体、特に血液の分離のための、遠心分離による分離方法および使い捨て装置の1つの実施形態を概略的かつ例として示す。
【0011】
本発明による装置を利用することを目的とし、図1に概略的に例示される遠心分離機のハウジングは、管状の2つの細長い遠心分離室1、2を含む。本発明の目的である第1の管状遠心分離室1は、遠心分離室1の固定された軸方向の流入および流出部材4に接続された供給導管3を含む。この供給導管3は、生理学的液体、特に血液の連続的な流れを保証するために互いに位相を180°ずらされた2つのポンプ6および7を含むポンプ装置5に連結されている。空気検出器10が供給導管3に沿って設置されている。
【0012】
密度が異なる、生理学的液体の2つの成分の連続的流出を可能にするために、2つの流出導管8および9が、固定された軸方向の部材4に接続されている。血液の場合、流出導管8は、濃縮された赤血球RBCの流出を目的とし、導管9は、多血小板血漿PRPの流出を目的とする。この流出導管9は、バルブ11を備え、2つの枝管9a、9bに分かれる。枝管9aは、濃厚血小板を回収するために用いられ、バルブ12によって制御される。バルブ11および12は、室1から室2にPRPを通過させるか、濃厚血小板を室2から流出枝管9aに移すかの排他的OR論理で作動する。枝管9bは、2つのポンプ14および15を含むポンプ装置13にPRPを導くために使用され、これらのポンプは、位相を180°ずらされており、第2の管状遠心分離室2の固定された軸方向の部材17に接続された供給導管16を介して第2の管状遠心分離室2への連続的供給を保証するために使用される。貧血小板血漿PPPのための流出導管24も、固定された軸方向の部材17に接続されている。
【0013】
図2は、ほぼ管状の遠心分離室1の駆動および誘導の態様を表す。管状遠心分離室の駆動および誘導部材の全体は、サイレントブロック(silentbloc)タイプの防振サスペンション19により遠心分離機のケーシングに接続された同じ支持材18上に位置する。支持材18は垂直壁部を有し、この壁部の下端は、駆動モータ20が固定されている支持水平アーム18aで終端している。このモータ20の駆動軸20aは、管状遠心分離室1の底部の下方に突出する小さい管状部材1a中に設けられた軸方向凹部と相補的な、Torx(登録商標)輪郭のような、多角形状を呈する。モータ20の駆動軸と管状部材1aとの連結は、遠心分離室1のこの端部の極めて正確な誘導を保証するために非常に高い精度で実現されなければならない。
【0014】
管状遠心分離室1の上端は、管状遠心分離室1の直径よりもかなり小さい直径の円筒形の軸方向誘導部材1bを備え、その上面が突出している。この部材1bの円筒形面は、3つのセンタリングローラ21と係合することを目的とする。これらのローラ21のうちの1つは、アーム22と連動し、このアームの一端は、支持材18の上部水平部分に枢着されている。このアーム22は、このアームを時計回り方向に回転させようとするトルクをこのアームに伝えることを目的とするばね(図示せず)または他の適切な手段の力を受け、その結果、このアームは、軸方向誘導円筒形部材1bの円筒形面に対し弾性的に当接する。その結果、管状遠心分離室は、アーム22を時計回りと反対方向に枢動させることにより、支持材18への設置および取り外しを行うことができる。アーム22に関連したばねの過剰なプレストレスを持つことを回避するために、アーム22のローラ21が円筒形の軸方向誘導部材1bの円筒形表面に当接する位置に対応するアーム22の角位置のロック装置が設けられる。
【0015】
円筒形の軸方向誘導部材1bと管状室1の上端との間の範囲は、センタリングローラ21と協働して、モータ20の駆動軸20aと管状室1の底部下方に突出する管状部材1aの軸方向凹部との切り離しを防止する軸方向止め具として用いられる。
【0016】
有利には、3つのローラのそれぞれの回転軸を通る、管状遠心分離室1の回転軸と共軸な円に接するそれぞれの平面において、誘導ローラ21の回転軸を、ローラの回転方向に応じて選ばれる方向に数度、すなわち<2°傾斜させることも可能であり、その場合、ローラは、管状室1に下向きの力をもたらす。
【0017】
管状遠心分離室の固定された軸方向の流入および流出部材4のセンタリングおよび取り付け用弾性部材23は、支持材18の水平上部18bと連動している。この部材23は、半円形の2つの対称的な弾性分岐を有し、これらの分岐は各々、外側に向けて曲げられた部分で終端しており、この曲げられた部分は、固定された軸方向の流入および流出部材4を弾性分岐の間に側方から導入する際に、これらの弾性分岐を互いに離間することを可能にする力をこれらの弾性分岐に伝えることを目的とする。
【0018】
認められるように、管状遠心分離室1の固定および回転部品のすべての位置決めおよび誘導部材は支持材18と連動しており、その結果、精度は支持材18それ自体の精度によって決まり、支持材は、製造が複雑な部品ではないだけに、非常に小さい公差で製造できる。高い精度の保証に寄与する他の要因は、遠心分離室の細長い管形状による、下部ガイドと上部ガイドとの間の比較的長い距離である。最後に、小さい直径の円筒形誘導表面1b上で作用することにより、一方では、機械加工された部品の場合とは反対に、遠心分離室1、2が製造される射出プラスチック材料の、寸法に比例する収縮に起因する誤差を低減し、他方では、真円度誤差を低減することが可能になる。
【0019】
管状遠心分離室のこの誘導精度により、この遠心分離室1の側壁上に非常に薄い流れを形成することが可能になる。これにより、室中に滞留する液体の容量を小さくすることが可能になり、このことは、溶血のリスクおよび血小板活性化のリスクを低減できる要因であり、このリスクは、確かに加えられる力に応じて決まるが、血液成分がこれらの力を受ける時間によっても決まる。かくして、力の閾値を固定することはできない。なぜならば、所与の力について、溶血のリスクは、特定の期間について事実上ゼロであり得るのに対して、同じ力であるが著しくより長い期間については、ずっと大きいことがあり得るからである。
【0020】
好ましくは、管状遠心分離室1は、10〜50mm、好ましくは30mmの直径を有し、5,000〜100,000回転/分の回転速度で駆動され、その結果、液体が受ける接線速度は、好ましくは26m/秒を越えない。管状遠心分離室1の軸方向長さは、40〜200mm、好ましくは90mmである。そのようなパラメータにより、管状室内における0.5〜60秒、好ましくは5秒の液体滞留時間に対応する20〜400ml/分(特に透析について)、好ましくは100ml/分の液体流量を保証することが可能になる。
【0021】
説明されたばかりの遠心分離機と組み合わされることを目的とする管状遠心分離室1の設計をより詳細に今から検討する。管状遠心分離室1の寸法、駆動、位置決めおよび誘導についての上記の記載において説明されたすべてのことが、管状遠心分離室2にも同様にあてはまることをここで明言することができる。それに反して、PPP用の出口24を1つしか有していない後者の管状遠心分離室は、内部の設計が管状室1よりも単純である。
【0022】
図4により例示されるように、管状室1は、2つの部分、すなわち本来の意味での管状室1eおよび閉鎖部材1fから作製されており、これらはどちらも、互いに溶着されたそれぞれの環状フランジ1c、1dにより終端する。管状部分1eの内部空間は、この室の本質的に円筒形の壁により画定される。管状室1eの底部近傍において、その円筒形側壁は、円筒形セグメント1g(図3)を呈しており、その役割は、以下で説明される。
【0023】
固定された軸方向の流入および流出部材4は、円筒形の軸方向誘導部材1bの中心に設けられた軸方向開口部を介してこの管状室1に入り込んでいる。遠心分離室1と連動するこの軸方向開口部と、固定された軸方向の部材4との間の気密は、環状シール25により実現され、この環状シールの1つのセグメントは、この固定された軸方向の流入および流出部材4の円筒形部分に固定されている一方で、もう1つのセグメントは、円筒形の軸方向誘導部材1bの環状空間26内に導入されかつ、円筒形の軸方向誘導部材1bを貫通する軸方向開口部を環状空間26から離間する管状壁27の凸状表面に当接する。この密封は、遠心分離室中に含まれる液体の無菌状態を守るために用いられる。この図4において例示されるように、管状壁27に当接する管状シール27の部分は、密封を確実に行うためにわずかな半径方向変形を受ける。
【0024】
管状シール25が摩擦する直径が小さく、好ましくは、<10mmであり、その結果、発熱が許容できる値に制限されることが認められる。管状遠心分離室1について上記で与えられた考え得る寸法によれば、この室1の上部のセンタリングおよび誘導手段21と下部のセンタリングおよび誘導手段20aとの間の軸方向距離が、軸方向円筒形誘導部材1bの直径の5倍を上回ることも認められる。管状室1が誘導される精度および固定された軸方向の流入および流出部材4の相対的位置決めが達成できる精度を考慮して、シールは、半連続的フローで動作する従来技術の既知の装置の場合のように、回転する管状室1の同心性欠陥を補償する必要が事実上ない。これは、回転管状シール25の発熱の低減にも寄与し、従って、管状遠心分離室1の回転速度を増大させることを可能にする。
【0025】
固定された軸方向の流入および流出部材4は管状部分3aを備え、この管状部分は、この固定された軸方向部材と接続された供給導管3を管状遠心分離室1の底部近傍まで延設して、分離されるべき血液または他の生理学的液体をそこに導く。
【0026】
固定された軸方向の流入および流出部材4に接続された流出導管8および9は各々、軸方向セグメント8a、9aをそれぞれ備え、この軸方向セグメントは、管状室内に入り込み、管状遠心分離室1の上端近傍に位置する固定された軸方向の流入および流出部材4の部分に通じている。これらの流出導管8a、9a各々の採集端部は、円形スロットで形成される。これらのスロットの各々は、固定された軸方向の流入および流出部材4と連動する2つのディスク28、29および30、31の間にそれぞれ設けられる。
【0027】
これら4つのディスク28〜31の直径は、好ましくは、ほぼ同一である。ディスク28と29との間および30と31との間にそれぞれ設けられた円形の採集開口部は、図5により個別に例示される管状障壁32により互いに分離される。この障壁は、遠心室1eの側壁と同心かつ平行な管状壁32aを有する。特に図4において認められるように、この管状壁32aと管状室1eの側壁との間の半径方向の隔たり、ならびにこの管状壁32aの厚さは、この管状壁32aが、RBCに対応する最も高い密度を呈する遠心分離された液体の相L1により形成される厚さの中に完全に位置するように選ばれる。遠心室1の底部から最も離れたこの管状壁32aの端部は、ディスク29と30との間に位置する空間内に、固定された軸方向部材4の方向に閉じる環状部材32bを有する。
【0028】
この環状部材32bは、遠心室1の底部の方向に延びる内側環状縁部32cを有する。この環状縁部32cの直径は、PRPに対応する最も低い密度を呈する遠心分離された液体の層L2により形成される厚さ中に位置するように選ばれる。
【0029】
その結果、遠心分離された液体の相L1、L2の境界面の近傍にある白血球には、障壁32の管状壁32aと内側環状縁部32cとの間に設けられた環状の貯蔵空間の底部に溜まるという可能性しかない。これらの白血球L3は、RBCを少しずつ障壁32の開放端部に向かって押しやりつつ蓄積する。管状壁32aと環状縁部32cとの間にこのようにして設けられた環状空間の容積は、遠心分離されるべき一定容積、例えば、450mlの血液中に含有される白血球の容積を少なくとも含むように選ばれ、これは、供血者において採取される通常の容量であり、この容積は当然、個人により若干変動し得る。
【0030】
認められるように、環状縁部32cにより形成される円筒形部分は、ディスク30と31との間に設けられた円形の採集開口部と向き合って位置し、このようにしてこの開口部を、この円形の採集開口部により吸引されることを目的とする相L2以外の液体相から隔離する。従って、これにより、この吸引により生成される渦が引き起こし得る再混合のリスクが回避される。
【0031】
ディスク28と29の間および30と31との間にそれぞれ設けられた2つの採集開口部は、これらがほぼ同じ直径を有することができるように、分離されなければならない。このために、前記管状室1の中心に向かって半径方向に延びる部分32fの内側縁部の直径は、ディスク28〜31の直径を下回らなければならない。
【0032】
障壁32の固定は、環状部分32dを組立てフランジ1c、1dの間に挟持することによって達成される。この環状部分32dは、ディスク28および29の間に設けられた円形の採集開口部に向かうRBCの通路のための開口部をその間に設けるアーム32e(図5)により、本来の意味での管状障壁に連結される。
【0033】
認められるように、管状室1の閉鎖部材1fの側壁の直径は、管状障壁32がこの室1の部分1e内に全体が収容されるので、本来の意味での管状室1の側壁の直径を下回る。その結果、遠心分離室1内に固定されるRBCの容積が低減される。
【0034】
管状室1の円錐形部分1g(図3)の役割は、遠心分離すべき液体の流量を加速することにより、この液体の流れの厚さを局所的に低減することである。液体層の厚さが非常に小さく白血球のサイズに近いこの円錐台形領域のおかげで、非常に近い密度、赤血球のサイズよりもかなり大きいサイズおよび赤血球の粘度の理由で赤血球の層から浮上しがたいことが多い白血球は、比較的大きい厚さの赤血球層をもはや横断する必要がなく、その結果、液体層の厚さが増大する場合、ひとたび液体が円筒形管状領域中に入ると、液体の軸方向管状流れに作用する遠心力の影響下で、白血球は、RBCとPRPとの間に形成される境界面に留まる。
【0035】
この円錐形部分1gには、濃縮の間に血小板を赤血球から排出する効果もあり、これによって、PRPの血小板収率を増大させることが可能になる。
【0036】
PRPにより運ばれて、この流れが流出導管8および9の円形の採集開口部の方向に進行する場合、相RBCと相PRPとの間の境界面が障壁32の内部に入り込み、そこで白血球は、管状壁32aと環状縁部32cとの間で画定される環状の蓄積領域中に捕捉される。
【0037】
図6は、管状遠心分離室1の底部形状の変型例を例示する。この室1’の底部は、丸みのある環状表面1’hによって円錐形部分1’gに連結されている。この表面1’hの役割は、溶血のリスクを減らすように、液体の半径方向流れと液体の軸方向流れとの間の移行を低減することである。極言すれば、大きい直径の遠心分離室の場合、大半の遠心分離室の場合のように、丸みのある表面1’hは、円錐形部分1’gに代わるのに十分大きい半径を有することができるであろう。その理由は、丸みのある表面1’hが、同じ目的、すなわち流量の加速および層厚さの局所的な薄化を可能にできるであろうからである。
【0038】
いずれにせよ、白血球がRBC層の下に閉じ込められないようにすることを目的とする液体の流れの層の薄化は、前述の室の実施形態またはその変型例のデザインにより可能になるような、遠心分離室の十分に精密な誘導を必要とすることが指摘されるべきである。すなわち、室のこの軸方向誘導の精度が、白血球のサイズに近い厚さにまで薄化された液体の層の厚さをもし下回れば、遠心分離室の偏心により、連続した薄い環状または管状の液体の流れの層を得ることはできなくなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この方法を実施するためのこの使い捨て装置を利用する遠心分離機の正面図である。
【図2】図1の部分斜視図である。
【図3】図1および図2の使い捨て装置の軸方向断面図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】図1および図2の装置の部材の斜視図である。
【図6】図3による使い捨て装置の一変型例の部分的な軸方向断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離による一定容積の血液の連続的分離のための方法であって、遠心分離プロセスの最初の段階において、前記血液の流量および軸方向流れの角度を、血液の厚さが白血球のサイズに近くなるように選び、次に、血液の流量を低下させかつ密度が最も高い血液の相(L1)と密度が最も低い血液の相(L2)との間の境界面に白血球を導くために血液の厚さを変化させ、前記境界面の近傍に、前記白血球の容積にほぼ等しい容量の、軸方向流れの方向に開いたデッドボリュームを設け、少なくとも密度が最も低い血液の相(L2)を排出することを特徴とする、方法。
【請求項2】
最も高い密度を呈する血液の相(L1)も排出する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
遠心分離による一定容積の血液の連続的分離のための使い捨て装置であって、該使い捨て装置は、その回転軸線周りに回転可能に取り付けられた円形の遠心分離室(1)と、遠心分離すべき血液のための流入導管(3)であって、その配分開口部が前記遠心分離室(1)の底部近傍に位置する流入導管(3)と、少なくとも最も低い密度を呈する前記血液の分離成分(L2)のための流出通路(8,9)であって、その採集開口部(30,31)が前記底部の反対側の前記室(1)の端部の近傍に位置する流出通路(8,9)とを含み、前記液体は、前記配分開口部と前記採集開口部との間で前記室(1)の円形側壁に接触して軸方向流れを形成し、採集開口部は、前記分離成分を連続的に抽出するために前記分離成分の濃縮区域中に位置し、前記室(1)は、管状壁(1e)および該管状壁(1e)と同心でありかつ該管状壁(1e)と最も低い密度を呈する分離血液の相(L2)の排出のための前記円形採集開口部(30−31)との間を延びていること、ならびにこの室の底部に向かって開いており、その内側縁部の直径が、最も低い密度を呈する前記相(L2)の前記円形採集開口部(30−31)の半径を下回りかつその容積が前記一定容積の血液の白血球の容積にほぼ対応する環状蓄積ポケット(32c)が、白血球(L3)を回収するために前記管状障壁(32a)の内部に形成されることを特徴とする、使い捨て装置。
【請求項4】
前記環状蓄積ポケット(32c)の内部境界は、最も低い密度を呈する前記相(L2)の円形採集開口部(30−31)の周りに位置する円形縁部を呈する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記管状遠心分離室(1)の長さは、その直径を上回る、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
プラスチック材料製の前記遠心分離室(1)がその軸線周りに回転可能に取り付けられる固定された軸方向の流入および流出部材(4)と、前記固定された軸方向の部材(4)と前記遠心分離室(1)との間の回転シール(25)とを含み、前記固定された軸方向の流入および流出部材(4)は、少なくとも1つの第2の分離成分のための流出通路(8)を備え、該流出通路の採集開口部(28−29)は、最も低い密度を呈する分離血液の相(L2)の円形採集開口部(30−31)に関して、遠心分離室の底部の反対に延びる軸方向距離に位置しており、2つの採集開口部(28−29,30−31)は、前記管状障壁(32a)によって互いに離間される、請求項3から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記室(1)の側壁の内面は、前記液体の局所的加速および前記液体の層の厚さの対応する減少を引き起こすための、前記液体の軸方向流れの方向に広がっている環状セグメント(1g)を有する、請求項3から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記液体の軸方向流れの方向に広がっている前記環状セグメント(1g)は、前記室の底部近傍に位置する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
底部と反対側の前記管状遠心分離室(1)の端部は、円筒形狭隘部(1b)を備えており、該狭隘部を通して前記固定された軸方向の部材(4)が通過し、前記狭隘部の中に前記回転シール(25)が設置される、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記円筒形狭隘部(1b)の外表面は、前記容器の第1の誘導手段と係合することを目的としており、前記管状遠心分離室(1)の底部は、この管状室(1)の第2の誘導、支持および駆動手段と係合するための手段(1a)を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
最も低い密度を呈する少なくとも1つの分離成分(L2)の濃縮区域にその採集開口部(30,31)が位置する前記固定された流出導管(9)が、第2の遠心分離室(2)に連結される、請求項3から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記流出通路(8,9)の採集開口部(28−29;30−31)は、同じ直径の2つの円形開口部であり、前記管状室(1)の中心に向かって半径方向に延びる前記障壁の前記部分の内側縁部(32f)が、前記採集開口部(28−29;30−31)の直径を下回る、請求項6に記載の装置。
【請求項13】
前記室(1’)の底部が、丸みのある環状表面(1’h)によってその遠心分離側壁に連結される、先の請求項のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−528213(P2008−528213A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553434(P2007−553434)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/CH2006/000061
【国際公開番号】WO2006/081699
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(507248804)
【Fターム(参考)】