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遠心分離デバイス及び遠心分離方法
説明

遠心分離デバイス及び遠心分離方法

【課題】試料液中の比重の異なる成分を完全に分離して、分析に必要な試料液の定量採取を行うことのできる遠心分離デバイスを提供する。
【解決手段】試料液分離貯留部に挿入されるべき試料液の液面から試料液分離貯留部に連結した第1の流路の折り返しの曲管部までの長さ(h1)と、試料液分離貯留部に挿入されるべき試料液の液面から試料液分離貯留部に連結した第2の流路の折り返しの曲管部をまでの長さ(h2)の関係が、h1<h2を満たす構成を用いて、遠心分離手段によって段階的に円盤の回転数を減少させることで、試料液を比重の異なる成分に完全分離してして、分析に必要な成分を定量採取することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比重の異なる成分を含む試料液を分離して定量採取し分析する為の回転分析装置の遠心分離デバイス及び遠心分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生物学的流体を光学的に分析する方法として液体流路を形成したマイクロデバイスを用いて分析する方法が知られている。マイクロデバイスは回転分析装置を使って流体を制御することが可能であり、遠心力を利用して試料の計量、細胞質材料の分離、分離された流体の移送分配等を行うことができるため、種々の生物化学的な分析を行うことが可能である。
【0003】
遠心力を利用して試料を計量する方法としては、図11に示すように中心から周縁に向けて分析前に希釈すべき液体を収容する中央収容部111と、計量室112及び溢流室113と、混合室114と、測定セル115とを備え、計量室112が溢流室113とほぼ平行に配置され、且つ供給口116及び溢流口117以外に供給口116と対向する計量室壁面に設けられる開口118を有し、この開口が常時開放されると共に、供給口116及び溢流口117より遥かに小さい断面を有することを特徴とする回転分析デバイスがあり、このような構成にすることで計量室112の充填が高速で実施され、且つその溢流が即刻除去される。液体は計量室112が液体で満たされ始めるとすぐにこの室から流出し始める。そのため、流入口断面積対流出口断面積の比の関数たる供給時間対流出口からの流出時間の比を好きなだけ小さくすることができることから、測定に正確さが与えられる(特許文献1)。
【0004】
また、図12に示すように大型流体室121と、大型流体室121に連結されると共に大型流体室121に対して半径方向外方に配置された計量室122と、計量室122に連結された溢流室123と、計量室122に対して半径方向外方に配置された受容室124と、計量室122から受容室124に液体を供給するための毛細管連結手段125とを有する回転分析デバイスがあり、毛細管連結手段125は毛細管構造を有するサイフォン126を含み、サイフォン126の肘状屈曲部分が、回転分析デバイスの中心から、計量室122の半径方向再内方点と実質的に同じ距離になるように位置付けられることで、回転分析デバイスの回転中は毛細管力が遠心力に比べて小さいため、液体/空気の界面は回転分析デバイスの軸線と同じ軸線を有し、且つ回転分析デバイスの中心から計量室122の半径方向再内方点までの距離に等しい長さの半径を持つ回転円筒体の形状と合致して計量室122は充填され、過剰な液は溢流室123に流れ込む。回転分析デバイスを止めると、計量室122内に充填された液が、毛細管力で毛細管連結手段125に流入し、再度回転させることでサイフォン126が始動し、計量室122内に存在する液は受容室124に排出される(特許文献2)。
【0005】
さらに、図13に示すように内周から外周方向に向かって、外周側が扇状に形成された貯留部131、血球収容部132を備え、血球収容部132と貯留部131を接続する部分133は、凸形状になっており、遠心分離によって流入した血球成分が貯留部131に逆流しないようになっている。さらに、貯留部131の側面には、サイフォン形状の出力流路134が連結され、出力流路134から先は、次の操作領域へ、操作後の試料液を供給できる構成である。供給流路135を介して、原血液を貯留部131に供給し、供給された血液は遠心力によって比重の重い血球成分が血球収容部132に収容される。おおよそ分離完了の状態で、回転数を下げることにより、貯留部131に連結された出力流路135内の溶液にかかる毛細管力と遠心力のバランスが逆転し、遠心分離によって貯留部131に残留した血漿・血清成分が出力流路135を介して次の操作領域へと排出される。(特許文献3)
【特許文献1】特開昭61−167469号公報
【特許文献2】特表平5−508709号公報
【特許文献3】特開2005−345160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記図11や図12に示した従来技術の構成では、回転分析デバイスが回転中は、遠心力が液体と計量室壁面との間に働く表面張力より大きいため、溢流口の開口位置で液面が釣り合って所定の量を計量できているが、次工程に移るために回転を減速あるいは停止させた場合に、液体は遠心力から開放されると同時に液体と溢流口壁面の界面で表面張力が働き出し、その表面張力によって液体は溢流口の壁面を伝って溢流室に流出してしまい、精密な計量ができていなかった。また、液体の物性値の違いによって流出する量がばらつくため、分析する液体ごとに計量室の大きさを変える必要があった。
【0007】
さらに、図13の様な従来技術の構成では、比重の違いによる遠心分離は可能であるが、血液の導入される貯留部に直接毛細管が連結される構造をとっているため、分離前の毛細管内に入ってしまった血球がそのまま毛細管内に残留し採取したい血清・血漿の中に血球が混入する可能性があった。
【0008】
分析を目的とした操作領域を含む各種構成において、検体の選択的な分離と必要量の定量は欠くことのできない要素である。検体の定量法は種々考案されているが、血液分析の場合、検体として使用される血液は、その内容成分が大きく血球と血漿または血清成分に分けられる。このうち測定対象となるのは血漿または血清成分が使用されることがほとんどである。したがって、検体を選択的に定量する場合、血球分離工程、血漿または血清の定量工程の2種の工程を踏む必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の遠心分離デバイスは、分析すべき試料液を回転して発生する遠心力と毛細管力により遠心分離するための遠心分離デバイスにおいて、
試料液を注入及び収容するための試料液貯留部と、前記試料液貯留部と流路で連結され当該試料液貯留部に対して半径方向外側に位置し前記試料液を試料液の比重の差を用いて遠心分離される第1の試料液と第2の試料液とに計量し分離して貯留する試料液分離貯留部と、前記試料液分離貯留部の半径方向外側両端部に連結する第1の流路と第2の流路を介して前記第1と第2の試料液をそれぞれ貯留する第1と第2の定量貯留部と、を備え、
前記試料液分離貯留部に挿入されるべき試料液の液面から試料液分離貯留部に連結した第1の流路の折り返しの曲管部までの半径方向の長さ(h1)が、前記試料液分離貯留部に挿入されるべき試料液の液面から試料液分離貯留部に連結した第2の流路の折り返しの曲管部までの半径方向の長さ(h2)より短いことを特徴としたものである。
【0010】
また、本発明の遠心分離方法は、試料貯留部からの分析すべき試料液を回転して発生する遠心力と毛細管力により遠心分離する分析試料液の遠心分離方法において、第1の回転数にて前記試料液貯留部の試料液を比重の差により分離して貯留し、次に第2の速度に減速して前記試料液分離貯留部から比重の軽い第1の試料液が前記定量貯留部に計量して移送され、次に前記第2の回転速度より遅い第3の回転速度に減速して比重の重い第2の試料液が前記定量貯留部に計量して移送され、段階的に回転速度を減速し遠心分離することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の遠心分離デバイス及び遠心分離方法によれば、回転分析手段によって試料液の比重の異なる成分を完全に分離して分析に必要な試料液の定量採取を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の遠心分離デバイスの実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の第1の実施例における遠心分離デバイスの構成を示す模式図である。図2は、第1の実施例における遠心分離デバイスのためのマイクロチャネル13が形成されたパネル12を示す図である。図3は、マイクロチャネル13である試料液分離貯留部22の詳細図である。図4はマイクロチャネル13を形成したパネル12の構成図である。
【0014】
パネル12に形成されるマイクロチャネル13は、図4に示すような凹凸のあるマイクロチャネル13のパターンを中基板42に射出形成により製作しており、分析する試料液を試料液貯留部21に注入し、複数枚のパネル22を配置できる回転分析装置11に設置することで、遠心力と毛細管力を利用して試料液を遠心分離し定量採取することが可能となっている。
【0015】
図4に示すように、本実施例のパネル13は、上基板41、マイクロチャネル13を抽出形成した中基板42、そして下基板43で構成されており、それぞれの基板は接着剤により圧着されている。それぞれの基板の厚みは本実施例1においては1〜3mmで形成しているが、特に制限はない。それぞれの基板の形状についても、本実施例1では角丸四角形の形状を用いているが、目的に応じた形状、例えば、扇形、台形、円形等、その他の形状が可能である。それぞれの基板の材質としては、容易成形性、容易分析性、量産性、低コストの観点から、透明体のポリカ系樹脂を用いた。
【0016】
マイクロチャネル13は、試料液の貯留部と、貯留部と貯留部の間の試料液を移送するための流路で構成されている。マイクロチャネル13の壁面は粘性抵抗を減らし、流体移動を促すために親水処理を行っている。ここで、親水処理とは主に試料と壁面の接触角が90度未満にある状態をいい、接触角が90度以上の場合は撥水処理されているものとする。一般的に接触角が低く、毛細管の断面積が小さくなればなるほど毛細管力が強くなる。本実施例1では、親水処理に界面活性剤を用いてマイクロチャネル13の壁面の表面処理を行い、接触角が70度程度になるように制御した。その他の表面処理方法としてはプラズマ、コロナ、オゾン、フッ素等の活性ガスを用いた表面処理方法や親水性のある微粒子埋め込みによる表面処理が挙げられる。
【0017】
次に本実施例1におけるマイクロチャネル13の具体的な構成について説明する。図2に示すように、マイクロチャネル13の構成は、試料液を注入/貯留するための試料貯留部21と、試料液の比重の違いを利用して遠心分離を行うための試料液分離貯留部22と、分離された比重の軽い試料を貯留するための第1の定量貯留部23と、比重の重い試料を貯留するための第2の定量貯留部24で構成されている。
【0018】
さらに、図3に示すように、試料液分離貯留部22の半径方向外側の壁面には、壁面の略中心から回転分析装置の回転中心に向かって形成される分離壁32を形成している。この分離壁32は、比重の違いによって分離される試料液を第1の分離貯留部22aと第2の分離貯留部22bに分離し貯留するための分離壁32である。即ち、比重の重い試料液と比重の軽い試料液を、分離壁32により第1の分離貯留部22aと第2の分離貯留部22bに概略的に分離して試料液分離貯留部22に貯留するものである。
【0019】
さらに、この分離壁の先端部には逆流を防止するための逆流防止弁31を設けている。この逆流防止弁31の形状は、図3(a)に示すように分離壁32の半径方向内側先端部に回転方向とは逆の方向に伸びる突起部をもつような形状であればよい。通常、回転数が一定で加速度が加わっていない状態では、試料液が試料液分離貯留部22にすべて移動した状態(図3(a))では、液面は回転中心からほぼ等しい距離で定位する。しかしながら、回転数を減速させる際に回転方向とは逆に加速度が加わるため、試料液には加速度とは逆、つまり回転方向に慣性力が発生し、試料液には遠心力と慣性力のベクトルの合成方向の力が加わる(図3(b))。その影響によって、第2の分離貯留部22bに遠心分離された比重の重い試料液が分離壁32を超えて第1の分離貯留部22aに混入しようとする。このとき、図3に示すような逆流防止弁32を設けることによって、比重の重い試料液が分離壁32を超えて第1の分離貯留部32に混入することを抑制することが可能となる。
【0020】
特に血液を血漿・血清と血球に分離する場合は、比重の重い試料液が貯留される第2の分離貯留部22bの容量は、最初に注入する試料液の50%〜60%の容量としている。これは、一般的に人間の血液に含まれる比重の重い血球34の割合は30%〜50%であり、血球34を貯留するための第2の分離貯留部22bの容量が50%以上の容量を保持していれば比重の重い試料液が、比重の軽い試料液が貯留される第1の分離貯留部22a側には溢れないためである。逆に、第2の分離貯留部22bの容量を多くしすぎると、検体となる血清・血漿33の必要量の定量採取を行うために、最初に注入すべき血液61の量を増加する必要性が出てきたり、場合によっては検査に必要な血清・血漿33の必要量の定量採取ができない可能性があったりするため、第2の分離貯留部22bの容量は注入する試料液の60%以下が望ましい。
【0021】
それぞれの貯留部の深さは2mmであり、15μl以上の容量を確保している。さらに、それぞれの貯留部には、試料の輸送を促すために上基板41に空気孔25を設けている。この空気孔25は試料がパネル12の外部に飛散しないように空気穴内壁が撥水処理されており、空気孔直径も1mm以下で形成されている。
【0022】
それぞれの貯留部と貯留部の間は流路で連結されている。具体的には、試料液貯留部21の半径方向外側の壁面から試料液分離貯留部22の半径方向内側の壁面を連結する第1の流路26と、第1の分離貯留部22aの半径方向外側と、第1の定量貯留部23の回転方向に位置する側壁面を連結する第2の流路27と、第2の分離貯留部22bの半径方向外側と、第2の定量貯留部24の回転方向とは反対に位置する側壁面を連結する第3の流路28である。
【0023】
特に、第2の流路27及び第3の流路28については、回転分析装置11の回転中心方向に折り返しのための曲管部29を備えたサイフォン形状である。第2の流路27と第3の流路28について、試料液が試料液分離貯留部22に入ったと仮定したときの液面から折り返しの曲管部29までの距離をそれぞれH1、H2としたときにH1>H2を満たすように形成する。このような構成を用いることによって、回転分析装置11の回転数を制御することで第1の定量貯留部23及び第2の定量貯留部24に分離後の試料液を選択的に移送することができる。本実施例1では、流路の幅を0.6〜1mm、深さを0.2mmで形成した。
【0024】
次に、本実施例1における試料移送のプロセスを血液の遠心分離及び定量採取を例にとって説明する。血液61は、主に血清・血漿33と、血球34に分類でき、血球は血清・血漿33にくらべて比重が重い。
【0025】
図5に本実施例1のプロセスフローを示す。図6に血液61の血清・血漿33及び血球34の遠心分離と定量採取の流れの模式図を示す。まず、試料液貯留部21に試料液である必要量の血液61を注入する(図6(a))。次に、パネル12を回転分析装置11に設置し、回転数Aで回転させ遠心分離を行う(図6(b))。この回転数Aは、第2の流路27、第3の流路28について、それぞれの試料液分離貯留部22の連結部からそれぞれの折り返し曲管部29の間の中途に試料が存在すると仮定した場合の試料液にかかる毛細管力63より遠心力62のほうが十分大きくなる回転数である。このときの回転方向は、必ず第2の流路27の方向、即ち、図1では反時計方向である。この回転方向は重要であり、遠心分離時に比重の重い血球34が第1の分離貯留部22a側に混入することを防いでいる。試料液の血液61は、回転数Aで遠心分離することにより、試料液貯留部22から第1の流路26を伝って第2の分離貯留部22b側に比重の重い血球61から移動していき一時貯留される。当然ながら、このとき試料液分離貯留部22に移動する試料液の中には比重の軽い血清・血漿33も混入している。即ち、回転数Aの場合、遠心力62>毛細菅力63の関係となり、試料液が流路26を介して試料液分離貯留部22に移動していく。
【0026】
試料液分離貯留部22に移動した血液61は遠心力62により比重の重い血球34が外周側に移動し、比重の軽い血清・血漿33は内周側に追いやられる。さらに、遠心分離を行うと、試料液分離貯留部22に形成した分離壁32を超えて第1の分離貯留部側に比重の軽い血清・血漿33が移動してくる。このとき、試料液貯留部21から試料液分離貯留部22に移動している血液61の中には、比重の重い血球34が含まれているが、血液61は回転方向の制御により必ず最初に第2の分離貯留部側に入るため、第1の分離貯留部22a側に比重の重い血球34には入らないようになっている。
【0027】
第1の分離貯留部22aと第2の分離貯留部22bに試料液の血液81が十分に分離したら、回転数Aから回転数Bに減速させる(図6(c))。この回転数Bは、第2の流路27の内部の血清・血漿33にかかる毛細管力63と遠心力62のつり合いが逆転する回転数である。このとき、遠心分離により分離された比重の軽い血清・血漿33が、第1の分離貯留部22aから第2の流路27を伝って第1の定量貯留部23に移動し始める。第1の定量貯留部23に移動する血清・血漿33は、試料液分離貯留部22にすべて入った時点で定量されており、第2の分離貯留部22bの容量によって決定される。例えば、第2の分離貯留部22bの容量を注入する血液の略50%の容量にした場合、残りの略50%が比重の軽い血清・血漿33の量になるといった具合である。比重の軽い血清・血漿33を第1の定量貯留部24に定量した後、回転数Bから回転数Cに減速させる(図6(d))。この回転数Cは、第2の流路28の内部の血球34にかかる毛細管力63と遠心力62のつり合いが逆転する回転数である。このとき、第2の分離貯留部22bに残留した比重の重い血球34が、第2の定量貯留部24に移動する。分離された血液61がすべて、第1の定量貯留部23と第2の定量貯留部24に移動する(図6(e))ことで、検体となる比重の軽い血清・血漿33の定量採取が可能となり、これ以降に回転を伴うプロセスが生じたとしても、第1の定量貯留部23に比重の重い血球34が混入することはない。
【実施例2】
【0028】
図7は、本発明の第2の実施例における遠心分離デバイスの構成を示す模式図である。図8は第2の実施例における遠心分離デバイスのためのマイクロチャネル72が形成されたパネル71を示す図である。図9は、マイクロチャネル72の試料液分離貯留部81の詳細図である。
【0029】
実施例1の構成と異なるところは図9に示すように、試料液分離貯留部81の半径方向の外側の壁面をステップ状に形成して分離し、分離壁82によって形成される比重の重い試料液を貯留するための第2の分離貯留部81aと、残りの領域で構成される比重の軽い試料液を貯留するための分離貯留部81bを形成していることである。さらに第1の分離貯留部81aの半径方向外側の壁面について、第1の流路27の連結部から逆流防止弁83に向かって回転中心からの距離が近くなるように形成されていることである。また、第2の分離貯留部81bの半径方向外側の壁面について、第2の流路28の連結部から分離壁82に向かって回転中心からの距離が近くなるように形成している。
【0030】
このような構成にすることによって、第2の分離貯留部81bから溢れ出た試料液が、第1の分離貯留部81aに移動するときの試料液の流速を弱めることができ、第2の分離貯留部81bに溜まっている比重の重い成分の逆流を抑制することが可能となる。さらに、それぞれの分離貯留部の半径方向外側の壁面に先に説明したような傾斜を形成することで、それぞれの分離貯留部に貯留した試料液をすべて流路内に移送することができる。
【0031】
図10に血液の遠心分離及び定量採取を例にとった試料移送例を模式図に示す。試料液である血液61を試料液貯留部21に注入(図10(a))し、回転分析装置11を回転数Aで遠心分離する(図10(b))。第1の回転数Aの遠心分離では、比重の重い第2の試料液が第2の分離貯留部81bに貯留され始める。即ち、回転数Aの場合、遠心力62>毛細菅力63の関係となり、試料液が第1の流路26を介して分離貯留部81bに移動していく。
【0032】
試料液の血液61は、試料液貯留部22から第1の流路26を伝って試料液分離貯留部81の第1の分離貯留部81bに比重の重い血球34から移動していき貯留される。第1の分離貯留部81aと第2の分離貯留部81bに、試料液の血液61が十分に分離したら、回転数Aから回転数Bに減速する(図10(c))。遠心分離により分離された比重の軽い血清・血漿33が、第1の分離貯留部81bから第2の流路27を伝って、第1の定量貯留部23に移動し始める。比重の軽い血清・血漿33を定量した後、回転数Bから回転数Cに減速させる(図10(d))。このとき、第2の分離貯留部81bに残留した比重の重い血球34が、第2の定量貯留部24に移動する。分離された血液61がすべて、第1の定量貯留部23と第2の定量貯留部24に定量された状態(図10(e))で血液61の分離及び定量採取が完了となる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明にかかる遠心分離デバイスは、試料液分離貯留部に挿入されるべき試料液の液面から試料液分離貯留部に連結した第1の流路の折り返しの曲管部までの長さ(h1)と、試料液分離貯留部に挿入されるべき試料液の液面から試料液分離貯留部に連結した第2の流路の折り返しの曲管部をまでの長さ(h2)の関係が、h1<h2を満たす構成を用いて、円盤型遠心分離手段によって段階的に円盤の回転数を減少させることで、試料液中の比重の異なる成分を完全に分離して、分析に必要な試料液の定量採取を行うことができる方法として有用である。
【0034】
本発明にかかる遠心分離デバイスは、血液成分に含まれる血球、血漿、血清等の分離採取が必要な医療分析検査装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例1における遠心分離デバイスの概略構成図
【図2】本発明の実施例1における遠心分離デバイスに搭載するパネルの詳細図
【図3】本発明の実施例1における遠心分離デバイスの試料液分離貯留部の詳細図
【図4】本発明の実施例1における遠心分離デバイスのパネルの構成を説明するための図
【図5】本発明の実施例1における遠心分離方法のプロセスフローチャート
【図6】本発明の実施例1における遠心分離デバイスを用いて血液の遠心分離及び定量採取を説明するための図
【図7】本発明の実施例2における遠心分離デバイスの概略構成図
【図8】本発明の実施例2における遠心分離デバイスに搭載するパネルの詳細図
【図9】本発明の実施例2における遠心分離デバイスの試料液分離貯留部の詳細図
【図10】本発明の実施例2における遠心分離デバイスの血液の遠心分離及び定量採取を説明するための図
【図11】従来の回転分析デバイスの試料の計量を説明するための図
【図12】従来の他の回転分析デバイスの試料の計量を説明するための図
【図13】従来の更に他の回転分析デバイスの試料の計量を説明するための図
【符号の説明】
【0036】
11 回転分析装置
12 第1の実施例のパネル
13 第1の実施例のマイクロチャネル
14 回転中心
21 試料貯留部
22 試料液分離貯留部
22a 第1の分離貯留部
22b 第2の分離貯留部
23 第1の定量貯留部
24 第2の定量貯留部
25 空気孔
26 第1の流路
27 第2の流路
28 第3の流路
29 折り返し曲管部
31 逆流防止弁
32 分離壁
33 血清・血漿
34 血球
41 上基板
42 中基板
43 下基板
61 血液
62 遠心力
63 毛細管力
71 第2の実施例のパネル
72 第2の実施例のマイクロチャネル
81 試料液分離貯留部
81a 第1の分離貯留部
81b 第2の分離貯留部
82 分離壁
83 逆流防止弁
111 中央収容部
112 計量室
113 溢流室
114 混合室
115 測定セル
116 供給口
117 溢流口
118 開口
121 大型流体室
122 計量室
123 溢流室
124 受容室
125 毛細管連結手段
126 サイフォン
131 貯留部
132 血球収容部
133 血球収容部と貯留部を接続する部分
134 サイフォン形状の出力流路
135 供給流路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析すべき試料液を回転して発生する遠心力と毛細管力により遠心分離するための遠心分離デバイスにおいて、
試料液を注入及び収容するための試料液貯留部と、
前記試料液貯留部と流路で連結され当該試料液貯留部に対して半径方向外側に位置し前記試料液を試料液の比重の差を用いて遠心分離される第1の試料液と第2の試料液とに計量し分離して貯留する試料液分離貯留部と、
前記試料液分離貯留部の半径方向外側両端部に連結する第1の流路と第2の流路を介して前記第1と第2の試料液をそれぞれ貯留する第1と第2の定量貯留部と、
を備え、
前記試料液分離貯留部に挿入されるべき試料液の液面から試料液分離貯留部に連結した第1の流路の折り返しの曲管部までの半径方向の長さ(h1)が、前記試料液分離貯留部に挿入されるべき試料液の液面から試料液分離貯留部に連結した第2の流路の折り返しの曲管部までの半径方向の長さ(h2)より短いことを特徴とする遠心分離デバイス。
【請求項2】
前記試料液分離貯留部は、前記試料液を分離貯留するための回転中心方向に向かって所定の長さの分離壁を有し、回転当初、前記分離壁によって分離された回転方向と逆側の貯留部に前記試料貯留部に貯留された試料液の略半分の量が計量されて貯留され、その後の回転によりそれを越える試料液は、前記分離壁を越えて、回転方向側の貯留部に貯留されることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離デバイス。
【請求項3】
前記分離壁の半径方向内側先端部に回転方向とは逆の方向に伸びる突起状の逆流防止弁を有することを特徴とする請求項2に記載の遠心分離デバイス。
【請求項4】
前記試料液分離貯留部は、前記試料液分離貯留部の半径方向の外側の壁面位置をステップ状に形成して分離され、第1の試料液を計量する回転方向側の前記試料液分離貯留部の半径方向の外側の壁面位置は、第2の試料液を計量するための半径方向の外側の壁面位置より第2の試料液を計量する前記試料液分離貯留部の容量が、前記試料液貯留部に注入する試料液の50%〜60%の容量を満たすべき距離だけ回転中心側に位置することを特徴とする請求項1に記載の遠心分離デバイス。
【請求項5】
前記第1の試料液を計量する回転方向側の前記試料液分離貯留部の半径方向の外側の壁面位置は、前記第2の試料液を計量する試料液分離貯留部側へいくにつれて回転中心からの距離が近くなるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離デバイス。
【請求項6】
前記第1の試料液は、血清・血漿成分であり、第2の試料液は、血球成分であることを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれか一項に記載の遠心分離デバイス。
【請求項7】
試料貯留部からの分析すべき試料液を回転して発生する遠心力と毛細管力により遠心分離する分析試料液の遠心分離方法において、
第1の回転数にて前記試料液貯留部の試料液を比重の差により分離して貯留し、
次に第2の速度に減速して前記試料液分離貯留部から比重の軽い第1の試料液が前記定量貯留部に計量して移送され、
次に前記第2の回転速度より遅い第3の回転速度に減速して比重の重い第2の試料液が前記定量貯留部に計量して移送され、
段階的に回転速度を減速し遠心分離することを特徴とする分析試料液の遠心分離方法。
【請求項8】
前記試料液分離貯留部は、前記分析試料液を分離貯留するための回転中心方向に向かって所定の長さの分離壁を有し、回転当初、前記分離壁によって分離された回転方向と逆側の貯留部に前記試料貯留部に貯留された試料液の略半分の量が計量されて貯留され、その後の回転によりそれを越える試料液は、前記分離壁を越えて、回転方向側の貯留部に貯留されることを特徴とする請求項7に記載の遠心分離方法。
【請求項9】
前記第1の試料液は、血清・血漿成分であり、第2の試料液は、血球成分であることを特徴とする請求項8に記載の分析試料液の遠心分離方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−232674(P2007−232674A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57420(P2006−57420)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】