説明

遠心分離機

【課題】相当程度の分離処理量をまかない、分離処理時間を短縮でき、さらに設置場所を省スペースにすることを可能とする遠心分離機を提供すること。
【解決手段】中心が共通する調整蓋体1021aと、上部蓋板1021bと、下部蓋板1021cと、中心部分又は中心付近に孔を有する有孔底面1021eと、側面1021dとで構成する円筒形状の回転体1021と、前記回転体1021の上部から混合液Dを導入する混合液導入管201と、混合液導入管201から導入された混合液Dを放射状に飛散(拡散)させる円形状の振切り板1023と、混合液Dから分離された軽液を導出する軽液流路303rと、混合液から分離された重液を導出する重液流路403rと、軽液と重液との液面差に応じて調整する相対調整機構と、混合液の分離効率を向上させる6枚の有孔円形整流板1024などを有する遠心分離機1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、比重の異なる2種以上の混合液を、比重の軽い軽液と比重の重い重液とに分離する遠心分離機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、混合液の分離には様々な方式が利用されている。自然重力を利用する沈降又は沈殿方式もよく利用される分離方式であり、比重の異なる2種以上の混合液を、比重の軽い軽液と比重の重い重液とに分離する場合にも利用される。
【0003】
なお、混合液の分離に沈降又は沈殿方式を利用した装置、設備又はシステムは数多く存在する。例えば、特開2001−190904である。
【0004】
しかし、自然重力による沈降又は沈殿装置、設備又はシステムでは分離処理に時間がかかってしまい不便である。また、相当程度の分離処理量をまかなうためには広大な設置スペースを要する場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2001−190904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の様に、自然重力による沈降又は沈殿装置、設備又はシステムでは分離処理に時間がかかってしまう及び相当程度の分離処理量をまかなうためには広大な設置スペースを要するといった不都合がある。
【0007】
そこで、比重の異なる2種以上の混合液の分離処理装置であって、この不都合を解決する混合液の分離処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、上述の課題を解決するために、比重の異なる2種以上の混合液を回転体内に導入し、比重の軽い軽液と比重の重い重液とに分離する遠心分離機において、中心が共通する円形状の第一蓋体又は当該第一蓋体よりも上部に位置する第二蓋体と、中心部分又は中心付近に孔を有する有孔底面と、側面とで構成する円筒形状の回転体と、前記第一蓋体の下面に接合し、前記回転体の垂直軸心位置から半径方向に向けて設置する複数の仕切り羽根と、前記第一蓋体よりも下部に位置し、前記第一蓋体と平行、かつ、中心が共通する振切り板と、前記振切り板の上部近傍位置から前記第一蓋体又は第二蓋体及び筐体を貫通し、中心が前記回転体の垂直軸心位置である混合液導入管と、前記回転体の有孔底面と当該有孔底面よりもさらに下部に位置する底面基材との隙間に存在する軽液流路と、前記軽液流路と連通する軽液収容室と、前記第一蓋体又は第二蓋体のうち少なくとも上部に装備する蓋体に孔を設け、当該孔を流路の一部として構成する重液流路と、重液流路と連通する重液収容室と、前記第一蓋体又は第二蓋体のうち少なくとも上部に装備する蓋体の中心部分又は中心付近に設けた孔の前記回転体の垂直軸心に対する径方向の最外径と、前記回転体の有孔底面の中心部分又は中心付近に設けた孔の前記回転体の垂直軸心に対する径方向の最外径と、を相対的に調整する相対調整機構と、を有する遠心分離機を提供する。
【0009】
また、本願発明は、上述の課題を解決するために、比重の異なる2種以上の混合液を回転体内に導入し、比重の軽い軽液と比重の重い重液とに分離する遠心分離機において、中心が共通する円形状の第一蓋体又は当該第一蓋体よりも上部に位置する第二蓋体と、中心部分又は中心付近に孔を有する有孔底面と、側面とで構成する円筒形状の回転体と、前記第一蓋体の下面に接合し、前記回転体の垂直軸心位置から半径方向に向けて設置する複数の仕切り羽根と、前記第一蓋体よりも下部に位置し、前記第一蓋体と平行、かつ、中心が共通する振切り板と、前記振切り板の上部近傍位置から前記第一蓋体又は第二蓋体及び筐体を貫通し、中心が前記回転体の垂直軸心位置である混合液導入管と、前記回転体の有孔底面と当該有孔底面よりもさらに下部に位置する底面基材との隙間に存在する軽液流路と、前記軽液流路と連通する軽液収容室と、前記第一蓋体又は第二蓋体のうち少なくとも上部に装備する蓋体に孔を設け、当該孔を流路の一部として構成する重液流路と、重液流路と連通する重液収容室と、前記第一蓋体又は第二蓋体のうち少なくとも上部に装備する蓋体の中心部分又は中心付近に設けた孔の前記回転体の垂直軸心に対する径方向の最外径と、前記回転体の有孔底面の中心部分又は中心付近に設けた孔の前記回転体の垂直軸心に対する径方向の最外径と、を相対的に調整する相対調整機構と、を有し、さらに、前記振切り板よりも下部に位置し中心が前記回転体の垂直軸心位置であり、有孔で、かつ、円形状の整流板を複数有する遠心分離機を提供する。
【0010】
また、本願発明は、上述の課題を解決するために、比重の異なる2種以上の混合液を回転体内に導入し、比重の軽い軽液と比重の重い重液とに分離する遠心分離機において、中心が共通する円形状の第一蓋体又は当該第一蓋体よりも上部に位置する第二蓋体と、中心部分又は中心付近に孔を有する有孔底面と、側面とで構成する円筒形状の回転体と、前記第一蓋体の下面に接合し、前記回転体の垂直軸心位置から半径方向に向けて設置する複数の仕切り羽根と、前記第一蓋体よりも下部に位置し、前記第一蓋体と平行、かつ、中心が共通する振切り板と、前記振切り板の上部近傍位置から前記第一蓋体又は第二蓋体及び筐体を貫通し、中心が前記回転体の垂直軸心位置である混合液導入管と、前記回転体の有孔底面と当該有孔底面よりもさらに下部に位置する底面基材との隙間に存在する軽液流路と、前記軽液流路と連通する軽液収容室と、前記第一蓋体又は第二蓋体のうち少なくとも上部に装備する蓋体に孔を設け、当該孔を流路の一部として構成する重液流路と、重液流路と連通する重液収容室と、前記第一蓋体又は第二蓋体のうち少なくとも上部に装備する蓋体の中心部分又は中心付近に設けた孔の前記回転体の垂直軸心に対する径方向の最外径と、前記回転体の有孔底面の中心部分又は中心付近に設けた孔の前記回転体の垂直軸心に対する径方向の最外径と、を相対的に調整する相対調整機構と、を有し、さらに、前記回転体の底面の全面及び側面の全面又は一部面を覆う、底面と側面とで構成する円筒形状の第二回転体を有し、当該第二回転体の底面又は側面に軽液流路を構成し連通する孔を設けた遠心分離機を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の遠心分離機は、比重の異なる2種以上の混合液の分離処理装置であって、相当程度の分離処理量をまかない、分離処理時間を短縮でき、さらに設置場所を省スペースにすることを可能とする。
【0012】
また、本願発明の遠心分離機は、重液を回転体の上方から、軽液を回転体の下方から排出していることにより、回転体の下方に存在するベアリング寿命を延ばすこともできる。ミスト状の重液(水溶性液)が回転体の下方に存在するベアリングに進入し難くなるからである。
【0013】
また、分離効率が低くなる悪条件下でも、相当程度の分離処理量と分離処理時間とを保つことを可能とする。
【0014】
なお、分離効率が低くなる悪条件下とは、混合液の処理流量が大量になった場合(遠心力を受けている時間が短くなるから)や、混合液中に含まれる軽液と重液との比重差が少ない場合(遠心力における差が少ないから)や、混合液中に含まれる油の動粘度が高い場合(粘性が悪影響をあたえるから)等の条件下をいう。
【0015】
また、混合液に微粒又は微粉の固形成分が含まれる条件下において、回転体の内周面に付着堆積する固形成分の除去、清掃作業を向上させることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、遠心分離機の切断断面図である。
【図2】図2は、混合液分離部の回転体ユニットの説明図である。
【図3】図3は、軽液流路及び重液流路の説明図である。
【図4】図4は、整流板を有する構成の遠心分離機の切断断面図である。
【図5】図5は、整流板の平面図である。
【図6】図6は、第二回転体を有する構成の遠心分離機の切断断面図である。
【図7】図7は、第二回転体を有する構成の遠心分離機における混合液分離部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
回転体内に油水混合液を導入し、遠心分離方式で油成分と水成分とに分離する遠心分離機として使用する。
【実施例1】
【0018】
まずは、実施例1の遠心分離機の構成について、図1から図3に従い説明する。
【0019】
実施例1の遠心分離機(1)は、油水混合液を比重の軽い油成分と、比重の重い水成分とに遠心力により分離する混合液分離部(10)と、油水混合液を導入する混合液導入部(20)と、分離された油成分を導出する軽液導出部(30)と、分離された水成分を導出する重液導出部(40)とからなる。
【0020】
混合液分離部(10)は、筐体(101)と、回転体ユニット(102)と、回転体ユニット駆動部(103)とからなる。
【0021】
回転体ユニット(102)は、中心が共通する円形状の下部蓋板(1021c)と、前記下部蓋板(1021c)よりも上部に位置する上部蓋板(1021b)と、前記上部蓋板(1021b)よりさらに上部に位置し、相対調整機構の役割を担う有孔調整蓋板(1021a)と、中心部分に孔を有する有孔底面(1021e)と、側面(1021d)とで構成する円筒形状の回転体(1021)と、前記下部蓋板(1021c)の下面に接合し、前記回転体(1021)の垂直軸心位置から半径方向に向けて設置する4枚の仕切り羽根(1022)と、前記下部蓋板(1021c)よりも下部に位置し前記下部蓋板(1021c)と平行、かつ、中心が共通する円形状の振切り板(1023)とからなる。
【0022】
なお、相対調整機構の役割を、前記有孔調整蓋板(1021a)で担っているが、相対的な調整であるので、前記有孔調整蓋板(1021a)を装備することなく、前記上部蓋板(1021b)又は前記下部蓋板(1021c)のうち上部に装備する有孔蓋板の中心部分又は中心付近に設けた孔で担うことも可能であるし、また、前記回転体(1021)の有孔底面(1021e)の中心部分又は中心付近に設けた孔で担うことも可能である。
【0023】
なお、前記有孔調整蓋板(1021a)の孔形状及び大きさは、内径がφ158の円形状であるが、混合液の種類などに応じて適宜設計変更し得る。混合液の種類により軽液と重液との比重差が異なるためである。
【0024】
なお、実際には内径がφ120〜φ170の有孔調整蓋板を複数枚用意しておき、混合液の種類に応じてより適切な有孔調整蓋板に交換して使用する。
【0025】
なお、前記下部蓋板(1021c)から前記回転体の底面(1021e)に向かう方向に、前記回転体の側面(1021d)に沿った隔壁(図示せず)を設けることもできる。
【0026】
なお、前記下部蓋板(1021c)と、前記上部蓋板(1021b)及び前記有孔調整蓋板(1021a)とは、平行で、かつ、中心が共通する。
【0027】
なお、前記仕切り羽根(1022)相互間の角度は、90度であるが、前記仕切り羽根(1022)の枚数に応じて均一であればよい(例えば、2枚の場合は180度、3枚の場合は120度、8枚の場合は45度)。
【0028】
なお、前記仕切り羽根(1022)の枚数は、4枚に限られず、混合液の処理流量や混合液の動粘度や混合液の種類などにより適宜設計変更し得る。
【0029】
なお、前記振切り板(1023)の形状は、円形状であるが、混合液を振切り板(1023)に沿って相当程度飛散(拡散)させることができれば良く、適宜設計変更し得る
【0030】
回転体ユニット駆動部(103)は、前記回転体ユニット(102)を回転させる動力源である駆動モータ(1031)と、前記駆動モータ(1031)の駆動軸の一端に挿入された駆動軸プーリ(1032)と、前記回転体ユニット(102)が結合された回転軸(1035)と、前記回転軸(1035)の一端に挿入された回転軸プーリ(1034)と、前記回転軸プーリ(1034)と前記駆動軸プーリ(1032)とを結合し前記駆動モータ(1031)の動力を伝達する伝達ベルト(1033)とからなる。
【0031】
混合液導入部(20)は、前記振切り板(1023)の上部近傍位置から前記下部蓋板(1021c)、前記上部蓋板(1021b)、前記有孔調整蓋板(1021a)及び筐体(101)を貫通し、中心が前記回転体(1021)の垂直軸心位置である混合液導入管(201)からなる。
【0032】
軽液導出部(30)は、中心部分に孔を有する前記回転体の有孔底面(1021e)と、前記回転体の有孔底面(1021e)よりもさらに下部に位置する最下部底面(301)との隙間に存在する軽液流路(303r)と、前記軽液通路(303r)と連通する軽液収容室(304r)と、前記軽液収容室(304r)と連通する軽液排出管(305)とからなる。
【0033】
なお、前記回転体の有孔底面(1021e)の孔径及び孔形状は、内径がφ120の円形状であるが、軽液流路(303r)としての機能を果たせればよく、混合液の処理流量や混合液の動粘度や混合液の種類などにより適宜設計変更し得る。
【0034】
重液導出部(40)は、前記回転体(1021)の内周面を経由し、前記上部蓋板(1021b)の下面と前記下部蓋板(1021c)の上面との隙間を経由し、前記上部蓋板(1021b)の垂直軸心位置近傍から半径方向に設けた長孔を経由し、前記有孔調整蓋板(1021a)の下面と前記下部蓋板(1021c)の上面との隙間を経由し、前記有孔調整蓋板(1021a)の上面に到達する重液流路(403r)と、前記重液流路(403r)と連通する重液収容室(404r)と、前記重液収容室(404r)と連通する重液排出管(405)とからなる。
【0035】
なお、前記有孔調整蓋板(1021a)は、前記上部蓋板(1021b)の側面側の端部で接合され、前記上部蓋板(1021b)の垂直軸心位置近傍から半径方向に設けた長孔の一部を覆う位置で固定されている。
【0036】
次に、実施例1の遠心分離機(1)の動作ついて、比重0.75の油成分と水成分との混合液A(油成分6:水成分1の割合)を1分間に5リットルから60リットルの量を導入した場合を例に取り、図1から図3に従い説明する。
【0037】
駆動モータ(1031)の起動により、駆動モータ(1031)の駆動軸の一端に挿入された駆動軸プーリ(1032)が回転する。
【0038】
前記駆動軸プーリ(1032)が回転することにより、伝達ベルト(1033)を介して回転軸プーリ(1034)が回転する。
【0039】
前記回転軸プーリ(1034)が回転することにより、回転軸(1035)が回転する。
【0040】
前記回転軸(1035)が回転することにより、前記回転軸(1035)に連結された回転体(1021)が回転する。
【0041】
なお、回転体(1021)の回転速度は、混合液の処理流量や混合液の動粘度や混合液の種類などにより適宜設計変更し得るものではあるが、2000rpm〜3000rpm程度を想定している。
【0042】
前記回転中の回転体(1021)内に混合液導入管(201)から混合液Aを導入すると混合液Aは、前記仕切り板(1023)の中心付近に放出され前記仕切り板(1023)に沿って放射状に飛散(拡散)する。
【0043】
前記飛散(拡散)した混合液Aは、4枚の仕切り羽根(1022)により仕切られた空間に流れ落ちる。
【0044】
前記空間に流れ落ちた混合液Aは、遠心力により、以下のように分離される。
【0045】
比重の重い水成分Cは前記回転体(1021)の内周面側に分離沈降する。
【0046】
比重の軽い油成分Bは分離沈降した水成分Cの上面側、すなわち前記回転体(1021)の軸心側に分離浮上する。
【0047】
前記回転体(1021)の軸心側に分離浮上した油成分Bが、前記回転体の有孔底面(1021e)の孔位置(つまりφ120の位置)を超えると前記回転体(1021)内から溢れ出し、前記回転体の底面(1021e)と最下部底面(301)との隙間の軽液流路(303r)に導出される。
【0048】
前記軽液流路(303r)に導出された油成分Bは、前記軽液流路(303r)と連通した軽液収容室(304r)へと導出される。
【0049】
前記軽液収容室(304r)へと導出された油成分Bは、前記軽液収容室(304r)と連通した軽液排出管(305)を介して遠心分離機(1)外に排出される。
【0050】
一方、前記回転体(1021)の内周面側に分離沈降した水成分Cが、前記上部蓋板(1021b)の下面と前記下部蓋板(1021c)との隙間に到達すると、水成分Cの流れる方向は前記重液流路(403r)に沿って軸心側に変わる。
【0051】
前記軸心側に流れた水成分Cが、前記上部蓋板(1021b)の長孔部分の位置を超えると前記有孔調整蓋板(1021a)の下面と前記下部蓋板(1021c)の上面との隙間に導出される。
【0052】
前記有孔調整蓋板(1021a)の下面と前記下部蓋板(1021c)の上面との隙間に導出された水成分Cが、さらに前記有孔調整蓋板(1021a)の端部位置(つまりφ158の位置)を超えると前記有孔調整蓋板(1021a)の上面に沿って前記回転体(1021)から溢れ出し、重液流路(303r)と連通した重液収容室(404r)へと導出される。
【0053】
前記重液収容室(404r)へ導出された水成分Cは、前記重液収容室と連通した後重液排出管(405)を介して遠心分離機(1)外に排出される。
【実施例2】
【0054】
実施例2の遠心分離機(1)は、有孔で、かつ、円形状の整流板(1024)を複数の有する遠心分離機(1)である。
【0055】
まずは、実施例2の遠心分離機(1)の構成について、図4及び図5に従い変更点のみを説明する。
【0056】
回転体ユニット(102)は、中心が共通する円形状の下部蓋板(1021c)と、前記下部蓋板(1021c)よりも上部に位置する上部蓋板(1021b)と、前記上部蓋板(1021b)よりさらに上部に位置し、相対調整機構の役割を担う有孔調整蓋板(1021a)と、中心部分に孔を有する有孔底面(1021e)と、側面(1021d)とで構成する円筒形状の回転体(1021)と、前記下部蓋板(1021c)の下面に接合し、前記回転体(1021)の垂直軸心位置から半径方向に向けて設置する4枚の仕切り羽根(1022)と、前記下部蓋板(1021c)よりも下部に位置し前記下部蓋板(1021c)と平行、かつ、中心が共通する円形状の振切り板(1023)と、前記振切り板(1023)よりも下部に位置し中心が前記回転体(1012)の垂直軸心位置であり、有孔で、かつ、円形状の6枚の整流板(1024)とからなる。
【0057】
なお、前記整流板(1024)の孔形状及び孔個数は、同一形状の角丸三角孔(図5)を4孔設けているが、混合液の処理流量や混合液の動粘度や混合液の種類などにより適宜設計変更し得る。
【0058】
なお、前記整流板(1024)の枚数は、6枚装備しているが、混合液の処理流量や混合液の動粘度や混合液の種類などにより適宜設計変更し得る。
【0059】
なお、前記整流板(1024)相互間の間隔は、同じ隙間になっていればよく、混合液の処理流量や混合液の動粘度や混合液の種類などにより適宜設計変更し得る。
【0060】
なお、前記整流板(1024)の傾きは、前記振切り板(1023)と平行であるが、混合液の処理流量や混合液の動粘度や混合液の種類などにより適宜設計変更し得る。
【0061】
次に、実施例2の遠心分離機(1)の動作について、混合液中に含まれる軽液と重液との比重差が少ない場合を例に取り、図4に従い説明する。
【0062】
駆動モータ(1031)を起動し回転中の前記回転体(1021)内に、混合液導入管(201)から混合液Dを導入する。
【0063】
前記回転中の回転体(1021)内に前記混合液導入管(201)から前記混合液Dを導入すると前記混合液Dは、前記仕切り板(1023)の中心付近に放出され前記仕切り板(1023)に沿って放射状に飛散(拡散)する。
【0064】
前記飛散(拡散)した混合液Dは、4枚の仕切り羽根(1022)により仕切られた空間に流れ落ちる。
【0065】
前記空間に流れ落ちた混合液D中に含まれる軽液成分Eは、前記整流板(1024)の上面に沿って前記回転体(1021)の軸心側に分離浮上する。
【0066】
前記回転体(1021)の軸心側に分離浮上した軽液成分Eが、前記整流板(1024)の孔位置を超え、さらに前記回転体の有孔底面(1021e)の孔位置(つまりφ120の位置)を超えると前記回転体(1021)から溢れ出し、軽液流路(303r)に導出される。
【0067】
なお、前記整流板(1024)を装備することにより、前記整流板(1024)相互間の各層に平均して遠心力が作用し、また、前記整流板(1024)の面に液体が沿うことで油水の抵抗差から分離性を促進する。
【0068】
前記軽液流路(303r)に達した軽液及び前記回転体(1021)の内周面側に分離沈降した重液のその後の動作については、実施例1の遠心分離機と同様であるので省略する。
【実施例3】
【0069】
実施例3の遠心分離機(1)は、円筒形状の外回転体(1025)を有する遠心分離機(1)である。
【0070】
まずは、実施例3の遠心分離機(1)の構成について、図5及び図6に従い変更点のみを説明する。
【0071】
回転体ユニット(102)は、中心が共通する円形状の下部蓋板(1021c)と、前記下部蓋板(1021c)よりも上部に位置する上部蓋板(1021b)と、前記上部蓋板(1021b)よりさらに上部に位置し、相対調整機構の役割を担う有孔調整蓋板(1021a)と、中心部分に孔を有する有孔底面(1021e)と、側面(1021d)とで構成する円筒形状の回転体(1021)と、前記下部蓋板(1021c)の下面に接合し、前記回転体(1021)の垂直軸心位置から半径方向に向けて設置する4枚の仕切り羽根(1022)と、前記下部蓋板(1021c)よりも下部に位置し前記下部蓋板(1021c)と平行、かつ、中心が共通する円形状の振切り板(1023)と、前記回転体の有孔底面(1021e)の全面及び側面(1021d)の全面又は一部面を覆う、底面(1025e)と側面(1025d)とで構成する有孔で、かつ、円筒形状の外回転体(1025)と、前記回転体(1021)と前記外回転体(1025)とを結合する結合ネジ(1026)とからなる。
【0072】
前記外回転体(1025)に設けている前記軽液流路(303r)を構成し連通する孔は、前記外回転体の底面(1025e)の側縁部近傍位置に設けているが、軽液収容室(304r)に連通していればよく、前記外回転体の側面(1025d)の底縁部近傍位置などに設けてもよい。
【0073】
実施例3の遠心分離機(1)の清掃時の動作について、図7に従い説明する。
【0074】
混合液に微粒又は微粉の固形成分が含まれる場合、混合液に混在した固形成分は、遠心力により、前記回転体(1021)の内周面側に付着堆積する。
【0075】
前記回転体(1021)の内周面側に付着堆積した固形成分を除去、清掃するため、前記駆動モータ(1031)を停止し、前記結合ネジ(1026)を緩めて取り外し、前記回転体(1021)を前記外回転体(1025)から取り外す。
【0076】
取り外した前記回転体(1021)の内周面を清掃又は洗浄する。
【0077】
なお、清掃又は洗浄後は、前記回転体(1021)を前記外回転体(1025)に取り付け、前記結合ネジ(1026)を締めて前記回転体(1021)を前記外回転体(1025)に固定する。
【0078】
次に、遠心分離中の軽液成分の軽液流路(303r)内での動作について、図6に従い説明する。
【0079】
前記4枚の仕切り羽根(1022)により仕切られた空間に流れ落ちた混合液中に含まれる軽液成分は、前記回転体(1021)の軸心側に分離浮上する。
【0080】
前記回転体(1021)の軸心側に分離浮上した軽液成分が、前記回転体の有孔底面(1021e)の孔位置(つまりφ120の位置)を超えると前記回転体(1021)から溢れ出し、前記回転体の有孔底面(1021e)と前記外回転体の底面(1025e)との隙間の軽液流路(303r)に導出される。
【0081】
前記軽液流路(303r)に導出された軽液成分は、前記軽液流路(303r)と連通した軽液収容室(304r)へと導出される。
【0082】
前記軽液収容室(304r)へと導出された軽液成分は、前記軽液収容室(304r)と連通した軽液排出管(305)を介して遠心分離機(1)外に排出される。
【0083】
前記軽液収容室(304r)へ導出された軽液及び前記回転体(1021)の内周面側に分離沈降した重液のその後の動作については、実施例1の遠心分離機と同様であるので省略する。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本願発明の遠心分離機は、比重の異なる2種以上の混合液の分離処理装置であって、相当程度の分離処理量をまかない、分離処理時間を短縮でき、さらに設置場所を省スペースにすることを可能とするため、処理効率及び運用効率を飛躍的に向上させる装置であるので、産業上の利用性を有する。
【符号の説明】
【0085】
1 遠心分離機
10 混合液分離部
101 筐体
102 回転体ユニット
1021 円筒形状の回転体
1021a 調整蓋体(円形状の調整蓋板)
1021b 第二蓋体(円形状の上部蓋板)
1021c 第一蓋体(円形状の下部蓋板)
1021d 側面
1021e 有孔底面
1022 仕切り羽根
1023 振切り板(円形状の振切り板)
1024 有孔円形整流板
1025 第二回転体(円筒形状の外回転体)
1025d 側面
1025e 有孔底面
1026 結合ネジ
103 回転体ユニット駆動部
1031 駆動モータ
1032 駆動軸プーリ
1033 伝達ベルト
1034 回転軸
1035 回転軸プーリ
20 混合液導入部
201 混合液導入管
30 軽液導出部
301 底面基材(最下部底面)
303r 軽液流路
304r 軽液収容室
305 軽液排出管
40 重液導出部
403r 重液流路
404r 重液収容室
405 重液排出管
A 比重0.75油と水との混合液
B 混合液Aから遠心分離した油成分
C 混合液Aから遠心分離した水成分
D 比重差の少ない2種以上の混合液
E 混合液Dから分離した軽液成分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
比重の異なる2種以上の混合液を回転体内に導入し、比重の軽い軽液と比重の重い重液とに分離する遠心分離機において、
中心が共通する円形状の第一蓋体又は当該第一蓋体よりも上部に位置する第二蓋体と、中心部分又は中心付近に孔を有する有孔底面と、側面とで構成する円筒形状の回転体と、
前記第一蓋体の下面に接合し、前記回転体の垂直軸心位置から半径方向に向けて設置する複数の仕切り羽根と、
前記第一蓋体よりも下部に位置し、前記第一蓋体と平行、かつ、中心が共通する振切り板と、
前記振切り板の上部近傍位置から前記第一蓋体又は第二蓋体及び筐体を貫通し、中心が前記回転体の垂直軸心位置である混合液導入管と、
前記回転体の有孔底面と当該有孔底面よりもさらに下部に位置する底面基材との隙間に存在する軽液流路と、
前記軽液流路と連通する軽液収容室と、
前記第一蓋体又は第二蓋体のうち少なくとも上部に装備する蓋体に孔を設け、当該孔を流路の一部として構成する重液流路と、
重液流路と連通する重液収容室と、
前記第一蓋体又は第二蓋体のうち少なくとも上部に装備する蓋体の中心部分又は中心付近に設けた孔の前記回転体の垂直軸心に対する径方向の最外径と、前記回転体の有孔底面の中心部分又は中心付近に設けた孔の前記回転体の垂直軸心に対する径方向の最外径と、を相対的に調整する相対調整機構と、
を有する遠心分離機。
【請求項2】
前記振切り板よりも下部に位置し中心が前記回転体の垂直軸心位置であり、有孔で、かつ、円形状の整流板を複数有する請求項1の遠心分離機。
【請求項3】
前記回転体の底面の全面及び側面の全面又は一部面を覆う、底面と側面とで構成する円筒形状の第二回転体を有し、当該第二回転体の底面又は側面に軽液流路を構成し連通する孔を設けた請求項1及び請求項2の遠心分離機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−255257(P2011−255257A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129485(P2010−129485)
【出願日】平成22年6月5日(2010.6.5)
【出願人】(598158130)株式会社 アメロイド日本サービス社 (5)
【Fターム(参考)】