説明

遠心式破砕機

【課題】 破砕整粒機能とその破砕粒子群の分級機能とを有する遠心式破砕機において、破砕室で得られた破砕粒子群から微粒子群を分級するに際し、従来に比べて精度良く分級することができる遠心式破砕機を提供すること。
【解決手段】 上部ハウジング1と、上部ハウジング1内に形成された破砕室2と、破砕室2内に設けられ、破砕原料を遠心力によってロータ外周部の放出口より放出し、破砕片堆積層3に衝突させて、破砕と整粒を行うための水平回転するロータ5と、破砕室2に連通し、破砕室2で得られた破砕粒子群が円環状隙間7から導入される下部ハウジング8と、下部ハウジング8内にロータ用回転駆動機構部6と並設され、円環状隙間7に放射状をなして向かう気流を供給するための気流供給ダクト12と、下部ハウジング8に設けられ、製品サイズの破砕粒子群を排出する製品排出口9及び微粒子群を排出する微粒子排出口10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕原料の破砕整粒機能とその破砕粒子群の分級機能とを有する遠心式破砕機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遠心式破砕機(衝撃式破砕機)は、岩石、鉱石などの破砕原料を主に製砂のために破砕するのに用いられている。遠心式破砕機は、破砕原料の破砕形式からアンビル方式と、デッドストック方式に大別される。アンビル方式のものは、主に原料のサイズを小さくすることを目的として使用される。一方、デッドストック方式のものは、主に、すでに所望サイズ程度に破砕された原料を自然石のように丸みを帯びたように粒形に整える整粒(角取り)ために使用される。このデッドストック方式の遠心式破砕機は、高速回転するロータ内に投入された破砕原料を遠心力によってロータ外周の放出口よりロータ外部に放出し、破砕室内に堆積される破砕片より形成される破砕片堆積層(デッドストック)に衝突させて破砕し、破砕片堆積層の傾斜面上を転動、滑動などさせて整粒するようにしている。
【0003】
そして、従来、デッドストック方式の遠心式破砕機として、原料の破砕整粒機能と、破砕室で得られた破砕粒子群から微粒子群(微粉)を吸引して破砕機外部に除去するようにした分級機能とを有するものが提案されている(特開2000−189822号公報)。この従来の遠心式破砕機によると、破砕室で得られた破砕粒子群に含まれる微粒子群の量が例えば砕砂のJIS規格上限を超える場合、前記得られた破砕粒子群から微粒子群を除去するエアセパレータ等の専用の分級装置を設けなくてすむことになる。図6は従来の遠心式破砕機の構成を示す断面図である。
【0004】
図6に示すように、ハウジング50内の上部に破砕室51が形成され、その中央にロータ60が水平方向に高速回転可能に配置されている。ロータ60の周面には放出口61が開設されている。また、破砕室51の周縁部には、破砕原料の衝突部として、破砕原料が堆積して形成されるデッドべッド(破砕片堆積層:デッドストック)52が設けられている。また、ロータ60の下方であってハウジング50内の下部には、下向きの吸引フード70と、この吸引フード70内に負圧を発生させる吸引管71と、下向きの吸引フード70の下方に設けられ、送気管82を介して供給されるエアを複数のエア吹出口81から吸引フード70に向けて上向きに噴射する環状のエア吹出管80とが設けられている。
【0005】
そして、ロータ60内の上部中央から供給された破砕原料は、高速回転するロータ60の遠心力によって放出口61から放出され、デッドベッド52に衝突し、破砕される。この破砕室51で得られた破砕粒子群は、ロータ60とデッドベッド52との間の隙間からハウジング50内の下部に導入される。このハウジング50内の下部に導入された破砕粒子群のうち微粒子群は、エア吹出管80から上向きに噴射されるエアにより下向きの吸引フード70に寄せ集められ、吸引管71を経て破砕機外部の処理施設に送り込まれる。一方、微粒子群と分級された後の製品サイズの破砕粒子群は、ハウジング50下端の排出口54から排出される。
【0006】
しかし前述した従来の遠心式破砕機では、ハウジング50内の下部に設けられた下向きの吸引フード70による気流の上方への吸い込みと、エア吹出管80による気流の上方への噴射を行うようにしたものであるから、回転するロータ60によって生じる前記隙間から下方へ向かう気流の旋回流と、吸引フード70及びエア吹出管80による上方へ向かう気流とが生じることでハウジング50内の下部における気流が乱れてスムーズでなく複雑となる。このため、破砕室51で得られた破砕粒子群から微粒子群を精度良く分級することにおいて改善すべき余地があった。
【特許文献1】特開2000−189822号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】特開昭57−7264号公報(第1−2頁、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、破砕整粒機能とその破砕粒子群の分級機能とを有する遠心式破砕機において、破砕室で得られた破砕粒子群から微粒子群を分級するに際し、従来に比べて精度良く分級することができる遠心式破砕機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
請求項1の発明は、上部ハウジングと、この上部ハウジング内に形成された破砕室と、この破砕室内に設けられ、上方より供給される破砕原料を遠心力によってロータ外周部の放出口より放出し、ロータ周囲に設けられた衝突部に衝突させて、破砕と整粒を行うべくロータ用回転駆動機構部に支持され水平回転するロータと、前記破砕室に連通して前記上部ハウジングの下部に連設され、前記破砕室で得られた破砕粒子群が前記ロータと前記衝突部との円環状隙間から導入される下部ハウジングと、この下部ハウジング内に前記ロータ用回転駆動機構部と並設され、前記円環状隙間に放射状をなして向かう気流を供給するための気流供給ダクトと、前記下部ハウジングに設けられ、異なる粒径範囲の破砕粒子群をそれぞれ破砕機外部に排出するための複数の排出口と、を備えたことを特徴とする遠心式破砕機である。
【0010】
請求項2の発明は、上部ハウジングと、この上部ハウジング内に形成された破砕室と、この破砕室内に設けられ、上方より供給される破砕原料を遠心力によってロータ外周部の放出口より放出し、ロータ周囲に設けられた衝突部に衝突させて、破砕と整粒を行うべくロータ用回転駆動機構部に支持され水平回転するロータと、前記破砕室に連通して前記上部ハウジングの下部に連設され、前記破砕室で得られた破砕粒子群が前記ロータと前記衝突部との円環状隙間から導入される下部ハウジングと、下端に入口開口を持ち、前記ロータ用回転駆動機構部と並設されて上下方向に延びる軸方向気流入口通路、及び該軸方向気流入口通路に連通して放射状に延び、先端に前記円環状隙間に近接し該円環状隙間内周縁に沿って位置する出口開口を持つ放射状気流出口通路を有して、前記下部ハウジング内に設けられた気流供給ダクトと、前記下部ハウジングに設けられ、異なる粒径範囲の破砕粒子群をそれぞれ破砕機外部に排出するための複数の排出口と、を備えたことを特徴とする遠心式破砕機である。
【0011】
請求項3の発明は、上部ハウジングと、この上部ハウジング内に形成された破砕室と、この破砕室内に設けられ、上方より供給される破砕原料を遠心力によってロータ外周部の放出口より放出し、ロータ周囲に設けられた衝突部に衝突させて、破砕と整粒を行うべくロータ用回転駆動機構部に支持され水平回転するロータと、前記破砕室に連通して前記上部ハウジングの下部に連設され、前記破砕室で得られた破砕粒子群が前記ロータと前記衝突部との円環状隙間から導入される下部ハウジングと、前記ロータ用回転駆動機構部と並設されて上下方向に延びる軸方向気流入口通路、及び該軸方向気流入口通路に連通して放射状に延び、先端に前記円環状隙間に近接し該円環状隙間内周縁に沿って位置する出口開口を持つ放射状気流出口通路を有して、前記下部ハウジング内に設けられた気流供給ダクトと、前記軸方向気流入口通路の下端部に接続され、破砕機外部の空気送風源より前記気流供給ダクトに空気を供給するための送風管と、前記下部ハウジングに設けられ、異なる粒径範囲の破砕粒子群をそれぞれ破砕機外部に排出するための複数の排出口と、を備えたことを特徴とする遠心式破砕機である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項2又は3記載の遠心式破砕機において、前記気流供給ダクトは、さらに、前記放射状気流出口通路の下方に位置して前記下部ハウジング内に放射状をなして向かう気流を導く下部用放射状気流出口通路を有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明による遠心式破砕機は、破砕室で得られた破砕粒子群がロータと衝突部との間の円環状隙間から導入される下部ハウジング内に、前記円環状隙間に放射状をなして向かう気流を供給するための気流供給ダクトがロータ用回転駆動機構部と並設されている。したがって、円環状隙間から流入した固気二相旋回流と気流供給ダクトからの気流とが合わさって、遠心力と流体抵抗力に基づく気流分級を行うための流れの場として、下部ハウジング内の分級空間に下方へ進行するスムーズな分級用旋回流を得ることができる。よって、破砕室で得られた破砕粒子群を微粒子群と製品サイズの破砕粒子群とに分級するに際し、従来に比べて精度良く分級することができる。
【0014】
請求項2の発明による遠心式破砕機は、破砕室で得られた破砕粒子群がロータと衝突部との間の円環状隙間から導入される下部ハウジング内に、前記円環状隙間に放射状をなして向かう気流を供給するための気流供給ダクトが設けられている。気流供給ダクトは、下端に入口開口を持ち、ロータ用回転駆動機構部と並設されて上下方向に延びる軸方向気流入口通路とこの入口通路に連通して放射状に延び、先端に円環状隙間に近接しその円環状隙間内周縁に沿って位置する出口開口を持つ放射状気流出口通路とを有している。これにより、ロータの回転による破砕粒子群を含む固気二相旋回流が円環状隙間に流入することによって、この固気二相旋回流の向きが外向きであることから、気流供給ダクトの前記出口開口付近では相対的に負圧となり、気流供給ダクトでは前記入口開口より流入し前記出口開口から引き出されて円環状隙間に放射状をなして向かう気流が発生する。したがって、円環状隙間から流入した固気二相旋回流とこれに随伴する気流供給ダクトからの気流とが合わさって、遠心力と流体抵抗力に基づく気流分級を行うための流れの場として、下部ハウジング内の分級空間に下方へ進行するスムーズな分級用旋回流を得ることができる。よって、破砕室で得られた破砕粒子群を微粒子群と製品サイズの破砕粒子群とに分級するに際し、従来に比べて精度良く分級することができる。
【0015】
請求項3の発明による遠心式破砕機は、破砕室で得られた破砕粒子群が円環状隙間から導入される下部ハウジング内に、軸方向気流入口通路及び放射状気流出口通路を有してロータ用回転駆動機構部と並設された気流供給ダクトと、この気流供給ダクトの軸方向気流入口通路の下端部に接続され、破砕機外部の空気送風源よりこの気流供給ダクトに空気を供給するための送風管とが設けられている。したがって、円環状隙間から流入した固気二相旋回流と、破砕機外部の空気送風源より供給される気流供給ダクトからの気流とが合わさって、遠心力と流体抵抗力に基づく気流分級を行うための流れの場として、下部ハウジング内の分級空間に下方へ進行するスムーズで、また、十分な風量の分級用旋回流を得ることができる。よって、破砕室で得られた破砕粒子群を微粒子群と製品サイズの破砕粒子群とに分級するに際し、従来に比べて精度良く分級することができ、また、高い処理能力にて分級を行うことができる。
【0016】
請求項4の発明による遠心式破砕機は、気流供給ダクトが、さらに、放射状気流出口通路の下方に位置して下部ハウジング内の分級空間に放射状をなして向かう気流を導く下部用放射状気流出口通路を有した構成とされている。したがって、分級空間下部に行くに従って水平方向の速度成分が分級精度を悪化させる減速を生じることのない分級用旋回流を実現することができる。よって、破砕室で得られた破砕粒子群を微粒子群と製品サイズの破砕粒子群とに分級するに際し、従来に比べて確実に精度良く分級することができ、また、高い処理能力にて分級を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態による遠心式破砕機の構成を示す破断斜視図、図2は図1に示す遠心式破砕機の断面図、図3は図1における気流供給ダクトを説明するための断面図である。
【0018】
図1,図2に示すように、内部に破砕室2を有する上部ハウジング1を備え、円柱状空間をなす破砕室2内の中央部にロータ5が配置されている。破砕室2の内周には、破砕片(破砕粒子)による衝突部として、破砕整粒に供される破砕片堆積層(デッドストック)3が形成されるようになっている。ロータ5は、下部ハウジング8の下部ハウジング本体8a内に配置されたロータ回転駆動機構部6の上下方向に延びる垂直回転軸の上端部に取り付けられて、水平回転されるようになっている。ロータ回転駆動機構部6は、下部ハウジング本体8aに取り付け部材を介して固定し取り付けられている。破砕室2、ロータ5、ロータ回転駆動機構部6及び下部ハウジング8は、それらの中心線(軸心線)が一致するように設けられている。
【0019】
前記ロータ5は、全体として、外周面に複数の放出口5aを有する中空円柱状をなしている。ロータ5は、円板状をなし、かつその中心部に貫通孔を有し、この貫通孔に嵌め込まれた前記垂直回転軸の上端部に固定されたロータ底板5bと、このロータ底板5bの上面中心部に設けられた分配板5dと、円板状をなし、かつその中心部に原料が供給されるフィード管4が配される貫通孔を有し、ロータ底板5bの上方にこれと平行に配置されたロータ天板5cと、ロータ底板5bとロータ天板5cとの間に、ロータ底板5bの外周に沿って、かつ前記放出口5aを形成するための間隔をあけて設けられた図示しない複数のデッドストック形成壁と、これらのデッドストック形成壁に取り付けられた図示しない複数の投射用チップとにより構成されている。なお、前記投射用チップに近接して打撃子が取り付けられているものもある。
【0020】
前記下部ハウジング8は、円筒形をなす下部ハウジング本体8aと、この下部ハウジング本体8aによってその上部部分が隙間距離D2を有して囲繞される状態で設けられた円筒形をなす下部ハウジング下部体8bとを有している。この下部ハウジング8は、ロータ5と破砕片堆積層3との間の円環状隙間7によって破砕室2に連通した状態で、その下部ハウジング本体8aが上部ハウジング1の下側に接続されている。下部ハウジング下部体8bの下端には、製品排出口9が設けられている。また、下部ハウジング本体8aと下部ハウジング下部体8bとの間には、全周にわたって開口した微粒子排出口10が設けられている。
【0021】
また、下部ハウジング8内には、気流供給ダクト12が配設されている。この気流供給ダクト12は、ロータ回転駆動機構部6に近接してこれと並設されるとともに該駆動機構部6と軸平行をなして上下方向に延びる円筒体13と、円筒体13の上端周縁に接続され、内周面がロータ回転駆動機構部6の外周面に固定され、外周面が全周にわたって開口された中空円環体14とから構成されている。中空円環体14は、例えば、上側円環板と下側円環板との間に120°ピッチでスペーサ板を挟み込み、このスペーサ板に前記上下の円環板をそれぞれ固着してなるものである。これにより、気流供給ダクト12は、図1,図2に示すように、下端に入口開口13aを持ち、ロータ回転駆動機構部6に近接してこれと並設されるとともに軸平行をなして上下方向に延びる軸方向気流入口通路13aと、この入口通路13aに連通して半径方向に放射状に延び、先端に円環状隙間7に近接し該隙間7の内周縁に沿って位置する出口開口14aを持つ放射状気流出口通路14aを有している。下部ハウジング本体8a内に、前記気流供給ダクト12が配設されており、微粒子排出口10よりも上流側に位置する分級空間11が形成されている。なお、図3において、L1は放射状気流出口通路14aの半径方向(水平方向)長さを示し、H1は出口開口14aの上下方向開口長さを示している。
【0022】
このように構成される遠心式破砕機において、フィード管4から高速回転されるロータ5内に投入された破砕原料は、遠心力によってロータ外周の放出口5aよりロータ外部に放出されて、破砕片堆積層3に衝突し、また破砕片堆積層3の傾斜面上を転動、滑動などすることで、破砕と整粒がなされる。
【0023】
そして、ロータ5の水平回転による水平旋回成分が支配的であって破砕室2で得られた破砕粒子群を含む固気二相旋回流が円環状隙間7に流入する。この固気二相旋回流が円環状隙間7に流入することにより、固気二相旋回流の向きが外向きであることから、気流供給ダクト12の出口開口14a付近では相対的に負圧となり、気流供給ダクト12では入口開口13aより流入し出口開口14aから引き出されて円環状隙間7へ放射状をなして向かう気流が発生する。
【0024】
したがって、円環状隙間7から流入した固気二相旋回流とこれに随伴する気流供給ダクト12からの気流とが合わさって、気流分級を行うための流れの場として、下部ハウジング8内の分級空間11に下方へ進行するスムーズな分級用旋回流を得ることができる。これにより、分級空間11に導入され破砕粒子群は、各破砕粒子が粒径に応じた下方への飛行軌跡(落下行程)を持つことで、微粒子群と製品サイズの破砕粒子群とに精度良く分級されて、微粒子群が微粒子排出口10より排出され、製品サイズの破砕粒子群が製品排出口9より排出される。
【0025】
このように、円環状隙間7から流入する固気二相旋回流単独の場合には、例えば回転数1000rpm程度で回転する直径1mのロータ5のとき、ロータ周速度は約50m/sとなり、円環状隙間7での気流速さは10〜30m/sとなるものの、精度良く気流分級を行うには風量不足となる。これに対して、気流供給ダクト12を設けることにより、円環状隙間7からの固気二相旋回流とこれに随伴する気流供給ダクト12からの気流とが合わさって、気流分級を行うための流れの場として、下部ハウジング8内の分級空間11に下方へ進行するスムーズな分級用旋回流を得ることができ、精度良く分級することができる。
【0026】
ここで、気流供給ダクト12については、その出口開口14aを円環状隙間7に近接し該隙間7の内周縁に沿って位置させる構成とすることがよい。また、気流供給ダクト12は、その入口開口13aが分級空間11よりも下方に位置するようにすることがよい。また、気流供給ダクト12の円筒体13の内径寸法D3は、分級空間11での気流分級に支障のない程度に大きくとって通風抵抗をできるだけ小さくすることが望ましい。
【0027】
図4は本発明の第2実施形態による遠心式破砕機の構成を示す破断斜視図である。ここで、この第2実施形態において、前記図1に示す遠心式破砕機と同一構成部分には図1と同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
【0028】
図4に示すように、下部ハウジング8内には気流供給ダクト32が配設されている。この気流供給ダクト32は、ロータ回転駆動機構部6に近接してこれと並設されるとともに該駆動機構部6と軸平行をなして上下方向に延びる円筒体33と、この円筒体33の上端周縁に接続され、内周面がロータ回転駆動機構部6の外周面に固定され、外周面が全周にわたって開口された中空円環体34とから構成されている。これにより、気流供給ダクト32は、図4に示すように、ロータ回転駆動機構部6に近接してこれと並設されるとともに軸平行をなして上下方向に延びる軸方向気流入口通路33aと、この入口通路33aに連通して半径方向に放射状に延び、先端に円環状隙間7に近接し該隙間7の内周縁に沿って位置する出口開口34aを持つ放射状気流出口通路34aを有している。
【0029】
また、気流供給ダクト32の軸方向気流入口通路33a(円筒体33)の下端部に、破砕機外部の図示しない空気送風源(例えば送風ブロワー)からの空気を気流供給ダクト32に供給するための半径方向に延びる送風管31が接続されている。このように気流供給ダクト32と送風管31が配設されており、下部ハウジング本体8a内に、微粒子排出口10よりも上流側に位置する分級空間11が形成されている。送風管31は、分級空間11よりも下方に位置させることがよい。また、送風管31は、微粒子群や製品サイズの破砕粒子群の排出の邪魔にならないようにしたり、送風管31のエロージョンを回避したりするため、その管径ができるだけ小さいことが望ましい。
【0030】
このように、この第2実施形態による遠心式破砕機は、破砕粒子群が円環状隙間7から導入される下部ハウジング8内に、軸方向気流入口通路33a及び放射状気流出口通路34aを有してロータ用回転駆動機構部6と並設された気流供給ダクト32と、破砕機外部の空気送風源よりこの気流供給ダクト32に空気を供給するための送風管31とが設けられている。したがって、円環状隙間7から流入した固気二相旋回流と、破砕機外部の空気送風源より供給され、気流供給ダクト32の放射状気流出口通路34aから送出される気流とが合わさって、遠心力と流体抵抗力に基づく気流分級を行うための流れの場として、下部ハウジング8内の分級空間11に下方へ進行するスムーズで、また、十分な風量の分級用旋回流を得ることができる。よって、破砕室2で得られた破砕粒子群を微粒子群と製品サイズの破砕粒子群とに分級するに際し、従来に比べて精度良く分級することができ、また、高い処理能力にて分級を行うことができる。
【0031】
図5は本発明の第3実施形態による遠心式破砕機の構成を示す破断斜視図である。ここで、この第3実施形態において、前記図1に示す遠心式破砕機と同一構成部分には図1と同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
【0032】
図5に示すように、下部ハウジング8内には、気流供給ダクト42が配設されている。この気流供給ダクト42は、ロータ回転駆動機構部6に近接してこれと並設されるとともに該駆動機構部6と軸平行をなして上下方向に延びる円筒体43と、この円筒体43の上端周縁に接続され、内周面がロータ回転駆動機構部6の外周面に固定され、外周面が全周にわたって開口された中空円環体44と、この中空円環体44の下方に位置して円筒体43に接続され、内周面がロータ回転駆動機構部6の外周面に固定され、外周面が全周にわたって開口された下部用中空円環体45とにより構成されている。
【0033】
これにより、気流供給ダクト42は、図5に示すように、ロータ回転駆動機構部6に近接しこれと並設されるとともに軸平行をなして上下方向に延びる軸方向気流入口通路43aと、この入口通路43aに連通して半径方向に放射状に延び、先端に円環状隙間7に近接し該隙間7の内周縁に沿って位置する出口開口44aを持つ放射状気流出口通路44aと、さらに、この出口通路44aの距離G下方に位置し、上下方向に延びる入口通路43aに連通して半径方向に放射状に延び、先端に出口開口45a(上下方向開口長さH2)を持つ下部用放射状気流出口通路45aとを有している。この下部用放射状気流出口通路45aの半径方向長さL2は、上方にある前記出口通路44aの半径方向長さL1以下に設定されている。
【0034】
また、気流供給ダクト42の軸方向気流入口通路43a(円筒体43)の下端部に、破砕機外部の図示しない空気送風源(例えば送風ブロワー)からの空気を気流供給ダクト42に供給するための半径方向に延びる送風管31が接続されている。
【0035】
このように、この第3実施形態による遠心式破砕機は、破砕粒子群が円環状隙間7から導入される下部ハウジング8内に、ロータ回転駆動機構部6と並設される軸方向気流入口通路43a、放射状気流出口通路44a及び下部用放射状気流出口通路45aを有する気流供給ダクト42と、破砕機外部の空気送風源よりこの気流供給ダクト42に空気を供給するための送風管31とが設けられている。したがって、円環状隙間7から流入した固気二相旋回流と、破砕機外部の空気送風源より供給され、気流供給ダクト42の放射状気流出口通路44aから送出される気流とが合わさって、気流分級を行うための流れの場として、下部ハウジング8内の分級空間11に下方へ進行するスムーズで、また、十分な風量の分級用旋回流を得ることができる。さらに、放射状気流出口通路44aの下方に下部用放射状気流出口通路45aを備えているので、分級空間11下部に行くに従って水平方向の速度成分が分級精度を悪化させる減速を生じることのない分級用旋回流を、分級空間11に実現することができる。よって、破砕室2で得られた破砕粒子群を微粒子群と製品サイズの破砕粒子群とに分級するに際し、従来に比べて確実に精度良く分級することができ、また、高い処理能力にて分級を行うことができる。
【0036】
本発明は、前記説明した1〜3の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、ロータ周囲に設けられた衝突部としては、実施形態では破砕片堆積層によって構成するものを示したが、これに特に限定されず、破砕室内壁面、あるいは破砕室構造体などによって構成するようにしたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態による遠心式破砕機の構成を示す破断斜視図である。
【図2】図1に示す遠心式破砕機の断面図である。
【図3】図1における気流供給ダクトを説明するための断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態による遠心式破砕機の構成を示す破断斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態による遠心式破砕機の構成を示す破断斜視図である。
【図6】従来の遠心式破砕機の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1…上部ハウジング
2…破砕室
3…破砕片堆積層
5…ロータ
5a…放出口
6…ロータ用回転駆動機構部
7…円環状隙間
8…下部ハウジング
9…製品排出口
10…微粒子排出口
11…分級空間
12…気流供給ダクト
13…円筒体
13a…軸方向気流入口通路
14…中空円環体
14a…放射状気流出口通路
14a…出口開口
31…送風管
32,42…気流供給ダクト
33,43…円筒体
33a,43a…軸方向気流入口通路
34,44…中空円環体
34a,44a…放射状気流出口通路
34a,44a…出口開口
45…下部用中空円環体
45a…下部用放射状気流出口通路
45a…出口開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部ハウジングと、この上部ハウジング内に形成された破砕室と、この破砕室内に設けられ、上方より供給される破砕原料を遠心力によってロータ外周部の放出口より放出し、ロータ周囲に設けられた衝突部に衝突させて、破砕と整粒を行うべくロータ用回転駆動機構部に支持され水平回転するロータと、前記破砕室に連通して前記上部ハウジングの下部に連設され、前記破砕室で得られた破砕粒子群が前記ロータと前記衝突部との円環状隙間から導入される下部ハウジングと、この下部ハウジング内に前記ロータ用回転駆動機構部と並設され、前記円環状隙間に放射状をなして向かう気流を供給するための気流供給ダクトと、前記下部ハウジングに設けられ、異なる粒径範囲の破砕粒子群をそれぞれ破砕機外部に排出するための複数の排出口と、を備えたことを特徴とする遠心式破砕機。
【請求項2】
上部ハウジングと、この上部ハウジング内に形成された破砕室と、この破砕室内に設けられ、上方より供給される破砕原料を遠心力によってロータ外周部の放出口より放出し、ロータ周囲に設けられた衝突部に衝突させて、破砕と整粒を行うべくロータ用回転駆動機構部に支持され水平回転するロータと、前記破砕室に連通して前記上部ハウジングの下部に連設され、前記破砕室で得られた破砕粒子群が前記ロータと前記衝突部との円環状隙間から導入される下部ハウジングと、下端に入口開口を持ち、前記ロータ用回転駆動機構部と並設されて上下方向に延びる軸方向気流入口通路、及び該軸方向気流入口通路に連通して放射状に延び、先端に前記円環状隙間に近接し該円環状隙間内周縁に沿って位置する出口開口を持つ放射状気流出口通路を有して、前記下部ハウジング内に設けられた気流供給ダクトと、前記下部ハウジングに設けられ、異なる粒径範囲の破砕粒子群をそれぞれ破砕機外部に排出するための複数の排出口と、を備えたことを特徴とする遠心式破砕機。
【請求項3】
上部ハウジングと、この上部ハウジング内に形成された破砕室と、この破砕室内に設けられ、上方より供給される破砕原料を遠心力によってロータ外周部の放出口より放出し、ロータ周囲に設けられた衝突部に衝突させて、破砕と整粒を行うべくロータ用回転駆動機構部に支持され水平回転するロータと、前記破砕室に連通して前記上部ハウジングの下部に連設され、前記破砕室で得られた破砕粒子群が前記ロータと前記衝突部との円環状隙間から導入される下部ハウジングと、前記ロータ用回転駆動機構部と並設されて上下方向に延びる軸方向気流入口通路、及び該軸方向気流入口通路に連通して放射状に延び、先端に前記円環状隙間に近接し該円環状隙間内周縁に沿って位置する出口開口を持つ放射状気流出口通路を有して、前記下部ハウジング内に設けられた気流供給ダクトと、前記軸方向気流入口通路の下端部に接続され、破砕機外部の空気送風源より前記気流供給ダクトに空気を供給するための送風管と、前記下部ハウジングに設けられ、異なる粒径範囲の破砕粒子群をそれぞれ破砕機外部に排出するための複数の排出口と、を備えたことを特徴とする遠心式破砕機。
【請求項4】
前記気流供給ダクトは、さらに、前記放射状気流出口通路の下方に位置して前記下部ハウジング内に放射状をなして向かう気流を導く下部用放射状気流出口通路を有していることを特徴とする請求項2又は3記載の遠心式破砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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