説明

遠赤外線放出体

【課題】遠赤外線をより効率良く発生させることができる遠赤外線放出体を提供することを課題とする。
【解決手段】天然鉱石の粉砕粒物又はプレート状物の表面に、遠赤外線放射率が85%以上である天然鉱石或いは金属酸化物からなる遠赤外線放出物質微細粉末を担持させてなることを特徴とする遠赤外線放出体であり、天然鉱石をプレート状に切り出し、その表面に遠赤外線放出物質微粉末を担持したこと、或いは粉砕し、その角取りをして粉砕物に丸みを持たせ、その表面に遠赤外線放出物質微粉末を担持したものであり、ストーンバスとして使用をする場合にも身体を傷付けないものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効果的に遠赤外線を放出させることができ、例えばストーンバスや岩盤浴、すなわち温熱浴として好適に使用することができる遠赤外線放出体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の産業・経済の著しい発達、それに伴う生活環境の変化は「ストレス社会」という言葉の通り、人間に対して物理的・心理的刺激、すなわち多くのストレスを生み出している。そしてこのような社会の複雑化に伴って、器質病変等の具体的な病変が見あたらないにも拘わらず、イライラする、不機嫌な状態が続く、寝つきが悪い、眠れない等といった症状を訴えるヒトが増えてきている。
【0003】
かかるストレスを解消するため、現代人は種々の方策を考えそれぞれ対処しており、例えば温泉入浴における各種効能による対処;マイナスイオンが多い水辺の散策、森林浴;音楽を聞きながらのリクラリゼーション等もその一つの手段である。また、最近では、温泉入浴に比較して手ごろに行える天然鉱石を用いた遠赤外線によるストーンバスや岩盤浴等の温熱浴が脚光を浴びてきている。
【0004】
すなわち、この種の温熱浴は、温めた天然鉱石から放出される遠赤外線の作用により、温水に身体を浸すことが無く、天然鉱石の上に単に身体を横たえたり、天然石粉末で身体を覆ったりするだけで、低温サウナ状態(40℃程度)となって汗をかき、体内の余分な老廃物が汗と一緒に排出し、その結果細胞を活性化し、ストレスが解消されるという、いわゆるストーンバスや岩盤浴である。
【0005】
さらに、この岩盤浴やストーンバスには、天然鉱石が放出する遠赤外線の働きにより、冷え性や肩こり等の症状を和らげるともいわれていることから、特に女性の方々に好評を得ており、最近全国各地に、かかる岩盤浴等を行える施設が数多く建設されるに至っている。
【0006】
岩盤浴は、通常、板状(プレート状)に切り出した天然鉱石の上に身体を横たえるものであり、通常15〜30分間程度身体を横たえるだけで、効果的に汗をかき、身体の老廃物を排出することができるとされている。
【0007】
本発明者らも、この岩盤浴の効能に着目してきており、遠赤外線をより効果的に放出し得る天然鉱石の検討を鋭意行ってきている。その検討の中で、天然鉱石をプレート状に切り出し、その表面に遠赤外線を特異的に放出する天然鉱石の微細粉末を表面コーティングすることにより担持してやれば、岩盤浴としての温熱浴的な使用が可能ではないかと考えた。また、天然鉱石をプレート状のみならず、微粉砕して粉砕粒物として砂風呂的に使用する場合には、身体を傷付けないように粉砕粒物を一定の大きさに粉砕し、角取りして丸みを持たせ、その粉砕粒物上、あるいはその中に身体を横たえるストーンバスとして使用することが効果的なものであることを見出した。
【0008】
さらに、本発明者等は天然鉱石を微粉砕し、粒状にセラミックス成形、或いはプレート状にセラミックス成形したものの表面に、遠赤外線を特異的に放出する天然鉱石の微細粉末を表面コーティングにより担持してやれば、同様に砂風呂的、或いは岩盤浴として使用し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
そのうえ、遠赤外線による温熱効果に加え、マイナスイオンを効果的に発生させる機能を持たせれば、発生したマイナスイオンにより、新陳代謝の促進、血行促進、鎮静、鎮痛、快眠、鎮咳、制汗、食欲増進、血圧降下、疲労防止等の相乗効果が付与され、更に効果的なリクラリゼーションが行えるものと考えた。
【特許文献1】特開2002−302665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって本発明は、遠赤外線をより効率良く発生させることができる遠赤外線放出体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するための本発明は、基本的な態様として、天然鉱石の粉砕粒物又はプレート状物の表面に、遠赤外線放射率が85%以上である天然鉱石或いは金属酸化物からなる遠赤外線放出物質微細粉末を担持させてなることを特徴とする遠赤外線放出体である。
【0012】
より具体的な一つの態様として、本発明は、遠赤外線放出物質微粉末を担持する天然鉱石が、天然鉱石を粉砕し、その角取りをした粉砕粒物である遠赤外線放出体である。
【0013】
また、より具体的な別の態様としての本発明は、遠赤外線放出物質微粉末を担持する天然鉱石が、天然鉱石をプレート状に切り出したものである遠赤外線放出体である。
【0014】
さらに別な具体的態様としての本発明は、遠赤外線放出物質微粉末を担持する天然鉱石が、天然鉱石の微粉砕物を粒状にセラミック成形したものである遠赤外線放出体である。
【0015】
また、さらに別な具体的態様としての本発明は、遠赤外線放出物質微粉末を担持する天然鉱石が、天然鉱石の微粉砕物をプレート状にセラミック成形したものである遠赤外線放出体である。
【0016】
より好ましい本発明は、遠赤外線放射率が85%以上である天然鉱石が、トルマリン、医王石、貴陽石、ホルンヘルス、隕石、黒曜石、麦飯石、御影石、竜王石、光明石、黄土、溶岩、絹雲母、紫水晶、生光石、蛇紋岩、美向石、ブラックシリカ鉱石(神光石、黒鉛珪石)、三仙石赤、三仙石青、黒点花蛇紋石又は石英変岩石から選択されるものである遠赤外線放出体である。
【0017】
また、別のより好ましい本発明は、遠赤外線放射率が85%以上である金属酸化物が、酸化ニッケル、酸化鉄、二酸化マンガン、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、シリカ又は酸化マグネシウムから選択されるものである遠赤外線放出体である。
【0018】
さらに本発明は、遠赤外線放出作用に加えてマイナスイオンを効果的に発生させる機能を持たせた遠赤外線放出体であって、具体的には、さらにマイナスイオン発生粉体組成物を担持させた遠赤外性放出体である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、遠赤外線を効率良く放出し、特に岩盤浴やストーバス等の温熱浴に使用し得る遠赤外線放出体が提供される。
本発明が提供する遠赤外線放出体は、天然鉱石をプレート状に切り出し、その表面に遠赤外線放出物質微粉末を担持したこと、或いは粉砕し、その角取りをして粉砕物に丸みを持たせ、その表面に遠赤外線放出物質微粉末を担持したことにより、ストーンバスとして使用をする場合にも身体を傷付けないものである。
【0020】
さらに、本発明が提供する遠赤外線放出体は、天然鉱石の粉砕物を粒状、或いはプレート状にセラミック成形し、その表面に遠赤外線放出物質微粉末を担持したことから、かかる表面は、より滑らかになっているうえに、遠赤外線を効果的に発生させるものであり、温熱浴効果の有する種々の効能を効果的に発揮するものであり、極めて効果的な岩盤浴を行えるものである。
【0021】
特に、本発明が提供する遠赤外線放出体は、天然鉱石の粉砕粒物又はプレート状物の表面に、遠赤外線放射率が85%以上である天然鉱石或いは金属酸化物からなる遠赤外線放出物質微細粉末を担持させたものであり、天然鉱石が放出する遠赤外線が不十分なものであっても、表面に担持する遠赤外線放出物質微細粉末により、遠赤外線をより効果的に放出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、上記した如く、その一つの基本は、天然鉱石の粉砕粒物又はプレート状物の表面に、遠赤外線放射率が85%以上である天然鉱石或いは金属酸化物からなる遠赤外線放出物質微細粉末を担持した遠赤外線放出体であり、天然鉱石浴材として使用するのに適したものである。
【0023】
本発明において、遠赤外線放出物質微細粉末を担持する天然鉱石の粉砕粒物、或いはプレート状物としての天然鉱石は、特に限定されるものではなく、種々の天然鉱石を挙げることができる。
しかしながら、一般的に岩盤浴或いはストーンバスとしての温熱浴に使用するものである点から、適度の硬度を有する天然鉱石を使用するのがよい。
【0024】
なお、この天然鉱石として、自ら遠赤外線を放出する作用を有する天然鉱石を使用しても良いことはいうまでもなく、その遠赤外線放出作用が不十分なものであっても、その表面に遠赤外線放射率が85%以上である天然鉱石或いは金属酸化物からなる遠赤外線放出物質微細粉末を担持することから、より効果に遠赤外線放出効果を得ることができる。
また、遠赤外線放射率85%の紫水晶(天然鉱石)プレートに、85%の遠赤外線放射率を持つ同物質(紫水晶)を1〜5μmに微粉砕し塗料中に混合し、塗布した結果、プレート表面の遠赤外線放射率を3%アップさせることができた。
これは、遠赤外線放射率を持った塗料がプレート表面に凹凸を形成して、表面積が増大したために、放射率がアップしたものと考えられる。
したがって、被塗装物と同じ物質を塗料に入れたものでも、塗装により遠赤外線放射率をアップすることが確認された。
【0025】
遠赤外線放射率の高い物質を塗料化すれば、当然被塗装物である天然鉱石(プレート)のもつ遠赤外線放射率以上の放射率を得ることが可能である。
また、微粉末粉のみのストーンバスとしての使用は、微粉末粉が飛散してしまうことや、入浴性に弊害が生じるためにできないが、塗料に混合し、遠赤外線放射効果をより発揮させるための添加物としてなら、大いに活用できることは、言うまでもない。
【0026】
一方、この天然鉱石の表面に担持される、遠赤外線を放出する天然鉱石或いは金属酸化物において、天然鉱石としては、いわゆる遠赤外線を放出する天然鉱石をいい、遠赤外線放射率が85%以上である天然鉱石であり、具体的には、トルマリン、医王石、貴陽石、ホルンヘルス、隕石、黒曜石、麦飯石、御影石、竜王石、光明石、黄土、溶岩、絹雲母、紫水晶、生光石、蛇紋岩、美向石、ブラックシリカ鉱石(神光石、黒鉛珪石)三仙石赤、三仙石青、黒点花蛇紋石又は石英変岩石等を挙げることができる。
【0027】
これらの天然鉱石は遠赤外線を放出する作用を有する天然鉱石であり、その遠赤外線放出率が85%以上の値を有しているものである。遠赤外線放出率が85%に満たない場合には所望する遠赤外線放出作用を得ることができない。
【0028】
これらの天然鉱石のうち、例えば、トルマリンとはいわゆる電気石と称される鉱石であり、また、医王石とは石川県の医王山の戸室地区で採取される天然鉱石であり、学名を「石英閃緑玲石」といい、マイナスイオン放出作用に加え、遠赤外線放出作用を有する天然鉱石である。
【0029】
さらに貴陽石を始めとする上記した他の天然鉱石にあっても、遠赤外線放出作用を有する天然鉱石として広く民間で使用されている天然鉱石である。
そのいくつかの遠赤外線放出率を示せば、下記表1に記載のようになる。
【0030】
【表1】

【0031】
また、遠赤外線を放出する金属酸化物としては、遠赤外線放出率が85%以上である金属酸化物であり、具体的には、酸化ニッケル、酸化鉄、二酸化マンガン、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、シリカ又は酸化マグネシウムを挙げることがきる。
これらの金属酸化物についても遠赤外線放出率は85%以上であり、本発明において好ましく使用されるものである。
【0032】
本発明にあっては、その一つの態様として、上記した天然鉱石を粉砕し、粉砕粒物の形態で、例えばストーンバスとしての温熱浴用に使用される。その粉砕にあたって粉砕粒物の大きさは、特に限定されるものではないが、5mm程度までの大きさ、好ましくは3〜4mm程度までの大きさのものがメインとなるように粉砕すればよい。
その粉砕は、天然鉱石の原石(約10kg程度の大きさ)をクラッシャーにより3〜5cm程度の大きさに粉砕する一次〜二次粉砕をした後、さらにこの粉砕粒物を10mm程度にまで粉砕する三次粉砕、さらに3〜4mmの粉砕粒物とする四次粉砕等の工程を経ることにより行うことができる。
なお、かかる粉砕はこのような粉砕工程に限定されず、種々の変形を行い得ることはいうまでもない。
【0033】
目的とする大きさに粉砕された天然鉱石は、そのままでは粉砕面が鋭利な状態で粉砕されているため、これを例えばストーンバスとして使用するには身体を傷付け不向きであり、また粉砕面に孔が存在し、雑菌繁殖の温床になりかねない。そこで粉砕粒物に対して角取り処理を行い、粉砕物に丸みを持たせ、粉砕粒物とする。
この角取り処理は、ドラム式回転機の中で粉砕物同士をぶつけ合い研磨する方法で行うことができる。
【0034】
かくして表面が滑らかになり、角取りされた粉砕粒物は、水洗、乾燥された後、その表面を、遠赤外線放出作用を有する天然鉱石或いは金属酸化物からなる遠赤外線放出物質微細粉末を含有する無機塗料或いは有機塗料でコーティングすることにより、天然鉱石の粉砕粒物の表面に遠赤外線放出作用を有する物質が担持される。
【0035】
この場合の遠赤外線放出作用を有する天然鉱石微細粉末或いは金属酸化物の微細粉末の粒度としては、0.1〜10μm程度の範囲内にあるのが好ましい。
粒度が0.1μm未満であると塗料中への分散が困難となり、また10μmを超えるものであると塗料中でのダレ及び担持性の低下が発生しやすくなる。
【0036】
本発明にあっては、例えば、上記の遠赤外線放出作用を有する天然鉱石の微細粉末、或いは金属酸化物の微細粉末を含有させた無機塗料或いは有機塗料を、粉砕粒物の表面に、例えばスプレー法やディップスピン法等によりコーティングすることにより、遠赤外線放出作用物質を担持することができる。
【0037】
遠赤外線放出物質微細粉末を天然鉱石の粉砕粒物の表面に担持するために使用する無機塗料としては、アルコキシ金属塩系塗料、水性金属塩系塗料又は無機物を主体としこれに有機物をハイブリッドした変性シリコン樹脂塗料等を挙げることができる。
【0038】
また、遠赤外線放出物質微細粉末を有機合成樹脂塗料からなる塗料中に含有させ、コーティングすることにより、天然鉱石の粉砕粒物の表面に遠赤外線放出作用を有する物質を担持させることもできる。
【0039】
塗料である合成樹脂組成物に使用される合成樹脂としては、種々のものを挙げることができ、例えば、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂などの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のほか、熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0040】
オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィンモノマーの単独重合体のほか、エチレンやプロピレンなどのオレフィン系モノマーと他のモノマー、例えば酢酸ビニル、α−オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アルキルビニルエーテル、アクリロニトリルなどとの共重合体のほか、これらオレフィン系樹脂を主成分とする他のポリマーとの混合物が使用できる。塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと他のモノマー、例えば酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリルなどとの共重合体のほか、塩化ビニル系樹脂を主成分とする他のポリマーとの混合物が使用できる。
【0041】
ポリウレタン系樹脂としては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステル・エーテルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリメチルバレロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等のポリマージオールから選ばれる1種以上のポリオールと、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートから選ばれる1種以上のポリイソシアネートと、活性水素原子を少なくとも2個有する低分子化合物、例えば脂肪族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、ヒドラジン誘導体等の群から選ばれる1種以上の鎖伸長剤とを反応させて得られる1液型又は2液型ポリウレタン樹脂が使用できる。アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル等のアクリル系モノマーの群から選ばれる1種以上を重合させてなる単独重合体や共重合体が使用できる。また上記のアクリル系モノマーの1種以上と他のモノマー、例えばスチレンなどとの共重合体も使用できるし、これらアクリル系樹脂を主体とする他のポリマーとの混合物も使用できる。
【0042】
ポリエステル系樹脂としては、テレフタル酸やイソフタル酸と、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオールから選ばれる1種以上のジオールとを重合させたものが使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)、テレフタル酸とエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの共重合体(PET−G)、イソフタル酸とネオペンチルグリコールとシクロヘキサンジオールとを共重合したものなどが挙げられる。
【0043】
ポリアミド系樹脂としては、一般的にナイロンと称されるものが使用でき、具体的には、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン6T等が挙げられ、これらは単独若しくは2種以上を混合して使用することもできるものである。
【0044】
これらの無機塗料或いは有機塗料には、必要に応じて、一般的にこの技術分野で汎用されている可塑剤、安定剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗酸化剤、充填剤、着色剤等の各種の添加剤を添加することができる。
【0045】
これら無機塗料或いは有機塗料中に配合する遠赤外線放出作用を有する天然鉱石の微細粉末あるいは金属酸化物の微細粉末の量は、無機塗料或いは有機塗料の合成樹脂100重量部に対して5〜60重量部である。好ましくは10〜50重量部であり、もっとも好ましくは15〜40重量部である。5重量部未満の場合には、十分な遠赤外線放出作用が発揮されない場合がある。また、60重量部を越えて配合した場合には、無機塗料或いは有機塗料をコーティングしにくくなるばかりでなく、コーティング後の粉砕粒物の風合いが十分でない場合がある。
【0046】
これら塗料に、遠赤外線放出作用を有する天然鉱石の微細粉末あるいは金属酸化物の微細粉末を配合するには、塗料を製造する原材料中に配合し、その後塗料を製造するようにしてもよいし、製造された塗料中に配合するようにしてもよい。製造された塗料に配合する場合には、それらの溶媒溶液やエマルジョンに遠赤外線放出作用を有する天然鉱石の微細粉末あるいは金属酸化物の微細粉末を配合するようにしてもよいものである。
【0047】
本発明の天然鉱石の粉砕粒物に無機塗料或いは有機合成樹脂塗料を塗布するには、浸漬塗布法やスプレー塗布法、ディップスピン法が粉砕粒物の風合いを損なうことなく塗布できるので好ましい。
【0048】
本発明が提供する遠赤外線放出用の天然鉱石にあっては、別の態様として天然鉱石をプレート状に切り出し、その表面に遠赤外線放出物質微粉末を担持させたものであってもよい。切り出されるプレート状の大きさとしては特に限定されるものではないが、厚みが10〜30mm、その横及び縦の長さがそれぞれ50〜300mmを有する正方形、あるいは長方形のプレート状にするのがよい。なお、切り出しされたプレート状の形状は正方形、あるいは長方形に限定されるものではなく、適宜菱形、円形、楕円形等の形状であってもよいことはいうまでもない。
【0049】
このプレートは、切り出した段階ではその表面がざらついているので、通常の研磨により滑らかにした後、遠赤外線放出作用を有する天然鉱石の微細粉末あるいは金属酸化物の微細粉末を、上記した無機塗料或いは有機塗料によるコーティングにより、遠赤外線放出作用物質が担持される。
【0050】
本発明にあっては、遠赤外線放出用の天然鉱石として、天然鉱石の粉砕粒物或いはプレート状物の表面に遠赤外線放出作用を有する天然鉱石の微細粉末或いは金属酸化物の微細粉末を担持させたもの以外に、その個々の天然鉱石粉砕粒物の集合としてセラミック成形した粉砕粒物であってもよい。また、個々の天然鉱石粉砕粒物をプレート(板)状に成形されたものであってもよい。
【0051】
セラミック成形は、例えば、天然鉱石の粉砕物としてより細かな粉砕物とし、この粉砕物をプレス加工により目的とするセラミック成形した天然鉱石の粉砕粒物として成形することができる。また、プレート状への成形は、例えば、通常のプレス加工によるプレート状への成形で実施することができる。プレート状の大きさとしては特に限定されるものではないが、厚みが10〜30mm、その横及び縦の長さがそれぞれ50〜300mmを有する正方形、あるいは長方形のプレート状に成形するのがよい。なお、成形されたプレート状の形状は正方形、あるいは長方形に限定されるものではなく、適宜菱形、円形、楕円形等の形状として再成形し得ることはいうまでもない。
【0052】
このセラミック成形された天然鉱石の粉砕粒物或いはプレート状物の表面に、上記したと同様の方法により遠赤外線放出作用を有する天然鉱石の微細粉末あるいは金属酸化物の微細粉末含有の無機塗料或いは有機塗料によりコーティングし、遠赤外線発生物質を担持させることができる。
【0053】
かくして調製された本発明の遠赤外線放出体は、例えば、温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物として、そのまま敷きつめて、その中に身体を横たえる半身浴、さらには身体上に天然粉砕粒物を覆うサンドバスとしての全身浴としての使用、あるいはプレート状に成形した遠赤外線放出用天然鉱石上に身体を横たえて行うストーンバス(岩盤浴)用として半身浴として使用する。その結果、本発明の遠赤外線放出用の天然鉱石が有する遠赤外線放出作用により、低温サウナ状態(40℃程度)となって、好ましい温熱浴が実施し得る。
【0054】
さらに本発明が提供する遠赤外線放出体にあっては、遠赤外性放出効果に加えてマイナスイオン発生効果を付与することもできる。かかるマイナスイオン発生効果を付与することで、新陳代謝の促進、血行促進、鎮静、鎮痛、快眠、鎮咳、制汗、食欲増進、血圧降下、疲労防止等の相乗効果が発揮される。
【0055】
このマイナスイオン発生効果は、遠赤外線放出物質微細粉末と共に、マイナスイオン発生粉体組成物を担持させることにより得ることができる。
このようなマイナスイオン発生粉体組成物としては、トルマリン鉱石等のマイナスイオンを発生する鉱石の粉体が使用されるが、外力が加わらないとマイナスイオンの発生が少ないので、例えば、特許文献1に記載されるような、トルマリン粉末(比重A、平均粒子径a)と電融安定化酸化ジルコニウムを除くジルコニウム化合物粉末(比重B、平均粒子径b)との混合粉末であって、トルマリン粉末100重量部に対し電融安定化酸化ジルコニウムを除くジルコニウム化合物粉末が下記式(I):
100Bb3/3Aa3〜1000Bb3/Aa3重量部 (I)
に示される量が配合された微粉体や、トルマリン粉末(比重A、平均粒子径a)と電融安定化酸化ジルコニウム粉末(比重C、平均粒子径c)との混合粉末であって、トルマリン粉末100重量部に対して電融安定化酸化ジルコニウム粉末が下記式(II):
25Cc3/Aa3〜1000Cc3/Aa3重量部 (II)
に示される量が配合されてなる微粉体、またはラジウム鉱石の微粉体等を使用するのが好ましい。
【0056】
これらのマイナスイオン発生粉体組成物の添加量は、所望のマイナスイオンの発生効果が得られる量で種々変更することが可能である。
【実施例】
【0057】
以下に本発明について、実施例として、温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物の調製、プレート状への再成形等の実際を詳細に説明する。
【0058】
実施例1:天然鉱石の粉砕粒物の製造
[粉砕工程]
天然鉱石を貯蔵した岩石専用のホッパーより鉱石の原石(一原石の重量として、約10kgを有する)を取り出し、シングルトックルクラシャーに投入して粉砕(第一次粉砕)を行い、平均粒径70mmまでに粉砕した第一次粉砕粒物を得た。
さらに、この第一次粉砕粒物を同じシングルトックルクラシャーに投入して粉砕(第二次粉砕)を行い、平均粒径30mmまでに粉砕した第二次粉砕粒物を得た。
【0059】
次いで、この第二次粉砕粒物(平均粒径:30mm)を、ロール式粉砕機を用いて第三次粉砕し、振動篩にかけて、平均粒径10mmまでの第三次粉砕粒物を選別し、篩上に残った10mmを超える粉砕粒物は更にロール式粉砕機を用いて粉砕を繰り返し、振動篩にかけて、平均粒径10mmまでの第三次粉砕粒物を選別した。
【0060】
さらに、この第三次粉砕粒物(平均粒径:10mm)を、インペラ式粉砕機を用いて、粉砕粒物の大きさを調整(第四次粉砕)した。すなわち、第三次粉砕粒物をインペラ式粉砕機内で大きさ5mm以内に粉砕し、3〜5mmをメッシュにて分級し、3〜5mmの大きさを有する第四次粉砕粒物を得た。
【0061】
[角取り工程]
上記の第四次粉砕粒物には表面に凹凸があるので、丸みを帯びさせるため、角取りを行った。すなわち、大型のドラム式回転機に第四次粉砕粒物を投入し、ドラム式回転機を回転させ、粉砕粒物同士をぶつけ合い、粉砕粒物を研磨した。
【0062】
[水洗]
角取りした粉砕粒物を水洗により洗浄した。すなわち、回転式ディップ水洗方式により、ディップ容器(200L)に粉砕粒物200kgを投入し、回転(50〜60回転/分)させながら水洗水(新鮮井戸水)を連続的に注入(12L/分)し、オーバーフローさせながら洗浄(10分間)を行った。
【0063】
[水切り乾燥]
水洗した粉砕粒物をステンレス籠に入れ、粉砕粒物を籠の中に平らに引き延ばし、トンネル型熱風循環式乾燥炉により、120℃/20分間乾燥した。
【0064】
[加熱滅菌]
上記により乾燥させた粉砕粒物を、紫外線照射式乾燥炉に入れ、150℃/10分間の加熱滅菌を行った。
【0065】
[冷却]
滅菌した粉砕粒物を、強制送風による冷却を約5分間行い、冷却し、次いで容器に分包して、目的とする各鉱石の粉砕粒物を得た。
【0066】
以上の方法により、富山県地方に産出する医王石(平均粒径:3〜5mm)を得た。
【0067】
実施例2:遠赤外線発生天然鉱石微粉砕粒物の担持
上記実施例1で得た医王石に、高千穂美向石、或いは蛇紋岩からなる微粉砕物(平均粒径:3〜5μm)含有の有機樹脂組成物塗料をスプレー塗布・乾燥し、遠赤外線発生天然鉱石を担持した天然鉱石粉砕粒物を得た。
なお、スプレー塗布はイワタ製W−100(口径1mm)を使用し、吹付けエア圧力3.5kg・f/cm、吹付け塗出量70cc/分、吹付け距離150〜200cmの条件で行った。
有機樹脂組成物塗料としては、
アクリル樹脂溶液(固形分40重量%) 100重量部
遠赤外線放出天然鉱石の微細粉末 30重量部
を使用した。
【0068】
実施例3:遠赤外線放出金属酸化物の微細粉末の担持
上記実施例1で得た医王石に、鉄酸化物の微細粉末(平均粒径:3〜5μm)含有の有機樹脂組成物塗料をスプレー塗布・乾燥し、遠赤外線発生鉄酸化物を担持した天然鉱石粉砕粒物を得た。
有機樹脂組成物塗料としては、
アクリル樹脂溶液(固形分40重量%) 100重量部
鉄酸化物の微粉砕物 30重量部
を使用した。
【0069】
実施例4:天然鉱石のセラミックス成形粒状物に対する遠赤外線発生天然鉱石の微細粉末の担持
実施例1で使用した天然鉱石をさらに微粉末化(平均粒径:100μm)し、これをセラミックス成形し、平均粒子径4mm程度の粒状物を得た。
この粒状物に実施例2と同様の方法により、高千穂美向石、或いは蛇紋岩からなる微細粉末(平均粒径:3〜5μm)含有の有機樹脂組成物塗料をスプレー塗布・乾燥し、遠赤外線発生天然鉱石を担持した天然鉱石セラミックス成形の粉砕粒物を得た。
【0070】
実施例5:プレート状の鉱石粉砕粒物の調製
実施例1で得た天然鉱石の粉砕粒物(平均粒径:3〜5mm)を、機械プレスにより厚さ20mm、各辺300mmの正方形のプレート状に成形した。
【0071】
実施例6:遠赤外線放出作用物質の担持
上記実施例5で得た天然鉱石のプレート状の粉砕粒物に対して、実施例2で使用した高千穂美向石、或いは蛇紋岩からなる微粉砕物(平均粒径:100μm)含有の有機樹脂組成物を含有する塗料を塗布し、粉砕粒物表面に遠赤外線放出作用物質を担持させた。
【0072】
実施例6:各鉱石粉砕粒物の遠赤外線放出作用
上記で得た、各鉱石粉砕粒物について、その遠赤外線放出作用を測定した。
遠赤外線放出作用
[測定機器]
日本電子(株)製のJIR−E500を使用した。
[測定条件]
1.分解能:16cm−1
2.積算回数:200回
3.検知機:MCT
[測定方法]
上記した実施例で得た各鉱石の粉砕粒物を、一定量(約100g)秤量し、A4サイズの面積に緻密に配置し、供試体とした。
【0073】
[結果]
その結果を下記表2に示した。
【0074】
実施例7:各鉱石粉砕粒物(プレート状物)の遠赤外線放出作用
上記の実施例6と同様にして天然鉱石粉砕粒物(プレート状物)について、遠赤外線放出作用を測定した。
但し、試料サンプルは、L50mm×W50mm×t5mmに切り出したプレート状のサンプルとした。
その結果を下記表2にまとめて示した。
【0075】
【表2】

【0076】
表中に示した結果からも判明するように、本発明の遠赤外線放出物質微粉末を表面に担持した遠赤外線放出用の天然鉱石は、良好に遠赤外線放出作用を発揮していることが理解された。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上記載のように、本発明により例えば岩盤浴或いはストーンバス等の温熱浴に使用することができる効率的に遠赤外線放出する遠赤外線放出体が提供される。この遠赤外線放出体は、遠赤外線を効率良く放出し、遠赤外線による温熱浴効果を効果的に発揮し得るものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然鉱石の粉砕粒物又はプレート状物の表面に、遠赤外線放射率が85%以上である天然鉱石或いは金属酸化物からなる遠赤外線放出物質微細粉末を担持させてなることを特徴とする遠赤外線放出体。
【請求項2】
遠赤外線放出物質微粉末を担持する天然鉱石が、天然鉱石を粉砕し、その角取りをした粉砕粒物である請求項1に記載の遠赤外線放出体。
【請求項3】
遠赤外線放出物質微粉末を担持する天然鉱石が、天然鉱石をプレート状に切り出したものである請求項1に記載の遠赤外線放出体。
【請求項4】
遠赤外線放出物質微粉末を担持する天然鉱石が、天然鉱石の微粉砕物を粒状にセラミック成形したものである請求項1に記載の遠赤外線放出体。
【請求項5】
遠赤外線放出物質微粉末を担持する天然鉱石が、天然鉱石の微粉砕物をプレート状にセラミック成形したものである請求項1に記載の遠赤外線放出体。
【請求項6】
遠赤外線放射率が85%以上である天然鉱石が、トルマリン、医王石、貴陽石、ホルンヘルス、隕石、黒曜石、麦飯石、御影石、竜王石、光明石、黄土、溶岩、絹雲母、紫水晶、生光石、蛇紋岩、美向石、ブラックシリカ鉱石(神光石、黒鉛珪石)、三仙石赤、三仙石青、黒点花蛇紋石又は石英変岩石から選択されるものである請求項1〜5のいずれかに記載の遠赤外線放出体。
【請求項7】
遠赤外線放射率が85%以上である金属酸化物が、酸化ニッケル、酸化鉄、二酸化マンガン、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、シリカ又は酸化マグネシウムから選択されるものである請求項1〜5のいずれかに記載の遠赤外線放出体。
【請求項8】
さらにマイナスイオン発生粉体組成物を担持させたものである請求項1〜7のいずれかに記載の遠赤外性放出体。

【公開番号】特開2007−182344(P2007−182344A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1201(P2006−1201)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【出願人】(598028051)株式会社 日本ハネック (16)
【Fターム(参考)】