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遠距離移動用車両
説明

遠距離移動用車両

【課題】近距離移動用車両の乗降が容易になされるとともに、搭載された近距離移動用車両側で操作が可能で使い勝手が良い遠距離移動用車両を提供すること。
【解決手段】小型電動車両である近距離移動用車両1を搭載可能であって、前記近距離移動用車1よりも高速の移動が可能な遠距離移動用車両11において、車体の前後に前記近距離移動用車両1の乗降用ドア14,15を設け、前記近距離移動用車両1が車体後部から前向きで乗り込み、車体前部から前向きに降車することができるようにする。ここで、前輪13と後輪12を支持するサスペンションを左右独立に構成するとともに、拡大されたサイドシルの前方及び後方に配置し、サイドシル内に燃料や動力源又は燃料電池を配置する。又、遠距離移動用車両11の操作系を近距離移動用車両1に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型で低速の近距離移動用車両を搭載して遠距離を移動可能な遠距離移動用車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
身体障害者や高齢者等の移動手段として電動車椅子やセニアカー等の小型電動車両が使用されているが、この小型電動車両は比較的近距離の移動を目的としたものであり、小型であるために大型のバッテリを搭載することができなかった。このため、この種の小型電動車両は、航続距離が制限され、移動速度も比較的低速であり、遠距離の移動手段とはなり得なかった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、後方に向かって開いた床面の後部から車椅子ごと乗降が可能な低床小型車両が提案されている。この低床小型車両によれば、車椅子を使用する身体障害者や高齢者が独力で容易に乗降することができ、遠距離の移動が可能となる。
【0004】
又、特許文献2には、ボディの内部に車椅子を収納する空間を形成し、ボディ後部に車椅子の出入りを許容するドアを設け、前輪を駆動輪とする身体障害者用自動車が提案されている。この身体障害者用自動車は、身体障害者がボディ後部のドアを開けて車椅子と共に乗り込み、車椅子を運転者用座席とし、車椅子の駆動輪を後輪として走行するものであって、身体障害者は、車椅子に乗ったまま遠距離を移動することができる。
【0005】
更に、特許文献3には、車椅子を導入することができる導入部を車体後部に形成し、車体内のフロア上面を車椅子移動面とした自動車の下部車体構造が提案されている。
【特許文献1】特公平6−059850号公報
【特許文献2】特公昭62−004274号公報
【特許文献3】特許第3161781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3において提案された車両は、何れもエンジンを駆動源として走行するものであり、化石燃料の枯渇等の資源問題や化石燃料の消費に伴う公害や地球温暖化等の環境問題を引き起こし、人や地球環境に優しい移動手段とは言い難い面があることは否めない。
【0007】
そこで、化石燃料を一切使用しない小型電動車両とこれよりも大型の燃料電池車を用意し、小型電動車両を近距離移動用車両として近距離の移動のみに使用し、燃料電池車を遠距離移動用車両として使用し、遠距離の移動に際しては、近距離移動用車両を遠距離移動車両に搭載して遠距離を移動する方式を採用することが考えられるが、この方式を実現するには以下の諸問題を解決する必要がある。
(1)遠距離移動用車両もできるだけ小型化する必要があるが、これを小型化すると該遠距離移動車両への近距離移動用車両の搭載が困難である。
【0008】
近距離移動用車両の遠距離移動用車両への乗降は後部からとなるため、近距離移動用車両は後ろ向きの降車とならざるを得ない。又、遠距離移動用車両の床が高いため、近距離移動用車両が乗り込むための長いスロープが必要である。更に、遠距離移動用車両の幅を広くすることができず、近距離移動用車両の横幅に対して遠距離移動用車両の幅に余裕が殆どなく、近距離移動用車両の乗降操作が困難である。
(2)遠距離移動用車両用の操作系を近距離移動用車両ではなく遠距離移動用車両に配置した場合には、使い勝手が悪い。
(3)近距離移動用車両のバッテリ切れに対する対策を遠距離移動用車両側で講ずることができず、外出先での近距離移動用車両のバッテリ切れに対応することができない。
【0009】
従って、近距離移動用車両の活動範囲(移動可能距離)が、充電施設があるか否か等の移動先の状況の制約を受ける。近距離移動用車両の航続距離を延ばすためには、大型のバッテリを搭載する必要があり、大型のバッテリを搭載すると該近距離移動用車両が大型化してしまう。
(4)遠距離移動用車両は近距離移動用車両を運ぶ機能しか有しておらず、該遠距離移動用車両が公共スペースに駐車しているときには何ら公共の役に立たない。
【0010】
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたもので、その第1の目的とする処は、人と環境に優しく、近距離移動用車両の乗降が容易になされる遠距離移動用車両を提供することにある。
【0011】
又、本発明の第2の目的とする処は、搭載された近距離移動用車両側で操作が可能で使い勝手が良い遠距離移動用車両を提供することにある。
【0012】
更に、本発明の第3の目的とする処は、近距離移動用車両の活動範囲に制約を与えず、駐車中は公共に役立つ遠距離移動用車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、小型電動車両である近距離移動用車両を搭載可能であって、前記近距離用車両よりも高速の移動が可能な遠距離移動用車両において、車体の前後に前記近距離移動用の乗降用ドアを設け、前記近距離移動用車両が車体後部から前向きで乗り込み、車体前部から前向きに降車することができるようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前後輪を支持するサスペンションを左右独立に構成するとともに、拡大されたサイドシルの前方及び後方に配置したことを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記サイドシル内に燃料や動力源又は燃料電池を配置したことを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、操舵輪のホイールハウスを操舵輪の動きに連動させるとともに、前記近距離移動用車両の降車時には前記操舵輪を車両前後方向に向けることを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記近距離移動用車両に当該遠距離移動用車両の操作系を設けたことを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、前記近距離移動用車両に搭載されたバッテリの充電機能を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れかに記載の発明において、太陽電池パネルを搭載したことを特徴とする。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7の何れかに記載の発明において、車体の周囲に発光部材を取り付け、夜間での駐車時には前記発光部材を発光させることを特徴とする。
【0021】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、太陽電池パネルによって発電された電力によって前記発光部材を発光させることを特徴とする。
【0022】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9の何れかに記載の発明において、近距離移動用車両及び遠距離移動用車両の車体の少なくとも一部を植物由来樹脂で構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明によれば、車体の前後に乗降用ドアを設け、近距離移動用車両が車体後部から前向きで乗り込み、車体前部から前向きに降車することができるようにしたため、該近距離移動用車両の乗降を容易に行うことができる。
【0024】
請求項2記載の発明によれば、前後輪を支持するサスペンションを左右独立に構成するとともに、拡大されたサイドシルの前方及び後方に配置したため、床下にサスペンション部品を配置する車両に対して床をより低くすることが可能となる。更に、近距離移動用車両の乗降時にはサスペンションを縮めて遠距離移動用車両の車高を下げて近距離移動用車両の乗降性を高めることができる。
【0025】
請求項3記載の発明によれば、遠距離移動用車両のサイドシル内に燃料や動力源又は燃料電池を配置し、床下に燃料や動力源又は燃料電池を配置しないようにしたため、床の高さを低く抑えて近距離移動用車両の乗降性を高めることができる。
【0026】
請求項4記載の発明によれば、操舵輪のホイールハウスを操舵輪の動きに連動させるようにしたため、操舵輪とホイールハウスとの隙間を最小限に抑えることができ、床面を車両の幅に対して最大限に広げることができる。又、近距離移動用車両の降車時には操舵輪を車両前後方向に向けるようにしたため、操舵輪が近距離移動用車両の降車を妨げることがなく、該近距離移動用車両の降車がスムーズになされる。
【0027】
請求項5記載の発明によれば、近距離移動用車両に遠距離移動用車両の操作系を設けたため、乗員は近距離移動用車両に乗車したまま遠距離移動用車両を操作して遠距離を走行することができ、乗員にとって使い勝手の良い移動手段を提供することができる。
【0028】
請求項6記載の発明によれば、遠距離移動用車両が近距離移動用車両のバッテリの充電機能を備えているため、近距離移動用車両の航続距離が延びてその活動範囲(移動可能距離)が広がるとともに、小型のバッテリを搭載して近距離移動用車両の小型化を図ることができる。
【0029】
請求項7記載の発明によれば、遠距離移動用車両に太陽電池パネルを搭載したため、太陽エネルギーを有効利用して発電することができ、発電によって得られた電気エネルギーを近距離移動用車両のバッテリの充電等に利用することができる。
【0030】
請求項8記載の発明によれば、車体の周囲に発光部材を取り付け、夜間での駐車時には発光部材を発光させることによって車両の存在を知らせるとともに、街灯として駐車場の周囲を照らして公共に役立つこともできる。
【0031】
請求項9記載の発明によれば、太陽電池パネルによって発電された電力によって発光部材を発光させるようにしたため、自然の太陽エネルギーを有効利用することができる。
【0032】
請求項10記載の発明によれば、近距離移動用車両及び遠距離移動用車両の車体の少なくとも一部を植物由来樹脂で構成したため、廃棄する際の環境負荷が軽減されるとともに、CO2 を削減して地球温暖化阻止に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0034】
図1は近距離移動用車両の側面図、図2は本発明に係る遠距離移動用車両の側面図、図2は同遠距離移動用車両のドア及びサイドウインドパネルを全開にした状態を示す斜視図である。
【0035】
図1に示す近距離移動用車両1は、バッテリを電源として駆動される電動モータ(交流同期電動機)によって走行する1人乗りの四輪小型電動車両であって、電動モータは、左右の後輪2にそれぞれ設けられ、各後輪2をそれぞれ直接回転駆動する。この近距離移動用車両1において、左右の前輪3は、自在に向きが変わる小型の車輪であって、それぞれ独立に駆動される左右の後輪2の回転差によって向きを変える。近距離移動用車両1は、安全及び安心のために人が歩く程度の低速で走行する。尚、バッテリとしては高速充電が可能なキャパシタが搭載されている。又、前輪3と後輪2を支持するサスペンションは左右独立に構成されている。
【0036】
又、近距離移動用車両1の車体の素材には生分解可能な植物由来樹脂(本実施の形態では、植物由来ポリプロピレン)が使用されており、車体は、威圧感を与えない卵形フォルムのデザインとコンパクトなサイズによってストレス無く生活空間に溶け込むよう構成されている。そして、車体の前面には大型のフロントウインド4が開閉可能に設けられており、乗員(運転者)は、図1に鎖線にて示すようにフロントウインド4を開けて乗降することができる。尚、フロントウインド4は、天候や乗員の気分に合わせて開閉される。
【0037】
而して、近距離移動用車両1の操作は、左右のアームレストの前方に設けられた操作部によって行われるが、操作部は、パソコンのマウスのように使用され、当該近距離移動用車両1の方向転換はその場で360°旋回等の直感的で乗員の意のままの制御が可能である。
【0038】
又、近距離移動用車両1は、道路等に設けられた磁気マーカー等を検知し、それに沿って指定した場所まで走行する自動運転や、他の近距離移動用車両1を検知してその車両1に追随する追従走行が可能であり、衝突防止センサや超広角リヤビューカメラを搭載することによって、人や障害物と接触する危険性を低減させている。尚、車体に人肌のようなソフトな衝撃吸収材を使用することによって、万一、近距離移動用車両1が衝突しても衝撃が吸収緩和される。
【0039】
更に、近距離移動用車両1の外側にはインフォライトが取り付けられており、このインフォライトには、例えば「急いでいる」、「右に曲がります」、「びっくりした!」等の運転者の意志や運転状態を光で表現し、周囲とのコミュニケーションをスムーズに行うようにしている。
【0040】
又、近距離移動用車両1の左右には、図2及び図3に示す遠距離移動用車両11との結合・接続部が設けられている。
【0041】
そして、この近距離移動用車両1には、遠距離移動用車両11を操作するための操作系が設けられている。具体的には、ステアリング装置は、座席の下方に収納され、近距離移動用車両1が遠距離移動用車両11と合体した後、座席の前面から乗員の脚の間を通って乗員の前の所定位置まで延びる。又、アクセルペダル、ブレーキペタル等は、近距離移動用車両1の床面に配置され、近距離移動用車両1が遠距離移動用車両11と合体した後に上方に隆起し、乗員の押し圧操作を検知する。
【0042】
而して、以上のように構成された近距離移動用車両1の運転に際しては、運転者がリモコン等の発信機を用いて乗車の意志を近距離移動用車両1に伝える。或いは、車体に設けられたスイッチを操作することによって乗車の意志を伝達しても良い。すると、近距離移動用車両1は、周囲の状況と安全を確認して車体の乗降口を開放する。ここで、乗降口は、大型のフロントウインド4とその下方の車両前面部とで構成されており、フロントウインド4は図1に示すように上方に回動し、車両前面部は下方に回動し、これによって乗降口が大きく開く。
【0043】
従って、運転者は、大きく開いた乗降口から近距離移動用車両1に乗り込むことができるが、このとき、運転者の乗り込みがスムーズになされるようサスペンションが縮んで車高が下げられる。尚、運転者が降りる場合にも、サスペンションが縮んで車高が下げられる。
【0044】
近距離移動用車両1に運転者が乗り込むと、乗降口のスイッチを操作し、フロントウインド4と車両前面部を回動させて乗降口を閉じるとともに、サスペンションを伸ばして車高を元に戻す。その状態で運転者が近距離移動用車両1を低速で走行させて目的地へと移動することができる。
【0045】
そして、降車する場合には、近距離移動用車両1に設けられたスイッチを用いて運転者が降車意志を伝えると、乗車時とは逆の動作によって車高が下げられた後に乗降口が開かれるため、運転者は乗降口から降車することができる。その後、運転者がリモコン等の発信機を用いて、或いは車体に取り付けられたスイッチを操作して乗降口を閉じる指令を近距離移動用車両1に伝達すると、乗降口が閉じられる。
【0046】
次に、遠距離移動用車両11を図2及び図3に基づいて説明する。
【0047】
図2及び図3に示す遠距離移動用車両11は、2台の近距離移動用車両1を前後に搭載して遠距離を高速走行することができる軽自動車サイズの車両であって、燃料電池ユニットを搭載する燃料電池車であり、燃料電池等で発電された電力によって回転駆動されるインホイールモータ(交流同期発電機)によって後輪12をそれぞれ直接駆動する。尚、この遠距離移動用車両11において、左右の前輪13は操舵輪である。
【0048】
又、遠距離移動用車両11の車体の素材には、近距離移動用車両1と同様に植物由来樹脂(本実施の形態では、植物由来ポリプロピレン)が使用されており、車体の前後には、近距離移動用車両1が出入りするための出入口が開口しており、これらの出入口は前後のドア14,15によってそれぞれ開閉される。更に、車体の左右には大きなサイドウインド16が配置されており、これらのサイドウインド16もサイドウインドパネル17によってそれぞれ開閉される。
【0049】
上記ドア14,15とサイドウインドパネル17は、上方に開くタイプのものであって、その上端がヒンジを介してルーフの周縁に回動可能に支持されている。尚、前後のドア14,15には、走行に支障がないように視界確保のためのウインドが設けられている。又、車体の天面にはルーフウインド18が設けられており、このルーフウインド18と前記ドア14,15及び前記サイドウインドパネル17には太陽電池パネルが搭載されており、遠距離移動用車両11の駐車時には図3に示すようにルーフウインド18と前後のドア14,15及び左右のサイドウインドパネル17を全開し、これらに搭載された太陽電池パネルによって太陽エネルギーを電気エネルギーに変換して発電がなされる。そして、太陽電池パネルによって発電された電気エネルギーは車載バッテリやキャパシタに充電される。尚、大洋電池パネルは、透過率が高いものが使用され、運転に支障が無い視界が確保され、前後のドア14,15及び左右のサイドウインドパネル17のほぼ全面に配置されている。
【0050】
更に、車体の左右には、拡大されたサイドシルが比較的高い位置まで形成されており、床面補強部材の数を削減しつつ、低床に構成されている当該遠距離移動用車両11の車体の剛性がサイドシルによって高められている。そして、前記燃料電池ユニット(燃料貯蔵容器、燃料電池)やバッテリは、車体の左右両側部に形成された前記サイドシル内に配置されている(燃料電池を使用しない車両では、同様にエンジン等を前記サイドシル内に配置する)。又、前輪13と後輪12を支持するサスペンションは、それぞれ左右独立に構成されており、サスペンションはサイドシルの前方及び後方に配置され、当該遠距離移動用車両11の床の高さを最大限低く抑えて近距離移動用車両1の当該遠距離移動用車両11への乗り込み性を高めるようにしている。ここで、リヤサスペンションは、前後方向に延びるサスペンションアームを基本としてガイド部材を設けることによって、遠距離移動用車両11の左右方向に掛かる横力に耐え得るようにし、床下へのサスペンション部材の配置を無くしてサスペンションの左右方向の寸法を最小限に抑え、左右の後輪12間の幅を広くして車体の大型化を抑えつつ、近距離移動用車両1の当該遠距離移動用車両11に対する乗降性を高めるようにしている。
【0051】
又、操舵輪である前輪13を収容するホイールハウスは、前輪13の動きに連動するよう構成されており、近距離移動用車両1の降車時には前輪13が車両前後方向に向くようにすることによって、左右の前輪13間の幅を広くし、車体の大型化を避けつつ、近距離移動用車両1の当該遠距離移動用車両11に対する乗降性を高めるようにしている。
【0052】
ところで、燃料電池ユニットや太陽電池パネルによって発電された電力は、遠距離移動用車両11の動力として利用されるだけでなく、近距離移動用車両1に搭載されたバッテリの急速充電にも使用される。又、遠距離移動用車両11の車体の周囲には発光部材が取り付けられており、燃料電池ユニットや太陽電池パネルによって発電された電力は、動力エネルギーとしてのみではなく、夜間での駐車時に前記発光部材を発光させるためにも使用される他、公共物と接続されて公共物の電力源としての使用も可能で、非常時の電力としても使用される。
【0053】
而して、以上のように構成された遠距離移動用車両11は、図2に示すように前後に2台の近距離移動用車両1を搭載した状態で、近距離移動用車両1に乗車した運転者による操作によって運転されて遠距離を走行することができる。近距離移動用車両1をこの遠距離移動用車両11に乗り込ませるに運転に際しては、運転者が近距離移動用車両1に設けられたスイッチを用いて乗車の意志を遠距離移動用車両11に伝える。
【0054】
すると、遠距離移動用車両11は、周囲の状況と安全を確認してサスペンションを縮めて車高を下げるとともに、後方のドア15を開いて後方の出入口を開放する。そして、遠距離移動用車両11の床の後端に回動可能に設けられたスロープ19を図2に示すように外側に向かって回動させ、該スロープ19を床の後端から地面へと架け渡す。
【0055】
上記状態から運転者が近距離移動用車両1を操作し、スロープ19を昇って後方の出入口から近距離移動用車両1を遠距離移動用車両11の内部へと前向きで乗り入れる。このとき、近距離移動用車両1の乗り込みを容易にするため、該近距離移動用車両1の進行を光等でガイドしたり、床にガイド溝を設けたり、床からガイド板を立設させて近距離移動用車両1の後輪2の近傍に設けられたガイドとの当接によってガイドしても良い。このように構成すれば、駆動輪である後輪2の近傍にガイドを設けているため、床に設けられたガイド溝からの逸脱を効果的に防ぐことができる。更には、自動操縦によって近距離移動用車両1を遠距離移動用車両11の内部へと乗り入れるようにしても良い。
【0056】
而して、近距離移動用車両1が遠距離移動用車両11内の所定位置に達して該近距離移動用車両1の乗り込みが完了すると、左右のサイドシルから固定部材が遠距離移動用車両11の中央側に向かって突出し、この固定部材が近距離移動用車両1を両側から挟み込んで固定する。尚、固定部材には、近距離移動用車両1の車体に差し込まれる連結部材が設けられており、該連結部材が車体に挿入されることによって、近距離移動用車両1の遠距離移動用車両11内での移動が確実に防がれる。尚、連結部材は、パイプ状の部材で構成され、その内部には電源や操作信号等の配線のコネクタが配置され、この連結部材によって近距離移動用車両1の遠距離移動用車両11への固定と連結(結線)がなされる。
【0057】
上述のように近距離移動用車両1の遠距離移動用車両11への固定と連結(結線)が完了すると、スロープ19が格納され、前後のドア14,15と左右のサイドウインドパネル17が閉じられるとともに、サスペンションが元の位置に戻されて遠距離移動用車両11の車高が上げられる。又、近距離移動用車両1においては、座席の下からハンドルが延びるとともに、床からペダルに相当する部材が隆起する。
【0058】
而して、上記状態において近距離移動用車両1に乗車した運転者による操作によって遠距離用車両11を一般車両と同様に遠距離を走行させることができ、運転者は違和感なく運転操作を行うことができる。
【0059】
そして、降車に際して近距離移動用車両1に設けられたスイッチを用いて運転者が降車意志を遠距離移動用車両11に伝えると、乗車時とは逆の動作によって遠距離移動用車両11の車高を下げた後に前側のドア14を開けて前側の出入口を開放し、遠距離移動用車両11の床の前端に回動可能に設けられたスロープ20を図2に示すように外側に向かって回動させ、該スロープ20を床の前端から地面へと架け渡す。又、遠距離移動用車両11の前輪13が前後方向に向けられるとともに、ペダルとハンドルが格納され、近距離移動用車両1の固定と連結が解除される。
【0060】
上記状態から運転者が近距離移動用車両1を操作し、スロープ20を下って前方の出入口から近距離移動用車両1を遠距離移動用車両11から前向きで降ろす。その後、運転者がリモコン等の発信機を用いてドア14を閉じる許可の指令を遠距離移動用車両11に伝えると、遠距離移動用車両11は、付近の状況等を確認し、安全な状況であればドア14を閉じる。
【0061】
以上において、本実施の形態によれば、以下のような特有の効果が得られる。
(1)遠距離移動用車両11の車体の前後に乗降用のドア14,15を設け、近距離移動用車両1が車体後部から遠距離移動用車両11内に前向きで乗り込み、車体前部から前向きに降車することができるようにしたため、該近距離移動用車両1の遠距離移動用車両11への乗降を容易に行うことができる。
(2)遠距離移動用車両11の前輪13と後輪12を支持するサスペンションを左右独立に構成するとともに、拡大されたサイドシルの前方及び後方に配置したため、近距離移動用車両1の乗降時にはサスペンションを縮めて遠距離移動用車両11の車高を下げることによって、近距離移動用車両1の遠距離移動用車両11に対する乗降性を高めることができる。
(3)遠距離移動用車両11のサイドシル内に燃料や動力源又は燃料電池を配置し、床下に燃料や動力源を配置しないようにしたため、遠距離移動用車両11の床の高さを低く抑えて近距離移動用車両1の遠距離移動用車両11に対する乗降性を高めることができる。
(4)遠距離移動用車両11の操舵輪である前輪13のホイールハウスを前輪13の動きに連動させるようにしたため、前輪13とホイールハウスとの隙間を最小限に抑えることができる。又、近距離移動用車両1の降車時には前輪13を車両前後方向に向けるようにしたため、前輪13が近距離移動用車両1の降車を妨げることがなく、該近距離移動用車両1の遠距離移動用車両11からの降車がスムーズになされる。
(5)近距離移動用車両1に遠距離移動用車両11の操作系を設けたため、乗員は近距離移動用車両1に乗車したまま遠距離移動用車両11を操作して遠距離を走行することができ、乗員にとって使い勝手の良い移動手段を提供することができる。
(6)遠距離移動用車両11が近距離移動用車両1のバッテリの充電機能を備えているため、近距離移動用車両1の航続距離が延びてその活動範囲(移動可能距離)が広がるとともに、小型のバッテリを搭載して近距離移動用車両1の小型化を図ることができる。
(7)遠距離移動用車両11に太陽電池パネルを搭載したため、太陽エネルギーを有効利用して発電することができ、発電によって得られた電気エネルギーを近距離移動用車両1のバッテリの充電等に利用することができる。
(8)遠距離移動用車両11の車体の周囲に発光部材を取り付け、夜間での駐車時には発光部材を発光させることによって遠距離移動用車両11の存在を知らせるとともに、街灯として駐車場の周囲を照らして公共に役立つこともできる。この場合、太陽電池パネルによって発電された電力によって発光部材を発光させるようにしたため、自然の太陽エネルギーを有効利用することができる。
(9)近距離移動用車両1及び遠距離移動用車両11の車体の少なくとも一部を生分解可能な植物由来樹脂で構成したため、廃棄する際の環境負荷を軽減することができるとともに、CO2 を削減して地球温暖化阻止に貢献することができる。又、近距離移動用車両1及び遠距離移動用車両11の車体にチタンを含んだ塗料をコーティングすることによって、大気中のNO を分解して大気を浄化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】近距離移動用車両の側面図である。
【図2】本発明に係る遠距離移動用車両の側面図である。
【図3】本発明に係る遠距離移動用車両のドア及びサイドウインドパネルを全開にした状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 近距離移動用車両
2 近距離移動用車両の後輪
3 近距離移動用車両の前輪
4 フロントウインド
11 遠距離移動用車両
12 遠距離移動用車両の後輪
13 遠距離移動用車両の前輪(操舵輪)
14,15 ドア
16 サイドウインド
17 サイドウインドパネル
18 ルーフウインド
19,20 スロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型電動車両である近距離移動用車両を搭載可能であって、前記近距離移動用車両よりも高速の移動が可能な遠距離移動用車両において、
車体の前後に前記近距離移動用車両の乗降用ドアを設け、前記近距離移動用車両が車体後部から前向きで乗り込み、車体前部から前向きに降車することができるようにしたことを特徴とする遠距離移動用車両。
【請求項2】
前後輪を支持するサスペンションを左右独立に構成するとともに、拡大されたサイドシルの前方及び後方に配置したことを特徴とする請求項1記載の遠距離移動用車両。
【請求項3】
前記サイドシル内に燃料や動力源又は燃料電池を配置したことを特徴とする請求項2記載の遠距離移動用車両。
【請求項4】
操舵輪のホイールハウスを操舵輪の動きに連動させるとともに、前記近距離移動用車両の降車時には前記操舵輪を車両前後方向に向けることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の遠距離移動用車両。
【請求項5】
前記近距離移動用車両に当該遠距離移動用車両の操作系を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の遠距離移動用車両。
【請求項6】
前記近距離移動用車両に搭載されたバッテリの充電機能を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の遠距離移動用車両。
【請求項7】
太陽電池パネルを搭載したことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の遠距離移動用車両。
【請求項8】
車体の周囲に発光部材を取り付け、夜間での駐車時には前記発光部材を発光させることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の遠距離移動用車両。
【請求項9】
太陽電池パネルによって発電された電力によって前記発光部材を発光させることを特徴とする請求項8記載の遠距離移動用車両。
【請求項10】
前記近距離移動用車両及び当該遠距離移動用車両の車体の少なくとも一部を植物由来樹脂で構成したことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の遠距離移動用車両。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−78740(P2009−78740A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250606(P2007−250606)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】