説明

遠隔デバイスを制御するためのシステムおよび方法

【課題】動作可能な物体のような物体を制御する好適なシステムを提供する。
【解決手段】タグデバイスおよび関連付けられた物体を無線周波数制御信号に応答して恒久的に動作不可能にするように適合された制御回路33を有する、無線周波数識別(RFID)タグデバイス30を利用する遠隔デバイスを制御するシステムおよび方法。制御回路33は、イネーブル信号を含む制御信号37を受信するように構成されていて、それに応答して例えば武器のような関連付けられた物体を動作可能にし、ディセーブル信号に応答してタグ30自体を動作不可能にするか、あるいは所望される場合、関連付けられた武器、またはデバイスと武器との両方を動作不可能にするように構成されている。タグ30の恒久的に動作不可能にすることはいくつかの方法によって達成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府援助による研究および開発に関する記載)
本発明は、米国エネルギー省によって授与された契約DE−AC0676RLO1830の下で政府援助を用いて為された。政府は、本発明に一定の権利を有する。
(技術分野)
本発明は、無線周波数識別(RFID)デバイスに関し、より具体的には、RFIDタグおよび関連付けられた物体を動作不可能にするRFIDシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線装置を利用する遠隔通信は、典型的に無線周波数(RF)技術に依存する。RF技術の用途の1つに、動物、在庫および車両のような物体の位置を特定し、識別し、追跡することがある。遠隔物体の監視を容易にするRF識別(RFID)システムがこれまで開発されてきた。
【0003】
図1に図示されるように、基礎的なRFIDシステム10は2つの部品、呼び掛け器または読み取りデバイス12、ならびにトランスポンダ(一般的にRFタグと呼ばれている)14を含む。呼び掛け器12およびRFタグ14は、それぞれのアンテナ16、18を含む。動作中、呼び掛け器12はアンテナ16を介して無線周波数呼び掛け信号20をRFタグ14のアンテナ18に送信する。呼び掛け信号20の受信に応答して、RFタグ14は、連続波後方散乱として公知であるプロセスによって、タグアンテナ18を介して呼び掛け器12へと送信して戻される変調された応答信号22を生成する。
【0004】
RFIDシステムの実質的な利点は、この技術の非接触性および非指向性である。呼び掛け器12は、電力出力および用いられる無線周波数に依存して、1インチから100フィート以上の範囲で呼び掛け信号20を発する。タグは、匂い、霧、氷、ペンキ、泥のような様々な物質、ならびにバーコードまたは他の光学的な読み取り技術が役に立たない他の視覚的および環境的に困難な状況を通して読み取られ得る。RFタグはまた、高速でも読み取られることができ、ほとんどの場合に100ミリ秒未満で応答する。
【0005】
RFタグは3つの主な分類、ビーム駆動受動タグ、バッテリー駆動半受動タグならびに能動タグに分けられる。それぞれ異なる様式で動作する。
【0006】
ビーム駆動RFIDタグは、動作に必要なエネルギーをタグに対して発せられた呼び掛け信号から得るので、しばしば受動デバイスと呼ばれる。タグは、フィールドを調整し、タグ自体の反射特性を変えて、呼び掛け器で見られる反射率に変化を起こす。バッテリー駆動半受動RFIDタグは、同様の形式で動作し、デルタを呼び掛け器に反射して通信回線を確立するためRF断面を変調する。ここでバッテリーが、任意の回路についてのタグの動作電力源である。最後に、能動RFタグにおいて、送信器が、バッテリーによって電力供給される送信器自体の無線周波数エネルギーを生じさせるために用いられる。
【0007】
そのようなタグの通信範囲は、呼び掛け器12およびRFタグ14の送信電力に従って変化する。2,450MHzで動作しているバッテリー駆動タグは、従来10メートル未満の範囲に限られてきた。しかしながら、十分な電力を有するデバイスは、周波数および環境的特徴に依存して、200メートルの範囲まで達することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
権限が与えられた職員、すなわちタグを携帯する権限が与えられた職員または従業員のみに制限されたアクセスを提供することにRFIDデバイスを用いるセキュリティシステムが設計されてきた。しかしながら、そのようなシステムの不利な点は、タグが紛失するか、または盗まれた後に権限がない個人によって使用されて、安全が損なわれ得ることである。さらに、もうアクセスする権限がない従業員または解雇された従業員がタグを使い続けたり、また彼らがそこに保存された情報を得るためにタグを不正に変更することがあり得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
本発明の開示された実施形態は、例えばRFIDタグおよび関連付けられた動作可能な物体のような物体を制御する方法およびシステムに関する。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、呼び掛け信号を受信し、呼び掛け信号に応答して無線周波数信号を返信するように構成された受信回路を含むRFIDデバイスが提供されている。受信回路はさらに、ディセーブル信号を受信し、恒久的にデバイスを動作不可能にするディセーブル信号を処理するように構成されている。
【0011】
もう一つの実施形態において、動作可能な物体を追跡および制御する無線周波数識別および制御デバイスが提供されている。デバイスは、遠隔無線周波数識別呼び掛け器からの呼び掛け信号および制御信号に応答するように構成されている。本発明の本実施形態において、受信回路は物体と一体で提供され、呼び掛け信号に応答して返信無線周波数信号を発生するように構成されており、ディセーブル信号に応答して物体を動作不可能にするために物体に結合されるように適合される。
【0012】
前記実施形態のもう1つの局面によると、受信回路は受信アンテナ全体の少なくとも一部分として動作可能な物体を利用する。
【0013】
前記実施形態のもう1つの局面によると、受信回路はイネーブル信号に応答して物体の動作を可能にするように構成されている。
【0014】
本発明のもう1つの局面によると、RFIDデバイスを制御する方法が提供されている。この方法は、ディセーブル信号をデバイスに送信する工程と、デバイスを不可逆的に応答しないようにするディセーブル信号を受信および処理する工程とを含む。デバイスは、武器のような動作可能な物体に結合されることができ、物体または武器をイネーブル信号に応答して動作可能にするか、あるいはディセーブル信号に応答して恒久的に動作不可能にするように構成され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態の以下の詳細な記載は、以下の図面を参照することにより、より容易に理解され得る。
(発明の詳細な記載)
初めに図2Aを参照すると、無線周波数信号をアンテナ32を有するRFIDデバイス30へと送信し、RFIDデバイス30から受信するよう構成されたアンテナ回路28を有する呼び掛け器26を含むRFIDシステム24が示されている。呼び掛け器26は、アンテナ28に結合された送信回路34を含む。送信器34は、呼び掛け信号35をRFIDデバイス30へと送信するように構成されている。さらに、送信器34は、RFIDデバイス30による受信用のディセーブル信号を含む制御信号37を発生させるように構成されている。
【0016】
受信回路36は、RFIDデバイス30のアンテナ32に結合されている。アンテナ32が呼び掛け信号と制御信号との両方を受信するように構成されるか、または複数のアンテナが用いられ得る。受信回路36は、RFIDデバイス30が呼び掛け器26からの呼び掛け信号35に応答して無線周波数信号(図示されていない)を返信することを可能にするような従来の様式で構成されている。本実施形態において、RFIDデバイス30は、変調された呼び掛け信号35の後方散乱反射を利用して呼び掛け器26に応答する受動RFIDタグである。
【0017】
受信回路36には、呼び掛け器26からのディセーブル信号を含む制御信号37に応答するように構成された制御回路33に関連付けられている。ディセーブル信号は、RFIDデバイス30を恒久的に動作不可能にするように制御回路33によって受信および処理される。本実施形態において、制御信号は、呼び掛け信号と同じ周波数で送信される変調された信号である。
【0018】
デバイス30を動作不可能にするために様々な方法が用いられ得る。開示された実施形態において、受信回路36はメモリ38を含み、制御デバイス33は、メモリ38を変更または消去してデバイス30を不可逆的に応答できないようにするように構成されている。あるいは、図2Bに示されているように、受信回路36は、例えばアンテナ32を接地するか、またはアンテナの動作特性を変更するように、ディセーブル信号に応答してヒューズリンク39のヒューズを切るように構成され得る。受信回路36は、RFIDデバイス30内の導電性リンク(図示されていない)を当該技術分野において公知であり本明細書中に詳細に記載されない様式で切断するように構成され得る。
【0019】
本発明のもう1つの実施形態において、受信回路36は、例えば動作特性を変更することによって、アンテナ32または関連付けられたアンテナ回路を動作不可能にするよう構成され得る。受動RFIDデバイスにおいて、アンテナ回路の後方散乱または変調特性は、デバイス30がさらなる呼び掛け信号および予備制御信号に応答しないように恒久的に変更され得る。
【0020】
次に図3を参照すると、図2Aの実施形態に関連して記載された呼び掛け器26のような、遠隔RFID呼び掛け器からの呼び掛け信号52および制御信号50に応答して動作可能な物体の追跡および制御において使用される、無線周波数識別および制御デバイス40が示されている。例示のために、本実施形態における物体は、武器42の動作をイネーブルおよびディセーブルにするためのコントローラ44を有する武器42とされている。
【0021】
本実施形態におけるRFIDデバイス40は、武器42内に形成されたアンテナ48に結合される受信回路46の一部分として出力回路45を含む。出力回路45は、武器42の動作を制御するように構成されたコントローラ44に結合される。制御信号50を受信し次第、受信回路46により、出力回路45はイネーブル/ディセーブル信号をコントローラ44に対して出力する。1つの実施形態において、制御信号50は、受信回路46および出力回路45によって受信および処理されるディセーブル信号を含み、この信号によりコントローラ44は武器42の動作をディセーブルにする。もう1つの実施形態において、受信回路46および出力回路45は、コントローラ44に武器42の動作をイネーブルにする制御信号50を受信するように構成されている。理想的には、制御信号ライン54は出力回路45をコントローラ44に結合する。
【0022】
動作中、受信回路46は、1つの実施形態において、武器42を識別し、武器の位置についての情報を提供する、呼び掛け信号に応答して変調された無線周波数信号を返信するように構成されている。イネーブル信号を含む制御信号50に応答して、受信回路46および出力回路45は、コントローラ44に武器42の動作を可能にさせる。同様に、ディ
セーブル信号を含む制御信号50に応答して、武器42は一時的に、または好ましくは恒久的に動作不可能にされる。
【0023】
本実施形態におけるコントローラ44は、制御信号ライン54からの信号を受信し、従来の回路を介してイネーブル/ディセーブルコマンドを実行するように構成されている。これは、公知であるスイッチ、ヒューズ、および制御信号に応答して同様の機能を実行するデバイスを含み得るが、それに限定されていない。
【0024】
本発明の好ましい実施形態が例示され、記載されてきたが、様々な変更が為され得るということを理解する必要がある。例えば、RFIDタグは、(バッテリーのような独立した電源がない)受動デバイスとして開示されているが、それは任意の付属的な回路を作動するためにバッテリーを有する半受動デバイスとして構成され得る。さらに、本発明の開示された実施形態は、所望された場合、能動RFIDタグデバイスと組み合わされ得る。
【0025】
必要に応じて、開示された本発明の実施形態は、2000年6月6日に出願された「Remote Communication System and Method」という名称の米国特許出願第09/589,001号にある出願者の先願と組み合わされ得る。この出願は、その全文を通じ本明細書中で参考として援用される。本発明を二重周波数RFタグと組み合わせることによって、タグにおける利用可能な電力が増大され、したがって動作の範囲が増大される。
【0026】
より具体的には、呼び掛け器は、第1の周波数で、RFIDデバイス内の電力回路を通してRFIDデバイスに電力を供給するエネルギー信号を送信する。呼び掛け器は、第2の周波数、または、それぞれ、上述されるRFIDデバイスによって処理された第2および第3の周波数で呼び掛け信号および制御信号を送信する。
(まとめ)
本発明の特定の実施形態が本明細書中において例示のために記載されてきたが、上記の説明より、様々な変更が本発明の意図および範囲から逸脱することなくなされ得ることは理解される。従って、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、当該技術分野において公知であるRFIDシステムの図である。
【図2A】図2Aは、本発明による、RFIDデバイスを利用するRFIDシステムである。
【図2B】図2Bは、本発明による、RFIDデバイスを利用するRFIDシステムである。
【図3】図3は、本発明のもう一つの実施形態に従って形成された遠隔周波数識別および制御システムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の無線周波数識別(RFID)システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−181542(P2008−181542A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44922(P2008−44922)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【分割の表示】特願2002−582452(P2002−582452)の分割
【原出願日】平成14年4月1日(2002.4.1)
【出願人】(500392933)バッテル メモリアル インスティテュート (10)
【氏名又は名称原語表記】BATTELLE MEMORIAL INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】Pacific Northwest Division, Intellectual Property Services, P.O. Box 999, Richland, WA 99352 U.S.A.
【Fターム(参考)】