説明

遠隔ロケーションにおけるRFIDベースの誘導

【課題】区域内でユーザを位置特定するため、および誘導するための誘導位置特定システム等を提供する。
【解決手段】クエリ信号40を送信し、応答信号42を受信するように構成されたRFID(無線周波数識別)読取りデバイス14と、区域内に配置されたRFIDタグ8を含む。RFIDタグは、その区域内のRFIDタグのロケーションに関連付けられた固有の情報を格納する。RFIDタグのそれぞれは、RFID読取りデバイスからクエリ信号を受信し、その固有の情報を伝送する応答信号をRFID読取りデバイスに送信するように構成される。RFID読取りデバイスは、応答信号を利用して、その区域内のそのRFID読取りデバイスの現在のロケーションを特定するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(RFID)無線周波数識別タグを使用するリアルタイムの位置特定システムに関し、より詳細には、RFID読取りデバイスと通信して、ユーザに区域内のユーザのロケーションを通知し、その区域内の所望の目的地に誘導する1つまたは複数のRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(全地球測位システム)は、宇宙ベースのナビゲーションシステムである。GPSシステム内で、複数の衛星が、受信デバイス(例えば、専用のGPS受信器、セル電話機など)において受信され得る信号を送信する。GPS受信ユニットは、受信された信号を利用して位置を特定する。その後、受信デバイスが、受信デバイスの特定されたロケーションを伝える別の信号を送信することができることさえ可能である。このため、受信デバイスのユーザには、ユーザの位置が知らされ、さらに、場合により、その位置情報が、中央サーバなどの別のデバイスと共有されることが可能である。しかし、或る区域、特に、広い区域が、衛星からのGPS信号の受信を阻止する/妨げる可能性がある。受信を阻止する/妨げるいくつかの例示的な区域には、地下に位置する区域、または比較的厚い壁を有する建造物内の区域が含まれる。このため、GPSを使用することなしに或る区域内のユーザのロケーションを特定するための方法およびデバイスが、有益であろう。さらに、その区域内のユーザの現在のロケーションを表示し、さらに出口などの所望のロケーションにユーザを誘導するデバイスを得ることが有用であろう。このことは、視界が悪い、または存在しない、停電または火災などの緊急の状況に関して望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0013860号明細書
【発明の概要】
【0004】
以下の文面は、本明細書で説明されるシステムおよび/または方法のいくつかの態様の基本的な理解をもたらすために簡略化した概要を提示する。この概要は、本明細書で使用されるシステムおよび/または方法の広範な概説ではない。この概要は、重要な/不可欠な要素を特定することも、そのようなシステムおよび/または方法の範囲を線引きすることも意図していない。この概要の唯一の目的は、後段で提示するより詳細な説明の前置きとして、いくつかの概念を簡略化した形態で提示することである。
【0005】
一部の態様によれば、本発明は、位置特定システムを提供する。このシステムは、少なくとも1つのクエリ信号を送信し、少なくとも1つの応答信号を受信するように構成されたRFID(無線周波数識別)読取りデバイスを含む。このシステムは、区域内に配置された少なくとも1つのRFIDタグを含む。その少なくとも1つのRFIDタグは、その区域内のその少なくとも1つのRFIDタグのロケーションに関連付けられた固有の情報を格納する。その少なくとも1つのRFIDタグのそれぞれは、RFID読取りデバイスから少なくとも1つのクエリ信号を受信し、その固有の情報を伝送する少なくとも1つの応答信号の1つの応答信号をRFID読取りデバイスに送信するように構成される。RFID読取りデバイスは、その少なくとも1つの応答信号を利用して、その区域内のそのRFID読取りデバイスの現在のロケーションを特定するようにさらに構成される。
【0006】
別の態様によれば、本発明は、区域内でユーザを位置特定する方法を提供する。RFID(無線周波数識別)読取りデバイスが、提供される。少なくとも1つのRFIDタグが、その区域内に配置される。その少なくとも1つのRFIDタグは、その区域内のその少なくとも1つのRFIDタグのロケーションに関連付けられた固有の情報を格納するように構成される。少なくとも1つの信号が、RFID読取りデバイスから送信され、少なくとも1つのRFIDタグによって受信される。少なくとも1つのRFIDタグの格納された固有の情報が、そのRFID読取りデバイスに送信される。そのRFID読取りデバイスの現在のロケーションが、その区域内で特定される。
【0007】
本発明の以上、およびその他の態様は、添付の図面を参照して以下の説明を読むことで、本発明が関係する技術分野の業者には明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の或る態様による例示的な区域、および例示的な誘導位置特定システムを示す概略図である。
【図2】図1に示される、本発明の或る態様によるシステムの例示的なRFID読取りデバイスおよび例示的なRFIDタグを示すブロック図である。
【図3】図1で示される区域内の経路を表示するRFID読取りデバイスの例示的なディスプレイスクリーンを示す概略図である。
【図4】危険な状況を回避する経路を表示するRFID読取りデバイスの別の例示的なディスプレイスクリーンを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の1つまたは複数の態様を組み込む例示的な実施形態を説明し、図面に示す。これらの図示される実施例は、本発明の限定であることは意図していない。例えば、本発明の1つまたは複数の態様が、他の実施形態において利用されることが可能であり、さらに他のタイプのデバイスにおいてさえ利用されることが可能である。さらに、或る用語法は、本明細書で単に便宜上、使用され、本発明の限定として解釈されるべきではない。さらに、図面において、同一の参照符号は、同一の要素を指すために使用される。
【0010】
図1は、本発明の或る態様による例示的な誘導位置特定システム10を示す。誘導位置特定システム10は、区域12内に配置されることが可能である。誘導位置特定システム10は、区域12内に配置された1つまたは複数のRFID(無線周波数)タグを含むことが可能である。ユーザが、区域12内でRFID読取りデバイスを携帯する(例えば、保持する、またはそれ以外でユーザに固定されている)ことが可能である。一般に、RFIDタグ8は、RFIDタグ8からRFID読取りデバイス14への情報の通信を介してRFID読取りデバイス14と協働することができ(例えば、図2を参照)、さらに、これにより、RFID読取りデバイス14が、区域12内のRFID読取りデバイス14の現在のロケーションを特定することを可能にすることができる。RFID読取りデバイス14は、その後、ユーザのためにディスプレイスクリーン上に区域12内の現在のロケーションを表示すること(例えば、図3を参照)が可能である。
【0011】
区域12(図1)は、区域12全体にわたって配置された様々な構造物20を含むことが可能である。例えば、構造物20には、図1に示すようなパイプ、貯水槽、壁、戸口、廊下、出口などが含まれることが可能である。図示される区域12は、例に過ぎず、一般的に/概略として図1に示されるに過ぎないことを認識されたい。構造物20は、数またはロケーションの点で図示される例に限定されず、区域12内で数および/またはロケーションが異なることも可能である。また、区域のタイプが異なることも可能であり、さらに区域内に位置する構造物のタイプが異なることも可能であることを認識されたい。いくつかの例示的な区域ロケーションには、工場、製鋼所、水力発電所、鉱山などが含まれる。例えば、一例において、区域12は、製綱所内にあることが可能であり、さらにその区域が、構造物として溶鉱炉を含むことが可能であり、あるいはその区域が、鉱山内にあることが可能であり、さらにその区域が、構造物として様々な坑道の特徴を含むことが可能である。区域12は、さらに、海上石油プラットフォーム内、風力タービン施設内などにあることも可能である。区域12が様々であり得ることに鑑みて、区域12の特質は、様々であり得ることを認識されたい。例えば、区域12は、GPS(全地球測位システム)に対するアクセスを有するロケーション、およびGPSに対して限られたアクセスしか有さない、または全くアクセスを有さないロケーションを含むことが可能である。GPSに対して限られたアクセスしか有さない、または全くアクセスを有さないロケーションのいくつかの具体的な例には、鉱山、トンネルなどの地下および/または水面下のロケーション、および発電所、水力発電ダムなどの厚い壁/天井を有するロケーションが含まれることが可能である。
【0012】
やはり図1を参照すると、誘導位置特定システム10が、区域12全体にわたって配置された1つまたは複数のRFIDタグ8を含むことが可能である。RFIDタグ8は、区域12内の様々なロケーションに配置され得る。例えば、RFIDタグ8は、図示される例のパイプ、壁、戸口、廊下、出口などを含む区域12内の固定構造物20上に配置されることが可能である。さらに、RFIDタグ8は、RFIDタグ8が区域12のほとんど、またはすべてを範囲に含むように、区域12全体にわたる多様なロケーションに配置されることが可能である。RFIDタグ8は、固定構造物に限定されず、このため、区域12内または区域12の外で移動することが可能な移動構造物に配置されることも可能である。例えば、RFIDタグ8は、フォークリフト、トラック、自動車、荷車などを含む、移動する資産などの区域12内の様々なデバイス上に配置されることが可能である。RFIDタグ8は、RFID読取りデバイス14が、区域12内のほとんど、またはすべてのロケーションにおけるRFIDタグ8の1つまたは複数と通信することができるように配置されることが可能である。
【0013】
RFIDタグ8は、構造物20に取り付けられる、または少なくとも構造物20の近くに置かれることが可能である。1つの例示的な方法において、RFIDタグ8は、接着剤、スナップフィット手段などによることを含め、いくつかの仕方で構造物20に脱着可能に付けられることが可能である。したがって、RFIDタグ8が構造物20上に配置されると、RFIDタグ8は、取り外されない限り、構造物20に固定されたままになる。RFIDタグ8は、いくつかのサイズをとることが可能であり、照明器具内、天井パネル内などの目立たないところに配置されるのに十分なだけ小さいことが可能である。さらに、RFIDタグ8は、高温環境および低温環境、高水分の環境および高湿度の環境などを含め、様々な環境において事実上、使用されることが可能である。
【0014】
次に図2を参照すると、それぞれのRFIDタグ8からRFID読取りデバイス14に情報を伝送するように電波によってRFID読取りデバイス14と通信する単一の例示的なRFIDタグ8が、概略で示されている。図2は、RFID読取りデバイス14を相手に通信している単一の例示的なRFIDタグ8だけを示すものの、同様の通信が、複数のRFIDタグ8(図1)のそれぞれとRFID読取りデバイス14の間でそれぞれ行われることが可能であることを認識されたい。したがって、RFIDタグ8の1つまたは複数が、通信を行っていることが可能であることを理解されたい。この通信の場合、RFID読取りデバイス14が、RFIDタグ8にクエリを行う呼掛け器の役割をする。
【0015】
RFIDタグ8の可能な物理的詳細に注目すると、そのような詳細は、必ずしも本発明の範囲の限定ではないことを認識されたい。いくつかの例示的な物理的詳細には、受動型RFIDタグ、能動型RFIDタグ、および半受動型RFIDタグを含め、様々な異なるタイプのRFIDタグが含まれることが可能である。受動型RFIDタグは、電源がRFID読取りデバイス14からの通信によって供給されるので、バッテリを含まない。具体的には、受動型RFIDタグは、電源のためにRFID読取りデバイス14からの通信の電磁界特性を利用する。能動型RFIDタグは、RFIDタグの電源として使用されることが可能なバッテリを含む。半受動型RFIDタグは、バッテリを含むが、受動型RFIDと同様にRFID読取りデバイス14によって供給される電源も使用する。
【0016】
図2の図示される例において、RFIDタグ8は、情報を格納し、さらに/または処理するIC(集積回路)22を含むことが可能である。また、RFIDタグ8は、信号の受信と送信の両方を行うためのアンテナ24も含む。一例において、アンテナ24は、RFIDタグ8からの格納された情報を送信することが可能である。この格納された情報は、区域12内で各RFIDタグ8に固有であることが可能である。具体的には、この固有の情報は、様々な情報を含むことが可能である。例えば、この固有の情報は、「パイプ上に配置されたRFIDタグ」などの、区域12内のRFIDタグ8の特定のロケーションを含むことが可能である(例えば、図1を参照)。代替として、この固有の情報は、「RFIDタグ#135」などの、RFIDタグに割り当てられた識別コード/番号だけしか含まないことも可能である。この固有の情報は、以下に説明するとおり、RFID読取りデバイス14によって利用される。
【0017】
この場合も、この例におけるRFIDタグ8は、図2に関連して示され、説明されるRFIDタグに限定されず、様々なタイプのRFIDタグを含むことが可能であることに留意されたい。例えば、受動型RFIDタグ内で、図2に示される集積回路は、RFID読取りデバイス14から呼掛けを受けると、単に情報を提供する、EEPROMなどの、単にメモリによることが可能である。同様に、能動型RFIDタグ内で、図2に示される集積回路22およびアンテナ24に加えて、バッテリが含められることが可能である。
【0018】
やはり図2を参照すると、RFID読取りデバイス14が、RF(無線周波数)送信器26と、RF受信器28とを含むことが可能なアンテナを含むことが可能である。RF送信器26は、クエリ信号または「ピング」信号と呼ばれ得る1つまたは複数の信号40を送出することが可能である。そのような信号40は、RFIDタグ8によって受信されることが可能である。RF受信器28が、RFIDタグ8から1つまたは複数の応答信号を受信することが可能である。
【0019】
信号40および42は、距離範囲限度(すなわち、信号が存立可能であるのに十分な強度および明瞭さを有する距離)を有することが可能である。認識されるとおり、信号42は、距離範囲内にある複数のRFIDタグ8(図1)の任意のRFIDタグ8によって受信されることが可能であり、さらにRFID受信器28が、距離範囲内にある複数のRFIDタグ8から1つまたは複数の応答信号42を受信することが可能である。後段でより詳細に説明するとおり、応答信号42は、RFID読取りデバイス14によって解析されて、RFID読取りデバイス14の現在のロケーションが特定されることが可能である。
【0020】
RF送信器26および受信器28は、マイクロプロセッサ、コントローラなどのコンピュータシステム30(図2)によって制御されることが可能である。コンピュータシステム30には、マイクロプロセッサ、コントローラなどの任意のタイプのシステムが含まれることが可能である。コンピュータシステム30は、区域12の地図32に基づいてさらに動作することが可能である。地図32は、メモリまたは他の保持デバイスの中に保持されることが可能である。地図32は、いくつかの仕方で獲得され得る。例えば、コンピュータシステム30が、区域12の地図32を含むようにあらかじめロードされることが可能である。このことは、区域12の地図をあらかじめ作成すること(例えば、事前に描くこと、または事前構成すること)によって実現されることも可能である。代替として、コンピュータシステム30は、データベースにアクセスして、区域12の地図32をダウンロードすることも可能である。地図32は、区域12内の様々な所望のロケーションを含むことが可能である。例えば、地図32は、区域12内に存在する通路、階段、戸口などの経路を表示することが可能である。さらに、地図32は、任意の構造物、区域12からの出口、ならびに制御室、機械、センサ、ゲージなどを含む特定の構造物のロケーションなどの地標識を表示することが可能である。
【0021】
複数のRFIDタグ8の各RFIDタグ8の特定のロケーションが、前もって地図32に含められる(例えば、あらかじめロードされる)ことも可能である。具体的には、複数のRFIDタグ8の各RFIDタグ8のロケーションを、複数のRFIDタグ8の各RFIDタグ8の固有の情報と一緒に示す区域12の地図が、格納されることが可能である。このため、固有の情報(「RFIDタグ#135」)は、区域12内の特定のRFIDタグのロケーションに関連付けられることが可能である。
【0022】
RFID読取りデバイス14は、スピーカ34をさらに含むことが可能である。スピーカは、コンピュータシステム30が、サウンド、警報、警告、語、文などを発するようスピーカ34に命令することができるようにコンピュータシステム30に動作上、関連していることが可能である。このため、RFID読取りデバイス14は、スピーカ34を通じて音声命令/コマンドを与えることができる。それらの音声コマンドが、地図32と併せて使用されることも可能である。例えば、地図32を示すことに加えて、RFID読取りデバイス14は、「溶鉱炉の隣の蒸気パイプの後ろ」など、ユーザがどこに位置しているかを聞こえるように述べることが可能である。さらに、RFID読取りデバイス14は、「前方に歩き、20メートル先で左折する」などのコマンドを述べることによって、経路に沿って、所望のロケーションにユーザを聴覚的に誘導することも可能である。
【0023】
次に図3を参照すると、地図32が、RFID読取りデバイス14上のディスプレイスクリーン18を介してRFID読取りデバイス14のユーザに提示されることが可能である。一例において、コンピュータシステム30が、ディスプレイ出力としてディスプレイスクリーン18を制御することが可能である。例えば、区域12の地図32が、コンピュータシステム30、メモリなどにあらかじめロードされると、コンピュータシステム30は、地図画像がスクリーン18上に表示されるように動作することが可能である。ディスプレイスクリーン18上の地図32は、地図12のレイアウトと実質的に同一であることが可能である。ディスプレイスクリーン18は、使用されている特定のRFID読取りデバイス14、および/または区域12のサイズに依存して、いくつかのサイズおよび構成をとることが可能である。
【0024】
RFID読取りデバイス14は、様々な他の構成要素/デバイスとともに共有される構成に組み込まれる、さらに/またはそのような共有される構成であることが可能であることに留意されたい。例えば、RFID読取りデバイス14は、セルラ電話機、スマートフォン、モバイルデバイス、iDevice、GPS型のロケータ、腕時計などを含むが、以上には限定されない、いくつかのハンドヘルドデバイスを含むことが可能である。したがって、ユーザは、セルラ電話機、RFID読取りデバイス14などのハンドヘルドデバイスを使用することが可能である。これらの例において、いくつかの構造物(例えば、ディスプレイスクリーン18)は、統合された/共有される構成の複数の機能/フィーチャによって共有されることも可能である。
【0025】
次に図1および図2を参照して、誘導位置特定システムの動作を以下に説明することができる。ユーザが、区域12内でRFID読取りデバイス14を有することが可能である。ユーザは、道に迷っている可能性があり、ユーザの現在のロケーションを知る必要がある可能性があり、さらに/または出口などの、区域12内の或る特定のロケーションへの誘導を必要とする可能性がある。ユーザは、ボタンを押すこと、ディスプレイスクリーン18に触れることなどによって、1つまたは複数の信号40を送出するようにRFID読取りデバイス14に指示することが可能である。例えば、ユーザは、RFID読取りデバイス14上のボタンを押して、RF送信器26から信号40の1つまたは複数の信号の発信をもたらすようコンピュータシステム30に命令することが可能である。その1つまたは複数の信号40は、区域12の一部またはすべてを通過することが可能であり、さらにRFIDタグ8のアンテナのいくつか、またはすべてによって受信されることが可能である。
【0026】
RFID読取りデバイス14から信号40を受信するRFIDタグ8のそれぞれは、それぞれの応答信号42をRFID読取りデバイス14に送り返すことによって応答することが可能である。具体的には、受信する各RFIDタグ8がそれぞれ、そのRFIDタグ8に特有である固有の情報を、信号42を介してRFID読取りデバイス14に送り返すことによって応答することが可能である。前述したとおり、その固有の情報は、RFIDタグ8にあらかじめプログラミングされることが可能であり、さらに区域12内のRFIDタグ8の特定のロケーションなどの様々な情報を含むことが可能である。代替として、その固有の情報は、区域12内のRFIDタグ8の特定のロケーションに関連付けられた「RFIDタグ#135」などのRFIDタグのIDを含むことが可能である。
【0027】
RFID読取りデバイス14のRF受信器28は、RFIDタグ8から応答信号42を受信することが可能である。応答信号42からの固有の情報は、RF受信器28からRFID読取りデバイス14のコンピュータシステム30に送られることが可能である。コンピュータシステム30は、応答信号42の様々な特徴を解析し、比較して、RFID読取りデバイス14の現在のロケーションを特定することが可能である。例えば、コンピュータシステム30は、RFIDタグ8からの応答の時間を解析することが可能である。具体的には、応答の時間は、コンピュータシステム30が、RF送信器26から信号40を送信してから、RF受信器28においてRFIDタグ8から信号42を受信するまでの時間を追跡することによって解析されることが可能である。送信してから受信するまでの時間がより長いことは、そのRFIDタグ8が、送信してから受信するまでの時間がより短いRFIDタグ8より遠く離れていることを示すことが可能である。コンピュータシステム30は、RF受信器28によって受信された応答信号42のそれぞれを解析し、比較することが可能である。
【0028】
コンピュータシステム30は、RFIDタグ8からの応答信号42の強度をさらに解析して、RFID読取りデバイス14の現在のロケーションを特定することが可能である。具体的には、応答信号42の強度は、コンピュータシステム30が、RFIDタグ8からの応答信号42の強度を追跡することによって解析されることが可能である。より強い信号を有するRFIDタグ8からの応答信号42は、より弱い信号を有するRFIDタグ8からの応答信号と比べて、RFID読取りデバイス14により近い。壁、構造物などに反射された信号は、より弱い信号を有する可能性があり、さらに/または位相ずれして着信する。コンピュータシステム30は、応答信号42がRFIDタグ8からの実際の信号であるか、または反射であり、したがって、無視され得るかを判定することが可能である。コンピュータシステム30は、RFIDタグ8によって送信された応答信号42の各信号42のこれらの特徴を解析し、比較することが可能である。応答信号42の応答の時間、応答信号42の強度、およびRFIDタグ8の特定のロケーションに基づいて、コンピュータシステム30は、区域12内のRFID読取りデバイス14の近似のロケーションを三角測量することが可能である。RFID読取りデバイス14のロケーションを特定するさらなる方法が企図されることを理解されたい。一例において、AoA(到来角度)測定が、前述した方法と一緒にRFID読取りデバイス14ロケーションを特定するのに使用され得る。AoA測定の場合、コンピュータシステム30は、RF受信器28における応答信号42の受信される位相の差を測定することによって、RF受信器28上の応答信号42の時間および方向をさらに解析することが可能である。応答信号42の着信の遅延が測定され、さらにAoA測定に変換されることが可能であり、そのAoA測定が、その後、RFID読取りデバイス14の近似のロケーションを特定するのに使用されることが可能である。
【0029】
次に図3を参照すると、RFID読取りデバイス14のディスプレイスクリーン18の例が示されている。コンピュータシステム30が、RFID読取りデバイス14の現在のロケーションを特定すると、コンピュータシステム30は、RFID読取りデバイス14の現在のロケーション37を表示することが可能であり、したがって、ユーザのロケーションを表示することが可能である。具体的には、コンピュータシステム30は、ディスプレイスクリーン18上の地図32上でユーザの現在のロケーション37を表示することが可能である。コンピュータシステム30は、第1のRFIDタグの南10フィート、第2のRFIDタグの西4フィートのように、RFIDタグ8を基準として現在のロケーション37を特定する。したがって、コンピュータシステム30は、X(図示される)などの識別する信号を使用して、地図32上でこの現在のロケーション37を表示することが可能である。さらに、コンピュータシステム30は、ユーザの現在のロケーション37から所望のロケーション(例えば、出口)36に至る経路50を図化することが可能である。このため、ユーザは、経路を強調表示することなどによって、現在のロケーション37から所望のロケーション(例えば、出口)までユーザを誘導するようにディスプレイスクリーン18を見ることができる。また、ディスプレイスクリーン18は、ディスプレイスクリーン18上のテキストの形態で次のアクションまでの距離を表示することも可能である。例えば、ディスプレイスクリーン18は、「20フィート先で左折」というテキストなどを表示することなどによって、ユーザの現在のロケーション37から所望のロケーションまでの距離を表示することが可能である。
【0030】
前述したとおり、地図32は、階段、通路などの経路、および出口、地標識などのロケーションを含む区域12の地図である。したがって、ユーザは、出口などの、ユーザが到達したい所望のロケーション36を選択することができる。このことは、RFID読取りデバイス14がタッチスクリーンフィーチャを組み込んでいる場合、ディスプレイスクリーン18に触れることによって達せられることが可能である。代替として、ユーザは、RFID読取りデバイス14上のボタンを使用することによるなど、地図32上でそのロケーションを手動で選択することによって、所望のロケーション36を入力することもできる。所望のロケーション36が選択されると、地図32は、ユーザの現在のロケーション37を、ユーザの現在のロケーション37から、出口などの所望のロケーションに至る経路50と一緒に表示することが可能である。
【0031】
次に図4を参照すると、緊急避難モードにおけるRFID読取りデバイス14のディスプレイスクリーン18の例が示されている。この例において、RFID読取りデバイス14は、ワイヤレスネットワークに対するアクセスを有することが可能である。この状況において、センサ38が、区域12内に設けられていることが可能である。センサ38は、地図32上に示されることが可能であり、さらにワイヤレスネットワークを介してRFID読取りデバイス14と通信することが可能である。センサ38は、一般的に示されており、センサ38には、火災警報器、煙感知器、一酸化炭素感知器、放射線センサおよび/または温度センサ、他のタイプの危険検出システムなどの、様々な危険感知デバイスが含まれることが可能である。センサ38は、火災、ガス漏れなどの危険要因39の存在を特定することが可能である。センサ38は、ワイヤレスネットワークを介してRFID読取りデバイス14に危険要因39の存在およびロケーションを通信することが可能である。このため、コンピュータシステム30は、経路50を図化する際、センサ38および危険要因39を考慮に入れることが可能である。
【0032】
次に、緊急避難モードにおける誘導位置特定システム10の動作を説明することができる。火災などの危険要因39が生じた場合、センサ38が、火災の存在をRFID読取りデバイス14に通知することによってRFID読取りデバイス14と通信することが可能である。RFID読取りデバイス14が、地図32上に危険要因39の近似のロケーションで、火災の絵などの危険要因標識を表示することが可能である。危険要因標識は、火災の絵として示されているが、任意の数の警報指示を含むことが可能であり、図示される例に限定されないことを理解されたい。コンピュータシステム30は、危険要因39を回避する、最も近い出口などの所望のロケーション36に至るパスを図化することが可能である。さらに、RFID読取りデバイス14は、スピーカ34(図2を参照)を介して音声コマンド41を発することによって、危険な状況についてユーザに聞こえるように警報することが可能である。音声コマンド41(図4)は、「溶鉱炉の近くに火災、最も近い出口に向かってください」のような、様々な警報を発することも可能である。本明細書で説明される緊急避難モードは、危険な状況が生じると、自動的に生じることが可能である。例えば、危険要因39が始まると、センサ38が、RFID読取りデバイス14に即時に通知することが可能である。したがって、RFID読取りデバイス14は、音声コマンド41を即時に発して、最も近い出口に至る経路50を図化することが可能である。
【0033】
さらなる例において、中央サーバなどの遠隔ロケーションが、センサ38および/またはRFID読取りデバイス14を相手に読取りおよび通信を行うことも可能である。センサ38および/またはRFID読取りデバイス14は、中央サーバと通信して、危険要因39の存在、および/またはRFID読取りデバイス14のロケーションを中央サーバに通知することが可能である。中央サーバは、RFID読取りデバイス14と通信して、危険要因39の存在およびロケーションをRFID読取りデバイス14に通知することが可能である。コンピュータシステム30は、危険要因39を回避する、最も近い出口などの所望のロケーション36に至る経路を図化することが可能である。この例において、センサは、中央サーバとRFID読取りデバイス14の両方と通信することが可能である。したがって、中央サーバとRFID読取りデバイスの間のワイヤレス通信が何らかの理由で動作不能である場合、RFID読取りデバイス14はそれでも、センサ38と直接に通信することが可能である。同様に、RFID読取りデバイス14の現在のロケーションが、第三者が、遠隔ロケーションから区域12内のRFID読取りデバイス14のロケーションを監視し、さらに/または追跡することができるように、中央サーバを含む遠隔ロケーションに送信されることも可能である。
【0034】
本発明を、前述した例示的な実施形態に関連して説明してきた。本明細書を読み、理解することで、変形および代替が他の人々に思い浮かべられよう。本発明の1つまたは複数の態様を組み込んだ例示的な実施形態は、そのようなすべての変形および代替を、それらの変形および代替が添付の特許請求の範囲に含まれる限りで、含むことを意図している。
【符号の説明】
【0035】
8 RFIDタグ
10 誘導位置特定システム
12 区域
14 RFID読取りデバイス
18 ディスプレイスクリーン
20 構造物
22 集積回路
24 アンテナ
26 送信器
28 受信器
30 コンピュータシステム
32 地図
34 スピーカ
36 所望のロケーション
37 現在のロケーション
38 センサ
39 危険要因
40 信号
41 音声コマンド
42 応答信号
50 パス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのクエリ信号を送信し、少なくとも1つの応答信号を受信するように構成されたRFID(無線周波数識別)読取りデバイスと、
区域内に配置され、前記区域内の少なくとも1つのRFIDタグのロケーションに関連付けられた固有の情報を格納し、それぞれが、前記RFID読取りデバイスから前記少なくとも1つのクエリ信号を受信し、前記固有の情報を伝送する前記少なくとも1つの応答信号の1つの応答信号を前記RFID読取りデバイスに送信するように構成された少なくとも1つのRFIDタグとを含み、前記RFID読取りデバイスは、前記少なくとも1つの応答信号を利用して、前記区域内の前記RFID読取りデバイスの現在のロケーションを特定するようにさらに構成される位置特定システム。
【請求項2】
前記RFID読取りデバイスは、ディスプレイスクリーン上に前記区域の地図を表示するように構成される請求項1記載の位置特定システム。
【請求項3】
前記RFID読取りデバイスは、前記RFID読取りデバイスの前記現在のロケーションから所望のロケーションに至る経路を前記地図上に図化するように構成される請求項2記載の位置特定システム。
【請求項4】
前記区域内に配置された1つまたは複数の区域センサをさらに含み、前記1つまたは複数の区域センサのそれぞれは、前記RFID読取りデバイスと通信するように構成される請求項2記載の位置特定システム。
【請求項5】
前記1つまたは複数の区域センサのそれぞれは、そのセンサのロケーション近くの少なくとも1つの危険要因を感知し、さらに前記感知された少なくとも1つの危険要因についての情報を前記RFID読取りデバイスに通信するように構成される請求項2記載の位置特定システム。
【請求項6】
前記RFID読取りデバイスは、前記RFID読取りデバイスの現在の位置から所望のロケーションに至る経路を前記地図上に図化するように構成され、前記図化された経路は、前記感知された少なくとも1つの危険要因を回避する請求項5記載の位置特定システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのRFIDタグは、複数のRFIDタグを含み、前記複数のRFIDタグのそれぞれは、前記区域内の異なるロケーションに配置される請求項1記載の位置特定システム。
【請求項8】
前記複数のRFIDタグのそれぞれは、前記少なくとも1つの応答信号のそれぞれの応答信号を前記RFID読取りデバイスに送信するように構成され、それぞれの応答信号は、それぞれの固有の情報を伝送する請求項7記載の位置特定システム。
【請求項9】
前記RFID読取りデバイスは、前記複数のRFIDタグからの前記応答信号の特徴を解析するように構成される請求項8記載の位置特定システム。
【請求項10】
前記RFID読取りデバイスは、各応答信号が生じた時刻を解析するように構成される請求項9記載の位置特定システム。
【請求項11】
前記RFID読取りデバイスは、各応答信号の強度を解析するように構成される請求項10記載の位置特定システム。
【請求項12】
前記RFID読取りデバイスは、前記応答信号を比較して、前記RFID読取りデバイスの前記現在のロケーションを特定するように構成される請求項11記載の位置特定システム。
【請求項13】
前記RFID読取りデバイスは、区域の地図を含み、前記RFID読取りデバイスは、前記地図上で前記RFID読取りデバイスの現在のロケーションを特定するように構成され、さらに前記RFID読取りデバイスは、前記RFID読取りデバイスの前記現在のロケーションから前記区域内の所望のロケーションに至る経路を前記地図上で表示するように構成される請求項1記載の位置特定システム。
【請求項14】
前記RFID読取りデバイスは、ディスプレイスクリーンを含み、さらに前記RFID読取りデバイスは、前記ディスプレイスクリーン上に前記区域の前記地図を表示する請求項13記載の位置特定システム。
【請求項15】
前記RFID読取りデバイスは、前記ディスプレイスクリーン上に前記RFID読取りデバイスの前記現在のロケーションを表示する請求項14記載の位置特定システム。
【請求項16】
前記RFID読取りデバイスは、スピーカを含み、さらに前記RFID読取りデバイスは、前記スピーカを介して音声コマンドを与えるように構成される請求項1記載の位置特定システム。
【請求項17】
区域内でユーザを位置特定する方法であって、
RFID(無線周波数識別)読取りデバイスを提供するステップと、
前記区域内に少なくとも1つのRFIDタグを配置し、前記少なくとも1つのRFIDタグは、前記区域内の前記少なくとも1つのRFIDタグのロケーションに関連付けられた固有の情報を格納するように構成されるステップと、
前記RFID読取りデバイスから、前記少なくとも1つのRFIDタグによって受信される少なくとも1つの信号を送信するステップと、
少なくとも1つのRFIDタグの前記格納された固有の情報を前記RFID読取りデバイスに送信するステップと、
前記区域内で前記RFID読取りデバイスの現在の位置を特定するステップとを含む方法。
【請求項18】
スクリーン上に前記現在のロケーションを表示するステップを含む請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記スクリーン上に前記区域の地図を表示し、さらに前記地図上に前記現在のロケーション、および前記現在のロケーションから前記地図上の所望のロケーションに至る経路を表示するステップを含む請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記区域内の前記RFID読取りデバイスの前記現在のロケーションを中央サーバに送信するステップを含む請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−233891(P2012−233891A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−98292(P2012−98292)
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】