説明

遠隔会議装置

【課題】エコーキャンセル機能を十分発揮させるために、スピーカの出力レベルに応じてマイクを最適な位置に調整可能な遠隔会議装置を提供する。
【解決手段】会議端末3は、固定されたスピーカ350と、設置位置を調整可能な外付マイク370とを備えて、外付マイク370で収音される音声からエコーを、エコーキャンセラ347で除去可能である。スピーカ350の出力レベルが設定されると、その出力レベルに応じて特定された推奨位置が、ディスプレイ319に表示される。ディスプレイ319に表示された推奨位置に外付マイク370を設置することで、スピーカ350の音声が外付マイク370で収音されるときの収音量が処理基準値以下となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の拠点にそれぞれ設置されて、各拠点間でネットワークを介して実行される遠隔会議に用いられる遠隔会議装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの画像や音声を入出力可能な遠隔会議装置を各拠点に設置し、各拠点のユーザの画像や音声が遠隔会議装置で合成出力される遠隔会議システムが知られている。このような遠隔会議システムにおいて、マイクの最適な位置を表示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−273244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの遠隔会議装置は、マイクから取得される音声のエコーを低減するエコーキャンセル機能を備えている。このような遠隔会議装置では、エコーキャンセル機能を十分発揮可能な位置関係となるように、筐体内にマイクおよびスピーカが配置されている。しかしながら、エコーキャンセル機能を十分発揮させるには、スピーカから出力される音声がマイクによって取得されにくいように、スピーカおよびマイクの位置関係を考慮して製品設計を行う必要があった。そのため、遠隔会議装置の筺体が大きくなったり、製品デザインに制約が生じたりするおそれがあった。
【0005】
特許文献1に開示の技術によれば、初期設定としてマイクの最適な設置位置を提示することができる。しかしながら、エコーキャンセル機能を十分発揮可能なスピーカおよびマイクの位置関係は、スピーカ音声とマイク感度とのバランスによって決定される。そのため、例えばマイクを最適位置に設置したのちにスピーカの出力レベルが大きくなった場合、マイクで収音される音声がエコーキャンセル機能を発揮可能な収音量を超えてしまい、遠隔会議中に出力される音声にエコーが含まれるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、エコーキャンセル機能を十分発揮させるために、スピーカの出力レベルに応じてマイクを最適な位置に調整可能な遠隔会議装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る遠隔会議装置は、ネットワークを介して接続された相手側端末との間で、少なくとも音声が相互に送受信される遠隔会議を実行する遠隔会議装置であって、前記相手側端末から受信した音声を出力可能なスピーカと、設置位置を調整可能なマイクと、前記スピーカから出力される音声の大きさを示す出力レベルを設定するレベル設定手段と、前記マイクで収音される音声からエコーを除去し、且つ、少なくとも前記スピーカから発せられる音声が前記マイクで収音されるときの収音量が所定値以下である場合に、前記エコーの除去を行った後の音質を所定基準内に確保可能なエコーキャンセル手段と、前記レベル設定手段によって設定された前記出力レベルに応じて、前記スピーカから出力される音声が前記マイクで収音されるときの前記収音量が前記所定値以下になる前記マイクの位置である推奨位置を特定する位置特定手段と、前記位置特定手段によって特定された前記推奨位置を報知する位置報知手段とを備えている。
【0008】
これによれば、固定されたスピーカと、設置位置を調整可能なマイクとを備えた遠隔会議装置において、マイクで収音される音声からエコーを除去可能である。スピーカから出力される音声の出力レベルが設定されると、その出力レベルに応じて特定されたマイクの推奨位置が報知される。報知された推奨位置にマイクを設置することで、スピーカの音声がマイクで収音されるときの収音量が所定値以下になる。このとき、エコーの除去を行った後の音質が、所定基準内に確保される。したがって、エコーキャンセル機能を十分発揮させるために、スピーカの出力レベルに応じてマイクを最適な位置に調整することができる。
【0009】
上記遠隔会議装置において、前記マイクの特性を検出する特性検出手段を備え、前記所定値は、前記マイクの特性に応じた複数の基準値を含み、前記位置特定手段は、前記特性検出手段によって検出された前記マイクの特性に対応する前記基準値に基づいて、前記収音量が前記基準値以下になる前記推奨位置を特定してもよい。この場合、マイクの収音量が基準値以下になる条件がマイクの特性に応じて異なる場合でも、マイクの特性を反映した最適な推奨位置にマイクを設置させることができる。
【0010】
上記遠隔会議装置において、前記特性検出手段は、前記マイクの特性が指向性マイクおよび無指向性マイクのいずれであるかを検出し、前記位置特定手段は、前記特性検出手段によって前記指向性マイクであると検出された場合、前記収音量が第一基準値以下になる前記推奨位置を特定する一方、前記特性検出手段によって前記無指向性マイクであると検出された場合、前記収音量が前記第一基準値よりも小さい第二基準値以下になる前記推奨位置を特定してもよい。この場合、指向性マイクおよび無指向性マイクのそれぞれに応じた最適な推奨位置にマイクを設置させることができる。
【0011】
上記遠隔会議装置において、前記特性検出手段によって前記指向性マイクであると検出された場合、前記マイクの推奨向きを報知する方向報知手段を備えてもよい。この場合、報知された推奨向きにマイクを設置することで、指向性マイクを正しい収音方向に向けることができる。
【0012】
上記遠隔会議装置において、前記スピーカの音声出力方向を撮影可能なカメラと、前記カメラの撮影方向を調整する撮影方向調整手段を備え、前記撮影方向調整手段は、前記遠隔会議の進行時は、所定範囲を前記カメラに撮影させる一方、前記マイクの位置調整時は、前記所定範囲よりも前記推奨位置を中心寄りに含む特定範囲を前記カメラに撮影させるように、前記撮影方向を調整し、前記位置報知手段は、前記マイクの位置調整時に、前記カメラが前記特定範囲を撮影した画像に前記推奨位置を重ねて表示した設置用画像を、表示装置に表示させてもよい。この場合、マイクの位置調整時には、推奨位置が表示範囲の中心寄りに重ねて表示された画像が、表示装置に表示される。したがって、マイクの位置調整時に推奨位置を確実に表示することができ、ユーザがマイクを推奨位置に設置する際の利便性を高めることができる。
【0013】
上記遠隔会議装置において、前記レベル設定手段によって設定された前記出力レベルが、あらかじめ定められた閾値以上であるか否かを判断する閾値判断手段を備え、前記位置特定手段は、前記閾値判断手段によって前記閾値以上であると判断された場合に、前記推奨位置を特定してもよい。この場合、例えば出力レベルが閾値未満である場合には、マイクの収音量が基準値を超える可能性が低いとみなして、推奨位置の特定および報知が省略される。つまり、マイクの収音量が基準値を超える可能性が高い状態であることを条件に推奨位置を特定することで、遠隔会議装置の処理負担を軽減することができる。
【0014】
上記遠隔会議装置において、前記レベル設定手段によって前記出力レベルが変更されたか否かを判断する変更判断手段を備え、前記位置特定手段は、前記変更判断手段によって前記出力レベルが変更されたと判断された場合に、前記推奨位置を特定してもよい。この場合、例えばスピーカの出力レベルが変更されない場合には、マイクの収音量が基準値を超える可能性が低いとみなして、推奨位置の特定および報知が省略される。ひいては、マイクの収音量が基準値を超える可能性が高い状態であることを条件に推奨位置の特定および報知を実行することで、遠隔会議装置の処理負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】テレビ会議システム1の全体構成図である。
【図2】会議端末3の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】会議端末3の会議環境を示す平面図である。
【図4】図3に示す会議環境を撮影した会議画面100を例示する図である。
【図5】マイク位置調整テーブル200のデータ構成を示す図である。
【図6】ボリューム調整処理を示すフローチャートである。
【図7】外付マイク用処理を示すフローチャートである。
【図8】マイク位置調整処理を示すフローチャートである。
【図9】マイク調整画面110を例示する図である。
【図10】マイク調整画面110を例示する図である。
【図11】変形例に係るマイク調整画面110を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、単なる説明例である。
【0017】
図1を参照して、テレビ会議システム1の構成について説明する。テレビ会議システム1では、複数の会議端末がネットワーク2を介して接続されている。テレビ会議システム1では、複数の会議端末によってネットワーク2を介して画像および音声が互いに送受信されることで、各会議端末が設置されている拠点間で公知のテレビ会議が実施される。
【0018】
図1に示す例では、3台の会議端末3,4,5がネットワーク2に接続されているが、ネットワーク2に接続される会議端末の数量は限定されない。以下の説明では、会議端末3を中心に説明するが、他の会議端末4,5についても同様である。また、会議端末3が設置されている拠点を「自拠点」といい、他の会議端末4,5が設置されている拠点を「他拠点」という。
【0019】
図2を参照して、会議端末3の電気的構成について説明する。図2に示すように、会議端末3は、制御を司るコントローラとしてのCPU9を備えている。CPU9には、ROM312、RAM313、ハードディスクドライブ314(以下、HDD314という。)、通信インターフェイス315(以下、通信I/F315という。)、入力部316、映像デコーダ320、映像エンコーダ345、音声エンコーダ346、音声デコーダ349、電源制御部353、およびモータ制御部371が、各々接続されている。
【0020】
ROM312には、CPU9にテレビ会議を実行させるプログラムや、テレビ会議に必要な制御データが記憶されている。本実施形態では、CPU9に後述のボリューム調整処理(図6参照)を実行させるプログラムや、後述のマイク位置調整テーブル200(図5参照)も、あらかじめROM312に記憶されている。HDD314には、テレビ会議の実行時に、自拠点で取得される音声や画像のデータ、および他拠点から取得された音声や画像のデータが記憶されている。電源制御部353は、接続されているACアダプタ(図示外)の電力を、CPU9やその他の各種デバイスに供給して駆動させる。
【0021】
通信I/F315は、ネットワーク2を介したデータ通信を行うためのインターフェイスである。入力部316は、ユーザが各種の入力指示を行う操作部であり、例えばマウス、キーボード、タッチパネルなどである。映像デコーダ320は、ネットワーク2を介して他の会議端末4,5から受信された画像データを復号化して、ディスプレイ319に表示する。これによって、自拠点のユーザは、テレビ会議の画像(つまり、他拠点に存在するユーザの画像)を見ることができる。
【0022】
映像エンコーダ345は、カメラ344に接続されている。映像エンコーダ345は、カメラ344によって撮像される画像を符号化して、画像データを作成する。つまり、カメラ344で撮像された自拠点の画像データが、映像エンコーダ345によって作成される。映像エンコーダ345によって作成された画像データは、ネットワーク2を介して他の会議端末4,5に送信される。
【0023】
本実施形態のカメラ344は、図示しない水平軸を中心に回転自在である。モータ制御部371は、カメラ344を水平軸周りに回転させるチルトモータ372に接続されている。モータ制御部371は、チルトモータ372の駆動制御を行って、カメラ344を水平軸周りに回転させることで、カメラ344の撮影方向を調整可能である。なお、テレビ会議の実行時には、カメラ344の撮影方向が自拠点全体を適正に映し出せる水平方向となるように、カメラ344の撮影角度が調整される。このときのカメラ344の撮影角度を、会議用角度という。
【0024】
音声エンコーダ346および音声デコーダ349は、それぞれエコーキャンセラ347に接続されている。エコーキャンセラ347は、エコーやハウリングの発生を防止する回路である。エコーキャンセラ347には、スピーカ350、内蔵マイク360、および外付マイクインターフェイス358(以下、外付マイクI/F358という。)が、各々接続されている。スピーカ350は、他拠点の音声(例えば、テレビ会議時に他拠点に存在するユーザの音声)を出力する。内蔵マイク360は、自拠点の音声(詳細には、テレビ会議時に自拠点に存在するユーザの音声)を収音する。
【0025】
外付マイクI/F358は、設置位置を調整可能な外付マイク370と有線または無線で接続されて、外付マイク370で収音された自拠点の音声(詳細には、テレビ会議時に自拠点に存在するユーザの音声)を取得する。本実施形態では、外付マイクI/F358に外付マイク370が接続されていない場合、内蔵マイク360で収音される。外付マイクI/F358に外付マイク370が接続されている場合、内蔵マイク360および外付マイク370のいずれかで収音可能である。
【0026】
音声エンコーダ346は、内蔵マイク360、または無線マイクI/F368を介して取得された音声(つまり、外付マイク370で収集された音声)を符号化して、音声データを作成する。音声エンコーダ346によって作成された音声データは、ネットワーク2を介して他の会議端末4,5に送信される。音声デコーダ349は、ネットワーク2を介して他の会議端末4,5から受信された音声データを復号化して、スピーカ350から音声として出力させる。これによって、自拠点のユーザは、テレビ会議の音声(つまり、他拠点に存在するユーザの音声)を聞くことができる。
【0027】
図3および図4を参照して、テレビ会議システム1における各拠点の会議環境の一例について説明する。以下の説明では、図3における下方向および上方向を、会議テーブルTの前側および後側とする。図3および図4に示す会議環境では、会議端末3が設置されている自拠点で、5人のユーザがテレビ会議に参加している。より具体的には、会議テーブルTの前端側に会議端末3が設置されて、会議端末3よりも後側に5人のユーザが会議テーブルTを囲んで着席している。
【0028】
図3および図4に示すように、会議端末3は、自拠点全体の画像及び音声をバランスよく取得するために、会議テーブルTの前端側の中央部に設置されている。カメラ344は、会議端末3の上面側に設置されて、会議端末3の前方を撮影可能である。図示しないが、内蔵マイク360(図2参照)は、会議端末3の前面側に配置されて、会議端末3の前方から収音可能な指向性マイクである。スピーカ350は、会議端末3の前面側に配置されて、会議端末3の前方に音声を出力可能な音源である。本実施形態では、カメラ344、スピーカ350、および内蔵マイク360は、いずれも会議テーブルTの前端側から後側に向けられている。
【0029】
以下の説明では、スピーカ350から出力される音声の増幅率(所定の音声を出力するときの音量の大きさ)を、スピーカ350の出力レベル(いわゆる、ボリューム)という。スピーカ350の音声が内蔵マイク360で収音されるときの収音量は、スピーカ350の出力レベルや、内蔵マイク360とスピーカ350との位置関係等によって変化する。スピーカ350の音声がマイク(内蔵マイク360または外付マイク370)で収音されるときに、マイクの収音量が処理基準値以下となるスピーカ350の最大出力レベルを、「規定レベル」という。「処理基準値」は、エコーキャンセラ347(図2参照)でエコーの除去を行った後の音質を、良好と判断される所定基準内(例えば、一般的な人間の聴覚でエコーが認識されない範囲内)に確保可能なマイクの最大収音量である。
【0030】
会議端末3は、背後に設置された大型のディスプレイ319に接続されている。ディスプレイ319も、カメラ344および内蔵マイク360と同様に、会議テーブルTの前端側から後側に向けられている。さらに、図3および図4に示す例では、会議端末3に外付マイク370が有線接続されて、会議テーブルTの略中央部に設置されている。
【0031】
このような会議環境のもと、テレビ会議の実行時には、他拠点の画像がディスプレイ319に表示され、かつ他拠点の音声がスピーカ350から出力される。そのため、自拠点のユーザA〜Eが会議テーブルTの前端側を向いた状態で、テレビ会議が進行する。このとき、ユーザA〜Eの表情が、カメラ344の正面側から撮影されて、他拠点で表示される。同時に、ユーザA〜Eの声が、内蔵マイク360または外付マイク370で収音されて、他拠点で出力される。これにより、相手方の拠点に存在するユーザの画像および音声を確実に認識できるため、自拠点および他拠点の間でテレビ会議がスムーズに進行する。図4は、カメラ344で撮影された自拠点の画像データであって、他拠点(会議端末4,5)で表示される会議画面100を例示している。
【0032】
ただし、スピーカ350の出力レベルが規定レベルを超える場合、内蔵マイク360の収音量が処理基準値を超えてしまうおそれがある。この場合、エコーキャンセラ347(図2参照)で十分なエコー除去を実行できず、エコーの除去後の音質が所定基準を超えてしまい、一般的な人間の聴覚でエコーが認識される程度に音質劣化が生じるおそれがある。一方、内蔵マイク360に代えて外付マイク370を使用する場合は、スピーカ350の出力レベルが規定レベルを超えた場合でも、外付マイク370の位置を調整することで、外付マイク370の収音量を処理基準値以下にすることができる。
【0033】
図5を参照して、ROM312に記憶されているマイク位置調整テーブル200について説明する。マイク位置調整テーブル200は、スピーカ350の出力レベルと、外付マイク370の推奨距離との関係を定義するテーブルである。マイク位置調整テーブル200には、用途、LEVEL、dB、無指向性マイク推奨距離、および指向性マイク推奨距離が、データ項目として設定されている。
【0034】
LEVELは、スピーカ350の出力レベルを示し、小さい方から「0」〜「11」の12段階で設定されている。dBは、スピーカ350から出力された音声が、スピーカ350から0.5メートル離れた基準位置で収音されるときの音量(単位:デシベル)を、出力レベル毎に示す。用途は、各出力レベルが「通常領域」および「ブースト領域」のいずれに対応するかを示す。「通常領域」は、スピーカ350から発せられる音声が内蔵マイク360で収音されるときの収音量が、処理基準値以下になると推定される出力レベルを示す。「ブースト領域」は、スピーカ350から発せられる音声が内蔵マイク360で収音されるときの収音量が、処理基準値を超えると推定される出力レベルを示す。
【0035】
本実施形態では、先述の規定レベルが出力レベル「8」(80デシベル)であるため、出力レベル「0」〜「8」の範囲は用途「通常領域」が設定され、出力レベル「9」〜「11」の範囲は用途「ブースト領域」が設定されている。「通常領域」に対応する音声の出力レベルでは、内蔵マイク360で収音してもエコーを十分に除去できるため(つまり、音質劣化が生じにくいため)、内蔵マイク360を使用してテレビ会議を行うことが推奨される。「ブースト領域」に対応する音声の出力レベルでは、内蔵マイク360で収音するとエコーを十分に除去できないため(つまり、音質劣化が生じやすいため)、外付マイク370を使用してテレビ会議を行うことが推奨される。
【0036】
マイク位置調整テーブル200には、「ブースト領域」に対応する出力レベル毎に、外付マイク370の推奨されるスピーカ350からの距離(推奨距離)が定義されている。「推奨距離」は、スピーカ350の音声が外付マイク370で収音されるときの収音量が処理基準値以下になると推定される、スピーカ350から外付マイク370までの最短距離を示す。さらに、推奨距離は、外付マイク370の特性に応じた値が定義されている。具体的には、スピーカ350の音声の影響を受けやすい特性を有するものは、スピーカ350の音声の影響を受けにくい特性を有するものよりも、推奨距離に大きな値が定義されている。
【0037】
本実施形態では、外付マイク370の特性が無指向性マイクおよび指向性マイクのいずれであるかに応じて、出力レベル毎にそれぞれ異なる推奨距離が「無指向性マイク推奨距離」および「指向性マイク推奨距離」として定義されている。一般に、指向性マイクは、音源(例えば、自拠点のユーザ)に向けて適正に配置されていれば、無指向性マイクと比較して他の音源(例えば、スピーカ350)から発せられる音声を収音しにくい。したがって、出力レベルが同一である場合、「無指向性マイク推奨距離」には「指向性マイク推奨距離」よりも大きな値が設定されている。
【0038】
なお、マイク位置調整テーブル200は、次のような実験または計算によって定義すればよい。本実施形態では、エコーキャンセラ347の処理基準値が90デシベルに規定されている。つまり、エコーキャンセラ347は、収音量が90デシベル以下である場合に、音声からエコーを十分に除去して良好な音質を確保できる。そこで、スピーカ350から各レベル「0」〜「11」の音声を出力し、外付マイク370の収音量が90デシベル以下となる推奨距離を、実験または計算で特定する。
【0039】
ただし、外付マイク370が指向性マイクである場合、その収音方向が音源(つまり、スピーカ350)と正反対(−180°)に向けられた状態では、外付マイク370が無指向性マイクである場合と比べて、音源から発せられた音声の収音量が減衰することが知られている。つまり、指向性マイクと無指向性マイクとでは、収音量が処理基準値以下となるときのスピーカ350の出力レベル(ひいては、推奨距離)が異なる。
【0040】
そこで、本実施形態では、収音方向が音源と正反対に向けられた状態で、同一位置の無指向性マイクと比べて音声の収音量が15デシベル減衰する指向性マイクが、外付マイク370として使用されることを想定する。そして、外付マイク370として無指向性マイクを使用した場合と、外付マイク370として指向性マイクを使用した場合との両方について、収音量が90デシベル以下となる推奨距離をそれぞれ特定する。
【0041】
具体的に、外付マイク370の推奨距離を実験で特定する場合は、外付マイク370が指向性マイクおよび無指向性マイクのいずれであるかに拘わらず、スピーカ350からの距離が変化するように外付マイク370の位置調整を適宜行いながら、スピーカ350から各出力レベルで音声を出力する。これにより、外付マイク370の収音量が90デシベル以下となる最短距離を、出力レベル毎に特定すればよい。
【0042】
一方、外付マイク370の推奨距離を計算で特定する場合は、公知の減衰量計算式(減衰量=20log(音源から収音位置までの距離/音源から基準位置までの距離))によって、スピーカ350から外付マイク370までの距離を適宜変化させつつ、その距離毎の減衰量を求める。この計算式では、音源がスピーカ350に相当し、外付マイク370が収音位置に相当し、音源から基準位置までの距離は「0.5m」である。これにより、外付マイク370が無指向性マイクである場合は、スピーカ350から発せられた音声の出力レベルから距離別の減衰量を減算した値が90デシベル以下となる最短距離を特定すればよい。外付マイク370が指向性マイクである場合は、スピーカ350から発せられた音声の出力レベルから距離別の減衰量を減算した値が105デシベル以下となる最短距離を特定すればよい。
【0043】
図6〜図10を参照して、会議端末3で実行されるボリューム調整処理について説明する。本処理は、テレビ会議システム1でテレビ会議が実行されている間、ROM312に記憶されているプログラムに基づいてCPU9によって実行される。本処理は、ユーザが入力部316を操作してボリューム調整コマンドを入力した場合に開始される。
【0044】
なお、本実施形態では、会議端末3の電源投入時には、スピーカ350の出力レベルとしてデフォルト値(例えば、出力レベル「5」)が、RAM313に自動設定される。テレビ会議の実行中は、RAM313に設定されている出力レベルで、スピーカ350から他拠点の音声が出力される。
【0045】
図6に示すように、ボリューム調整処理では、まず外付マイク370の使用状況確認が実行される(S1)。具体的に、ステップS1では、外付マイクI/F358に外付マイク370が接続されているか否かが検出される。外付マイクI/F358に外付マイク370が接続されていない場合、外付マイク370の使用中でないと判断される(S3:YES)。この場合、内蔵マイク360で自拠点の音声が収音されるから、内蔵マイク360に対応する出力レベルの範囲内(つまり、通常領域内)で、スピーカ350のボリューム調整が実行される(S5)。具体的には、ユーザが入力部316を操作して、通常領域に含まれる出力レベル「0」〜「8」のいずれかを指定すると、指定された出力レベルがスピーカ350の出力レベルに設定される。つまり、RAM313に設定されている出力レベルが、指定された出力レベルに更新される。
【0046】
一方、外付マイクI/F358に外付マイク370が接続されている場合、外付マイクの使用中であると判断される(S3:YES)。この場合、後述の外付マイク用処理が実行されて、スピーカ350の出力レベルが設定される(S7)。ステップS5またはS7の実行後、ボリューム調整処理は終了される。以降に実行されるテレビ会議では、ステップS5またはS7で設定された出力レベル(つまり、RAM313に設定されている出力レベル)で、スピーカ350から他拠点の音声が出力される。
【0047】
図7に示すように、外付マイク用処理(S7)では、RAM313に設定されている現在の出力レベル(以下、レベルn)が取得される(S11)。また、変更希望の出力レベル(以下、レベルm)が取得される(S13)。具体的には、ユーザが入力部316を操作して、出力レベル「0」〜「11」のいずれかを指定すると、指定された出力レベルがレベルmとして取得される。ステップS11で取得されたレベルnと、ステップS13で取得されたレベルmとが一致するか否かが判断される(S15)。レベルnとレベルmとが一致する場合(S15:YES)、スピーカ350の出力レベルを変更する必要がないから、処理はボリューム調整処理(図6参照)に戻る。
【0048】
レベルnとレベルmとが一致しない場合(S15:NO)、スピーカ350の出力レベルを変更する必要がある。この場合、ステップS13で取得されたレベルmが、通常領域であるか否かが判断される(S17)。具体的には、レベルmが出力レベル「9」〜「11」のいずれかである場合は、ブースト領域であると判断される(S17:NO)。この場合、外付マイクI/F358に接続されている外付マイク370の特性が検出される(S19)。本実施形態では、外付マイク370の特性として、指向性マイクおよび無指向性マイクのいずれであるかが検出される。
【0049】
ステップS19の実行後、外付マイク370の推奨位置が特定される(S21)。具体的には、ステップS13で取得されたレベルm、およびステップS19で検出された特性(指向性マイクまたは無指向性マイク)に対応する推奨距離が、マイク位置調整テーブル200(図5参照)に基づいて特定される。さらに、スピーカ350から推奨距離だけ水平方向に離間した位置が、外付マイク370の推奨位置として特定される。本実施形態では、会議端末3の前面側中心をスピーカ350の位置として擬製されて、会議端末3の前面側中心を基準に推奨位置が特定されるものとする。ステップS21の実行後、後述のマイク位置調整処理が実行されて(S23)、処理はボリューム調整処理(図6参照)に戻る。
【0050】
レベルmが出力レベル「0」〜「8」のいずれかである場合は、通常領域であると判断される(S17:YES)。ここで、外付マイク370は、その設置位置や設置向きによっては、自拠点の音声を適正に収音できない場合がある。一方、内蔵マイク360は、カメラ344の撮影方向から収音できるように配置された指向性マイクであるため、自拠点の音声を適正に収音可能である。よって、出力レベルが通常領域である場合には、外付マイク370よりも内蔵マイク360のほうが、自拠点の収音に適している。
【0051】
そこで、レベルmが通常領域である場合は、使用マイクが内蔵マイクに切り替えられる(S25)。具体的には、外付マイクI/F358に接続されている外付マイク370を無効にする一方、内蔵マイク360を有効にする。ステップS25の実行後、マイク切り替えが報知される(S27)。具体的には、自拠点を収音するマイクが内蔵マイク360に切り替えられたことを示す警告文字が、ディスプレイ319に表示される。これにより、ユーザは、会議端末3に外付マイク370を接続したにもかかわらず、内蔵マイク360で自拠点の音声が収音されることを認識できる。ステップS27の実行後、スピーカ350のボリュームが、ステップS13で取得されたレベルmに設定される(S29)。つまり、RAM313に設定されている出力レベルが、レベルmに更新される。ステップS29の実行後、処理はボリューム調整処理(図6参照)に戻る。
【0052】
図8に示すように、マイク位置調整処理(S23)では、カメラ344の撮影角度が調整用角度に変更される(S31)。具体的には、モータ制御部371がチルトモータ372を駆動することで、ステップS21で特定された推奨位置が撮影範囲の中心寄りとなる調整用角度に、カメラ344の撮影角度が調整される。このとき、カメラ344によって撮影される画像データ上で推奨位置を特定する必要があるが、この推奨位置の特定は公知の画像処理技術を用いればよい。
【0053】
ステップS31の実行後、ユーザに外付マイク370を推奨位置に設置させるための画面(マイク調整画面110)が生成および表示される(S33)。具体的には、カメラ344によって撮影された画像データに、推奨距離に基づいて特定された推奨位置を重ねて表示した画像が生成されて、マイク調整画面110としてディスプレイ319に表示される。
【0054】
図9に例示するマイク調整画面110では、カメラ344によって撮影された画像データに、推奨位置111、推奨向き112、指示表示113等が重ねて表示されている。図9の例では、ステップS21で特定された推奨位置が、自拠点のユーザよりも会議端末3に近い位置であるため、調整用角度に調整されたカメラ344の撮影角度は、会議用角度よりも下向きとなっている。その結果、カメラ344の撮影範囲が、テレビ会議の実行時に他拠点で映し出される会議画面100よりも会議端末3側に近づいて、マイク調整画面110には会議端末3のやや前方側が映し出される。さらに、マイク調整画面110には、カメラ344の撮影範囲の中心寄りに、推奨位置111が含まれている。
【0055】
推奨位置111は、会議端末3から推奨距離だけ離間した位置を描画する円弧状の点線によって、外付マイク370の好適な設置位置を示す。推奨向き112は、カメラ344の撮影方向と等しくなるような収音方向を指示する矢印によって、外付マイク370の好適な設置向きを示す。指示表示113は、ユーザに外付マイク370の設置を指示する表示である。
【0056】
ここで、理論上は、外付マイク370がスピーカ350から遠ざかるほど、スピーカ350の音声が外付マイク370で収音されるときの収音量が小さくなり、ひいてはエコーの除去率が高まって音質が高まる。しかしながら、本実施形態では、外付マイク370の収音量が処理基準値以下となる最短距離だけスピーカ350から離れた位置を、推奨位置111に特定している。つまり、外付マイク370の収音量が処理基準値以下となる範囲内で会議端末3に最も近い位置を、推奨位置111に特定している。これは、外付マイク370がスピーカ350から遠ざかりすぎると、自拠点の音声を適正に収音できないおそれがあるからである。言い換えると、自拠点の音声を適正に収音するためには、外付マイク370が会議端末3から近い位置に設置されるのが好適なためである。
【0057】
ステップS33の実行後、マイク調整画面110が示す推奨位置111に、外付マイク370が設置されたか否かが判断される(S35)。具体的には、カメラ344によって映し出される画像データが解析されて、外付マイク370が画像認識される。画像認識された外付マイク370が推奨位置111と画像上で重複する場合、外付マイク370が推奨位置111に設置されたと判断される(S35:YES)。この場合、推奨位置111への設置完了が報知される(S37)。具体的には、図10に例示するマイク調整画面110のように、外付マイク370が推奨位置111に設置されたことを通知する完了表示114が表示される。また、推奨位置111および推奨向き112が、マイク調整画面110から消去される。ステップS37の実行後、スピーカ350のボリュームが、ステップS13で取得されたレベルmに設定される(S39)。
【0058】
外付マイク370が推奨位置111に設置されていない場合(S35:NO)、入力部316から調整終了キーが入力されたか否かが判断される(S41)。調整終了キーが入力された場合(S41:YES)、外付マイク370を推奨位置111に設置することなく、ユーザがボリューム調整の終了を指示したことを意味する。この場合、スピーカ350のボリュームが、ステップS11で取得されたレベルnに設定される(S43)。つまり、スピーカ350のボリューム変更は行われないため、現在設定されている出力レベルがそのまま維持される。
【0059】
ステップS39またはS43の実行後、モータ制御部371がチルトモータ372を駆動することで、カメラ344の撮影角度が会議用角度に変更される(S45)。このとき、ディスプレイ319に表示される画面も、マイク調整画面110から通常画面(例えば、他拠点を映し出した会議画面)に切り替えられる。また、カメラ344の撮影角度が会議用角度に変更されたことで、以降のテレビ会議では、自拠点全体が適正に映し出された会議画面100(図4参照)が他拠点で表示される。ステップS45の実行後、処理は外付マイク用処理(図7参照)に戻る。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の会議端末3によれば、固定されたスピーカ350と、設置位置を調整可能な外付マイク370とを備えて、外付マイク370で収音される音声からエコーを除去可能である。スピーカ350の出力レベルが設定されると、その出力レベルに応じて特定された推奨位置111が、ディスプレイ319に表示される。ディスプレイ319に表示された推奨位置111に外付マイク370を設置することで、スピーカ350の音声が外付マイク370で収音されるときの収音量が処理基準値以下となる。このとき、エコーの除去を行った後の音質が、良好と判断される所定基準内に確保される。したがって、エコーキャンセル機能を十分発揮させるために、スピーカ350の出力レベルに応じて外付マイク370を最適な位置に調整することができる。
【0061】
また、外付マイク370の収音量が処理基準値以下になる条件が外付マイク370の特性(例えば、指向性マイクおよび無指向性マイク)に応じて異なる場合でも、マイクの特性(例えば、指向性)を反映した推奨位置111に、外付マイク370を設置させることができる。さらに、外付マイク370が指向性マイクである場合には、ディスプレイ319に表示された推奨向き112に外付マイク370を設置させることで、外付マイク370を正しい収音方向に向けることができる。ひいては、外付マイク370で収音される音声からエコーを確実に除去して、音質をさらに向上することができる。
【0062】
また、外付マイク370の位置調整時には、推奨位置111が表示範囲の中心寄りに重ねて表示されたマイク調整画面110が、ディスプレイ319に表示される。したがって、外付マイク370の位置調整時に推奨位置111を確実に表示することができ、ユーザが外付マイク370を推奨位置111に設置する際の利便性を高めることができる。
【0063】
また、スピーカ350の出力レベルが変更されない場合には、外付マイク370の収音量が処理基準値を超える可能性が低いとみなして、推奨位置111の特定および表示が省略される(S15:NO)。さらに、変更希望のレベルmが閾値未満(つまり、通常領域)である場合には、外付マイク370の収音量が処理基準値を超える可能性が低いとみなして、推奨位置111の特定および表示が省略される(S17:YES、S25〜S29)。つまり、外付マイク370の収音量が処理基準値を超える可能性が高い状態であることを条件に推奨位置111を特定することで、会議端末3の処理負担を軽減することができる。
【0064】
上記実施形態において、会議端末3、4、5が、本発明の「遠隔会議装置」にそれぞれ相当する。外付マイク370が、本発明の「マイク」に相当する。入力部316が、本発明の「レベル設定手段」に相当する。エコーキャンセラ347が、本発明の「エコーキャンセル手段」に相当する。ステップS21を実行するCPU9が、本発明の「位置特定手段」に相当する。ステップS33を実行するCPU9が、本発明の「位置表示手段」に相当する。ステップS19を実行するCPU9が、本発明の「特性検出手段」に相当する。ステップS33を実行するCPU9が、本発明の「方向表示手段」に相当する。ステップS31、S45を実行するCPU9が、本発明の「撮影方向調整手段」に相当する。ステップS17を実行するCPU9が、本発明の「閾値判断手段」に相当する。ステップS15を実行するCPU9が、本発明の「変更判断手段」に相当する。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更が可能である。上記実施形態では、会議端末3,4,5間で画像及び音声が相互に送受信されるテレビ会議に本発明が適用される場合を例示したが、会議端末間で音声が相互に送受信される遠隔会議であれば本発明を適用することができる。
【0066】
図9に例示するマイク調整画面110では、円弧状の点線で推奨位置111が表示されているが、推奨位置111は他の態様で表示されてもよい。例えば、図11に例示するマイク調整画面110では、推奨位置111を四角枠状の点線領域で示している。また、マイク調整画面110において、推奨位置111とは異なる領域(つまり、外付マイク370の設置を推奨できない領域)を、推奨位置111と視覚的に区別可能に表示してもよい。例えば、推奨位置111とは異なる領域を網掛け表示にすることで、ユーザは推奨位置111をより正確に把握することができる。
【0067】
上記実施形態では、本発明の「会議端末」を実現するための構成を会議端末3が一体に備えているが、複数の機器で本発明の「会議端末」を実現するための構成を備えてもよい。例えば、ネットワーク2への接続機能を備えていない会議端末3を、ネットワーク2への接続機能を備えたPC(図示外)にUSBなどで接続する。会議端末3は、PC(図示外)を介して他の会議端末4,5と通信して、テレビ会議を実行してもよい。この場合、会議端末3およびPC(図示外)が、本発明の「会議端末」に相当する。
【0068】
上記実施形態では、あらかじめ記憶されているマイク位置調整テーブル200に基づいて推奨距離が特定されているが、推奨距離は他の手法で特定されてもよい。例えば、推奨位置の特定(S21)が実行される毎に、先述した数式等によって推奨距離を算出してもよい。また、上記実施形態では、外付マイク370の特性(指向性マイクおよび無指向性マイク)に応じた推奨距離が特定されているが、推奨距離は他の要素に基づいて特定されてもよい。例えば、外付マイク370の特性に含まれる他の要素(例えば、外付マイク370の収音性能など)に応じて推奨距離が特定されてもよいし、外付マイク370の特性以外の要素(例えば、会議端末3の設置環境など)に応じて推奨距離が特定されてもよい。さらに、エコーキャンセラ347の処理基準値は、エコーキャンセラ347のノイズ除去性能や、ノイズ除去後に要求される音質などに応じて変更可能である。
【0069】
上記実施形態では、スピーカ350は会議端末3に内蔵されているが、スピーカ350は設置位置を調整可能な外付スピーカであってもよい。上記実施形態では、推奨位置111および推奨向き112がディスプレイ319で表示されているが、推奨位置111および推奨向き112が他の手法で報知されてもよい。例えば、推奨位置111および推奨向き112に基づいて、「外付マイク370をスピーカ350から○×cm離して設置してください。外付マイク370を会議端末3の正面側に向けてください。」という音声案内を、スピーカ350から出力してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 テレビ会議システム
2 ネットワーク
3,4,5 会議端末
110 マイク調整画面
111 推奨位置
112 推奨向き
200 マイク位置調整テーブル
311 CPU
312 ROM
316 入力部
319 ディスプレイ
344 カメラ
347 エコーキャンセラ
350 スピーカ
360 内蔵マイク
370 外付マイク
371 モータ制御部
372 チルトモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続された相手側端末との間で、少なくとも音声が相互に送受信される遠隔会議を実行する遠隔会議装置であって、
前記相手側端末から受信した音声を出力可能なスピーカと、
設置位置を調整可能なマイクと、
前記スピーカから出力される音声の大きさを示す出力レベルを設定するレベル設定手段と、
前記マイクで収音される音声からエコーを除去し、且つ、少なくとも前記スピーカから発せられる音声が前記マイクで収音されるときの収音量が所定値以下である場合に、前記エコーの除去を行った後の音質を所定基準内に確保可能なエコーキャンセル手段と、
前記レベル設定手段によって設定された前記出力レベルに応じて、前記スピーカから出力される音声が前記マイクで収音されるときの前記収音量が前記所定値以下になる前記マイクの位置である推奨位置を特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段によって特定された前記推奨位置を報知する位置報知手段と
を備えたことを特徴とする遠隔会議装置。
【請求項2】
前記マイクの特性を検出する特性検出手段を備え、
前記所定値は、前記マイクの特性に応じた複数の基準値を含み、
前記位置特定手段は、前記特性検出手段によって検出された前記マイクの特性に対応する前記基準値に基づいて、前記収音量が前記基準値以下になる前記推奨位置を特定することを特徴とする請求項1に記載の遠隔会議装置。
【請求項3】
前記特性検出手段は、前記マイクの特性が指向性マイクおよび無指向性マイクのいずれであるかを検出し、
前記位置特定手段は、前記特性検出手段によって前記指向性マイクであると検出された場合、前記収音量が第一基準値以下になる前記推奨位置を特定する一方、前記特性検出手段によって前記無指向性マイクであると検出された場合、前記収音量が前記第一基準値よりも小さい第二基準値以下になる前記推奨位置を特定することを特徴とする請求項2に記載の遠隔会議装置。
【請求項4】
前記特性検出手段によって前記指向性マイクであると検出された場合、前記マイクの推奨向きを報知する方向報知手段を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の遠隔会議装置。
【請求項5】
前記スピーカの音声出力方向を撮影可能なカメラと、
前記カメラの撮影方向を調整する撮影方向調整手段を備え、
前記撮影方向調整手段は、前記遠隔会議の進行時は、所定範囲を前記カメラに撮影させる一方、前記マイクの位置調整時は、前記所定範囲よりも前記推奨位置を中心寄りに含む特定範囲を前記カメラに撮影させるように、前記撮影方向を調整し、
前記位置報知手段は、前記マイクの位置調整時に、前記カメラが前記特定範囲を撮影した画像に前記推奨位置を重ねて表示した設置用画像を、表示装置に表示させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の遠隔会議装置。
【請求項6】
前記レベル設定手段によって設定された前記出力レベルが、あらかじめ定められた閾値以上であるか否かを判断する閾値判断手段を備え、
前記位置特定手段は、前記閾値判断手段によって前記閾値以上であると判断された場合に、前記推奨位置を特定することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の遠隔会議装置。
【請求項7】
前記レベル設定手段によって前記出力レベルが変更されたか否かを判断する変更判断手段を備え、
前記位置特定手段は、前記変更判断手段によって前記出力レベルが変更されたと判断された場合に、前記推奨位置を特定することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の遠隔会議装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−205201(P2012−205201A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69822(P2011−69822)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】