説明

遠隔会議記録再生装置および遠隔会議記録再生方法

【課題】録画中に秘話機能を使用し、その録画データを他の端末に公開する際には、秘話部分の秘匿が必要である。
【解決手段】利用者操作による通常通話状態と秘話状態とを切り替える状態切替部と、音声情報、映像情報、状態の切り替え時刻及び当該切り替え時刻前後で通常通話状態か秘話状態かを表す秘話状態情報を記録ファイルとして記録する記憶部と、メモリ上に展開した各種プログラムに対応した機能を実現させるように制御する制御部と、を有し、制御部は、記録ファイルを他の端末やファイルサーバーに転送する場合、記録ファイルの秘話状態情報に基づいて、秘話状態の部分を転送有無の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔会議端末の記録再生装置およびその記録再生方法に係わり、特に、遠隔会議を録画したファイルを他の記録再生装置やパソコンから再生可能とするため、それらの端末からアクセス可能なファイルサーバーへ録画ファイルを転送する場合に、所定の条件により録画ファイルの少なくとも一部の転送処理を制御する技術に関する。
【0002】
ここでの遠隔会議とは、テレビ会議システムやテレビ電話システム、パーソナルコンピュータを用いて映像および音声を通信するシステム等、通信ネットワークや通信回線を介して端末間で行われる会議のことを言う。
【背景技術】
【0003】
一般的に、遠隔会議システムには、会議中の自映像や相手映像を録画して、後で再生できるような製品が存在する。さらに、相手側に自分側の音声が聞こえないようにする秘話機能を搭載している製品が存在する。
【0004】
また、秘話機能に関する遠隔会議システムの従来技術として、例えば特許文献1には、遠隔会議装置自体に、画像と音声の出力をミュートする制御部を設けることで、簡易で安価な秘匿あるいは秘密保持を高めるための技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−224485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の特許文献1を含めた一般的な遠隔会議システムでは、録画中に秘話機能を使用した場合、後日その録画したファイルを他の遠隔会議システムやパソコンといった端末から再生する際に、秘話機能を使用した部分のみ再生できないようにするといった制限ができないため、情報セキュリティの観点で使い勝手に欠けるところがあった。
本発明は、遠隔会議の記録中に各種の情報を付された録画ファイルを、他の端末からアクセス可能なファイルサーバーへ転送する場合に、前記付された情報に応じた条件に従い録画ファイルの転送の制御を行う遠隔会議記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遠隔会議システムにおける録画中に所定の情報を付された録画ファイルを、他の端末で再生可能なようにファイルサーバーへ転送して録画ファイルを公開する場合に、公開したくない部分を除いてファイルサーバーへ転送することができるようになり、情報セキュリティ面での使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るテレビ会議記録再生装置を用いた全体システムを示す構成図の一例である。
【図2】本実施形態に係るテレビ会議記録再生装置の内部構成とその周辺構成を示すブロック図の一例である。
【図3】図2に示す記憶部から読み出されてメモリに展開されたプログラムの具体例を示す図である。
【図4】図2に示す記憶部に記憶されている録画ファイルリストの一具体例を示す図である。
【図5】本実施形態に関するテレビ会議中に記録された映像ストリームおよび音声ストリームの再生時に行う認証処理の一具体例を示すフローチャートである。
【図6】図2に示す記憶部に記憶されている設定ファイルの一具体例を示す図である。
【図7】本実施形態に関するテレビ会議の録画ファイルをファイルサーバーへアップロードする際の処理の具体例を示すフローチャートである。
【図8】ネットワーク3から取得した予約リストの一具体例を示す図である。
【図9】本実施形態に関するテレビ会議の録画ファイルをファイルサーバーへのアップロードする際の処理の他の一具体例を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係るテレビ会議記録再生装置が適用されるテレビ会議システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、遠隔会議の一例として、テレビ等のモニターを用いるテレビ会議を例にとって説明する。
【0011】
<1.全体システム構成>
本発明の一実施形態に係るテレビ会議記録再生装置の基本的構成について、図1〜図3を用いて以下説明する。なお、以下の実施形態では、テレビ会議記録再生装置をテレビ会議端末とするものであるが、本発明はこれに限るものではなく、通信と通信内容の記録再生を行う通信端末に適用可能である。
【0012】
図1は、本実施形態に係るテレビ会議記録再生装置を用いた全体システムの一例を示す構成図である。1と2はテレビ会議記録再生装置、3はネットワーク、4はカメラ、5はモニター、6はマイク、7はスピーカー、8はリモコン、9は録画ファイルサーバー、10はパソコンである。図1において、テレビ会議記録再生装置1は、カメラ4、モニター5、マイク6、スピーカー7と接続され、映像と音声の入出力を行うことができる。なお、テレビ会議記録再生装置2はテレビ会議記録再生装置1と同様の装置および構成である。
【0013】
テレビ会議記録再生装置1は、ネットワーク3を介してテレビ会議記録再生装置2とテレビ会議を行うことができる。テレビ会議記録再生装置1の操作はリモコン8で行うことができる。ここで、テレビ会議記録再生装置1,2は音声情報を含めた映像情報を取り扱う装置であって、記録したテレビ会議内容を再生するに場合、映像情報については常時再生するが、音声情報については秘話機能をもつので常に再生するとは限らないものである。
【0014】
カメラ4は、テレビ会議記録再生装置1と接続され、撮影した映像信号をテレビ会議記録再生装置1へ出力する。モニター5は、テレビ会議記録再生装置1と接続され、テレビ会議記録再生装置1から出力された映像信号を入力し、表示する。
【0015】
マイク6は、テレビ会議記録再生装置1と接続され、集音した音声を音声信号としてテレビ会議記録再生装置1へ出力する。スピーカー7は、テレビ会議記録再生装置1と接続され、テレビ会議記録再生装置1から出力された音声信号を入力し、音声を鳴らす。また、リモコン8は、利用者によるテレビ会議記録再生装置1の操作指示を受け付け、受け付けた操作指示に対応するリモコン信号をテレビ会議記録再生装置1に送信する。
【0016】
録画ファイルサーバー9は、テレビ会議記録再生装置1および2から送信されたテレビ会議の録画ファイルを保存し、保存した録画ファイルをテレビ会議記録再生装置1、2およびパソコン10に公開し、それら端末からの送信要求に応じて送信する。
【0017】
パソコン10は、録画ファイルサーバー9に保存されたテレビ会議の録画ファイルを受信し、再生し、ユーザによる視聴に供する。
【0018】
<2.テレビ会議記録再生装置のハードウェア構成>
図2は、図1に示すテレビ会議記録再生システムでのテレビ会議記録再生装置1の内部構成の具体例を示すブロック構成図である。本実施の形態におけるテレビ会議記録再生装置1は、制御部101、メモリ102、映像エンコーダ103−1、音声エンコーダ103−2、映像デコーダ104−1、音声デコーダ104−2、ストリーム処理部105、記憶部106、映像処理部107−1,107−2、音声処理部108−1,108−2、リモコン処理部109、ネットワーク接続部110、バス111、映像入力端子112、映像出力端子113、音声入力端子114、音声出力端子115、リモコン入力端子116、ネットワーク接続端子117を備える。
【0019】
制御部101は、バス111を介してテレビ会議記録再生装置1の各部に接続され、後述するように記憶部106に格納されたプログラムをメモリ102に展開し、展開したプログラム(後述する図3のソフトウェアを参照)を実行し、上記各部を制御することで各種プログラムに応じた機能を実現する。また、制御部101は、リモコン処理部109から入力した操作情報に応じてプログラムを制御する。以下の説明において、説明の便宜上、制御部101が実行するプログラムの処理について、記憶部106に格納された各プログラムを動作の主体として説明する場合がある。
【0020】
映像エンコーダ103−1は、映像処理部107−2からの映像信号を入力し、入力した信号情報を圧縮し、映像データとしてストリーム処理部105に出力する。音声エンコーダ103−2は、音声処理部108−2からの音声信号を入力し、入力した信号情報を圧縮し、そ音声データとしてストリーム処理部105に出力する。映像デコーダ104−1は、ストリーム処理部105から出力された圧縮されている映像データを入力し、圧縮されている状態から映像信号に伸張展開する。音声デコーダ104−2は、ストリーム処理部105から出力された圧縮されている音声データを入力し、圧縮されている状態から音声信号に伸張展開する。
【0021】
ストリーム処理部105は、エンコーダ103−1、103−2から入力した映像データおよび音声データを、他のテレビ会議記録再生装置に送信するための形式である映像ストリームおよび音声ストリームに変更したり、他のテレビ会議記録再生装置から受信した映像ストリームおよび音声ストリームを、デコーダ104−1、104−2で処理するための形式である映像データおよび音声データに変更するためのものである。映像ストリームおよび音声ストリームは、映像データおよび音声データに、ストリーム処理部105が生成した時間情報や映像および音声のフォーマット情報などのストリーム情報を付加したものである。
【0022】
また、ストリーム処理部105は、テレビ会議を録画する際に、エンコーダ103−1、103−2から入力した映像データおよび音声データと、ネットワーク接続部110から入力した他のテレビ会議記録再生装置の映像ストリームおよび音声ストリームとを、録画ファイルとして記憶部106に出力する。テレビ会議の録画ファイルを再生する際は、記憶部106からテレビ会議の録画ファイルを入力し、デコーダ104−1、104−2へ映像データおよび音声データとして出力する。
【0023】
記憶部106は、制御部101が実行するためのプログラムや、ストリーム処理部105から出力された録画ファイルをデジタルデータとして格納するためのものである。
【0024】
映像処理部107−1は、映像出力端子113を制御し、映像デコーダ104−1から入力した映像信号を映像出力端子113へ出力する。映像処理部107−2は、映像入力端子112を制御し、映像入力端子112から入力した映像信号を映像エンコーダ103−1に出力する。音声処理部108−1は、音声出力端子115を制御し、音声デコーダ104−2から入力した音声信号を音声出力端子115へ出力する。音声処理部108−2は、音声入力端子114を制御し、音声入力端子114から入力した音声信号を音声エンコーダ103−2に出力する。
【0025】
リモコン処理部109は、ユーザにより操作されるリモコン8により出力されたリモコン信号をリモコン入力端子116から入力し、入力したリモコン信号を、制御部101に操作情報として出力する。
【0026】
ネットワーク接続部110は、ネットワーク接続端子117を介して、ネットワーク3を介して接続された他のテレビ会議記録再生装置とテレビ会議を行うために必要な映像ストリームおよび音声ストリームや、接続情報の送受信を行う。また、録画ファイルサーバー9と録画ファイルの送受信を行う。
【0027】
映像入力端子112は、カメラ4と接続し、カメラ4から入力した映像信号を映像処理部107へ出力する。映像出力端子113は、モニター5と接続し、映像処理部107から入力した映像信号をモニター5へ出力する。
【0028】
音声入力端子114は、マイク6と接続し、マイク6から入力した音声信号を音声処理部108へ出力する。音声出力端子115は、スピーカー7と接続し、音声処理部108から入力した音声信号をスピーカー7へ出力する。
【0029】
<3.テレビ会議記録再生装置のソフトウェア構成>
図3は、図2におけるテレビ会議記録再生装置1で記憶部106から読み出されてメモリ102に展開されたプログラムの具体例を示す図であって、301は通信制御部、302は映像処理制御部、303は音声処理制御部、304はストリーム処理制御部、305はGUI(Graphical User Interface)部、306は録画部、307は再生部、308は認証部、309は秘話情報管理部である。
【0030】
通信制御部301は、テレビ会議を行う際に、テレビ会議記録再生装置1のネットワーク接続部110などの各部を制御し、ネットワーク3を介して接続された他のテレビ会議記録再生装置との接続処理や、映像ストリームおよび音声ストリームの送受信を行うためのプログラムである。
【0031】
映像処理制御部302は、テレビ会議を行う際に、映像処理部107−1、107−2などの各部を制御し、テレビ会議記録再生装置1と接続されたカメラ4から映像信号を入力したり、テレビ会議記録再生装置1と接続されたモニター5に映像を出力したりするためのプログラムである。音声処理制御部303は、テレビ会議を行う際に、音声処理部108などの各部を制御し、テレビ会議記録再生装置1と接続されたマイク6から音声信号を入力したり、テレビ会議記録再生装置1と接続されたスピーカー7に音声を出力したりするためのプログラムである。
【0032】
ストリーム処理制御部304は、テレビ会議を行う際に、エンコーダ103−1、103−2、デコーダ104−1、104−2およびストリーム処理部105の各部を制御して、カメラ4から入力した映像信号とマイク6から入力した音声信号とその他の付加情報から映像ストリームおよび音声ストリームを生成したり、ネットワーク3を介して接続された他のテレビ会議記録再生装置から受信した映像ストリームおよび音声ストリームや、記憶部106に格納されている録画ファイルを、映像信号と音声信号に復号するためのプログラムである。
【0033】
GUI部305は、テレビ会議記録再生装置1に接続されたモニター5へ、利用者に認証処理画面などのアプリケーション画面の映像信号を出力したり、リモコン8の操作によりアプリケーションの制御を行ったりするためのプログラムである。
【0034】
録画部306は、テレビ会議の会議内容を録画するためのプログラムである。録画部306は、ストリーム処理制御部304を制御し、テレビ会議記録再生装置1に接続されたカメラ4が撮影した映像およびマイク6が集音した音声や、ネットワーク3を介して接続された他のテレビ会議記録再生装置から受信した映像ストリームおよび音声ストリームを、録画ファイルとして記憶部106に格納することができる。
【0035】
再生部307は、記憶部106に格納された録画ファイルを再生して、テレビ会議記録再生装置1に接続されたモニター5へ再生した映像信号を出力したり、テレビ会議記録再生装置1に接続されたスピーカー7へ音声信号を出力するためのプログラムである。
【0036】
認証部308は、記憶部106に格納された録画ファイルの再生を行う際に、パスワードの入力などを利用者に要求し、認証を行うことで、再生可否を決定するためのプログラムである。
【0037】
秘話情報管理部309は、テレビ会議時に、ネットワーク3を介して接続された他のテレビ会議記録再生装置に自分側の音声が聞こえないようにする秘話状態で録画を行う場合に、秘話状態を開始した時間情報などの秘話情報を管理するためのプログラムである。秘話情報は記憶部106に格納される。または、ストリーム処理制御部304へ秘話情報を出力し、ストリーム処理制御部304が音声ストリームに秘話情報を付加情報として付与する方法をとっても良い。
【0038】
ここで、秘話状態とは、テレビ会議の相手に自分側の音声を聞こえないようにした状態である。相手側に聞かれては困る内容を自分側の出席者間で会話するための機能である。秘話状態に対して、相手に自分側の音声が聞こえる状態を通常通話状態とする。テレビ会議記録再生装置1はリモコン8の操作により(例えば、リモコン8に通常通話ボタンと秘話ボタンを設けていずれかのボタンを操作して)、通常通話状態と秘話状態の切り替えを行うことができる。
【0039】
秘話状態では、会議相手のテレビ会議記録再生装置へ、自分側の音声の聞こえない形式の音声ストリームが送信される。この形式の音声ストリームは次のように生成される。秘話状態では、ストリーム処理制御部304が、音声エンコーダ103−2から出力された音声データを記憶部106に格納されている暗号鍵で暗号化し、秘話状態であることを示す秘話フラグを付与した秘話音声ストリームとして出力する。暗号鍵は、テレビ会議記録再生装置1固有のものである。または、録画するごとに認証部308が固有の暗号鍵を生成しても良い。
【0040】
秘話音声ストリームは、暗号化された音声データを復号するための暗号鍵がない場合、再生をすることができない。会議相手となる他のテレビ会議記録再生装置は、この暗号鍵を持たないため、秘話音声ストリームを再生できない。ここでは、相手側に送信する音声ストリームは、音声データを暗号化する方法を採っているが、単にストリーム処理制御部304で、無音の音声データを音声ストリームとして送信する方法を採るなど、自分側の音声が相手に聞こえない方法であれば、どのような音声ストリームの送信方法を採っても構わない。
【0041】
<4.テレビ会議の記録方法>
次に、テレビ会議記録再生装置1でのテレビ会議の記録方法について説明する。テレビ会議記録再生装置1は、利用者によりリモコン8に入力された操作指示に基づくリモコン信号をリモコン入力端子116から受信し録画を受け付けると、GUI部305が、録画部306に対して録画開始を指示する。録画部306はストリーム処理部105から出力された、映像ストリームおよび音声ストリームを記憶部106に録画ファイルとして格納する。また、録画ファイルに関連する情報を次に説明する録画ファイルリストに記録する。
【0042】
図4は、テレビ会議記録再生装置1の記憶部106に格納された録画ファイルリストの一具体例を示す図であって、400は録画ファイルリスト、401はタイトル名、402は参加端末ID、403はパスワード、404は秘話部分のパスワード、405は時間情報、406は秘話情報、407はバイト位置である。
【0043】
同図において、録画ファイルリスト400は、テレビ会議記録再生装置1の記憶部106に格納された録画ファイルに関連する情報を記録したものである。タイトル401は録画ファイルのタイトル名、参加端末ID402は録画時のテレビ会議に参加していたテレビ会議記録装置の端末ID、パスワード403は録画ファイルを再生する際の認証に用いるパスワード、秘話部分のパスワード404は録画ファイルに含まれる秘話部分を再生する際の認証に用いるパスワード、時間情報405は一つのテレビ会議の録画中における通常通話状態時と秘話状態時とに区分けされた時間経過を表す情報、秘話情報406は時間情報405の示す当該時間経過における通常通話と秘話の区別を表す情報、バイト位置407は時間情報405の示す時間範囲のうち終端部分が録画ファイルのどの位置にあたるかをバイト単位で示す情報である。
【0044】
タイトル401、パスワード403および秘話部分のパスワード404はテレビ会議の録画終了時に利用者がリモコン8を用いて入力する情報である。参加端末ID402は、テレビ会議に参加したテレビ会議記録再生装置固有の識別子である。識別子は記録部106に格納されており、テレビ会議を開始する際には発信側は会議の相手先の識別子を指定し、着信側は発信側の識別子を受信する。この識別子を、制御部101が録画開始時に参加端末ID402へ記録する。時間情報405、秘話情報406およびバイト位置407は秘話状態と通常通話状態を録画中に切り替えた際に記録される情報である。
【0045】
次に、テレビ会議の記録時に通常通話状態と秘話状態を切り替えた場合の記録方法について説明する。利用者がリモコン8をボタン操作することで、テレビ会議の記録中に通常通話状態から秘話状態にすると、ストリーム処理部105は、暗号化して秘話フラグを付与した秘話音声ストリームを出力する。なお、通常通話状態と秘話状態の切り替え操作部は、リモコン8に限らず、テレビ会議記録再生装置1に設けたボタンを操作することで行うことでも良い。
【0046】
録画部306は、通常通話状態の音声ストリームと同様に秘話音声ストリームを録画ファイルとして記憶部106に格納する。同様に、利用者がリモコン8を操作することで、録画中に秘話状態から通常通話状態にすると、ストリーム処理部105は、暗号化を行わず秘話フラグも付与しない通常の音声ストリームを出力し、録画部306はこの音声ストリームを録画ファイルとして記憶部106に格納する。
【0047】
また、秘話情報管理部309は、録画中の通常通話状態と秘話状態の切り替え時刻と、切り替え時刻以降の状態(通常通話状態または秘話状態)を示す情報と、切り替え時刻に対応する録画ファイルのバイト位置を、記憶部106に格納している録画ファイルリスト400の時間情報405、秘話情報406、バイト位置407にそれぞれ記録する。
【0048】
<5.秘話音声ストリームの再生処理>
次に、秘話状態にした区間が含まれる秘話音声ストリームを再生する場合の方法について説明する。利用者によりリモコン8に入力された操作指示に対応するリモコン信号をリモコン入力端子116が受信して、テレビ会議記録再生装置1が、記憶部106に格納された録画ファイルの再生指示を受け付けると、GUI部305が、再生部307に対して再生開始を指示する。再生部307は、記憶部106に格納された録画ファイルを読み出す。再生部307は、ストリーム処理制御部304に対して、読み出した録画ファイルに含まれる映像ストリームおよび音声ストリームのデコード処理を指示する。
【0049】
ストリーム処理制御部304は、音声ストリームに秘話状態の区間が含まれているかの判定を行う。判定は、音声ストリームに付与されている秘話フラグの検出により行われる。一例として、秘話フラグは音声ストリームのパケット毎にそのヘッダに付与しても良い。また、別の判定方法として、再生部307により制御された秘話情報管理部309が、記憶部106に格納されている録画ファイルリスト400を読み出し、時間情報405と秘話情報406に記述された情報により判別する方法を採っても良い。
【0050】
ストリーム処理制御部304は、音声ストリームに秘話状態の区間が含まれていると判別すると、GUI部305により、認証を行うための認証画面をモニター5に表示させる。認証画面は、利用者に対して、パスワードの入力を行わせるためのもので、あらかじめ設定されている正しいパスワードを入力しない限り、秘話音声ストリームを再生しないようにする。これにより、正しいパスワードを知らない不正な利用者に、秘話状態の際の会話内容を知られることを防ぐことができる。
【0051】
秘話状態の音声ストリームの再生を行うために必要なパスワードは、テレビ会議記録再生装置1でテレビ会議の記録を行う場合に、GUI部305がパスワード入力画面を表示し、利用者が入力したパスワードを記憶部106に格納している録画ファイルリスト400の秘話部分のパスワード404として記録したものである。または、テレビ会議記録再生装置1が初めて利用に供される場合に、GUI部305がパスワード入力画面を表示し、利用者から入力を受け付けたパスワードを記憶部106に格納し、以降はそのパスワードを継続して認証に使用する方法を採っても良い。
なお、図3に示す各部301〜309は、図2に示すメモリ102に展開されたプログラム(ソフトウェア)であるとして説明したが、プログラムに限らず、ハードウェア(例.ICチップから構成されるもの)で同様な機能を実現させるようにしても良い。
【0052】
図5は、本実施形態に関する認証部308で行う認証処理の具体例を示すフローチャートである。まず、再生部307が、音声ストリームに秘話状態の区間が含まれていると判別すると、GUI部305を制御して、秘話状態の区間の音声ストリームの再生を行うための認証画面を表示する(S501)。認証画面にはパスワードの入力欄が表示され、利用者によるリモコン8の操作によりパスワードの入力を受け付ける。パスワードが入力されると、次の処理に移行する。
【0053】
認証部308は、入力されたパスワードと記憶部106に格納された録画ファイルリスト400のパスワード403とを照合することで認証の成否を判定する(S502)。認証に成功する(S502のY)と、認証部308は再生部307に認証に成功したことを通知し、再生部307は記憶部106に格納された暗号鍵を用いて、暗号化された音声ストリームを復号し、復号された音声ストリームをデコードして、秘話部分の音声信号を出力する(S503)。認証に失敗する(S502のN)と、認証部308は再生部307に認証に失敗したことを通知し、再生部307は秘話状態の区間の音声ストリームをデコードせず、音声処理部108を制御して無音の音声信号を出力する(S504)。
【0054】
最後に、再生部307はGUI部305を制御して秘話状態の区間で、再生画面上に秘話状態であることがわかるような「秘話のアイコン」を画面に表示する(S505)。
【0055】
<6.録画ファイルを他の端末で再生する場合の処理>
次に、テレビ会議記録再生装置1が録画した録画ファイルを他の端末(テレビ会議記録再生装置2およびパソコン10)で再生する場合の処理方法について説明する。
【0056】
テレビ会議記録再生装置1が録画した録画ファイルは、録画ファイルサーバー9へアップロードされることで、他の端末からアクセス可能な状態として、公開することができる。他の端末は、録画ファイルサーバー9から録画ファイルを取得して再生する。そこで、以下、録画ファイルのアップロードと、アップロードされた録画ファイルの再生に分けて説明する。
【0057】
<6.1 録画ファイルのアップロード>
録画ファイルのアップロードは、テレビ会議記録再生装置1において録画を停止させた時点で処理を開始する。
【0058】
録画ファイルサーバー9へのアップロード処理について、図6および図7を用いて説明する。
図6は、テレビ会議記録再生装置1の記憶部106に格納されたアップロードに関する設定ファイル600の一具体例を示す図である。設定ファイル600は、設定項目601および設定値602を対応付けて格納する。
【0059】
設定項目601は、テレビ会議記録装置の動作設定項目を示す情報である。設定値602は、設定項目601の動作設定項目に対応する設定値を示す情報である。設定項目601および設定値602には、複数の設定項目および設定値がある。以下、各設定項目について説明する。
【0060】
設定項目601の「録画ファイルのアップロード」は、テレビ会議記録再生装置1で録画した録画ファイルを録画ファイルサーバーにアップロードするかどうかを設定するための項目である。設定値602は、「YES」、「NO」、「毎回確認する」のいずれかである。
【0061】
設定項目601の「秘話フラグつきの録画ファイルのアップロード」は、テレビ会議記録再生装置1の記憶部106に格納された秘話部分が含まれる録画ファイルをアップロードするかどうかを設定するための項目である。設定値602は、「YES」、「NO」、「毎回確認する」のいずれかである。
【0062】
設定項目601の「秘話部分のアップロード」は、テレビ会議記録再生装置1の記憶部106に格納された秘話部分が含まれる録画ファイルのうち秘話部分をアップロードするかどうかを設定するための項目である。設定値602は、「YES」、「NO」、「毎回確認する」のいずれかである。
【0063】
設定項目601の「録画ファイル単位のパスワード設定」は、録画ファイルサーバーの公開する録画ファイルをテレビ会議記録再生装置1,2またはパソコン10で再生する際の認証手段としてパスワードを使用するかどうかを設定するための項目である。設定値602は、「入力済みパスワードを使用」、「新規に入力」、「しない」、「毎回確認する」のいずれかである。設定値602が「入力済みパスワードを使用」の場合は、録画ファイルリスト400に記録されたパスワードを使用する。
【0064】
図7は、本実施形態に関する録画ファイルのアップロードに関連する一連の処理の具体例を示すフローチャートである。まず、テレビ会議記録再生装置1で録画ファイルをアップロードするための処理を開始すると、ストリーム処理制御部304は、アップロード対象の録画ファイルに対応する録画ファイルリスト400の秘話情報406に「YES」の部分があるかどうかを判定する(S701)。秘話情報406に「YES」の部分がある場合、ストリーム処理制御部304は、秘話状態の部分を含む録画ファイルをアップロードするかどうかを判定する(S702)。S702では、設定ファイル600の設定項目「秘話フラグつきの録画ファイルのアップロード」の設定値に従って「Y]か「N」かが判定される。S702の判定結果は、設定値が「YES」の場合の判定は「Y」であり、設定値が「NO」の場合の判定は「N」である。設定値が「毎回確認する」の場合、GUI部305は、利用者に録画ファイルをアップロードするかどうか確認する。確認においては、GUI部305がモニター5に「秘話部分を含んでいますがアップロードしますか?YES/NO」といった確認画面を表示させ、利用者から「YES」または「NO」の入力を受け付け、ストリーム処理制御部304が、選択結果に従ってS702の判定を行う。選択結果が「YES」の場合、処理はS707へ進み、選択結果が「NO」の場合は処理を終了する。
【0065】
S701の判定が「N」の場合、ストリーム処理制御部304は、録画ファイルをアップロードするかどうかの判定を行う(S703)。S703では、設定ファイル600の設定項目「録画ファイルのアップロード」の設定値に従って「Y]か「N」かが判定される。判定処理の内容は、モニター5に表示する確認画面の文章を除きS702と同じであり、確認画面の文章以外は説明を省略する。S703では、GUI部305は、確認画面の文章として「録画ファイルのアップロードをしますか?YES/NO」をモニター5に表示させる。S703の判定が「Y」の場合、処理はS707へ進み、判定が「N」の場合は処理を終了する。
【0066】
S707で、ストリーム処理制御部304は、録画ファイルにパスワード設定するかどうかを判定する。判定は、設定ファイル600の設定項目「録画ファイル単位のパスワード設定」の設定値に従って行われる。判定処理の内容は、モニター5に表示されるパスワード入力画面の文章を除きS702と同じであるため、当該文章以外は説明を省略する。S707で、GUI部305は、当該文章として「録画ファイルにパスワードを設定しますか?YES/NO」をモニター5に表示させる。S707の判定が「Y」の場合、処理はS708へ進み、判定が「N」の場合はS709の処理へ進む。
【0067】
S707の判定が「Y」の場合、ストリーム処理制御部304は、録画ファイルのパスワード設定を行う(S708)。パスワード設定に使用するパスワードは、設定ファイル600の設定項目「録画ファイル単位のパスワード設定」により決定される。設定値が「入力済みパスワードを使用」の場合は、設定ファイル600に記録されているパスワードが使用される。設定値が「新規に入力」または「毎回確認する」の場合は、GUI部305がモニター5にパスワードの文字列を入力を促すパスワード入力画面を表示させ、利用者によるリモコン8の操作で入力されたパスワードに対応したリモコン信号をリモコン入力端子116が受信し、そのリモコン信号により伝送されたパスワードを使用する。
【0068】
使用するパスワードが決定されると、ストリーム処理制御部304は、当該パスワードを録画ファイルリスト400の秘話部分のパスワード404に記録する。
【0069】
次に、ストリーム処理制御部304は、アップロードする録画ファイルに含まれる秘話の部分をアップロードするか秘話の部分を除いてアップロードするかの判定を行う(S709)。S709では、設定ファイル600の設定項目「秘話部分のアップロード」の設定値に従って「Y]か「N」かが判定される。判定処理の内容は、モニター5に表示する確認画面の文章を除きS702と同じであるため、確認画面の文章以外は説明を省略する。S709で、GUI部305は、確認画面の文章として「秘話部分のアップロードをしますか?YES/NO」をモニター5に表示させる。S709の判定が「Y」の場合はS710の処理へ進み、判定が「N」の場合はS711の処理へ進む。
【0070】
S710では、ストリーム処理制御部304は、録画ファイルのアップロード処理を行う。テレビ会議記録再生装置1の記憶部106に格納された録画ファイルを、ネットワーク接続部110およびネットワーク接続端子117を介して、録画ファイルサーバー9へ転送する。また、あわせて、ストリーム処理制御部304は、秘話部分の暗号化に用いた暗号鍵も録画ファイルサーバー9へ転送する。
【0071】
S711では、S710と同様に録画ファイルのアップロード処理が行われるが、録画ファイルの通常通話部分のみが録画ファイルサーバー9へ転送される。転送する部分は、録画ファイルリスト400の秘話情報406が「No」の部分であり、ストリーム処理制御部304が、バイト位置407の情報を用いて該当部分の範囲を選択する。一例として、録画ファイルリスト400のNo.1の録画ファイルを転送する場合は、次の部分のみ転送する。録画ファイルの先頭から1034240バイト目の範囲、1259521バイト目から2078720バイト目の範囲および2560001バイト目から2867200バイト目の範囲である。
【0072】
録画ファイルのアップロードが完了すると、S710およびS711で、ストリーム処理制御部304は、アップロードした録画ファイルに対応する録画ファイルリスト400の情報を、ネットワーク接続部110およびネットワーク接続端子117を介して、録画ファイルサーバー−9に送信する。
【0073】
録画ファイルサーバー9は、アップロードされた録画ファイルを管理するためのリストとして、録画ファイルリスト400と同じ構成の公開ファイルリストを持つ。テレビ会議記録再生装置1から送信された録画ファイルリスト400の情報は、録画ファイルサーバー9が公開ファイルリストに追記する。
【0074】
<6.2 アップロードされた録画ファイルの再生>
次に、録画ファイルサーバー9にアップロードされた録画ファイルをテレビ会議記録再生装置2やパソコン10により再生する方法について説明する。
【0075】
一例として、テレビ会議記録再生装置1がアップロードした録画ファイルを、テレビ会議記録再生装置2で再生する場合について説明する。
【0076】
まず、テレビ会議記録再生装置2は、録画ファイルサーバー9に接続し、GUI部305が録画ファイルサーバー9の公開ファイルリストに含まれるタイトルの情報を取得する。
【0077】
GUI部305は、取得したタイトルの情報を用いて、利用者が視聴したいタイトルを選択するための画面をモニター5に表示させる。ここでのタイトルとは、録画ファイルまたは録画ファイル群を代表する名称を言う。ひとつの会議に対して共通のタイトルを付した複数の録画ファイル群が生成される場合がある。
【0078】
GUI部305が、タイトルを選択するための画面をモニター5に表示させる場合、タイトルとあわせて参加端末ID402を取得し、テレビ会議記録再生装置1の参加端末IDが含まれるタイトルのみ表示するようにしてもよい。これにより、録画ファイルサーバー9に大量の録画ファイルが存在する場合でも、所望のタイトルを見つけ出しやすくなる。
【0079】
利用者によるリモコン8の操作により再生したいタイトルの選択を受け付けると、GUI部305は録画ファイルサーバー9に対して、選択したタイトルに対応する録画ファイルの取得要求を行う。
【0080】
録画ファイルサーバー9は、公開ファイルリストの情報を確認し、取得要求を受けたタイトルに対応する録画ファイルにパスワード403が設定されている場合は、テレビ会議記録再生装置2に対して、認証の要求を行う。
【0081】
テレビ会議記録再生装置1のGUI部305は、録画ファイルサーバー9からの認証要求を受けると、モニター5にパスワード入力画面を表示させ、利用者にパスワード入力を促す。利用者からのパスワード入力を受け付けると、ストリーム処理制御部304は、そのパスワードを録画ファイルサーバー9に送信する。録画ファイルサーバー9は、受信したパスワードが認証要求をおこなったタイトルのパスワードと一致し、認証に成功した場合のみ、そのタイトルに対応する録画ファイルおよび公開ファイルリストの情報をテレビ会議記録装置2に送信する。また、この録画ファイルに秘話部分が含まれている場合は、録画ファイルサーバー9は、あわせて対応する暗号鍵をテレビ会議記録再生装置2に送信する。
【0082】
テレビ会議記録再生装置2で、録画ファイル、公開ファイルリストの情報、暗号鍵を取得後の再生処理は、テレビ会議記録再生装置1の記憶部106に格納されている録画ファイルを再生する方法と同様であるため説明を省略する。
【0083】
パソコン10で録画ファイルを再生する場合は、図3で示したようなプログラム(ソフトウェア)をパソコン上で動作させれば良い。パソコン10では、録画を行う必要がないため、再生に関するプログラムが実行できれば良い。
【0084】
以上で、テレビ会議記録再生装置1で録画したファイルを他のテレビ記録再生装置およびパソコンで再生することができ、録画ファイルの再生の利便性が向上する。
【0085】
<7.録画ファイルのアップロード中にテレビ会議機能を使用する場合の処理>
次に録画ファイルのアップロード中にテレビ会議機能を使用する場合のアップロード処理方法について説明する。
【0086】
録画ファイルのアップロード中にはファイルの転送のためにネットワークの帯域を使用するため、テレビ会議で使用する帯域が制限されることになり、テレビ会議の映像および音声ストリームの送受信パケットが欠落するなどの影響が出る可能性がある。
【0087】
これを解決するため、録画ファイルのアップロードとテレビ会議の使用が重複する場合は、アップロードの処理を一時停止し、テレビ会議のネットワーク帯域を優先して確保できるようにする。
【0088】
この場合のアップロード処理方法について、図8と図9を用いて説明する。
【0089】
図8は、テレビ会議記録再生装置1の予約リストの一具体例を示す図である。予約リストには、テレビ会議記録再生装置1の使用予定日時が記述されている。
【0090】
予約リストは、テレビ会議記録再生装置の予約管理を行うサーバーが管理しているものであり、このサーバーは図示しないが、ネットワーク3上に存在し、テレビ会議記録再生装置1から接続可能とする。テレビ会議記録再生装置1は、この予約管理を行うサーバーから予約リストを取得することができる。
【0091】
図9は、本実施形態に関するテレビ会議の使用状況に応じた録画ファイルのアップロードに関連する一連の処理の具体例を示すフローチャートである。本フローチャートは、図7のS710およびS711における録画ファイルサーバーへの録画ファイルの転送処理に該当するものである。
【0092】
まず、テレビ会議記録再生装置1の処理が、S710またはS711のステップに進むと、ストリーム処理制御部304は、予約管理を行うサーバーから予約リストを取得する(S901)。次に、ストリーム処理制御部304は、アップロードの所要時間を算出する(S902)。アップロードの所要時間の算出は次のように行われる。テレビ会議記録再生装置1は、録画ファイルサーバー9との間で速度測定のためのデータの送受信を行い、単位時間当たりの通信速度を測定する。ストリーム処理制御部304は、録画ファイルのサイズを単位時間当たりの通信速度で割ることで、録画ファイルのアップロードにかかる所要時間を求める。
【0093】
次に、ストリーム処理制御部304は、現在時刻からS902で求めたアップロード所要時間が経過するまでのあいだに、予約リストで予約されている会議が重複しないか判定する。重複する場合、処理はS904の処理へ進み、重複しない場合は現在時刻にアップロード所要時間を加算したものをアップロード完了予想時刻として、S905へ進む。
【0094】
S904では、ストリーム処理制御部304は、予約リストに記述されている予約時刻の範囲と重複しない時刻にアップロード処理を行った場合に、アップロードが完了する予想時刻を算出する。算出方法の一例として、現在時刻が20:00、アップロード所要時間が10分、予約時刻が20:00−21:00の場合は、予約時刻の終了時刻である21:00にアップロード所要時間を加算した21:10が算出結果となり、これがアップロード完了予想時刻となる。
【0095】
S905では、GUI部305は、算出されたアップロード完了予想時刻をモニター5に表示させる。
【0096】
次に、ストリーム処理制御部304は、録画ファイルのアップロードを開始する(S906)。アップロードの開始後、ストリーム処理制御部304は、アップロードが完了するまでの間、S907からS912の処理を実行する。
【0097】
S907およびS912アップロードが完了するまで継続して行う処理のループ端を示す。アップロードが完了するとS907からS912の処理は終了する。
【0098】
アップロード中に、テレビ会議機能の使用が開始されると、処理はS909へ進む(S908)。
【0099】
S909では、ストリーム処理制御部304は、アップロードで使用している通信帯域幅を制限する必要があるかどうかの判定をおこなう。判定は、テレビ会議の通信において、送受信している映像および音声ストリームのパケットの欠落などのエラーが発生していないかどうかで行われる。発生している場合は、判定結果が「Y」となる。判定結果が「Y」の場合、処理はS910へ進み、判定結果が「N」の場合はS911へ進む。
【0100】
S910では、ストリーム処理制御部304は、アップロード処理を一時停止する。S911では、ストリーム処理制御部304は、アップロードを継続する。アップロードが一時停止中であった場合、ストリーム処理制御部304は、アップロード処理を再開する。
【0101】
以上により、テレビ会議のための通信を阻害することなく、録画ファイルのアップロードを行うことができる。
【0102】
次に、本実施形態に係るテレビ会議記録再生装置が適用されるテレビ会議システムの構成例とその動作について、図10を参照しながら以下説明する。図10のテレビ会議システムは、図1に示すシステムのようなテレビ会議記録再生装置1とテレビ会議記録再生装置2の対からなるものとは異なり、複数のテレビ会議記録再生装置1〜nがネットワーク3で接続される構成である。
そして、テレビ会議のやり方として、テレビ会議記録再生装置1が主体となって他のテレビ会議記録再生装置2〜nのいずれかとテレビ会議を行うスタイルであってもよく(図1に示すテレビ会議記録再生装置1が会議の参加対象者としてテレビ会議記録再生装置2以外にも拡張したやり方)、その際の録画時に、テレビ会議記録再生装置1の内部同士の会話を秘話にする操作状態に応じて録画ファイルのアップロード時の制御を行うことは、図7、図9と同様の技術思想の範囲内のことである。
【0103】
なお、1つのテレビ会議記録再生装置が主体となる本構成例のような一地点による集中管理テレビ会議システムとは異なる構成も可能である。例えば、複数の多地点接続装置(MCU、Multipoint Control Unit)と呼ばれる、図示しない装置がネットワーク3に接続される構成において、各テレビ会議記録再生装置1〜nは、それぞれMCUにネットワーク3を介して接続し、MCUを介してテレビ会議の映像および音声を相互に通信する、MCUによる集中管理テレビ会議システムも可能である。この場合は、MCUの備える記憶部が各種プログラム、録画ファイル、および録画ファイルリストを格納しても良い。また、MCUが録画ファイルサーバーの機能を持つ形態でもよい。また別の構成例として、各テレビ会議記録再生装置の各々が対称な機能を持ち、それぞれが主体となる、多地点による分散処理テレビ会議システムも可能である。その場合は、各テレビ会議記録再生装置が、録画ファイル、および録画ファイルリストを格納する。
【0104】
また、図10に示す複数の装置1〜nは、そのいずれもが同時に会議の内容を視聴できることが前提であり、その際に装置1と装置2との間のテレビ会議の内容は、他の装置3〜nには秘話にしたい事情が生じる場合があり、装置1と装置2との間で特定の暗号鍵を規定しておいて、秘話状態で装置1,2間で会議をすることも(秘話状態の間において他の装置3〜nは装置1,2間の会議音声を聴取できない状態)、本発明の技術思想の範囲内である。つまり、1つの秘話に参加するテレビ会議記録再生装置の、異なる組合せごとに、暗号鍵を用意して、秘話とされる音声ストリームの視聴、記録、および再生において音声ストリームの暗号化および復号に利用できる。MCUによる集中管理テレビ会議システムにおいて、暗号鍵を作成するのは、MCUであり、多地点による分散処理テレビ会議システムにおいては、各テレビ会議記録再生装置の認証部308である。
【0105】
すなわち、複数の装置1〜nの内の特定の装置c,d同士の内部会話を装置c,dを除いた他の装置に対して秘話にすることは、図1に示す装置1内の内部同士の会話を装置2に対して秘話にするということと、同様な技術思想を備えているのである。複数の装置1〜nの内の特定の装置c,d同士の秘話は、暗号鍵の互いの交換などで秘話を解除することができる。
【0106】
上記実施の形態によれば、録画中に秘話機能を使用した録画ファイルを、他の端末で再生可能なようにファイルサーバーへ転送して録画ファイルを公開する場合に、秘話機能を使用した部分を公開したくない場合、録画時に秘話機能の使用有無を記録した秘話情報に基づいて公開したくない部分を除いてファイルサーバーへ転送することができるようになり、情報セキュリティ面での使い勝手が向上する。
【0107】
なお、本実施例では、テレビ会議の録画中に秘話状態であることを示す秘話フラグを所定の録画区間に対応付けて録画ファイルに付して秘話状態を示し、設定ファイル600で設定したアップロードの条件と前記付された秘話フラグとに応じて、録画ファイルのアップロードの方法を変化させたが、秘話状態と異なる状態を示す他のフラグを用いても良い。そのような他のフラグとして、例えば、記録された音声ファイルの利用を不許可とすることを示す情報や、記録された映像ファイルの利用を不許可とすることを示すフラグが考えられる。これらのフラグを用いた場合にも、設定ファイルでフラグに応じた処理を設定することにより、録画ファイルのアップロードを制限することができる。
【0108】
また、本実施例はテレビ会議システムに用いるものとして説明したが、必ずしもこれに限るものではなく、家庭用のテレビ電話や、パーソナルコンピュータを用いて映像および音声を通信するシステム等、通信ネットワークや通信回線を介して端末間で行われるその他の遠隔会議システムにも適用可能である。
【0109】
また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0110】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0111】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1,2 テレビ会議記録再生装置
3 ネットワーク
4 カメラ
5 モニター
6 マイク
7 スピーカー
8 リモコン
9 録画ファイルサーバー
10 パソコン
101 制御部
102 メモリ
103 エンコーダ
104 デコーダ
105 ストリーム処理部
106 記憶部
107 映像処理部
108 音声処理部
109 リモコン処理部
110 ネットワーク接続部
112 映像入力端子
113 映像出力端子
114 音声入力端子
115 音声出力端子
116 リモコン入力端子
117 ネットワーク接続端子
301 通信制御部
302 映像処理制御部
303 音声処理制御部
304 ストリーム処理制御部
305 GUI部
306 録画部
307 再生部
308 認証部
309 秘話情報管理部
400 録画ファイルリスト
401 タイトル
402 参加端末ID
403 パスワード
404 秘話部分のパスワード
405 時間情報
406 秘話情報
407 バイト位置
600 設定ファイル
601 設定項目
602 設定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して行われる遠隔会議の会議内容を記録再生する遠隔会議記録再生装置であって、
前記遠隔会議の音声情報及び映像情報を前記ネットワークに送信するための音声ストリーム及び映像ストリームに符号化するストリーム処理部と、
前記遠隔会議の音声情報および映像情報を録画ファイルとして記録し、前記遠隔会議を記録中における当該遠隔会議の利用者による操作に基づき、当該録画ファイル中の時間区間に関して当該遠隔会議の録画ファイルの利用の制限の有無を示す状態情報を録画関連情報ファイルとして記録する記憶部と、
前記ストリーム処理部および前記記憶部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記記憶部に記録している前記録画ファイルを前記ネットワークに送信する場合、前記記憶部に記憶している前記録画関連情報ファイルの前記状態情報に基づいて、前記録画ファイルを構成する前記音声情報および前記映像情報のうち前記制限が無い部分のみ送信する
ことを特徴とする遠隔会議記録再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の遠隔会議記録再生装置において、
前記制御部は、前記記憶部に記録している前記録画ファイルを前記ネットワークに送信する場合、前記録画関連情報ファイルの前記状態情報に基づいて、前記録画ファイルのうち前記制限がある部分が存在する場合は前記録画ファイルを送信せず、前記録画ファイルに前記制限がある部分が存在しない場合は前記録画ファイルを送信する
ことを特徴とする遠隔会議記録再生装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の遠隔会議記録再生装置において、
前記制御部は、前記記憶部に記録している前記録画ファイルを前記ネットワークに送信する場合、前記遠隔会議の記録中には前記録画ファイルの送信処理を実行せず待機し、前記遠隔会議の記録中でない場合に前記録画ファイルの送信処理を実行する
ことを特徴とする遠隔会議記録再生装置。
【請求項4】
請求項1ないし3記載の遠隔会議記録再生装置において、
さらに前記制限の有無を切り替える指示を利用者から受け付ける状態切替部を備え、
前記制御部は、前記状態切替部により前記制限の有無が切り替えられた時刻によって、前記状態情報における前記時間区間の開始時刻及び終了時刻を設定することを特徴とする遠隔会議記録再生装置。
【請求項5】
ネットワークを介して行われる会議の会議内容を記録再生する遠隔会議記録再生方法において、
遠隔会議の音声情報および映像情報を録画ファイルとして記録するステップと、
前記遠隔会議の記録中における利用者の操作に基づき、当該録画ファイルの時間区間に関して、当該遠隔会議の録画ファイルの利用に制限の有無を示す状態情報を設定する指示を受け付けるステップと、
前記前記状態情報を前記時間区間と対応付けて録画関連情報ファイルとして記録するステップと、
前記録画ファイルを送信するステップと、を備え、
前記送信するステップでは、前記録画関連情報ファイルの前記状態情報に基づいて、前記録画ファイルを構成する前記音声情報および前記映像情報のうち前記制限の無い部分のみ送信する
ことを特徴とする遠隔会議記録再生方法。
【請求項6】
請求項5記載の遠隔会議記録再生方法において、
前記送信するステップで、前記録画関連情報ファイルの前記状態情報に基づいて、前記録画ファイルに前記制限がある部分が存在する場合は前記録画ファイルを送信せず、前記録画ファイルに前記制限が無い場合は前記録画ファイルを送信する
ことを特徴とする遠隔会議記録再生方法。
【請求項7】
請求項5または6記載の遠隔会議記録再生方法において、
前記送信するステップで、前記録画ファイルを前記ネットワークに送信する場合、前記遠隔会議の記録中には前記録画ファイルの送信処理を実行せず待機し、遠隔会議を記録中でない場合に前記録画ファイルの送信処理を実行する
ことを特徴とする遠隔会議記録再生方法。
【請求項8】
請求項5ないし7記載の遠隔会議記録再生方法において、
前記遠隔会議の記録中に利用者から前記制限の有無の切り替えの指示を受け付ける状態切り替えステップを有し、
前記制限の有無の切り替えの前記指示に対応して、前記制限の有無の切り替えの前記指示を受け付けた時刻により前記状態情報における時間区間の設定をすることを特徴とする遠隔会議記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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