説明

遠隔入力装置

【課題】操作ノブの押下げ操作時に隣接する選択ボタン方向へのブレを抑制して入力操作性に優れる遠隔入力装置を提供する。
【解決手段】入力スイッチ、位置検出部であるX軸エンコーダとY軸エンコーダ、および、2次元駆動部としてのX軸モータとY軸モータを備え、表示されたポインタにより遠隔入力操作する遠隔操作部と、ポインタにより選択されて決定操作がなされる選択ボタンが表示される表示部と、表示部上の選択ボタンの座標に対応した力覚パターン及びポインタの位置座標に基づく反力を遠隔操作部に力覚として付与する駆動部と、選択ボタン上で遠隔操作部の操作ノブが押圧操作されたことを検知する押圧検出部である入力スイッチと、入力スイッチのオンオフ信号に基づいて選択ボタンの座標に対応した力覚パターンを変更して遠隔操作部に付与する反力を調整して力覚を付与する調整部を備える制御ECUと、を有して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔入力装置に関し、特に、表示画面と連携した操作感覚を有する遠隔操作スイッチによる遠隔入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遠隔入力装置において、操作部に操作感を付与するものとして、力覚付与型の遠隔入力装置がある(例えば、特許文献1参照)。この遠隔入力装置は、開口を有する外装板と、外装板の内方に配設されたスティックコントローラに揺動可能に支持された操作ノブと、操作ノブの揺動量および揺動方向を検出するエンコーダと、操作レバーに所望の外力を付与するモータと、エンコーダから出力される出力信号に基づいてモータの駆動を制御する制御部とを備える。そして、操作ノブの開口から外方へ突出する上端に操作ノブが設けられ、この操作ノブを中立位置を基準として操作ノブの軸線方向にプッシュまたはプル操作可能とされていると共に、この操作ノブのプッシュ/プル操作によって第1および第2のプッシュスイッチを選択的にオン動作することができる。
【0003】
この遠隔入力装置によれば、操作レバーを任意方向へ揺動操作すると、制御部が両エンコーダから出力される検知信号を取り込み、この検知信号に対応する第1の制御信号を両モータに出力することにより、操作ノブに所望の操作感(力覚)が付与される。例えば、カーソルが選択ボタンの領域に達した時に、操作ノブの揺動方向に抵抗する反力が付与され、カーソルが選択ボタンの領域内に入ると、操作ノブの揺動方向を推進する反力が付与されて選択ボタンの中央に引き込まれる操作感が得られる。この状態で、操作ノブのプッシュ/プル操作によって第1および第2のプッシュスイッチを選択的にオン動作することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−139845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示す遠隔入力装置は、操作ノブを任意方向へ揺動操作して目標位置に到達したときにモータ反力による中央への引き込み力が発生するが、操作ノブの押下げ操作によるスイッチのオン動作時に揺動方向にブレが発生しやすく、誤操作や誤入力しやすいという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、操作ノブの押下げ操作時に隣接する選択ボタン方向へのブレを抑制して入力操作性に優れる遠隔入力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は上記目的を達成するため、入力スイッチ、位置検出部、および、2次元駆動部を備え、表示されたポインタにより遠隔入力操作する遠隔操作部と、前記ポインタにより選択されて決定操作がなされる選択ボタンが表示される表示部と、前記表示部上の前記選択ボタンの座標に対応した力覚パターン及び前記ポインタの位置座標に基づく反力を前記遠隔操作部に力覚として付与する駆動部と、前記選択ボタン上で前記遠隔操作部が押圧操作されたことを検知する押圧検出部と、前記押圧検出部のオンオフ信号に基づいて前記選択ボタンの座標に対応した力覚パターンを変更して前記遠隔操作部に付与する反力を調整して力覚を付与する調整部を備える操作制御部と、を有することを特徴とする遠隔入力装置を提供する。
【0008】
[2]前記力覚パターンの変更は、前記遠隔操作部の押圧操作によるオン信号出力時であることを特徴とする上記[1]に記載の遠隔入力装置であってもよい。
【0009】
[3]また、変更される前記力覚パターンは、前記項目ボタンに付与される中心への引き込み力において、初期値より大きく設定された反力を前記遠隔操作部に力覚として付与するものであることを特徴とする上記[1]に記載の遠隔入力装置であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作ノブの押下げ操作時に隣接する選択ボタン方向へのブレを抑制して入力操作性に優れる遠隔入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置を構成する表示部、遠隔操作部が車両のセンターコンソールに装着された斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置を構成する遠隔操作部を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置の構成ブロック図である。
【図4】図4(a)は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置における表示部に表示された選択ボタンが配列された50音入力画面(メニュー画面の一例)であり、(b)は、メニュー画面のA−A部分に対応するX位置とX方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例であり、また、(c)は、メニュー画面のB―B部分に対応するY位置とY方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例である。
【図5】図5(a)は、特定の選択ボタン(キー)上にカーソルが位置して選択されたときの図4(a)に相当する50音入力画面(メニュー画面の一例)であり、(b)は、特定の選択ボタン(キー)上にカーソルが位置して選択された後に入力スイッチがオンされたときのメニュー画面に対応するX位置とX方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例であり、また、(c)は、特定の選択ボタン(キー)上にカーソルが位置して選択された後に入力スイッチがオンされたときのメニュー画面に対応するY位置とY方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置の動作、すなわち、力覚制御時の反力調整制御のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1を構成する遠隔操作部100が車両のセンターコンソール6に装着された場合の斜視図である。運転席5の左方で車両の中央付近に遠隔操作部100が設けられたセンターコンソール6が配置され、インスツルメントパネル8でステアリング7の左方、運転者から視認できる位置に表示部300が設けられている。表示部300には、後述する遠隔操作部100により選択されて決定操作がなされる選択ボタン、メニューボタン等が配置、配列されたメニュー画面が表示される。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1を構成する遠隔操作部100を示す斜視図である。遠隔操作部100には、ベース110およびベース110を覆うカバー111と、操作者が操作できるようにこのカバー111から突出して取付けられた操作ノブ120が設けられている。この操作ノブ120は、ベース110に取付けられたXY球面軸受124に一端が支持されたノブシャフト125に取り付けられている。
【0014】
X方向にはノブシャフト125と当接しY方向にはノブシャフト125と摺動するX方向へスライド移動可能なXキャリッジ140と、Xキャリッジ140と直交しY方向にはノブシャフト125と当接しX方向にはノブシャフト125と摺動するY方向へスライド移動可能なYキャリッジ145により、2次元スライド機構が構成されている。操作ノブ120のXY操作により、ノブシャフト125はこの2次元スライド機構をX方向およびY方向に移動させる。
【0015】
一方、Xキャリッジ140、Yキャリッジ145は、それぞれの両端がX軸スライドガイド180とY軸スライドガイド185にそれぞれ支持されている。それぞれの一端側にはX軸ラックギア130、Y軸ラックギア135が取付けられており、このラックギアはベース110側に装着されたX軸モータ150、Y軸モータ155と歯合して、各モータから力覚パターンに基づいた反力を受ける。
【0016】
上記の反力は、2次元スライド機構およびノブシャフト125を介してX軸モータ150、Y軸モータ155からの力を操作ノブ120に作用させて反力を呈示する。すなわち、遠隔操作部100に対して力覚制御を行い、操作者が操作ノブ120を操作する際に適度な操作感覚を付与する。
【0017】
図3は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1の構成ブロック図である。遠隔操作部100は、入力スイッチ190、位置検出部としてのX軸エンコーダ170とY軸エンコーダ175、および、2次元駆動部としてのX軸モータ150とY軸モータ155を備える。入力スイッチ190、X軸エンコーダ170、Y軸エンコーダ175、および、X軸モータ150、Y軸モータ155は、いずれも制御ECU200と接続されている。
【0018】
入力スイッチ190は、操作ノブ120の押圧操作により制御ECU200にスイッチ信号を出力するオンオフスイッチである。この押圧操作により、入力スイッチ190は図3の下方向に押圧されてスイッチオン(ON)とされ、押圧操作が解除されることにより図3の上方向に戻りスイッチオフ(OFF)とされる。入力スイッチとしては、押下している間だけスイッチがオンになるもの、あるいは、押すたびにオンとオフが反転する押しボタンスイッチが使用できる。また、対向する発光部と受光部を持ち発光部からの光を物体が遮るのを受光部で検出することによって物体の有無や位置を判定するフォトインタラプタを使用して操作ノブ120の押圧動作によるオンオフを検出する構成としてもよい。
【0019】
X軸エンコーダ170とY軸エンコーダ175は、操作ノブ120のXY操作によるX方向移動信号およびY方向移動信号を制御ECU200に出力する。一方、X軸モータ150、Y軸モータ155には、制御ECU200から力覚制御のための駆動電流が供給される。
【0020】
制御ECU200は、主に判断処理を行なうマイコン(CPU)、処理演算プログラム、メニュー画面の位置データ、力覚付与のための力覚パターン等を記憶しておく記憶部、演算処理の作業領域としてのRAM等から構成される。また、X軸モータ150とY軸モータ155をドライブするための駆動部201、反力調整のための調整部202を備えている。この制御ECU200は表示部300に接続され、メニュー画面の位置データに基づいて表示部300に画像表示を行なうと共に、操作ノブ120のXY操作によるポインタを表示部300に表示する。
【0021】
また、制御ECU200は、CAN通信等の車載LANの車両通信バス400を介して制御対象機器、例えば、カーナビ装置401、エアコン装置402等と接続されている。これにより、表示部300に表示されたメニュー画面に対する遠隔操作部100の操作に基づいて、車両通信バス400を介して制御対象機器、例えば、カーナビ装置401、エアコン装置402等が遠隔制御される。
【0022】
図4(a)は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置における表示部に表示された選択ボタンが配列された50音入力画面(メニュー画面の一例)であり、(b)は、メニュー画面のA−A部分に対応するX位置とX方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例であり、また、(c)は、メニュー画面のB―B部分に対応するY位置とY方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例である。
【0023】
力覚パターンは、メニュー画面に対応して、操作ノブ120を介して操作者に操作感(力覚)を付与するための反力パターンを定義するための2次元データプロファイルである。具体的には、メニュー画面に対応して、X方向、Y方向距離Sと反力レベルFとの関係(F−S特性)が規定され、力覚パターンとして定義されている。このF−S特性は、記憶部に数値データ、テーブルとして格納され、所定の処理時に適宜参照される。
【0024】
図4(a)において、左上に原点Oをとり、右方向にX軸、下方向にY軸とする。表示部300には、メニュー画面の一例として、50音それぞれに対応した選択ボタン310が配列された50音入力画面が表示される。これは、例えば、カーナビ装置401の目的地を文字入力する場合に表示される。それぞれの選択ボタン310は、ポインタ320により選択されて操作ノブ120の押圧操作により入力スイッチ190がスイッチオンすることにより、その表面に表示された文字、記号等がキー入力される。
【0025】
図4(b)に示すように、X方向について、各々の選択ボタン310のそれぞれの左側エッジ領域(X1、X3、・・・・、X23)から各中心部までの領域では、中心方向へポインタ320を引込むために反力レベルはマイナス値Fxm(右方向)に力覚パターンが設定されている。一方、各々の選択ボタン310のそれぞれの右側エッジ領域(X2、X4、・・・・、X24)から各中心部までの領域では、中心方向へポインタ320を引込むために反力レベルはプラス値Fxp(左方向)に力覚パターンが設定されている。この力覚パターンに基づいて、操作ノブ120は、X軸エンコーダ170の位置出力に従ってX軸モータ150により反力制御を受ける。これにより、操作ノブ120を操作する際に、各々の選択ボタン310のX中心方向へ引き込まれる操作感が得られる。尚、急激な操作感の変化を緩和するために、上記の力覚パターンは図に示したように台形状に設定されているが、鋭角状、矩形状でもよく、また、角部を曲線状にした力覚パターン等でもよい。
【0026】
Y方向についても同様である。図4(c)に示すように、Y方向について、各々の選択ボタン310のそれぞれの上側エッジ領域(Y1、Y3、・・・・、Y11)から各中心部までの領域では、中心方向へポインタ320を引込むために反力レベルはマイナス値Fym(下方向)に力覚パターンが設定されている。一方、各々の選択ボタン310のそれぞれの下側エッジ領域(Y2、Y4、・・・・、Y12)から各中心部までの領域では、中心方向へポインタ320を引込むために反力レベルはプラス値Fyp(上方向)に力覚パターンが設定されている。この力覚パターンに基づいて、操作ノブ120は、Y軸エンコーダ175の位置出力に従ってY軸モータ155により反力制御を受ける。これにより、操作ノブ120を操作する際に、各々の選択ボタン310のY中心方向へ引き込まれる操作感が得られる。尚、急激な操作感の変化を緩和するために、上記の力覚パターンは図に示したように台形状に設定されているが、鋭角状、矩形状でもよく、また、角部を曲線状にした力覚パターン等でもよい。
【0027】
図5(a)は、特定の選択ボタン(キー)、例えば、本図の場合では、「ほ」の文字キー上にカーソル320が位置して選択されたときの図4(a)に相当する50音入力画面(メニュー画面の一例)であり、(b)は、特定の選択ボタン(キー)上にカーソルが位置して選択された後に入力スイッチがオンされたときのメニュー画面に対応するX位置とX方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例であり、また、(c)は、特定の選択ボタン(キー)上にカーソルが位置して選択された後に入力スイッチがオンされたときのメニュー画面に対応するY位置とY方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例である。
【0028】
例えば、図5(a)に示すように、50音入力画面の「ほ」の文字キーがポインタ320により選択され、操作ノブ120の押圧操作による入力スイッチ190がスイッチオンされると、力覚パターンは、図4(b)、(c)から図5(b)、(c)の特性に切り替えられて変更される。
【0029】
図5(b)に示すように、X方向について、「ほ」の選択ボタン310の左側エッジ領域X13から中心部までの領域では、中心方向へポインタ320を引込むために反力レベルはマイナス値Fxm2(右方向)に力覚パターンが設定されている。また、エッジ領域X13から図5(b)の左側全域では、マイナス値Fxm2(右方向)一定とされている。また、「ほ」の選択ボタン310の右側エッジ領域X14から中心部までの領域では、中心方向へポインタ320を引込むために反力レベルはプラス値Fxp2(左方向)に力覚パターンが設定されている。また、エッジ領域X14から図5(b)の右側全域では、プラス値Fxp2(左方向)一定とされている。ここで、反力レベルはFxm2、Fxp2は、それぞれ初期値Fxm、Fxpよりも絶対値で大きな値に設定されている。これにより、選択ボタン310が選択されて操作ノブ120の押圧操作により入力スイッチ190がスイッチオンされた以降では、操作ノブ120は、選択・決定された選択ボタン310のX中心方向へより大きな反力レベルの引き込み力を受けることになる。
【0030】
Y方向についても同様に、図5(c)に示すように、「ほ」の選択ボタン310の上側エッジ領域Y9から中心部までの領域では、中心方向へポインタ320を引込むために反力レベルはマイナス値Fym2(下方向)に力覚パターンが設定されている。また、エッジ領域Y9から図5(c)の上側全域では、マイナス値Fym2(下方向)一定とされている。また、「ほ」の選択ボタン310の下側エッジ領域Y10から中心部までの領域では、中心方向へポインタ320を引込むために反力レベルはプラス値Fyp2(上方向)に力覚パターンが設定されている。また、エッジ領域Y10から図5(c)の下側全域では、プラス値Fyp2(上方向)一定とされている。ここで、反力レベルはFym2、Fyp2は、それぞれ初期値Fym、Fypよりも絶対値で大きな値に設定されている。これにより、選択ボタン310が選択されて操作ノブ120の押圧操作により入力スイッチ190がスイッチオンされた後からスイッチオフに戻るまでの間は、操作ノブ120は、選択・決定された選択ボタン310のY中心方向へより大きな反力レベルの引き込み力を受けることになる。
【0031】
以上から、選択ボタン310を選択して操作ノブ120の押圧操作により入力スイッチ190をスイッチオンすると、それ以降の操作ノブ120のX,Y方向への操作では、選択ボタン310の中心方向へ引き込まれる操作感がより強くなる。尚、急激な操作感の変化を緩和するために、上記の力覚パターンは図に示したように台形状に設定されているが、鋭角状、矩形状でもよく、また、角部を曲線状にした力覚パターン等でもよい。
【0032】
(本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1の動作)
図6は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1の動作、すなわち、力覚制御時の反力調整制御のフローチャートを示す図である。以下に、図4、図5で示した50音入力画面上における、遠隔入力装置1の力覚制御時の反力調整制御の動作を説明する。
【0033】
(Step1)
まず、制御ECU200は、入力スイッチ190がオンされたかどうかを判断する。例えば、図4(a)の50音入力画面上で、操作ノブ120のXY操作により、特定の選択ボタン310がカーソル320の移動により選択されて入力スイッチ190がスイッチオンされることにより入力スイッチ190からオン信号が出力される。制御ECU200は、このスイッチオン信号の有無により入力スイッチ190がオンされたかどうかを判断する。入力スイッチ190がオンされた場合はStep2へ進み、Noの場合はStep1の始めに戻って繰返して判断を行なう。
【0034】
(Step2)
制御ECU200の調整部202は、図4(b)、(c)に示した力覚パターンを図5(b)、(c)に示した力覚パターンに変更する。X軸エンコーダ170とY軸エンコーダ175の出力値X、Yに基づいて、ポインタ320で選択された選択ボタン310に対応する力覚パターンを記憶部から読み出して変更を行なう。
【0035】
(Step3)
制御ECU200の駆動部201は、変更された力覚パターンに基づいて、操作ノブ120の反力制御を行なう。すなわち、駆動部201は、X軸エンコーダ170、Y軸エンコーダ175の位置出力X、Yに基づいて、変更された力覚パターンから演算された反力をX軸モータ150とY軸モータ155をドライブし、操作ノブ120の反力制御を行なう。この反力制御により、操作ノブ120は、図5(a)で示す「ほ」の選択ボタン310中心方向に大きな反力レベルの引き込み力を受ける。これにより、隣接する選択ボタン310方向への操作ブレの発生を低減することができる。
【0036】
(Step4)
制御ECU200は、入力スイッチ190がオフされたかどうかを判断する。例えば、図5(a)の50音入力画面上で、操作ノブ120のXY操作により、特定の選択ボタン310がカーソル320の移動により選択されて入力スイッチ190がスイッチオンされて、文字入力された後に、操作ノブ120の押圧操作が解除されることにより入力スイッチ190がオフにされる。制御ECU200は、このスイッチオフ信号の有無により入力スイッチ190がオフされたかどうかを判断する。入力スイッチ190がオフされた場合はStep5へ進み、Noの場合はStep3の始めに戻って反力制御を繰返して行なう。
【0037】
(Step5)
入力スイッチ190がオフされた場合は、制御ECU200の調整部202は、図5(b)、(c)に示した力覚パターンを図4(b)、(c)に示した通常の力覚パターンに戻して、力覚パターンの変更を伴う反力調整制御の一連の動作を終了する。
【0038】
以上の一連のステップにより、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1の反力調整制御が行なわれる。尚、Step2において、力覚パターンの変更は、ポインタ320のX、Y座標に対応した選択ボタン310の力覚パターンを記憶部から読み出して変更を行なうとしたが、ポインタ320のX、Y座標に対応して力覚パターンを演算により算出し、これに基づいて遠隔入力装置1の反力調整制御を行なうようにしてもよい。
【0039】
(本発明の実施の形態の効果)
本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1は、操作ノブ120の押圧操作による入力スイッチ190のスイッチオン信号を検出し,これに基づいて初期値より大きく設定された反力を付与する反力調整制御を行なうので、操作ノブ120は、選択ボタン310の中心方向に大きな反力レベルの引き込み力を受ける。これにより、操作ノブ120を揺動操作よりも強い反力で拘束することができ、隣接する選択ボタン310方向への操作ブレの発生を低減することができる。よって、操作ノブ120の押圧操作時の誤操作や誤入力を抑制でき、入力操作性に優れた遠隔入力装置を実現することができる。また、反力調整制御は、操作ノブ120の押圧操作による入力スイッチ190のスイッチオン信号に基づいて切り替わるので、入力スイッチ190の押圧操作時の引き込み感覚が明確に変化し、隣接する選択ボタン310方向への操作ブレの発生低減効果が大きいという効果がある。
【0040】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは調整しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、Step2において、制御ECU200の調整部202がポインタ320で選択された選択ボタン310に対応する力覚パターンを記憶部から読み出して変更を行なうとしたが、図4(b)、(c)に示した力覚パターンに図5(b)、(c)に示した力覚パターンを重畳して力覚パターンを変化させることで、反力調整制御を行なう構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0041】
1…遠隔入力装置、、5…運転席、6…センターコンソール、7…ステアリング、8…インスツルメントパネル、100…遠隔操作部、110…ベース、111…カバー、120…操作ノブ、124…球面軸受、125…ノブシャフト、130…X軸ラックギア、135…Y軸ラックギア、140…Xキャリッジ、145…Yキャリッジ、150…X軸モータ、155…Y軸モータ、170…X軸エンコーダ、175…Y軸エンコーダ、180…X軸スライドガイド、185…Y軸スライドガイド、190…入力スイッチ、200…制御ECU、201…駆動部、202…調整部、300…表示部、310…選択ボタン、320…ポインタ、400…車両通信バス、401…カーナビ装置、402…エアコン装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力スイッチ、位置検出部、および、2次元駆動部を備え、表示されたポインタにより遠隔入力操作する遠隔操作部と、
前記ポインタにより選択されて決定操作がなされる選択ボタンが表示される表示部と、
前記表示部上の前記選択ボタンの座標に対応した力覚パターン及び前記ポインタの位置座標に基づく反力を前記遠隔操作部に力覚として付与する駆動部と、前記選択ボタン上で前記遠隔操作部が押圧操作されたことを検知する押圧検出部と、前記押圧検出部のオンオフ信号に基づいて前記選択ボタンの座標に対応した力覚パターンを変更して前記遠隔操作部に付与する反力を調整して力覚を付与する調整部を備える操作制御部と、
を有することを特徴とする遠隔入力装置。
【請求項2】
前記力覚パターンの変更は、前記遠隔操作部の押圧操作によるオン信号出力時であることを特徴とする請求項1に記載の遠隔入力装置。
【請求項3】
変更される前記力覚パターンは、前記項目ボタンに付与される中心への引き込み力において、初期値より大きく設定された反力を前記遠隔操作部に力覚として付与するものであることを特徴とする請求項1に記載の遠隔入力装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−203866(P2011−203866A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68834(P2010−68834)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】