説明

遠隔制御信号の検出回路

【課題】被制御装置を動作状態から不動作に遠隔制御する制御信号の検出回路に関し、この検出回路に用いられるコンデンサを小容量とし、小型軽量で動作安定な検出回路を得る。
【解決手段】被制御装置5を動作状態から不動作状態に遠隔制御装置12からの制御信号V1 により制御する際に、制御信号V1 が所定時間継続するか否かをコンデンサと抵抗器とを備えた検出回路により検知し、制御信号V1 が所定時間継続した場合に検出回路15が出力する遅延電圧V3 により被制御装置5を不動作状態に制御するようにした遠隔制御信号の検出回路15において、遠隔制御装置12にコンデンサ16と抵抗器17の直列回路を並列に設け、制御信号V1 によるコンデンサ16の端子電圧が所定値に上昇したときオン動作する半導体素子20を被制御装置5に直列に設け、半導体素子20の出力で被制御装置5を不動作状態に制御する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電源装置や電子機器等の被制御装置を動作状態から不動作状態に制御信号(電気信号)により遠隔制御する際の、遠隔制御信号の検出回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電源装置や電子機器等の被制御装置を、電気信号の制御信号でオン状態からオフ状態に遠隔制御する場合、外来ノイズや他の装置の電気信号による誤動作、及び人為的誤操作に基づく短時間の電気信号の発生による誤動作を防止するため、被制御装置側に遅延回路を含む遠隔制御信号の検出回路を設け、電気信号が所定時間継続して送られてきているか否かを検知し、電気信号が所定時間継続した場合に制御信号であると判断して、被制御装置をオン状態からオフ状態に制御するようにしている。この従来の遠隔制御信号の検出回路と被制御装置を図5に示す。図5において、1は検出回路で、コンデンサ2、抵抗器3,4とから構成されている。5は被制御装置で電源装置や電子機器などの被制御回路6と、抵抗器8,9、ツェナーダイオード10、トランジスタ11などからなる遅延電圧検知回路7とにより構成されている。12は遠隔制御装置で、電源13、スイッチ14などから構成されている。また、V1 は遠隔制御装置12から送られる被制御装置5の動作を停止させる所要の電圧を有する制御信号、V2 はコンデンサ2の端子電圧(充電電圧)、V3 は検出回路1の出力の遅延電圧で、コンデンサ2の端子電圧V2 に等しい。V4 は制御回路5の出力電圧である。
【0003】この図5に示した従来回路の動作を説明する。まず、被制御装置5が動作状態の場合、即ち、遠隔制御装置12のスイッチ14がオフ状態では、検出回路1には制御信号V1 が印加されていないため、コンデンサ2の端子電圧V2 及び検出回路1の出力の遅延電圧V3 は低レベルである。従って、遅延電圧検知回路7のトランジスタ11はオフ状態であるため、遅延電圧検知回路7の出力電圧V4 は被制御回路6の動作電圧を保持している。次に、被制御装置5を不動作状態に制御するため、遠隔制御装置12のスイッチ14をオン状態にすると、検出回路1の入力には図6(a)に示す制御信号V1 が印加され、抵抗器3を通してコンデンサ2は充電され、図6(b)に示すようにその端子電圧V2 は時定数をもって上昇する。
【0004】一方、被制御装置5の遅延電圧検知回路7では、ツェナーダイオード10のツェナー電圧及びトランジスタ11のベース・エミッタ間の電圧との和の電圧を制御信号の検出レベルとしている。従って、検出回路1の出力である遅延電圧V3(コンデンサ2の端子電圧V2 と等しい)が遅延電圧検知回路7の検出レベルに達するとトランジスタ11がオンとなり、被制御回路6の所要の動作電圧V4 は図6(c)に示すように低レベルとなり、被制御装置5は停止状態に制御される。即ち、遠隔制御装置12から制御信号(電気信号)V1 が継続して送られてきてから、検出回路1によって設定される、図6(c)に示される遅延時間T1 の後に、遅延電圧検知回路7がこれを検知して被制御装置5をオフ状態にしているため、外来ノイズや他の装置の信号などの単発的な電気信号が検出回路1に印加されても、制御信号であると誤認されないようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従来例においては、被制御装置5の遅延電圧検知回路7の動作を安定的に行われるようにするためには、コンデンサ2の容量を大きくすると共に抵抗器3の抵抗値を比較的に小さくし、図6(b)(c)に示すように遅延時間を短くする必要があった。即ち、この従来例では、コンデンサ2の端子電圧V2 がそのまま遅延電圧検知回路7に印加されている。そのため、遅延時間を1秒程度まで大きくするために抵抗器3の抵抗値を大きくして、図6(d)に示すようにコンデンサ2の充電を緩やかにすると、コンデンサ2の端子電圧V2 の上昇により図6(e)に示すように遅延時間Tを経過した後、トランジスタ11がオンとなるが、トランジスタ11のオンによりコンデンサ2の端子電圧V2 が下がり、トランジスタ11はオフに戻り、これにより再度コンデンサ2の端子電圧V2 が上昇し、トランジスタ11がオンになるという現象をコンデンサ2が十分に充電されるまで繰り返すことになり、図6(e)に示すように制御回路5の出力電圧V4 はノコギリ状の波形となり、被制御装置5の不動作状態への制御が安定的に行えないという問題があった。従って、従来回路では外来ノイズ等の信号などで誤動作を生じないように、大容量のコンデンサを用いて遅延時間をある程度までは延ばすことはできるが、更に誤動作防止を確実にするために遅延時間を1秒程度まで遅らせることは困難であった。本発明は、小型軽量の部品を用いて、遅延時間を十分確保し得る遠隔制御信号の検出回路を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願の第1の発明は、電源装置や電子機器等の被制御装置を動作状態から不動作状態に遠隔制御装置からの制御信号により制御する際に、該制御信号が所定時間継続するか否かをコンデンサと抵抗器とを備えた検出回路により検知し、前記制御信号が所定時間継続した場合に該検出回路の出力する遅延電圧により前記被制御装置を不動作状態に制御するようにした遠隔制御信号の検出回路において、前記遠隔制御装置に前記コンデンサと抵抗器の直列回路を並列に設け、前記制御信号による前記コンデンサの端子電圧が所定値に上昇したときオン動作する半導体素子を前記被制御装置に直列に設け、該半導体素子の出力で前記被制御装置を不動作状態に制御するようにしたものである
【0007】本願の第2の発明は、電源装置や電子機器等の被制御装置を動作状態から不動作状態に遠隔制御装置からの制御信号により制御する際に、該制御信号が所定時間継続するか否かをコンデンサと抵抗器とを備えた検出回路により検知し、前記制御信号が所定時間継続した場合に該検出回路の出力する遅延電圧により前記被制御装置を不動作状態に制御するようにした遠隔制御信号の検出回路において、前記遠隔制御装置に前記コンデンサと抵抗器の直列回路を並列に設け、前記制御信号による前記コンデンサの端子電圧が所定値に上昇したときオン動作する第1の半導体素子を前記被制御装置に直列に設けると共に、該第1の半導体素子の動作出力でオン動作する第2の半導体素子を前記第1の半導体素子の動作回路に設け、前記第2の半導体素子の動作によりオン動作の立上りが急峻にされた前記第1の半導体素子の出力で、前記被制御装置を不動作状態に制御するようにしたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は本発明の遠隔制御信号の検出回路15の基本回路を示すもので、検出回路15は、コンデンサ16、抵抗器17,18、ツェナーダイオード19、スイッチ用トランジスタ20とから構成されている。また、図5で示した被制御装置5と同じ回路構成の被制御装置5A,5Bが並列に設けられ、同一制御信号で複数の被制御装置5が制御されるようになっている。なお、図5と同一部分は同一記号で示しその説明を省略する。図1の回路の動作を説明する。先ず、遠隔制御装置12から制御信号が送られていない場合、即ちスイッチ14がオフ状態の場合は、検出回路15に制御信号V1 が印加されていないため、検出回路15の出力の遅延電圧V3 は低レベルである。従って、被制御装置5A,5Bの各トランジスタ11はいずれもオフ状態であり、被制御回路6の所要の動作電圧V4 ,V5 が維持されている。
【0009】次に遠隔制御装置12のスイッチ14がオンとなり、図2(a)に示す制御信号V1 が送られてくると、検出回路15のコンデンサ16は、抵抗器17を通して図2(b)に示すように緩かに充電される。そしてコンデンサ16の端子電圧V2 が、ツェナーダイオード19のツェナー電圧とトランジスタ20のベース・エミッタ間電圧の和の電圧以上に上昇すると、被制御装置5A,5Bの遅延電圧検知回路7に直列接続されているトランジスタ20がオンとなり、図2(c)に示す遅延電圧V3 を送出する。従って、被制御装置5A,5Bの各トランジスタ11は、検出回路15が制御信号V1 を受けた時点から、トランジスタ20がオン動作するまでの遅延時間Tをおいてオン動作し、図2(d)に示すようにそれまで維持されていた被制御回路6の所要の動作電圧V4 ,V5 が低レベルになり、被制御装置5A,5Bは停止状態に制御される。
【0010】このように本発明では、被制御装置5A,5Bの動作を制御する遅延電圧V3は、コンデンサ16の端子電圧ではなく、コンデンサ16の端子電圧V2 の上昇によって動作するトランジスタ20を介して印加される電流容量も十分に大きい制御信号V1 に近似した電圧である。従って、各トランジスタ11の動作によって検出回路15の出力である遅延電圧V3 は変動することがなく、各トランジスタ11は安定した動作をすることになる。また、コンデンサ16は、前述したことから明らかなように、トランジスタ20の動作状態を維持し得る程度に抵抗器3の抵抗値を大きくできるため、その容量を小さくすることが可能となり、検出回路15の小型軽量化を図ることができる。
【0011】しかし、前述した図1の検出回路15の構成にあっては、トランジスタ20のベース電流はコンデンサ16の緩かな充電特性に依存しているため、トランジスタ20は徐々にオン状態となり、遅延電圧V3 は図2R>2(c)に示すように立上りが若干緩かな波形となる。そのため被制御装置5を複数接続して同時に制御しようとした場合には、被制御装置5A,5Bの各遅延電圧検知回路7を構成する各部品の電気特性のバラツキによる検出特性の違いから、例えば、図2(d)に示すように被制御装置5Aの遅延電圧検知回路7のトランジスタ11が、被制御装置5Bの遅延電圧検知回路7のトランジスタ11より先にオン動作を行うため、各被制御回路6の動作電圧V4 とV5 の低レベルへの移行に時間差t1 が生じることがある。
【0012】
【実施例】前述したように複数の被制御装置5を同時に制御する場合でも、各被制御装置5A,5B,…の動作に時間差が生じない検出回路の実施例を図3により説明する。図3に示した実施例における検出回路21は、図1R>1の検出回路15に抵抗器22,23,24、トランジスタ25を設けたものである。この回路において、遠隔制御装置12から制御信号V1 が検出回路21に送出されると、図1の説明と同様に、コンデンサ16は抵抗器17を通して図4(b)に示すように緩かに充電される。そしてコンデンサ16の端子電圧V2 が、ツェナーダイオード19のツェナー電圧とトランジスタ20のベース・エミッタ間電圧との和の電圧以上に上昇してトランジスタ20がオン状態に移行するが、このオン状態に移行すると同時にトランジスタ25がオン状態になる。そのため、トランジスタ20のベース電流が急速に増加し、トランジスタ20は直ちにオン状態に移行することになり、図4(b)(c)に示すようにコンデンサ16の端子電圧V2 と検出回路21の出力の遅延電圧V3 とは同時に、かつ直ちに高レベルに移行する。
【0013】従って、被制御装置5A,5Bの各遅延電圧検知回路7のトランジスタ11は、遅延電圧V3 の立上り特性が急峻であることにより、同時にオン動作することになり、被制御装置5A,5Bの各遅延電圧検知回路7の所要の動作電圧V4 ,V5 は図4(d)に示すように殆ど同時に低レベルになり、被制御装置5A,5Bの動作が同時に停止される。このように、図3に示した実施例の場合は、図1に示した実施例に比較して遅延電圧V3 の立上りが急峻であるため、複数の被制御装置5を一緒に制御する場合に適している。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の遠隔制御信号の検出回路は、遅延時間を作成するコンデンサを、被制御装置の遅延電圧検知回路に直接的にかつ並列に設けずに、被制御装置に直列に設けられたトランジスタの動作信号源として機能させたことにより、従来の大容量コンデンサを小容量のコンデンサとすることができたもので、小型軽量化を図りながら被制御装置の動作状態から不動作状態への制御を、安定的に行い得る遠隔制御信号の検出回路を得ることができたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る検出回路の一実施例を含む遠隔制御信号回路図である。
【図2】本発明に係る検出回路の一実施例を含む遠隔制御信号回路の動作波形図である。
【図3】本発明に係る検出回路の他の実施例を含む遠隔制御信号回路図である。
【図4】本発明に係る検出回路の他の実施例を含む遠隔制御信号回路の動作波形図である。
【図5】従来の検出回路の一例を含む遠隔制御信号回路図である。
【図6】従来の検出回路の一例を含む遠隔制御信号回路の動作波形図である。
【符号の説明】
1,15,21 検出回路
2,16 コンデンサ
3,4,8,9,17,18,22,23,24 抵抗器
5,5A,5B 被制御装置
6 被制御回路
7 遅延電圧検知回路
10,19 ツェナーダイオード
11,20,25 トランジスタ
12 遠隔制御装置
13 電源
14 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電源装置や電子機器等の被制御装置を動作状態から不動作状態に遠隔制御装置からの制御信号により制御する際に、該制御信号が所定時間継続するか否かをコンデンサと抵抗器とを備えた検出回路により検知し、前記制御信号が所定時間継続した場合に該検出回路の出力する遅延電圧により前記被制御装置を不動作状態に制御するようにした遠隔制御信号の検出回路において、前記遠隔制御装置に前記コンデンサと抵抗器の直列回路を並列に設け、前記制御信号による前記コンデンサの端子電圧が所定値に上昇したときオン動作する半導体素子を前記被制御装置に直列に設け、該半導体素子の出力で前記被制御装置を不動作状態に制御するようにしたことを特徴とする遠隔制御信号の検出回路。
【請求項2】 電源装置や電子機器等の被制御装置を動作状態から不動作状態に遠隔制御装置からの制御信号により制御する際に、該制御信号が所定時間継続するか否かをコンデンサと抵抗器とを備えた検出回路により検知し、前記制御信号が所定時間継続した場合に該検出回路の出力する遅延電圧により前記被制御装置を不動作状態に制御するようにした遠隔制御信号の検出回路において、前記遠隔制御装置に前記コンデンサと抵抗器の直列回路を並列に設け、前記制御信号による前記コンデンサの端子電圧が所定値に上昇したときオン動作する第1の半導体素子を前記被制御装置に直列に設けると共に、該第1の半導体素子の動作出力でオン動作する第2の半導体素子を前記第1の半導体素子の動作回路に設け、前記第2の半導体素子の動作によりオン動作の立上りが急峻にされた前記第1の半導体素子の出力で、前記被制御装置を不動作状態に制御するようにしたことを特徴とする遠隔制御信号の検出回路。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開平9−215227
【公開日】平成9年(1997)8月15日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−45657
【出願日】平成8年(1996)2月8日
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)