説明

遠隔医療支援システム

【課題】 従来の遠隔医療支援システムでは、1つのポインタを用いて複数の利用者が画面に表示されている画像を指し示すために、システムの利用者が交互にマウスのポインタを操作しなければならないという課題を見いだした。
【解決手段】 遠隔医療支援システムの利用者が、それぞれ独立したマウスのポインタを操作することができれば、複数の利用者が同時に、かつ容易に画像を説明および処理できることに想到した。本発明は、複数の端末から構成される、医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システムであって、それぞれの端末は、互いに接続可能な接続装置と、互いに医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置と、互いに通信することができる通信装置とを備え、それぞれの端末は、それぞれ独立してポインタを表示し、かつ制御することができる、遠隔医療支援システム遠隔医療支援システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端末間で通信することができ、かつ医用画像を含む医療情報を、閲覧および送受信することができる遠隔医療支援システムに関する。さらに、本発明は、複数のポインタを同時に使用することができる、遠隔医療支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療において、CT、MRI、PETおよび超音波などの画像診断は、疾患の診断および管理に必須のものになっている。従来、画像診断のための画像は、レントゲンフィルムが主流であったが、最近は、MRI、CT、PETおよび超音波などのデジタル画像が診断画像の主流となっている。また、現在では、一般X線撮影もデジタルデータとなっている。
【0003】
画像診断を行うためには、得られた画像を適切に保存し、管理することが不可欠である。現在、各種レントゲン、CT、超音波および内視鏡などの画像をすべてデジタル化して保存するためのシステムとして、各種画像ファイリングシステム(PACS:Picture Archiving and Communication
System)が普及している。このPACSは、世界各国において、種々のシステムが開発され、市販されている。
【0004】
一方、医用画像は、病院内で利用するだけでなく、遠隔医療への応用されている。遠隔医療は、医師と患者が距離を隔てたところで、インターネットなどの通信技術を用いて診断・診療を行なう医療である。
【0005】
遠隔医療支援システムを導入することにより、離島および僻地などであっても等しく診断・診療を受ける事ができ、診断・診療のために距離移動を行なう無駄をなくすことができる。また、医者が診察現場において診察・診断を行わなくても診療を行うことができるため、医師不足解消の方策としても期待されている。
【0006】
遠隔医療システムとして、いくつかの例が開示されている。たとえば、高いセキュリティー性を保持した遠隔医療支援システムが開示されている(特許文献1)。この遠隔医療支援システムは、インターネットとマッチングサーバーを用いて実現されるリアルタイムカンファレンス機能に基づいて、医療画像などの可視情報を患者と医療従事者との間又は医療従事者と医療従事者との間で共有できる特徴を備えている。
【0007】
また、複数の医療従事者間で医療関連電子情報の送受信および開示を行うシステムについて、いくつかの例が開示されている(特許文献2、3および4)。加えて、医療従事者、患者間で医療関連電子情報の送受信および開示を行うシステムについて開示されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-310768号公報
【特許文献2】特開2003-296460号
【特許文献3】特開2005-352969号公報
【特許文献4】特開2006-21031号公報
【特許文献5】特開2006-277559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
遠隔医療支援システムのそれぞれの利用者は、上記のような遠隔医療支援システムにおいて医用画像を利用することにより、遠隔地にて共通の医用画像を閲覧および送受信することができる。
【0010】
このような遠隔医療支援システムでは、遠隔医療支援システムの利用者が、それぞれの利用者の端末に表示された共通の医用画像に基づいて診断等を行う。診断の際には、利用者が互いにコミュニケーションをとりながら診断が進められる。たとえば、マウスのポインタを使用して、医用画像の部位を指し示したり、様々な画像処理を行ったりしながら、診断が進められる。このとき、従来の遠隔医療支援システムでは、端末に表示される医用画像に対して、マウスのポインタが1つだけ表示されるのが通常であった。このため、遠隔医療支援システムの利用者は、この1つのポインタを用いて、共通の画像の説明を行っていた。
【0011】
本発明者らは、上記のような従来の遠隔医療支援システムにおいて、1つのポインタを用いて複数の利用者が画面に表示されている画像を指し示すためには、システムの利用者が交互にマウスのポインタを操作しなければならないという課題を見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、それぞれの遠隔医療支援システムの利用者が、それぞれ独立したマウスのポインタを操作することができれば、複数の利用者が同時に、かつ容易に画像の説明および処理を行うことができることに想到した。
【0013】
すなわち、本発明は、複数の端末から構成される、医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システムであって、それぞれの端末は、互いに接続可能な接続装置と、互いに医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置と、互いに通信することができる通信装置とを備え、それぞれの端末は、それぞれ独立してポインタを表示し、かつ制御することができる、遠隔医療支援システムを提供する。
【0014】
また、本発明は、上記ポインタがそれぞれの端末の表示装置において、それぞれの端末毎に識別可能に表示される、上記遠隔医療支援システムを提供する。
【0015】
また、本発明は、上記ポインタがそれぞれ独立して医用画像の操作を行うことができる、上記遠隔医療支援システムを提供する。
【0016】
さらに、本発明は、上記医用画像を含む医療情報を保存することができるサーバー端末をさらに備え、端末は、該サーバー端末を介して互いに前記医用画像を含む医療情報を送受信および開示でき、かつ前記端末は、該サーバー端末を介して互いに通信することができる、上記遠隔医療支援システムを提供する。
【0017】
さらに、本発明は、上記コンピュータを、複数の端末から構成される、医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システムとして機能させるための遠隔医療支援プログラムであって、コンピュータを、それぞれの端末を、互いに接続可能な接続装置と、互いに医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置と、互いに通信することができる通信装置として機能させ、かつそれぞれの端末を、それぞれ独立してポインタを表示し、かつ制御することができるように機能させるための遠隔医療支援プログラムを提供する。
【0018】
また、本発明は、上記コンピュータを、上記ポインタが、それぞれの端末の表示装置において、それぞれの端末毎に識別可能に表示されるように機能させる、上記遠隔医療支援プログラムを提供する。
【0019】
また、本発明は、上記コンピュータを、上記ポインタが、それぞれ独立して医用画像の操作を行うことができるように機能させる、上記遠隔医療支援プログラムを提供する。
【0020】
また、本発明は、コンピュータを、上記の遠隔医療支援システムとしてさらに機能させるための、遠隔医療支援プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の遠隔医療支援システムおよび遠隔医療支援プログラムによれば、それぞれの遠隔医療支援システムの利用者は、それぞれ独立したマウスのポインタを操作することができる。したがって、複数の利用者が同時に、かつ容易に画像の説明および処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の遠隔医療支援システムの構成の一例を示す図。
【図2】本発明の遠隔医療支援システムにおいてサーバーを有する構成の一例を示す図。
【図3】本発明の遠隔医療支援システムにおいて複数のマウスポインタが表示されたディスプレイを示す概略図。
【図4】本発明の遠隔医療支援システムにおける複数のマウスポインタの処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明による遠隔医療支援システムの構成を示す図である。
【0024】
本発明の遠隔医療支援システム1は、複数の端末から構成される。それぞれの端末は、互いに接続することができる接続装置を備える。
【0025】
また、それぞれの端末は、互いに医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置を備える。
【0026】
また、それぞれの端末は、互いに通信することができる通信装置を備える。
【0027】
それぞれの端末は、ポインタ操作装置を備える。それぞれの端末は、ポインタ操作装置を介して、それぞれの端末毎に独立してポインタを表示する。また、それぞれの端末は、それぞれの端末毎に独立してポインタを制御することができる。
【0028】
上記のような端末としては、当該技術分野において通常使用される任意の端末を使用することができる。たとえば、インターネットに接続可能なコンピュータを各端末として使用することができる。これらの端末は、たとえばキーボードなどの入力装置、CPUなどの制御装置、モニタなどの表示装置、メモリなどの記憶装置、モデムなどの通信装置およびプリンタなどの印刷装置などを備えたコンピュータシステムであることができる。また、端末は、カメラおよびマイクなどの入力装置、スピーカなどの出力装置をさらに備えることもできる。また、端末は、映像と音声を共有し、テレビ会議機能によるリアルタイムカンファレンを行うための任意の機能を有することができる。
【0029】
端末は、既存の装置を利用した端末であることもできる。たとえば、端末には、一般家庭において利用されるテレビ受像器およびコンピュータなどの既存の装置を利用することができる。端末は、このような既存の装置を本発明の遠隔医療支援システムの端末として使用可能にする端末であることができる。「遠隔医療支援システムの端末として使用可能にする」とは、別の用途のために使用されている既存の端末に対して、本発明の端末として使用することができるように、任意の装置を接続すること、任意のプログラムをインストールすること、および任意の機能を提供することをいう。たとえば、コンピュータの場合、コンピュータに本発明の遠隔医療支援システムの端末として機能させるためのプログラムをインストールすることにより、コンピュータを本発明の遠隔医療支援システムの端末として使用してもよい。また、USBメモリなどの記録メディアに本発明の遠隔医療支援システムの端末として機能させるためのプログラムを記憶しておき、使用者が記録メディアを挿入することにより、コンピュータを端末として使用できるようにしてもよい。
【0030】
その他、インターネットを介した通信などの双方向通信が可能な機能を有するテレビ受像器を端末として利用することができる。この場合も、本発明の遠隔医療支援システムとして機能させるためのプログラムをテレビ受像器にインストールすることにより、本発明の遠隔医療支援システムの端末として使用してもよい。また、USBメモリなどの記録メディアに本発明の遠隔医療支援システムの端末として機能させるためのプログラムを記憶しておき、一般使用者が記録メディアを挿入することにより、テレビ受像器を端末として使用できるようにしてもよい。
【0031】
また、携帯電話などのモバイル端末を利用することもできる。この場合も、本発明の遠隔医療支援システムとして機能させるためのプログラムをインストールすることにより、本発明の遠隔医療支援システムの端末として使用してもよい。
【0032】
本発明の遠隔医療支援システムに使用される端末は、上記の機能を有する端末自体だけでなく、既存の装置を端末として使用可能にするための上記のような装置およびプログラムも含まれる。したがって、本明細書において、端末には、上記のように既存の装置を本発明の遠隔医療支援システムの一般端末として機能させるためのプログラムを記憶したUSBメモリなどの記録メディアも含まれる。また、端末は、一体となった端末としてだけでなく、複数個に分けられていてもよい。たとえば、上記のような記録メディアと下記に説明するような通信装置とを別々に提供することもできる。
【0033】
上記のように、本発明の遠隔医療支援システム1の端末は、互いに接続することができる接続装置を有する。本明細書において、接続とは、各端末が、データを送受信することができる状態でつながれていることを意味する。それぞれ端末による接続は、当該技術分野において通常使用される任意の接続手段5を介して接続することができる。たとえば、接続手段5は、ISDN、衛星回線、PHS、ADSL、FTTH、LANなどの様々な通信インフラを使用した接続であることができる。各端末の接続装置は、複数の端末間を同時に接続可能な接続装置であることができる。
【0034】
また、端末は、他の端末と通信することができる通信装置を備える。本明細書において、通信とは、各端末の使用者が、他の端末の使用者と文字、映像および音声の少なくとも1つを介して通信することを意味する。通信装置は、各端末の間で文字、映像および音声の少なくとも1つを介して通信することができる任意の既存の通信装置を使用することができる。たとえば、各端末にカメラおよびマイクなどの入力装置、スピーカおよびディスプレイなどの出力装置を備えることにより、それぞれの端末の操作者は、他の端末の操作者と通信することができる。また、端末の通信装置は、既存の装置が備えている通信機能を利用することができる。たとえば、双方向通信が可能な機能を有するテレビ受像器を利用する場合、該テレビ受像器のディスプレイおよびスピーカを介して通信することができる。入力装置および出力装置として、USBカメラおよびマイクなどの汎用機器を既存の装置にを接続することにより、端末を双方向で通信可能にすることができる。
【0035】
各端末は、複数の端末の間で同時に通信することができる通信装置を備えることができる。このような通信装置を備えていることにより、複数の端末の使用者が同時に通信することができる。また、2つの端末の使用者が通信しているときに、続いて別の端末の使用者とも通信することができる。
【0036】
本発明の遠隔医療支援システム1のそれぞれの端末は、医用画像を含む医療情報を互いに閲覧および送受信することができる画像送受信装置を備える。ここで、送受信とは、本明細書において、端末およびサーバーなどに保存されたデータを別の端末などに送信および受信することを意味し、別の端末で読み込むこと、コピーすること、保存すること、印刷することなどを含む。閲覧とは、本明細書において、端末およびサーバーなどに保存されたデータを別の端末で読み込んで、該端末のモニタなどで読み込んだデータを見ることができるが、該データをコピーすること、および保存することはできないことを意味する。本発明の遠隔医療支援システムにおいて、医療機関端末および医療支援施設端末は、各端末からデータを閲覧しかできないように設定しておくことにより、データを自由にコピーすることができず、高セキュリティーに保つことができる。
【0037】
また、本明細書において、医用画像を含む医療情報とは、各種レントゲン、CT、超音波および内視鏡などの画像などの医用画像を含む。特に、各種画像ファイリングシステム(PACS:Picture Archiving and Communication System)において保管、閲覧および管理することができる医用画像のデジタル情報を含む。これらの医用画像情報は、当業者に公知の種々のフォーマットの情報であることができる。たとえば、DICOM、JPEG、BMP、およびTIFFなどの各種形式のフォーマットの情報であることができるが、DICOM規格が好ましい。DICOM規格とは、Digital Imaging and Communication in Medicineの略で、医用画像と通信の標準規格である。DICOM規格を介して連携を図ることにより一元管理することが可能できる。
【0038】
上記のような端末による、医用画像を含む医療情報の閲覧および送受信は、それぞれの端末間で直接データを閲覧および送受信してもよいが、サーバーを介して閲覧および送受信することもできる。たとえば、図2に示したように、本発明の遠隔医療支援システム1は、端末2、端末3および端末4などの複数の端末と、これらの端末と接続手段を介して接続されたサーバー6から構成することもできる。このようなシステムの場合、医用画像を含む医療情報は、サーバー6において一括して保存および管理することもできる。高セキュリティーに保つために、サーバー6へのアクセスを、特定の端末に制限することもできる。また、サーバー6は、端末のデータをバックアップする機能を有することもできる。
【0039】
また、本発明の隔医療支援システム1が医用画像を含む医療情報を保存することができるサーバー6をさらに備える場合、それぞれの端末は、接続手段およびサーバー6を介して互いに通信することができる。
【0040】
本発明の隔医療支援システム1のそれぞれの端末は、上記のとおり、それぞれ独立してポインタを表示することができる。ポインタは、端末においてマウスなどのポインタ操作装置によって指し示し、および操作することができるポインタをいう。ポインタは、一般のコンピュータに表示される任意のポインタを含み、たとえばマウスポインタであることができる。
【0041】
本発明の隔医療支援システム1において、それぞれの端末は、それぞれ独立してポインタを表示し、かつ制御することができる。それぞれの端末において、ポインタは、そのポインタを操作している端末においてのみ表示されるのではなく、端末の数に応じて複数のポインタがそれぞれの端末に表示される。
【0042】
本発明の隔医療支援システム1において、それぞれの端末のポインタは、たとえば図3に示したように、いずれの端末のディスプレイにもそれぞれのポインタが表示され、また制御される。図3に示したように、端末2のディスプレイ25には、ポインタ操作装置23によって操作されるポインタ26だけでなく、端末3のインタ操作装置33によって操作されるポインタ36および端末4のインタ操作装置43によって操作されるポインタ46も表示される。すなわち、端末2では、ポインタ操作装置23の操作情報が端末2のディスプレイに送信され、その操作に応じて、ディスプレイ上のポインタ26が移動され、制御される。また、ポインタ操作装置23の操作情報は、各端末にも送信され、ポインタ操作装置23の操作情報を受信した端末のディスプレイにおいても、ディスプレイ上のポインタ26が移動され、制御される。
【0043】
また、本発明の隔医療支援システム1が医用画像を含む医療情報を保存することができるサーバー端末をさらに備える場合、それぞれの端末のポインタを操作することにより、そのポインタを操作している端末においてポインタが移動され、および制御されると共に、サーバー端末を介して他の端末にも操作情報が送信される。操作情報を受信した他の端末のディスプレイにおいても、ディスプレイ上のポインタが移動され、および制御される。
【0044】
複数のポインタは、それぞれがどの端末によって制御されるポインタであるか容易に識別できるように表示させることができる。たとえば、端末毎にポインタの色または形状を変更して表示させることができる。
【0045】
また、複数のポインタは、各端末の使用者が同時に各自の端末のポインタを操作および制御できるように構成することができる。
【0046】
複数のコンピュータにおいて複数のポインタを制御することができる手段は、当該技術分野において公知であり、任意の手段を使用して、複数のポインタを表示および制御することができる。複数のポインタは、たとえば一般的なコンピュータにおいて複数のポインタを表示し、および操作する手段を利用して、制御することができる。たとえば、図4に示したような処理によって制御することができる。それぞれの端末に備えられたポインタ操作装置からの操作情報の入力の有無が判断される。操作情報の入力があった場合は、まず各端末のポインタ制御手段に伝えられる。その操作情報は、ポインタ制御手段から当該端末の表示装置に伝えられると共に、接続装置を介して他の端末に伝えられる。操作情報が伝えられた端末では、その端末のポインタ制御手段を介して、表示装置に伝えられる。その結果、端末のマウスの操作により、当該端末の表示装置におけるマウスポインタが操作されると共に、隔医療支援システム1のその他の端末の表示装置におけるマウスポインタも同様に操作される。
【0047】
また、本発明の隔医療支援システム1がサーバー端末をさらに備える場合、以下のような処理によって制御することができる。まず、それぞれの端末に備えられたポインタ操作装置からの操作情報の入力の有無を判断する。操作情報の入力があった場合は、まず各端末のポインタ制御手段に伝えられる。その操作情報は、ポインタ制御手段から当該端末の表示装置に伝えられると共に、接続装置およびサーバーを介して他の端末に伝えられる。操作情報が伝えられた端末では、その端末のポインタ制御手段を介して、表示装置に伝えられる。その結果、端末のマウスの操作により、当該端末の表示装置におけるマウスポインタが操作されると共に、隔医療支援システム1のその他の端末の表示装置におけるマウスポインタも同様に操作される。
【0048】
一方、本発明の遠隔医療支援システムは、医用画像閲覧システムとして機能する。本発明の医用画像閲覧システムでは、医療機関端末および医療支援施設端末のそれぞれの間を、接続装置を介して接続することにより、医用画像を閲覧することができる。本発明の医用画像閲覧システムにより、たとえば医用画像の原画像を閲覧することができる。医用画像の原画像を閲覧するために、たとえば、本発明の遠隔医療支援システムは、Georgetown University Medical Centerにより開発され、米国KLTテレコム社により提供され、現在ViewSend社によって提供されている遠隔医療システム「ViewSend」などの技術を利用することができる。該技術を使用することにより、現在主流となっているJPEGデータへの画像を加工するWeb DICOMとは異なり、診療に耐え得るDICOM原画像を劣化させずに、原画像を高速に参照および閲覧することができる。
【0049】
また、本発明の遠隔医療支援システムは、医用画像を閲覧しながら、テレビ会議を行うことができるシステムとして提供することができる。たとえば、遠隔医療支援システムは、上記したように、カメラおよびマイクなどの入力装置、スピーカなどの出力装置をさらに備えることにより、各端末を使用する者の映像と音声を共有することができるようなシステムであることができる。その結果、各端末を使用する者の間で、テレビ会議機能によるリアルタイムカンファレンを行うことができる。たとえば、上記遠隔医療システム「ViewSend」の技術を使用すると共に、USBカメラおよびマイクなどの汎用機器を本発明の遠隔医療支援システムに備えることにより、テレビ会議が可能なシステムとして機能し、双方向で、DICOM原画像をはじめ、各種患者情報を見ながら診断や治療方法が検討できるようになる。
【0050】
また、本発明の遠隔医療支援システムは、医用画像だけでなく、一般のファイル情報も同時に閲覧することができるシステムとして提供することもできる。たとえば、上記のように、医用画像の原画像を閲覧することができるだけでなく、コンピュータにおいて使用される一般的な形式の種々のファイル情報も同時に閲覧することができる。上記ファイルは、一般的なコンピュータで読み込むことができる任意のファイル情報であることができる。このように、一般的形式のファイル情報を閲覧することができることにより、患者のデータ情報を共有することができると共に、遠隔地において病理診断や治療相談が可能になる。たとえば、カルテなどの患者情報や病気に関する情報を含むファイルを同時に閲覧することにより、より高い医療水準を確保することができる。
【0051】
本発明の隔医療支援システムは、上記のように複数のポインタをそれぞれの端末から操作することができるため、複数のポインタのそれぞれによって同時に医用画像およびファイル情報の操作を行うことができる。本発明の隔医療支援システムでは、各端末のポインタは、それぞれ独立して、たとえば、輝度調整(ウインドウレベル)、ズーム機能、パン・イメージ移動、白黒反転、擬似カラー、左右反転、上下反転、回転、心胸比計測(心胸郭比)、角度計測、長さ計測、長方形ROI計測および楕円形ROI計測などの医用画像の操作を行うことができる。それぞれの遠隔医療支援システムの利用者が、それぞれ独立したマウスのポインタを操作することができるため、それぞれの端末の利用者は、同時に、かつ容易に画像の説明および処理を行うことができる。
【0052】
上記のように、医用画像およびファイル情報をそれぞれの端末から同時に操作することができることにより、より高い医療水準で診断などを行うことができる。
【0053】
以下、本発明の遠隔医療支援システムの使用方法の一例を説明する。たとえば、図1に示した遠隔医療支援システムにおいて、端末2が医療機関において使用され、端末3が医療支援施設において使用され、端末4が患者などの一般使用者によって使用される場合を説明する。
【0054】
医療機関は、各種レントゲン、CT、超音波および内視鏡などの医用画像を含む医療情報を医療機関の端末2に読み込む。たとえばPACSにおいて保管、閲覧および管理されている医用画像のデジタル情報を医療機関の端末2に読み込む。上記の医療機関としては、たとえば上記医用画像から読影を行った結果を利用して、種々の診断・治療を行う医師および医療機関などが想定される。
【0055】
医療機関の端末2に医用画像を含む医療情報が読み込まれると、医療機関の端末2と医療支援施設の端末3は、各端末の接続装置を介して医療情報を共有することができる。
【0056】
一方、一般使用者は、端末4を介して、医療機関の端末2と通信することができる。たとえば、患者が自宅のテレビ受像器を端末4として使用し、医療機関の端末2を有する医師と通信することができる。本発明の遠隔医療支援システムは、複数の端末間で同時に通信することができるので、医療機関の端末2を使用する医療機関は、得意分野ではない患者からの通信であった場合、該医療機関は、さらに別の医療機関端末を有する医療機関と通信することにより、患者は適切な医師と通信することもできる。また、同時に複数の端末を介して複数の医療機関と通信することにより、複数の診断を行うこともできる。
【0057】
また、必要であれば、医療支援者の医療支援施設の端末3と接続することにより、読影などの医療支援を受けることができる。
【0058】
患者などの端末4の使用者と医療機関の端末2を使用する医師は、各端末のカメラおよびマイクなどの入力装置、並びにスピーカなどの出力装置を介して通信することができる。また、映像と音声を共有することにより、テレビ会議機能によるリアルタイムカンファレンを行うことができる。また、各端末からポインタを操作することができるため、それぞれの使用者がポインタによって医用画像を指し示し、診断および説明を行うことができる
【0059】
従って、本発明の遠隔医療支援システムによれば、患者および医師は、医療機関の端末2および一般使用者の端末4を介して、両者が対面している場合と同様に医師等による診断を受けることができる。必要であれば、医師は、患者と通信すると共に、さらに医療支援施設の端末3を有する医療支援者と通信すること、および別の医療機関端末2を有する医療機関と通信することにより、より適切な診断を行うことができる。その際に、それぞれの使用者がポインタを操作することができ、
【0060】
一方、上記遠隔医療支援システムは、コンピュータを、複数の端末から構成される、医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システムとして機能させるための遠隔医療支援プログラムであって、コンピュータを、それぞれの端末を、互いに接続可能な接続装置と、互いに医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置と、互いに通信することができる通信装置として機能させ、かつそれぞれの端末を、それぞれ独立してポインタを表示し、かつ制御することができるように機能させるための遠隔医療支援プログラムとして提供することができる。
【0061】
上記プログラムは、さらに、コンピュータを、上記ポインタがそれぞれの端末の表示装置において、それぞれの端末毎に識別可能に表示されるように処理されてもよい。
【0062】
上記プログラムは、さらに、コンピュータを、上記ポインタが、それぞれ独立して医用画像の操作を行うことができるように機能させるように処理されてもよい。
【0063】
上記プログラムは、任意の形態で提供することができる。たとえば、サーバーおよびハードディスクに記録された形態で提供することもできる。また、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として提供することもできる。端末がCPUなどの制御装置およびメモリなどの記憶装置を備えたコンピュータシステムで構成されている場合、CPUがメモリ内のプログラムを実行することで実現される。
【符号の説明】
【0064】
1・・・遠隔医療支援システム
2・・・端末、21・・・通信装置、22・・・接続装置、23・・・ポインタ操作装置、24・・・画像送受信装置、25・・・ディスプレイ、26・・・ポインタ
3・・・端末、31・・・通信装置、32・・・接続装置、33・・・ポインタ操作装置、34・・・画像送受信装置、35・・・ディスプレイ、36・・・ポインタ
4・・・端末、41・・・通信装置、42・・・接続装置、43・・・ポインタ操作装置、44・・・画像送受信装置、45・・・ディスプレイ、46・・・ポインタ
5・・・接続手段
6・・・サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末から構成される、医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システムであって、
それぞれの端末は、
互いに接続可能な接続装置と、
互いに医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置と、
互いに通信することができる通信装置と、
を備え、
それぞれの端末は、それぞれ独立してポインタを表示し、かつ制御することができる、遠隔医療支援システム。
【請求項2】
前記ポインタは、それぞれの端末の表示装置において、それぞれの端末毎に識別可能に表示される、請求項1に記載の遠隔医療支援システム。
【請求項3】
前記ポインタは、それぞれ独立して医用画像の操作を行うことができる、請求項1または2に記載の遠隔医療支援システム。
【請求項4】
前記医用画像を含む医療情報を保存することができるサーバー端末をさらに備え、
前記端末は、該サーバー端末を介して互いに前記医用画像を含む医療情報を送受信および開示でき、かつ前記端末は、該サーバー端末を介して互いに通信することができる、請求項1に記載の遠隔医療支援システム。
【請求項5】
前記ポインタは、それぞれの端末の表示装置において、それぞれの端末毎に識別可能に表示される、請求項4に記載の遠隔医療支援システム。
【請求項6】
前記ポインタは、それぞれ独立して医用画像の操作を行うことができる、請求項4または5に記載の遠隔医療支援システム。
【請求項7】
コンピュータを、
複数の端末から構成される、医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システムとして機能させるための遠隔医療支援プログラムであって、
前記コンピュータを、
それぞれの端末を、互いに接続可能な接続装置と、互いに医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置と、互いに通信することができる通信装置として機能させ、かつ
それぞれの端末を、それぞれ独立してポインタを表示し、かつ制御することができるように機能させるための遠隔医療支援プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
前記ポインタが、それぞれの端末の表示装置において、それぞれの端末毎に識別可能に表示されるように機能させる、請求項7に記載の遠隔医療支援プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータを、
前記ポインタが、それぞれ独立して医用画像の操作を行うことができるように機能させる、請求項7または8に記載の遠隔医療支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−25335(P2013−25335A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156202(P2011−156202)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(510147396)ViewSend ICT株式会社 (4)
【Fターム(参考)】