説明

遠隔操作システムおよびそのシステムを構成する車載端末装置

【課題】認証を受けた操作者の操作端末から送信される遠隔操作要求を所定の場合に限り操作者の再認証なしに受け付け遠隔操作の使い勝手を向上させることができる遠隔操作システムを提供すること。
【解決手段】操作端末Mからの遠隔操作要求に応じて車載装置V4、V5の遠隔操作を実行させる遠隔操作システム100は、操作端末Mを操作する操作者の認証を行う認証手段V10と、認証された操作者による1の遠隔操作要求に応じて遠隔操作を実行させる遠隔操作実行手段V11と、認証された操作者による他の遠隔操作要求に対して再度の認証が必要か否かを判定する認証要否判定手段V12とを備え、遠隔操作実行手段V11は、認証要否判定手段V12により認証が必要ないと判定された場合に、操作者の認証を行うことなく、他の遠隔操作要求に応じて遠隔操作を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作システムに関し、より詳細には、認証を受けた操作者の操作端末から送信される遠隔操作要求を操作者の再認証なしに受け付ける遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーが携帯可能な車両検索装置であって、ユーザーの認証を行う認証手段と、ユーザーの認証が行われた場合に、車載装置に対して車両の発見に必要な情報の送信を要求する遠隔制御手段と、車両の発見に必要な情報を受信する受信手段と、受信手段で受信した車両の発見に必要な情報により車両の位置情報をユーザーに通知する情報提供手段とを備える車両検索装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このように、上述の車両検索装置は、ユーザーに車両位置を提供する条件としてユーザーの認証を必要とし、車両を検索するための機能(以下、「車両検索機能」という。)の提供を正規のユーザーに限定することで、セキュリティ性を向上させている。
【特許文献1】特開2002−197566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両検索機能は、駐車場に駐車した自分の車を見つけるために利用される機能であり、ユーザーが車両に接近した場合に自動的にドアをアンロックさせるような付加機能を利用しない限り、車両検索機能を利用しようとする(遠隔操作要求を発する)度にユーザーの認証を要求すると機能の使い勝手を阻害してしまう場合も考えられる。特に、車両検索機能を短時間で頻繁に利用するような場合はなおさらである。
【0005】
係る問題に鑑み、本発明は、認証を受けた操作者の操作端末から送信される遠隔操作要求を所定の場合に限り操作者の再認証なしに受け付けるようにして遠隔操作の使い勝手を向上させることができる遠隔操作システムおよびそのシステムを構成する車載端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、第1の発明に係る遠隔操作システムは、操作端末からの遠隔操作要求に応じて車載装置の遠隔操作を実行させる遠隔操作システムであって、前記操作端末を操作する操作者の認証を行う認証手段と、前記認証手段により認証された操作者による1の遠隔操作要求に応じて遠隔操作を実行させる遠隔操作実行手段と、前記認証手段により認証された操作者による他の遠隔操作要求に対して再度の認証が必要か否かを判定する認証要否判定手段と、を備え、前記遠隔操作実行手段は、前記認証要否判定手段により認証が必要ないと判定された場合に、前記認証手段による操作者の認証を行うことなく、前記他の遠隔操作要求に応じて遠隔操作を実行させることを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明は、第1の発明に係る遠隔操作システムであって、前記認証要否判定手段は、前記認証手段により操作者の認証を行った時点からの経過時間に基づいて認証が必要か否かを判定することを特徴とする。
【0008】
また、第3の発明は、第1または第2の発明に係る遠隔操作システムであって、車両の位置に関する情報を取得する車両位置情報取得手段と、操作端末の位置に関する情報を取得する操作端末位置情報取得手段と、を備え、前記認証要否判定手段は、前記操作端末の位置と前記車両の位置との間の距離に基づいて認証が必要か否かを判定することを特徴とする。
【0009】
また、第4の発明は、第1乃至第3の何れかの発明に係る遠隔操作システムであって、前記遠隔操作要求はカーファインダ機能を実行させるための要求であることを特徴とする。
【0010】
また、第5の発明は、第1乃至第4の何れかの発明に係る遠隔操作システムであって、前記1の遠隔操作要求に対する遠隔操作の実行結果に、前記他の遠隔操作要求を行うためのハイパーリンクを付した電子メールを前記操作端末に通知する実行結果通知手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、第6の発明は、第5の発明に係る遠隔操作システムであって、前記ハイパーリンクの有効期間を制限するハイパーリンク制限手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第7の発明に係る車載端末装置は、操作端末からの遠隔操作要求に応じて車載装置の遠隔操作を実行させる遠隔操作システムを構成する車載端末装置であって、前記操作端末を操作する操作者の認証を行う認証手段と、前記認証手段により認証された操作者による1の遠隔操作要求に応じて遠隔操作を実行させる遠隔操作実行手段と、前記認証手段により認証された操作者による他の遠隔操作要求に対して再度の認証が必要か否かを判定する認証要否判定手段と、を備え、前記遠隔操作実行手段は、前記認証要否判定手段により認証が必要ないと判定された場合に、前記認証手段による操作者の認証を行うことなく、前記他の遠隔操作要求に応じて遠隔操作を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述の手段により、本発明は、認証を受けた操作者の操作端末から送信される遠隔操作要求を所定の場合に限り操作者の再認証なしに受け付けるようにして遠隔操作の使い勝手を向上させることができる遠隔操作システムおよびそのシステムを構成する車載端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、いくつかの実施例に分けて、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明に係る遠隔操作システムの構成例を示す図である。遠隔操作システム100は、車載端末装置V、通信センタCおよび操作端末Mから構成される。
【0016】
車載端末装置Vと通信センタCとの間は携帯電話用周波数等による無線通信が行われ、通信センタCと操作端末Mとの間は携帯電話用周波数等による無線通信または光ケーブルや同軸ケーブル等による有線通信が行われる。なお、車載端末装置Vと操作端末Mとの間は、特定省電力無線により直接通信が行われてもよい。
【0017】
車載端末装置Vは、制御部V1、送受信機V2および位置検出装置V3を有し、発光体制御装置V4および音響制御装置V5に接続される。
【0018】
制御部V1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、NVRAM(Non−Volatile RAM)等を備えたコンピュータである。
【0019】
送受信機V2は、車載端末装置Vおよび通信センタC、または、車載端末装置Vおよび操作端末Mの間の通信に使用される装置であり、携帯電話用周波数による通信センタCを介した操作端末Mとの通信、または、数十乃至数千メートルの操作範囲を有する特定省電力無線による操作端末Mとの直接通信を可能にする。
【0020】
位置検出装置V3は、車両の位置情報を検出するための装置であり、例えば、GPS受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号に基づいて車両位置(緯度、経度、高度)を測位・演算する。測位方法は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよいが、好ましくは精度の高い相対測位が用いられる。この際、車両位置は、舵角センサ、車速センサやジャイロセンサ等の各種センサの出力や、ビーコン受信機及びFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてもよい。
【0021】
発光体制御装置V4は、操作端末Mからの遠隔操作要求に応じて、ハザードランプ、ブレーキランプ、ヘッドライト、駐車灯、室内灯等の発光体の点灯、消灯を制御する車載装置である。
【0022】
音響制御装置V5は、操作端末Mからの遠隔操作要求に応じてホーン、ブザーまたは車載スピーカ等の音響装置を制御する装置である。
【0023】
ここで、「遠隔操作要求」とは、車載端末装置Vに接続される発光体制御装置V4、音響制御装置V5等の車載装置に所定の操作を実行させるために操作端末Mが通信センタC(車載端末装置V)に対して送信する信号であり、1の車載装置に対する遠隔操作要求のみからなるものであってもよく、複数の車載装置に対する遠隔操作要求からなるものであってもよい。
【0024】
遠隔操作により利用できる機能には、例えば、発光体制御装置V4により発光体を発光させたり音響制御装置V5により音響装置から音響を発生させたりして車両位置を周囲に報知するためのカーファインダ機能、ドアの解錠・施錠を行うドア制御機能、暖気運転のために一定時間エンジンを始動させるエンジン始動機能、エアコンの操作により車室内の温度を制御する車室内温度制御機能、直射日光により車室内の温度が上昇しないようサンシェードを操作するサンシェード機能等がある。
【0025】
通信センタCは、車載端末装置Vと操作端末Mとの間の通信を中継するための設備であり、制御部C1および送受信機C2を有し、制御部C1は、制御部V1と同様、車載端末装置Vからの情報または操作端末Mからの情報に基づいて所定の演算処理を実行することが可能なコンピュータである。
【0026】
操作端末Mは、車載装置を遠隔操作するための装置であり、例えば、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、ノートブックパソコン、トランシーバ等の操作端末であって、好適には所有者等が携帯可能なものであるが、デスクトップコンピュータや専用コンソール等、通信センタCにインターネットを介して有線接続された操作端末であってもよい。
【0027】
操作端末Mは、制御部M1、送受信機M2、表示装置M3および位置検出装置M4を有する。制御部M1は、車載端末装置Vの制御部V1と同様、CPU、RAM、ROM、NVRAM等を備えたコンピュータであり、送受信機M2は、車載端末装置Vおよび通信センタCとの間の通信に利用される。
【0028】
また、表示装置M3は、車載端末装置Vや通信センタCからの情報を表示するための装置であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイである。
【0029】
位置検出装置M4は、操作端末Mの位置情報を検出するための装置であり、車載端末装置Vの位置検出装置V3と同様、例えば、GPS受信機によりGPS衛星が出力するGPS信号に基づいて操作端末位置(緯度、経度、高度)を測位・演算する。
【0030】
次に、車載端末装置Vにおける制御部V1の構成例を示す図2を参照しながら、車載端末装置Vの制御部V1が有する認証手段V10、遠隔操作実行手段V11、認証要否判定手段V12、車両位置情報取得手段V13、操作端末位置情報取得手段V14および実行結果通知手段V15について説明する。
【0031】
認証手段V10は、操作端末Mを操作する操作者の認証を行うための手段であり、例えば、操作端末Mに認証画面を配信して操作者にパスワードを入力させるようにし、適切なパスワードが入力されることにより操作者を認証する。
【0032】
認証手段V10は、操作者の発する声の声紋に基づいて操作者を認証するようにしてもよく、操作端末Mに搭載された専用読み取り装置により操作者の静脈パターンや指紋を読み取って操作者を認証するようにしてもよく、或いは、操作端末Mに搭載されたカメラにより操作者を撮影し虹彩(瞳の外側の模様)や顔を認識して操作者を認証するようにしてもよい。
【0033】
遠隔操作実行手段V11は、操作端末Mからの遠隔操作要求に応じて車載装置の操作を実行させるための手段であり、例えば、発光体制御装置V4によりハザードランプを所定時間(例えば、2分)点滅させたり、音響制御装置V5によりホーンを所定間隔(例えば、30秒)で断続的に吹鳴させたりする。
【0034】
認証要否判定手段V12は、既に認証を受け遠隔操作を実行させた操作者から操作端末Mを介して別の遠隔操作要求を受信した場合に、遠隔操作実行手段V11によって、別の遠隔操作を実行させる前に操作者の再認証を要求するか否かを判定する手段であり、例えば、既に認証を受けた操作者が最初に遠隔操作要求を行った時点からの経過時間が、所定時間(例えば、24時間)を超過するまでは、操作者の再認証が必要ないと判定して、遠隔操作実行手段V11によりその遠隔操作を実行させる。なお、経過時間は、認証手段V10により操作者の認証が行われた時点や操作端末Mが遠隔操作の実行結果を受信した時点からの経過時間であってもよい。
【0035】
所定時間以内であれば、既に認証を受けた操作者による遠隔操作要求であると推定でき、一定のセキュリティ性を確保しながらも、認証画面の配信、パスワード入力といった認証に関する処理を省略することで操作者の利便性を向上させることができるからである。
【0036】
この場合の遠隔操作は、カーファインダ機能やサンシェード機能等、実行させてもセキュリティ上問題のない機能に限定してもよい。ドア制御機能のように操作者の認証なしにドアの解錠を遠隔操作により実行させた場合、車両盗難の危険にさらされる場合があるからである。
【0037】
また、認証要否判定手段V12は、操作端末Mと車載端末装置V(車両)との間の距離が所定値未満の場合に、操作者の再認証が必要ないと判定して、遠隔操作実行手段V11により遠隔操作を実行させるようにしてもよい。操作者が車両近辺に存在するので、既に認証を受けた操作者による遠隔操作要求であると推定できるからである。
【0038】
また、認証要否判定手段V12は、操作端末Mと所定位置(例えば、勤務先または自宅等)との間の距離が所定値(例えば、100メートル)未満の場合に、操作者の再認証が必要ないと判定して、遠隔操作実行手段V11により遠隔操作を実行させるようにしてもよい。操作端末M(操作者)が自宅等に近在するので、既に認証を受けた操作者による遠隔操作要求であると推定できるからである。
【0039】
反対に、認証要否判定手段V12は、操作端末Mが所定の地理的範囲内(例えば、繁華街等)にあるときに、操作者の再認証が必要であると判定して、遠隔操作実行手段V11により遠隔操作を実行させるために、パスワードの入力等による操作者の再認証を求めるようにしてもよい。比較的盗難に遭う機会も多いと考えられ、セキュリティ性を低下させないようにするためである。
【0040】
また、認証要否判定手段V12は、所定の時間帯や曜日には操作者の再認証が必要ないと判定して、遠隔操作実行手段V11により遠隔操作を実行させるようにしてもよい。操作者の行動パターンに合わせて、セキュリティ性と利便性とのバランスをとるためである。
【0041】
車両位置情報取得手段V13は、車両位置に関する情報を取得するための手段であり、例えば、位置検出装置V3からの信号を受信して車両位置に関する情報を取得する。
【0042】
操作端末位置情報取得手段V14は、操作端末位置に関する情報を取得するための手段であり、例えば、位置検出装置M4からの信号を受信して操作端末位置に関する情報を取得する。
【0043】
実行結果通知手段V15は、遠隔操作要求に応じて車載端末装置Vが実行した遠隔操作の実行結果を操作端末Mに通知するための手段であり、例えば、適切にカーファインダ機能が実行された旨、或いは、発光体制御装置V4の故障によりカーファインダ機能が実行できなかった旨を電子メールにより操作端末Mに通知する。
【0044】
実行結果通知手段V15は、遠隔操作(例えば、カーファインダ機能)の再実行を促すハイパーリンクを電子メールに付して操作端末Mに通知するようにしてもよい。操作者の利便性を向上させるためであり、認証要否判定手段V12により再認証が必要ないと判定される場合、操作者は、1回のクリック操作でカーファインダ機能を再実行させることができる。
【0045】
なお、実行結果通知手段V15は、先行する遠隔操作の実行結果が適切に実行された旨を通知する場合にのみ、再実行を促すハイパーリンクを付すようにし、先行する遠隔操作の実行結果が適切に実行できなかった旨を通知する場合には再実行を促すハイパーリンクを付さないようにしてもよい。実行できなかった原因となる問題(例えば、発光体制御装置V4の故障がある。)を解消しない限り再度の実行を試みたところでその操作が無駄となってしまうからである。
【0046】
次に、図3を参照しながら、操作端末M、通信センタCおよび車載端末装置Vの間の信号の送受信、並びに、操作端末M、通信センタCおよび車載端末装置Vで実行される処理について説明する。
【0047】
図3は、図面上部から図面下部に向かって時間経過を示し、左端に操作端末M、中央に通信センタC、右端に車載端末装置Vで実行される処理の内容を示し、その間の矢印により信号の送受信を示す。
【0048】
最初に、操作端末Mは、遠隔操作(例えば、カーファインダ機能)を実行させるために、通信センタCを介して車両端末装置Vに遠隔操作要求を送信する(SG1)。車載端末装置Vは、その遠隔操作要求を受信すると、認証要否判定手段V12により操作者の認証が必要か否かを判定する(P1)。この遠隔操作要求は操作端末Mから初めて送信されたものなので、認証要否判定手段V12により認証が必要であると判定され、車載端末装置Vは、操作端末Mに対し認証要求を行う(SG2)。
【0049】
認証要求を受信した操作端末Mは、表示装置M3に認証画面を表示させ操作者に対してパスワードの入力を要求し、入力されたパスワードを車載端末装置Vに送信する(SG3)。
【0050】
車載端末装置Vは、パスワードを受信してパスワードが適切であるか否かを判定し、パスワードが適切である場合には、操作者を認証できたとして、遠隔操作要求に応じてカーファインダ機能を実行する(P2)。一方、パスワードが不適切である場合、車載端末装置Vは、カーファインダ機能を実行することなく、パスワードが不適切である旨を操作端末Mに通知する。
【0051】
なお、遠隔操作できる機能が複数ある場合、適切なパスワードの受信により操作者を認証した車載端末装置Vは、操作端末Mに遠隔操作メニュー画面を送信して実行すべき遠隔操作を選択させるようにしてもよい。この場合、操作者は、操作端末Mにおいて所望の遠隔操作(カーファインダ機能)を選択し、その選択内容を車載端末装置Vに送信する。そして、その選択内容を受信した車載端末装置Vは、走者者が選択した内容が正しいことを確認させるための確認画面を操作端末Mに送信する。操作者は、操作端末Mの表示装置M3に表示される確認画面において自身が選択した遠隔操作の内容がカーファインダ機能であることを確認し最終的な実行命令を車載端末装置Vに送信する。その後、実行命令を受信した車載端末装置Vは、カーファインダ機能を実行する。
【0052】
カーファインダ機能を実行した後、車載端末装置Vは、実行結果通知手段V15によりカーファインダ機能の実行結果を操作端末Mに通知する(SG4)。実行結果は、カーファインダ機能が正常に機能したか否かを通知するメッセージと共に、カーファインダ機能の再実行を促すハイパーリンクを付した電子メールの態様で操作端末Mに通知される(図4参照。)。
【0053】
実行結果の通知を受信した時点から所定時間(例えば、24時間)が経過する前に操作者がカーファインダ機能の再実行を促すハイパーリンクをクリックした場合、操作端末Mは、遠隔操作要求を車載端末装置Vに送信する(SG5)。
【0054】
再度の遠隔操作要求を受信した車載端末装置Vは、認証要否判定手段V12により操作者の認証が必要か否かを判定する(P3)。この遠隔操作要求は、操作端末Mが実行結果の通知を受けてから所定時間(例えば、24時間)以内に再送されたものなので、認証要否判定手段V12により認証は必要でないと判定され、車載端末装置Vは、操作者の認証を要求することなく、カーファインダ機能を実行し(P3)、カーファインダ機能の実行結果を操作端末Mに通知する(SG6)。
【0055】
この構成により、遠隔支援システム100は、本来ならば認証画面を操作端末Mに配信してパスワードの入力を要求するところ、その処理を省略することができるので、操作者の負担を軽減し、また、操作端末Mと車載端末装置Vとの間の通信量を低減させることができる。
【0056】
また、遠隔操作できる機能が複数あり、その中でもカーファインダ機能を再度実行させたいような場合には、本来ならば、車載端末装置Vによる認証画面の配信、操作者によるパスワードの入力、車載端末装置Vによる遠隔操作メニュー画面の配信、操作者による遠隔操作の選択、車載端末装置Vによる確認画面の配信、操作者による最終確認といった一連の処理が必要となるが、遠隔支援システム100は、それらの処理を省略することができるので、操作者の負担を大幅に軽減し、また、操作端末Mと車載端末装置Vとの間の通信量を大幅に低減させることができる。
【0057】
一方、実行結果の通知を受信した時点から所定時間(24時間)が経過した後に操作者がカーファインダ機能の再実行を促すハイパーリンクをクリックした場合、操作端末Mは、遠隔操作要求を車載端末装置Vに送信する(SG7)。
【0058】
再度の遠隔操作要求を受信した車載端末装置Vは、認証要否判定手段V12により操作者の認証が必要か否かを判定する(P4)。この遠隔操作要求は、操作端末Mが実行結果の通知を受けてから所定時間(例えば、24時間)経過した後に再送されたものなので、認証要否判定手段V12により認証が必要であると判定され、車載端末装置Vは、操作端末Mに対し認証要求を行う(SG8)。
【0059】
その後は上述の処理と同様に、認証要求を受信した操作端末Mは、表示装置M3に認証画面を表示させ操作者に対してパスワードの入力を要求し、入力されたパスワードを車載端末装置Vに送信する(SG9)。また、車載端末装置Vは、パスワードを受信してパスワードが適切であるか否かを判定し、パスワードが適切である場合には、操作者を認証できたとして、遠隔操作要求に応じてカーファインダ機能を実行し(P5)、実行結果を操作端末Mに通知する(SG10)。
【0060】
この構成により、遠隔支援システム100は、再認証の省略を所定時間に限って許可するので、操作端末Mを紛失してしまった場合における第三者による遠隔操作の濫用を防止することができる。また、実行結果の通知を受信した時点から所定時間が経過した後に、認証を受けた操作者が誤って遠隔操作を再実行させてしまうのを防止することができる。
【0061】
次に、図4を参照しながら端末装置Mの表示装置M3に表示される実行結果の通知内容について説明する。図4に示す実行結果の例は、カーファインダ機能が正常に機能した場合のものであり、カーファインダ機能が正常に機能した旨を伝えるメッセージ、カーファインダ機能が実行された日時、カーファインダ機能の再実行を促すメッセージ、再実行のためのハイパーリンク、実行結果の詳細閲覧を促すメッセージ、および、詳細閲覧のためのハイパーリンクで構成される。
【0062】
再実行のためのハイパーリンクおよび詳細閲覧のためのハイパーリンクは、下線を付した状態で表示され、通常のメッセージとの差別化が図られている。
【0063】
なお、実行結果の詳細とは、例えば、再認証なしで実行させたカーファインダ機能の実行回数、前回カーファインダ機能を実行させた日時等である。
【0064】
以上の構成により、遠隔操作システム100は、一旦認証を受けて遠隔操作を実行させた操作者が再度遠隔操作を実行させようとする場合に、所定の時間的または空間的条件を満たす場合に限り、再認証を要求することなくその遠隔操作を実行させることができるので、一定のセキュリティ性を確保しながらも、操作者の利便性を向上させることができる。
【実施例2】
【0065】
図5は、実施例2に係る遠隔操作システムにおける、操作端末M、通信センタCおよび車載端末装置Vの間の信号の送受信、並びに、操作端末M、通信センタCおよび車載端末装置Vで実行される処理を説明するための図であり、図面上部から図面下部に向かって時間経過を示し、左端に操作端末M、中央に通信センタC、右端に車載端末装置Vで実行される処理の内容を示し、その間の矢印により信号の送受信を示す。
【0066】
なお、実施例1において車載端末装置Vの制御部V1に配置された認証手段V10、遠隔操作実行手段V11、認証要否判定手段V12、車両位置情報取得手段V13、操作端末位置情報取得手段V14および実行結果通知手段V15は、それぞれ、認証手段C10、遠隔操作実行手段C11、認証要否判定手段C12、車両位置情報取得手段C13、操作端末位置情報取得手段C14および実行結果通知手段C15として、通信センタCの制御部C1に配置されているものとする。
【0067】
最初に、操作端末Mは、遠隔操作(例えば、カーファインダ機能)を実行させるために、通信センタCに遠隔操作要求を送信する(SG11)。通信センタCは、その遠隔操作要求を受信すると、認証要否判定手段C12により操作者の認証が必要か否かを判定する(P11)。この遠隔操作要求は操作端末Mから初めて送信されたものなので、認証要否判定手段C12により認証が必要であると判定され、通信センタCは、操作端末Mに対し認証要求を行う(SG12)。
【0068】
認証要求を受信した操作端末Mは、表示装置M3に認証画面を表示させ操作者に対してパスワードの入力を要求し、入力されたパスワードを通信センタCに送信する(SG13)。
【0069】
通信センタCは、パスワードを受信してパスワードが適切であるか否かを判定し、パスワードが適切である場合には、操作者を認証できたとして(P12)、遠隔操作要求を車載端末装置Vに送信し(SG14)、車載端末装置Vにカーファインダ機能を実行させる(P13)。一方、パスワードが不適切である場合、通信センタCは、車載端末装置Vに遠隔操作要求を送信することなく、パスワードが不適切である旨を操作端末Mに通知する。
【0070】
カーファインダ機能を車載端末装置Vに実行させ、その実行結果を車載端末装置Vから受信した後、通信センタCは、実行結果通知手段C15によりその実行結果(図4参照。)を操作端末Mに通知し、かつ、車両位置情報取得手段C13により車載端末装置Vの位置検出手段V3を介して取得した車両位置情報を操作端末Mに通知する(SG15)。
【0071】
操作者がカーファインダ機能の再実行を促すハイパーリンクをクリックした場合、操作端末Mは、遠隔操作要求と位置検出手段M4が検出した操作端末位置情報とを通信センタCに送信する(SG16、SG19)。
【0072】
再度の遠隔操作要求と操作端末位置情報とを受信した通信センタCは、認証要否判定手段C12により操作者の認証が必要か否かを判定する(P14、P16)。
【0073】
認証要否判定手段C12は、車両位置情報取得手段C13により取得した車両位置情報と操作端末位置検出手段C14により操作端末Mの位置検出手段M4を介して取得した操作端末位置情報とに基づいて、車載端末装置V(車両)と操作端末Mとの間の距離を算出し、算出された距離が所定値(例えば、30m)未満の場合には、操作者の認証は必要ないと判定する(P14)。
【0074】
認証要否判定手段C12により操作者の認証が必要ないと判定されると、通信センタCは、車載端末装置Vに遠隔操作要求を送信し(SG17)、車載端末装置Vに遠隔操作を実行させる(P15)。その後、通信センタCは、実行結果通知手段C15により実行結果および車両位置情報を操作端末Mに通知する(SG18)。
【0075】
一方、認証要否判定手段C12は、算出された距離が所定値(例えば、30m)以上の場合には、操作者の認証が必要であると判定する(P16)。
【0076】
認証要否判定手段C12により認証が必要であると判定されると、通信センタCは、操作端末Mに対し認証要求を行い(SG20)、認証要求を受信した操作端末Mは、表示装置M3に認証画面を表示させ操作者に対してパスワードの入力を要求し、入力されたパスワードを通信センタCに送信する(SG21)。
【0077】
通信センタCは、パスワードを受信してパスワードが適切であるか否かを判定し、パスワードが適切である場合には、操作者を認証できたとして(P17)、遠隔操作要求を車載端末装置Vに送信し(SG22)、車載端末装置Vにカーファインダ機能を実行させる(P18)。その後、通信センタCは、実行結果通知手段C15により実行結果および車両位置情報を操作端末Mに通知する(SG23)。
【0078】
以上の構成により、実施例2の遠隔操作システムは、一旦認証を受けて遠隔操作を実行させた操作者が再度遠隔操作を実行させようとする場合に、車両から所定の地理的範囲内に操作端末Mが存在する限り、再認証を要求することなくその遠隔操作を実行させることができるので、一定のセキュリティ性を確保しながらも、操作者の利便性を向上させることができる。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0080】
例えば、上述の実施例では、操作端末Mが遠隔操作の実行結果の通知を受信した時点からの経過時間に基づいて車載端末装置Vにおける認証要否判定手段V12が認証の要否を判断するが、操作端末Mの制御部M1に配置されたハイパーリンク制限手段が、操作端末Mが実行結果を受信した時点からの経過時間に基づいて、電子メールに付されたハイパーリンクを経由する遠隔操作要求の発信を制限するようにし、例えば、24時間が経過した後は、ハイパーリンクを無効とするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る遠隔操作システムの構成例を示す図である。
【図2】車載端末装置における制御部の構成例を示す図である。
【図3】遠隔操作システムの処理の流れを示すシーケンス図(その1)である。
【図4】操作端末の表示装置に表示される実行結果の例を示す図である。
【図5】遠隔操作システムの処理の流れを示すシーケンス図(その2)である。
【符号の説明】
【0082】
100 遠隔操作システム
C 通信センタ
C1、M1、V1 制御部
C2、M2、V2 送受信機
M 操作端末
M3 表示装置
M4、V3 位置検出装置
P1〜P18 処理
SG1〜SG23 信号
V 車載端末装置
V4 発光体制御装置
V5 音響制御装置
V10 認証手段
V11 遠隔操作実行手段
V12 認証要否判定手段
V13 車両位置情報取得手段
V14 操作端末位置情報取得手段
V15 実行結果通知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作端末からの遠隔操作要求に応じて車載装置の遠隔操作を実行させる遠隔操作システムであって、
前記操作端末を操作する操作者の認証を行う認証手段と、
前記認証手段により認証された操作者による1の遠隔操作要求に応じて遠隔操作を実行させる遠隔操作実行手段と、
前記認証手段により認証された操作者による他の遠隔操作要求に対して再度の認証が必要か否かを判定する認証要否判定手段と、を備え、
前記遠隔操作実行手段は、前記認証要否判定手段により認証が必要ないと判定された場合に、前記認証手段による操作者の認証を行うことなく、前記他の遠隔操作要求に応じて遠隔操作を実行させる、
ことを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項2】
前記認証要否判定手段は、前記認証手段により操作者の認証を行った時点からの経過時間に基づいて認証が必要か否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
車両の位置に関する情報を取得する車両位置情報取得手段と、
操作端末の位置に関する情報を取得する操作端末位置情報取得手段と、を備え、
前記認証要否判定手段は、前記操作端末の位置と前記車両の位置との間の距離に基づいて認証が必要か否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記遠隔操作要求は、カーファインダ機能を実行させるための要求である、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記1の遠隔操作要求に対する遠隔操作の実行結果に、前記他の遠隔操作要求を行うためのハイパーリンクを付した電子メールを前記操作端末に通知する実行結果通知手段
を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記ハイパーリンクの有効期間を制限するハイパーリンク制限手段
を備えることを特徴とする請求項5に記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
操作端末からの遠隔操作要求に応じて車載装置の遠隔操作を実行させる遠隔操作システムを構成する車載端末装置であって、
前記操作端末を操作する操作者の認証を行う認証手段と、
前記認証手段により認証された操作者による1の遠隔操作要求に応じて遠隔操作を実行させる遠隔操作実行手段と、
前記認証手段により認証された操作者による他の遠隔操作要求に対して再度の認証が必要か否かを判定する認証要否判定手段と、を備え、
前記遠隔操作実行手段は、前記認証要否判定手段により認証が必要ないと判定された場合に、前記認証手段による操作者の認証を行うことなく、前記他の遠隔操作要求に応じて遠隔操作を実行させる、
ことを特徴とする車載端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−280110(P2007−280110A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106462(P2006−106462)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】