説明

遠隔操作装置および熱源機

【課題】表示領域の拡張や操作性・利便性の低下を伴うことなくエネルギ等の消費量の表示をトップ画面で行い得るリモコンを提供することにより、ユーザの省エネルギー志向に適応した熱源機を提供する。
【解決手段】一の表示領域にガス、水道、電気などのエネルギ等の消費量のデータと上記エネルギ等の消費量以外の他のデータを切り替えて表示可能な表示部5を備えた熱源機2のリモコン1において、制御部4は、表示部5の表示領域Cに現在時刻(他のデータ)を表示させているときに、いずれかのエネルギ等の消費量に所定条件を満たす変動があったときは、当該所定条件を満たす変動のあったエネルギ等の消費量のデータを、現在時刻の表示に代えて所定時間だけ表示領域Cに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は遠隔操作装置および熱源機に関し、より詳細には、ガス、水道、電気などの消費量を表示する機能を備えた遠隔操作装置と当該遠隔操作装置を備えた熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、家庭用の給湯装置や温水暖房装置などの熱源機に備えられる遠隔操作装置(以下、「リモコン」と称する)には、その表示部に、熱源機や当該熱源機が設置される建物において消費されるガス、電気などのエネルギや水道(水道水)などの資源(以下、これらを「エネルギ等」と総称する。)の消費量(使用量)を表示する機能、いわゆるエネルギ等の消費量表示機能を備えたものが提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
一方、この種の熱源機のリモコンは、設置場所の確保やデザイン上の要請などから小型化される傾向があり、それに伴ってリモコンの表示部の表示領域(表示面積)も狭くなる傾向があるため、最近では、この種のリモコンは、表示部に表示する情報を階層的に構成し、階層の頂点にあるトップ画面(通常状態で表示する画面)には給湯設定温度や現在時刻など、リモコンの表示に求められる最低限の情報のみを表示するようにし、エネルギ等の消費量などトップ画面に表示できない他の情報は下位の階層、すなわち、ユーザによるリモコン操作に応じて選択される他の画面(トップ画面から切り替えて表示される画面)に表示するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−157502号公報
【特許文献2】特開2011−166504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のリモコンには以下のような問題があり、その改善が望まれていた。
【0006】
すなわち、上述したように、この種のリモコンのトップ画面には、通常、給湯設定温度や現在時刻など限られた情報のみが表示されるようになっているが、近時における省エネルギ志向の啓蒙・普及に伴って、リモコンのトップ画面にエネルギ等の消費量を表示させたいとの要望がある。
【0007】
このような要望に対しては、従来のトップ画面の表示項目にエネルギ等の消費量を追加することが考えられるが、それでは表示部の表示領域を拡張しなければならなくなり、リモコンの小型化の要請に反することになる。一方、従来のトップ画面の表示項目の一部をエネルギ等の消費量の表示に置き換えることも考えられるが、それではリモコン操作に必要な情報(たとえば、給湯設定温度)やユーザにとって有用な情報(たとえば、現在時刻)の一部がトップ画面で確認できなくなり、リモコンの操作性・利便性が損なわれるという問題がある。
【0008】
特に、リモコンの表示部として、表示内容があらかじめ設定された一定の文字や記号などに限られているキャラクタ表示タイプの表示装置が用いられている場合、トップ画面の表示項目の追加には、少なくともエネルギ等の消費量を表示するための表示領域(たとえば、7セグメント表示の表示領域)を別途設ける必要が生じるため、リモコンの小型化を阻害する要因となる。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、表示領域の拡張や操作性・利便性の低下を伴うことなくエネルギ等の消費量の表示をトップ画面で行い得るリモコンを提供することにより、ユーザの省エネルギー志向に適応した熱源機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のリモコンは、エネルギおよび/または資源の消費量を測定するエネルギ等消費量測定手段を備えるとともに、一の表示領域に上記エネルギ等消費量測定手段で測定されるエネルギ等の消費量のデータと上記エネルギ等の消費量以外の他のデータとを切り替えて表示可能な表示部を備えてなるリモコンにおいて、制御部は、上記表示領域に上記他のデータを表示させているときに、上記エネルギ等消費量測定手段で測定されるエネルギ等の消費量に所定条件を満たす変動があることを条件として、上記表示領域に上記所定条件を満たす変動のあった上記エネルギ等の消費量のデータを所定時間だけ表示させる制御構成を備えたことを特徴とする。
【0011】
すなわち、本発明に係るリモコンは、リモコンの表示領域にエネルギ等の消費量のデータ以外の他のデータ(たとえば、トップ画面で表示される現在時刻)を表示させているときに、上記エネルギ等消費量測定手段で測定されるエネルギ等(たとえば、ガス)の消費量に所定条件を満たす変動があったときは、当該変動のあったエネルギ等の消費量のデータ(たとえば、ガスの消費量の瞬時値)が所定時間だけ表示されるようになっているので、エネルギ等の消費がない場合やエネルギ等の消費があってもその消費量が上記所定条件を満たすには至らない場合には、上記表示領域にはトップ画面で表示する現在時刻の表示が維持される一方、エネルギ等の消費量の変動が上記所定条件を満たすような場合には、現在時刻の表示に代えて当該変動のあったエネルギ等の消費量のデータが所定時間の間だけ表示領域に表示される。なお、ここでエネルギ等消費量測定手段は、リモコン自体に内蔵してもよいが、リモコンの外部に専用のエネルギ測定手段を備えるように構成したり、あるいは、リモコン以外の機器(たとえば、熱源機)に備えられたエネルギおよび/または資源の消費量を測定する手段(たとえば、センサ類)を上記エネルギ等測定手段として用いるように構成することもできる。
【0012】
したがって、本発明に係るリモコンによれば、エネルギ等の消費量の変動が予め設定された所定条件を満たさないときは初期設定どおりの項目がトップ画面に表示されるので、トップ画面によるユーザの操作性・利便性は損なわれない。そして、エネルギ等の消費量に所定条件を満たす変動があったときには、当該エネルギ等の消費量のデータが表示領域に表示されるので、ユーザは当該エネルギ等の消費量の変動をトップ画面上で確認することができる。しかも、このときのエネルギ等の消費量の表示は所定時間だけ行われるので、エネルギ等の消費量のデータが表示されることに伴うリモコンの操作性・利便性の低下は短時間・最低限に抑制される。そして、本発明によるこのような利点は、エネルギ等の消費量の表示機能を備えたリモコンであれば、表示部の表示領域の拡張を伴うことなく、表示部の表示プログラムを変更するだけで容易に実現することができる。
【0013】
また、本発明のリモコンは、その好適な実施態様として、上記所定条件が上記エネルギ等の消費量が所定幅以上変化したこととされ、条件成就により上記表示領域に当該エネルギ等の消費量を表示させることを特徴とする。すなわち、この特徴を備えることにより、本発明のリモコンは、エネルギ等の消費量が所定幅以上に増加あるいは減少した場合には、当該消費量が急激に増加/減少したエネルギ等を確認できるようになる。なお、ここで上記表示領域に表示させるエネルギ等の消費量としては、たとえば、単位時間より短い期間におけるエネルギ等の消費量を単位時間あたりの消費量に換算した値(以下、この値を「瞬時値」と称する)を用いることができる。
【0014】
また、本発明のリモコンは、他の好適な実施態様として、上記所定条件が上記エネルギ等の消費量の積算値が所定値以上になることとされ、条件成就により上記表示領域に当該エネルギ等の消費量の積算値を表示させることを特徴とする。すなわち、この特徴を備えることにより、本発明のリモコンは、エネルギ等の積算消費量が一定値を超えたエネルギ等を確認できるようになる。
【0015】
また、本発明のリモコンは、他の好適な実施態様として、上記所定条件の成就によって上記表示領域に表示させるエネルギ等の種類が時間帯に応じて設定されていることを特徴とする。すなわち、この特徴を備えることにより、本発明のリモコンは、たとえば、入浴などでガスや水道水の消費量が増加することが予想される時間帯にはガスや水道水の消費量のデータが表示されるように設定したり、あるいは、エアコンなどの使用により電気の消費量が増加することが予想される時間帯は電気の消費量が表示されるように設定することができ、時間帯に応じて状況に合った(特に、消費量が増加する傾向にある)エネルギ等の消費量のデータを確認できるようになる。
【0016】
また、本発明のリモコンは、他の好適な実施態様として、上記所定条件の成就によって上記表示領域に表示されるエネルギ等の種類が、被操作機器の動作状態に応じて設定されていることを特徴とする。すなわち、この特徴を備えることにより、本発明のリモコンは、たとえば、被操作機器が給湯装置である場合には、給湯装置の給湯動作中には消費量が増加するエネルギ等(たとえば、ガスや水道水)の消費量のデータを表示するように設定することができ、給湯動作中に消費量の増加が予想されるエネルギ等の消費量を確認できるようになる。
【0017】
そして、これら上述した本発明のリモコンは、たとえば、給湯装置や温水暖房装置などの熱源機のリモコンとして好適に使用され得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エネルギおよび/または資源の消費量を測定するエネルギ等消費量測定手段を備えるとともに、一の表示領域に上記エネルギ等消費量測定手段で測定されるエネルギ等の消費量のデータと上記エネルギ等の消費量以外の他のデータとを切り替えて表示可能な表示部を備えてなるリモコンにおいて、制御部は、上記表示領域に上記他のデータを表示させているときに、上記エネルギ等消費量測定手段で測定されるエネルギ等の消費量に所定条件を満たす変動があることを条件として、上記表示領域に上記所定条件を満たす変動のあった上記エネルギ等の消費量のデータを所定時間だけ表示させる制御構成を備えているので、上記他のデータとして表示部のトップ画面に表示するデータを用いることにより、表示部の表示領域を拡張することなく、エネルギ等の消費量の変動がないときはトップ画面の表示を維持してトップ画面の操作性・利便性を保たれる一方、エネルギ等の消費量の変動があるとき(上記所定条件を満たすとき)は、当該エネルギ等の消費量のデータが表示領域に表示され、ユーザはトップ画面上でエネルギ等の消費量を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るリモコンを用いた熱源機システムの概略構成の一例を示す説明図である。
【図2】同リモコンの表示部の表示例を示す説明図であり、図2(a)は同表示部のトップ画面を、図2(b)は同表示部におけるエネルギ等の消費量の表示画面の一例をそれぞれ示している。
【図3】同リモコンにおけるエネルギ等の表示手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
図1は、本発明に係るリモコンを熱源機の遠隔操作に用いたシステムの概略構成の一例を示している。この図1に示す熱源機システムは、リモコン1と、熱源機2と、建物内で消費されるガス、電気などのエネルギおよび/または水道水などの資源(エネルギ等)の消費量(使用量)を測定するための測定ユニット3とを主要部として構成されている。
【0021】
リモコン1は、熱源機2の遠隔操作を行うための操作装置であって、リモコン1の各部を制御する制御部4と、図示しないリモコン1の操作部での操作内容や熱源機2の動作状況などを表示する表示部5とを主要部として備えている。なお、リモコン1には、これら制御部4および表示部5のほかに、リモコン1での各種操作を行うための上記操作部やリモコン1の各部に電力を供給する電源部など従来のリモコンが備える基本構成が備えられているが、本発明には直接関係しないのでここでは説明を省略する。
【0022】
制御部4は、リモコン1の各部を制御するための制御プログラムや制御データを備えたマイコン(図示せず)を有しており、この制御部4によって上記表示部5の表示内容が制御されるようになっている。この制御部4は、通信ケーブル7,7を介して上記熱源機2および測定ユニット3と通信接続されており、これら通信ケーブル7,7を介して、制御部4は上記熱源機2や測定ユニット3と制御信号や制御データのやり取りを行うように構成されている。また、この制御部4には、内部クロックを利用した時計機能が備えられており、この時計機能によって得られる現在時刻が上記表示部5(具体的には、後述する第3の表示領域C)に表示されるようになっている。なお、制御部4には、不揮発性の記憶領域を構成する不揮発性メモリ6が備えられており、この不揮発性メモリに後述するエネルギ等の消費量の積算値などのデータを記憶するようになっている。
【0023】
表示部5は、リモコン1の操作部での操作内容や熱源機2の動作状況などを表示するための表示装置であって、本実施形態では、この表示部5には、あらかじめ設定されたキャラクタを表示するキャラクタ表示タイプの表示装置(たとえば、液晶表示器)が用いられている。図2(a)は、この表示部5の表示例を示している。
【0024】
具体的には、図2(a)は、表示部5のトップ画面の一例を示している。この表示部5は、上述したように、表示する情報が階層的に構成されており、ユーザによって下位の階層にある情報の表示要求操作が行われると、当該要求のあった情報を含んだ下位の階層の画面が表示されるが、このような表示要求操作がなければ、表示部5にはこのトップ画面が表示されるようになっている。すなわち、熱源機2を構成する給湯装置が給湯待機状態のときや給湯運転中のときには通常このトップ画面が表示されるようになっている。なお、下位の階層における情報の表示は、主として、後述する第3の表示領域Cに備えられた7セグメント表示などを使って行われる。
【0025】
本実施形態に示すリモコン1では、このトップ画面には、熱源機2の状態を表示する第1の表示領域Aと、エネルギ等の消費量の概要を表示する第2の表示領域Bと、現在時刻を表示する第3の表示領域Cとが設けられている。
【0026】
第1の表示領域Aには、図示のように、カランおよび炎の図形表示と、「優先」および「℃」の文字表示と、給湯設定温度を表示するための2桁の7セグメント表示とが設けられている。
【0027】
第2の表示領域Bには、この表示領域Bで表示するエネルギ等の種類表示(図示例では種類表示として「電気」のみを図示しているが、「電気」の下には位置をずらして「ガス」、「お湯」などの種類表示が設けられている)と、当該種類表示で示されたエネルギ等の消費量を目標値との関係(目標値に対する割合)で5段階(5本のバー)で表示するグラフ表示とが設けられている。
【0028】
ここで、この第2の表示領域Bの表示に用いる上記目標値は、リモコン1の工場出荷段階であらかじめ制御部4に基準となる目標値を設定しておくことも可能であるが、本実施形態のリモコン1では、制御部4が熱源機2の使用状況などを学習して各エネルギ等について具体的な目標値を設定するように構成されている。たとえば、制御部4は、熱源機2および測定ユニット3から得られるガス、水道、電気などの各消費量を、それぞれ種類ごとに一定期間(たとえば、数日乃至十数日間)個別に積算して得た各積算値を、それぞれ単位期間(たとえば1日)あたりで平均して、各エネルギ等について種類ごとの目標値を設定するようになっている。この目標値は、定期的に再設定・更新されるようになっており、これにより、ユーザの具体的な使用環境(たとえば、ユーザの人数や冬季/夏季の季節など)に応じて、エネルギ等の種類ごとに適切な目標値の設定が可能になる。なお、この第2の表示領域Bに、「ガス」、「電気」、「お湯」(「お湯」は後述する熱源機2の入水流量)のいずれの消費量を表示させるかはユーザが適宜リモコン操作によって設定するようになっている。また、制御部4で設定された各エネルギ等ごとの目標値もユーザが適宜修正できるようになっている。
【0029】
第3の表示領域Cには、午前/午後の表示(図示例では午前を示す「AM」のみ図示している)と、現在時刻を表示するための4桁の7セグメント表示および時分の境を示す「:」の記号表示が設けられている。そして、この第3の表示領域Cは、後述するように、本実施形態ではエネルギ等の消費量の瞬時値を表示する表示領域も兼ねることから、午前を示す「AM」の横には、図示しないが、午後を示す「PM」のほかに、エネルギ等の消費量を表示する際に使用する単位の表示、具体的には、電気の消費量を示すときの単位である「kwh」の表示(図2(b)参照)や、ガスや水道の消費量を示すときの単位である「m3」の表示などがそれぞれ位置をずらして設けられていて、表示内容に応じて制御部4がこれらを切り替えて点灯させるようになっている。より詳細には、エネルギ等の消費量を表示するにあたっては、消費量を瞬時値で表示する場合と積算値で表示する場合とで単位表示を使い分けることができる。たとえば、電気の消費量の瞬時値を示す場合は「kw」、積算値を示す場合は「kwh」が用い、また、ガス、水道の消費量の瞬時値を示す場合は「m3/h」、積算値を示す場合は「m3」を用いることができ、このような単位の表示が第3の表示領域Cに設けられる。
【0030】
ここで、これらエネルギ等の消費量を表示する際に使用する単位の表示は、表示部5(具体的には、第3の表示領域C)において従来キャラクタ表示に使用されていなかった空きスペースを利用して行うように設定される。そのため、これら単位を表示するための空きスペースが少ない場合には、午前/午後の表示やこれら単位の表示の位置や大きさを適宜変更するなどして、可能な限り表示部5の大きさを変えずに、換言すれば、リモコン1の大型化を回避しつつ、単位表示ができるようにしている。
【0031】
熱源機2は、給湯装置や温水暖房装置などガスや石油などを燃料として水(水道水)や熱媒などを加熱昇温させる燃焼装置であって、本実施形態では、この熱源機2として給湯装置を用いている。ここで、給湯装置の基本的な構成は公知であるので詳細な説明は省略するが、本実施形態に示す熱源機(給湯装置)2は、当該熱源機2に供給される水道水の水量を検出する入水流量センサと、燃焼用のバーナに供給される燃料ガスのガス流量を検出するガス流量センサ(いずれも図示せず)を備えており、これら入水流量センサおよびガス流量センサで検出される入水流量およびガス流量の情報が熱源機2の制御部(図示せず)からリモコン1の制御部4に与えられるようになっている。なお、上記入水流量センサおよびガス流量センサは一般的な給湯装置に備えられている入水流量センサおよびガス流量センサを用いており、本実施形態では、これらが熱源機2で消費されるエネルギ等のエネルギ等消費量測定手段を構成している。また、ガス(燃料)の消費量については、燃料の流量を直接センサで測定する構成に代えて、たとえば、熱源機2の制御部が、熱源機2に供給される水の加熱用缶体(図示せず)の缶体温度(または、缶体設定温度)と入水温度の温度差および缶体流量(上記加熱用缶体を通過する水量)に基づいて缶体号数を計算し、この号数から所定の変換係数を用いて発熱量を求め、この発熱量を燃料の単位量あたりの発熱量で除算して燃料使用量を求めるように構成することもできる。この場合、熱源機2の制御部のほか、缶体温度を測定する缶体温度センサ(図示せず)と入水温度を測定する入水温度センサ(図示せず)と入水流量センサとがエネルギ等消費量測定手段を構成する。
【0032】
測定ユニット3は、リモコン1および熱源機2が設置される建物内(屋内)における全体のエネルギ等の消費量を測定するエネルギ等消費量測定手段を構成するものであって、本実施形態では、この測定ユニット3は、建物全体での電気の消費量を測定するように構成されている。すなわち、この測定ユニット3には、図示しない商用電源から上記建物(具体的には分電盤)に供給される電力を測定するための電流センサと電圧センサが備えられており、これら電流センサと電圧センサの測定値から建物内で消費される電力(電気の消費量)を演算し、その演算結果が上記通信ケーブル7を介してリモコン1の制御部4に与えられるようになっている。
【0033】
なお、本実施形態では、この測定ユニット3は建物全体の電気の消費量だけを測定するように構成した場合を示したが、たとえば、この測定ユニット3で建物全体のガス消費量や建物全体の水道の消費量を測定するように構成することもできる。すなわち、建物全体のガス消費量を測定する場合には、この測定ユニット3と建物のガスメータ(ガスの本管から建物に引き込まれる分岐配管に設けられるガスメータ)とを通信接続し(図1の一点鎖線参照)、ガスメータから得られる情報に基づいて建物全体のガスの消費量を測定してリモコン1の制御部4に送信するように構成される。また、建物全体の水道の消費量を測定する場合には、この測定ユニット3と建物の水道メータ(水道の本管から建物に引き込まれる分岐配管に設けられる水道メータ)とを通信接続し(図1の一点鎖線参照)、水道メータから得られる情報に基づいて建物全体の水道の消費量を測定してリモコン1の制御部4に送信するように構成される。
【0034】
また、建物に自家発電設備(たとえば、太陽光発電設備や燃料電池発電設備)が備えられている場合には、この測定ユニット3を自家発電設備と通信接続して(図1の二点鎖線参照)、自家発電設備から商用電源に売電される逆潮流電力(負の電力消費量)を測定してリモコン1の制御部4に送信するように構成することもできる。このように、測定ユニット3は、エネルギ等の消費量の測定を行う回路の具体的な構成を変更することによって測定するエネルギ等の種類を任意に選定することができ、どのエネルギ等の消費量を測定ユニット3で測定させるかは測定ユニット3の構成によって決定される。
【0035】
次に、このように構成された熱源機システムにおけるリモコン1の表示部5によるエネルギ等の消費量の表示について図3に基づいて説明する。
【0036】
上述したように、リモコン1におけるエネルギ等の消費量の表示は、主として上記第2の表示領域Bによって行われるが、本実施形態のリモコン1では、これに加えて、上記熱源機2から与えれるガス、水道の消費量および測定ユニット3から与えられる電気の消費量(すなわち、エネルギ等の消費量)のいずれかに、あらかじめ設定しておいた所定条件を満たすような変動があったときには、当該所定条件を満たす変動のあったエネルギ等の消費量のデータを所定時間の間だけ表示部5に表示するように構成している。
【0037】
具体的には、本実施形態では、この所定条件として、エネルギ等の消費量の瞬時値が所定幅以上変化したことを採用しており、エネルギ等の消費量の瞬時値が上記所定幅以上変化した場合(所定条件の条件成就の場合)には、表示部5の第3の表示領域Cに当該変動のあったエネルギ等の消費量の瞬時値を所定時間(たとえば、X秒)の間だけ表示するようにしている。
【0038】
図3は、第3の表示領域Cへのエネルギ等の表示手順を示すフローチャートである。この図3に示す例では、上記所定条件におけるエネルギ等の消費量の変動幅(上記所定幅)は可及的に小さく設定されており、エネルギ等の消費量の瞬時値がわずかでも変化した場合には当該変動のあったエネルギ等の瞬時値を表示部5に表示するようにしている。
【0039】
すなわち、リモコン1の制御部4は、表示部5にトップ画面を表示させると、そのときから、上記熱源機2から与えれるガス、水道の消費量の瞬時値および測定ユニット3から与えられる電気の消費量の瞬時値をそれぞれ一定周期(たとえば、数秒乃至数分程度の周期)で前回与えられたこれらの瞬時値と比較する(図3ステップS1参照)。
【0040】
そして、この判断の結果、前回与えられた瞬時値と今回新たに与えられた瞬時値とが一致していなければ(換言すれば、上記所定幅を超えてエネルギ等の消費量がわずかでも変動すれば)、当該変動のあったエネルギ等の消費量(ここでは、電気の消費量に変動があったと仮定する)の瞬時値を上記表示部5に表示させる期間を設定するタイマ(瞬時値表示タイマ)を上記所定時間(ここではX秒)にセットしてカウントを開始するとともに(図3ステップS2参照)、このタイマがカウントアップする(タイマ=0になる)までの間、上記表示部5の第3の表示領域に電気の消費量の瞬時値を表示する(図3ステップS5参照)。
【0041】
図2(b)は、このときのエネルギ等の消費量の表示例を示しており、図2(b)に示すように、第3の表示領域Cの7セグメント表示と単位表示の「kwh」とを用いて、電気の消費量の瞬時値(図示例では、「1.00kwh」)を表示する。そして、上記タイマがカウントアップする(タイマ=0になる)と、制御部4は、第3の表示領域Cにおけるエネルギ等の消費量の表示を解除して元の現在時刻の表示(図2(a)参照)に復帰させる(図3ステップS4参照)。
【0042】
このように、本実施形態に示すリモコン1では、制御部4に与えられるエネルギ等の消費量の変動が所定条件を満たさないときはトップ画面における現在時刻の表示が維持されるので、トップ画面におけるユーザの利便性は損なわれない。これに対し、エネルギ等の消費量の変動が上記所定条件を満たすときには、当該変動のあったエネルギ等の消費量のデータ(本実施形態では瞬時値)が上記表示部5の第3の表示領域Cに表示されるので、ユーザは変動のあったエネルギ等の消費量を表示部5のトップ画面上で確認することができる。しかも、このときトップ画面上のエネルギ等の消費量の表示は、所定時間(X秒)が経過すると現在時刻の表示に復帰するので、現在時刻の確認ができない時間は短時間に抑えられ、現在時刻を確認できないというリモコン1の利便性の低下は最小限に抑制される。
【0043】
なお、上述した例では、電気の消費量が所定幅以上変動した場合を示したが、熱源機2から与えられるガスの消費量が所定幅以上に変化した場合には熱源機2におけるガスの消費量の瞬時値が、また、熱源機2から与えられる水道の消費量が所定幅以上に変化した場合には熱源機2における水道(つまり、この場合は「お湯」)の消費量の瞬時値が、それぞれの単位表示「m3/h」とともに表示部5の第3の表示領域Cに所定時間X秒の間だけ表示される。付言すれば、上記測定ユニット3が上記ガスメータや水道メータと通信接続されている場合には、建物全体におけるガスや水道の消費量の変動に応じてそれらの消費量の瞬時値を表示させることができ、また、自家発電装置と通信接続されている場合には、逆潮流電力の瞬時値(電気の負の消費量)なども表示させることができる。
【0044】
また、上述した例では、エネルギ等の消費量の瞬時値の表示を表示部5の第3の表示領域Cの7セグメント表示を用いて行う場合を示したが、第1の表示領域Aに単位表示を設けるスペースを確保できるのであれば、第1の表示領域Aの7セグメント表示を用いてエネルギ等の消費量を表示するように構成することもできる。また、上述した例では、上記所定条件におけるエネルギ等の消費量の変動幅(上記所定幅)を可及的に小さく設定した場合を示したが、この変動幅はユーザによって適宜設定変更可能にしておくこともできる。すなわち、ユーザがエネルギ等の消費量のわずかな変動は気にしないときには、この変動幅を大きく設定しておくことで、エネルギ等の消費量のわずかな変動では表示部5にエネルギ等の消費量が表示されなくなるようにできる。そして、この設定に当たっては、ユーザはエネルギ等の種類ごとにこの変動幅を設定できるようにしておくことができ、これにより、たとえば、ユーザが消費量を特に気にしているエネルギ等がある場合には、当該気になるエネルギ等についての上記変動幅を小さく設定しておくことで、気になるエネルギ等についてだけわずかな変動でもその消費量が表示されるようにすることができる。
【0045】
さらに、上述した例では、瞬時値表示タイマでカウントする所定時間および制御部4においてエネルギ等の消費量の瞬時値を比較する周期(上記一定周期)はあらかじめ設定されていることを前提に説明したが、このれらの値もユーザによって適宜変更可能に構成しておくことができる。これにより、たとえば、エネルギ等の消費量の変動を重視するユーザは、上記所定時間を長く設定することでエネルギ等の消費量が表示される時間を延長し、その確認を容易にすることができ、また、上記一定周期を短く設定することで、エネルギ等の小刻みな変動も見逃すことなく表示部5に表示できるようになる。
【0046】
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態に示すリモコンは、上述した第1の実施形態のリモコン1において、エネルギ等の消費量のデータを表示するタイミングの決定に用いている上記所定条件の内容と、当該所定条件の条件成就時に表示部5に表示されるエネルギ等の消費量のデータの内容を改変したものであって、リモコン1、熱源機2および測定ユニット3の基本構成は上述した第1の実施形態と共通するので、構成が共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
すなわち、この第2の実施形態に示すリモコン1では、上記所定条件として、エネルギ等の消費量の積算値が所定値以上になることを条件にするとともに、この条件が成就したときに表示部5の第3の表示領域Cに表示するデータとして、当該所定条件を満たしたエネルギ等の消費量の積算値を表示するようにしている。
【0048】
ここで、エネルギ等の消費量の積算値は、たとえば、上述した第2の表示領域Bの表示に用いるために行っている各エネルギ等の積算値を用いることができる。すなわち、この第2の実施形態に示すリモコン1では、リモコン1の制御部4は、上記熱源機2から与えれるガス、水道の消費量と測定ユニット3から与えられる電気の消費量をそれぞれ一定期間(たとえば、1日)ごとに積算するように構成されており、その積算値のいずれかがあらかじめ設定された所定値以上になると、その時点で、当該所定値以上となったエネルギ等についての現在の積算値(すなわち、当日の積算値)を表示部5の第3の表示領域Cに表示するようにしている。
【0049】
ここで、この判定に用いる上記所定値としては、たとえば、上記第2の表示領域Bでの表示のために用いる上記目標値を用いることができるほか、この目標値を修正した値を使用することも可能である。たとえば、上記目標値を制御部4が自動的に修正して上記所定値を決定するように構成したり、あるいは、ユーザが上記目標値を修正して使用するように構成することもできる。
【0050】
なお、上述した例では、第1の実施形態における所定条件に代えて、本実施形態の条件、つまり、エネルギ等の消費量の積算値が所定値以上になることを用いる場合を示したが、第1の実施形態の所定条件と本実施形態の所定条件とを併用するように構成することもできる。つまり、リモコン1は、エネルギ等の消費量の瞬時値が所定幅以上変化したことを条件に当該変動のあったエネルギ等の消費量の瞬時値を第3の表示領域Cに表示するとともに、エネルギ等の消費量の積算値が所定値以上になったときは、それを条件に当該条件を満たしたエネルギ等の消費量の積算値を第3の表示領域Cに表示するように構成することもできる。
【0051】
実施形態3
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態に示すリモコンは、上述した第1の実施形態および第2の実施形態の改変例であって、この実施形態では、上記所定条件の成就によって表示部5に表示させるエネルギ等の種類が時間帯に応じて設定されるようにしている。その他の点は上述した第1および第2の実施形態と共通するので、構成が共通する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
すなわち、この第3の実施形態では、1日を複数の時間帯に分割し、それぞれの時間帯ごとに、上記所定条件を満たしたときに第3の表示領域Cに表示されるエネルギ等の種類を設定できるように構成している。
【0053】
たとえば、1日を、第1の時間帯(AM5:00〜AM9:59)、第2の時間帯(AM10:00〜PM2:59)、第3の時間帯(PM3:00〜PM9:59)、第4の時間帯(PM10:00〜AM4:59)に分割しておき、各時間帯ごとに上記所定条件を満たしたときに表示部5に表示させたいエネルギ等の種類を設定できるようにしている。これにより、たとえば、入浴などで温水がよく使われる第3の時間帯は水道の消費量、冷房で電気がよく使われる第2の時間帯は電気の消費量などと設定しておくことにより、当該時間帯では設定されたエネルギ等の種類についてだけ上記所定条件を満たしたときに当該エネルギ等の消費量の瞬時値および/または積算値が表示部5の第3の表示領域Cに表示されるようになる。
【0054】
実施形態4
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態に示すリモコンは、上述した第3の実施形態の改変例であって、この実施形態では、上記所定条件の成就によって表示部5に表示させるエネルギ等の種類がリモコン1の被操作機器(本実施形態では熱源機2を構成する給湯装置)の動作状態に応じて設定されるようにしている。その他の点は上述した第3の実施形態と共通するので、構成が共通する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
すなわち、この実施形態に示すリモコン1では、被操作機器の動作状態に応じて、たとえば、給湯動作中はガスおよび水道の消費量、給湯動作を行っていないときは電気の消費量などと設定しておくことにより、被操作機器の動作に応じて消費量が変化するエネルギ等に的を絞ってその消費量のデータを表示させることができるようになる。
【0056】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0057】
たとえば、上述した実施形態では、エネルギ等の消費量の表示として、消費量の瞬時値や積算値を表示する場合を示したが、制御部4の制御プログラムの設定により、エネルギ等の消費に伴う料金(費用)を表示するように設定することも可能である。すなわち、この場合、制御部4にはエネルギ等の消費量から料金を演算するプログラムやデータを格納しておき、これらを使ってエネルギ等の消費に伴う料金を表示部5に表示するように設定される。
【0058】
また、上述した実施形態では、エネルギ等の消費量が所定条件を満たしたときには、当該エネルギ等の消費量のデータが表示部5に表示される構成を示したが、この表示と併せてリモコン1に備えられるスピーカから所定の警告音などを出力し、表示部5の表示とともに音による報知を行うように構成することもできる。
【0059】
なお、上述した実施形態では、エネルギ等消費量測定手段は、リモコン1の外部に専用のエネルギ測定手段(測定ユニット3)を備える場合と、熱源機2のセンサ類(入水流量センサやガス流量センサなど)を用いた場合を示したが、エネルギ等測定手段はリモコン1自体に内蔵するよう構成することも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 リモコン(遠隔操作装置)
2 熱源機
3 測定ユニット(エネルギ等消費量測定手段)
4 制御部
5 表示部
6 不揮発性メモリ
7 通信ケーブル
A 第1の表示領域
B 第2の表示領域
C 第3の表示領域(一の表示領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギおよび/または資源の消費量を測定するエネルギ等消費量測定手段を備えるとともに、一の表示領域に前記エネルギ等消費量測定手段で測定されるエネルギ等の消費量のデータと前記エネルギ等の消費量以外の他のデータとを切り替えて表示可能な表示部を備えてなる遠隔操作装置において、
制御部は、前記表示領域に前記他のデータを表示させているときに、前記エネルギ等消費量測定手段で測定されるエネルギ等の消費量に所定条件を満たす変動があることを条件として、前記表示領域に前記所定条件を満たす変動のあった前記エネルギ等の消費量のデータを所定時間だけ表示させる制御構成を備えたことを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項2】
前記所定条件が前記エネルギ等の消費量が所定幅以上変化したこととされ、条件成就により前記表示領域に当該エネルギ等の消費量を表示させることを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記所定条件が前記エネルギ等の消費量の積算値が所定値以上になることとされ、条件成就により前記表示領域に当該エネルギ等の消費量の積算値を表示させることを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記所定条件の成就によって前記表示領域に表示させるエネルギ等の種類が時間帯に応じて設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
前記所定条件の成就によって前記表示領域に表示されるエネルギ等の種類が、被操作機器の動作状態に応じて設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の遠隔操作装置を備えたことを特徴とする熱源機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−113524(P2013−113524A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261344(P2011−261344)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)