説明

遠隔操作装置

【目的】 受信強度に応じて受信側では異なる実行処理を行う遠隔操作装置において、送信器が受信器から所定距離以上に離れた位置にて送信を開始した場合でも、受信側を受信モードに設定できるようにする。
【構成】 送信器1の自動モード指令釦Cを押すと、送信器1からは周期的に信号が出力される。送信器1が自動モード領域内に入ると、受信器3がこの信号を受信して自動車2のドアロックが解除される。また送信器1が自動領域外に移動すると、周期的な信号が受信器3にて受信されず、ドアがロックされる。ここで指令釦Cを押したとき最初に送信される1回または数回の信号の出力強度が高くなっている。よって送信器1が自動領域外の位置にて指令釦Cが押された場合でも、最初の信号が受信器3にて受信され受信器3が自動モード受信状態になる。その後送信信号が受信器3にて不受信の時点で、ドアロック動作が行われる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車のドアロック解除動作などを行うための遠隔操作装置に係り、例えば自動車などの受信部から所定範囲内または所定範囲外に移動することにより、その移動距離に応じて自動車などにおける所定動作を遠隔操作にて自動的に行えるようにした遠隔操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近自動車の遠隔操作装置が実用化されつつある。この遠隔操作装置は、自動車の使用者が小型の送信器を携帯し、自動車の近くで例えば送信器のドアロック解除釦を押すことにより送信器からは識別情報(IDコード信号)と指令情報(ドアロック解除信号)を含む信号がFM変調されるなどして送信される。そして、自動車には受信器が設けられており、前記送信器からの送信信号が受信されると、その信号内容が解読され、識別情報が一致していると判断されたときに、指令情報に関する実行信号を出力し、実行部の動作機構により例えばドアロックの解除が行われる。この遠隔装置は使用者がその都度操作釦を押さなければならない、いわゆる手動式のものである。上記従来の遠隔操作装置では、長い距離(例えば10メートル前後)からでも操作できるように、比較的高い出力の信号を送信するようにしている。
【0003】しかし、この装置では、送信器を所持している者が、その送信信号が自動車などに搭載された受信器に到達できる距離まで近づいた段階で、操作釦を押さなくてはならないため、使用者が自動車などに接近する距離を気にしていなくてはならない。また、例えば両手に荷物を持って自動車に近づく場合、または、両手に荷物を持って自動車から離れる場合等にあっては、一旦両手の荷物を置いてから送信器を操作しなくてはならなくなり不便である。
【0004】このような問題を解決するために、自動式の遠隔操作装置が考えられる。この自動式の遠隔操作としては、送信器から自動的に一定時間信号を送信し、使用者が自動車に比較的近い距離(3ないし4メートル前後)に近づいて、受信器が信号を受信できる状態となったときにドアロックの解除などを行い、また受信器が信号を受信できないときにはドアロック状態を継続するようにすればよい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような自動式の遠隔操作装置を採用した場合、使用者がドアロックを解除した状態で自動車から離れ、受信器の受信範囲を越えた距離から送信器を自動式のモードに設定したような場合には、自動式に設定した送信信号が自動車の受信器に届かなくなる。この場合、使用者が送信器を自動式のモードに設定したにもかかわらず、自動車のドアロックなどが行われない状態となり、使用者がこれに気付かずに自動車から遠く離れていってしまうことになる。
【0006】本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、送信器を所持している者が自動車などの操作対象からある程度離れた位置から送信モードに設定したような場合であっても、必らず受信器に自動式モードであることを認識させることができるようにした遠隔操作装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、送信開始時から間欠的に複数の信号を送信する送信器と、前記送信器から送信された複数の信号の受信強度が所定値以上か否かに応じて異なる実行処理を行う受信器とから成る遠隔操作装置であって、前記送信器から送信される複数の信号のうち送信開始時の少なくとも1回以上の信号の送信強度がそれ以後に送信される信号の送信強度よりも高く設定されることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】上記手段では、送信器から間欠的に信号が送信され、受信器ではこの信号の受信強度が所定値以上か否かによって異なる実行処理を行う。例えば自動車の遠隔操作装置の場合には、送信器が受信器から離れていて受信器にて所定の受信強度が得られない場合には、ドアロックを継続し、送信器が受信器に接近して受信器が所定の受信強度を得たときにドアロック解除動作が行われる。また送信器の送信開始時には少なくとも1回以上の信号が高い強度にて送信されるため、例えば本来は受信されない距離まで受信器から離れた位置で送信を開始したとしても前記強度の高い信号が受信器にて受信できるため、受信器側では送信器が送信状態になっていることを認識できる。
【0009】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面を参照して説明する。図1は送信器と操作対象となる自動車を示す外観図、図2は送信器の回路ブロック図、図3は受信器と実行部の回路ブロック図、図4は受信側の動作を示すフローチャート、図5と図6は送受信の信号の説明図である。図1において符号1は送信器である。符号2は操作対象となる自動車であり、この自動車2には、受信器3と、実行部となる動作機構4が搭載されている。送信器1は小型で携帯しやすいものであり、その表面に操作部11が設けられている。図2の回路ブロック図に示すように、送信器1は操作部11と、CPUを主体とした制御部12と、メモリ13と、自動設定データ生成部17と、手動設定データ生成部18と、送信部14と、アンテナ15ならびに電源16などから構成されている。
【0010】制御部12では、メモリ13に記憶されている所定の識別情報(IDコード)と、操作部11からの操作に対応した指令情報とを含む送信情報が合成される。この合成された信号のうち自動設定に対応した信号が自動設定データ生成部17に送られ、この自動設定データ生成部17により間欠的に送出される送信信号が生成される。また、手動設定に対応した信号が手動設定データ生成部18に送られ、例えば手動操作している間だけ送出される送信信号が生成される。さらに制御部12または自動設定データ生成部17には、間欠的な送信の開始から終了までの時間をきめるタイマーなどが設けられている。そして、各データ生成部により生成された送信信号は送信部14においてFM変調され、所定の周波数にてアンテナ15から送信される。
【0011】図1に示すように、送信器1の操作部11には、種々の操作釦が設けられている。この実施例においては、Aが手動モードによるドアロック指令釦、Bは手動モードによるドアロック解除の指令釦、Cは自動モードによるドアロックまたはドアロック解除を行うを自動モード指令釦である。なおドアロック以外の手動モードを設定する押釦を設け、この押釦によりトランクルームのロック解除、室内灯の点灯などを行うようにしてもよい。
【0012】前記指令釦Aを押した場合には、ドアロック始動の指令情報がメモリ13に記憶された識別情報とともに、制御部12を介して手動設定データ生成部18から連続的に例えば操作釦を押している時間だけ送出され、送信部14により外部に送信される。また、前記指令釦Bを押した場合には、その指令情報例えばドアロック解除の指令情報が識別情報とともに、制御部12を介して手動設定データ生成部18から連続的に例えば操作釦を押している時間だけ送出され、送信部14により外部に送信される。図5(A)は手動送信モードの送信信号を示している。
【0013】自動モード指令釦Cを押した場合には、自動モード指令信号がメモリ13に記憶された識別情報とともに、制御部12を介して自動設定データ生成部17に送出される。この自動設定データ生成部17では、メモリ13に記憶された識別情報と共に自動モード信号が間欠的に生成され、送信部14を経てアンテナ15から間欠的に送信される。図6(A)に示すようにこのときの送信信号は、最初の1回目の信号がHで示す高い送信強度となり、その後の信号はこれよりも弱い強度の信号となる。なお、高い送信強度の信号は最初の1回目の信号に限られず、例えば最初の2回あるいは3回などの信号の強度が高くてもよい。
【0014】図5(A)に示すように、指令釦A及びBを押したときの手動モードでは、比較的高い強度の送信信号が、例えば指令釦AまたはBを押している間(時間t)だけ連続して送信され、この比較的強い送信信号により、図1において手動操作領域として示すように、自動車2からある程度の距離離れた位置からドアロックならびにドアロック解除の操作ができるようになっている。
【0015】また、図6(A)に示すように自動モード指令釦Cを押したときにおける1回目の送信信号はHで示すように高い送信強度であり、この強度は、前記操作釦A及びBを押したときの出力とほぼ同じであり、図1において自動領域の距離から外れて手動操作領域と同じ距離からでも受信器3による受信が可能になっている。また2回目以降のLで示す低い強度の信号は、図1に示す自動領域の距離内から送信されたときに受信器3の受信レンジ内に入るようになっている。また図6(A)に示すように自動モード指令釦Cを押したときに送信される信号の長さt1は例えば0.5秒であり、これが送信される間隔t2は例えば1秒である。さらに図2に示す制御部12または自動設定データ生成部17に設けられたタイマーにより、H,L,L…で示す間欠信号が例えば15分間継続して出力されるようになっている。
【0016】図3は、自動車2に搭載されている受信器3と、実行部としての動作機構4の回路ブロック図である。受信器3では、アンテナ31にて受信された信号がフロントエンド32にて中間周波数帯域の信号となり、この中間周波数帯域の信号がIFアンプ33により増幅される。そして検波部34により検波され、データ成形部35によりデータ成形され、制御部36に送られる。制御部36はCPUを主体としたものであり、受信されてデータ成形部35から送られた信号の識別情報と、メモリ37に記憶されている識別情報とを比較し、一致したときに指令情報の処理を行う。また制御部36では受信された信号が手動モードによるものか自動モードによるものかの判別が行われる。この判別に基づいてそれぞれの処理動作を行う。そして制御部36における処理動作の結果、ドアロック機構などの動作機構4に制御信号が与えられ、自動車のドアロックやドアロック解除などが行われる。
【0017】IFアンプ33にはSメータ38が内蔵されており、このSメータ38により受信された信号の電界強度が測定され、その測定出力はA/D変換部39によりA/D変換されて制御部36に送られる。この電界強度の測定出力により、制御部36には所定の受信レベル値が設定されており、Sメータ38からの出力が所定値以上のときには、受信レベル値以上としてデータ生形部35からの受信信号を受信処理し、Sメータ38からの出力が所定値以下の場合に受信レンジ以下としてデータ生成部35からの受信信号は受信処理されない。このように図3の実施例では、制御部36に受信レベル値をしきい値として設定し、Sメータ38からの出力と比較して受信信号が受信レンジのものか否かの判断をしている。これにより、図6(A)に示す自動モード信号のうちの低い強度のLの送信信号は図1に示す自動領域以内の距離から送信されたときに受信器3により受信処理が行われ、このLの信号が自動領域から外れた位置から送信されたときには受信器3により受信処理されない。また図5(A)に示す手動モードの送信信号および図6(A)に示す自動モードの1回目の強度の高いLの信号は、図1に示す自動領域から外れ、手動操作領域の距離から送信された場合であっても、受信器3により受信処理される。
【0018】なお、受信器3の構成としては、Sメータ38により受信電界強度を測定して制御部36により基準レベル値と比較しないものであってもよい。すなわち受信器3の例えば受信信号の同調能力や受信信号の増幅能力により、受信器3の受信能力が所定の強度の信号のみを受信できるものにしておき、図6(A)に示す低い強度の送信信号Lについては図1の自動領域内の送信しか受信できないようにし、自動領域を外れた位置からの送信ではLの信号が受信レンジから外れるようにしてあってもよい。
【0019】次に上記遠隔操作装置の動作について説明する。以下の動作では、操作釦AまたはBまたはCを押して、自動車2のドアロック操作およびドアロックの解除操作を行う場合について説明する。送信器1の操作部11において手動モードのドアロック指令釦Aまたはドアロック解除の指令釦Bを押したときには、指令釦を押している時間tだけ制御部12から送信データが送りだされる(図5(A)参照)。この送信データは、メモリ13に設定されている固有の識別情報(IDコード)とこれに続く指定情報とから成るものであり、指令釦Aを押したときにはドアロックを始動させる指令情報が送信され、指令釦Bを押したときはドアロックを解除させる指令情報が送信される。この送信データは送信部14によりFM変調され、アンテナ15から送信される。このときの送信信号の強度は高く設定されており、自動車2からある程度離れた距離以内(図1の手動操作領域以内)で、自動車2の送信器3が受信処理可能な状態となる。
【0020】図3に示す受信器3では、上記送信信号がアンテナ31から受信され、フロントエンド32にて局部発振周波数と混合されて中間周波数帯域の信号が生成される。この中間周波数帯域の信号はIFアンプ33により増幅される。このIFアンプ33にて増幅された信号の電界強度はSメータ38により検出され、A/D変換部39によりディジタル値に変換されて制御部36に送られる。制御部36では、この電界強度の出力値と制御部内に設定されている受信レベル値とが比較され、一定の電界強度以上にて受信が行われているときに、図5(B)に示すように受信データを受信処理する。なお、受信器3自体の受信能力が所定のレンジに設定されている場合には、図1に示す手動操作領域の範囲内から前記手動モードの信号が送信されたときに、この信号が受信器3で受信できる状態となる。
【0021】制御部36では受信信号に含まれている識別情報(IDコード)と、メモリ37に記憶された識別情報(IDコード)とが比較され、識別情報が一致しているときに、受信されたデータ内の指令情報が解読され、図5(C)に示すタイミングにより動作機構4にドアロック指令またはドアロック解除の指令を与える。そして指令釦Aを押した信号の場合には動作機構4により自動車のドアがロックされ、指令釦Bを押した信号の場合には、動作機構4によりドアロックが解除される。
【0022】次に送信器1の操作部11の自動モード指令釦Cを使用した場合の動作について説明する。送信器1の操作部11の自動モード指令釦Cが押されると、図6R>6(A)に示すように制御部12を介して自動設定データ生成部17から間欠的に自動モード信号が出力され、これが送信部14にてFM変調されるなどしてアンテナ15から送信される。この自動モード信号の送信は、1回の信号がt1(例えば0.5秒)であり、この信号がt2(例えば1秒)の間隔で、周期的に送信される。そして制御部12または自動設定データ生成部17に設けられたタイマーにより、1回の指令釦Cの操作の度に、周期的な自動モード信号が一定時間(例えば15分間)継続して送信される。周期的に送信される自動モード信号のそれぞれは、メモリ13に記憶されている識別情報(IDコード)と自動モード設定であることを示す指令情報とから成るものである。またこの実施例では、周期的に送信される自動モード信号のうち最初の1回目の信号がHで示すように送信強度の高い信号であり、その後に継続する信号はLで示すように送信強度の低い信号となる。
【0023】送信器1を所持している者が、図1に示す自動領域内にいるときに前記指令釦Cが押された場合は、受信器3では、前記送信信号が受信される。この周期的な送信信号の最初の信号を受信したときに、受信器3の制御部36において、受信信号の識別情報とメモリ37に記憶された識別情報とが比較され、これが一致しているときに送信信号の指令情報を解読し、自動モードであると認識し、受信器3が自動モード受信状態に設定される。そして、受信器3が自動モードに設定された後、送信器1を所持している者が自動車2から遠ざかり、図1の自動領域外に出ると、周期的に送信されているLの強度の自動モード信号が受信器3の受信レンジから外れる。この受信レンジは前述のように制御部36における受信レベルの設定あるいは受信器3そのものの受信能力により決められるものである。受信器3が自動モード受信状態に設定された後に、制御部36では同じ内容の信号が周期t2毎に受信されているか否か監視しており、送信器1が図1に示す自動領域から外れ、Lの強度の信号がt2の時間内に受信されていないときには、図6(E)に示すように動作機構4に指令が出され、自動車2のドアがロックされる。
【0024】上記のドアがロックされた後に、送信器1からは自動モード信号が例えば15分間継続して送信される。よってその送信時間中に自動車に再度接近した場合、あるいはこの送信時間経過後で送信器1の自動モード指令釦Cを自動車2から離れた位置で押して、そのまま自動車2に接近すると、送信器1が図1に示す自動領域の距離内に入ったときに、Lで示す強度の送信信号が受信器3の受信レンジ内に入って受信される。この最初の信号が受信されたときに、受信器3の制御部36にて、受信信号の識別情報(IDコード)の一致が確認され、さらに自動モード信号であることが認識されると、図6(D)に示すように、最初の信号の受信の直後に動作機構4にドアロック解除指令が出され、自動車2のドアロックが解除される。すなわち、自動モード指令釦Cを押したときには、自動車から所定距離離れれば自動的にドアがロックされ、また所定距離近づけばドアロックが解除される。
【0025】ここで、図6(A)に示す周期的な自動モード信号の強度が全てLで示すように一定であって、図1R>1に示す自動領域からの送信のみが受信器3により受信されるように設定された場合には次の問題がある。すなわち例えば自動車から降りて自動車からある程度離れた位置にて、送信器1の自動モード指令釦Cを押したとする。このときの第1回目に送信される信号の強度がLで示す低い強度のものであると、このとき図1の自動領域から外れた位置からの送信あるいは自動領域の境界上からの送信であってノイズなどが含まれた場合には、受信器3はこの1回目のLの強度の信号を受信できない。すると、送信器1の所持者はドアがロックされたものと思っても、実際には自動車の受信器3は自動モード受信状態に設定されないため、ドアロックがなされない。よって所持者はドアロックされない自動車から遠ざかってしまうことになる。
【0026】そこで上記実施例では、図6(A)に示すように、自動モード指令釦Cを押したときの最初の1回目の信号の強度をHで示すように高くしている。よって所持者が図1に示す自動領域から外れた位置にて自動モード指令釦Cを押すと、第1回目に送信される信号の強度がHで示すように高いため、自動領域から外れた位置からの送信であってもこれが受信器3により受信され識別情報の一致が確認されて受信器3は自動モード受信状態となる。しかし、Hの強度の信号の次に送信される信号はLで示すように強度が低いため、これは受信器3による受信レンジから外れる。受信器3の制御部36では、第1回目の信号が受信されて自動モード受信状態となった後の一定時間後(第1回の信号が受信されてからt2時間後)に次の信号が受信レンジ内でないため、直ちに動作機構4に指令が出されてドアがロックされる。よって上記の実施例では、自動領域から離れた位置で自動モード指令釦Cを押したとしてもドアが確実にロックされることになる。
【0027】次に図3に示す受信器3の制御部36における全体の制御動作を図4のフローチャートにより説明する。自動車2に搭載されている受信器3は、自動車の搭載バッテリーにより常に受信可能状態となっている。ステップS1では、Sメータ38からのA/D変換部39を経た検出信号により、受信信号が一定のレベル以上であるか否かを判断する。受信レベルが一定のレベル以上のときに送信データが受信される(ステップS2)。制御部36では受信データが判読され、ステップS3において、受信データに含まれる識別情報(IDコード)がメモリ37に記憶されていた識別情報と一致しているか否か判別される。一致していないときには、ステップS4にて処理動作を停止し、受信可能状態に戻る。識別情報が一致しているときには、ステップS5にて受信データが自動モード信号であるか否かの判断がされる。
【0028】ここで、自動モード信号の受信であると判断されたときには、ステップS6に移行し、自動モードが設定された最初の信号の受信からt2時間後に次の自動モード信号が受信レンジ内にて受信されたか否か監視する。t2時間後に次の自動モード信号が受信レンジ内となったときには、ステップS7にてドアロック解除動作が実行され、また既にドアロックが解除されている時にはそのままの状態を維持する。またt2時間後に次の自動モード信号が受信レンジ内とならない場合には、ステップS8にて自動的にドアロックを行う。また、ステップS5で手動設定と判断された場合はステップS9に進み手動モードが設定される。ステップS10にて指令情報が解読され、ステップS11にてロック動作か否かを判断され、ドアロック動作(ステップS12)またはドアロック解除動作(ステップS13)の動作信号が動作機構4に出力される。
【0029】以上詳述したように、上記実施例の遠隔装置によれば使用者(送信器1)が自動領域内にいる時ばかりでなく、自動領域外であっても図6(A)に示す最初のHの自動モード信号が受信できる範囲内であれば、前記指令釦Cを押すことにより、受信器3を自動モード受信状態に設定することができる。よって自動車からある程度離れた時点で指令釦Cを押した場合であっても自動車のドアロックができるようになる。さらに自動モード信号の最初のHの信号の強度を十分に高くしておけば、それ以降のLで示す信号の強度をかなり弱くしても前記のHの信号により自動車から離れたときのドアロックが確実にできるため、H以降のLの信号の強度を弱くしてLの信号の受信範囲すなわち自動領域の範囲を狭くできることになる。よって、自動モード状態のときに送信器1が自動車2から少し離れた時点で既にドアをロックでき、また自動車に十分に近づいた時点でしかドアロックが解除されないようにでき、自動車の盗難防止などの点で安全性が高まる。なお、上記実施例では、自動車の遠隔操作装置について説明したが、この遠隔操作装置の操作対象は自動車に限られるものではなく、他の車両の操作、ガレージの開閉、倉庫のドアや内部環境設定の操作などについても実施可能である。
【0030】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、送信器を使用(所持)している者が自動車などの操作対象に対し所定範囲外から送信モードを設定した場合であっても、受信器側を受信モードに設定でき、次に送信される信号の受信強度に応じて実行処理の選択ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】送信器と受信器が搭載された自動車を示す外観説明図である。
【図2】送信器の回路ブロック図である。
【図3】受信器および動作機構の回路ブロック図である。
【図4】受信器の制御部の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】(A)(B)(C)は手動操作モードにおける各部の信号を示す線図である。
【図6】(A)ないし(E)は自動モードによる各部の信号を示す線図である。
【符号の説明】
1 送信器
2 自動車
3 受信器
4 動作機構
11 操作部
12 制御部
14 送信部
15 アンテナ
17 自動設定データ生成部
18 手動設定データ生成部
36 制御部
38 Sメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 送信開始時から間欠的に複数の信号を送信する送信器と、前記送信器から送信された複数の信号の受信強度が所定値以上か否かに応じて異なる実行処理を行う受信器とから成る遠隔操作装置であって、前記送信器から送信される複数の信号のうち送信開始時の少なくとも1回以上の信号の送信強度がそれ以後に送信される信号の送信強度よりも高く設定されることを特徴とする遠隔操作装置。

【図1】
image rotate


【図5】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図6】
image rotate