説明

遠隔監視システム

【課題】 任意のタイミングの観測対象の画像を収集できる。
【解決手段】 実施形態の遠隔監視システムは、観測対象を撮影する観測装置及び計測データを監視する監視装置を含む。前記監視装置は、判定手段及び取得要求送信手段を備えている。前記判定手段は、ユーザの操作に応じて、前記撮影される画像を取得するための画像取得要求の入力を受け付けると、前記観測装置が前記計測データを収集する収集状態にあるか否かを判定する。前記取得要求送信手段は、前記判定の結果が否を示すとき、前記入力を受け付けた画像取得要求を前記観測装置に送信する。前記観測装置は、撮影手段及び画像送信手段を備えている。前記撮影手段は、前記送信された前記画像取得要求を受信すると、当該画像取得要求に応じて、前記観測対象を撮影する。前記画像送信手段は、前記撮影された画像を前記監視装置に送信処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレメータ設備は、観測対象(例えば、河川、ダム上/下流、及び道路用地等)に設置されたセンサにより雨量や水位を観測し、遠方の監視設備に数値情報としての観測結果を送信する設備である。しかしながら、このようなテレメータ設備では、観測結果が数値情報のみであるため、現場の状況を視覚的に把握できないという不都合がある。
【0003】
これに対し、観測対象の画像を定期的に撮影し、当該撮影された画像を観測結果として伝送することで、現場の状況を視覚的に把握する情報収集技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3494910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、以上のような情報収集技術では、観測対象の画像を定期的に撮影及び伝送するため、集中豪雨による急激な増水等の発生時の如き、任意のタイミングの観測対象の画像を収集することができないという不都合がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、任意のタイミングの観測対象の画像を収集し得る遠隔監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の遠隔監視システムは、観測対象に設けられたセンサにより計測される計測データを収集し、かつユーザの操作に応じて、前記観測対象を撮影する観測装置と、前記観測装置に接続し、前記観測装置により収集された計測データを監視する監視装置とを含む。
【0008】
前記監視装置は、判定手段及び取得要求送信手段を備えている。
【0009】
前記判定手段は、ユーザの操作に応じて、前記観測装置により撮影される画像を取得するための画像取得要求の入力を受け付けると、前記観測装置が前記計測データを収集する収集状態にあるか否かを判定する。
【0010】
前記取得要求送信手段は、前記判定の結果が否を示すとき、前記入力を受け付けた画像取得要求を前記観測装置に送信する。
【0011】
前記観測装置は、撮影手段、画像送信手段及び停止要求送出手段を備えている。
【0012】
前記撮影手段は、前記送信された前記画像取得要求を受信すると、当該画像取得要求に応じて、前記観測対象を撮影する。
【0013】
前記画像送信手段は、前記撮影された画像を前記監視装置に送信処理する。
【0014】
前記停止要求送信手段は、予め設定された時間毎に、前記画像送信手段による送信処理を停止させるための送信処理停止要求を前記画像送信手段に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係る遠隔監視システムの構成例を示す模式図である。
【図2】同実施形態に係る遠隔監視システムのタイムスケジュールの一例を示す模式図である。
【図3】同実施形態に係る遠隔監視システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、一実施形態に係る遠隔監視システムの構成例を示す模式図である。この遠隔監視システム1は、観測装置10及び監視装置20を備えている。
【0017】
観測装置10は、観測対象(例えば、河川、ダム上/下流、道路用地等)に設けられたセンサにより計測された計測データを収集する機能と、ユーザの操作に応じて、観測対象を撮影する機能とをもっている。監視装置20は、例えば、無線を介して観測装置10と接続しており、観測装置10により収集された計測データを図示しない表示装置を用いて監視する機能をもっている。
【0018】
なお、本実施形態では、図1に示す如き、観測装置10と監視装置20とが無線を介して接続されるシステム構成を示すが、これに限定されず、例えば、観測装置10と監視装置20とが有線接続されるシステム構成等が適用可能である。また、同実施形態では、図1に示す如き、1台の観測装置10と1台の監視装置20とが含まれるシステム構成を示すが、これに限定されず、図2に示すように、複数台(m台)の観測装置10(#1)〜(#m)と監視装置20とが含まれるシステム構成等が適用可能である。
【0019】
以下では、説明の便宜上、監視装置20の詳細な機能について説明した後に、観測装置10の詳細な機能について説明する。
【0020】
ここで、監視装置20は、画像収集部21、復調部22及び通信部23を備えている。
【0021】
画像収集部21は、ユーザの操作に応じて、観測装置10内の撮影部12により撮影される画像を取得するための画像取得要求を通信部23に入力する機能をもっている。また、画像収集部21は、ユーザの操作に応じて、観測装置10が計測データを収集する時間間隔を示す正定時間隔(すなわち、観測装置10が正時(毎時00分)並びに正時から何分毎に計測データの収集を開始するかを示す値)を予め通信部23に設定する機能をもっている。図2に一例を示すように、正定時間隔が10分の場合、正定時は、毎時00分、毎時10分、毎時20分、毎時30分、毎時40分、毎時50分となる。正定時間隔としては、例えば、10分毎、15分毎、30分毎又は60分毎が使用される。更に、画像収集部21は、観測装置10内の撮影部により撮影される画像データを図示しない表示装置に表示させる機能をもっている。
【0022】
なお、図示しない表示装置は、例えば、VGA(Video Graphics Array)やQVGA(Quarter Video Graphics Array)等の画面表示規格を備えるものとする。また、「ユーザ」は、「操作者」、「観測者」又は「監視者」等と読み替えてもよい。
【0023】
復調部22は、観測装置10から送信される画像信号をアナログ信号からデジタル信号(すなわち、画像データ)に復調した後に、この画像データを画像収集部21に送出する機能をもっている。
【0024】
通信部23は、画像収集部21から画像取得要求の入力を受け付けると、観測装置10が計測データを収集する収集状態にあるか否かを判定する判定機能をもっている。具体的には、通信部23は、観測装置10が計測データの収集に要する収集所要時間t分と観測装置10の台数mに基づいて観測時間n分を算出し、予め設定された正定時間隔に応じた正定時毎に、当該正定時から観測時間n分が経過するまでの時間帯を示す収集時間情報を生成し、現在時刻を示す時刻情報と当該収集時間情報とを比較し、当該収集時間情報が示す時間帯に現在時刻が該当するか否かを判定することにより、観測装置10が収集状態にあるか否かを判定する処理を実行する。
【0025】
補足すると、観測時間n分は、図2に一例を示すように、前述した収集所要時間t分と観測装置10の台数mに基づいて次式に示すように算出される。
【0026】
n=m・t+c
但し、c:監視装置20による観測装置10の呼出(3回)に要する時間[分]。
【0027】
また、当該算出された観測時間「n(分)」に基づく収集時間情報は、監視装置20内の図示しないメモリ等に記憶される。また、時刻情報は、監視装置20内の図示しない時計部から取得される。収集所要時間t分は、観測装置10の呼出時刻と観測装置10から受信した計測データの受信時刻との差分、又は各計測データの受信時刻の差分として通信部23が取得可能となっている。観測装置10の台数mは、観測装置10から受信した計測データの個数として通信部23が取得可能となっている。
【0028】
また、通信部23は、判定機能による判定結果が否を示すとき、当該入力を受け付けた画像取得要求を観測装置10に送信する機能をもっている。なお、画像収集部21による画像取得要求の入力から通信部23による収集状態の判定を介して画像取得要求の送信に至るまでの一連の処理が、図2に示す静止画伝送可能時間内の「制御」に相当する。この静止画伝送可能時間は、正定時間隔10分から観測時間n分と手動禁止(制御禁止)時間1分を引いた時間となっている。手動禁止時間1分は、ユーザによる監視装置20の操作を無効にした時間帯であり、次の正定時の直前に配置される(図2中、「1分前」から「正定時(10分)」までの時間帯が手動禁止時間に相当する)。正定時間隔の10分と手動禁止時間の1分は、それぞれ一例であり、この値に限定されない。
【0029】
更に、通信部23は、判定機能による判定結果が収集状態にある旨を示すとき、当該入力を受け付けた画像取得要求を無効にする機能をもっている。無効にする機能としては、当該画像取得要求を観測装置10に送信しない機能を含むものであればよく、例えば、画像取得要求を破棄する機能、又は計測データの収集状態による画像取得不可を示すメッセージを表示装置(図示せず)に表示させる機能等が適宜、使用可能となっている。
【0030】
次に、観測装置10について説明する。
【0031】
観測装置10は、通信部11、撮影部12、画像伝送部13、変調部14及び通知部15を備えている。
【0032】
ここで、通信部11は、監視装置20内の通信部23より送信された画像取得要求を受信すると共に、当該受信した画像取得要求を画像伝送部13を介して撮影部12に送出する機能をもっている。
【0033】
撮影部12は、通信部11から送出された画像取得要求を受けると、当該画像取得要求に応じて、観測対象を撮影する機能をもっている。また、撮影部12は、当該撮影した観測対象の画像(静止画)データを画像伝送部13に送出する機能をもっている。
【0034】
画像伝送部13は、撮影部12から送出された画像データを受けると、当該受信した画像データに対して画像圧縮処理を実行する機能をもっている。また、画像伝送部13は、当該圧縮した画像データを変調部14に送出すると共に、画像伝送部13から変調部14に画像データを送出したことを示す画像出力信号を通知部15に送出する機能をもっている。なお、変調部14の機能を通信部11に含めた変形構成の場合には、画像伝送部13において、圧縮した画像データの送出先を通信部11とし、画像出力信号の機能を「アナログ画像信号が監視装置20に送信され始めたことを示す画像出力信号」とすればよい。
【0035】
変調部14は、画像伝送部13から送出された画像データを受けると、当該受信した画像データをデジタル信号からアナログ信号(すなわち、アナログ画像信号)に変調した後に、このアナログ画像信号を通信部11に送出する機能をもっている。なお、通信部11は、変調部14からアナログ画像信号を受けると、当該受信したアナログ画像信号を監視装置20に送信する処理を実行する。
【0036】
通知部15は、画像伝送部13から送出された画像出力信号を受けると、所定の時間に設定されたタイマ機能(保護タイマ機能)を作動させる機能をもっている。また、通知部15は、タイマ機能に予め設定された時間(限界時間)が経過する毎に、通信部11によるアナログ画像信号の送信処理を停止させるための送信処理停止要求を通信部11に送出(通知)する機能をもっている。なお、通信部11は、通知部15から送信処理停止要求を受けると、アナログ画像信号の送信処理を停止する処理を実行する(図2中、「伝送打切」)。
【0037】
なお、タイマ機能の限界時間は、ユーザの操作に応じて、任意の値に設定可能であり、例えば、20秒,30秒,…,300秒(5分)等の値を設定可能である。この「限界時間」は、図2では「最大5分」と表している。
【0038】
次に、以上のように構成される遠隔監視システムの動作の一例を、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0039】
始めに、画像収集部21は、ユーザの操作に応じて、画像取得要求を通信部23に入力する(ステップS101)。
【0040】
続いて、通信部23は、当該画像取得要求の入力を受け付けると、観測装置10が収集状態にあるか否かを判定する(ステップS102)。例えば、通信部23は、画像収集部21から送出された画像取得要求を受けると、現在時刻を示す時刻情報を時計部(図示せず)から読出すと共に、監視装置20に接続される観測装置10の台数に応じた収集時間をメモリ(図示せず)から読出す。通信部23は、当該読出した時刻情報が当該読出した収集時間に該当するか否かにより、収集状態にあるか否かを判定する。
【0041】
なお、ステップS102の判定の結果が収集状態にある旨を示す場合(ステップS102:YES)には、通信部23は、当該入力を受け付けた画像取得要求を無効にし(ステップS103)、ステップS101の処理に戻る。
【0042】
ステップS102の判定の結果が否を示す場合(ステップS102:NO)場合には、通信部23は、当該入力を受け付けた画像取得要求を無線を介して観測装置10に送信する(ステップS104)。
【0043】
次に、通信部11は、ステップS104で送信された画像取得要求を受信すると、当該画像取得要求を画像伝送部13を介して撮影部12に送出する(ステップS105)。
【0044】
続いて、撮影部12は、当該送出された画像取得要求を受けると、当該画像取得要求に応じて観測対象を撮影した後に、当該撮影された画像データを画像伝送部13に送出する(ステップS106)。
【0045】
次に、画像伝送部13は、当該送出された画像データを受けると、当該受信した画像データに対して画像圧縮処理を実行する(ステップS107)。
【0046】
続いて、画像伝送部13は、当該圧縮した画像データを変調部14に送出すると共に、当該画像データを変調部14に送出したことを示す画像出力信号を通知部15に送出する(ステップS108)。
【0047】
次に、変調部14は、当該送出された画像データを受けると、当該受信した画像データをデジタル信号からアナログ信号(アナログ画像信号)に変調した後に、このアナログ画像信号を通信部11に送出する(ステップS109)。
【0048】
続いて、通信部11は、当該送出されたアナログ画像信号を受けると、当該アナログ画像信号を監視装置20に送信する(ステップS110)。なお、通信部11から送信されたアナログ画像信号は、監視装置20内の通信部23により受信され、復調部22によりアナログ信号からデジタル信号(画像データ)に復調される。また、この画像データが、画像収集部21により図示しない表示装置に表示される。
【0049】
次に、通知部15は、ステップS108において送出された画像出力信号を受けると、所定の時間に設定されたタイマ機能を作動させる(ステップS111)。
【0050】
続いて、通知部15は、タイマ機能に設定された所定の時間が経過すると、通信部11によるアナログ画像信号の送信処理を停止させるための送信処理停止要求を通信部11に送出する(ステップS112)。
【0051】
しかる後に、通信部11は、当該送出された送信処理停止要求を受けると、アナログ画像信号の送信処理を終了する(ステップS113)。
【0052】
以上説明した一実施形態によれば、ユーザの操作に応じて、監視装置20において、観測装置10が収集状態にあるか否かを判定し、この判定の結果が否を示す場合に、観測装置10に画像取得要求を送信し、観測対象の画像を収集する構成により、任意のタイミングの観測対象の画像を収集することができる。
【0053】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1…遠隔監視システム、10…観測装置、11,23…通信部、12…撮影部、13…画像伝送部、14…変調部、15…通知部、20…監視装置、21…画像収集部、22…復調部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測対象に設けられたセンサにより計測される計測データを収集し、かつユーザの操作に応じて、前記観測対象を撮影する観測装置と、前記観測装置に接続し、前記観測装置により収集された計測データを監視する監視装置とを含む遠隔監視システムであって、
前記監視装置は、
前記ユーザの操作に応じて、前記撮影される画像を取得するための画像取得要求の入力を受け付けると、前記観測装置が前記計測データを収集する収集状態にあるか否かを判定する判定手段と、
前記判定の結果が否を示すとき、前記入力を受け付けた画像取得要求を前記観測装置に送信する取得要求送信手段とを備え、
前記観測装置は、
前記送信された画像取得要求を受信すると、当該画像取得要求に応じて、前記観測対象を撮影する撮影手段と、
前記撮影された画像を前記監視装置に送信処理する画像送信手段と、
予め設定された時間毎に、前記画像送信手段による送信処理を停止させるための送信処理停止要求を前記画像送信手段に送出する停止要求送出手段と
を備えたことを特徴とする遠隔監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔監視システムにおいて、
前記監視装置は、前記判定の結果が収集状態にある旨を示すとき、前記入力を受け付けた画像取得要求を無効にする無効手段を更に備えたことを特徴とする遠隔監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載の遠隔監視システムにおいて、
前記監視装置は、
前記観測装置が計測データを収集する時間間隔を示す正定時間隔を予め設定する設定手段と、
前記観測装置が計測データの収集に要する収集所要時間と当該観測装置の台数に基づいて観測時間を算出し、前記正定時間隔に応じた正定時毎に、当該正定時から前記観測時間が経過するまでの時間帯を示す収集時間情報を生成する生成手段と
を更に備え、
前記判定手段は、前記収集時間情報が示す時間帯に現在時刻が該当するとき、前記収集状態にある旨を判定することを特徴とする遠隔監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−16977(P2013−16977A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147465(P2011−147465)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】