説明

遠隔監視制御システム及びローカル監視装置

【課題】ローカル監視装置と遠隔監視装置とを公衆回線等の通信回線で接続し、ダイヤルアップ接続の回数を抑えることで、通信コストを削減させることが可能な遠隔監視制御システム及びこのシステムに用いられるローカル監視装置を提供する。
【解決手段】空港A〜Zが運用中であるときは、レベルA故障及びレベルB故障の故障情報をイベント発生時に遠隔監視装置20へ送信し、非運用中であるときは、レベルA故障の故障情報のみをイベント発生時に遠隔監視装置20へ送信する。また、空港A〜Zが運用中であるときは、レベルC故障の故障情報を履歴情報として記録部11へ記録し、非運用中であるときは、レベルB故障及びレベルC故障の故障情報を履歴情報として記録部11へ記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の空港における灯火・電力設備及び機械設備等の監視対象設備を、監視センタにより遠隔監視する遠隔監視制御システム及びこのシステムに用いられるローカル監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遠隔監視制御システムは、空港毎に設置される複数のローカル監視装置と、監視センタに設置され、複数のローカル監視装置と接続する遠隔監視装置とを具備する。ローカル監視装置は、空港内に設置された複数の監視対象設備を監視する。ここで、監視対象設備とは、例えば、灯火、電力設備及び機械設備等である。ローカル監視装置は、複数の監視対象設備の監視情報を遠隔監視装置へ送信する。遠隔監視装置は、複数のローカル監視装置からの監視情報に基づいて、監視対象設備を一元的に監視する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の遠隔監視制御システムでは、ローカル監視装置及び遠隔監視装置は、専用回線で接続され、常時回線接続状態となっている。ローカル監視装置は、この専用回線を介し、故障発生時等のイベント発生時、一定の周期、又は、これらの組み合わせのタイミングで、監視情報を遠隔監視装置へ送信している。
【0004】
ところで、常時回線接続状態は、通信コストがかかるため、ローカル監視装置及び遠隔監視装置を公衆回線網及びISDN(Integrated Services Digital Network)等の通信回線で接続したいという要求がある。こうすることで、回線利用時のみにダイヤルアップ接続することとなり、通信コストの削減が期待される。しかしながら、監視情報を、故障発生時等のイベント発生時、一定の周期、又は、これらの組み合わせのタイミングで送信しようとする場合、ダイヤルアップ接続の回数が多くなってしまい、通信コストが想定ほど安価にならないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−60808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、従来の遠隔監視制御システムでは、ローカル監視装置と遠隔監視装置とを公衆回線網等の通信回線で接続しても、ダイヤルアップ接続の回数が多くなるため、通信コストが想定より安価にならないという問題がある。
【0007】
この発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、ローカル監視装置と遠隔監視装置とを公衆回線等の通信回線で接続し、ダイヤルアップ接続の回数を抑えることで、通信コストを削減させることが可能な遠隔監視制御システム及びこのシステムに用いられるローカル監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る遠隔監視制御システムは、空港毎に設置され、前記空港における複数の監視対象設備を監視する複数のローカル監視装置と、前記複数のローカル監視装置と通信回線により接続される遠隔監視装置とを具備する遠隔監視制御システムにおいて、前記複数のローカル監視装置は、前記空港の運用中又は非運用中を示す空港運用情報と、前記複数の監視対象設備のいずれかで発生する故障の重要度情報であって、前記空港の施設に影響を与える故障に対して第1の重要度を設定し、前記空港の施設に将来的に影響を与える故障に対して第2の重要度を設定する前記重要度情報とを予め記録する記録部と、前記運用中に前記第1の重要度及び第2の重要度の故障が発生したとき、前記第1の重要度及び第2の重要度の故障に関する第1の故障情報の送信を指示する第1の指示信号を生成し、前記非運用中に前記第1の重要度の故障が発生したとき、前記第1の重要度の故障に関する第2の故障情報の送信を指示する第2の指示信号を生成する送信処理部と、前記第1又は第2の指示信号に応じて前記遠隔監視装置とダイヤルアップ接続を確立し、前記ダイヤルアップ接続により前記第1又は第2の故障情報を前記遠隔監視装置へ送信する第1の通信部とを備え、前記遠隔監視装置は、前記ダイヤルアップ接続により前記複数のローカル監視装置からの第1又は第2の故障情報を受信する第2の通信部と、前記第1又は第2の故障情報を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るローカル監視装置は、空港毎に設置され、前記空港における複数の監視対象設備を監視する複数のローカル監視装置と、前記複数のローカル監視装置と通信回線により接続される遠隔監視装置とを具備する遠隔監視制御システムに用いられるローカル監視装置において、前記空港の運用中又は非運用中を示す空港運用情報と、前記複数の監視対象設備のいずれかで発生する故障の重要度情報であって、前記第1の施設に影響を与える故障に対して第1の重要度を設定し、前記第1の施設に将来的に影響を与える故障に対して第2の重要度を設定する前記重要度情報とを予め記録する記録部と、前記運用中に前記第1の重要度及び第2の重要度の故障が発生したとき、前記第1の重要度及び第2の重要度の故障に関する第1の故障情報の送信を指示する第1の指示信号を生成し、前記非運用中に前記第1の重要度の故障が発生したとき、前記第1の重要度の故障に関する第2の故障情報の送信を指示する第2の指示信号を生成する送信処理部と、前記第1又は第2の指示信号に応じて前記遠隔監視装置とダイヤルアップ接続を確立し、前記ダイヤルアップ接続により前記第1又は第2の故障情報を前記遠隔監視装置へ送信する通信部とを具備する。
【0010】
上記構成による遠隔監視制御システム及びローカル監視装置では、空港が運用中であるときと、非運用中であるときとで、ローカル監視装置から遠隔監視装置へ故障情報を送信する条件を変える。つまり、ローカル監視装置は、空港が運用中であるときには、第1及び第2の重要度の故障に関する故障情報をイベント発生時に遠隔監視装置へ送信するが、非運用中であるときには、第1の重要度の故障に関する故障情報のみをイベント発生時に送信する。これにより、故障情報をイベント発生時に効率的に送信することが可能となるため、故障情報の送信回数が減少することとなる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、ローカル監視装置と遠隔監視装置とを公衆回線等の通信回線で接続し、ダイヤルアップ接続の回数を抑えることで、通信コストを削減させることが可能な遠隔監視制御システム及びこのシステムに用いられるローカル監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る遠隔監視制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1の処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1のローカル監視装置における処理部の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1の遠隔監視装置における処理部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明に係る遠隔監視制御システムの実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る遠隔監視制御システムの機能構成を示すブロック図である。図1における遠隔監視制御システムは、空港A〜Zにそれぞれ設置されるローカル監視装置10A〜10Zと、監視センタに設置される遠隔監視装置20とを具備する。ローカル監視装置10A〜10Zと遠隔監視装置20とは、公衆回線網及びISDN等の通信回線により接続される。
【0015】
また、ローカル監視装置10A〜10Zには、監視対象設備30−1〜30−nがそれぞれ接続されている。ここで、監視対象設備30−1〜30−nは、空港内の施設に設置される例えば灯火、電力設備及び機械設備等である。空港内の施設には、航空機の運行に直接的に影響を与える第1の施設と、航空機の運行に直接的に影響を与えない第2の施設とが含まれる。ここで、第1の施設には、例えば航空管制施設等が含まれ、第2の施設には、例えば空港ターミナルの空調施設等が含まれる。なお、ローカル監視装置10A〜10Zはそれぞれ同様の構成を取るため、以下ではローカル監視装置10Aについて説明する。
【0016】
ローカル監視装置10Aは、空港Aに設置された監視対象設備30−1〜30−nを監視する。ローカル監視装置10Aは、記録部11、通信部12及び処理部13を備える。
【0017】
記録部11は、空港Aの空港運用情報と、前記監視対象設備30−1〜30−nのいずれかで発生する故障の重要度情報とを予め記録する。空港運用情報は、例えば、空港Aの営業時間が示されたタイムテーブルであり、空港Aが運用中である旨又は空港Aが非運用中である旨が示される。
【0018】
故障の重要度情報は、監視対象設備30−1〜30−nの故障が空港Aにおけるいずれの施設に影響を与えるか及び影響の度合いに基づいて設定される。例えば、本実施の形態では、監視対象設備30−1〜30−nの故障のうち、空港内における第1の施設に大きな影響を与える故障はレベルA故障と設定し、第1の施設に与える影響が小さい故障(第1の施設に将来的に影響を与える故障)及び第2の施設に大きな影響を与える故障はレベルB故障と設定し、第2の施設に与える影響が小さい故障(第2の施設に将来的に影響を与える故障)はレベルC故障と設定する。これにより、航空機の運行に直接的に影響を与える第1の施設の故障は、重要度が高い故障ではあるが、影響の度合いに応じて、つまり即時対応が必要か否かに応じて、更に重要度の区別が行われることになる。つまり、本実施形態の設定では、将来的に影響を与える故障(即時性の低い故障)は、非運用状態では、遠隔監視装置には送信されない故障情報となる。
【0019】
処理部13は、監視対象設備30−1〜30−nと接続し、監視対象設備30−1〜30−nを監視する。処理部13は、例えばマイクロプロセッサからなるCPU(Central Processing Unit)を備えたもので、図2のように構成される。すなわち、処理部13は、判断処理部131、送信処理部132、記録処理部133及び履歴情報送信処理部134を有する。
【0020】
判断処理部131は、監視対象設備30−1〜30−nのいずれかに故障が発生した場合、記録部11に記録される空港運用情報を参照し、空港Aが運用中であるか、非運用中であるかを判断する。そして、判断処理部131は、空港Aが運用中である場合、発生した故障の重要度を判断する。また、判断処理部131は、空港Aが非運用中である場合、発生した故障の重要度を判断する。
【0021】
送信処理部132は、判断処理部131により、空港Aが運用中であり、監視対象設備30−1〜30−nのいずれかに発生した故障がレベルA故障又はレベルB故障であると判断された場合、発生した故障に関する故障情報の送信を指示する第1の指示信号を生成する。また、送信処理部132は、判断処理部131により、空港Aが非運用中であり、監視対象設備30−1〜30−nのいずれかに発生した故障がレベルA故障であると判断された場合、発生した故障に関する故障情報の送信を指示する第2の指示信号を生成する。ここで、故障情報には、発生年月日時間、監視対象設備、故障項目名称、故障の重要度(レベルA故障又はレベルB故障)、状態(故障が発生したか復帰したか)等が含まれる。
【0022】
記録処理部133は、判断処理部131により、空港Aが運用中であり、監視対象設備30−1〜30−nのいずれかに発生した故障がレベルC故障であると判断された場合、発生した故障に関する故障情報を履歴情報として記録部11に記録させる。また、記録処理部133は、判断処理部131により、空港Aが非運用中であり、監視対象設備30−1〜30−nのいずれかに発生した故障がレベルB故障又はレベルC故障であると判断された場合、発生した故障に関する故障情報を履歴情報として記録部11に記録させる。ここで、履歴情報には、発生年月日時間、監視対象設備、故障項目名称、故障の重要度(レベルB故障又はレベルC故障)、状態(故障が発生したか復帰したか)等が含まれる。
【0023】
履歴情報送信処理部134は、遠隔監視装置20から、記録部11に記録された履歴情報を要求する要求信号を受信した場合、履歴情報の送信を指示する第3の指示信号を生成する。
【0024】
通信部12は、処理部13で生成された第1又は第2の指示信号に従い、通信回線を介して遠隔監視装置20へ通信要求を送信し、遠隔監視装置20とのダイヤルアップ接続を確立させる。通信部12は、確立されたダイヤルアップ接続を利用し、遠隔監視装置20へ故障情報を送信する。
【0025】
また、通信部12は、処理部13で生成された第3の指示信号に応じて、確立されたダイヤルアップ接続を利用して、記録部11に記録された履歴情報をまとめて遠隔監視装置20へ送信する。
【0026】
図1における遠隔監視装置20は、通信部21、表示部22、操作入力部23、警報器24及び処理部25を備える。通信部21、表示部22及び処理部25は、バスにより接続される。操作入力部23及び警報器24は、処理部25に接続される。
【0027】
通信部21は、通信回線と接続しており、ローカル監視装置10A〜10Zのいずれかの通信部12からの通信要求に応じ、ローカル監視装置10A〜10Zのうち通信要求を送信したローカル監視装置とのダイヤルアップ接続を確立させる。通信部21は、通信回線を介して、通信部12からの故障情報又は履歴情報を受信する。また、通信部21は、処理部25からの指示に応じ、履歴情報を要求する要求信号を、通信回線を介してローカル監視装置10A〜10Zの少なくともいずれかへ送信する。
【0028】
表示部22は、通信部21で受信された故障情報又は履歴情報を表示する。
【0029】
操作入力部23は、ユーザからの操作を受け付ける。ユーザは、表示部22に表示される故障情報又は履歴情報を観察しながら、空港A〜Zに設置された監視対象設備を監視する。操作入力部23は、ユーザがローカル監視装置10A〜10Zのいずれかに記録された履歴情報を所望する場合、所望のローカル監視装置に対して履歴情報を要求する要求信号を作成するように処理部25へ操作信号を出力する。
【0030】
処理部25は、操作入力部23からの操作信号を受けた場合、要求信号の送信を通信部21に指示する。なお、処理部25は、所定の時間が経過する毎に、又は、予め設定された時刻になると要求信号の送信を通信部21に指示するようにしても構わない。処理部25は、通信部21により故障信号を受信した場合、警報器24を鳴動させる。
【0031】
次に、以上のように構成された遠隔監視制御システムの動作を詳細に説明する。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態に係るローカル監視装置10Aに接続される監視対象設備30−1〜30−nのいずれかに故障が発生した際の処理部13の動作を示すフローチャートである。
【0033】
まず、空港Aの監視対象設備30−1〜30−nのいずれかに故障が発生する。処理部13は、故障が発生すると、記録部11に記録される空港運用情報を参照し、故障発生時が、空港Aの運用中であるか否かを判断する(ステップS31)。処理部13は、空港Aが運用中である場合(ステップS31のYes)、発生した故障がレベルA故障又はレベルB故障であるか否かを判断する(ステップS32)。処理部13は、発生した故障がレベルA故障又はレベルB故障である場合(ステップS32のYes)、通信部12に遠隔監視装置20とのダイヤルアップ接続を確立させる(ステップS33)。処理部13は、確立された通信接続を利用して、発生した故障に関する情報を遠隔監視装置20へ送信するように通信部12に対して指示を出し(ステップS34)、処理を終了させる。また、処理部13は、ステップS32において、発生した故障がレベルC故障である場合(ステップS32のNo)、発生した故障に関する情報を履歴情報として記録部11に記録し(ステップS36)、処理を終了させる。
【0034】
ステップS31において、処理部13は、空港Aが非運用中である場合(ステップS31のNo)、発生した故障がレベルA故障であるか否かを判断する(ステップS35)。処理部13は、発生した故障がレベルA故障である場合(ステップS35のYes)、通信部12に遠隔監視装置20とのダイヤルアップ接続を確立させる(ステップS33)。処理部13は、確立された通信接続を利用して、発生した故障に関する情報を遠隔監視装置20へ送信するように通信部12に対して指示を出し(ステップS34)、処理を終了させる。
【0035】
また、処理部13は、発生した故障がレベルB故障又はレベルC故障である場合(ステップS35のNo)、発生した故障に関する情報を履歴情報として記録部11に記録し(ステップS36)、処理を終了させる。
【0036】
図4は、本発明の一実施形態に係る遠隔監視装置20からローカル監視装置10A〜10Zへ要求信号が送信される際の処理部25の動作を示すフローチャートである。
【0037】
まず、処理部25は、操作入力部23からの操作信号があるか否かを判断する(ステップS41)。処理部25は、操作信号がある場合(ステップS41のYes)、要求信号の送信を通信部21に指示し(ステップS42)、処理を終了する。
【0038】
ここで、ユーザから、ローカル監視装置10Aに記録された履歴情報が要求された場合、処理部25は、ローカル監視装置10Aへ要求信号を送信するように通信部21に対して指示を与える。通信部21は、処理部25からの指示に従い、通信回線を介してローカル監視装置10Aへ通信要求を送信し、ローカル監視装置10Aとのダイヤルアップ接続を確立させる。通信部12は、確立されたダイヤルアップ接続を利用し、ローカル監視装置10Aへ要求信号を送信する。なお、ユーザから、その他のローカル監視装置に記録された履歴情報が要求された場合、ローカル監視装置10Aに対する処理と同様に、指定されたローカル監視装置へ要求信号が送信される。
【0039】
また、ステップS41において、操作入力部23からの操作信号がない場合(ステップS41のNo)、予め設定された時刻に達したか否かを判断する(ステップS43)。処理部25は、予め設定された時刻に達している場合(ステップS43のYes)、処理をステップS42へ移行する。処理部25は、予め設定された時刻に達していない場合(ステップS43のNo)、処理を終了させる。
【0040】
ローカル監視装置10A〜10Zの処理部13は、遠隔監視装置20からの要求信号を受信すると、記録部11に記録された履歴情報を読み出し、確立されたダイヤルアップ接続を利用して遠隔監視装置20へ送信する。
【0041】
以上のように、上記一実施形態では、監視対象設備30−1〜30−nに発生する故障の重要度を、空港A〜Zにおけるいずれの施設へ影響を与えるかに基づいて設定している。これにより、早急に修理等の対応が必要な故障(いわゆるレベルA故障)と、少々対応が遅れても大事には至らない故障(いわゆるレベルB故障)と、しばらく放置しても大丈夫な故障(いわゆるレベルC故障)とを容易に区別することが可能となる。
【0042】
また、上記一実施形態では、空港A〜Zが運用中であるときと、非運用中であるときとで、ローカル監視装置10A〜10Zから遠隔監視装置20へ故障情報を送信する条件を変えるようにしている。つまり、ローカル監視装置10A〜10Zは、空港A〜Zが運用中であるときには、レベルA故障及びレベルB故障の故障情報をイベント発生時に送信するが、非運用中であるときには、レベルA故障の故障情報のみをイベント発生時に送信する。これにより、故障情報をイベント発生時に効率的に送信することが可能となるため、故障情報の送信回数が減少することとなる。すなわち、運用に影響のない範囲でダイヤルアップ接続の回数を抑えることが可能となる。
【0043】
また、上記一実施形態では、ローカル監視装置10A〜10Zは、空港A〜Zが運用中であるときには、レベルC故障の故障情報のみを履歴情報として記録するが、非運用中であるときには、レベルB故障及びレベルC故障の故障情報を履歴情報として記録する。そして、ローカル監視装置10A〜10Zは、遠隔監視装置20からの要求信号に応じ、記録部11に記録された履歴情報を送信するようにしている。このため、ローカル監視装置10A〜10Zから遠隔監視装置20へ、レベルB故障及びレベルC故障についての履歴情報がまとめて送信されることとなる。これにより、ダイヤルアップ接続の回数を抑えつつ、必要な情報を送信することが可能となる。
【0044】
したがって、本実施形態に係る遠隔監視制御システムによれば、ローカル監視装置と遠隔監視装置とを公衆回線等の通信回線で接続し、ダイヤルアップ接続の回数を抑えることで、通信コストを削減させることができる。
【0045】
また、上記一実施形態では、ローカル監視装置10A〜10Zは、非運用中にはレベルB故障についての故障情報を遠隔監視装置20へ送信しないようにしている。つまり、空港A〜Zの非運用中における故障情報数は、運用中における故障情報数よりも少なくなるようにし、更に重要度のより高い故障情報のみを送信している。これにより、運用に影響のない範囲で、非運用中における故障情報を減らすことができるので、監視員の数を、運用中における監視員の数よりも少なくすることが可能となる。すなわち、空港設備の維持管理業務の効率化及び省力化を計ることが可能となる。
【0046】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0047】
10A〜10Z…ローカル監視装置
11…記録部
12…通信部
13…処理部
20…遠隔監視装置
21…通信部
22…表示部
23…操作入力部
24…警報器
25…処理部
30−1〜30−n…監視対象設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空港毎に設置され、前記空港における複数の監視対象設備を監視する複数のローカル監視装置と、前記複数のローカル監視装置と通信回線により接続される遠隔監視装置とを具備する遠隔監視制御システムにおいて、
前記複数のローカル監視装置は、
前記空港の運用中又は非運用中を示す空港運用情報と、前記複数の監視対象設備のいずれかで発生する故障の重要度情報であって、前記空港の施設に影響を与える故障に対して第1の重要度を設定し、前記空港の施設に将来的に影響を与える故障に対して第2の重要度を設定する前記重要度情報とを予め記録する記録部と、
前記運用中に前記第1の重要度及び第2の重要度の故障が発生したとき、前記第1の重要度及び第2の重要度の故障に関する第1の故障情報の送信を指示する第1の指示信号を生成し、前記非運用中に前記第1の重要度の故障が発生したとき、前記第1の重要度の故障に関する第2の故障情報の送信を指示する第2の指示信号を生成する送信処理部と、
前記第1又は第2の指示信号に応じて前記遠隔監視装置とダイヤルアップ接続を確立し、前記ダイヤルアップ接続により前記第1又は第2の故障情報を前記遠隔監視装置へ送信する第1の通信部と
を備え、
前記遠隔監視装置は、
前記ダイヤルアップ接続により前記複数のローカル監視装置からの第1又は第2の故障情報を受信する第2の通信部と、
前記第1又は第2の故障情報を表示する表示部と
を備えることを特徴とする遠隔監視制御システム。
【請求項2】
前記第2の通信部は、前記複数のローカル監視装置の少なくともいずれかとダイヤルアップ接続を確立し、前記ダイヤルアップ接続が確立された少なくとも1個のローカル監視装置に対して要求信号を送信し、
前記複数のローカル監視装置は、
前記非運用中に前記第2の重要度の故障が発生したとき、前記第2の重要度の故障に関する履歴情報を前記記録部へ記録させる記録処理部と、
前記確立されたダイヤルアップ接続により前記遠隔監視装置からの前記要求信号を受信したとき、前記記録部に記録された前記履歴情報の送信を指示する第3の指示信号を生成する履歴情報送信処理部と
をさらに備え、
前記第1の通信部は、前記第3の指示信号に応じて、前記履歴情報を、前記確立されたダイヤルアップ接続により前記遠隔監視装置へ送信することを特徴とする請求項1記載の遠隔監視制御システム。
【請求項3】
空港毎に設置され、前記空港における複数の監視対象設備を監視する複数のローカル監視装置と、前記複数のローカル監視装置と通信回線により接続される遠隔監視装置とを具備する遠隔監視制御システムに用いられるローカル監視装置において、
前記空港の運用中又は非運用中を示す空港運用情報と、前記複数の監視対象設備のいずれかで発生する故障の重要度情報であって、前記第1の施設に影響を与える故障に対して第1の重要度を設定し、前記第1の施設に将来的に影響を与える故障に対して第2の重要度を設定する前記重要度情報とを予め記録する記録部と、
前記運用中に前記第1の重要度及び第2の重要度の故障が発生したとき、前記第1の重要度及び第2の重要度の故障に関する第1の故障情報の送信を指示する第1の指示信号を生成し、前記非運用中に前記第1の重要度の故障が発生したとき、前記第1の重要度の故障に関する第2の故障情報の送信を指示する第2の指示信号を生成する送信処理部と、
前記第1又は第2の指示信号に応じて前記遠隔監視装置とダイヤルアップ接続を確立し、前記ダイヤルアップ接続により前記第1又は第2の故障情報を前記遠隔監視装置へ送信する通信部と
を具備することを特徴とするローカル監視装置。
【請求項4】
前記非運用中に前記第2の重要度の故障が発生したとき、前記第2の重要度の故障に関する履歴情報を前記記録部へ記録させる記録処理部と、
前記遠隔監視装置との間でダイヤルアップ接続が確立され、前記ダイヤルアップ接続により前記遠隔監視装置から前記履歴情報の要求信号が送信されるとき、前記要求信号に応じて、前記記録部に記録された前記履歴情報の送信を指示する第3の指示信号を生成する履歴情報送信処理部と
をさらに具備し、
前記通信部は、前記第3の指示信号に応じて、前記履歴情報を、前記確立されたダイヤルアップ接続により前記遠隔監視装置へ送信することを特徴とする請求項3記載のローカル監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−193385(P2011−193385A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59817(P2010−59817)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】