説明

遠隔監視制御システム

【課題】選択ツマミにより熱線センサ入/切状態が手動変更された場合でも、伝送ユニットが認識している熱線センサ入/切状態と、熱線センサ付き自動スイッチの実際の熱線センサ入/切状態とが異なる状態になることを防止した遠隔監視制御システムを提供する。
【解決手段】熱線センサ付き自動スイッチ3は、熱線センサ10に接続され所定アドレスが付与される端子部9における接点入/切状態を手動変更するための切替部と、端子部9における接点入/切状態を検出する接点状態検出部14bと、切替部において接点入/切状態が手動変更された場合、端子部9のアドレス、及び接点状態検出部14bで検出された端子部9の接点の入状態又は切状態を含む制御要求を生成する制御部11と、この制御要求を伝送ユニットに送信する送受信部12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具の遠隔監視制御システムに関し、特に検知エリア内の人の存否に応じて照明器具の制御を行うため熱線センサ付き自動スイッチを備えた遠隔監視制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図8に、従来の熱線センサ付き端末器を用いて照明負荷の点灯/消灯を行う照明制御システムの構成の一例を示す。ここで用いる熱線センサ用端末器81は、器体内に熱線センサを内蔵したタイプのものであり、検知エリアの天井面などに埋込配設される。信号線Lsには、商用電源から照明負荷Lへの給電を入/切りするためのラッチング型のリモコンリレーを制御するリレーユニット83、壁スイッチ82が接続される。この壁スイッチ82は、照明負荷Lの点灯/消灯を行う点滅用スイッチSa、及び熱線センサ84の機能を入/切りするための熱線センサ入/切用スイッチSbを具備する。熱線センサのアドレスは、伝送ユニット80において照明負荷Lを入/切りするためのリレーユニット83のアドレスに対応づけられている。
【0003】
次に、この照明制御システムの動作を簡単に説明する。まず、検知エリア内に人が進入して熱線センサ84で検出され、人体検出信号が入力されると、熱線センサ用端末器81が人体検出信号に対応したアドレスが付加された監視データ(出力がオンであることを示すデータ)を伝送ユニット80に返送する。そして、伝送ユニット80が上記アドレスの対応関係に従ってリレーユニット83に制御データを伝送すると、リレーユニット83がリモコンリレーをオンして照明負荷Lを点灯させる。
【0004】
動作保持時間が経過すると熱線センサ用端末器81がそれに対応した監視データ(出力がオフであることを示すデータ)を伝送ユニット80に返送する。そして、伝送ユニット80がリレーユニット83に制御データを伝送すると、リレーユニット83がリモコンリレー83をオフして照明負荷Lを消灯させる。ここで、スイッチ82の点滅用スイッチSaのアドレスもリレーユニット4のアドレスに対応付けされており、点滅用スイッチSaを操作することでも照明負荷Lを強制的に点灯/消灯させることができる。
【0005】
ところで、通常、熱線センサ付き端末器には背面などにおいて再点灯させてから照明負荷を点灯させ続ける動作保持時間を選択するための「選択ツマミ」が備えられ、この「選択ツマミ」を用いてユーザが熱線センサ入/切状態を手動で強制的に「切」にすることもできる。ユーザは、この「選択ツマミ」を手動操作することで、熱線センサが人を検知しても照明器具を自動的にON/OFFする制御動作を行わないように設定できる。
【0006】
また、熱線センサ付き端末器の本体に熱線センサ入/切用の専用アドレスを設定することにより、壁スイッチから熱線センサ入/切の制御を直接行うことも可能である。この場合、熱線センサ入/切用アドレスは、操作用アドレス(スイッチアドレス)ではなく、制御用アドレス(T/Uアドレス)が付与される。伝送ユニットは、T/Uアドレスを用いて熱線センサ付き端末器の熱線センサ入/切状態を監視して、監視結果に基づいて、対応する壁スイッチ部のセンサ入/切用スイッチに対応する表示部に、熱線センサ入では赤表示、熱線センサ切では緑表示などを行う。
【0007】
ところで、熱線センサ付き端末器の「選択ツマミ」の手動操作によりセンサ入/切が変更された場合、伝送ユニットは熱線センサ入/切の状態が変更されたことは認識できない。そのため、実際の熱線センサ入/切状態と、スイッチ部のセンサ入/切スイッチに表示されている熱線センサ入/切状態が異なる状態が生じるという問題がある。
【0008】
そこで、熱線センサ付き端末器から、伝送ユニットに対して熱線センサ入/切状態が変更されたことを通知する必要がある。この場合、上述のように、熱線センサ入/切アドレスとしT/Uアドレスを使用しているため、この通知には制御用動作を用いる。
【0009】
以下、従来の熱線センサ付き端末器から伝送ユニットへの状態変化通知動作を図9を用いて説明する。最初に、ユーザが「選択ツマミ」を用いて熱線センサ入/切状態を手動変更すると、熱線センサ付き端末器は、伝送ユニットに対して熱線センサ入/切状態の通知のために割込み要求(割込信号)を発生させる(S91)。
【0010】
そして、伝送ユニットは、割込み要求に含まれる端末識別用のアドレスデータの上位の半数のビット(アドレスデータを8ビットとすれば上位4ビット)を特定する。そして、伝送ユニットは、上位ビットに対応する複数の端末機をグループとして一括的に開くアクセスするグループアクセスによって端末検索を開始する(S92)。割込信号を発生させた熱線センサ付き端末器では、伝送信号のアドレスデータの上位4ビットが熱線センサ付き端末器に設定されている操作用アドレスの上位4ビットに一致するとき信号返送期間に下位の半数ビットを伝送ユニットに返送する(S93)。このことで、伝送ユニットが割込信号を発生した熱線センサ付き端末器の操作用アドレスを獲得する。
【0011】
次に、伝送ユニットからのT/U(ターミナルユニット)状態監視要求を熱線センサ端末器が受信して(S94)、現在の熱線センサ入/切状態を伝送ユニットに返信する(S95)。このことで、伝送スイッチは、熱線センサ付き端末器の手動変更が行われた場合でも、熱線センサ付き端末器における熱線センサ入/切状態の確認が行える。
【0012】
ところで、2線式リモコンで照明器具を制御する遠隔監視制御システムとして、検知エリア内の人の存否に応じた所望の制御が簡単な構成で行うことができる遠隔監視制御システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、複数台の熱線センサ用端末器で共通の付加を制御する場合に所望の動作を行わせることができる遠隔監視制御システムも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−341768号公報
【特許文献2】特開2000−341769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、ユーザが熱線センサ付き端末器に備わる「選択ツマミ」を用いて熱線センサ入/切状態を手動変更する場合、上述の図9に示す状態変化動作を熱線センサ付き端末器が開始するまでは、熱線センサ付き端末器の実際のセンサ入/切状態と、伝送ユニットが認識しているセンサ入/切状態とが異なる期間が発生する。この期間に、壁スイッチなどを用いて熱線センサ入/切アドレスと同じチャンネルを含むパターン制御が行われることが考えられる。この場合、「選択ツマミ」を用いて手動変更された熱線センサ入/切状態が、伝送ユニットから熱線センサ付き端末器に送信されるパターン制御信号に基づいて元に戻ってしまうという問題がある。
【0015】
具体的には、図10を用いて説明する。なお、図10に示すような遠隔監視制御システムでは、壁スイッチのスイッチ個数(4個)に対応させたチャンネル単位(4回路)で伝送信号の送受信を行うことが規則となっている。従って、スイッチ部(例えば、熱線センサ付き端末器の熱線センサ入/切アドレスがch63−1でパターン1(ON)に、ch63−4でOFFに登録)に4つ設けられたボタンスイッチの1つが押下された場合でも、他の3つのチャンネル状態も付加して同時に伝送ユニット側に送信される。
【0016】
最初に、ユーザが熱線センサ付き端末器本体の「選択ツマミ」を用いた手動操作で熱線センサ切状態となる。そして、熱線センサ付き端末器と伝送ユニットと間でT/U状態変化通知(S91〜S95)を開始する前に、スイッチ部を用いてパターン1のスイッチ操作が行われると、伝送ユニットと熱線センサ付き端末器との間で上記と同様に割込み要求(S101)、割込みアドレス検索及び割込みアドレス返信(S102及びS103)がなされ、スイッチ部への表示が行われる(S104)。
【0017】
この場合、熱線センサ入/切アドレスと同一チャンネルが含まれるボタンスイッチが押下されパターン1の制御が要求されているため、伝送ユニットでは、まだch63−1がON状態と認識されているため、T/U制御信号でch63−1がONに制御される。このため、熱線センサ付き端末器では、「選択ツマミ」を用いた手動操作にも関わらず熱線センサ入の状態に再変更されてしまう(S105)。
【0018】
そして、次のS91〜S95に示す熱線センサ付き端末器が状態変化割込み動作を開始する時点では、熱線センサ付き端末器が「熱線センサ入」の状態に再変更されているため、T/Uの状態返信では「熱線センサ入」を返信することとなる(S95)。このように、ユーザが「選択ツマミ」を用いて熱線センサ切の状態にしたにも関わらず、熱線センサ付き端末器の熱線センサ入/切状態が「切」の状態に戻ってしまうという問題がある。
【0019】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、熱線センサ付き端末器に備わる「選択ツマミ」により熱線センサ入/切状態が手動変更された場合でも、伝送ユニットが認識している熱線センサ入/切状態と、熱線センサ付き端末器の実際の熱線センサ入/切状態とが異なる状態となることを防止した遠隔監視制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明は、信号線を通して伝送される伝送信号に基づいて照明負荷を制御する制御端末器と、熱線センサを用いて所定エリア内の人の存否を検出し当該検出の結果及び制御対象となる照明負荷のアドレスを含む伝送信号を信号線に出力する熱線センサ付き端末器と、信号線を介して前記制御端末器及び前記熱線センサ付き端末器と伝送信号を送受信する伝送ユニットと、を備える遠隔監視制御システムにおいて、前記熱線センサ付き端末器は、熱線センサに接続され、所定アドレスが付与される端子部における接点入/切状態を手動変更するための切替手段と、前記端子部における接点入/切状態を検出する接点状態検出手段と、前記切替手段において接点入/切状態が手動変更された場合、前記端子部のアドレス、及び前記接点状態検出手段で検出された前記端子部の接点の入状態又は切状態を含む制御要求を生成する制御手段と、前記制御要求を前記伝送ユニットに送信する送受信手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
この遠隔監視制御システムの前記送受信手段において前記制御要求を前記伝送ユニットに通知した後に、前記伝送ユニットが前記端子部の接点入/切状態を確認して、確認した当該接点入/切状態に基づいて前記端子部の接点入/切状態を制御するための制御指令を前記伝送ユニットから受信した場合にのみ、当該制御指令に基づいて熱線センサに接続された前記端子部の接点入/切状態の変更を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の遠隔監視制御システムでは、熱線センサ付き自動スイッチの「選択ツマミ」により熱線センサ入/切状態が手動変更された場合、熱線センサ付き自動スイッチは、熱線センサ入/切アドレスに対応する端子部の接点状態を検出して、伝送ユニットに対して端子部のアドレス及びオン制御要求又はオフ制御要求を通知する。このことで、熱線センサ付き自動スイッチの「選択ツマミ」により熱線センサ入/切状態が変更された場合でも、当該変更を伝送ユニットが認識できなくなることを防止して、パターン制御により熱線センサ入/切状態が元に戻ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係る遠隔監視制御システムの全体構成図である。
【図2】同遠隔監視制御システムに用いられる熱線センサ付き自動スイッチの背面図である。
【図3】同遠隔監視制御システムのアドレス設定器の画面表示例を示す図である。
【図4】同遠隔監視制御システムの熱線センサ付き自動スイッチの機能ブロック図である。
【図5】同遠隔監視制御システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【図6】同上実施の形態1の変形例1に係る遠隔監視制御システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る遠隔監視制御システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【図8】従来の遠隔監視制御システムの全体構成の一例を示す図である。
【図9】同遠隔監視制御システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【図10】同遠隔監視制御システムの他の動作手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係る遠隔監視制御システムについて図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る遠隔監視制御システムについて図1乃至図5を参照して説明する。この遠隔監視制御システム1は、伝送ユニット2、熱線センサ付き自動スイッチ(熱線センサ付き端末器)3、リレーユニット(制御端末器)4、及びスイッチ部(操作端末器)5を備える。これらは2線式の信号線6を介して相互に接続されている。
【0025】
伝送ユニット2は、内部のプロセッサ(CPU)の制御のもと、自動スイッチ3またはスイッチ部5からの伝送信号に基づいて、自動スイッチ3またはスイッチ部5に関連付けられたアドレス情報から制御対象となる照明負荷8を特定するとともに、照明負荷8に対する制御状態を特定する。そして、伝送ユニット2は、制御対象となる照明負荷8と対応するリレーユニット4に対して、照明負荷8のアドレス情報と、その制御状態とを制御指令として送信する。
【0026】
アドレス情報は、個別アドレス、グループアドレスまたはパターンアドレスを含む。個別アドレスは、個別制御の対象となる照明負荷8を特定するための情報であり、負荷アドレスがこれに該当する(例えば、「0−1」など)。グループアドレスは、グループ制御の対象となるグループを特定するための情報であり、予め設定された個々のグループに付与された番号等がこれに該当する(例えば、「G1」など)。パターンアドレスは、パターン制御の対象となるパターンを特定するための情報であり、予め設定された個々のパターンに付与された番号等がこれに該当する(例えば、「P1」など)。
【0027】
伝送ユニット2は、個々のグループアドレス毎に、そのグループに割り当てられる照明負荷8の負荷アドレスを示したグループ情報を保持している。そのため、伝送ユニット2は、自動スイッチ3またはスイッチ部5からグループアドレスを取得した場合には、グループ情報を検索することで、このグループアドレスに該当する複数の照明負荷8(負荷アドレス)を特定することができる。なお、伝送ユニット2にはリモコントランスを介して交流電源7が接続される。
【0028】
熱線センサ付き自動スイッチ3は、熱線センサが人体から放射される熱線を検出して検知エリア内の人の存否に応じて出力する人体検出信号を監視し、検知エリア内の人の動きが検出されたときに照明負荷8を点灯させる監視データを伝送ユニット2に返送する。また、熱線センサによって検知エリア内に人が検出されなくなってから所定の動作保持時間が経過した後に照明負荷を消灯する監視データを伝送ユニット2に返送する。
【0029】
リレーユニット4は、リレーの制御状態に応じて照明負荷8の状態を制御する負荷制御端末器としての機能を担っている。リレーユニット4は、内部のプロセッサの制御のもと、伝送ユニット2からの伝送信号に基づいて、自己に接続するリレーのうち、制御対象となる照明負荷8に対応するリレーに対して制御信号を送ることにより、リレーの状態を制御する。個々のリレーは、リレーユニット4に制御されて、照明負荷8をオン状態(点灯状態)またはオフ状態(消灯状態)に制御する。
【0030】
スイッチ部5は、壁スイッチなどであり、複数形成されたボタンスイッチに所定のアドレスが設定されている。例えば、スイッチ5aには、制御用アドレス(例えば63−1)を用いた熱線センサ付き自動スイッチ3の熱線センサ入/切アドレスが設定されている。ユーザは、スイッチ5aをプッシュ操作することにより遠隔から自動スイッチ3の熱線センサ入/切の変更が可能となる。
【0031】
なお、本実施の形態1に係る遠隔監視制御システム1では、スイッチ部5のボタンスイッチ個数(4個)に対応させたチャンネル単位(4回路)で信号の送受信を行う。この場合、ボタンスイッチのうち1つが押下された場合でも、他の3つのチャンネル状態も伝送信号に付加して伝送ユニット2に送信される。例えば、1のボタンスイッチのアドレス登録が0ch−1の場合、1のボタンスイッチが押下されると、この0ch−1の制御内容に加えて、0ch−2,3,4の状態を付加した伝送信号がボタン部5から伝送ユニット2に送信される。
【0032】
次に、本実施の形態1に係る遠隔監視制御システム1の動作に関して説明する。なお、スイッチ部5のスイッチ5aや5bにはそれぞれ個別の操作用アドレスが設定され、リレーユニット4にはそれぞれ個別の制御用アドレスが設定されている。伝送ユニット2は、操作用アドレス及び制御用アドレスを用いてスイッチ部5及びリレーユニット4を個別に認識する。
【0033】
伝送ユニット2は、信号線6を介して伝送信号を送出する。この伝送信号は、スイッチ部5やリレーユニット4を各別に呼び出すためのアドレスデータ、照明負荷8を制御する制御データ、伝送誤りを検出するためのチェックサムデータ、スイッチ部5やリレーユニット4からの返送信号を受信するタイムスロットである信号返送期間よりなる双極性(±24V)の時分割多重信号である。
【0034】
リレーユニット4及びスイッチ部5は、信号線6を介して受信した伝送信号により伝送されたアドレスデータが、予め設定されている操作用アドレス又は制御用アドレスに一致すると、伝送信号から制御データを取り込み、信号返送期間に返信データを返送する。伝送ユニット2では、送出した制御データと信号返送期間に受信したデータとの関係によって制御データが所望のリレーユニット4又はスイッチ部5に伝送されたことを確認する。なお、伝送ユニット2は、常時は伝送信号を一定時間間隔で送出しており、スイッチ部5が伝送ユニット2に対して情報を伝送しようとするときには、割込信号を発生させる必要がある。
【0035】
次に、熱線センサ付き自動スイッチ3に設けられた各種ツマミに関して説明する。
熱線センサ付き自動スイッチ3は、図2に示すように、背面側にアドレス設定送受信部31、動作保持時間選択ツマミ32、及び明るさセンサ用ツマミ33が設けられる。アドレス設定送受信部31は、アドレス設定器からのデータを送受信して、光信号を受信すると受信表示ランプを点滅させる。動作保持時間選択ツマミ32は、照明負荷8が人検知により再点灯してから消えるまでの動作保持時間を設定するための回転ツマミであり、例えば、「切」の位置にすると強制的に熱線センサ切状態となり、時間の位置にすると当該時間経過後に消灯を行う熱線センサ入状態になる。
【0036】
明るさセンサ用ツマミ33は、周囲照度を検出する照度センサの照度を設定するためのツマミである。照度センサによって検出される周囲照度が、明るさセンサ用ツマミ33の設定値よりも高い場合には、人体検出信号が入力されても監視データ(出力がオンであることを示すデータ)を伝送ユニット2に返送しない。この照度センサを用いることで、外光による部屋の明るさを検知し、外が明るい時には光量を抑えて点灯し、外が暗い時には明るく点灯するなど、外光に合わせて平均照度を一定に保つよう自動調光(約25〜75%)できる。
【0037】
次に、熱線センサ付き自動スイッチ3の機能について図3を用いて説明する。自動スイッチ3は、端子部9と、熱線センサ10と、制御部11と、送受信部12と、アドレス記憶部13と、センサ入/切状態切替部14と、照度センサ接続部15と、電源部16とを備えている。制御部11は、CPUを主構成要素とし、熱線センサ10から得られる人体検出信号に基づいて伝送ユニット2に送信する監視データを作成する。送受信部12は、監視データを信号線6に送出するとともに伝送ユニット2から送信されてくるデータを信号線6から受け取る。アドレス記憶部13は、各アドレスデータを記憶する。
【0038】
センサ入/切状態部14は、熱線センサ入/切状態を切替えるための処理部である。接点状態検出部14bは、選択ツマミ32を用いた端子部9の熱線センサ10との接点の入/切状態を、接点信号として制御部11に通知する。制御部11は、送受信部12を介して端子部9の状態(オン又はオフ)に対応する制御要求を伝送ユニット2に通知する。照度センサ接続部15は、照度センサの検出信号が入力される。電源部16は、リモコントランスの交流出力から各部の動作電源を作成する。
【0039】
次に、本実施の形態1の遠隔監視制御システム1に用いるアドレス情報に関して説明する。熱線センサ付き自動スイッチ3では、各種アドレスがアドレス記憶部13に選択自在に記憶されるようにしてある。
【0040】
図4はスイッチ部5や自動スイッチ4にアドレスを設定するためのワイヤレスアドレス設定器の表示部に表示される画面41を示している。一番左の縦の列にはアドレスの種類、すなわち個別制御用アドレスを示す「個別」、グループ制御用アドレスを示す「G」又はパターン制御用アドレスを示す「P」などが表示される。その右隣りの縦の列にはチャンネルと負荷番号又はグループ番号やパターン番号が表示される。
【0041】
画面41では、1段目(42)のアドレスには、検知動作制御アドレスとして、人体検出信号の入力時に監視データを送出する際に使用するアドレス(0−1)、2段目のアドレスにはパターン制御用アドレスが設定可能であり、遅延時間後制御アドレスとして、動作保持時間が経過した時に監視データを送出する際に使用するアドレス、3段目(43)には、熱線センサ10の入/切用の制御用アドレス(ch63−1)が表示されている。
【0042】
次に、遠隔監視制御システム1において、「選択ツマミ」32を用いて熱線センサ10の入/切状態(センサ入/切の制御用アドレスをch63−1とする)が手動変更された場合の動作に関して説明する。
【0043】
最初に、「選択ツマミ」32を用いて熱線センサ10の入/切状態(センサ入/切の制御用アドレスをch63−1とする)が手動変更された場合、「選択ツマミ」との接点信号に変化が生じ、接点信号が立ち上がる又は接点信号が立ち下がり、これが接点入力検知部において検知される。すると、制御部11は、伝送ユニット2に割込み要求を送信する(S51)。
【0044】
そして、伝送ユニット2は、割込み要求を行った端末器を特定(アドレス検索)するために、端末器認識用のアドレスデータを含む伝送信号を送出し(S52)、割込信号を発生した自動スイッチ3は残りのアドレスを伝送ユニット2に返信する(S53)。この結果、伝送ユニット2が割込信号を発生した熱線センサ付き自動スイッチ3のアドレスを獲得する。
【0045】
次に、伝送ユニット2は、割込み要求を行った自動スイッチ3に対して、接点確認要求となる入力状態監視信号を送信する(S54)。熱線センサ付き自動スイッチ3は、伝送ユニット2から送信された入力状態監視信号を受信し、どの接点に変化があったのか(具体的には、端子部に接続する熱線センサ10との接点信号)、及び、その接点信号がどのように変化(この場合はOFFになった)したのかを示す接点情報を取得して、この接点情報に基づいて、接点信号の変化があった端子部に関連付けられるアドレス情報(63−1)と、接点変化に対応した熱線センサ10の制御情報をOFF制御要求として返信する(S55)。
【0046】
次に、伝送ユニット2は、端末器状態監視要求を行い(S56)、それを受信した熱線センサ付き自動スイッチ3は、現在の熱線センサ入/切状態(OFF状態)を伝送ユニット2に返信する(S57)。
【0047】
また、伝送ユニット2は、スイッチ部5に対して熱線センサ10の入/切状態に対応させた表示要求を行い(S58)、T/U制御によりOFF制御(センサ切)を行う(S59)。ここでは、S55のOFF制御要求が返信されているために、伝送ユニット2のch63−1のアドレスに対応する状態が既にOFF状態となっているため、S59において返信される状態もOFF制御(センサ切)となる。最後に、熱線センサ付き自動スイッチ3は、コマンドや文字列を伝送ユニット2側に送り返すエコーバック処理を行う(S60)。なお、図5では、OFF制御要求の場合を示しているが、選択ツマミ32を用いて手動でセンサ入に変更されてON制御要求を行う場合も同様の動作となる。
【0048】
このように、本実施の形態1に係る遠隔監視制御システム1において、自動スイッチ3の本体の選択ツマミ32により熱線センサ入/切状態が変更された場合、熱線センサ付き自動スイッチ3は、熱線センサ入/切アドレスに対応させて、接点入力T/Uに基づくオン制御要求又はオフ制御要求を行う。このことで、熱線センサ付き自動スイッチ3本体の選択ツマミ32により熱線センサ入/切状態が変更されたのに、伝送ユニット2からのパターン制御により熱線センサ入/切状態が元に戻るという問題を確実に回避できる。
【0049】
(変形例1)
本実施の形態1の変形例1について、図6を参照して説明する。本図は、自動スイッチ3の選択ツマミ32の手動操作により熱線センサ入/切状態が変化した後、伝送ユニット2に対してスイッチ部5を用いたパターンスイッチ操作(S61〜S66)が先に行われた場合の動作例を示している。
【0050】
この場合、上述したS101〜S106の動作と同様に、センサ入/切状態が一旦、センサ入に再変更される(S65)。しかし、本遠隔監視制御システムでは、その後、伝送ユニット2と自動スイッチ3との間で接点入力T/UのOFF制御要求動作がなされ、センサ入/切アドレス(63−1)がOFF制御要求されてOFFとなる(S59)。このため、本変形例1では、自動スイッチ3の選択ツマミ32の手動操作により熱線センサ入/切状態が変化した後、熱線センサ入/切アドレスと同一チャンネルの回路が含まれるパターン制御(S61〜S66)が先に行われた場合でも、熱線センサ入/切状態が元に戻るという問題が回避して、熱線センサ入/切状態を正確に反映させることができる。
【0051】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係る遠隔監視制御システムについて図7を参照して説明する。本遠隔監視制御システム1では、熱線センサ付き自動スイッチ3の熱線センサ入/切状態の変更は、全て伝送ユニット2を介して伝送ユニット2の制御指示により変更する。
【0052】
すなわち、本遠隔監視制御システム1においては、熱線センサ付き自動スイッチ3の選択ツマミ32が手動操作された場合においても、ツマミ位置は変更しても、熱線センサ付き自動スイッチ3は内部のセンサ入/切状態を変更しない。熱線センサ付き自動スイッチ3は、センサ入/切状態を変更するために上記実施の形態1と同様(S51〜60)の接点入力T/U動作によるOFF制御要求を行う(S55)。この際、伝送ユニット2からのT/U制御指示があった場合のみ(S59)、この制御指示に基づいて熱線センサ付き自動スイッチ3が熱線センサ入/切状態を変更できる。このため、上記実施の形態1に記載の効果に加えて、熱線センサ付き自動スイッチ3のセンサ入/切状態と伝送ユニット2が認識しているセンサ入/切状態が異なるという状態が発生しなくなる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、接点検出される端末器は熱線センサ付き自動スイッチ3に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
1 遠隔監視制御システム
2 伝送ユニット
3 熱線センサ付き自動スイッチ(熱線センサ付き端末器)
4 リレーユニット(制御端末器)
5 スイッチ部
6 信号線
7 電源
8 照明負荷
9 端子部
10 熱線センサ
11 制御部(制御手段)
12 送受信部(送受信手段)
13 アドレス記憶部
14 センサ入/切状態切替部(切替手段)
14b 接点状態検出部(接点状態検出手段)
15 照度センサ接続部
16 電源部
31 アドレス設定送受信部
32 動作保持時間選択ツマミ
33 明るさセンサ用ツマミ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線を通して伝送される伝送信号に基づいて照明負荷を制御する制御端末器と、熱線センサを用いて所定エリア内の人の存否を検出し当該検出の結果及び制御対象となる照明負荷のアドレスを含む伝送信号を信号線に出力する熱線センサ付き端末器と、信号線を介して前記制御端末器及び前記熱線センサ付き端末器と伝送信号を送受信する伝送ユニットと、を備える遠隔監視制御システムにおいて、
前記熱線センサ付き端末器は、
熱線センサに接続され、所定アドレスが付与される端子部における接点入/切状態を手動変更するための切替手段と、
前記端子部における接点入/切状態を検出する接点状態検出手段と、
前記切替手段において接点入/切状態が手動変更された場合、前記端子部のアドレス、及び前記接点状態検出手段で検出された前記端子部の接点の入状態又は切状態を含む制御要求を生成する制御手段と、
前記制御要求を前記伝送ユニットに送信する送受信手段と、を備えることを特徴とする遠隔監視制御システム。
【請求項2】
前記熱線センサ付き端末器は、前記送受信手段において前記制御要求を前記伝送ユニットに通知した後に、前記伝送ユニットが前記端子部の接点入/切状態を確認して、確認した当該接点入/切状態に基づいて前記端子部の接点入/切状態を制御するための制御指令を前記伝送ユニットから受信した場合にのみ、当該制御指令に基づいて熱線センサに接続された前記端子部の接点入/切状態の変更を行う、ことを特徴とする請求項1記載の遠隔監視制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−74775(P2012−74775A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216029(P2010−216029)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】