説明

遠隔管理方法、遠隔管理システム、状態報告装置、および管理装置

【課題】 サポートセンタの技術者等が臨床検体処理装置を遠隔で管理することができる遠隔管理方法、遠隔管理システム、状態報告装置、および管理装置をを提供する。
【解決手段】 本願発明に係る遠隔管理方法は、臨床検体を処理する臨床検体処理装置2を遠隔で管理する遠隔管理方法であって、前記臨床検体処理装置2を撮像装置5で撮像し、前記撮像装置5によって撮像された撮像画像を、前記撮像装置5から、前記臨床検体処理装置2の遠隔地に設けられた管理装置6へ通信ネットワークNWを通じて提供し、前記管理装置6で前記撮像画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床検体を処理する臨床検体処理装置を遠隔で管理する遠隔管理方法、当該遠隔管理方法の実施に使用する遠隔管理システム、ならびに当該遠隔管理システムが備える状態報告装置および管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液検体の塗抹標本を作製する塗抹標本作製装置、血液検体を分析する血液分析装置、尿検体を分析する尿分析装置、便検体を分析する便分析装置等、臨床検体を処理する臨床検体処理装置が広く知られている。かかる臨床検体処理装置に異常が生じた場合には、その異常をユーザまたは装置のサポートを行うサポートセンタ等に知らせる必要がある。そこで、装置に異常が発生したことを、サポートセンタ等に知らせる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、分析装置と管理装置とがネットワークで接続されており、分析装置がその動作履歴を示す履歴情報を、電子メールで管理装置へ送信し、管理装置が分析装置毎の履歴情報を蓄積するサポート方法が開示されている。これにより、サポートセンタの技術者は、蓄積された履歴情報を管理装置上で確認することで、ユーザに分析装置の状態の詳細な説明を求めなくてもその状態を把握することができ、障害復旧作業を容易にすることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−229291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような臨床検体処理装置は、構造が複雑なものが多く、履歴情報を調べただけでは詳細な装置の状態を把握することができない場合もある。このような場合には、サポートセンタが臨床検体処理装置の設置されているユーザの施設等へ技術者を派遣し、当該技術者に現地で臨床検体処理装置の状態を調べさせる必要があるため、障害復旧作業に多くの時間および手間を要していた。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、臨床検体処理装置の詳細な状態を示す画像を通信ネットワークを通じて臨床検体処理装置から遠く離れた管理装置へ送信することにより、サポートセンタの技術者等が臨床検体処理装置に対するサポート処理、点検、状態調査、監視等の管理作業を遠隔で行うことができる遠隔管理方法、当該遠隔管理方法の実施に使用する遠隔管理システム、ならびに当該遠隔管理システムが備える状態報告装置および管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る遠隔管理方法は、臨床検体を処理する臨床検体処理装置を遠隔で管理する遠隔管理方法であって、前記臨床検体処理装置を撮像装置で撮像し、前記撮像装置によって撮像された撮像画像を、前記撮像装置から、前記臨床検体処理装置の遠隔地に設けられた管理装置へ通信ネットワークを通じて提供し、前記管理装置で前記撮像画像を表示することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る遠隔管理システムは、臨床検体を処理する臨床検体処理装置と、当該臨床検体処理装置の撮像に使用される撮像装置と、前記臨床検体処理装置の遠隔管理に使用される管理装置と、前記撮像装置によって撮像された撮像画像を、前記管理装置へ通信ネットワークを通じて提供する提供手段とを備え、前記管理装置は、前記提供手段によって提供された撮像画像を表示するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
このようにすることにより、サポートセンタの技術者等の臨床検体処理装置の構造について詳しい知識を有する者が、前記撮像画像を確認することによって臨床検体処理装置の詳細な状態を知ることができるため、臨床検体処理装置に対するサポート処理、点検、状態調査、監視等の管理作業を遠隔で行うことができる。
【0010】
上記発明においては、前記臨床検体処理装置の状態に関する状態情報を取得し、当該状態情報を前記通信ネットワークを介して前記管理装置へと送信する状態報告装置をさらに備え、前記管理装置は、前記状態報告装置から送信された状態情報を受信する受信手段をさらに有し、前記状態報告装置は、前記撮像装置によって撮像された撮像画像を取得する画像取得手段を有しており、前記提供手段が設けられている構成とすることが好ましい。
【0011】
このようにすることにより、管理装置は、臨床検体処理装置の撮像画像だけでなく、状態情報を収集することができ、臨床検体処理装置の遠隔管理作業の効率をより一層向上させることが期待できる。
【0012】
上記発明においては、前記状態報告装置は、前記画像取得手段によって取得した撮像画像をリアルタイム表示するリアルタイム表示手段を有し、前記提供手段は、前記リアルタイム表示手段によって表示されている撮像画像の少なくとも一部を前記管理装置へ通信ネットワークを通じて提供するように構成されていることが好ましい。
【0013】
このようにすることにより、サポートセンタの技術者等が臨床検体処理装置の詳細な状態を即座に把握することができる。また、撮像画像の全部を提供しない場合には、通信トラフィックを軽減することができる。
【0014】
上記発明においては、前記状態報告装置は、前記臨床検体処理装置の動作を設定する動作設定手段をさらに有し、前記管理装置は、前記臨床検体処理装置の動作を設定するための動作設定情報の入力を受け付ける入力受付手段と、入力された動作設定情報を通信ネットワークを通じて前記状態報告装置へ送信する動作設定情報送信手段とをさらに有し、前記状態報告装置は、前記状態報告装置から送信された動作設定情報を受信する動作設定情報受信手段をさらに有し、前記動作設定手段は、当該動作設定情報受信手段によって受信された動作設定情報に基づいて、前記臨床検体処理装置の動作を設定するように構成されていることが好ましい。
【0015】
このようにすることにより、サポートセンタの技術者等が、管理装置を操作することによって遠隔で臨床検体処理装置の動作設定を行うことができ、より一層遠隔管理作業の効率を向上させることができる。
【0016】
上記発明においては、前記状態報告装置は、当該状態報告装置の表示画面と同一の画面を表示するための表示画面情報を、通信ネットワークを通じて前記管理装置へと送信する表示画面情報送信手段をさらに有し、前記管理装置は、前記状態報告装置から送信された表示画面情報を受信する表示画面情報受信手段と、当該表示画面情報受信手段によって受信された表示画面情報に基づいて、前記状態報告装置の表示画面と同一の画面を表示する同一画面表示手段とをさらに有し、前記入力受付手段は、前記同一画面表示手段によって表示された画面に対して、前記状態報告装置を操作する場合と同様の操作により、前記動作設定情報の入力を受け付けるように構成されていることが好ましい。
【0017】
このようにすることにより、サポートセンタの技術者等が状態報告装置の操作と同様の操作によって遠隔で臨床検体処理装置の動作設定を行うことができるので、遠隔動作設定の操作性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明に係る状態報告装置は、臨床検体を処理する臨床検体処理装置の状態を報告する状態報告装置であって、前記臨床検体処理装置の状態に関する状態情報を取得する状態情報取得手段と、当該状態情報取得手段によって取得された状態情報を外部へ送信する状態情報送信手段と、前記臨床検体処理装置が撮像された撮像画像を取得する画像取得手段と、当該画像取得手段によって取得された撮像画像を外部へ送信する画像送信手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る管理装置は、臨床検体を処理する臨床検体処理装置の遠隔管理に使用される管理装置であって、前記臨床検体処理装置の状態に関する状態情報を外部から受信する状態情報受信手段と、前記臨床検体処理装置が撮像された撮像画像を外部から受信する画像受信手段と、当該画像受信手段によって受信された撮像画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
このようにすることにより、サポートセンタの技術者等が管理装置上で前記撮像画像を確認することにより、臨床検体処理装置に対するサポート処理、点検、状態調査、監視等の管理作業を遠隔で行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る遠隔管理方法、遠隔管理システム、状態報告装置、および管理装置によれば、サポートセンタの技術者等の臨床検体処理装置の構造について詳しい知識を有する者が、前記撮像画像を確認することによって臨床検体処理装置の詳細な状態を知ることができるため、臨床検体処理装置に対するサポート処理、点検、状態調査、監視等の管理作業を遠隔で行うことができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る遠隔管理方法、遠隔管理システム、状態報告装置、および管理装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る遠隔管理システムの構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態に係る遠隔管理システム1は、血液塗抹標本作製装置2と、搬送装置3と、本発明に係る状態報告装置として機能するコンピュータ4と、撮像装置5と、本発明に係る管理装置として機能するコンピュータ6とから主として構成されている。血液塗抹標本作製装置2、搬送装置3、コンピュータ4、および撮像装置5は、例えば、病院または病理検査施設等の医療機関の施設内に設けられており、コンピュータ6は、血液塗抹標本作製装置2の保守・管理作業のサポートを行うサポートセンタの施設内に設けられている。血液塗抹標本作製装置2とコンピュータ4とは、互いにデータ通信が可能であるように電気信号ケーブル4aにて接続されており、コンピュータ4と撮像装置5とは、撮像装置5の撮像信号をコンピュータ4に伝送することが可能であるように電気信号ケーブル4bにて接続されている。また、コンピュータ4とコンピュータ6とは、互いにデータ通信が可能であるように、電話回線を使用した専用回線、LAN、またはインターネット等である通信ネットワークNWによって接続されている。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態に係る血液塗抹標本作製装置の構成を示す斜視図である。血液塗抹標本作製装置2は、血液検体の塗抹標本を作製するために設けられている。この血液塗抹標本作製装置2は、制御部2aを含んでいるとともに、コンピュータ4に接続されている。ここで、本実施形態では、血液塗抹標本作製装置2の制御部2aは、CPU、ROM、RAMなどからなる。この制御部2aは、血液塗抹標本作製装置2の動作制御を行う機能と、血液塗抹標本作製装置2が異常状態にあることを判断する機能と、血液塗抹標本作製装置2が正常状態に比べて将来故障する可能性の高い警告状態にあることを判断する機能と、血液塗抹標本作製装置2が異常状態および警告状態にあることの情報(異常情報および警告情報)をコンピュータ4に送信する機能とを有する。また、搬送装置3は、血液塗抹標本作製装置2の前面に設置されており、搬入部3aおよび取り出し部3bを有している。この搬送装置3は、血液が収容された試験管101を収納する検体ラック100を血液塗抹標本作製装置2に自動的に搬送するために設けられている。
【0025】
図3〜図5は、血液塗抹標本作製装置の構造を説明するための図であり、図6は、血液塗抹標本作製装置の染色部の第3吸引排出部に供給される染色液の供給経路を示した流体回路図である。ここで、図2〜図6を参照して、血液塗抹標本作製装置2および搬送装置3の全体構成について説明する。まず、図2に示すように、血液塗抹標本作製装置2には、制御部2aに加えて、タッチパネルからなる表示操作部2bと、血液が収容された試験管101を搬送装置3側から血液塗抹標本作製装置2側に搬送するためのハンド部材2cとが設けられている。また、血液塗抹標本作製装置2は、図3に示すように、吸引分注機構部21と、塗抹部22と、樹脂製のカセット23と、カセット収容部24と、カセット搬送部25と、スライドガラス挿入部26と、染色部27と、保管部28とを備えている。また、図3に示すように、血液塗抹標本作製装置2の下方には、染色部27において使用する染色液や洗浄用の水などを収容した複数の容器80が配置されている。
【0026】
吸引分注機構部21は、ハンド部材2c(図2参照)によって血液塗抹標本作製装置2側に搬送された試験管101から血液を吸引するとともに、吸引した血液をスライドガラス10に滴下する機能を有する。この吸引分注機構部21は、図4に示すように、試験管101(図2参照)から血液を吸引するためのピアサ(吸引針)21aと、吸引した血液をスライドガラス10に分注するための分注ピペット21bと、分注ピペット21bを支持する支持部材21cと、支持部材21cを前方(図3の矢印A方向)および後方(図3の矢印B方向)に移動させる前後駆動用モータ21dと、支持部材21cの所定の部分を検出することにより分注ピペット21bの水平方向における原点位置を検出するためのセンサ21eと、支持部材21cおよび前後駆動用モータ21dを支持する支持部材21fと、支持部材21fを上方(図4の矢印C方向)および下方(図4の矢印D方向)に移動させる上下駆動用モータ21gと、支持部材21fの所定の部分を検出することにより分注ピペット21bの垂直方向における原点位置を検出するためのセンサ21hとを含んでいる。なお、前後駆動用モータ21dおよび上下駆動用モータ21gには、パルス信号を与えられることによって動作するステッピングモータが使用される。
【0027】
塗抹部22は、図3に示すように、スライドガラス10を分注・塗抹位置90に供給するとともに、スライドガラス10に滴下された血液を塗抹して乾燥させ、かつ、スライドガラス10に印字を行うために設けられている。また、樹脂製のカセット23は、塗抹が施されたスライドガラス10および染色工程で用いる液体(染色液)を収容することが可能なように構成されている。このカセット23は、図5に示すように、スライドガラス収納孔23aと、染色液吸引分注孔23bとを含んでいる。スライドガラス収納孔23aと、染色液吸引分注孔23bとは、内部で繋がっている。
【0028】
また、図3に示すように、カセット収容部24は、カセット23をカセット搬送部25に搬入するために設けられており、送り込みベルト24aを含んでいる。また、カセット搬送部25は、カセット収容部24から搬入されたカセット23をスライドガラス挿入部26および染色部27に搬送するために設けられている。このカセット搬送部25は、図3に示すように、水平方向に移動可能なカセット搬送部材25aと、カセット収容部24から供給されたカセット23を搬送するための搬送路25bとを含んでいる。また、図3に示したスライドガラス挿入部26は、塗抹および印字が施されたスライドガラス10をカセット23のスライドガラス収納孔23aに収納するために設けられている。
【0029】
図3に示した染色部27は、カセット搬送部材25aにより搬送されたカセット23の染色液吸引分注孔23bに染色液を供給することにより、塗抹済みのスライドガラス10に染色を施すために設けられている。この染色部27は、カセット23を搬送するための搬送ベルト27aと、カセット23に対して染色液の供給および排出を行うための第1〜第5吸引排出部27b〜27fとを含んでいる。
【0030】
ここで、図5および図6を参照して、第1〜第5吸引排出部27b〜27fのうち、第3吸引排出部27dに例を取って、その構造および第3吸引排出部27dで使用される染色液の流体経路について説明する。第3吸引排出部27dは、図5に示すように、カセット23に対して染色液の供給および排出を行う供給ピペット71および排出ピペット72と、供給ピペット71および排出ピペット72を支持するピペット支持部材73と、ピペット支持部材73を上下方向(図5の矢印E方向)に移動させるモータ74aおよび駆動ベルト74bを有する駆動機構部74とを含んでいる。第3吸引排出部27dは、カセット23に対して、供給ピペット71および排出ピペット72を駆動機構部74により下方向に移動させることにより、染色液の供給および排出を行うように構成されている。
【0031】
次に、第3吸引排出部27dの供給ピペット71から供給される染色液の流体経路は、図6に示すように、染色液を収容するための容器80と、染色液を一時的に貯留するためのチャンバ81と、チャンバ81に対して加圧および減圧を行うための気圧調節器82と、染色液と染色液を希釈するための希釈液とを混合するための混合チャンバ83と、チャンバ81と混合チャンバ83との間で染色液を移動させるためのダイヤフラムポンプ84と、ダイヤフラムポンプ84に対して加圧および減圧を行うための気圧調節器85とを含んでいる。このチャンバ81は、容器80、気圧調節器82、混合チャンバ83および排出口とパイプによって接続されている。混合チャンバ83は、染色部27の第3吸引排出部27dの供給ピペット71とパイプによって接続されている。また、容器80とチャンバ81との間、チャンバ81と混合チャンバ83との間、および、チャンバ81と排出口との間には、それぞれ、バルブ86、87および88が設置されている。ダイヤフラムポンプ84は、パイプによってバルブ87に接続されている。また、混合チャンバ83には、染色液を希釈するための希釈液を供給するためのパイプが接続されている。
【0032】
チャンバ81は、図6に示すように、染色液を収容するための貯留部81aと、貯留部81aの内部に設けられたフロートスイッチ81bとを有している。このフロートスイッチ81bは、染色液に浮くことが可能な材質により構成され、内部に磁石81cが埋め込まれた浮き部材81dと、浮き部材81dを上下方向に移動可能に支持するとともに、磁気検知型のリードスイッチ81eが内蔵された支持棒81fとから構成されている。また、リードスイッチ81eは、貯留部81a内の染色液が規定量に達したときに浮き部材81dの磁石81cの磁気を検知可能な支持棒81fの所定位置に埋め込まれている。フロートスイッチ81bは、浮き部材81dが所定位置に近づいたときに、支持棒81fのリードスイッチ81eが浮き部材81d内の磁石81cの磁気を検知してオン状態になるとともに、浮き部材81dが所定位置から離れたときに、支持棒81fのリードスイッチ81eが浮き部材81d内の磁石81cの磁気を検知できずにオフ状態になるように構成されている。
【0033】
また、図3に示した保管部28は、染色部27により染色されたスライドガラス10が収納されたカセット23を保管するために設けられている。この保管部28には、カセット23を搬送するための搬送ベルト28aが設けられている。
【0034】
次に、コンピュータ4の構成について説明する。図7は、本発明の実施の形態に係るコンピュータ4の構成を示すブロック図である。コンピュータ4は、本体41と、画像表示部42と、入力部43とから主として構成されている。本体41は、CPU41aと、ROM41bと、RAM41cと、ハードディスク41dと、読出装置41eと、入出力インタフェース41fと、通信インタフェース41gと、画像出力インタフェース41hとから主として構成されており、CPU41a、ROM41b、RAM41c、ハードディスク41d、読出装置41e、入出力インタフェース41f、通信インタフェース41g、および画像出力インタフェース41hは、バス41iによって接続されている。
【0035】
CPU41aは、ROM41bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM41cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなコンピュータプログラムを当該CPU41aが実行することにより、コンピュータ4が本発明に係る状態報告装置として機能する。
【0036】
ROM41bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU41aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータ等が記録されている。
【0037】
RAM41cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM41cは、ROM41bおよびハードディスク41dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU41aの作業領域として利用される。
【0038】
ハードディスク41dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラム等、CPU41aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよび当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
【0039】
読出装置41eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体44に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体44には、コンピュータを状態報告装置として機能させるためのコンピュータプログラムが格納されており、コンピュータ4が当該可搬型記録媒体44から前記コンピュータプログラムを読み出し、当該コンピュータプログラムをハードディスク41dにインストールすることが可能である。
【0040】
なお、前記コンピュータプログラムは、可搬型記録媒体44によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ4と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、本発明に係るコンピュータプログラムがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ4がアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク41dにインストールすることも可能である。
【0041】
入出力インタフェース41fは、例えばUSB,IEEE1394,RS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,IEEE1284等のパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース41fには、キーボードおよびマウスからなる入力部43が接続されており、ユーザ(例えば、検査技師または検査医)が当該入力部43を使用することにより、コンピュータ4にデータを入力することが可能である。
【0042】
また、入出力インタフェース41fには、上述した撮像装置5が例えばUSBにて接続されており、これにより撮像装置5の撮像信号を取り込むことが可能となっている。撮像装置5は、CCDカメラまたはCMOSカメラ等によって構成されており、所定のフレームレートで撮像対象を撮像し、撮像信号(動画信号)を出力するようになっている。なお、撮像装置5は、カラービデオカメラが好ましいが、モノクロームビデオカメラであってもよい。
【0043】
また、入出力インタフェース41fには、上述した血液塗抹標本作製装置2が例えばUSBにて接続されており、これにより血液塗抹標本作製装置2から後述する警告情報およびエラー情報を受信し、また血液塗抹標本作製装置2の動作設定を行うことが可能となっている。
【0044】
通信インタフェース41gは、例えばEthernet(登録商標)インタフェースであり、コンピュータ4は、当該通信インタフェース41gにより、所定の通信プロトコルを使用して通信ネットワークNWに接続されたコンピュータ6との間でデータの送受信が可能である。
【0045】
画像出力インタフェース41hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部42に接続されており、CPU41aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部42に出力するようになっている。画像表示部42は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0046】
次に、コンピュータ6の構成について説明する。図8は、本発明の実施の形態に係るコンピュータ6の構成を示すブロック図である。コンピュータ6は、本体61と、画像表示部62と、入力部63とから主として構成されている。本体61は、CPU61aと、ROM61bと、RAM61cと、ハードディスク61dと、読出装置61eと、入出力インタフェース61fと、通信インタフェース61gと、画像出力インタフェース61hとから主として構成されており、CPU61a、ROM61b、RAM61c、ハードディスク61d、読出装置61e、入出力インタフェース61f、通信インタフェース61g、および画像出力インタフェース61hは、バス61iによって接続されている。
【0047】
CPU61aは、ROM61bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM61cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなコンピュータプログラムを当該CPU61aが実行することにより、コンピュータ6が本発明に係る管理装置として機能する。
【0048】
ROM61bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU61aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータ等が記録されている。
【0049】
RAM61cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM61cは、ROM61bおよびハードディスク61dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU61aの作業領域として利用される。
【0050】
ハードディスク61dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラム等、CPU61aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよび当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。また、ハードディスク61dには、電子メールの受信サーバプログラムがインストールされており、臨床検体処理装置の状態報告用の電子メールアドレスに対応付けられた電子メールのメールボックスが設けられている(図示せず)。外部のコンピュータ4から当該電子メールアドレス宛の電子メールが送信された場合には、CPU61aによって実行された電子メール受信サーバプログラムによって当該電子メールが受信され、前記メールボックスに格納される。
【0051】
読出装置61eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体64に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体64には、管理装置として機能するためのコンピュータプログラムが格納されており、コンピュータ6が当該可搬型記録媒体64から本発明に係るコンピュータプログラムを読み出し、当該コンピュータプログラムをハードディスク61dにインストールすることが可能である。
【0052】
なお、前記コンピュータプログラムは、可搬型記録媒体64によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ6と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラムがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ6がアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク61dにインストールすることも可能である。
【0053】
入出力インタフェース61fは、例えばUSB,IEEE1394,RS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,IEEE1284等のパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース61fには、キーボードおよびマウスからなる入力部63が接続されており、サポートセンタの技術者が当該入力部63を使用することにより、コンピュータ6にデータを入力することが可能である。
【0054】
通信インタフェース61gは、例えばEthernet(登録商標)インタフェースであり、コンピュータ6は、当該通信インタフェース61gにより、所定の通信プロトコルを使用して通信ネットワークNWに接続されたコンピュータ4との間でデータの送受信が可能である。
【0055】
画像出力インタフェース61hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部62に接続されており、CPU61aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部62に出力するようになっている。画像表示部62は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0056】
次に、本実施形態に係る遠隔管理システム1の動作について説明する。まず、検体の提供者(患者)のカルテ情報が、図示しないホストコンピュータに入力される。そして、図1および図2に示した血液塗抹標本作製装置2は、ホストコンピュータの情報に従って、搬送装置3により搬送される検体ラック100に載置された試験管101から血液検体を採取して血液塗抹標本を作製する。
【0057】
血液塗抹標本作製装置2により血液塗抹標本を作製する際には、まず、吸引分注動作として、図2に示すように、血液検体が収容された試験管101が載置された検体ラック100を搬送装置3の搬入部3aにセットする。そして、表示操作部2bに表示された自動吸引のスタートスイッチを押す。これにより、検体ラック100は、搬送装置3の取り出し部3bに搬送される。そして、血液塗抹標本作製装置2のハンド部材2cが、検体ラック100の試験管101を持ち上げて攪拌した後、図3に示す吸引分注機構部21に試験管101を配置する。そして、ピアサ21aにより試験管101内の血液を吸引する。この後、分注ピペット21bを前方(図3の矢印A方向)および下方(図4の矢印D方向)に移動させて図3に示した分注・塗抹位置90に移動させた後、スライドガラス10に血液を分注ピペット21bから滴下(分注)する。この分注動作の後、分注ピペット21bを上方(図4の矢印C方向)および後方(図3の矢印B方向)に移動させて原点位置に移動させる。分注ピペット21bを上方に移動させる際には、分注動作の後、分注ピペット21bが下端位置に位置する状態で、上下駆動用モータ21gを駆動させる。これにより、分注ピペット21bを支持する支持部材21fが図4の矢印C方向へ移動される。そして、支持部材21fがセンサ21hによって検出されることにより、上下駆動用モータ21gの駆動が停止する。この分注ピペット21bの上昇動作は、血液塗抹標本作製装置2の制御部2aによって制御される。
【0058】
ここで、本実施形態による分注ピペット21bの上昇動作における状態報告処理について説明する。図9および図10は、本発明の実施の形態に係る管理システムの分注ピペットの上昇動作における状態報告処理の手順を説明するフローチャートである。まず、血液塗抹標本作製装置2の制御部2aは、分注ピペット21bを上方(図4の矢印C方向)へ移動させるべく上下駆動用モータ21gを駆動し、このときに上下駆動用モータ21に与えたパルス信号のパルス数を計数する(ステップS1)。分注ピペット21bの上昇動作が完了した後に、制御部2aは、分注ピペット21bの上昇動作の開始から終了までに上下駆動用モータ21gに与えたパルス数が2700以上3300以下の範囲内にあるか否かを判別する(ステップS2)。そして、ステップS2において、分注ピペット21bの上昇動作の開始から終了までに要した上下駆動用モータ21gのパルス数が2700以上3300以下の範囲内にあると判別された場合には(ステップS2においてYes)、分注ピペット21bの上昇動作が正常状態にあると判断することができ、制御部2aは残りの血液塗抹標本作製シーケンスを続行し、処理を終了する。ステップS2において、分注ピペット21bの上昇動作の開始から終了までに上下駆動用モータ21gに与えたパルス数が2700以上3300以下の範囲内にないと判別された場合には(ステップS2においてNo)、制御部2aは、分注ピペット21bの上昇動作の開始から終了までに上下駆動用モータ21gに与えたパルス数が2400以上2700未満、または、3300以上3600未満の範囲内にあるか否かを判別する(ステップS3)。そして、ステップS3において、分注ピペット21bの上昇動作の開始から終了までに上下駆動用モータ21gに与えたパルス数が2400以上2700未満、または、3300以上3600未満の範囲内にあると判別された場合には(ステップS3においてYes)、分注ピペット21bの駆動機構が将来故障する可能性の高い状態(警告状態)にあると判断することができる。したがって、この場合には、制御部2aは、分注ピペット21bの駆動機構が将来故障する可能性が高い状態にあることを示す警告情報をコンピュータ4へ送信し(ステップS4)、残りの血液塗抹標本作製シーケンスを続行し、処理を終了する。
【0059】
そして、ステップS3において、分注ピペット21bの上昇動作の開始から終了までに要した上下駆動用モータ21gのパルス数が2400以上2700未満、または、3300以上3600未満の範囲内にないと判断された場合には(ステップS3においてNo)、分注ピペット21bの駆動機構が異常(エラー)状態にあると判断することができる。したがって、この場合には、血液塗抹標本作製装置2の制御部2aは、血液塗抹標本作製装置2の表示操作部2bに、分注ピペット21bの駆動機構の異常を示すエラー表示を行い(ステップS5)、当該異常を示すエラー情報をコンピュータ4へ送信する(ステップS6)。コンピュータ4のCPU41aは、血液塗抹標本装置2から警告情報またはエラー情報が送信された場合には、通信インタフェース41gによりこれらの情報を受信し(ステップS7でYes)、受信した警告情報またはエラー情報をRAM41cに保存する(ステップS8)。
【0060】
次に、CPU41aは、ステップS7で受信したデータがエラー情報である場合には、当該エラー情報が緊急に報告する必要があるものであるか否かを判別する(ステップS9)。この処理は、例えば、エラー情報のうち、緊急に報告する必要があるエラー情報を予め定めておき、このエラー情報にマッチするか否かで判別される。そして、ステップS9において、緊急に報告する必要があるエラー情報であると判別された場合には(ステップS9においてYes)、臨床検体処理装置の状態報告用の電子メールアドレスを宛先とし、コンピュータ4のRAM41cに保存されているエラー情報をボディ部または添付ファイルに含んだ電子メールを作成し(ステップS10)、当該電子メールを直ちに送信して(ステップS11)、処理を終了する。
【0061】
一方、ステップS9において、緊急に報告する必要があるエラー情報ではないと判別された場合には(ステップS9においてNo)、コンピュータ4のCPU41aは、血液塗抹標本作製装置2のシャットダウン時に(ステップS12においてYes)、臨床検体処理装置の状態報告用の電子メールアドレスを宛先とし、コンピュータ4のRAM41cに保存されているエラー情報または警告情報をボディ部または添付ファイルに含んだ電子メールを作成し(ステップS13)、当該電子メールを送信する(ステップS14)。そして、CPU41aは処理を終了する。一方、ステップS12において、血液塗抹標本作製装置2がシャットダウンしない場合には(ステップS12においてNo)、CPU41aは、処理をステップS7へと戻す。
【0062】
また、コンピュータ6のCPU61aは、コンピュータ4から送信された電子メールを受信し(ステップS15でYes)、メールボックスに格納する(ステップS16)。コンピュータ6のCPU61aは、技術者により、入力部63から電子メールの表示が指示された場合には、この指示を受け付け(ステップS17においてYes)、電子メールの内容を画面に表示するための画像信号を画像出力インタフェース61hから出力させ、当該画面を画像表示部62に表示させる(ステップS18)。技術者は、この電子メールに含まれるエラー情報または警告情報を確認することにより、血液塗抹標本作製装置2の状態を知ることができ、その後の保守・管理作業を円滑に進めることができる。
【0063】
なお、以上で説明した本実施の形態に係る遠隔管理システムの状態報告処理においては、一例として分注ピペット21bの駆動機構についての状態(正常状態、警告状態、異常状態)を判別し、その判別基準を、上下駆動用モータ21aに与えたパルス信号のパルス数が2700以上3300以下の場合には正常状態、2400以上2700未満、または、3300以上3600未満の場合には警告状態、2400未満または3600以上の場合には異常状態として定めた場合について述べたが、これに限定されるものではなく、他の構成要素(例えば、チャンバ81の染色液吸引・排出機構)についての状態を検出してもよく、他の判別基準を採用してもよい。
【0064】
次に、本発明の実施の形態に係る遠隔管理システム1における血液塗抹標本作製装置2の遠隔サポート処理について説明する。図11および図12は、本発明の実施の形態に係る遠隔管理システムにおける血液塗抹標本作製装置の遠隔サポート処理の手順を示すフローチャートである。例えば、前述したように、技術者が電子メールに含まれるエラー情報または警告情報を確認することにより、さらに血液塗抹標本作製装置2の詳細な状態を確認する必要があると判断した場合、または、ユーザが血液塗抹標本作製装置2の異常調査、点検等を要望する場合等には、技術者は、電話またはコンピュータを用いたテレビ会議システム等のリアルタイム通信手段を使用してユーザに連絡し、撮像装置5の撮像面を血液塗抹標本作製装置2の状態確認の対象箇所(例えば、分注ピペット21の駆動機構)に向け、コンピュータ4によって撮像装置5の撮像画像の表示を開始するようにユーザに指示する。ここで、ユーザが撮像装置5の撮像面を前記対象箇所へ向け、コンピュータ4の入力部43を操作することにより、コンピュータ4に撮像装置5の撮像画像の表示を指示する入力を行う。コンピュータ4のCPU41aは、かかる指示を受け付け(ステップS21においてYes)、撮像装置5の撮像画像を画面に表示するための画像信号を、画像出力インタフェース41hから出力させ、当該画面を画像表示部42に表示させる(ステップS22)。これにより、コンピュータ4の画像表示部42には、撮像装置5によって撮像された動画像がリアルタイム表示されることとなる。
【0065】
さらに、技術者は、コンピュータ6の入力部63を操作することにより、コンピュータ6にコンピュータ4の遠隔操作の開始を指示する入力を行う。コンピュータ6のCPU61aは、かかる指示を受け付け(ステップS23においてYes)、コンピュータ4の表示画面と同一の画面を表示するための情報(画面情報)を要求するデータを通信インタフェース61gにより送信する(ステップS24)。
【0066】
コンピュータ4のCPU41aは、画面情報を要求するデータを通信インタフェース41gにより受信し(ステップS25でYes)、その時点でコンピュータ4が画像表示部42に表示する画面の画面情報の送信を開始する(ステップS26)。かかるステップS26の処理では、所定の時間間隔で最新の画面の画面情報が送信され、この画面情報の送信は、コンピュータ6から画像情報の送信終了を指示するデータを受信するまで継続される。コンピュータ6のCPU61aは、こうしてコンピュータ4から送信された画面情報を通信インタフェース61gにより受信し(ステップS27でYes)、当該画面情報によって示されるコンピュータ4の表示画面をウィンドウ内に表示する(ステップS28)。このウィンドウには、撮像装置5の撮像画像(動画像)がリアルタイム表示される。この撮像画像には、血液塗抹標本作製装置2における前記状態確認の対象箇所の詳細な状態を示す像が含まれており、技術者はこの撮像画像を確認することにより、血液塗抹標本作製装置2の前記対象箇所における詳細な状態を知ることができる。これにより、ユーザが血液塗抹標本作製装置2の詳細な状態を口頭で説明しなくても、技術者がその詳細な状態を直接的に把握することができる。血液塗抹標本作製装置2のような複雑な構成の装置では、ユーザが詳しい知識を有していないことも多く、ユーザが口頭で装置の詳細な状態を説明することが困難な場合が多い。したがって、本発明に係る遠隔管理システム1においては、このようにユーザが口頭で装置の詳細な状態を説明することが困難な場合に、技術者が装置の詳細な状態を把握することができ、特に有効である。また、技術者は、血液塗抹標本作製装置2に軽微な異常が認められる場合には、その異常を取り除く措置をユーザに指示することができる。例えば、センサ21eのヘッドに汚れが付着していて、検出能力が低下している場合には、技術者はユーザにその汚れを取り除くように指示することができる。このように、装置の異常が軽微な場合には、技術者がユーザの施設に赴くことなく、ユーザに異常を取り除く措置を指示することで、容易かつ迅速に装置の異常を取り除くことができる。また、技術者が撮像画像を確認することにより、異常個所の部品を交換する必要があると認められる場合には、サポートセンタが必要な部品を用意した後、ユーザの施設に技術者を派遣して部品交換を行わせることができる。これにより、サポートセンタが一度異常を確認するためにユーザの施設に技術者を派遣し、必要な部品を用意して部品交換のためにユーザの施設に再度技術者を派遣するといった手間を軽減することができ、保守・管理作業の効率化、および迅速化を図ることができる。さらに、同一の撮像画像を、ユーザはコンピュータ4により、技術者はコンピュータ6により略同時に確認することができるため、両者の電話等によるコミュニケーションがとりやすく、保守・管理作業を効率的かつ迅速に進めることができる。
【0067】
また、ここで技術者がコンピュータ4を遠隔で操作することにより、血液塗抹標本作製装置2の動作設定を遠隔で行う必要がある場合には、技術者は、コンピュータ4を操作するための指示を入力部63から入力することができる。CPU61aは、このような技術者からのコンピュータ4の操作指示の入力を受け付け(ステップS29でYes)、この操作指示を示すデータをコンピュータ4へ送信する(ステップS30)。コンピュータ4のCPU41aは、かかるデータを受信した場合には(ステップS31でYes)、指示された処理を実行する(ステップS32)。これにより、例えば、技術者がコンピュータ6の入力部63を操作して、コンピュータ4における血液塗抹標本作製装置2の動作設定ウィンドウを呼び出し、またはこの動作設定ウィンドウに設けられた設定値入力エリアに設定値を入力するように指示した場合には、実際にコンピュータ4において前記動作設定ウィンドウが呼び出され、または実際に前記設定入力エリアに設定値が入力されることとなり、血液塗抹標本作製装置2を遠隔で動作設定することができる。なお、本実施の形態においては、コンピュータ6の画像表示部62に表示されたコンピュータ4の表示画面と同一の画面に対して、コンピュータ4を操作する場合と同様の操作をすることによって、コンピュータ4の遠隔操作が行えるようになっている。例えば、コンピュータ4の入力部43の操作によってウィンドウの上端部にマウスのポインタを合わせてドラッグを行うことにより、コンピュータ4の画面内のウィンドウが移動される場合、コンピュータ6に表示されているコンピュータ4の画面内のウィンドウの上端部にマウスのポインタを合わせ、ドラッグを行うようにコンピュータ6の入力部63が操作されることで、実際にコンピュータ4の画面内のウィンドウが移動されることとなる。このように、コンピュータ4を直接操作する場合と同一の操作でコンピュータ4を遠隔操作することができるようにすることにより、遠隔操作の操作性がよく、より一層保守・管理作業の効率を向上させることができる。
【0068】
技術者は、異常調査・点検作業が完了した場合には、コンピュータ6の入力部63を操作することにより、コンピュータ6に遠隔サポート処理の終了を指示する入力を行う。コンピュータ6のCPU61aは、かかる指示を受け付け(ステップS33においてYes)、コンピュータ4の表示画面と同一画面の表示を終了し(ステップS34)、画面情報の送信を終了する指示データをコンピュータ4へ送信して(ステップS35)、処理を終了する。また、ステップS33において、遠隔サポート処理の終了指示を受け付けていない場合には(ステップS33においてNo)、ステップS27以降の処理を繰り返す。
【0069】
コンピュータ4のCPU41aは、コンピュータ6から送信された画面情報の送信終了を指示する指示データを受信した場合には(ステップS36においてYes)、処理を終了し、受信しない場合には(ステップS36においてNo)、ステップS26以降の処理を繰り返す。
【0070】
なお、以上説明した本実施の形態に係る遠隔管理システム1による血液塗抹標本作製装置2の遠隔サポート処理においては、撮像装置5によって撮像された動画像をコンピュータ6の画面に表示する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、コンピュータ4の表示画面内のアイコン、ウィンドウが移動される場合というような、コンピュータ4の表示画面が更新された(ただし、撮像装置5によって撮像された撮像画像の更新は含まない)場合にのみ、コンピュータ4が新たな表示画面を示す画面情報をコンピュータ6へと送信する構成であってもよい。この構成であれば、コンピュータ4の表示画面の更新が行われない間は、コンピュータ6では、最後に更新されたコンピュータ4の表示画面と同一の画面が表示され続けることとなるため、この時点で撮像装置5によって撮像された静止画像がコンピュータ6に表示されることとなる。このような構成とすることにより、ユーザが画面表示を更新する入力操作を行った場合にのみ、撮像装置5の撮像画像がコンピュータ4から送信されることとなり、通信データ量を軽減することができ、コンピュータ4,6の処理の負荷および通信ネットワークNWの負荷を軽減することができる。また、技術者は、新たな撮像画像が必要な場合には、口頭でユーザに画面表示の更新を指示すれば、新たな撮像画像を確認することができる。
【0071】
また、本実施の形態に係る遠隔管理システム1による血液塗抹標本作製装置2の遠隔サポート処理においては、コンピュータ6からコンピュータ4の遠隔操作を行うウィンドウ内に、撮像装置5の撮像画像を表示する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、コンピュータ6におけるコンピュータ4の遠隔操作用のウィンドウとは別のウィンドウに、撮像装置5の撮像画像を表示する構成としてもよく、また、コンピュータ6にコンピュータ4の遠隔操作(すなわち、血液塗抹標本作製装置2の遠隔動作設定)を行う機能を設けず、コンピュータ6が撮像装置5の撮像画像のみをコンピュータ4から受信して表示する構成としてもよい。
【0072】
また、本実施の形態においては、血液塗抹標本作製装置2を遠隔管理の対象としたが、これに限定されるものではなく、遠隔管理の対象は、血液検体を分析する血液分析装置、尿検体を分析する尿分析装置、便検体を分析する便分析装置等、他の臨床検体処理装置であってもよい。
【0073】
また、本実施の形態においては、血液塗抹標本作製装置2に状態設定装置であるコンピュータ4を接続し、このコンピュータ4を介して撮像装置5の撮像画像を管理装置であるコンピュータ6へ送信する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、撮像装置5にデータ送信手段を設け、撮像装置5から直接コンピュータ6へ撮像画像を送信する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係る遠隔管理方法、遠隔管理システム、状態報告装置、および管理装置は、サポートセンタの技術者等の臨床検体処理装置の構造について詳しい知識を有する者が、ユーザからの口頭での説明を受けなくても臨床検体処理装置の詳細な状態を知ることができ、臨床検体処理装置に対するサポート処理、点検、状態調査、監視等の管理作業を遠隔で行うことができるという効果を奏し、臨床検体を処理する臨床検体処理装置を遠隔で管理する遠隔管理方法、当該遠隔管理方法の実施に使用する遠隔管理システム、ならびに当該遠隔管理システムが備える状態報告装置および管理装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態に係る遠隔管理システムの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る血液塗抹標本作製装置の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る血液塗抹標本作製装置の内部構造を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る血液塗抹標本作製装置の吸引分注機構部の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る血液塗抹標本作製装置の染色部の第3吸引排出部の構成を示す平面図である。
【図6】図5に示した染色部の第3吸引排出部に供給される染色液の供給経路を示す流体回路図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る状態報告装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る管理装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る遠隔管理システムの分注ピペットの上昇動作における状態報告処理の手順を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態に係る遠隔管理システムの分注ピペットの上昇動作における状態報告処理の手順を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係る遠隔管理システムにおける血液塗抹標本作製装置の遠隔サポート処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態に係る遠隔管理システムにおける血液塗抹標本作製装置の遠隔サポート処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 遠隔管理システム
2 血液塗抹標本作製装置
2a 制御部
3 搬送装置
4 コンピュータ
5 撮像装置
6 コンピュータ
41a CPU
41d ハードディスク
41e 読出装置
41f 入出力インタフェース
41g 通信インタフェース
41h 画像出力インタフェース
42 画像表示部
43 入力部
44 可搬型記録媒体
61a CPU
61d ハードディスク
61e 読出装置
61f 入出力インタフェース
61g 通信インタフェース
61h 画像出力インタフェース
62 画像表示部
63 入力部
64 可搬型記録媒体
NW 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床検体を処理する臨床検体処理装置を遠隔で管理する遠隔管理方法であって、
前記臨床検体処理装置を撮像装置で撮像し、
前記撮像装置によって撮像された撮像画像を、前記撮像装置から、前記臨床検体処理装置の遠隔地に設けられた管理装置へ通信ネットワークを通じて提供し、
前記管理装置で前記撮像画像を表示する遠隔管理方法。
【請求項2】
臨床検体を処理する臨床検体処理装置と、
当該臨床検体処理装置の撮像に使用される撮像装置と、
前記臨床検体処理装置の遠隔管理に使用される管理装置と、
前記撮像装置によって撮像された撮像画像を、前記管理装置へ通信ネットワークを通じて提供する提供手段とを備え、
前記管理装置は、前記提供手段によって提供された撮像画像を表示するように構成されている遠隔管理システム。
【請求項3】
前記臨床検体処理装置の状態に関する状態情報を取得し、当該状態情報を前記通信ネットワークを介して前記管理装置へと送信する状態報告装置をさらに備え、
前記管理装置は、前記状態報告装置から送信された状態情報を受信する受信手段をさらに有し、
前記状態報告装置は、前記撮像装置によって撮像された撮像画像を取得する画像取得手段を有しており、前記提供手段が設けられている請求項2記載の遠隔管理システム。
【請求項4】
前記状態報告装置は、前記画像取得手段によって取得した撮像画像をリアルタイム表示するリアルタイム表示手段を有し、
前記提供手段は、前記リアルタイム表示手段によって表示されている撮像画像の少なくとも一部を前記管理装置へ通信ネットワークを通じて提供するように構成されている請求項3記載の遠隔管理システム。
【請求項5】
前記状態報告装置は、前記臨床検体処理装置の動作を設定する動作設定手段をさらに有し、
前記管理装置は、前記臨床検体処理装置の動作を設定するための動作設定情報の入力を受け付ける入力受付手段と、入力された動作設定情報を通信ネットワークを通じて前記状態報告装置へ送信する動作設定情報送信手段とをさらに有し、
前記状態報告装置は、前記状態報告装置から送信された動作設定情報を受信する動作設定情報受信手段をさらに有し、
前記動作設定手段は、当該動作設定情報受信手段によって受信された動作設定情報に基づいて、前記臨床検体処理装置の動作を設定するように構成されている請求項2乃至4のいずれかに記載の遠隔管理システム。
【請求項6】
前記状態報告装置は、当該状態報告装置の表示画面と同一の画面を表示するための表示画面情報を、通信ネットワークを通じて前記管理装置へと送信する表示画面情報送信手段をさらに有し、
前記管理装置は、前記状態報告装置から送信された表示画面情報を受信する表示画面情報受信手段と、当該表示画面情報受信手段によって受信された表示画面情報に基づいて、前記状態報告装置の表示画面と同一の画面を表示する同一画面表示手段とをさらに有し、
前記入力受付手段は、前記同一画面表示手段によって表示された画面に対して、前記状態報告装置を操作する場合と同様の操作により、前記動作設定情報の入力を受け付けるように構成されている請求項5に記載の遠隔管理システム。
【請求項7】
臨床検体を処理する臨床検体処理装置の状態を報告する状態報告装置であって、
前記臨床検体処理装置の状態に関する状態情報を取得する状態情報取得手段と、
当該状態情報取得手段によって取得された状態情報を外部へ送信する状態情報送信手段と、
前記臨床検体処理装置が撮像された撮像画像を取得する画像取得手段と、
当該画像取得手段によって取得された撮像画像を外部へ送信する画像送信手段とを備える状態報告装置。
【請求項8】
臨床検体を処理する臨床検体処理装置の遠隔管理に使用される管理装置であって、
前記臨床検体処理装置の状態に関する状態情報を外部から受信する状態情報受信手段と、
前記臨床検体処理装置が撮像された撮像画像を外部から受信する画像受信手段と、
当該画像受信手段によって受信された撮像画像を表示する表示手段とを備える管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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