説明

遠隔診療支援システムおよび遠隔診療支援方法

【課題】TV電話用端末を用いて、複雑な認証操作を必要とせずに、健康データを画面に表示して患者と医師がTV電話による遠隔診療を開始する。
【解決手段】医師1の電話機から通知された発着信IDおよび診療に必要な健康データの種類を送信する医師側TV電話用端末9と、患者の電話機から通知された発着信IDおよびその発着信IDのうちの一方で特定される患者について収集した健康データを送信する患者側TV電話用端末11と、患者5の健康データを保管し、患者5の診療に必要な健康データを双方のTV電話用端末に送信するサーバ13と、を備え、サーバ13は、双方のTV電話用端末から受信した発着信IDに基づいて、双方のTV電話用端末の接続を確立し、双方のTV電話用端末は、患者5の診療に必要かつ使用可能な健康データを表示しつつ、TV電話シーケンスを開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上のTV電話用端末間で行なわれるTV電話シーケンスにより医師が遠隔地の患者を診療するのを支援する遠隔診療支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
PC上のアプリケーションを利用して、TV電話を用い、医師と患者が会話することによって、在宅医療を支援するシステムが存在する。このようなシステムでは同時に患者の健康データをTV電話の画面上に表示することで在宅医療のさらなる支援が可能となるため、健康データ表示機能をもつことが多い。
【0003】
このような健康管理システムは、糖尿病患者や高齢者のような、あまり容態が急変しないものの、継続的な診療が必要な患者の健康管理や診療の補助として、特に医療機関の少ない過疎地域において有用である。過疎地域においては、TV電話の装置が在宅医療支援が必要な在宅患者の宅内に置かれて使用される他、公民館等の公共スペースに据え置かれ、定期的な検診を行なう際に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−253817号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】電子情報通信学会 Vol.100、P50〜P60
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、このような遠隔診療のシステムの利用者には、過疎地域の高齢者が多い。したがって、システム利用者は一般的には情報リテラシーが低く、複雑な操作を利用者に強要すべきでない。しかしながら、一般的に医師による指導に必要で表示すべき医療項目は多種多様であり、個人個人によっても大きく異なる。加えて公共のスペースで用いられる場合、複雑なシステムの認証操作も必要であり、十分な遠隔診療には、複雑な操作が避けられない。
【0007】
少しでもこのような問題を解消しようと、キーボード等の入力を簡易にするデバイスを用いることもあるが、コストが極めて高くなってしまう。一般的な消費者が用いる、高度化したSetTopBoxやタブレット端末上で動作するアプリケーションとして提供されることが望ましいが、このような場合は、リモコン操作や狭い画面での複雑な操作が必要であり、ますます上記の問題が際立ってしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、SetTopBoxやタブレット端末等のTV電話用端末を用いて、複雑な認証操作を必要とせずに、健康データを画面に表示して患者と医師がTV電話による遠隔診療を開始することができる遠隔診療支援システムおよび遠隔診療支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の遠隔診療支援システムは、ネットワーク上のTV電話用端末間で行なわれるTV電話シーケンスにより医師が遠隔地の患者を診療するのを支援する遠隔診療支援システムであって、医師の電話機から通知された発着信IDおよび診療に必要な健康データの種類を送信する医師側TV電話用端末と、患者の電話機から通知された発着信IDおよびその発着信IDのうちの一方で特定される患者について収集した健康データを送信する患者側TV電話用端末と、前記患者の健康データを保管し、前記患者の診療に必要な健康データの種類および前記患者について収集した健康データを受信し、前記保管されている健康データを更新し、前記更新された健康データのうち、前記患者の診療に必要な健康データを前記双方のTV電話用端末に送信するサーバと、を備え、前記サーバは、前記双方のTV電話用端末から受信した発着信IDに基づいて、前記双方のTV電話用端末の接続を確立し、前記双方のTV電話用端末は、前記患者の診療に必要かつ使用可能な健康データを表示しつつ、TV電話シーケンスを開始することを特徴としている。
【0010】
このように、ユーザが一般的に用いる電話機の発着信を契機に、SetTopBoxやタブレット端末等のTV電話用端末に連動させ、必要な健康データのみに絞り込んで、双方の画面に表示し、TV電話シーケンスを開始する。これにより、容易に双方のTV電話用端末を接続し、難解な操作を必要としがちな認証操作を不要にして健康データを画面に表示したTV電話を可能にする。ユーザの一方が電話をかけるだけで、健康データを見ながらの遠隔診療を容易に行なえる。
【0011】
(2)本発明の遠隔診療支援システムは、前記患者側TV電話用端末が、前記患者の電話機から通知された発着信IDに基づいて、前記患者が用いた測定機器から前記患者の健康データを収集することを特徴としている。これにより、電話の発着信を契機に患者側TV電話用端末が通信可能な測定機器から患者の健康データを収集し、TV電話による遠隔診療時に画面に表示して利用することができる。
【0012】
(3)本発明の遠隔診療支援システムは、前記サーバが、前記双方のTV電話用端末の接続確立のための認証が完了した段階で、前記医師側TV電話用端末から受信した健康データの種類を用いて、保管されている前記患者の健康データを更新することを特徴としている。このように、双方のTV電話用端末の接続確立後に遠隔診療に必要なデータを更新し、新しいデータに基づいた遠隔診療を可能にしている。
【0013】
(4)本発明の遠隔診療支援システムは、前記患者側TV電話用端末が、前記患者の健康データの種類を識別するIDとして、前記患者が用いた測定機器固有のIDから合成されたノードIDを用いることを特徴としている。これにより、確実に患者の健康データを測定機器から収集して、遠隔診療に用いることができる。
【0014】
(5)本発明の遠隔診療支援システムにおいて、前記患者側TV電話用端末は、測定機器でリアルタイムに取得された健康データを、機器固有のIDとともに取得し、前記取得した健康データを分割して前記医師側TV電話用端末へ送信し、前記医師側TV電話用端末は、前記健康データにあわせて前記リアルタイムに取得された健康データを合成して表示することを特徴としている。これにより、リアルタイムに測定したデータを医師側TV電話用端末に送信しながら遠隔診療を行なうことができる。
【0015】
(6)本発明の遠隔診療支援システムは、前記患者側TV電話用端末が、前記測定機器でリアルタイムに取得された健康データを、取得時刻とともに、バッファし、前記サーバへの発着信ID通知と同時に、前記バッファされた健康データを前記サーバへアップロードすることを特徴としている。このように患者側TV電話用端末に患者の健康データをバッファし、患者側TV電話用端末でサーバへ送信すべきデータを準備しておくことで、効率よくサーバのデータを更新できる。
【0016】
(7)本発明の遠隔診療支援方法は、ネットワーク上のTV電話用端末間で行なわれるTV電話シーケンスにより医師が遠隔地の患者を診療するのを支援する遠隔診療支援方法であって、医師側TV電話用端末により、医師の電話機から通知された発着信IDおよび診療に必要な健康データの種類を送信するステップと、患者側TV電話用端末により、患者の電話機から通知された発着信IDおよびその発着信IDのうちの一方で特定される患者について収集した健康データを送信するステップと、サーバにより、前記患者の健康データを保管し、前記患者の診療に必要な健康データの種類および前記患者について収集した健康データを受信し、前記保管されている健康データを更新し、前記更新された健康データのうち、前記患者の診療に必要な健康データを前記双方のTV電話用端末に送信するステップと、前記サーバにより、前記双方のTV電話用端末から受信した発着信IDに基づいて、前記双方のTV電話用端末の接続を確立するステップと、前記双方のTV電話用端末により、前記患者の診療に必要かつ使用可能な健康データを表示しつつ、TV電話シーケンスを開始するステップと、を含むことを特徴としている。これにより、容易に、双方のTV電話用端末を接続し、難解な操作を必要としがちな認証操作を不要にして健康データを画面に表示することができる。すなわち、ユーザまたは医師が電話をかけるだけで、容易に健康データを見ながらの遠隔診療が可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザが一般的に用いる電話機への発着信を契機に、SetTopBoxやタブレット端末等のTV電話用端末に連動させ、TV電話用端末上のシステムを起動し、必要な健康データを絞り込んで画面に表示し、TV電話シーケンスを開始する。これにより、容易に双方のTV電話用端末を接続し、難解な操作を必要としがちな認証操作を不要にして健康データを画面に表示したTV電話を可能にする。ユーザの一方が電話をかけるだけで、健康データを見ながらの遠隔診療を容易に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態に係る遠隔医療支援システムを示す概略図である。
【図2】第1の実施形態に係る遠隔医療支援システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
【図3】使用可能機器リストのデータの例を示す図である。
【図4】サーバ上に保持されるテーブルを示す表である。
【図5】第2の実施形態に係る遠隔医療支援システムを示す概略図である。
【図6】第2の実施形態に係る遠隔医療支援システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
【図7A】第2の実施形態に係る遠隔医療支援システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
【図7B】第2の実施形態に係る遠隔医療支援システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
【図8】医師および患者に配信される健康データの例を示す図である。
【図9】第3の実施形態に係る遠隔医療支援システムを示す概略図である。
【図10】第3の実施形態に係る遠隔医療支援システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【図11】第4の実施形態に係る遠隔医療支援システムを示した図である。
【図12】第4の実施形態に係る遠隔医療支援システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
(遠隔医療支援システムの構成)
図1は、遠隔医療支援システム201を示す概略図である。遠隔医療支援システム201は、ネットワーク上のTV電話用端末間で行なわれるTV電話シーケンスにより医師1が遠隔地の患者5を診療するのを支援する。遠隔医療支援システム201は、少なくとも医師側電話機3、患者側電話機7、医師側TV電話用端末9、患者側TV電話用端末11、サーバ13を備えている。
【0021】
医師側TV電話用端末9は、医師側電話機3から通知された発着信IDおよび診療に必要な健康データの種類をサーバ13に送信する。患者側TV電話用端末11は、患者側電話機7から通知された発着信IDおよびその発着信IDのうちの一方で特定される患者について収集した健康データをサーバ13に送信する。
【0022】
患者側TV電話用端末11は、患者側電話機7から通知された発着信IDに基づいて、患者5が用いた測定機器15−1、15−2(測定機器15-1、15-2を合わせて測定機器15とも表す)から患者の健康データを収集することもできる。これにより、電話の発着信を契機に患者側TV電話用端末が通信可能な測定機器から患者の健康データを収集し、TV電話による遠隔診療時に画面に表示して利用することができる。
【0023】
なお、患者側TV電話用端末11は、測定機器5でリアルタイムに取得された健康データを、取得時刻とともに、バッファし、サーバ13への発着信ID通知と同時に、バッファされた健康データをサーバへアップロードすることが好ましい。このように患者側TV電話用端末に患者の健康データをバッファし、患者側TV電話用端末でサーバへ送信すべきデータを準備しておくことで、効率よくサーバのデータを更新できる。
【0024】
サーバ13は、双方のTV電話用端末9、11から受信した発着信IDに基づいて、双方のTV電話用端末9、11の接続を確立し、双方のTV電話用端末9、11は、患者5の診療に必要かつ使用可能な健康データを表示しつつ、TV電話シーケンスを開始する。
【0025】
サーバ13は、患者5の健康データを保管し、患者5の診療に必要な健康データの種類および患者5について収集した健康データを受信し、保管されている健康データを更新し、更新された健康データのうち、患者5の診療に必要な健康データを双方のTV電話用端末9、11に送信する。
【0026】
例えば、サーバ13は、双方のTV電話用端末9、11の接続確立のための認証が完了した段階で、医師側TV電話用端末9から受信した健康データの種類を用いて、保管されている患者の健康データを更新する。このように、双方のTV電話用端末の接続確立後に遠隔診療に必要なデータを更新し、更新されたデータに基づいた遠隔診療を可能にしている。なお、上記の更新の処理として、発信側端末の接続確立が完了した段階で、データベースからのデータを展開し、着信側端末の接続確立が完了した段階で、当該展開されたデータをフィルタリングするのが好ましい。これにより、効率よく更新の処理を行なうことができる。
【0027】
医師1、患者5のそれぞれの側には、医師側TV電話用端末9と患者側TV電話用端末11とが設けられており、いずれもサーバ13に接続されている。医師側TV電話用端末9と患者側TV電話用端末11は、お互いのストリームデータおよび健康データを表示装置または自機により表示できる。サーバ13は、患者の健康データを保持する。なお、健康データとは、患者の身体に関する測定データを指す。
【0028】
さらに、患者側TV電話用端末11は、測定機器15から近接無線通信(Bluetooth(登録商標)等)により使用可能かどうかを含む情報を受信することができる。また、医師側TV電話用端末9、患者側TV電話用端末11も同様に近接無線通信により、それぞれ、医師側電話機3、患者側電話機7と通信することができる。医師側電話機3、患者側電話機7は、基本的に携帯電話機であり、発着信時に発着信IDをそれぞれ医師側TV電話用端末9、患者側TV電話用端末11に送信するよう設定されている。
【0029】
医師側TV電話用端末9、患者側TV電話用端末11としては、たとえばSetTopBoxのような固定端末を利用することがことが好ましい。なお、TV電話用端末としてタブレット端末を利用することもできる。
【0030】
(遠隔医療支援システムの動作)
具体的には、遠隔医療支援システム201は、以下のシーケンスに従って動作する。図2は、遠隔医療支援システム201の動作例を示すシーケンスチャートである。まず、医師側電話機3(発信側電話機)は患者側電話機7(着信側電話機)への発信を行なう(ステップS1)。医師側電話機3の発信と同時に、近接無線通信によって近接して存在する医師側TV電話用端末9へ発着信IDを送信する(ステップS2)。なお、発着信IDとは、発信IDおよび着信IDをいい、発着信電話番号が好ましいが、たとえばサブスクライバIDのように発信者および着信者の各個人を特定可能なIDであればよい。発着信IDを通知するフォーマットとしては下記のような、発着信IDを特定するパラメータを含むデータを使用すればよい。
(from:090-xxxx-xxxx、to:080-xxxx-xxxx)
【0031】
医師側TV電話用端末9は、医師側電話機3からの情報を受信し、この情報と予め選択されていた表示上必要とされる健康データの種類、加えてSIPアドレスとをあわせて、システムを構成するサーバ13へ送信する(ステップS3)。サーバ13では、医師側TV電話用端末9からの情報の受信を受け、着信番号に紐づけられた健康データの内、指定されたデータをデータベースからメモリ上へ展開する(ステップS4)。
【0032】
患者側電話機7は着信を受け、近接無線通信によって、患者側TV電話用端末11に発着信IDを伝える(ステップS5)。患者側TV電話用端末11は、着信があった旨をディスプレイに表示すると同時に、使用可能な測定機器を探索(予め探索済みのものでもよい)し、リスト化する(ステップS6)。リスト化された使用可能機器の詳細については後述する。
【0033】
さらにリスト化されたデータと発着信電話番号をサーバ13へ伝える(ステップS7)。サーバ13では受信した発着信電話番号の紐付けを認証し、紐付けが正しければ、探索された測定機器15のリストにより許可された測定機器15のデータのフィルタリングをメモリ上に展開されたデータに対して行なう(ステップS8)。
【0034】
患者側電話機7の応答を受け、患者側電話機7は、再度、患者側TV電話用端末11へ応答の旨を伝え(ステップS9)、患者側TV電話用端末11はその旨をサーバ13へ伝える(ステップS10)。サーバ13では各TV電話用端末の認証が完了している場合に、お互いのSIPアドレスおよび健康データを双方のTV電話用端末へ伝え(ステップS11、ステップS12)、SIPシーケンスを開始させる(ステップS13)。
【0035】
このように、ユーザが一般的に用いる電話機の発着信を契機に、SetTopBoxやタブレット端末等のTV電話用端末に連動させ、必要な健康データのみに絞り込んで、双方の画面に表示し、TV電話シーケンスを開始する。これにより、容易に双方のTV電話用端末を接続し、難解な操作を必要としがちな認証操作を不要にして健康データを画面に表示したTV電話を可能にする。ユーザの一方が電話をかけるだけで、健康データを見ながらの遠隔診療を容易に行なえる。
【0036】
なお、患者側TV電話用端末11が探索して作成する使用可能機器リストは、例えば、下記のような形式として作成される。図3は、使用可能機器リストのデータの例を示す図である。図3において、デバイスの名前とデバイスを一意に識別するMACアドレスおよび取得できる健康データ、取得する際のデータの配信形式が含まれている。このデータの配信形式とは、例えばストリーミングで常に配信し続けるようなデバイス(心拍計測等)か、計測したデータを1回で送るようなデバイス(体重計等)かの形式を指す。
【0037】
図4は、サーバ上に保持されるテーブルを示す表である。基本的には、電話番号に対して健康データが保持されているような形式である。ここで許可電話番号とあるのは、例えば患者5同士でお互いの電話番号に電話をしたときにデータを表示してしまうことをさけるためである。つまり、基本的な紐付けは、発着信時にお互いに通知された電話番号によって可能であるが、表示を許可するかどうかを指定するためである。
【0038】
[第2の実施形態]
(健康データをリアルタイムで表示)
表示するべき項目として、患者5の現在の心拍等をリアルタイムで表示する機能を追加することもできる。図5は、リアルタイム表示機能を追加した遠隔医療支援システム202を示す概略図である。
【0039】
図5の例では、患者側TV電話用端末11は、測定機器15でリアルタイムに取得された健康データを、機器固有のIDとともに取得し、取得した健康データを分割して医師側TV電話用端末へ送信することが好ましい。そして、医師側TV電話用端末9は、既存の健康データにあわせてリアルタイムに取得された健康データを合成して表示する。これにより、リアルタイムに測定したデータを医師側TV電話用端末に送信しながら遠隔診療を行なうことができる。
【0040】
図6は、遠隔医療支援システム202の動作例を示すシーケンスチャートである。まず、医師側電話機3(発信側電話機)は患者側電話機7(着信側電話機)への発信を行なう(ステップT1)。医師側電話機3の発信と同時に、近接無線通信によって近接して存在する医師側TV電話用端末9へ発着信IDを送信する(ステップT2)。
【0041】
医師側TV電話用端末9は、医師側電話機3からの情報を受信し、この情報と予め選択されていた表示上必要とされる健康データの種類、SIPアドレスおよびIPアドレスとをあわせて、システムを構成するサーバ13へ送信する(ステップT3)。サーバ13では、医師側TV電話用端末9からの情報の受信を受け、着信番号に紐づけられた健康データの内、指定されたデータをデータベースからメモリ上へ展開する(ステップT4)。
【0042】
患者側電話機7は着信を受け、近接無線通信によって、患者側TV電話用端末11に発着信IDを伝える(ステップT5)。患者側TV電話用端末11は、着信があった旨をディスプレイに表示すると同時に、使用可能な測定機器を探索(予め探索済みのものでもよい)し、リスト化する(ステップT6)。さらにリスト化されたデータと発着信電話番号およびIPアドレスをサーバ13へ伝える(ステップT7)。サーバ13では受信した発着信電話番号の紐付けを認証し、紐付けが正しければ、探索された測定機器15のリストにより許可された測定機器15のデータのフィルタリングをメモリ上に展開されたデータに対して行なう(ステップT8)。
【0043】
患者側電話機7の応答を受け、患者側電話機7は、再度、患者側TV電話用端末11へ応答の旨を伝え(ステップT9)、患者側TV電話用端末11はその旨をサーバ13へ伝える(ステップT10)。サーバ13では各TV電話用端末の認証が完了している場合に、お互いのSIPアドレス、IPアドレスおよび健康データを双方のTV電話用端末へ伝え(ステップT11、ステップT12)、SIPシーケンスを開始させる(ステップT13)。
【0044】
患者側TV電話用端末11に付属する測定機器15(心拍等の健康データを取得する機器)からリアルタイムにデータを入力し(ステップT14)、入力されたデータを患者側TV電話用端末11が一時的にバッファする(ステップT15)。そのデータを患者側TV電話用端末11が医師側TV電話用端末9のIPアドレスに対して送信する(ステップT16)。医師側TV電話用端末9上でサーバ13から取得したデータとステップT14によって取得され続けているデータを同時に表示する(ステップT17)。
【0045】
また、全体シーケンスの高速化のため、患者側TV電話用端末11は、ステップT6のシーケンスで取得する使用可能機器リストをキャッシュする機能を保持してもよい。
【0046】
また、図6のシーケンスにおいて、リアルタイムに患者側TV電話端末11にバッファしつつ健康データが取得されるたびに逐次サーバへアップロードしてもよいが、以下のように発着信に合わせてデータをアップロードしてもよい。
【0047】
図7A、7Bは、遠隔医療支援システム202の動作例を示すシーケンスチャートである。図7A、7Bのシーケンスにおいては、患者側TV電話用端末11上に取得した健康データを取得時刻とともにバッファする機能を設け、シーケンスの開始と同時にアップロードする。
【0048】
まず、医師側電話機3(発信側電話機)は患者側電話機7(着信側電話機)へ発信する(ステップP1)。医師側電話機3は、発信と同時に、近接無線通信によって近接して存在する医師側TV電話用端末9へ発着信IDを送信する(ステップP2)。
【0049】
医師側TV電話用端末9は、医師側電話機3からの情報を受信し、この情報と予め選択されていた表示上必要とされる健康データの種類、SIPアドレスおよびIPアドレスとをあわせて、システムを構成するサーバ13へ送信する(ステップP3)。サーバ13では、医師側TV電話用端末9からの情報の受信を受け、着信番号に紐づけられた健康データの内、指定されたデータをデータベースからメモリ上へ展開する(ステップP4)。
【0050】
患者側電話機7は着信を受け、近接無線通信によって、患者側TV電話用端末11に発着信IDを伝える(ステップP5)。患者側TV電話用端末11は、着信があった旨をディスプレイに表示すると同時に、使用可能な測定機器を探索(予め探索済みのものでもよい)し、リスト化する(ステップP6)。
【0051】
患者側TV電話用端末11が使用可能機器を調査したした結果、差分健康データを取得時刻とともにバッファし(ステップP7)、サーバ13にバッファした差分健康データを発着番号等と合わせて通知する(ステップP8)。また、サーバ13は、認証段階において、差分健康データを登録する(ステップP9)。次に、患者側電話機7の応答を受け、患者側電話機7は、再度、患者側TV電話用端末11へ応答の旨を伝え(ステップP10)、患者側TV電話用端末11はその旨をサーバ13へ伝える(ステップP11)。
【0052】
サーバ13では各TV電話用端末の認証が完了している場合に、お互いのSIPアドレス、IPアドレスおよび健康データを双方のTV電話用端末へ伝え(ステップP12、ステップP13)、SIPシーケンスを開始させる(ステップP14)。
【0053】
患者側TV電話用端末11は、付属する測定機器15(心拍等を取得する健康データ取得機器)からリアルタイムにデータを入力し(ステップP15)、入力されたデータを一時的にバッファする(ステップP16)。そして、そのデータを患者側TV電話用端末11が医師側TV電話用端末9のIPアドレスに対して送信する(ステップP17)。TV電話用画面には、医師側TV電話用端末9上でサーバ13から取得したデータとSIPシーケンスによって取得され続けているデータを同時に表示する(ステップP18)。
【0054】
図8は、医師および患者に配信される健康データの例を示す図である。健康データとして、例えば図8のような構造化データのようなものが考えられる。ここでは、表示するデータをまとめてprojectとして定義するものとする。このprojectには、患者5の健康データを時系列のグラフ表示で閲覧するためのデータが入るものとし、1つのグラフはノードという単位で扱われるものとする。
【0055】
[第3の実施形態]
図9は、遠隔医療支援システム203を示す概略図である。図10は、遠隔医療支援システムの変形例の動作を示すシーケンスチャートである。患者側TV電話用端末11は、患者5の健康データの種類を識別するIDとして、患者5が用いた測定機器15固有のIDから合成されたノードID(Node ID)を用いてもよい。これにより、確実に患者の健康データを測定機器15から収集して、遠隔診療に用いることができる。
【0056】
リアルタイムで取得されるデータとサーバ上のデータの合成のため、予めフレームとなるノードを用意する。これは、図8に示すノードIDによって特定できる。ノードIDはデバイス固有のアドレスと等価であり、患者側TV電話用端末11がデータを取得する(ステップQ1)。そして取得した時点で、このIDを付与する(ステップQ2)。
【0057】
そして、サーバ13へデータを送信するとともに(ステップQ3)、医師側TV電話用端末9へデータを送信し(ステップQ4)、同じ測定機器15のデータを過去のデータに直接つなげて表示することが可能となる。
【0058】
さらに以下には、測定機器15を保持する患者5から医師1へ発信を行なう際の構成と動作を示す。発信の際にアップロードを同時に行なうことで、アップロードされた際の個人認証が容易となる。
【0059】
[第4の実施形態]
図11は、遠隔医療支援システム204を示す概略図である。患者5は患者側電話機107を用いて医師1に、電話をかける場合を想定する。医師1は医師側電話機103にて患者5からの電話を受信する。医師1、患者5の両方がそれぞれ、医師側TV電話用端末109と患者側TV電話用端末111を有し、双方の端末はサーバ113に接続されている。医師側TV電話用端末109と患者側TV電話用端末111は、お互いのストリームデータの表示および健康データの表示を可能とする。
【0060】
サーバ113は、ネットワーク上に健康データを保持する。さらに、患者側TV電話用端末111は、測定機器15から近接無線通信(Bluetooth(登録商標)等)により使用可能かどうかを含む情報を受信することができる。また、医師側TV電話用端末109、患者側TV電話用端末111も同様に近接無線通信により、それぞれ、医師側電話機103、患者側電話機107と通信することができる。また、医師側TV電話用端末109、患者側TV電話用端末111はSetTopBoxを利用することができ、医師1から患者5へ電話をかけることを想定する。
【0061】
図12は、遠隔医療支援システムの動作例を示すシーケンスチャートである。まず、アプリケーションの動作により患者側電話機107から医師側電話機103への発信を行なう(ステップR1)。患者側電話機107の発信と同時に、近接無線通信によって近接して存在する患者側TV電話用端末111へ発着信IDを送信する(ステップR2)。患者側TV電話用端末111は、使用可能な測定機器15を調査し、その情報を得る(ステップR3)。
【0062】
患者側TV電話用端末111は、患者側電話機107からの情報受信を受け、発着番号、使用可能な健康データの種類、SIPアドレス、差分データとをあわせて、システムを構成するサーバ113へアップロードする(ステップR4)。サーバ113では、患者側TV電話用端末111からの情報の受信を受け、着信番号に紐づけられた健康データの内、指定されたデータをデータベースからメモリ上へ展開する(ステップR5)。
【0063】
医師側電話機109は着信を受け、近接無線通信によって、医師側TV電話用端末109に発着信IDを伝える(ステップR6)。医師側TV電話用端末109は、着信があった旨をディスプレイに表示し、さらに必要な測定機器15のリストと発着信IDをサーバ113へ伝える(ステップR7)。サーバ113では受信した発着信IDの紐付けを認証し、紐付けが正しければ、探索された測定機器15のリストにより許可された測定機器15のデータのフィルタリングをメモリ上に展開されたデータに対して行なう(ステップR8)。
【0064】
医師側電話機103の応答を受け、医師側電話機103は、再度、医師側TV電話用端末109へ応答の旨を伝え(ステップR9)、医師側TV電話用端末103はその旨をサーバ113へ伝える(ステップR10)。サーバ113ではステップR8で認証が完了している場合に、お互いのSIPアドレスおよび健康データを双方のTV電話用端末へ伝え(ステップR11、R12)、SIPシーケンスを開始させる(ステップR13)。
【0065】
このように、本発明の遠隔診療支援システムは、ユーザが一般的に用いる携帯電話機への発着信を契機に、SetTopBoxやタブレット端末等のTV電話用端末に連動させ、TV電話用端末上のシステムを起動し、必要な健康データのみを絞り込んで表示・TV電話を開始する。これにより、ユーザは携帯電話機に電話をかけるだけで、容易に認証を行なうことができる。その結果、在宅医療支援システムの使用において、認証を簡易に行なうことが可能となる。また、医師1が求めている健康管理に必要なデータについて、患者5が使用の許可をすることができ、かつ、容易に表示することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 医師
3 医師側電話機
5 患者
7 患者側電話機
9 医師側TV電話用端末
11 患者側TV電話用端末
13 サーバ
15、15−1、15−2 測定機器
103 医師側電話機
107 患者側電話機
109 医師側TV電話用端末
111 患者側TV電話用端末
113 サーバ
201〜204 遠隔診療支援システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上のTV電話用端末間で行なわれるTV電話シーケンスにより医師が遠隔地の患者を診療するのを支援する遠隔診療支援システムであって、
医師の電話機から通知された発着信IDおよび診療に必要な健康データの種類を送信する医師側TV電話用端末と、
患者の電話機から通知された発着信IDおよびその発着信IDのうちの一方で特定される患者について収集した健康データを送信する患者側TV電話用端末と、
前記患者の健康データを保管し、前記患者の診療に必要な健康データの種類および前記患者について収集した健康データを受信し、前記保管されている健康データを更新し、前記更新された健康データのうち、前記患者の診療に必要な健康データを前記双方のTV電話用端末に送信するサーバと、を備え、
前記サーバは、前記双方のTV電話用端末から受信した発着信IDに基づいて、前記双方のTV電話用端末の接続を確立し、前記双方のTV電話用端末は、前記患者の診療に必要かつ使用可能な健康データを表示しつつ、TV電話シーケンスを開始することを特徴とする遠隔診療支援システム。
【請求項2】
前記患者側TV電話用端末は、前記患者の電話機から通知された発着信IDに基づいて、前記患者が用いた測定機器から前記患者の健康データを収集することを特徴とする請求項1記載の遠隔診療支援システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記双方のTV電話用端末の接続確立のための認証が完了した段階で、前記医師側TV電話用端末から受信した健康データの種類を用いて、保管されている前記患者の健康データを更新することを特徴とする請求項1または請求項2記載の遠隔診療支援システム。
【請求項4】
前記患者側TV電話用端末は、前記患者の健康データの種類を識別するIDとして、前記患者が用いた測定機器固有のIDから合成されたノードIDを用いることを特徴とする請求項3記載の遠隔診療支援システム。
【請求項5】
前記患者側TV電話用端末は、測定機器でリアルタイムに取得された健康データを、機器固有のIDとともに取得し、前記取得した健康データを分割して前記医師側TV電話用端末へ送信し、
前記医師側TV電話用端末は、前記健康データにあわせて前記リアルタイムに取得された健康データを合成して表示することを特徴とする請求項3または請求項4記載の遠隔診療支援システム。
【請求項6】
前記患者側TV電話用端末は、前記測定機器でリアルタイムに取得された健康データを、取得時刻とともに、バッファし、前記サーバへの発着信ID通知と同時に、前記バッファされた健康データを前記サーバへアップロードすることを特徴とする請求項5記載の遠隔診療支援システム。
【請求項7】
ネットワーク上のTV電話用端末間で行なわれるTV電話シーケンスにより医師が遠隔地の患者を診療するのを支援する遠隔診療支援方法であって、
医師側TV電話用端末により、医師の電話機から通知された発着信IDおよび診療に必要な健康データの種類を送信するステップと、
患者側TV電話用端末により、患者の電話機から通知された発着信IDおよびその発着信IDのうちの一方で特定される患者について収集した健康データを送信するステップと、
サーバにより、前記患者の健康データを保管し、前記患者の診療に必要な健康データの種類および前記患者について収集した健康データを受信し、前記保管されている健康データを更新し、前記更新された健康データのうち、前記患者の診療に必要な健康データを前記双方のTV電話用端末に送信するステップと、
前記サーバにより、前記双方のTV電話用端末から受信した発着信IDに基づいて、前記双方のTV電話用端末の接続を確立するステップと、
前記双方のTV電話用端末により、前記患者の診療に必要かつ使用可能な健康データを表示しつつ、TV電話シーケンスを開始するステップと、を含むことを特徴とする遠隔診療支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−114272(P2013−114272A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256772(P2011−256772)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)