説明

適応型セルラネットワークにおいてユーザ協調およびスケジューリングを用いてダウンリンクスループットを最適化する方法

【課題】パフォーマンスを改善するため、ユーザ協調によって、ユーザは互いの中継として働いて追加的なダイバーシチ経路を提供する。
【解決手段】基地局からモバイル装置への伝送のために時分割複信(TDD)方式に従って、規定された補足的ダウンリンクタイムスロットにおいて中継を実行するダウンリンク支援型中継(DAR)または規定された補足的アップリンクタイムスロットにおいて中継を実行するアップリンク支援型中継(UAR)に基づいて中継が実行される。中継はユーザに公平性の制約を課すことなく最大システムスループットを実現する最大スループットスケジューリングアルゴリズムに従って、または遅延の点で対象ユーザ間の絶対公平性を実現するラウンドロビンスケジューリングアルゴリズムに従ってスケジュールすることができる。ダウンリンクスループットは増幅転送(AF)または復号転送(DF)協調プロトコルを用いて最適化可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は2007年3月10日に出願された“OPTIMIZING DOWNLINK THROUGHPUT WITH US
ER COOPERATION AND SCHEDULING IN ADAPTIVE CELLULAR NETWORKS”と題された米国仮特
許出願第60/894,208号に基づく優先権を主張するものである。同出願はこの参
照によりその内容全体が本願明細書に含まれるものとする。
【0002】
本発明は適応型セルラネットワークにおいてユーザ協調およびスケジューリングを用い
てダウンリンクスループットを最適化する技術に関する。
【背景技術】
【0003】
ユーザ協調(user cooperation)は、ユーザ達が互いのメッセージを宛先まで中継でき
るようにすることにより追加的な空間ダイバーシチが実現できるというもので、近年関心
が高まりつつある。元来、ユーザ協調は、セルラネットワークの容量を改善する目的で提
案されてきたもので、中継チャネルでの伝送に密接に関係している。それ以後、一般の中
継ネットワークの着想に加えて、いくつかの有効な協調型プロトコルが開発されてきた。
例えば、多重アンテナを有する複数の協調ユーザが議論されてきた。しかしながら、既存
のシステムは全て、より高レベルのシステムの展望を考えることなく、決まった発信元と
宛先とのペアのパフォーマンスおよび働きのみに議論が集中している。例えば、ユーザス
ケジューリングの効果は議論されてこなかった。加えて、従来の中継プロトコルは、多く
の場合に専用の中継タイムスロットを必要とし、スペクトル損失を被る可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、従来のセルラネットワークのユーザ協調に関する異なるスケジューリング戦略
を検討して、より最適な戦略を形成することが望ましいと言えよう。ユーザ協調の現行設
計の非効率性に関する上記の背景は、今日の設計の一部の問題を概観することを意図して
いるに過ぎず、網羅的であることは意図していない。従来技術の他の問題と本発明の対応
する利点は、様々な非限定的な実施形態についての後述する詳細な説明を吟味すれば更に
明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
より詳しくは添付図面を参照して後述される例示的で非限定的な実施形態の様々な側面
を基本的または大まかに理解できるよう手助けするために、ここに簡潔な概要を提供する
。しかしながら、この概要は広範または包括的な概説を意図していない。この概要の唯一
の目的は、様々な例示的で非限定的な実施形態に関係するいくつかの概念を、後述する、
より詳細な説明の前置きとして簡潔な形で提供することにある。
【0006】
ユーザ協調はユーザが互いに中継(リレー)として働いて追加のダイバーシチパスを提
供することで全体のパフォーマンスを高めるという新たな伝送フレームワークに導入され
る。様々な実施形態において、データはユーザ協調を含む適応型通信ネットワークを基地
局から移動局(モバイル装置)へ伝送される。中継は規定された補足的ダウンリンクタイ
ムスロットで中継を実行するダウンリンク支援型中継(downlink-assisted relaying:D
AR)または規定された補足的アップリンクタイムスロットで中継を実行するアップリン
ク支援型中継(uplink-assisted relaying:UAR)に基づいて時分割複信(time divis
ion duplex:TDD)方式に従って実行される。
【0007】
例示的な非限定的な実施形態において、中継伝送はユーザに公平性の制約を課すことな
く最大システムスループットを実現する最大スループットスケジューリングアルゴリズム
、または対象ユーザ間で遅延の点で絶対公平性を実現するラウンドロビン(round-robin
=総当たり戦)スケジューリングアルゴリズムに従って実行される。さらに、基地局から
モバイル装置までのダウンリンクスループットは増幅転送(amplify-and-forward:AF
)または復号転送(decode-and-forward:DF)協調プロトコルを利用して最適化可能で
ある。
【0008】
ダウンリンクスループットを最適化するための本システムおよび方法について本願添付
図面を参照して以下詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】基地局からユーザおよび中継ユーザ群へ伝送する通信システムのハイレベルブロック図である。
【図2】通信システムのダウンリンクスループットを最適化する例示的な非限定的な方法のフロー図である。
【図3】ここで述べる様々な実施形態による従来のタイムスロット分割中継を利用する通信の様々な側面を示す図である。
【図4】様々な実施形態によるダウンリンク支援型中継を利用する通信の様々な側面を示す図である。
【図5】様々な実施形態によるアップリンク支援型中継を利用する通信の様々な側面を示す図である。
【図6】様々な実施形態によるAFプロトコルを使用することの様々な例示的側面を示す図である。
【図7】様々な実施形態によるユーザ協調が有効(イネーブル)なときのラウンドロビンスケジューリングの様々な側面を示す図である。
【図8】異なる実施形態による中継タイムスロットの異なる配置の効果を示す図である。
【図9】最適アルゴリズムによる中継およびスケジューリングの第1の非限定的な代表的実施形態のフロー図である。
【図10】最適アルゴリズムによる中継およびスケジューリングの第2の非限定的な代表的実施形態のフロー図である。
【図11】ここで述べる様々な実施形態による中継およびスケジューリングの具体例のブロック図である。
【図12】様々な実施形態によるサービスに適した例示的な非限定的ネットワーク環境の概観図である。
【図13】ここで述べる様々な側面が機能することができる例示的な非限定的な動作環境のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(詳細な説明)
(概説)
冒頭の背景技術の中で言及したように、ユーザ協調はユーザが互いに中継として働いて
追加のダイバーシチパスを提供することで追加のダイバーシチパスがないときよりも全体
のパフォーマンスを高めるという新たな伝送フレームワークである。しかしながら、以前
から存在するアプローチは、物理層プロパティと、発信元および宛先の決まったペアの特
定の時間的瞬間における働きにのみ議論が集中している。このため、従来のセルラネット
ワークに利用された現行の協調技術に勝る改善されたスケジューリング戦略が望まれてい
る。
【0011】
冒頭の背景技術の中で述べたような従来技術の欠陥を鑑み、ここで述べる様々な実施形
態では、適応型セルラネットワークのダウンリンクスループットがユーザ協調とスケジュ
ーリングの両方を用いて最適化される。いくつかの広く用いられる協調戦略が異なる公平
性制約のもとに評価され、そして全体のシステムスループットを最大化するようにユーザ
がスケジュールされる場合にはDFプロトコルは非協調型カウンタパートと比べて容量利
得をもたらすことができないことが示される。
【0012】
別の側面として、中継タイムスロットの配置は、適応型ネットワークと非適応型ネット
ワークの双方でユーザ協調のパフォーマンスに直接影響を与えるものであり、ユーザ協調
が従来のネットワークで大きく修正することなく有効(イネーブル)と成り得るように既
存のフレーム構造全体にわたって調べられる。この関連で、多重中継は干渉除去とスケジ
ューリングを用いて他の伝送と同時に異なるタイムスロットでサポート可能であり、対応
する最適中継の選択と最適な電力割当がここで得られる。
【0013】
実施の一形態において、時分割複信(time division duplex:TDD)方式が実行され
る。理由はTDD方式はマルチメディアサービスと高速データ転送をサポートする次世代
無線方式に適したフレキシブルで非対称なダウンリンク対アップリンク割当比を許容する
からである。送信機用チャネル状態情報(channel state information for the transmit
ter:CSIT)の推定も非常に実り多い適応型スケジューリングおよび資源割当をもた
らすチャネル可逆性(channel reciprocity)を活用することにより容易になる。
【0014】
ダウンリンクスループットは公平性の関心が異なる2つの広く採用される協調プロトコ
ルAFおよびDFのもとで最適化可能である。メッセージ中継専用のタイムスロットが追
加されるシステムとは対照的に、従来のフレーム構造における中継タイムスロットの最適
な配置もユーザ協調が既存システムに容易に組み込めるように決定される。複数の中継ユ
ーザが想定され、所与の宛先に対して対応する最適な中継選択および電力割当が導き出さ
れる。
【0015】
ここで述べる他の実施形態では、AFプロトコルは公平性が考慮されない場合に容量利
得を実現するべく実行され、ユーザは理論上のシステムスループットが最大になるように
スケジュールされる。しかしながら斯かる利得は横ばいで主に遠くのユーザに利益をもた
らすことが示される。代わりに、別の実施形態では、単純なラウンドロビンスケジューリ
ングアルゴリズムのシステムスループットが提供される。このアルゴリズムは遅延の点で
絶対公平性を維持し、同程度の平均チャネル利得を持つユーザが想定される場合にシステ
ムスループットを最大化することを目的とする非協調型アプローチのシステムスループッ
トに迫る大きな改善を実証する。
【0016】
図1は、適応型通信ネットワークにおいてユーザ協調を含む、データをモバイル装置1
10、すなわち目標ユーザまで伝送するための基地局100を示す例示的な非限定的なブ
ロック図である。中継ユーザ(リレーユーザ)120、122等により、データは直接的
に基地局100からまたは間接的に中継ユーザ120、122等を介して目標ユーザ11
0まで到達することができる。ユーザ協調およびスケジューリングでダウンリンクスルー
プットが最適化されるデータ伝送の様々な実施形態を上述した様々な方法論に関して以下
に詳細に説明する。
【0017】
図2に、適応型通信ネットワークにおいてユーザ協調を含む、データを基地局からモバ
イル装置まで伝送するためのプロセスのいくつかの側面を示す例示的な非限定的な方法の
フローチャートを示す。これといった順序はないが(順不同)、ステップ200において
、時分割複信(TDD)方式に従って中継が実行される。以下より詳細に説明するように
、規定された補足的ダウンリンクタイムスロットで中継を実行するダウンリンク支援型中
継(downlink-assisted relaying:DAR)または規定された補足的アップリンクタイム
スロットで中継を実行するアップリンク支援型中継(uplink-assisted relaying:URA
)が実行される。ステップ210において、ユーザに公平性の制約を課すことなく最大シ
ステムスループットを実現する最大スループットスケジューリングアルゴリズムまたは対
象ユーザの間で遅延の点で絶対公平性を実現するラウンドロビンスケジューリングアルゴ
リズムに従って中継伝送がスケジュールされる。ステップ220において、AFまたはD
F協調プロトコルを利用して基地局からモバイル装置までのダウンリンクスループットが
最適化される。ステップ230において、所与の宛先に対して電力割当が最適化される。
【0018】
これから述べる、より詳細な説明のロードマップとして、最初に協調プロトコルの数学
モデルと性質について説明する。続いて、フレーム内における中継タイムスロットの配置
とスケジューリングアルゴリズムの効果を調べる。次に、最適な中継選択および電力割当
アルゴリムを導き出し、説明する。さらに、ここに述べる様々な実施形態の利点を示すた
めにパフォーマンス評価と考察を示し、最後に、ダウンリンクスループットを最適化する
ための技術を利用することができるいくつかの例示的で非限定的な動作環境およびシステ
ムを説明する。
【0019】
(協調プロトコル)
協調プロトコルに関して、AFプロトコルおよびDFプロトコルの数学モデルとそれら
の性質について次に説明する。留意点として、直交中継チャネルがこの段階で多重中継シ
ナリオ(より詳しくは後述される)に利用可能であると仮定する。次に、基地局Sは最初
の第1タイムスロットでメッセージxを電力Pで目標ユーザiと中継ユーザjに送信
する。次の第2タイムスロットで中継ユーザjはその受信メッセージコピーxj,i
電力P(R)でユーザiへ転送(フォワード)する。もっと多くの中継ユーザが存在す
る場合にはそれらのユーザは同じようにして各自の受信メッセージを順次次のタイムスロ
ットでユーザiに送信する。第1タイムスロット(直接経路)および第2タイムスロット
(中継経路)におけるユーザiによる受信信号は次式で特徴付けられる。
【数1】

上式においてhとhj,iは直接経路(S−i)とユーザ間(S−j−i)チャネルが
経験する大規模および小規模フェージングを両方含む等価フェージングを捕捉する。n
およびnj,iは複素次元あたりN/2の分散を持つバックグラウンドの加法性ホワイ
トガウスノイズ(additive white Gaussian noise:AWGN)項である。
【0020】
AFプロトコルでは、式2におけるxj,iは次式によって規格化される。
【数2】

【0021】
式2は次の様に書き表すことができる。
【数3】

ここでSNRは基地局−中継チャネル(S−j)の受信における信号対ノイズ比(SN
R)を表し、nはAWGN項を表す。式4から、中継経路(S−j−i)のSNRは
次の様に書き表される。
【数4】

ただし0<a=SNR/(SNR+1)<1および0<bj,i=SNRj,i
(SNRj,i+1)<1。従って、中継経路のSNRは次の様な上限がある。
【数5】

これは基本的に本プロトコルのボトルネックを示唆するものである。一般に、多重中継が
使用される場合、中継経路と直接経路は最大比合成(maximum-ratio combining:MRC
)を用いて組み合わせ可能で、AFプロトコルの等価SNRはKユーザシステム(K=ユ
ーザ数)において次の様になる。
【数6】

ρj,i=1はユーザjがユーザiの中継として働くケースを指し、その他のケースでは
ρj,i=0である。
【0022】
一方DFプロトコルでは、中継ユーザは最初にメッセージの復号を試みる。復号が成功
したら、中継は復号後メッセージを再符号化し、それを宛先ユーザへ送信する。復号に失
敗したらメッセージは中継されない。等価SNRは式7から、SNR≧SNRの場合
にSNR=∞とし、その他の場合にSNR=0とすることによって得られる。すなわ
ち次の様に表される。
【数7】

上式においてI(.)は指示関数(indicator function)であり、SNR(Rtarg
et)は目標レートRtargetをサポートするために必要とされる最小受信SNR
を指す。DFプロトコルの実際のスループットは式8に示した等価SNRに対応するもの
よりも小さい可能性があることに留意する。AFプロトコルおよびDFプロトコルに関す
る更なる詳細も以下に議論する様々な実施形態に関係する記述を検討すれば明らかとなる

【0023】
(ダウンリンクスループットの最適化)
既に言及したように、1つの側面として、本開示は既存ネットワークが現行のフレーム
構造を変更することなくユーザ協調から利益が得られるように従来のフレーム構造におけ
る中継タイムスロットの最適化または好適な配置に関する。またAF協調プロトコルとD
F協調プロトコルのもとで公平性の関心が異なるダウンリンクスループットの最適化が提
示される。様々な実施形態において、同期式半二重TDDネットワークが想定され、この
場合、ダウンリンクとアップリンクのタイムスロットは一般的にバーストに割り当てられ
、2つのタイプのタイムスロットの間には少なくとも最悪ケースの往復遅延のガードイン
ターバルが配置される。
【0024】
中継タイムスロットの配置に関して、ユーザ協調を活用するためにタイムスロット分割
中継(timeslot-splitting relaying:TSR)方式300が採用可能であり、図3を参
照して、基地局302、宛先ユーザ304および中継ユーザ306の間の通信のタイミン
グを含めて説明する。中継目的で別のフルタイムスロットを使用する代わりに、各スロッ
トは2つのサブスロットに分割される。この場合、発信元(source)は最初の第1サブス
ロットで送信し、中継310は2番目の第2サブスロットで送信する。しかしながら、セ
ルラネットワーク内のユーザ間のパス遅延のせいで、図に示す様に、隣接するタイムスロ
ット間の部分的な干渉312がなお存在する。干渉部分312の完全な除去はガードイン
ターバルを追加導入した場合にのみ可能である。
【0025】
CSITが利用可能な適応型伝送システムでは、ユーザ協調を遂行する他のより有効な
方法が存在する。斯かる方法によれば追加のオーバヘッドを導入することなく、かつオリ
ジナルのフレーム構造を変更することなく、より高い協調利得が実現される。協調プロト
コルに対応可能な従来のシステムはここで述べる技術を取り入れることができる。さらに
、中継タイムスロットのさらに2つの可能性のある配置も調べられる。それらの一方は新
しいダウンリンクタイムスロットで中継を実行し、他方はアップリンクタイムスロットで
中継を実行する。中継は共存する伝送の宛先デバイスにおける様々な度合の干渉除去を含
む。便宜上、前者の方法をここではダウンリンク支援型中継(DAR)と呼び、後者をア
ップリンク支援型中継(UAR)と呼ぶ。
【0026】
図4に、基地局402、宛先ユーザ404および中継ユーザ406の間のDAR通信4
00のタイミングの具体例を示す。DAR400の中継(relaying)410は明確に規定
されたダウンリンクタイムスロットで実行され、その結果、図に示す様に干渉412をも
たらす。
【0027】
図5に、基地局502、宛先ユーザ504、および中継ユーザ506の間のUAR通信
500のタイミングの具体例を示す。UAR500の中継(relaying)510は明確に規
定されたダウンリンクタイムスロットで実行される。UAR500は図に示す様に、また
後でより詳しく述べるように、結果的に2セットの干渉512、514をもたらすが、干
渉514は最適スケジューリングで除去可能である。
【0028】
図3乃至図5を比較すると、UARはCSITが利用可能なTDDネットワークにおい
てTSRおよびDARよりも高い正味容量利得を与える。これらの概念は、アイソレーテ
ッド協調利得(isolated cooperation gain)、中継によって他の並行伝送に課される干
渉、および他の並行伝送によって中継後メッセージに引き起こされる干渉を含む、3つの
部分に更に分割できる。
【0029】
アイソレーテッド協調利得は、3つの候補によって、それらのコスト(干渉)を考慮す
ることなく実現される純利得として定義される。UARおよびDARはTSRにおける半
分だけのタイムスロットの代わりにフルタイムスロットを利用するので、それらは両方と
もTSRと比較して優れたパフォーマンス利得を実現する。これは次式によって特徴付け
られる。
【数8】

上式においてcは一般的なTSR戦略のタイムスロット分割後の(1タイムスロットあた
りの)サブスロット数である。
【0030】
既に言及したように、図3、図4および図5はそれぞれ従来のタイムスロット分割中継
(TSR)、ダウンリンク支援型中継(DAR)およびアップリンク支援型中継(UAR
)に関し、それらの相互比較のために3つの起こり得る中継タイムスロット位置を示して
いる。
【0031】
並行伝送への干渉に関して、図3に示す様に、TSR300は隣接するタイムスロット
に部分的な干渉しか引き起こさないという利点を有することが観察される。これとは対照
的に、一見すると、UAR500は他の2つの方法よりもパフォーマンスが良くないよう
に見える。しかしながら、以下議論するように、これは全体像を反映していない。一般に
UAR500は3つの戦略の中で最もパフォーマンスが高いのである。
【0032】
DFプロトコルおよび図5に示すようなUAR500戦略を考察すると、干渉を受ける
アップリンクタイムスロットで中継ユーザj506はメッセージxを宛先ユーザi50
4に転送する。それと同時に、別のユーザk508はそれ自身のアップリンクメッセージ
ULを基地局S502に送信する。基地局502における受信メッセージは次式で与
えられる。
【数9】

上式において
【数10】

はユーザk508のメッセージへのユーザj506から受信した干渉を表している。中継
がフレームタイミングと同期的であることを強いることにより、
【数11】

は単に
【数12】

で表すことができる。x、hおよびP(R)は基地局で既知であるので、その干渉
は除去可能であり、結果、ユーザk508の干渉のない受信メッセージが得られる。
【数13】

【0033】
AFプロトコルが使用されたとしても、斯かる干渉はなお除去可能であるが、ユーザk
508の受信メッセージにわずかな余分なノイズが残される。TSRとDARに関しては
、一般に、宛先ユーザkにおける受信後のダウンリンクメッセージは同じ形で表すことが
できる。
【数14】

上式において
【数15】

はあるフィルタリング処理が受信アナログメッセージをデジタルドメインに変換した後の
結果の部分的な干渉を表す。ユーザkはx、P(R)およびhj,kの情報を持って
いないので、斯かる干渉は除去不能である。しかしながら、適正なスケジューリング、シ
グナリングおよびガードインターバルの導入により、欠落した情報はユーザkによって取
得可能で、同じような干渉除去技術をDARにも採用できる。
【0034】
類似の状況がAFプロトコルに当てはまる。図3および図4には、ユーザiが、ユーザ
jによって中継されたそれ自身の1つ前のダウンリンクメッセージからの自己干渉に悩ま
される特殊なケースが示されている。しかしながら、連続するタイムスロットに前ユーザ
から遠く離れた異なるユーザをスケジュールすることにより、干渉はパスロス(pass los
s:経路損失)といった大規模フェージングによってかなり低減される
【0035】
並行伝送からの干渉に関して、UARスキームのみが注意深いスケジューリングを通じ
て干渉をかなり低減する。この場合、選択される同時(並行)アップリンクユーザは中継
からメッセージを受信している宛先ユーザから遠く離れている。TSRとDARでは、並
行伝送は代わりに基地局からの全方向送信を有するものである。それ故、干渉は基地局の
送信電力を調整することによって低減されるが、共存する伝送のカバレッジが基本的に制
限される。
【0036】
既に議論した3つのシナリオTSR(タイムスロット分割中継)、DAR(ダウンリン
ク支援型中継)およびUAR(アップリンク支援型中継)を以下の表1にまとめる。上記
3つの属性を議論することによって、UARが、高い協調利得、中継送信電力レベルが何
であれ並行伝送への最小の干渉、およびスケジューリングによる他のユーザからの無視可
能な干渉を実現する好適な候補であることが示される。本質的に、これは、フルタイムス
ロットを使用する多重直交中継チャネルが、CSITが利用可能なTDDネットワークに
おいてUARを通じて実現できることを暗示している。
【0037】
【表1】

【0038】
ダウンリンクスループットの最大化に関して、AFプロトコルとDFプロトコルで使用
される2つの両極にあるスケジューリングアルゴリズムを考える。第1のアルゴリズムは
ユーザに公平性の制約を課すことなく最大システムスループットを実現するもので、最大
スループットスケジューリングと呼ぶことにする。第2のアルゴリズムはラウンドロビン
戦略であり、これは代わりに遅延の点で対象ユーザ間の絶対公平性を実現する。更に詳し
いことは後述するが、ラウンドロビンスケジューリングアルゴリズムとAFプロトコルは
遅延の点でユーザ間の公平性を維持しながら好適なシステムスループットを実現するため
の単純で強力な戦略を一緒になって形成する。
【0039】
“公平性の制約なしに”に関して、DFプロトコルは式8に示す様に協調を通じて、
より高い受信SNRを実現できるが、このプロトコルは、最大システムスループットが公
平性の関心なく議論される場合には、容量利得(capacity gain)を全くもたらさない。
【0040】
定理1:DF協調はユーザが任意の動作SNR領域においてシステムスループットを最
大化するようにスケジュールされる場合には非協調型カウンタパートと同じ最大システム
スループットを実現する。
【0041】
証明:R(SNR)=log(1+SNR)をSNRが与えられたリンクの最大達成可
能レートとする。
【数16】

を宛先ユーザiに対する濃度|Φ|=2K−1−1の中継割当集合の集まりと定義する
。式8は協調利得はあるjに対しSNR>SNR(Rtarget)または同等だが
任意の所与のφ(i)に対し
【数17】

の場合にのみ可能であることを主張している。これはユーザiに対しDFプロトコルによ
って達成される最大レートRDFが次式で与えられる上限があることを更に暗示してい
る。
【数18】

【0042】
式12から、DFプロトコルの最大達成可能システムスループットは次の様になること
は明らかである。
【数19】

この式は非協調型ネットワークのものと同じである。
【0043】
DFプロトコルとは異なり、AFプロトコルは常に協調利得を与える。理由は、メッセ
ージ検出は直接経路と中継経路の両方から受信された信号を組み合わせた後にのみ行われ
るからである。最大システムスループットは式7の等価SNRが最大化されるときに実現
される。すなわち、この問題は次のように定式化できる。
【数20】

【0044】
システムユーザの数は多くの場合に利用可能な直交中継チャネルの数よりも大きいので
、SNRequiv.は更に最適化される必要がある。中継選択および電力割当が実行
される必要がある。これについては次のサブセクションで詳しく説明する。
【0045】
“公平性あり”の制約またはラウンドロビンに関して、最大システム容量はラウンド
ロビンスケジューリングに対して目標ユーザiを所与として式7の等価SNRが最大化さ
れるときに実現される。既に言及したように、マルチユーザシステムでは、ユーザ数は利
用可能な直交中継チャネル全体の数よりも大きい蓋然性が高い。それ故、中継選択は中継
チャネル全体にわたる電力割当とともに適切である。以下、AFプロトコルに焦点を絞り
、全体でN個の直交中継チャネルを想定したときに所与の目標ユーザiに対する最適な中
継選択および電力割当・戦略を導出する。あらゆる潜在的中継ユーザ(中継ユーザに成り
得るユーザ)は最大で全てのチャネルを占有することが許される。DFプロトコルの最適
化はAFプロトコルの特殊なケース(式5においてa=1)であり、このとき問題は単
純なものに簡約される。以下、mを使って中継チャネルのインデックスを指定する。
【0046】
以下、例示的な非限定的実施形態に基づいて最適な中継選択および電力割当を説明する

【0047】
【数21】

とする。これはm番目の中継チャネルにおける中継経路(S−j−i)の等価SNRを表
す。目的関数は次の様に書き表される。
【数22】

ただし、以下の条件に従う。
【数23】

【0048】
式15bの制約は中継チャネルmにおけるユーザjの個別のピーク電力制約であり、こ
れは同じチャネルにおける他の伝送に対する最大共存チャネル干渉を制御するためにも使
用することができる。式15cで表される総中継電力制約も存在する。基地局電力は固定
または既知と想定されており、このためaも、かつ移動ユーザ(中継)の電力制約とは
無関係である。ユーザ間チャネル利得の知識も基地局において想定される。実際には、こ
れらはある特定の目標ユーザに対する協調グループの初期セットアップの際に得られる所
定セットのチャネル利得閾値からの値でよい。最後に、式15dの制約は各中継チャネル
ごとに単一ユーザのみが中継になることが許されることを意味している。
【0049】
問題は一般に組み合わせである。しかしながら、関数fj,i(P(R),m)は
凹関数で単調増加することが証明できる。パラメータρj,iの緩和技術を用いること
によって、問題はラグランジュ未定乗数法およびKKT(Karush-Kuhn-Tucker)条件の助
けを借りて解くことが可能な凸最大化問題に定式化できる。ここでは導出された最適なユ
ーザ選択および電力割当・戦略について結果を示す。この問題はパラレルチャネルを持つ
従来型ネットワークの容量最大化問題に類似しているが、しかしながら結果の最適中継(
ユーザ)選択戦略に明白な違いが存在する。
【0050】
最適中継選択に関して、m番目の中継チャネルに対する最適ユーザjm*は次式に基づ
いて選択される。
【数24】

ここで、
【数25】

および
【数26】

m’はP(R),mに関する微分、Ωはm個の中継チャネル全てに共通のパラ
メータで、式15cの総電力制約が満足されるように調整される。Ωが大きくなるほど、
選択されたユーザの集合を所与とした割当電力は減少する。
【0051】
システム容量を最大化する従来型ネットワークの最適ユーザ選択戦略は最良チャネルを
有するユーザを選択することに簡約できることは周知である。個別ピーク電力制約が課さ
れる場合、最大レートのユーザを選択することが最適であることが証明できる。しかしな
がら、これはユーザ協調を含む我々のシステムにはもはや当てはまらないことを示すこと
が可能である。この場合、最大のfj,i(P(R),m)を選択することは最適解
を実現しない。
【0052】
最適電力割当に関して、選択された中継ユーザの任意の集合に対する最適電力割当は次
の様なものになることが示せる。
【数27】

【0053】
この結果は、代わりにTSRアプローチを採用して、決まった数の中継によって支援さ
れる場合の発信ノードと宛先ノードのペアと矛盾しない。
【0054】
(数値結果と考察)
セルラネットワークのダウンリンクでは、最大システムスループットは多くの場合、大
半が基地局に近い少数のユーザによって占められる。それ故、遠くのユーザに対するどん
な有意な改善もシステムスループット全体からすれば違いが分からないくらいの増大しか
もたらさない可能性があるので、ユーザ協調プロトコルの有効性を斯かる尺度で評価する
ことは適切でない場合がある。より有意な結果を得るため、ユーザが基地局から同程度の
平均チャネル利得を得ている協調グループ内のパフォーマンスを考察する。
【0055】
言及したように、TDDシステムが想定され、シミュレーション設定は以下の通りであ
る。半径1kmのセルを考え、ユーザはそれぞれ半径50mのクラスタ内に均一に分散し
ている。あらゆるクラスタは5人のユーザを内包し、基地局から異なる距離で評価される
。基地局・ユーザ間チャネルおよびユーザ間チャネルの双方で互いに独立で同一の分布に
従う(i.i.d.)レイリーフェージングが想定される。パスロス指数は基地局から1
00mのところで基準平均電力が30dBの全てのケースで3に設定される。特に、最大
スループットおよびラウンドロビンの2つのスケジューリング戦略のもとでのAFプロト
コルがこれらの結果で議論される。疑似静的チャネルを考え、各中継チャネルのピーク電
力は最大総中継電力と見なすことができる。
【0056】
図6に1中継(1 Relay)610、無中継(No Relay)620および3中継(3 Relays
)630の最大スループットスケジューリング600を示す。各ケースごとに、それぞれ
距離100m、250m、500mおよび950mにあるユーザを表す別々の曲線クラス
タ(曲線群)640、650、660および670が示される。既に議論したように、D
Fプロトコルは最大システムスループットにおいて利得を実現しない。しかしながら、図
6に示す様に、AFプロトコルもわずかな改善しか与えない。利得はセル端に近い最も遠
いクラスタで最も顕著に現れるようである。この場合、1中継で〜8%のスループット利
得が記録される。基地局送信電力より20dB低い少量の中継電力のみが必要とされ、中
継電力を更に増やしても有意な改善はもたらさない。3中継の上限が基準として与えられ
、この場合、ユーザ間チャネルはノイズフリーであることが想定される。斯かるケースで
は、システムはSIMO(single-input-multiple-output:シングル入力マルチ出力)方
式と化す。もっと多くの中継による潜在利得も限界があることが観察でき、例外的に過密
な人口状況を考えない限り、通常のネットワークの場合になることが予想される。
【0057】
図7に1中継710と無中継720に対するラウンドロビンスケジューリング700を
示す。各ケースごとに、それぞれ距離100m、250m、500mおよび950mにあ
るユーザを表す別々の曲線クラスタ730、740、750および760が示される。ラ
ウンドロビンスケジューリング700によりユーザは公平な条件で送信することが可能で
ある。この場合、あらゆるユーザはチャネルの同じ占有率と同じ遅延を有するが、多くの
場合にかなりのスループットが犠牲になる。図7はユーザ協調が有効(イネーブル)な場
合にこれはもはや当てはまらないこと示している。システムスループットの有意な利得は
限られた中継電力と1中継のみで実現される。例えば、70%を超えるスループットの増
加はセル端近くのクラスタに対して、中継に基地局送信電力の1%を費やすだけで実現さ
れる。魅力的な利得が基地局近くのクラスタでなお実現可能である。この場合、25%を
超える利得が250mのところにあるクラスタで得られ、100mのところにあるクラス
タでは約10%の利得が得られる。最大スループットスケジューリングからの容量ギャッ
プは大幅に減少する。1ユーザがより頻繁に中継として使用される場合が存在することが
ある。しかしながら、セルラネットワークでは多くの場合に帯域幅が電力よりも大きな問
題であるので、チャネルが揺らぐときには短期の公平性は大目に見るべきで、それに対し
て長期の公平性はなお維持することが可能である。
【0058】
UAR810とTSR820の比較に関して、図8は中継タイムスロットの異なる配置
の効果を実証するものである。100mのところの曲線830と840はそれぞれUAR
とTSRのパフォーマンスを示している。同じように、250m、500mおよび950
mのところの曲線832、842、曲線834、844および曲線836、846はそれ
ぞれUARとTSRのパフォーマンスを示している。各距離ごと、各曲線群ごとに、UA
Rアプローチの方がTSRよりもかなり良好であることが観察できる。最大スループット
スケジューリングが議論される場合、図9を用いて予測できるように、TSRは非協調型
カウンタパートよりもパフォーマンスはずっと悪い。
【0059】
図9に最適アルゴリズムに基づく中継およびスケジューリングの第1の非限定的な代表
的実施形態を示す。必ずしも何か或る特定の順序に従う必要はないが、本実施形態ではス
テップ900においてユーザおよび中継装置の集合に対してマルチユーザとの通信に適用
される公平性の基準(fairness criteria)が決定される。次いでステップ910におい
てCSIT情報が利用できるよう決定される。ステップ920において、適用される公平
性スキームと、利用可能なら、CSIT情報に基づいて、最適中継スケジュールが作成さ
れる。ステップ930において、最適化されたスケジュールを用いてデータ中継が行われ
る。実施の一形態によれば、既に述べたように、DARと同じようにUARが使用できる
。ステップ940において、ダウンリンクスループットを最適化するAFまたはDFとい
ったユーザ協調プロトコルに従って通信が行われる。ステップ950において、デバイス
送信を含む所与の環境に電力が動的に割り当てられる。
【0060】
図10に最適アルゴリズムに基づく中継およびスケジューリングの第2の非限定的な代
表的実施形態のフローチャートを示す。この場合も同じように順序不同で、本実施形態で
はステップ1000において、CSIT情報が推定されるか、そうでなければ入手可能で
ある。ステップ1010において、中継伝送の最適スケジュールがユーザ間の同等な公平
性の仮定に基づいて作成される。例えば、異なるユーザを優先度の点で等しく扱うラウン
ドロビン方式が採用可能であるか、または無公平性制約が全てのユーザに適用可能である
。ステップ1020において、UARまたはDARを用いて中継が実行される。続いて、
AFユーザ協調プロトコルまたはDFユーザ協調プロトコルのどちらか一方に従ってデー
タが伝送される。次に、ステップ1040において、中継伝送のスケジュールに対して電
力が動的に最適化される。ステップ1050において、最適なダウンリンクスループット
を実現する最適化されたパラメータに基づいて伝送が行われる。本実施形態は無線通信の
既存のネットワークフレーム構造に組み込み可能であることが有利である。
【0061】
図11は、ここで述べた様々な実施形態の一部の非限定的な側面を例示する中継および
スケジューリングの具体的態様のブロック図である。説明の便宜のため、単一の中継ユー
ザ1120と目標ユーザ1110を例示するが、ここで述べたユーザ協調中継技術は任意
数の中継および目標ユーザに適用可能である。基地局1100は中継装置群と目標ユーザ
装置に例えばAFまたはDFといったユーザ協調プロトコルに従ってデータを送信するよ
うに構成されている。この点に関し、基地局1100はUAR1136またはDAR(図
示されていない)に基づいて中継を実行する。
【0062】
基地局1100は目標ユーザ装置に公平性の制約を一切課すことなくまたは目標ユーザ
装置の間で遅延に関して絶対公平性を実現するラウンドロビンスケジューリングアルゴリ
ズムに従って最大システムスループットを実現する(1132)ように中継する。中継ス
ケジュール1130はこうして公平性の配慮に基づいて最適化され、システムスループッ
トを最適化するが、この際、システムの伝送に最適電力1134を割り当てることが含ま
れることがある。
【0063】
まとめると、様々な非限定的な実施形態において、ユーザ協調によるダウンリンクスル
ープットの最適化問題が調べられた。発信元と宛先の固定したペアに焦点を絞ったこれま
での仕事とは異なり、公平性の関心が異なるユーザスケジューリングが、協調フレームワ
ークに組み込まれる。2つの一般的に用いられる協調プロトコルである増幅転送(AF)
または復号転送(DF)が評価された。また例示的な結果も提示された。
【0064】
具体的に、公平性の制約なくシステムスループットを最大化するようにユーザがスケジ
ュールされる場合、DFプロトコルは非協調型カウンタパートと比較して最大達成可能シ
ステムスループットにおける利得をもたらさないのに対してAFプロトコルは常に改善を
もたらすことがここでは実証された。従来のフレーム構造における中継タイムスロットの
配置もユーザ協調のパフォーマンスに直接影響を及ぼすことから調査された。注意深いユ
ーザスケジューリングによって、CSITが利用可能な適応型セルラネットワークでは、
多重中継(multiple relays)が、異なるタイムスロットで他の伝送と同時にサポート可
能であることが示された。これによりユーザ協調を既存システムへそれらのフレーム構造
を変更する必要なく組み込むことが容易になる。
【0065】
対応する最適な中継選択および電力割当アルゴリズムが得られた。さらに、ラウンドロ
ビンスケジューリングアルゴリズムは最大達成可能システムスループットを大きく犠牲に
することなく遅延の点でユーザ間の公平性を維持するためにユーザ協調と組み合わされる
ときの好適な戦略であり、特にこのラウンドロビンスケジューリングアルゴリズムではダ
ウンリンクスループットにおける有意な利得を達成するには1回の中継だけで十分である
ことが実証された。
【0066】
(通信ネットワークおよび環境の具体例)
上記の最適化は任意のネットワークに適用することができるが、しかしながら以下の記
述では本発明を取り入れるための一部の例示的な電話無線ネットワークおよび非限定的な
動作環境について説明する。しかしながら以下に述べる動作環境は非包括的と見なされる
べきであり、従って以下に述べるネットワークアーキテクチャは本発明を取り入れること
ができる1つのネットワークアーキテクチャを示すに過ぎない。しかしながら、本発明は
通信ネットワークの任意の現存するまたは将来の代替的なアーキテクチャにも組み込まれ
る可能性があることは理解できる。
【0067】
GSM(global system for mobile communication:モバイル通信用グローバルシステ
ム)は今日の急速に成長しつつある通信システムにおいて最も広く利用される無線アクセ
ス方式である。GSMは携帯電話またはコンピュータユーザといった加入者に回路交換デ
ータサービスを提供する。GPRS(General Packet Radio Service:汎用パケット無線
サービス)はGSM技術の拡張で、GSMネットワークにパケット交換を導入する。GP
RSはパケットベースの無線通信技術を利用して高速および低速データおよびシグナリン
グを効率的な方法で転送する。GPRSはネットワークおよび無線資源(radio resource
)の利用を最適化し、従ってGSMネットワーク資源のパケットモードアプリケーション
へのコスト効率の高い効率的な利用を可能にする。
【0068】
当業者の方なら理解できるように、ここで述べる例示的なGSM/GPRS環境および
サービスは3Gサービス、例えばUMTS(Universal Mobile Telephone System:ユニ
バーサル移動電話システム)、FDD(Frequency Division Duplexing:周波数分割複信
)およびTDD(時分割複信)、HSPDA(High Speed Packet Data Access:高速パ
ケットデータアクセス)、EVDO(cdma2000 lx Evolution Data Optimized)、cdm
a2000 3x(Code Division Multiple Access-2000)、TD−SCDMA(Time D
ivision Synchronous Code Division Multiple Access)、WCDMA(Wideband Code D
ivision Multiple Access)、EDGE(Enhanced Data GSM Environment)、IMT−2
000(International Mobile Telecommunications-2000)、DECT(Digital Enhanc
ed Cordless Telecommunications)などのほかに、いつかは利用可能になる他のネットワ
ークサービスにも拡張可能である。この点に関し、本発明の技術はデータ転送方法とは無
関係に適用でき、特に断りがない限りどの特定のネットワークアーキテクチャまたは基本
プロトコルにも依存する必要はない。
【0069】
図12に本発明が実施可能な例えばGPRSネットワークといった例示的なパケットベ
ースの移動セルラネットワーク環境の全体ブロック図を示す。斯かる環境において、複数
の基地局サブシステム(BSS)1200(1つのみ図示)が存在し、各BSSは複数の
無線基地局(Base Transceiver Station:BTS)、例えばBTS1204、1206お
よび1208などに奉仕する基地局コントローラ(BSC)1202を備える。BTS1
204、1206、1208等はパケットベースのモバイル装置のユーザが無線ネットワ
ークに接続するところであるアクセスポイントである。例示的な流儀では、ユーザ装置を
発出したパケットトラフィックはエアインタフェースをBTS1208まで、次いでBT
S1208からBSC1202まで搬送される。基地局サブシステム、例えばBSS12
00は、SGSN(Service GPRS Support Nodes)、例えばSGSN1212および12
14を含む場合がある内部フレーム中継ネットワーク1210の一部である。
【0070】
各SGSNは次に内部パケットネットワーク1220に接続され、それを通じてSGS
N1212、1214等はデータパケットを複数のゲートウェイGPRSサポートノード
(GatewayGPRS Support Nodes:GGSN)1222、1224、および1226等とや
りとりすることができる。図示したように、SGSN1214およびGGSN1222、
1224、および1226は内部パケットネットワーク1220の一部である。GGSN
1222、1224および1226は主にインタフェースを、外部インタネットプロトコ
ル(IP)ネットワーク、例えばPLMN(Public Land Mobile Network:公衆陸上移動
通信ネットワーク)1245、企業イントラネット1240、またはFES(Fixed-End
System)もしくは公衆インタネット1230などに提供する。図示したように、加入企業
ネットワーク1240はファイアウォール1232を介してGGSN1224に接続され
る場合がある。またPLMN1245はボーダゲートウェイルータ(boarder gateway ro
uter)1234を介してGGSN1224に接続される。モバイルセルラ装置のユーザが
企業ネットワーク1240を呼び出す場合の発信者認証に遠隔認証ダイアルインユーザサ
ービス(Remote Authentication Dial-In User Service:RADIUS)サーバ1242
が使用されることがある。
【0071】
一般に、GSMネットワークには、マクロ(macro)セル、ミクロ(micro)セル、ピコ
(pico)セルおよびアンブレラ(umbrella)セルといった4つの異なるセルサイズが存在
し得る。各セルのカバレッジエリアは環境が異なれば異なる。マクロセルは基地局アンテ
ナが平均的な屋根の最上部の高さよりも上にビルまたは柱に設置されたセルと見なすこと
ができる。ミクロセルはアンテナの高さが平均的な屋根の最上部の高さより低いレベルに
あるセルで、こうしたセルは一般的に都市部に使用される。ピコセルは直径が数十メート
ルの小さなセルで、こうしたセルは屋内で使用される。残るアンブレラセルはより小さな
セルの死角領域をカバーするために使用され、そうしたセルの間のカバレッジのギャップ
を埋める。
【0072】
必要条件ではないが、請求主題は部分的にはオペレーティングシステムを通じてデバイ
スまたはオブジェクトのサービス開発者による使用向けに実現され、かつ/または、請求
主題の1つ以上のコンポーネントに関連する働きをするアプリケーションソフトウェア内
に含まれることがある。ソフトウェアは、クライアント、サーバ、モバイル装置その他の
デバイスといった1つ以上のコンピュータで実行されるプログラムモジュールなど、コン
ピュータ実行可能な命令のコンテクストで記述されることがある。当業者であれば、請求
主題は他のコンピュータシステム構成およびプロトコルで実施可能であることも理解され
よう。そこで以下に、非限定的な実施の詳細を与える。
【0073】
図13に請求主題が実現できる適切なコンピューティングシステム環境1300の一例
を示す。既に言明しているが、コンピューティングシステム環境1300はメディア装置
の適切なコンピューティング環境の1つの例に過ぎず、請求主題の用途または機能の範囲
に関して何らかの限定を示唆する意図は全くない。さらに、コンピューティング環境13
00は請求主題と例示的な動作環境1300に示されたコンポーネントのいずれか1つま
たは組み合わせに関連する依存関係または要件を示唆する意図はない。
【0074】
図13を参照して説明する。ここで述べた様々な側面を実現するための遠隔デバイスの
例としてはコンピュータ1310の形の汎用コンピューティングデバイスがある。コンピ
ュータ1310のコンポーネントは限定はされないが、処理装置1320、システムメモ
リ1330、およびシステムメモリを含む様々なシステムコンポーネントを処理装置13
20に結合するシステムバス1321を備える。システムバス1321は、メモリバスま
たはメモリコントローラ、周辺バス、および様々なバスアーキテクチャのいずれかを使用
するローカルバスなど、数タイプのバス構造のどれでもよい。
【0075】
コンピュータ1310は様々なコンピュータ可読媒体を含むことができる。コンピュー
タ可読媒体はコンピュータ1310によってアクセス可能な任意の市販媒体であることが
可能である。一例として、限定ではなく、コンピュータ可読媒体はコンピュータ記憶媒体
および通信媒体から構成することができる。コンピュータ記憶媒体としては揮発性媒体お
よび不揮発性媒体のほかに取り外し可能または取り外し不可能な媒体があり、これらは情
報、例えばコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールその他のデータを
記憶するための任意の方法または技術で実装される。コンピュータ記憶媒体としては、限
定はされないが、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリその他のメモリ技術
、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくはその他の光ディスク記憶装
置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクもしくはその他の磁気記憶装置、または所
望の情報を記憶するために使用可能でありコンピュータ1310によってアクセス可能な
任意の他の媒体がある。通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモ
ジュールもしくはその他のデータを、変調データ信号、例えば搬送波もしくはその他の搬
送機構に具現化することができるとともに、任意の適切な配送媒体を含むことができる。
【0076】
システムメモリ1330としてはリードオンリーメモリ(ROM)および/またはラン
ダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリの形の
コンピュータ記憶媒体が挙げられる。BIOS(basic input/output system)は、例え
ばスタートアップ時などにコンピュータ1310内の構成装置間の情報の転送を支援する
基本ルーチンを含み、メモリ1330に格納しておくことができる。メモリ1330は処
理装置1320がすぐにアクセス可能な、かつ/または処理装置1320によって現在操
作中のデータおよび/またはプログラムモジュールも格納することができる。非限定的な
例として、メモリ1330は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム
、他のプログラムモジュール、およびプログラムデータも格納することができる。
【0077】
コンピュータ1310は他の取り外し可能/取り外し不能な揮発性/不揮発性のコンピ
ュータ記憶媒体も含むことができる。例えば、コンピュータ1310は取り外し不能な不
揮発性磁気媒体から読み出しまたは書き込みを行うハードディスクドライブ、取り外し可
能な不揮発性磁気ディスクから読み出しまたは書き込みを行う磁気ディスクドライブ、お
よび/または例えばCD−ROMもしくはその他の光学媒体といった取り外し可能な不揮
発性光ディスクから読み出しまたは書き込みを行う光ディスクドライブを含むことができ
る。当該例示的な動作環境に使用できる他の取り外し可能/取り外し不能な揮発性/不揮
発性コンピュータ記憶媒体としては、限定はされないが、磁気テープカセット、フラッシ
ュメモリカード、デジタル多用途ディスク、デジタルビデオテープ、ソリッドステートR
AM、ソリッドステートROMなどが挙げられる。ハードディスドライブは取り外し不能
なメモリインタフェース、例えばインタフェースを通じてシステムバス1321に接続可
能である。また磁気ディスクドライブまたは光ディスクドライブは取り外し可能なメモリ
インタフェース、例えばインタフェースによってシステムバス1321に接続可能である

【0078】
ユーザはコマンドおよび情報を入力装置、例えばキーボードまたはポインティングデバ
イス、例えばマウス、トラックボール、タッチパッド、および/もしくは他のポインティ
ングデバイスを用いて、コンピュータ1310へ入力することが可能である。他の入力装
置としては、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライトディッシュ
、スキャナなどが挙げられる。これらの、および/または他の入力装置はシステムバス1
321に結合したユーザ入力1340および関連するインタフェースを通じて処理装置1
320に接続できるが、他のインタフェースおよびバス構造、例えばパラレルポート、ゲ
ームポートまたはユニバーサルシリアルバス(USB)などによって接続されることがで
きる。グラフィックスサブシステムもシステムバス1321に接続可能である。加えて、
モニタもしくはその他のタイプの表示装置がインタフェース、例えばビデオメモリと連絡
可能な出力インタフェース1350を通じて、システムバス1321に接続されることが
できる。モニタに加えて、コンピュータは出力インタフェース1350を通じて同様に接
続可能な他の周辺出力装置、例えばスピーカおよび/またはプリンタも含むことができる

【0079】
コンピュータ1310はネットワーク型または分散型環境において1つ以上の遠隔コン
ピュータ、例えばデバイス1310とは異なるメディア能力を持ち得る遠隔コンピュータ
1370への論理接続を用いて稼働することができる。遠隔コンピュータ1370は、パ
ーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイスもしくはその
他の一般的なネットワークノード、および/または任意の他の遠隔メディア消費もしくは
送信デバイスであることが可能で、コンピュータ1310に関連して既に述べた構成装置
の全てまたはいずれかを含むことができる。図13に示した論理接続は、ネットワーク1
371、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)またはWAN(wide area networ
k:広域通信網)を含むが、他のネットワーク/バスも含むことができる。斯かるネット
ワーク環境は、家庭、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット
およびインタネットでありふれたものである。
【0080】
LANネットワーク環境で使用される場合、コンピュータ1310はネットワークイン
タフェースまたはアダプタを介してLAN1371に接続される。WANネットワーク環
境で使用される場合、コンピュータ1310は通信コンポーネント、例えばモデムもしく
はその他の例えばインタネットといったWANで通信を確立するための他の手段を含むこ
とができる。通信コンポーネント、例えばモデムは内蔵または外付けでよく、システムバ
ス1321に入力1340におけるユーザ入力インタフェースおよび/または他の適切な
機構を介して接続可能である。ネットワーク型環境では、コンピュータ1310に関連し
て示されたプログラムモジュールまたはその一部は遠隔メモリ記憶装置に格納できる。説
示されたネットワーク接続は例示的であり、コンピュータ間の通信リンクを確立する他の
手段が使用される場合がある。
【0081】
“例示的(あるいは典型的)”(exemplary)という表現はここでは、例(example)、
事例(instance)、または実例(illustration)の役目を果たす意味で使用される。疑問
を避けるため、ここで開示された主題は斯かる例によって限定されない。加えて、ここで
“例示的(exemplary)”として開示された任意の実施形態または設計は他の実施形態ま
たは設計と比べて好ましいまたは有利であると解さなければならないものではなく、当業
者に既知の均等な例示的構造および技術を排除することも意味しない。さらに、疑問を避
けるため、「含む」、「有する」、「包含する」、およびその他の類似表現が詳細な説明
または特許請求の範囲の請求項に使用された場合には、斯かる表現は追加的または他の要
素を排除することのないオープンエンドな移行語としての「包含する」という表現と同じ
ように他の要素を排除しないことを意図している。
【0082】
上述のシステムはいくつかのコンポーネント同士の間の相互作用に関して述べられてき
た。斯かるシステムおよびコンポーネントはそれらのコンポーネントまたは特定のサブコ
ンポーネント、特定のコンポーネントもしくはサブコンポーネントの一部、および/また
は追加のコンポーネントを、上述したものの任意の置換および組み合わせに従って含むこ
とができることは理解できる。サブコンポーネントも親コンポーネント内に(階層的に)
内包される形ではなく他のコンポーネントに通信可能に結合したコンポーネントとして実
装可能である。加えて、1つ以上のコンポーネントを組み合わせて集約的な機能性を与え
る単一のコンポーネントにしたり、いくつかの別々のサブコンポーネントに分割したりす
ること、集積した機能性を与えるために管理層などの任意の1つ以上の中間層を斯かるサ
ブコンポーネントに通信可能に結合するために提供することができることに留意すべきで
ある。ここで記述された任意のコンポーネントはここでは具体的に述べなかったが一般に
当業者には周知の1つ以上の他のコンポーネントとも相互作用することが許される。
【0083】
上記の例示的なシステムを考慮して、上述の主題に基づいて実行される方法は様々な図
面のフローチャートを参照してより良く理解することができる。説明の便宜のため、本発
明の方法は一連のブロックとして示され、説明されたが、請求される主題はブロックの順
序に限定されず、一部のブロックは本明細書で示したものとは異なる順序で実行され、か
つ/または他のブロックと同時に実行される場合があることは理解されるべきである。フ
ローチャートの手続きが非逐次的または分岐している場合、同じまたは類似の結果を達成
する様々な他の分岐、フローパス、およびブロックの順序の実行が許されることは理解さ
れるべきである。さらに、請求主題の方法を実行するには図示されたブロックの一部で済
む場合がある。
【0084】
ここで述べた様々な実施形態に加えて、それらの実施形態の同じまたは均等な機能をそ
れらから外れることなく実行するために他の類似の実施形態が使用できること、または上
述の実施形態への変更および追加が可能なことは理解されるべきである。さらに、複数の
処理チップまたは複数のデバイスがここで述べた1つ以上の機能のパフォーマンスを共有
でき、同じように、複数のデバイスにわたってストレージが実装可能である。従って、ど
の単一の実施形態も限定的と見なしてはならないこと、しかしむしろ様々な実施形態およ
びそれらの均等形態は特許請求の範囲の請求項に基づく精神および範囲に矛盾無く含まれ
ると解されるべきである。
【符号の説明】
【0085】
100、1100 基地局
110、1110 目標ユーザ
120、122、1120 中継ユーザ
1200 基地局サブシステム(BSS)
1202 基地局コントローラ(BSC)
1204、1206、1208 無線基地局(BTS)
1210 内部フレーム中継ネットワーク
1212、1214 サービスGPRSサポートノード(SGSN)
1220 内部パケットネットワーク
1222、1224、1226 ゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)
1230 FESまたはインタネット
1232 ファイアウォール
1234 ボーダゲートウェイルータ
1240 企業ネットワーク
1242 遠隔認証ダイアルインユーザサービス(RADIUS)サーバ
1245 PLMN
1300 コンピューティング環境
1330 システムメモリ
1320 処理装置
1350 出力インタフェース
1340 入力インタフェース
1360 ネットワークインタフェース
1370 遠隔コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中継装置を介して基地局から宛先モバイル装置へのデータの中継を開始するステップであって、前記データを前記中継装置から前記宛先モバイル装置に、規定された補足的アップリンクタイムスロットで中継するアップリンク支援型中継を開始することを含む、ステップと、
前記規定された補足的アップリンクタイムスロット中に前記宛先モバイル装置と異なる1つまたは複数のモバイル装置からのそれぞれ対応する1つまたは複数のアップリンク伝送をスケジューリングするステップであって、前記宛先モバイル装置からの距離に応じてモバイル装置を除外するように、前記1つまたは複数のモバイル装置を選択することを含む、スケジューリングするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
時分割複信伝送方式にて協調するモバイル装置群に適用される少なくとも1つの公平性基準に基づき、ダウンリンクスループットに応じて前記データの中継をスケジューリングするステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中継をスケジューリングするステップが、ラウンドロビンスケジューリングに従ってスケジューリングすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記中継をスケジューリングするステップが、最小限の公平性制約の基準に基づいて前記中継をスケジューリングすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記データの中継にユーザ協調型通信プロトコルを利用するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記利用するステップが、増幅転送プロトコルを利用することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記利用するステップが、復号転送プロトコルを利用することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
候補中継装置群におけるそれぞれのピーク電力制約と総中継電力制約とを受ける前記中継装置と前記基地局との間のチャネルの少なくとも信号対ノイズ比に応じて、前記宛先モバイル装置および前記中継装置に電力を割り当てるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
チャネル状態情報を推定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記中継を開始するステップが、規定された補足的ダウンリンクタイムスロットで中継するダウンリンク支援型中継を開始することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1つまたは複数のモバイル装置を選択することが、前記宛先モバイル装置からの規定された距離内のモバイル装置を除外するように、前記1つまたは複数のモバイル装置を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
候補中継装置のそれぞれのピーク電力制約と総中継電力制約とを受ける前記候補中継装置群に対応するそれぞれの中継経路に対して決定された信号対ノイズ比に応じて、前記候補中継装置群から前記中継装置を選択するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
基地局で生成されたメッセージを中継装置から目標装置に、規定された補足的アップリンクタイムスロットで中継するアップリンク支援型中継に従って伝送し、前記規定された補足的アップリンクタイムスロット中に前記目標装置と異なる少なくとも1つのモバイル装置からの対応する少なくとも1つのアップリンク伝送をスケジューリングするように構成された基地局であって、前記目標装置からの距離に応じて少なくとも1つの近接モバイル装置を除外するように前記少なくとも1つのモバイル装置を選択するように更に構成される基地局、を備えるシステム。
【請求項14】
前記メッセージが、増幅転送協調プロトコルまたは復号転送協調プロトコルを含むユーザ協調型プロトコルに従って中継される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記基地局が、前記メッセージを、規定された補足的ダウンリンクタイムスロットで前記目標装置に中継するダウンリンク支援型中継に従って伝送するように更に構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記基地局が、目標装置に公平性の制約を課さないスループットスケジューリングアルゴリズムに従って、または目標装置間の1つまたは複数の遅延に応じたラウンドロビンスケジューリングアルゴリズムに従って、前記メッセージを中継するように更に構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記基地局が、ラウンドロビンスケジューリングアルゴリズムに従って前記メッセージの中継をスケジューリングするように更に構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記基地局が、スループットスケジューリングアルゴリズムに従って前記メッセージの中継をスケジューリングするように更に構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
候補中継装置群におけるそれぞれのピーク電力制約と総中継電力制約とを受ける前記中継装置を含む前記候補中継装置群の少なくともそれぞれの信号対ノイズ比に基づいて、前記基地局が前記メッセージの伝送のための電力を割り当てるように更に構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの近接モバイル装置が前記目標装置の規定された距離内にあるとの決定に応答して、前記基地局が、前記少なくとも1つの近接モバイル装置を除外するように前記少なくとも1つのモバイル装置を選択するよう更に構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
1つまたは複数の候補モバイル装置のそれぞれのピーク電力制約と総中継電力制約とを受ける前記1つまたは複数の候補モバイル装置に対応する中継経路のそれぞれの信号対ノイズ比に応じて、前記基地局が、前記1つまたは複数の候補モバイル装置から前記中継装置を選択するように更に構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
アップリンク支援型中継を使用して、データの少なくとも一部を基地局からモバイル装置に中継装置を介して中継する手段であって、前記中継装置から前記モバイル装置に、規定された補足的アップリンクタイムスロットで前記データの少なくとも一部を中継する手段を含む、手段と、
前記規定された補足的アップリンクタイムスロット中に前記モバイル装置と異なる1つまたは複数のモバイル装置からの対応する1つまたは複数のアップリンク伝送をスケジューリングする手段であって、宛先モバイル装置からの距離に応じて前記1つまたは複数のモバイル装置からモバイル装置を除外する手段を含む、スケジューリングする手段と、
を備える装置。
【請求項23】
モバイル装置群に適用される均等な公平性に従って中継伝送をスケジューリングする手段であって、ユーザ協調型通信プロトコルに従ってスケジューリングする手段を含む、手段を更に備える、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記中継伝送をスケジューリングする手段が、前記モバイル装置群の間の少なくとも1つの遅延に応じて、ラウンドロビンスケジューリングに従ってスケジューリングする手段を備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記中継伝送をスケジューリングする手段が、前記モバイル装置群に対する公平性の考慮なしにスケジューリングする手段を含む、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記中継する手段が、増幅転送プロトコルに従って中継する手段を備える、請求項22に記載の装置。
【請求項27】
前記中継する手段が、復号転送プロトコルに従って中継する手段を備える、請求項22に記載の装置。
【請求項28】
中継スケジュールを決定するためのチャネル状態情報を推定する手段を更に備える、請求項22に記載の装置。
【請求項29】
命令が記憶された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、
補足的アップリンクタイムスロットで中継を行うアップリンク支援型中継に従って、基地局から目標装置への中継装置を介したデータの中継をスケジューリングするための命令と、
前記補足的アップリンクタイムスロット中のアップリンク伝送のための、前記目標装置と異なるモバイル装置群をスケジューリングするための命令であって、前記目標装置からの距離に基づいて前記モバイル装置群からモバイル装置を除外するための命令を含む、スケジューリングするための命令と、
を備える、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項30】
前記目標装置を含む1つまたは複数の装置に関連する公平性の基準に一部基づいて前記データを処理するための命令を更に備える、請求項29に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項31】
補足的ダウンリンクタイムスロットで中継動作を行うダウンリンク支援型中継を行うための命令を更に備える、請求項29に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項32】
前記アップリンク支援型中継または前記ダウンリンク支援型中継に従って電力を動的に調節するための命令を更に備える、請求項31に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項33】
中継伝送のスケジュールを動的に更新するための命令を更に備える、請求項29に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項34】
増強されたアップリンクスループットまたはダウンリンクスループットを達成するようにパラメータを変更するための命令を更に備える、請求項33に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項35】
増幅転送協調プロトコルまたは復号転送協調プロトコルに従って前記データを処理するための命令を更に備える、請求項29に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項36】
前記除外するための命令が、前記目標装置からの規定された距離内にあるモバイル装置を除外するための命令を含む、請求項29に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項37】
候補中継装置群のそれぞれのピーク電力制約と総中継電力制約とを受ける前記候補中継装置群のそれぞれの信号対ノイズ比に応じて、前記候補中継装置群から前記中継装置を選択するための命令を更に備える、請求項29に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−70402(P2013−70402A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−247414(P2012−247414)
【出願日】平成24年11月9日(2012.11.9)
【分割の表示】特願2009−552293(P2009−552293)の分割
【原出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.WCDMA
【出願人】(510253723)リンナ・ホールディングス・プライベート,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (3)
【Fターム(参考)】