説明

遭難者救助支援装置、支援システム及び支援方法

【課題】既存の携帯電話の無線通信技術を利用して遭難者の位置情報を取得し遭難者の救助活動を効率的に行わせることを可能とする。
【解決手段】ヘリコプタ200に搭載された遭難者救助支援装置210は、遭難者300-1が居るであろう遭難被疑区域を捜索し、遭難者300-1が所持する携帯電話100-1から発信される電波を受信する。携帯電話100-1は、遭難者救助支援装置210に対して自端末の固有識別子を送信する。この固有識別子を受信した遭難者救助支援装置210は、予め用意して自装置内に保持している遭難者300-1が所持しているはずの携帯電話100-1の固有識別子と照合し、遭難者300-1が所持する携帯電話100-1を特定し、携帯電話100-1に、GPS衛星400から受信したGPS信号を元に算出した自身の端末の位置情報を送信させる。この位置情報は、地上に居る捜索隊300-2が所持する携帯電話100-2に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遭難者救助支援装置、支援システム及び支援方法に係り、特に、既存の携帯電話の無線通信システムを利用し、遭難者救助の支援を行うことを可能とした遭難者救助支援装置、支援システム及び支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信技術の革新に伴い、無線端末と無線通信装置とを用いた無線通信システムの導入が進んでいる。そして、無線通信システムとして、第2世代の携帯電話の通信規格として普及した音声等の信号を時分割多重して通信するTDMA(Time Division Multiple Access)通信方式に続いて、第3世代の携帯電話の通信規格として音声等の信号を拡散符号で符号多重化して通信を行うことにより、限られた周波数帯域を効率よく利用することができるCDMA(Code Division Multiple Access)通信方式が普及してきている。これにより、利用者は、安価で高速な無線通信サービスを利用することができるようになった。それに伴い、誰もが携帯電話を所持し、いつでもどこでもメールサービスやデータ通信、音声通話サービスを利用することができるようになってきている。
【0003】
電気通信事業者は、携帯端末としての携帯電話の利用者に対してより高度な通信サービスを提供するために、携帯電話及び携帯電話の搬送波を変換する機能を有する固定無線基地局を高機能化している。
【0004】
その一例としてGPS(Global Positioning System)信号の受信機能を標準で搭載した携帯電話が増加してきている。GPS信号の受信機能を具備した携帯電話は、GPS信号から自端末の位置情報を算出し、電気通信事業者は、その位置情報を利用したナビゲーション等のサービスを利用者に提供している。
【0005】
また、固定無線基地局は、多くの利用者が携帯端末を所持し、移動する範囲が広がることに伴い、利用者がどこでも無線通信サービスを利用できるように全国への敷設が進められている。しかし、固定無線基地局の敷設が進んでいるのは、ある程度の人口があり、通信需要が見込まれる地域であり、山岳部等の僻地には依然として固定無線基地局が敷設されていない地域が多い。
【0006】
このような固定無線基地局が敷設されておらず、固定無線基地局からの電波が届かない山岳地域に、登山等のために入山して遭難した場合、遭難者は、たとえ、携帯電話を所持していても、外部の人間と連絡を取り、例えば、捜索隊に自身の情報を知らせることが困難である。
【0007】
前述したような状況にある遭難者の位置を特定し、遭難者の救助を支援することを可能とした従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。この従来技術は、ヘリコプタ等に搭載した無線通信装置と、GPS装置とを用い、無線通信装置により遭難者の所持する無線端末から発せられる電波を受信し、その電波から特定した方位角、仰角、俯角と、GPS装置による自機の位置情報とから、地上局において、遭難者の位置を特定し、ヘリコプタのGPS−MAPに表示するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−317244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した従来技術は、ヘリコプタ等の小型航空機に搭載された受信装置が遭難者の携帯電話、無線通信機、電波ビーコン等のいずれかから発せられる電波を受信し、地上局のデータ処理装置で、遭難者の緯度、経度、高度データを得て、その後、得た遭難者のデータをヘリコプタに返信することができるものの、どのようにして、遭難者の迅速な救助を行うか、遭難者とのコンタクトをどのように行うかについては言及されていない。
【0010】
また、前述した従来技術は、遭難者の所持する無線電話の電波を受信して得た、遭難者の緯度、経度、高度データを、実際に救助活動を行うために既に出動している捜索隊が、固定無線基地局のカバーエリア外にいた場合、それらの遭難者の情報を捜索隊に報知することができず、迅速な救助活動を行うように指示することができないものである。
【0011】
本発明の目的は、前述したような点に鑑み、より早期に遭難者を発見し、遭難者が所持するGPS機能付きの携帯電話からの電波を受信して遭難位置を特定し、得られた位置情報をいち早く捜索隊に提供し、かつ、遭難者との連絡手段を提供することにより、早期に遭難者の救助を行わせるように指示することを可能とした遭難者救助支援装置、支援システム及び支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば前記目的は、携帯電話の無線通信システムを利用し、遭難者救助の支援を行うことを可能とした遭難者救助支援装置において、該遭難者救助支援装置は、携帯電話を所持した遭難者が居るであろう遭難被疑区域を捜索するために使用されるものであり、信号変換手段、端末照合手段を備えて構成され、前記信号変換手段は、携帯電話に通信サービスを提供している各通信事業者の各通信方式により、近傍の携帯電話に対して当該携帯電話の Hard WareIDの送信を指示する指示信号を持つ電波を送信し、当該指示信号に対する応答として、近傍の携帯電話から送信された前記 Hard WareIDを受信すると、前記端末照合手段に受信した Hard WareIDと、予め取得して保持していた遭難者が所持する携帯電話の Hard WareIDとを比較照合させ、送信されてきた Hard WareIDが遭難者が所持する携帯電話のものであることが確認できた場合、前記近傍の携帯電話に対して当該携帯電話がGPS信号に基づいて算出した当該携帯電話の位置情報の送信を指示する指示信号を持つ電波を送信し、当該指示信号に対する応答として、近傍の前記遭難者が所持する携帯電話から送信された前記位置情報を受信することにより達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、捜索隊が遭難者の位置情報を迅速に得ることができ、遭難者の救助活動を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による遭難者救助支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】遭難者救助支援装置と遭難者が所持する携帯電話との構成を示すブロック図である。
【図3】遭難者救助支援装置と捜索隊の隊員が所持する携帯電話との構成を示すブロック図である。
【図4】遭難者救助支援装置が備える信号変換部の構成を示すブロック図である。
【図5】遭難者救助支援装置が備える端末照合部の構成を示すブロック図である。
【図6】遭難者救助支援装置が備えるデータ通信処理部の構成を示すブロック図である。
【図7】遭難者救助支援装置が備える音声通信処理部の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態による遭難者救助支援装置の処理を示すシーケンスチャートである。
【図9】遭難者救助支援装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施形態による遭難者救助支援システムの変形例の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施形態による遭難者救助支援システムの変形例の他の構成を示すブロック図である。
【図12】遭難者救助支援装置を歩行により遭難者の捜索を行う捜索隊に所持させるようにした本発明の実施形態による遭難者救助支援システムの変形例のさらに他の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施形態での遭難者の位置の特定方法と従来技術での遭難者の位置の特定方法とを比較して説明する図である。
【図14】遭難者が自身で所持する携帯電話がGPS衛星からのGPS信号を受信することのできない場所で遭難した場合の位置の特定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による遭難者救助支援装置、支援システム及び支援方法の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態による遭難者救助支援システムの構成を示すブロック図である。
【0017】
本発明の実施形態による遭難者救助補助システムは、図1に示すように、捜索隊300−3の隊員が搭乗して運用するヘリコプタ等の移動可能な装置200に搭載された遭難者救助支援装置210と、地上に居る捜索隊300−2の隊員が所持する携帯電話100−2と、遭難者300−1が所持するGPS機能付きの携帯電話100−1とにより構成される。
【0018】
前述において、ヘリコプタ等の移動可能な装置200に搭載された遭難者救助支援装置210は、遭難者300−1が居るであろう遭難被疑区域を捜索し、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1から発信される電波を受信する。また、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1は、遭難者救助支援装置210に対して遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の端末の固有識別子を送信する。携帯電話100−1が送信する固有識別子を受信した遭難者救助支援装置210は、予め用意して自装置内に保持している遭難者300−1が所持しているはずの携帯電話100−1の固有識別子と照合し、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1を特定する。
【0019】
遭難者300−1が所持している携帯電話100−1は、GPS衛星400から受信したGPS信号を元に自端末の位置情報を算出し、遭難者救助支援装置210に送信する。遭難者救助支援装置210は、携帯電話100−1の位置情報を地上に居る捜索隊300−2の隊員が所持する携帯電話100−2に送信する。また、遭難者救助支援装置210は、ヘリコプタ等の移動可能な装置に搭乗している捜索隊300−3の隊員に対して、遭難者300−1との間に、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1を用いて音声通話による通信手段を提供する。
【0020】
図2は遭難者救助支援装置210と遭難者300−1が所持する携帯電話100−1との構成を示すブロック図であり、次に、図2を参照して遭難者救助支援装置210と携帯電話100−1との構成を説明すると共に、遭難者救助支援装置210と携帯電話100−1との間での処理について説明する。
【0021】
図2に示すように、遭難者救助支援装置210は、信号変換部211、端末照合部212、データ通信処理部213、音声通信処理部214を備えて構成される。また、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1は、GPS信号受信部101、データ送受信部102、音声送受信部103、位置情報計算部104を備えると共に、自携帯電話の電話番号280を保持して構成される。この携帯電話の構成は、一般的に普及されている携帯電話の構成と同様である。
【0022】
前述において、遭難者救助支援装置210は、信号変換部211から周辺に居るであろう遭難者300−1が所持する携帯電話100−1に対して、携帯電話100−1の固有識別子(Hard WareID)を送信するように指示する信号を送信する。携帯電話100−1は、この指示を受信することができると、データ送受信部102から自端末の Hard WareIDを送信する。遭難者救助支援装置210は、信号変換部211が Hard WareIDを受信したときに、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1からの電波を捕捉することができたと確認することができ、受信した Hard WareIDと、予め取得して保持していた遭難者が所持する携帯電話100−1の Hard WareIDとを端末照合部212で比較照合し、送信されてきた Hard WareIDが遭難者が所持する携帯電話100−1のものであるか否か確認し、遭難者が所持する端末とそれ以外の端末とを選別する。
【0023】
なお、前述における Hard WareIDとは、携帯電話等の電子機器に製造時等に予め付与されるハードウェアを特定する番号であり、機器内に保持させられているものである。各電気通信事業者は、自事業者のサービスを受けているユーザが所持する携帯電話の電話番号と携帯電話に付与されている前述した Hard WareIDとを関係付けて管理している。
【0024】
そして、遭難者が発生し救助のために捜索隊が派遣される場合、捜索隊の管理者は、遭難者が所持している携帯電話の電話番号と加入している電気通信事業者とを家族等の捜索依頼者から取得し、さらに、その電気通信事業者から前述した携帯電話に付与されている Hard WareIDを取得し、遭難者救助支援装置210の内部に記憶させる。
【0025】
遭難者救助支援装置210は、前述した Hard WareIDの比較照合により、受信した Hard WareIDを持つ携帯電話100−1が遭難者300−1が所有する携帯電話であると判断すると、データ通信処理部213から信号変換部211を介して携帯電話100−1に対して、位置情報送信要求を発行する。遭難者300−1が所持する携帯電話100−1は、GPS信号受信部101が受信したGPS信号から自端末の位置情報を位置情報計算部104により計算し、前述の位置情報送信要求に応じて計算した位置情報をデータ送受信部102から送信する。遭難者救助支援装置210は、信号変換部211を介して携帯電話100−1からの位置情報を受信し、データ通信処理部213に渡す。その後、遭難者救助支援装置210は、音声通信処理部214から信号変換部211を介して、携帯電話100−1への発呼を試み、信号変換部を介して遭難者の携帯電話100−1と捜索隊300−3の隊員との連絡手段を提供する。なお、発呼後の遭難者救助支援装置210の動作については、図7に示す音声通信処理部214の構成の説明と共に後述する。
【0026】
図3は遭難者救助支援装置210と捜索隊300−2の隊員が所持する携帯電話100−2との構成を示すブロック図であり、次に、図3を参照して携帯電話100−2の構成を説明すると共に、遭難者救助支援装置210と携帯電話100−2との間での処理について説明する。
【0027】
捜索隊300−2の隊員が所持する携帯電話100−2は、データ送受信部111、位置情報表示部112を備えて構成される。なお、図3には示していないが、携帯電話100−2は、通常の携帯電話と同様に、さらに、データ送受信部、音声送受信部を備えている。またGPS信号受信部を備えていてもよいが必須ではない。
【0028】
遭難者救助支援装置210は、図2に示して説明したものと同一のものであり、データ通信処理部213は、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の位置情報を信号変換部211を介して携帯電話100−2に送信する。携帯電話100−1の位置情報を受信した携帯電話100−2は、受信した携帯電話100−1の位置情報を位置情報表示部112に表示する。
【0029】
遭難者救助支援装置210の信号変換部211は、遭難者300−1が加入している電気通信事業者に関わらず、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1からの電波を捕捉する必要があり、それぞれの電気通信事業者が使用している周波数帯の電波を受信し、その周波数帯の電波を発する機能を有すると共に、それぞれの電気通信事業者が採用している通信方式での通信を可能とするための信号変換機能をも有している。
【0030】
現在、日本の携帯電話の通信サービスを提供している電気通信事業者は、第三世代携帯電話の無線アクセス方式として、W−CDMA、または、CDMA2000を採用している。また、電波法によって各電気通信事業者には、0.8GHzから2.1GHzの周波数帯が割り当てられている。
【0031】
図4は遭難者救助支援装置210が備える信号変換部211の構成を示すブロック図である。
【0032】
信号変換部211は、図4に示すように、W−CDMA信号変換部221、CDMA2000信号変換部222、0.8GHz帯周波数変復調部230−1、0.9GHz帯周波数変復調部230−2、……、2.1GHz帯周波数変復調部230−14、制御部241を備えて構成されている。
【0033】
制御部241は、W−CDMA信号変換部221、CDMA2000信号変換部222、0.1GHz間隔の各周波数帯変復調部(230−1、……、230−14)を時分割して制御するためのタイム・スロットを持っており、特定の時間間隔で各無線アクセス方式の各周波数帯の電波(携帯電話に自端末の Hard WareIDを送信するように指示する信号が乗せられている)を発信する。遭難者300−1が所持する携帯電話100−1は、この信号変換部211が発生した電波を捕捉すると、図2を参照して説明したように、自端末の固有識別子(Hard WareID)を送信する。
【0034】
信号変換部211は、W−CDMA信号変換部221、CDMA2000信号変換部222、各周波数帯変復調部(230−1、…、230−14)で、 Hard WareIDを受信し、端末照合部212へ送信する。また、端末照合後の携帯電話との通信も、信号変換部211を介してデータ通信処理部213、音声通信処理部214を使用して行われる。
【0035】
ここで、制御部241が信号変換部と変復調部とを時分割制御する方法について詳細に説明する。すなわち、制御部241は、W−CDMA信号変換部221を選択し、予め定められた時間幅を持つ複数の送信用のタイム・スロットに0.8GHz帯周波数変復調部230−1〜2.1GHz帯周波数変復調部230−14を順次割り振り、各タイム・スロット内で、携帯電話に自身の端末の Hard WareIDを送信するように指示する信号を送信し、次に、CDMA2000信号変換部222を選択し、予め定められた時間幅を持つ複数の送信用のタイム・スロットに0.8GHz帯周波数変復調部230−1〜2.1GHz帯周波数変復調部230−14を順次割り振り、各タイム・スロット内で、携帯電話に自身の端末の Hard WareIDを送信するように指示する信号を送信するという動作を繰り返させる。
【0036】
前述した複数の送信用のタイム・スロットの間には受信用のタイム・スロットが設けられており、前述した異なる周波数帯、異なる信号方式での送信信号の何れかを受信することができた遭難者300−1の携帯電話100−1は、送信用のタイム・スロットの間に設けられる受信用のタイム・スロットの期間内に自身の端末の Hard WareIDを送信してくる。この Hard WareIDは、異なる周波数帯の周波数変復調部の1つで受信され、対応する信号方式の信号変換部に渡されることになる。なお、この Hard WareIDの送信タイミングは、受信タイム・スロット内であれば、何時の時点に送信されてきてもよい。
【0037】
図5は遭難者救助支援装置210が備える端末照合部212の構成を示すブロック図である。
【0038】
端末照合部212は、通信指示部251、照合部252を備えて構成される。照合部252は、信号変換部211から転送されてきた Hard WareID、すなわち、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1から送信されてきた Hard WareIDと、予め取得して保持していた遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の Hard WareIDとの照合処理を実施する。照合に成功した場合、通信指示部251は、データ通信処理部213へ遭難者300−1の携帯電話100−1の位置情報を地上に居る捜索隊300−2の隊員が所持する携帯電話100−2へ送信するようにを指示する。そして、通信指示部251は、位置情報送信後、音声通信処理部214へ遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の呼び出しを指示する。
【0039】
図6は遭難者救助支援装置210が備えるデータ通信処理部213の構成を示すブロック図である。
【0040】
データ通信処理部213は、データ送信部261、捜索隊携帯電話データベース262を備えて構成される。この捜索隊携帯電話データベース262には、捜索隊が所持する携帯電話の電話番号と、その電話番号を持つ携帯電話が使用しているメールアドレスとが関連付けられて管理されている。データ送信部261は、端末照合部212から通信指示を受けた際に、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1に対して、位置情報通知指示を発行し、携帯電話100−1の位置情報を取得する。その後、データ送信部261は、捜索隊携帯電話データベース262から、位置情報を送信する捜索隊300−2の隊員が所持する携帯電話100−2のメールアドレスを特定する。データ送信部261は、取得した捜索隊300−2の隊員が所持する携帯電話100−2のメールアドレスと遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の位置情報とを、信号変換部211へ転送して信号変換部211から捜索隊300−2が所持する携帯電話100−2に携帯電話100−1の位置情報を送信させる。
【0041】
図7は遭難者救助支援装置210が備える音声通信処理部214の構成を示すブロック図である。
【0042】
音声通信処理部214は、端末呼び出し部271、電話番号データベース272、送話部273、受話部274を備えて構成される。送話部273は、ヘリコプタ等の移動可能な装置に搭乗している捜索隊300−3の隊員が発する音声波を受信し、搬送可能な信号に変換する機能部であり、一般の携帯電話の送話部と同様である。また、受話部274は、信号変換部211から転送されてきた音声の信号を可聴周波数の音波に変換する機能部であり、一般の携帯電話の受話部と同様である。そして、電話番号データベース272には、 Hard WareIDと遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の電話番号とが関連付けられて管理されている。
【0043】
また、端末呼び出し部271は、端末照合部212から端末呼び出し指示を受信した際、 Hard WareIDをキーとして電話番号データベース272から遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の電話番号281を特定し、信号変換部211を介して、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1を呼び出す。携帯電話100−1は、呼び出しを受けて、携帯電話内に保持している遭難者自身が所持する携帯電話の電話番号280を参照し、自端末に対する呼び出しか否かを照合判定する。自端末に対する呼び出しであると認識した場合、携帯電話100−1は、遭難者300−1に着信を報知する。遭難者が受話した場合、捜索隊300−3は、遭難者救助支援装置の送話部273、受話部274を介して遭難者300−1との音声通話による通信を実現する。
【0044】
図8は前述迄に説明した本発明の実施形態による遭難者救助支援装置の処理を示すシーケンスチャートであり、次に、これについて説明する。ここに示すシーケンスは、ヘリコプタ等の移動可能な装置に搭載されている遭難者救助支援装置210が遭難者300−1が所持する携帯電話100−1が発している無線信号を捕捉してから遭難者300−1が所持する携帯電話100−1と遭難者救助支援装置210との間に音声通信路を確立するまでのシーケンスである。
【0045】
(1)遭難者300−1が所持する携帯電話100−1は、起動されたときに、GPS衛星400からGPS信号を受信して算出した自端末の位置情報を保持している。そして、遭難者救助支援装置210の信号変換部211から発生された Hard WareIDの送信を指示する電波を受信すると、遭難者救助支援装置210の信号変換部211に対して Hard WareIDを送信する(ステップS501〜S503)。
【0046】
(2)遭難者救助支援装置210は、信号変換部211が携帯電話100−1からの Hard WareIDを受信すると、端末照合部212に受信した Hard WareIDと、予め取得して保持していた遭難者が所持する携帯電話100−1の Hard WareIDとを比較照合させ、送信されてきた Hard WareIDが遭難者が所持する携帯電話100−1のものであることが確認できた場合、携帯電話100−1に対して位置情報を送信してくるように指示を発行する(ステップS504)。
【0047】
(3)位置情報送信指示を受信した携帯電話100−1は、遭難者救助支援装置210へ予め保持していた自端末の位置情報を送信する。送信されてきた位置情報は、信号変換部211により受信されて端末照合部212に送られる。この位置情報を受信した端末照合部212は、データ通信処理部213に対して、携帯電話100−1の位置情報を地上に居る捜索隊300−2の隊員が所持する携帯電話100−2に送信するように指示する通知指示を発行する(ステップS505、S506)。
【0048】
(4)ステップS506での位置情報送信の指示を受け取ったデータ通信処理部213は、地上に居る捜索隊300−2の隊員が所持する携帯電話100−2に遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の位置情報を送信する(ステップS507)。
【0049】
(5)遭難者救助支援装置210の端末照合部212は、データ通信処理部213への携帯電話100−1の位置情報を捜索隊300−2の携帯電話100−2に送信するように指示する通知指示の発行と同時に、音声通信処理部214に対して遭難者が所持する携帯電話100−1へ端末呼び出しを行う指示を発行する(ステップS508)。
【0050】
(6)音声通信処理部214は、携帯電話100−1へ端末呼出しを実施し、通信路の確立を試みる。携帯電話100−1が応答した場合、音声通信路を確立させることができ、遭難者300−1と、ヘリコプタ等の移動可能な装置に搭乗している捜索隊300−3の隊員とが、携帯電話100−1、遭難者救助支援装置210を利用して音声による会話を行うことが可能となる(ステップS509、S510)。
【0051】
前述までに説明した本発明の実施形態によれば、ヘリコプタ等の移動体に搭乗している捜索隊と、地上に居る捜索隊とが遭難者の位置情報を共有することができ、遭難者の救助活動を効率的に行うことができる。
【0052】
前述までに説明した本発明の実施形態は、遭難者とヘリコプタ等の移動可能な装置に搭乗している捜索隊の隊員とが、遭難者の所持する携帯電話、遭難者救助支援装置を利用して音声による会話を行うことができるとしたが、本発明は、遭難者救助支援装置を携帯電話の固定無線基地局の機能を備え、音声通信の中継を行うことも可能に構成することにより、遭難者と地上に居る捜索隊300−2の隊員とが、音声による会話を行うことができるようにすることもできる。
【0053】
図9は遭難者救助支援装置の変形例の構成を示すブロック図、図10は本発明の実施形態による遭難者救助支援システムの変形例の構成を示すブロック図である。
【0054】
図9に示す遭難者救助支援装置210−3は、既存の通信衛星との間で無線による送受信を行う機能を具備しており、通信衛星を用いる衛星中継通信技術とパケット転送技術とを利用することにより既存のIP網と通信を行うことができる。これにより、より柔軟性の高い遭難者の救助活動の支援を実現することができる。
【0055】
図9に示す遭難者救助支援装置210−3は、図2に示して説明した遭難者救助支援装置210の機能に追加して、衛星通信部215を備えて構成される。この衛星通信部215は、既に実用化されている衛星通信装置と同等であってよい。
【0056】
図10に示す遭難者救助支援システムは、図9に示す遭難者救助支援装置210−3を備えて構成され、図1により説明したシステムに加えて、通信衛星401、通信衛星401との通信を行う衛星地球局402、衛星地球局402との通信が可能な遭難対策本部装置403、具体的には、遭難対策本部に備えられている衛星通信可能な装置を備えて構成されている。
【0057】
前述において、遭難救助支援装置210−3は、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1からの電波を捕捉した際、前述までに説明した場合と同様に、携帯電話100−1の位置情報を取得する。そして、遭難救助支援装置210−3は、地上の捜索隊300−2の隊員が所持する携帯電話100−2に遭難者300−1が所持する携帯電話100−1位置情報を送信すると共に、衛星通信部215を介して、通信衛星401に携帯電話100−1の位置情報を送信する。遭難対策本部装置403は、通信衛星401、衛星地球局402を介して、遭難救助支援装置210−3から送信された遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の位置情報を受信する。
【0058】
前述したような図10に示すシステムは、ヘリコプタ等の移動体に搭乗している捜索隊と、地上に居る捜索隊と、遭難対策本部とが遭難者の位置情報を共有することができ、遭難者の救助活動を効率的に行わせることができる。
【0059】
図11は本発明の実施形態による遭難者救助支援システムの変形例の他の構成を示すブロック図である。
【0060】
図11に示す遭難者救助支援システムは、図10により説明した支援システムにおいて、携帯電話の固定無線基地局の機能を利用して、この基地局のカバーエリア内に居る捜索隊に遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の位置情報を同報することを可能としたものである。このため、図11に示す遭難者救助支援システムは、前述で説明した図10に示すシステムの構成に加えて、携帯電話の固定無線基地局421と遭難対策本部装置403とが通信可能に接続されて構成され、固定無線基地局421のカバーエリア内に1または複数の捜索隊300−2、300−4が展開しており、それぞれの捜索隊の隊員が携帯電話100−2、100−3を所持しているものとしている。
【0061】
図10を参照して説明したように、遭難救助支援装置210−3は、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1からの電波を捕捉した際、携帯電話100−1の位置情報を取得し、衛星通信部215を介して、通信衛星401、衛星地球局402を介して、遭難対策本部装置403に遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の位置情報を送信している。
【0062】
捜索隊本部装置403は、既存の固定無線基地局421を利用し、EメールやBCMCS等の技術を利用することによりカバーエリア413に含まれる捜索隊の隊員が所持する携帯電話100−2、100−3に遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の位置情報を送信する。携帯電話100−2、100−3は、固定無線基地局から100−1の位置情報を受信する。
【0063】
前述したような図11に示すシステムは、捜索範囲に散開した複数の捜索隊に、捜索隊の捜査範囲外にいる遭難者の位置情報を高速に送信して共有させることができ、図10により説明したシステムの効果に加えて、遭難者の救助活動をさらに効率的に行わせることができる。
【0064】
図12は遭難者救助支援装置を歩行により遭難者の捜索を行う捜索隊に所持させるようにした本発明の実施形態による遭難者救助支援システムの変形例のさらに他の構成を示すブロック図である。
【0065】
図2に示して説明した遭難者救助支援装置は、図1に示して説明したシステムに組み込まれ、ヘリコプタに搭載されて使用される。このヘリコプタに搭載した遭難者救助支援装置210のカバーエリア411は、電波の利得が限られているため無限大ではない。また、ヘリコプタに搭乗している捜索隊は、遭難者の位置が判っていないため、遭難者救助支援装置210のアンテナの指向性を狭くすることができないため、遭難者救助支援装置210のカバーエリアが限られてしまうことになる。
【0066】
このため、図1に示して説明したシステムでは、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の電波を捕捉できる地点まで遭難者救助支援装置210を接近させないと、携帯電話100−1の位置情報を取得することができず、遭難者が谷間等に滑落してしまっている場合、ヘリコプタ200が遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の電波を捕捉できる地点まで接近できない可能性があり、遭難者を発見することができない。
【0067】
図12に示す遭難者救助支援システムは、図1、図2に示して説明した遭難者救助支援装置を小型化して遭難者救助支援装置210−2とし、歩行により遭難者の捜索を行う捜索隊300−2に所持させるようにしたものである。歩行により遭難者の捜索を行う場合、捜索隊300−2が所持する小型に構成した遭難者救助支援装置210−2は、ヘリコプタ200では到達できない谷間等にも進入することができる。そして、小型の遭難者救助支援装置210−2のカバーエリア412を遭難者300−1が所持する携帯電話100−1に接近させ、携帯電話100−1をカバーエリア412内に包含させることにより、遭難者救助支援装置210−2は、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1から位置情報を取得することができる。
【0068】
図12に示して説明した遭難者救助支援システムは、遭難者救助支援装置を小型化し、捜索隊が持ち運ぶことにより、ヘリコプタによっては入り込めない地帯に遭難者が入り込んでいた場合にも、遭難者の携帯電話の電波を捕捉することができ、より緻密な捜索の支援を行うことができる。
【0069】
前述までに説明した本発明の実施形態は、遭難者の位置を正確に特定することが重要な点の1つとして挙げられる。遭難者の位置を特定することを可能とした従来技術における技術として、遭難者が所持する携帯電話からの電波を捕捉した遭難者救助支援装置が、自装置の位置から遭難者の方向に延びる直線の地表面との交点位置を遭難者の正確な位置であると特定する方式が提案されている。
【0070】
しかし、従来技術で提案されている技術は、遭難者の位置を誤検出してしまう可能性のあるものである。そこで、前述までに説明した本発明の実施形態は、遭難者救助支援装置が、遭難者の携帯電話が受信したGPS信号によって特定した遭難者の携帯電話の位置を遭難者の携帯電話から受信することによって、より正確な遭難者の位置を特定することができるようにしている。
【0071】
図13は本発明の実施形態での遭難者の位置の特定方法と前述した従来技術での遭難者の位置の特定方法とを比較して説明する図である。
【0072】
図13に示しているように、遭難者300−1が山間で遭難しているものとする。この場合、従来技術では、ヘリコプタ等の移動可能な装置200に搭載された遭難者救助支援装置210が遭難者300−1が所持する携帯電話100−1からの電波を捕捉して、自装置の位置から遭難者の方向であると思われる電波の到来方向に延びる直線の地表面との交点位置を遭難者の位置としている。
【0073】
しかし、遭難者300−1が山間で遭難していると、遭難者救助支援装置210は、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1からの電波を直接検出することができず、図13に点線で示すように、山に反射した携帯電話100−1からの電波を受信することになる。この結果、遭難者救助支援装置210は、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1からの電波が反射した位置、すなわち、図13に携帯電話100−3として示している位置に、遭難者300−1が居ると誤って認識してしまう。
【0074】
これに対して、前述までに説明した本発明の実施形態では、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1が、図13に実線で示しているように、GPS衛星400からのGPS信号を受信し、受信したGPS信号を元に自端末の位置情報を算出し、この算出した自端末の位置情報を遭難者救助支援装置210に送信することとしている。このため、遭難者救助支援装置210は、遭難者300−1が所持する携帯電話100−1の位置情報そのものを受信することができ、遭難者300−1の正確な位置情報を取得することができる。
【0075】
図13を参照して説明した本発明の実施形態での遭難者の位置の特定方法では、遭難者が、自身で所持する携帯電話がGPS衛星からのGPS信号を受信することのできない場所で遭難した場合、遭難者の位置を特定することができない。そこで本発明の実施形態では、遭難者が所持する携帯電話として、すでに提案されているGPS衛星からのGPS信号を継続的に受信し、算出した位置情報を自動的にチップ内部に保存する機能を有する携帯電話を用いることとする。このような携帯電話を遭難の可能性のある登山者等に所持してもらうことにより、遭難者300−1の位置を近隣の位置として特定することができるようにすることができる。
【0076】
図14は遭難者が自身で所持する携帯電話がGPS衛星からのGPS信号を受信することのできない場所で遭難した場合の位置の特定方法を説明する図である。
【0077】
遭難の可能性のある登山者等には、GPS衛星からのGPS信号を継続的に受信し、算出した位置情報を自動的にチップ内部に保存する機能を有する携帯電話を所持してもらうこととする。そして、運悪くその登山者が山等の遮蔽物によってGPS信号を受信できない位置に居る遭難者300−5として示している場所に移動した後に遭難したものとする。この場合、その遭難者300−1が所持する携帯電話100−1は、遭難者300−1がGPS信号を受信できる場所に居るとき、一定の時間毎にGPS信号を受信し位置情報を算出して、その位置情報を自動的にチップ内部に保存している。このため、山等の遮蔽物によってGPS信号を受信できない場所に移動した後に遭難した遭難者300−5が所持する携帯電話100−4は、最後にGPS信号を受信した場所の位置情報を保存している。そして、携帯電話100−4は、遭難者救助支援装置210から捕捉された際、最後にGPS信号を受信したときの位置情報を遭難者救助支援装置210に送信する。これにより、遭難者救助支援装置210は、遭難者の位置情報として、遭難者300−5が所持する携帯電話100−4の近隣の位置をを受信して、遭難者300−1の位置を特定することができる。
【0078】
前述した本発明の実施形態によれば、遭難者救助支援装置が、遭難者が所持する携帯電話から得た遭難者の位置情報を、地上局に転送せずに無線通信システムを利用して直接捜索隊に報知することができ、複数の捜索隊に遭難者の位置情報を高速に共有させることができ、迅速に遭難者の救助を行わせることができる。
【0079】
また、本発明の実施形態によれば、遭難者救助支援装置が、位置情報を取得すると同時に遭難者が所持する携帯電話に電話する機能を具備しているので、即時に遭難者とコミュニケーションをとることができ、相手の状況の把握や、延命のための行動を指示することができる。
【0080】
また、本発明の実施形態によれば、遭難者救助支援装置が、ヘリコプタ等の移動可能な装置に搭載され、直接捜索隊の携帯電話と通信できるため、固定無線基地局の電波が届かないところに居る捜索隊にも遭難者の位置情報を通知することができる。
【0081】
また、本発明の実施形態によれば、遭難者救助支援装置が、GPS信号で計算された遭難者が所持する携帯電話自体の位置情報を受信しているので、山間等電波が反射する環境で遭難した場合でも正確な遭難者の位置を特定することができる。
【0082】
また、本発明の実施形態によれば、遭難者が所持する携帯電話として、GPS衛星からのGPS信号を継続的に受信し、算出した位置情報を自動的にチップ内部に保存する機能を有する携帯電話を用いることができ、携帯電話がGPS情報を受信できない環境で遭難者が遭難した場合でも、最後にGPS信号を受信した位置を遭難者の位置として特定することができる。
【符号の説明】
【0083】
100−1〜100−4 携帯電話
101 GPS信号受信部
102 データ送受信部
103 音声送受信部
104 位置情報計算部
111 データ送受信部
112 位置情報表示部
200 ヘリコプタ等の移動可能な装置
210、210−2、210−3 遭難者救助支援装置
211 信号変換部
212 端末照合部
213 データ通信処理部
214 音声通信処理部
215 衛星通信部
221 W−CDMA信号変換部
222 CDMA2000信号変換部
230−1 0.8GHz帯周波数変復調部
230−2 0.9GHz帯周波数変復調部
230−14 2.1GHz帯周波数変復調部
241 制御部
251 通信指示部
252 照合部
261 データ送信部
262 捜索隊携帯電話データベース
271 端末呼び出し部
272 電話番号データベース
273 送話部
274 受話部
300−1、300−5 遭難者
300−2〜300−4 捜索隊
400 GPS衛星
401 通信衛星
402 衛星地球局
403 遭難対策本部装置
411〜413 カバーエリア
421 固定無線基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話の無線通信システムを利用し、遭難者救助の支援を行うことを可能とした遭難者救助支援装置において、
該遭難者救助支援装置は、携帯電話を所持した遭難者が居るであろう遭難被疑区域を捜索するために使用されるものであり、信号変換手段、端末照合手段を備えて構成され、
前記信号変換手段は、携帯電話に通信サービスを提供している各通信事業者の各通信方式により、近傍の携帯電話に対して当該携帯電話の Hard WareIDの送信を指示する指示信号を持つ電波を送信し、当該指示信号に対する応答として、近傍の携帯電話から送信された前記 Hard WareIDを受信すると、前記端末照合手段に受信した Hard WareIDと、予め取得して保持していた遭難者が所持する携帯電話の Hard WareIDとを比較照合させ、送信されてきた Hard WareIDが遭難者が所持する携帯電話のものであることが確認できた場合、前記近傍の携帯電話に対して当該携帯電話がGPS信号に基づいて算出した当該携帯電話の位置情報の送信を指示する指示信号を持つ電波を送信し、当該指示信号に対する応答として、近傍の前記遭難者が所持する携帯電話から送信された前記位置情報を受信することを特徴とする遭難者救助支援装置。
【請求項2】
前記遭難者救助支援装置は、データ通信処理手段をさらに備えて構成され、ヘリコプタ等の移動可能な装置に搭載されて運用されるものであり、
前記データ通信処理手段は、前記遭難者が所持する携帯電話から送信されて受信した前記遭難者が所持する携帯電話の位置情報を地上に居る捜索隊が所持する携帯電話に送信することを特徴とする請求項1記載の遭難者救助支援装置。
【請求項3】
前記遭難者救助支援装置は、音声通信処理手段をさらに備えて構成され、
前記音声通信処理手段は、前記遭難者が所持する携帯電話の Hard WareIDに基づいて前記遭難者が所持する携帯電話の電話番号を特定し、前記遭難者が所持する携帯電話を呼び出して、音声通信路を確立させることを特徴とする請求項1または2記載の遭難者救助支援装置。
【請求項4】
携帯電話の無線通信システムを利用し、遭難者救助の支援を行うことを可能とした遭難者救助支援システムにおいて、
当該遭難者救助支援システムは、遭難者救助支援装置と、遭難者が所持する携帯電話とにより構成され、
前記携帯電話は、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS信号受信手段と、受信したGPS信号から自携帯電話の位置を計算する位置情報計算手段とを備えて構成され、
前記遭難者救助支援装置は、携帯電話を所持した遭難者が居るであろう遭難被疑区域を捜索するために使用されるものであり、信号変換手段、端末照合手段を備えて構成され、
前記信号変換手段は、携帯電話に通信サービスを提供している各通信事業者の各通信方式により、近傍の携帯電話に対して当該携帯電話の Hard WareIDの送信を指示する指示信号を持つ電波を送信し、当該指示信号に対する応答として、近傍の携帯電話から送信された前記 Hard WareIDを受信すると、前記端末照合手段に受信した Hard WareIDと、予め取得して保持していた遭難者が所持する携帯電話の Hard WareIDとを比較照合させ、送信されてきた Hard WareIDが遭難者が所持する携帯電話のものであることが確認できた場合、前記近傍の携帯電話に対して当該携帯電話がGPS信号に基づいて算出した当該携帯電話の位置情報の送信を指示する指示信号を持つ電波を送信し、当該指示信号に対する応答として、近傍の前記遭難者が所持する携帯電話から送信された前記位置情報を受信することを特徴とする遭難者救助支援システム。
【請求項5】
前記遭難者救助支援装置は、データ通信処理手段をさらに備えて構成され、ヘリコプタ等の移動可能な装置に搭載されて運用されるものであり、
前記データ通信処理手段は、前記遭難者が所持する携帯電話から送信されて受信した前記遭難者が所持する携帯電話の位置情報を地上に居る捜索隊が所持する携帯電話に送信することを特徴とする請求項4記載の遭難者救助支援システム。
【請求項6】
前記遭難者救助支援装置は、音声通信処理手段をさらに備えて構成され、
前記音声通信処理手段は、前記遭難者が所持する携帯電話の Hard WareIDに基づいて前記遭難者が所持する携帯電話の電話番号を特定し、前記遭難者が所持する携帯電話を呼び出して、音声通信路を確立させることを特徴とする請求項4または5記載の遭難者救助支援システム。
【請求項7】
携帯電話の無線通信システムを利用し、遭難者救助の支援を行うことを可能とした遭難者救助支援方法において、
該遭難者救助支援装置は、携帯電話を所持した遭難者が居るであろう遭難被疑区域を捜索するために使用されるものであり、信号変換手段、端末照合手段を備えて構成され、
前記信号変換手段は、携帯電話に通信サービスを提供している各通信事業者の各通信方式により、近傍の携帯電話に対して当該携帯電話の Hard WareIDの送信を指示する指示信号を持つ電波を送信し、当該指示信号に対する応答として、近傍の携帯電話から送信された前記 Hard WareIDを受信すると、前記端末照合手段に受信した Hard WareIDと、予め取得して保持していた遭難者が所持する携帯電話の Hard WareIDとを比較照合させ、送信されてきた Hard WareIDが遭難者が所持する携帯電話のものであることが確認できた場合、前記近傍の携帯電話に対して当該携帯電話がGPS信号に基づいて算出した当該携帯電話の位置情報の送信を指示する指示信号を持つ電波を送信し、当該指示信号に対する応答として、近傍の前記遭難者が所持する携帯電話から送信された前記位置情報を受信することを特徴とする遭難者救助支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−43955(P2011−43955A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191007(P2009−191007)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】