説明

遮光フィルム

【課題】低添加量の紫外線吸収剤の使用で、効率的に380nm〜400nmの長波長領域の紫外線を遮光できる遮光フィルムを提供する。
【解決手段】紫外線吸収剤として、水酸基及びエーテル基及びアルキル基又はアルケニル基を有するフェニル基を置換基として3個有するトリアジン系化合物の一種以上を含有するか、又は、該トリアジン系化合物を塗布してなる遮光フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を遮蔽する遮光フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビル、住宅等の建物や自動車、電車、飛行機等乗り物の窓ガラスには、室内の器物や人体に有害な紫外線をカットする目的や、赤外線をカットし室内の温度上昇を防止する目的で遮光フィルムが貼着されている。
【0003】
また、マイクロエレクトロニクス回路の製造でのフォトリソグラフィ工程において、意図しない光(特に紫外線領域の光)は、基板製造の支障となるため、カーテンや仮設間仕切りとして、遮光フィルムが使用されている。これら遮光フィルムには、紫外線をカットするために、紫外線吸収剤が使用されている(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−112391号公報
【特許文献2】特開2008−265092号公報
【特許文献3】特開平8−287715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の遮光フィルムは、その紫外線吸収能は満足のいくものではなく、特に380nm〜400nmの長波長領域の紫外線の遮光性能において未だ改善の余地があった。
また、従来の遮光フィルムは、可視光線の領域(450nm〜500nm)までカットしてしまうため、可視光線の光量が減衰され、薄暗くなったり、目が疲労するなどの問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、低添加量の紫外線吸収剤の使用で、効率的に380nm〜400nmの長波長領域の紫外線を遮光できる遮光フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有するトリアジン系紫外線吸収剤を用いることで上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の遮光フィルムは、紫外線吸収剤として、下記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物の一種以上を含有するか、又は、該トリアジン系化合物を塗布してなることを特徴とするものである。

(式中、R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基又は炭素原子数7〜18のアリールアルキル基を表す。ただし、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。また、上記の置換及び中断は組み合わされてもよい。R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。)
【0009】
本発明の遮光フィルムは、上記トリアジン化合物が下記一般式(2)で表されるトリアジン系化合物であることが好ましい。

(式中、R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。但し、これらのアルキル基はヒドロキシ基、ハロゲン原子又はアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。)
【0010】
また、本発明の遮光フィルムは、フィルムの基材となる合成樹脂中に前記トリアジン系化合物を練り込んでなるものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明の遮光フィルムは、基材フィルムに前記トリアジン系化合物をコーティングしてなるものであることが好ましい。
【0012】
また、本発明の遮光フィルムは、さらに、近赤外線吸収剤を含有するか、又は、近赤外線吸収剤を表面に塗布されてなるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、低添加量の紫外線吸収剤の使用で、効率的に380nm〜400nmの長波長領域の紫外線を遮光できる遮光フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は実施例1、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4の結果を表すグラフ図である。
【図2】図2は実施例2の結果を表すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明について詳述する。
本発明の遮光フィルムは、紫外線吸収剤として、下記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物の一種以上を用いることを特徴とするものである。

(式中、R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基又は炭素原子数7〜18のアリールアルキル基を表す。ただし、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。また、上記の置換及び中断は組み合わされてもよい。R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。)
【0016】
前記一般式(1)においてR〜Rで表される炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、第三アミル、ヘキシル、オクチル、第二オクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ウンデシル、ドデシル等の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられ、中でもヘキシル基が、長波長領域の紫外線の遮光に優れるため好ましい。炭素原子数3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0017】
〜Rで表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、第三アミル、ヘキシル、オクチル、第三オクチル基等が挙げられ、中でもメチル基が、長波長領域の紫外線の遮光に優れるため好ましい。
【0018】
〜R及びR〜Rで表される炭素原子数2〜8のアルケニル基としては、直鎖及び分岐のプロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル基が不飽和結合の位置によらず挙げられる。
【0019】
〜Rで表される炭素原子数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル基等が挙げられ、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基としては、例えば、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、オクチルフェニル基等が挙げられ、炭素原子数7〜18のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、1−メチル−1−フェニルエチル基等が挙げられる。また、置換基や中断を有するアリール基としては、4−メチルフェニル、3−クロロフェニル、4−ベンジルオキシフェニル、4−シアノフェニル、4−フェノキシフェニル、4−グリシジルオキシフェニル、4−イソシアヌレートフェニル基等が挙げられる。
【0020】
上記エステル基は、カルボン酸とアルコールが脱水縮合して形成される基であり、上記アミド基はカルボン酸とアミンの脱水縮合により形成される基である。
【0021】
また、炭素原子数が1〜12の上記アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキサオキシ、オクトキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ基が挙げられる。
【0022】
〜Rがとりうる置換基または中断を有するアルキル基、シクロアルキル基の例としては、2−ヒドロキシプロピル、2−メトキシエチル、3−スルホニル−2−ヒドロキシプロピル、4−メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0023】
本発明の一般式(1)で表されるトリアジン系化合物は、好ましくは下記一般式(2)で表されるものである。

(式中、R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。但し、これらのアルキル基はヒドロキシ基、ハロゲン原子又はアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。)
【0024】
上記一般式(2)で表されるR〜Rにおける炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基としては、前記一般式(1)におけるR〜Rが表す直鎖又は分岐のアルキル基と同じ基が挙げられる。また、アルコキシ基は上記アルコキシ基と同様である。
【0025】
本発明の前記一般式(1)又は(2)で表される化合物としては、例えば、下記の化合物No.1〜No.5等の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。





【0026】
本発明の遮光フィルムは、更に近赤外線吸収剤を用いて、近赤外線を遮断してもよい。
本発明に係る近赤外線吸収剤としては、特に限定されず、近赤外領域に吸収を有する物質であるならばいずれでもよい。例えば、ポリメチン系色素(シアニン色素)、インドリノシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトール金属錯体系色素、スクアリリウム色素、トリアゾ色素、ジチオール金属錯塩系色素、ピリリウム色素、チアピリリウム色素、インドアニリン色素、アゾアントラキノン色素、ナフトキノン色素、アントロキノン色素、ビス(ジチオレン)色素、トリフェニルメタン系色素、アミニウム(アルミニウム)系色素、ジイモニウム系色素等の色素が挙げられ、さらに、無機系の近赤外線吸収剤を使用してもよく、例えばカーボンブラック、酸化アンチモンまたは酸化インジウムをドープした酸化錫、周期表4A,5Aまたは6A族に属する金属の酸化物、炭化物またはホウ化物が挙げられる。
【0027】
本発明の遮光フィルムは、一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤を、そのまま、或いはバインダー樹脂や添加剤とともに、合成樹脂に混練するなどして練り込み、成形・フィルム化することで得ることができる。また合成樹脂の基材にコーティングなどによって塗布してもよい。
本発明の遮光フィルムを得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の3つの方法が利用できる。
【0028】
(方法1)一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤を合成樹脂に配合、混練して紫外線吸収剤樹脂組成物とし、加熱成形してフィルム又はシートを作製する方法。
(方法2)一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤を含有する塗料またはコーティング液を作製し、合成樹脂を基材とするフィルム又はシート上にコーティングする方法。
(方法3)一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤を接着剤に含有させ、その接着剤をフィルムに塗布することにより、合わせ樹脂フィルム又シートを作製する方法。
【0029】
樹脂に、一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤を配合し、混練、加熱成形する(方法1)において、合成樹脂としては、樹脂フィルムにした場合にできるだけ透明性の高いものが好ましい。具体例としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンとノルボルネン等のシクロオレフィンとの共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等ビニル化合物及びビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む化合物、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることが出来るが、これらの樹脂に限定されるものではない。
【0030】
作製方法としては用いるベース樹脂によって、加工温度、フィルム化条件等が多少異なるが、例えば、一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤を、ベース樹脂の粉体或いはペレットに添加し、150〜350℃に加熱、溶解させた後成形して作製、或いは押し出し機によりフィルム化するか、或いは押し出し機により原反を作製し、30〜120℃で2〜5倍に、1軸乃至は2軸に延伸して10〜200μm厚のフィルムにする方法で得られる。なお、混練する際に、赤外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤等の通常の樹脂成型に用いる添加剤の他、色調をコントロールするための染料、顔料あるいは、その他の紫外線吸収剤を加えてもよい。
【0031】
一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤の添加量は、合成樹脂に対して、0.001〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。0.001質量%より少ないと紫外線吸収効果において充分ではない場合があり、20質量%より多いとフィルムの透明性が低下する場合がある。
【0032】
塗料化後、コーティングする(方法2)においては、一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて塗料化する方法と、一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤をバインダー樹脂及び水系溶媒に溶解または分散させて水系塗料とする方法がある。
【0033】
前者の方法は、例えば、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変性樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂をバインダーとして用いる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、あるいはそれらの混合物系等を用いることができる。
【0034】
後者の場合は、水系バインダー樹脂に、一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤を溶解または分散させる方法、一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤を数μm以下に微粒化し、水系溶媒中に、必要に応じて乳化剤を用いて、エマルジョンにして分散させる方法などがある。
【0035】
水系バインダー樹脂としては、ポリビニルアルコールまたはその変性物、ポリアクリル酸またはその共重合物、セルロースまたはその変性物などが挙げられる。水系溶媒としては、水または、水にメチルアルコールなどのアルコール、アセトンなどのケトン、テトラヒドロフランなどのエーテルを加えたものなどが挙げられる。
【0036】
また、エマルジョンの例としては、アクリルエマルジョン中に分散したアクリルエマル
ジョン系水系塗料など、未着色のアクリルエマルジョン塗料に一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤を微粉砕(50〜500nm)したものを分散させたもの挙げられる。
【0037】
(方法2)において、一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤の使用量は、バインダー樹脂とコーティングする基材の合成樹脂の合計に対して、0.001〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。0.001質量%より少ないと紫外線吸収効果において充分ではない場合があり、20質量%より多いとフィルムの透明性が低下する場合がある。
【0038】
塗料又はコーティング液中には近赤外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の通常塗料に用いるような添加物や、色調をコントロールするための染料、顔料、あるいはその他の紫外線吸収剤を加えてもよい。上記の方法で作製した塗料又はコーティング液は、基材となる合成樹脂フィルム又はシートの上にバーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、リップコーター、カーテンコーター、ロールコーター、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いはスプレー等でコーティングして、遮光フィルムを作製する。コーティング面を保護するために保護層を設けたり、透明樹脂板、透明樹脂フィルム等コーティング面に貼り合わせることもできる。またキャストフィルムも本方法に含まれる。
【0039】
一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤を接着剤に含有させて、合わせ樹脂フィルム又はシートを作製する(方法3)においては、接着剤としては一般的なシリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂用接着剤、ポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤等の公知の透明接着剤を使用できる。一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤を添加した接着剤を用いて樹脂フィルム同士を接着して作製する。また熱圧着する方法もある。
【0040】
一般式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤の使用量は、接着剤の固形分と基材の合成樹脂の合計に対して、0.001〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。0.001質量%より少ないと紫外線吸収効果において充分ではない場合があり、20質量%より多いとフィルムの透明性が低下する場合がある。
【0041】
次に本発明の遮光フィルムの基材となる樹脂について説明する。基材となる樹脂は特に限定されないが、透明性を有するものが好ましい。
樹脂の例を挙げると、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンとノルボルネン等のシクロオレフィンとの共重合体等のポリオレフィン;ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体;ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む化合物;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル;ポリビニルアルコール;ポリビニルブチラール;ノルボルネン樹脂等が挙げられる。
上記のうち、ポリエステル樹脂やノルボルネン樹脂が好ましい。
上記の樹脂は、単独で用いてもよく、用途に応じて2種類以上の混合物及び/又は共重合体で、あるいは積層させて用いてもよい。
【0042】
本発明の遮光フィルムは、単層構造でもよく、張り合わせた複層構造でもよい。複層構造の場合は、一層以上に一般式(1)又は(2)の紫外線吸収剤が使用されていればよい。
【0043】
本発明の遮光フィルムにおける基材樹脂には、必要に応じて種々の添加剤を使用してもよく、更に基材樹脂には表面処理を施しても良い。
【0044】
前記の添加剤としては、酸化防止剤(フェノール系、リン系またはチオエーテル系等)、本発明に係るトリアジン化合物以外の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、造核剤、帯電防止剤、光吸収性色素、顔料、染料、滑剤、加工助剤、可塑剤、金属不活性化剤、並びに無機微粒子、ハロゲン系化合物、リン酸エステル系化合物、リン酸アミド系化合物、メラミン系化合物、フッ素樹脂、シリコン樹脂、金属酸化物、(ポリ)リン酸メラミン、及び(ポリ)リン酸ピペラジン等の難燃剤等が挙げられる。
【0045】
前記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トコフェノール等が挙げられる。
【0046】
前記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−メチル−4−[3−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]プロピル]フェノール、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。
【0047】
前記チオエーテル系酸化防止剤としては、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0048】
前記本発明に係るトリアジン化合物以外の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系及び前記一般式(1)または(2)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤以外のトリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0049】
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類等が挙げられる。
【0050】
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類が挙げられる。
【0051】
前記ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0052】
前記一般式(1)または(2)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤以外のトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジビフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(4−イソオクチルオキシカルボニルエトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類等が挙げられる。
【0053】
前記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
【0054】
前記造核剤としては、例えば、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、安息香酸ナトリウムなどの安息香酸類の金属塩、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸エステルナトリウム、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸エステルナトリウム、ビス〔メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸エステル〕ヒドロキシアルミニウムなどの芳香族リン酸エステル金属塩および芳香族リン酸エステル金属塩とアルカリ金属化合物の混合物、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(ジメチルベンジリデンソルビトール)などのジベンジリデンソルビトール類、アミノ酸金属塩、ロジン酸金属塩などが挙げられる。
【0055】
前記帯電防止剤としては、例えば、脂肪酸第四級アンモニウムイオン塩、ポリアミン四級塩等のカチオン系帯電防止剤;高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アニオン型のアルキルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物リン酸エステル塩等のアニオン系帯電防止剤;多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリコールリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系帯電防止剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性型アルキルベタイン、イミダゾリン型両性界面活性剤等の両性帯電防止剤が挙げられる。かかる帯電防止剤は単独で用いてもよく、また、2種類以上の帯電防止剤を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
また、前記表面処理としては、例えば、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理等が挙げられる。表面処理によって、表面に多数の凹凸や線等が設けられてもよい。
【0057】
本発明の遮光フィルムは、フィルム、シートとして、そのまま使用してもよいが、ガラス、樹脂ガラス、建材、透明ボード、合成樹脂板、合成樹脂フィルム、合成樹脂シート等に貼り付けて使用することも好ましい。遮光フィルムとしての厚みは特に限定されないが、好ましくは、10〜200μmである。
【0058】
本発明の遮光フィルムは、紫外線の遮光、または紫外線及び熱線(近赤外線)の遮光目的であれば、その用途は限定されないが、例えば、自動車、電車、航空機などの乗り物の窓ガラス;住宅、ビル、工場等の窓ガラス;住宅、ビル、工場等のカーテン;住宅、ビル、工場等の間仕切り;クリーンルームの窓ガラス、カーテン、間仕切り;ショーウインドウやショーケース;自動販売機のパネル;電機・電子機器のカバー、ケース、包装材;電機・電子材料のカバー、ケース、包装材;光硬化性材料または光反応性材料のカバー、ケース、包装材;携帯電話、テレビ、パソコン等のディスプレイの保護フィルム;眼鏡、サングラスのレンズ;光学機器のレンズ;各種包装材料等に使用できる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例及びにより本発明を詳細に示す。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【0060】
〔実施例1〕
ノルボルネン樹脂(JSR(株)製、製品名:ARTON F5023)100質量部に対して、紫外線吸収剤として化合物No.1の紫外線吸収剤を0.5質量部、溶媒としてジクロロメタン2000質量部からなる樹脂溶液を、表面研磨したガラス板上にバーコーターを用いて流延し、50℃で20分の予備乾燥、90℃で30分の乾燥を経て、膜厚80〜90μmのフィルムを作製した後、1辺2cmの正方形の遮光フィルム試験片を得た。
得られた遮光フィルム試験片の、UV吸収スペクトルを測定した。測定は日本分光株式会社製V−670にて行った。吸収スペクトルを図1に示す。
また、図1には、紫外線吸収剤を配合しないフィルムのUV吸収スペクトルもコントロールとして示す。
【0061】

【0062】
〔比較例1〕
紫外線吸収剤として、化合物No.1の代わりに、本願トリアジン化合物と類似構造のモノヒドロキシフェニルトリアジン化合物である、下記、化合物No.6を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較フィルム試験片を得て、UV吸収スペクトルを測定した。結果を図1に示す。
【0063】

【0064】
〔比較例2〕
紫外線吸収剤として、化合物No.1の代わりに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、下記、化合物No.7を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較フィルム試験片を得て、UV吸収スペクトルを測定した。結果を図1に示す。
【0065】

【0066】
〔比較例3〕
紫外線吸収剤として、化合物No.1の代わりに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、下記、化合物No.8を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較フィルム試験片を得て、UV吸収スペクトルを測定した。結果を図1に示す。
【0067】

【0068】
〔比較例4〕
紫外線吸収剤として、化合物No.1の代わりに、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤である、下記、化合物No.9を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較フィルム試験片を得て、UV吸収スペクトルを測定した。結果を図1に示す。
【0069】

【0070】
図1の実施例1及び比較例1〜4の結果から、本発明の遮光フィルムは紫外線を効率的に遮光していることがわかり、特に380nm〜400nmの長波長領域の紫外線の遮光に効果があることがわかる。これに対し、他の紫外線吸収剤を使用した比較例の遮光フィルムは、紫外線の遮光能力に劣り、特に380nm〜400nmの長波長領域の紫外線の遮光に効果がないことがわかった。
【0071】
〔実施例2〕
ノルボルネン樹脂(JSR(株)製、製品名:ARTON F5023)100質量部に対して、紫外線吸収剤として化合物No.1の紫外線吸収剤を0.5質量部、近赤外線吸収剤として、ジイモニウム系化合物(日本化薬(株)製、製品名:IRG−08)0.3質量部、溶媒としてジクロロメタン2000質量部からなる樹脂溶液を、表面研磨したガラス板上にバーコーターを用いて流延し、50℃で20分の予備乾燥、90℃で30分の乾燥を経て、膜厚80〜90μmのフィルムを作製した後、1辺2cmの正方形の遮光フィルム試験片を得た。
【0072】
得られた遮光フィルム試験片の、光吸収スペクトルを測定した。測定は日本分光株式会社製V−670にて行った。吸収スペクトルを図2に示す。
図2から本発明の遮光フィルムは、紫外線、特に380nm〜400nmの長波長領域の紫外線と、近赤外線を効率よく遮光することがわかる。
【0073】
〔実施例3〕
ポリエチレンテレフタレートペレット(ユニチカ社製、品名1203)と、紫外線吸収剤として化合物No.1の紫外線吸収剤を、質量比、1:0.012の割合で混合し、260〜280℃で溶融させ、押出機で厚み100μmのフィルムを作製した後、このフィルムを2軸延伸して厚み25μmの遮光フィルムを作製した。この遮光フィルムは380nm〜400nmの長波長領域の紫外線を効率よく遮光した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線吸収剤として、下記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物の一種以上を含有するか、又は、該トリアジン系化合物を塗布してなることを特徴とする遮光フィルム。

(式中、R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基又は炭素原子数7〜18のアリールアルキル基を表す。ただし、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。また、上記の置換及び中断は組み合わされてもよい。R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。)
【請求項2】
前記トリアジン化合物が下記一般式(2)で表されるトリアジン系化合物である請求項1記載の遮光フィルム。

(式中、R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。但し、これらのアルキル基はヒドロキシ基、ハロゲン原子又はアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。)
【請求項3】
フィルムの基材となる合成樹脂中に前記トリアジン系化合物を練り込んでなる請求項1又は2記載の遮光フィルム。
【請求項4】
基材フィルムに前記トリアジン系化合物をコーティングしてなる請求項1又は2記載の遮光フィルム。
【請求項5】
さらに、近赤外線吸収剤を含有するか、又は、近赤外線吸収剤を表面に塗布されてなる請求項1〜4の何れか1項に記載の遮光フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−67811(P2013−67811A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−267538(P2012−267538)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】