説明

遮光型水溶性樹脂組成物

【課題】有機電気素子の有機半導体膜が層間絶縁膜と接して形成される場合に、結晶性が低下し層間絶縁膜に対する光照射時に光酸化されることを防止するために、有機半導体膜と層間絶縁膜の間に位置する遮光性保護膜として有用に使用することができる遮光型水溶性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明は遮光型水溶性樹脂組成物に関し、特に(a)水溶性樹脂;(b)水溶性染料化合物;(c)溶媒を含むことを特徴とする有機半導体保護膜用遮光型水溶性樹脂組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮光型水溶性樹脂組成物に関し、より詳しくは、有機薄膜トランジスタ(OTFT;organic thin-film transistor)、柔軟性を有するディスプレイ(flexible display)、または有機電気発光素子(OLED;organic light-emitting device)の有機半導体膜が層間絶縁膜と接して形成される場合に結晶性が低下し層間絶縁膜に対する光照射時に光酸化することを防止するための有機半導体保護膜用遮光型水溶性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来OTFT製造工程では有機半導体膜の成膜後に有機溶媒を基本として使用する層間絶縁膜であるフォトレジストを有機半導体膜に直接接して形成することによって、有機溶媒に対してぜい弱な有機半導体薄膜の結晶性が低下してOTFT駆動時に電気移動度及びオン/オフ電気性能が落ちる問題があった。
【0003】
また、有機半導体は、紫外線領域の光に露出された時、光酸化されて光安定性が低下し、層間絶縁膜であるフォトレジストの形状化のために層間絶縁膜への紫外線領域の露光時、これに密接な有機半導体膜が光を吸収し光酸化現象を発生させて、有機半導体の物性を低下させ、さらに素子性能を低下させる問題が発生した。従って、OTFT製造工程中の有機半導体薄膜の損傷を最少化させるための研究が必要であるのが実情である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の技術の問題点を解決しようと、本発明はOTFT、柔軟性を有するディスプレイまたはOLEDなど有機電気素子の有機半導体膜と層間絶縁膜(有機溶媒を基本とするフォトレジスト)の間に位置して有機半導体の遮光性保護膜に適した遮光型水溶性樹脂組成物、及び前記組成物を硬化させた遮光性保護膜を含む有機電気素子及び前記遮光型水溶性樹脂組成物を利用した有機電気素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、
(a)水溶性樹脂;
(b)水溶性染料化合物;
(c)溶媒を含む遮光型水溶性樹脂組成物を提供する。
【0006】
好ましくは、本発明は、
(a)水溶性樹脂100質量部;
(b)水溶性染料化合物5〜50質量部;
(c)溶媒を組成物総量中の固形分含量が3〜60質量%になるように含む遮光型水溶性樹脂組成物を提供する。
【0007】
また、本発明は、前記遮光型水溶性樹脂組成物を硬化させた遮光性保護膜を有機半導体膜と層間絶縁膜の間に含む有機電気素子を提供する。
【0008】
また、本発明は、前記遮光型水溶性樹脂組成物を有機半導体膜上に塗布した後に硬化させて遮光性保護膜を形成し、前記遮光性保護膜の上に層間絶縁膜を形成させる工程を含む有機電気素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明の遮光型水溶性樹脂組成物は、薄膜として製造時に、平坦性、耐熱性、耐化学性、電気移動度などの性能に優れるだけでなく光透過率が低いので、有機電気素子が含む有機半導体の損傷を最少化するために有機半導体膜と層間絶縁膜の間に位置する有機半導体の遮光性保護膜として有用に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の遮光型水溶性樹脂組成物は、水溶性樹脂、水溶性染料化合物、及び溶媒を含むことを特徴とする。また、好ましくは、前記水溶性樹脂100質量部に対して前記水溶性染料化合物5〜50質量部及び前記溶媒を組成物総量中の固形分含量が3〜60質量%になるように含むことができる。
【0012】
本発明に使用される前記(a)の水溶性樹脂は、均質な塗布膜を容易に形成することができるようにする作用をする。
【0013】
前記水溶性樹脂は、水に対する溶解度が0.1質量%以上である重合体であれば従来公知の水溶性樹脂のいずれも使用することができる。水溶性樹脂の具体的な例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、及びこれらの誘導体を挙げることができる。ポリビニルアルコール誘導体としては、ポリビニルアルコールのヒドロキシル基をアセチル基、アセタール基、ホルマル基、ブチラール基などに置換したものを挙げることができる。ポリビニルピロリドン誘導体の例としては、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン−ビニルアルコール共重合体、ビニルピロリドン−ビニルメラミン共重合体などを挙げることができる。ポリアクリル酸の例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体などを挙げることができる。その他にも、水溶性樹脂として、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどを使用することができる。これらは単独または2種以上混合して使用することができ、特にポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びこれらの誘導体を使用するのが好ましい。
【0014】
前記水溶性樹脂を過度に少なく使用すれば、粘度が低くなって薄膜形成が難しくなり、過度に多く使用すれば、粘度が高くなって薄膜形成時に塗布装備に無理を与えるおそれがある。
【0015】
前記水溶性樹脂は、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000〜300,000であるのが好ましく、さらに好ましくは、3,000〜100,000であり得る。前記ポリスチレン換算重量平均分子量が1,000未満である場合には塗布性が落ちることと同時に塗布膜の経時安定性が低下し、300,000を超過する場合には均一な塗布膜を収得しにくくフィルターの透過性が落ちるおそれがある。
【0016】
本発明に使用される前記(b)の水溶性染料化合物は、特別な制限はないが、水に溶けたり分散される染料であればいずれも使用することができる。
【0017】
前記水溶性染料化合物の具体的な例としては、アゾ染料(Azo dyes)、ジアゾ染料(Diazo dyes)、アントラキノン染料(Anthraquinone dyes)、インジゴイド染料(Indigoid dyes)、インジゴ系染料(Indigo dyes)、チオインジゴ系染料(Thioindigo dyes)、カーボニウム染料(Carbonium dyes)、ジフェニルメタン系染料(Diphenylmethane dyes)、トリフェニルメタン系染料(Triphenylmethane dyes)、キサンテン系染料(Xanthene dyes)、アクリジン系染料(Acridine dyes)、フタロシアニン染料(Phthalocyanine dyes)、メチン染料(Methine dyes)、ポリメチン系染料(Polymethine dyes)、アゾメチン系染料(Azomethine dyes)、チアゾール染料(Thiazole dyes)、キノンイミン染料(Quinoneimine dyes)、アジン系染料(Azine dyes)、オキサジン系染料(Oxazine dyes)、チアジン系染料(Thiazine dyes)、ラクトン染料(Lactone dyes)、アミノケトン染料(Amino Ketone dyes)、ヒドロキシケトン染料(Hydroxy ketone dyes)、ニトロ染料(Nitro dyes)、ニトロソ染料(Nitroso dyes)、キノリン染料(Quinoline dyes)などを挙げることができ、これら染料化合物を単独または2種以上混合して使用することができる。
【0018】
前記水溶性染料化合物は、水溶性樹脂100質量部に対して5〜50質量部、好ましくは10〜30質量部で使用することができる。水溶性染料化合物を前記範囲内で使用する場合、低い光透過率を得ることができて層間絶縁膜の露光時に有機半導体の光酸化を防止するための保護膜として適する。
【0019】
本発明に使用される前記(c)の溶媒としては、水または水と有機溶媒の混合物を使用することができる。水の場合、蒸留、イオン交換処理、フィルター処理、各種吸着処理などによって有機不純物及び金属イオンが除去されたものが好ましく、有機溶媒は塗布性をさらに向上させるために使用され、水に可溶性であるものが好ましい。水に可溶性である有機溶媒としては水に対して0.1質量%以上溶解される溶媒であればいずれも使用することができ、その具体的な例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類などを挙げることができる。これら溶媒は単独または2種以上を混合して使用することができ、遮光型水溶性樹脂組成物の薄膜形成時に薄膜を溶解させず同時に有機半導体薄膜を損傷させない範囲で使用可能である。
【0020】
前記溶媒は、組成物総量中の固形分含量が3〜60質量%になるように使用するのが好ましく、さらに好ましくは、5〜40質量%になるように使用することができる。固形分含量が組成物総量の3質量%未満である場合には薄膜の厚さが薄くなって薄膜平坦性が低下し、60質量%を超過する場合には薄膜の厚さが厚くなって塗布時にコーティング装備に無理を与えるおそれがある。
【0021】
また、本発明の遮光型水溶性樹脂組成物は、(d)の水溶性界面活性剤をさらに含むことができる。前記水溶性界面活性剤は水溶性樹脂組成物の塗布性を改善できるものであればいずれも使用可能であり、その具体的な例としては、アセチレンアルコール、アセチレングリコール、アセチレンアルコールのポリエトキシレート、アセチレングリコールのポリエトキシレートなどを挙げることができる。アセチレンアルコール及びアセチレングリコールとしては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘクシン−3−オール、2,5−ジメチル−3−ヘクシン−2,5−ジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサジオールなどを挙げることができ、これら界面活性剤を単独または2種以上混合して使用することができる。
【0022】
前記水溶性界面活性剤は、水溶性樹脂100質量部に対して0.0001〜2質量部で使用することができる。水溶性界面活性剤を前記範囲内で使用する場合、組成物の塗布性をさらに向上させることができる。
【0023】
本発明の遮光型水溶性樹脂組成物は前記成分を混合することによって製造することができ、有機電気素子に保護膜として使用することに先立って0.1〜0.2μm(イソプロピルアルコールで処理)のミリポアフィルターなどでろ過するのが好ましい。
【0024】
また、本発明は前記遮光型水溶性樹脂組成物を硬化させた遮光性保護膜を有機半導体膜と層間絶縁膜の間に含む有機電気素子を提供する。前記有機電気素子は前記遮光型水溶性樹脂組成物を有機半導体膜上に塗布した後に硬化させて遮光性保護膜を形成し、前記遮光性保護膜の上に層間絶縁膜を形成させる段階によって製造することができる。
【0025】
前記遮光性保護膜は有機半導体膜と層間絶縁膜の間に位置して、有機溶媒を基本とするフォトレジストからなる層間絶縁膜に対して有機半導体膜を保護すると同時に層間絶縁膜の露光時に有機半導体の光酸化を防止する、有機半導体の遮光性保護膜の役割を果たす。前記有機半導体膜、本発明の遮光性保護膜及び層間絶縁膜は基板上にパターン化された形態で存在することができる。
【0026】
具体的には、前記遮光型水溶性樹脂組成物を有機半導体膜上にスプレー法、ロールコーター法、回転塗布法、インクジェット法などの通常の方法で塗布し、予備焼成することなく対流式オーブン(convection oven)で硬化させて、目的する塗布膜を形成する。この時、前記硬化は80〜150℃の温度で40〜100分間実施するのが好ましい。形成された遮光性保護膜は0.05〜0.2μmの厚さを有することができる。
【0027】
前記本発明の遮光性保護膜を含む有機電気素子としては、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、柔軟性を有するディスプレイ、及び有機電気発光素子(OLED)などを挙げることができる。
【0028】
このように製造された本発明の遮光性保護膜は、薄膜平坦性、耐熱性、耐化学性、電気移動度などの性能に優れているだけでなく光透過率が低いので、本発明の遮光型水溶性樹脂組成物は有機電気素子が含む有機半導体の損傷を最少化するために有機半導体膜と層間絶縁膜の間に位置する有機半導体の遮光性保護膜として有用に使用することができる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されるのではない。
【0030】
実施例1
蒸留、イオン交換処理、フィルター処理、各種吸着処理などによって有機不純物及び金属イオンが除去された水を冷却管と撹拌器を備えたフラスコに入れて、水溶性樹脂としてポリサイエンス(Polysciences Inc)社のポリビニルアルコール(PVA)粉末(ポリスチレン換算重量平均分子量6,000)をゆっくり添加した後、10〜20℃/10分間隔で90℃まで温度を上昇させて90℃で2時間撹拌した。その後、水溶性樹脂溶液の温度が下がるまで常温で放置した。ここに、水溶性樹脂100質量部に対して、水溶性染料化合物として酸性染料であるニグロシン酸ブラック2(Nigrosine Acid Black2、ドンナム化成社)を6.25質量部入れ撹拌して水溶性樹脂組成物を製造した。前記組成物総量中の固形分含量は9質量%に調製した。
【0031】
実施例2
前記実施例1で水溶性界面活性剤としてアセチレングリコールであるダウコーニング(Dow corning)社のQ2−5212を水溶性樹脂100質量部に対して0.0005質量部添加したことを除いては、前記実施例1と同一の方法で水溶性樹脂組成物を製造した。
【0032】
実施例3
前記実施例2でニグロシン酸ブラック2を6.25質量部の代わりに12.5質量部使用することを除いては、前記実施例2と同一の方法を行って水溶性樹脂組成物を製造した。
【0033】
実施例4
前記実施例1でニグロシン酸ブラック2を6.25質量部の代わりに18.75質量部使用することを除いては、前記実施例2と同一の方法を行って水溶性樹脂組成物を製造した。
【0034】
実施例5
前記実施例2でニグロシン酸ブラック2を6.25質量部の代わりに25質量部使用することを除いては、前記実施例2と同一の方法を行って水溶性樹脂組成物を製造した。
【0035】
実施例6
前記実施例2でニグロシン酸ブラック2を6.25質量部の代わりに31.25質量部使用することを除いては、前記実施例2と同一の方法を行って水溶性樹脂組成物を製造した。
【0036】
試験例
前記実施例1〜6で製造された水溶性樹脂組成物からなる硬化膜に対して下記のような方法で平坦性、光透過率、及び耐化学性を評価し、この硬化膜を有機半導体膜と層間絶縁膜の間に遮光性保護膜として含む電界発光トランジスタ(FET;field emission transistor)を追加的に製作して、下記のような方法で電気移動度を評価した。水溶性樹脂組成物からなる遮光性保護膜を適用しないFETを製作して、これを比較例1とした。測定結果を下記表1に示した。
【0037】
イ)平坦性
前記水溶性樹脂組成物でガラス基板上に塗膜をコーティングした後、約100pointに対する厚さを光学装備などの厚さ測定器で測定して、その有意差が2%未満であれば○、3%未満であれば△、5%未満であれば×で示した。この方法によって水溶性樹脂と水溶性染料化合物の溶解安定性と沈澱の可能性を確認することができる。
ロ)光透過率
前記水溶性樹脂組成物を硬化させて厚さ0.7μmの塗膜を製造した後、この膜に対して可視光線の光吸収スペクトルを測定して、400nmにおいて光透過率が50%以下である場合を○、51〜70%である場合を△、71〜90%である場合を×で示した。
ハ)耐化学性
前記水溶性樹脂組成物を硬化させて厚さ0.7μmの塗膜を製造した後、この膜を有機溶媒n−メチルピロリドン(NMP)に70℃で5分間浸漬した後、超純水で洗浄して、NMP処理前後の膜の厚さの変化率を測定した。この時、膜の厚さの変化率が0〜20%である場合を○、21〜40%である場合を△、41%以上の場合を×で示した。
ニ)電気移動度
前記水溶性樹脂組成物の硬化膜を有機半導体膜と層間絶縁膜の間に遮光性保護膜として含むFETの電気移動度を下記のように評価した。ソース−ドレインの間の電圧(VDS)を固定させ、ゲート電圧(VGS)に対するソース−ドレインの間の電流(IDS)の変化を示す伝達特性(Transfer Characteristics、ゲート電圧の影響が電界の形態でチャネルに伝達されるので伝達特性と称する。)を測定した後、下記数式に基づいて電気移動度μを算出した。この時、測定された電気移動度が0.01以上である場合を○、0.009〜0.001である場合を△、0.0009以下である場合を×で示した。
【0038】
【数1】

【0039】
【表1】

【0040】
前記表1から、本発明によって製造した実施例1〜6の遮光型水溶性樹脂組成物は、比較例1と比較すると、平坦性及び耐化学性に優れ、光透過率が低いだけでなく、特に電気移動度が顕著に向上している。このことから有機半導体の遮光性保護膜として適用可能であることが分かる。これに対し、前記遮光型水溶性樹脂組成物を有機半導体膜と層間絶縁膜であるフォトレジストの間に保護膜として適用しない比較例1の場合は、電気移動度が低くOTFTに適用しにくいことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の試験例で電界発光トランジスタ(FET)の電気移動度を測定することに使用される伝達特性グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水溶性樹脂;
(b)水溶性染料化合物;及び
(c)溶媒を含むことを特徴とする遮光型水溶性樹脂組成物。
【請求項2】
(a)水溶性樹脂100質量部;
(b)水溶性染料化合物5〜50質量部;及び
(c)溶媒を組成物総量中の固形分含量が3〜60質量%になるように含む請求項1に記載の遮光型水溶性樹脂組成物。
【請求項3】
水溶性界面活性剤を水溶性樹脂100質量部に対して0.0001〜2質量部さらに含む請求項1に記載の遮光型水溶性樹脂組成物。
【請求項4】
前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン及びこれらの誘導体からなる群より選択される1種以上である請求項1に記載の遮光型水溶性樹脂組成物。
【請求項5】
前記水溶性樹脂が、1,000〜300,000のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を有する請求項1に記載の遮光型水溶性樹脂組成物。
【請求項6】
前記水溶性染料化合物が、アゾ染料(Azo dyes)、ジアゾ染料(Diazo dyes)、アントラキノン染料(Anthraquinone dyes)、インジゴイド染料(Indigoid dyes)、インジゴ系染料(Indigo dyes)、チオインジゴ系染料(Thioindigo dyes)、カーボニウム染料(Carbonium dyes)、ジフェニルメタン系染料(Diphenylmethane dyes)、トリフェニルメタン系染料(Triphenylmethane dyes)、キサンテン系染料(Xanthene dyes)、アクリジン系染料(Acridine dyes)、フタロシアニン染料(Phthalocyanine dyes)、メチン染料(Methine dyes)、ポリメチン系染料(Polymethine dyes)、アゾメチン系染料(Azomethine dyes)、チアゾール染料(Thiazole dyes)、キノンイミン染料(Quinoneimine dyes)、アジン系染料(Azine dyes)、オキサジン系染料(Oxazine dyes)、チアジン系染料(Thiazine dyes)、ラクトン染料(Lactone dyes)、アミノケトン染料(Amino Ketone dyes)、ヒドロキシケトン染料(Hydroxy ketone dyes)、ニトロ染料(Nitro dyes)、ニトロソ染料(Nitroso dyes)及びキノリン染料(Quinoline dyes)からなる群より選択される1種以上である請求項1に記載の遮光型水溶性樹脂組成物。
【請求項7】
前記水溶性界面活性剤が、アセチレンアルコール、アセチレングリコール、アセチレンアルコールのポリエトキシレート及びアセチレングリコールのポリエトキシレートからなる群より選択される1種以上である請求項3に記載の遮光型水溶性樹脂組成物。
【請求項8】
前記溶媒が、水または水と有機溶媒との混合物である請求項1に記載の遮光型水溶性樹脂組成物。
【請求項9】
前記有機溶媒が、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンからなる群より選択される1種以上である請求項8に記載の遮光型水溶性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項による遮光型水溶性樹脂組成物を硬化させた遮光性保護膜を有機半導体膜と層間絶縁膜の間に含む有機電気素子。
【請求項11】
前記遮光性保護膜が、樹脂組成物を有機半導体膜上に塗布した後、80〜150℃の温度で40〜100分間硬化させて得られるものであること請求項10に記載の有機電気素子。
【請求項12】
前記遮光性保護膜が、0.05〜0.2μmの厚さを有する請求項10に記載の有機電気素子。
【請求項13】
前記有機電気素子が、有機薄膜トランジスタ(OTFT、organic thin-film transistor)、柔軟性を有するディスプレイ(flexible display)または有機電気発光素子(OLED、organic light-emitting device)である請求項10に記載の有機電気素子。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか一項による遮光型水溶性樹脂組成物を有機半導体膜上に塗布した後、硬化させて遮光性保護膜を形成し、前記遮光型保護膜の上に層間絶縁膜を形成させる工程を含む有機電気素子の製造方法。
【請求項15】
前記遮光性保護膜が、前記遮光型水溶性樹脂組成物を有機半導体膜上に塗布した後、80〜150℃の温度で40〜100分間硬化させて得られるものである請求項14に記載の有機電気素子の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−306188(P2008−306188A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148693(P2008−148693)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(500013751)東進セミケム株式会社 (72)
【氏名又は名称原語表記】Dongjin Semichem Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】472−2 Gajwa−dong,Seo−ku,Incheon−city 404−250,Korea
【Fターム(参考)】