説明

遮光性昇降カーテン

【課題】カーテン生地のピンホールからの光漏れを抑制し、防止したプレーンスタイルの遮光性昇降カーテン用素材を得る。
【解決手段】第一の生地と、第一の生地と重ねられ、遮光性生地からなる第二の生地と、第一の生地と第二の生地とを接続するための第一の生地に縫製して接合される1つ以上の生地接続用テープとを含み、第二の生地が、少なくとも1つの生地接続部材連結部に対応する位置に小孔を有し、生地接続部材の少なくとも一部が、小孔を貫通することにより、第一の生地と第二の生地とを接続するプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンであって、生地接続用テープを第一の生地に縫製して接合するテープ縫製位置と生地接続部材連結部との最短の距離が1mm以上である遮光性昇降カーテンである。また、生地接続用テープと第一の生地との間の、小孔に対応する位置に、小孔より大きな遮光性材料からなる遮光部材をさらに含む遮光性昇降カーテンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテン生地を上下に昇降させることによって遮光の程度を制御し、特に、カーテン生地のピンホールからの光漏れを防止したプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンは、一般的に、日差しを遮る目的で用いられる。寝室など、遮光性が特に必要な場所において使用するカーテンは、遮光性生地を用いることによって、光の入射の大部分を遮るか、ほぼ完全に遮ることが求められている。また、カーテンを閉めた場合に、室内を快適な状態にするため、カーテンの室内に面する側(表側)には、意匠的なデザインが施されている。このように、遮光性カーテンは、遮光性と意匠性を両立することが求められている。
【0003】
カーテンの一種にシェードタイプの昇降カーテンがある。このタイプの昇降カーテンは、一般的に、建造物の窓開口部の上部に設置された横長箱形のヘッドレールからカーテン生地と操作ひも(操作コード)を吊り下げ、操作ひもを引っ張るなどの操作をすることでカーテン生地を捲り上げ下げして窓開口部の遮光を制御することができる構造になっている。
【0004】
シェードタイプの昇降カーテンとして、プレーンスタイルやシャープスタイルが知られている。シャープスタイルは、複数の棒状部材をカーテン生地の幅方向に配置する構造となっている。この棒状部材により、カーテンの形状をシャープに保つことができる。これに対して、プレーンスタイルの昇降カーテンは、棒状部材を用いず、比較的低コストのカーテンとして知られている。
【0005】
プレーンスタイルの遮光性昇降カーテンを模式的に図1および図2に示す。ここで、図1は、昇降カーテン1の部屋の内部に向く側(表側)を示し、図2は、窓の外へ向く側(裏側)を示す。この構造のカーテンは、部屋の内部に向く面に意匠的なデザインを配置した表側の生地(第一の生地10)と、窓の外側に向く面に遮光性生地を材料とする裏側の生地(第二の生地20)とが、重ねられて形成されている。これらの生地は、カーテン上部にあるヘッドレール2にマジックテープ(登録商標)などにより接続されている。カーテンの開閉は、生地を捲り上げ下げすることにより行うが、そのための昇降コード3をカーテン生地の裏側に、突設したリング状の接続留具38に挿通して配置している。昇降コード3は、カーテン下部に接続されているため、操作コード4を上下することにより昇降コード3が上下し、カーテンの開閉を行うことができる。なお、カーテン下部には、中にウェイトバーを配置するためのウェイトバー用ポケット5が設けられている。ウェイトバーの重みにより、カーテンの張りを保つことができる。
【0006】
シェードタイプの昇降カーテンは、第一の生地10と第二の生地20とを接続するために設けられた小孔等のピンホールから光漏れが生じ、遮光が完全ではないという問題がある。
【0007】
このような光漏れの問題を解決するために、いくつかの技術が開示されている。例えば、特許文献1には、表生地と裏生地を縫製して接続するシャープスタイルの遮光性カーテンの光漏れを防止するために、接合用縫製部上に裏生地を重ねて配置する重合部を設ける技術が開示されている。また、特許文献2には、裏生地を表生地に熱圧着することで、縫製部を不要とするプレーンスタイルカーテンに関する技術が開示されている。
【0008】
しかしながら、重合部を設けることや、熱圧着用の材料を付加することは、カーテン製造のコストの増加となる。また、熱圧着用の材料を用いたカーテンは、一般的にごわごわしたものとなってしまうため、意匠的にも問題がある。このように、従来技術では、単純な構造のプレーンスタイルのカーテンの光漏れを、意匠性を損なうことなく、低コストで防止することが困難であった。また、近年、消費者の商品の性能やデザインに対する要求が高くなる傾向にあり、以前には問題とならなかったわずかな光漏れも問題とされるようになってきている。特に、ピンホールからの光漏れは、意匠性を損なうとの指摘もされており、解決が求められている。
【特許文献1】特開2003−339521号公報
【特許文献2】特開2006−75429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、カーテン生地のピンホールからの光漏れを抑制し、防止した遮光性昇降カーテン用素材および遮光性昇降カーテンを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者は、プレーンスタイルの昇降カーテンの光漏れの原因を解明し、その防止のための工夫を種々試みた結果、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、第一の生地と、
第一の生地と重ねられ、遮光性生地からなる第二の生地と、
第一の生地と第二の生地とを接続するための第一の生地に縫製して接合される1つ以上の生地接続用テープと、を含み、
生地接続用テープが、帯状部材と、生地接続部材連結部において帯状部材の第一の生地とは反対の面に連結する1つ以上の生地接続部材と、を有し、
第二の生地が、少なくとも1つの生地接続部材連結部に対応する位置に小孔を有し、
生地接続部材の少なくとも一部が、小孔を貫通することにより、第一の生地と第二の生地とを接続するプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンであって、
生地接続用テープを第一の生地に縫製して接合するテープ縫製位置と生地接続部材連結部との最短の距離が、1mm以上である、遮光性昇降カーテンである。
【0012】
好ましくは、生地接続用テープと第一の生地との間の、小孔に対応する位置に、小孔より大きな遮光性材料からなる遮光部材をさらに含む、遮光性昇降カーテンである。また、好ましくは、遮光部材が、テープ状の遮光性生地である、遮光性昇降カーテンである。
【0013】
また、本発明は、第一の生地と、
第一の生地と重ねられ、遮光性生地からなる第二の生地と、
第一の生地と第二の生地とを接続するための第一の生地に縫製して接合される1つ以上の生地接続用テープと、を含み、
生地接続用テープが、帯状部材と、生地接続部材連結部において帯状部材の第一の生地とは反対の面に連結する1つ以上の生地接続部材と、を有し、
第二の生地が、少なくとも1つの生地接続部材連結部に対応する位置に小孔を有し、
生地接続部材の少なくとも一部が、小孔を貫通することにより、第一の生地と第二の生地とを接続するプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンであって、
生地接続用テープと第一の生地との間の、小孔に対応する位置に、小孔より大きな遮光性材料からなる遮光部材をさらに含む、遮光性昇降カーテンである。
【0014】
好ましくは、生地接続部材が、接続紐と、接続留具とを含み、接続紐が、生地接続部材連結部において帯状部材と連結し、接続留具が、第一の生地とは第二の生地をはさんで反対側にありかつ接続紐と連結する、遮光性昇降カーテンである。また、好ましくは、遮光部材が、テープ状の遮光性生地である、遮光性昇降カーテンの製造方法である。
【0015】
また、本発明は、第一の生地と、
第一の生地と重ねられ、遮光性生地からなる第二の生地と、
第一の生地と第二の生地とを接続するための第一の生地に縫製して接合される1つ以上の生地接続用テープと、を含み、
生地接続用テープが、1つの帯状部材と、生地接続部材連結部において帯状部材の第一の生地とは反対の面に連結する1つ以上の生地接続部材と、を有し、
第二の生地が、少なくとも1つの生地接続部材連結部に対応する位置に小孔を有し、
生地接続部材の少なくとも一部が、小孔を貫通することにより、遮光性昇降カーテンと第二の生地とを接続するプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンの製造方法であって、
生地接続用テープを第一の生地に縫製して接合するテープ縫製位置と生地接続部材連結部との最短の距離が、1mm以上であるように、生地接続用テープを第一の生地に縫製して接合する工程を含む、遮光性昇降カーテンの製造方法である。
【0016】
好ましくは、生地接続用テープを第一の生地に縫製して接合する工程の前に、生地接続用テープと第一の生地との間の、小孔に対応する位置に、小孔より大きな遮光性材料からなる遮光部材を配置する工程をさらに含む、遮光性昇降カーテンの製造方法である。また、好ましくは、遮光部材が、テープ状の遮光性生地である、遮光性昇降カーテンの製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、ピンホールからの光漏れを抑制し、防止したプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンを得ることができる。そのため、意匠性を損なうことなく、プレーンスタイルの遮光性昇降カーテンを用いて完全な遮光を行うことができ、消費者のカーテンの性能やデザインに対する高い要求を満たすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンは、複数のカーテン生地を接続するための縫製位置を所定の位置とすることにより、ピンホールをなくし、それによりカーテンの光漏れを防止することを特徴とする。さらに、本発明では、テープ状等の形状の遮光性部材を所定の位置に配置することにより、光漏れをほぼ完全に防止し、カーテンの遮光を確実なものとすることができる。
【0019】
まず、プレーンスタイルの遮光性昇降カーテンにおいて、ピンホールおよび光漏れが生じる原理について説明する。
【0020】
図3に、従来のプレーンスタイルの遮光性昇降カーテン1の第一の生地10を第二の生地20に接続する部分の断面を含む模式図を示す。第一の生地10の部屋の内部に向く面とは反対側の表面に、生地接続用テープ30がテープ縫製位置11で縫製されている。
【0021】
第一の生地10と第二の生地20の接続は、帯状部材31、接続紐37および接続留具38を含む生地接続用テープ30を介して行う。すなわち、生地接続用テープ30の接続紐37を、第二の生地20の小孔21に挿通する。生地接続用テープ30の接続留具38を接続紐37に装着することにより、第二の生地20を第一の生地10と接続留具38の間に配置することで、二つの生地を接続する。
【0022】
図3に示す従来の構造のカーテンの場合の、光漏れの原理を模式的に図4に示す。従来は生地接続用テープ30を縫製する際に一箇所を縫製する場合には、帯状部材の中心33付近を縫製することが多かった。そのため、この図4に示すように、テープ縫製位置11と生地接続部材連結部36との最短の距離dが短かくなり、太陽などの光源51から発した光線52が小孔21と針穴12とを通過し、ピンホールの光漏れの問題が生じるのである。
【0023】
また、従来のプレーンスタイルの場合には、第一の生地10、第二の生地20および生地接続用テープ30をこの順番に並べてすべてを縫製するという構造もとられていた。この場合には、小孔21を第二の生地20に設ける必要はないが、縫製の際の針穴が第一の生地10、第二の生地20および生地接続用テープ30を貫通することでピンホールを形成するため、ピンホールの光漏れの問題がより大きく生じることとなる。
【0024】
上記のようなピンホールの光漏れの原理を解明したのち、本発明者は本発明に至った。すなわち、帯状部材の中心33付近を縫製した場合には、ピンホールの光漏れが生じるのであるから、テープ縫製位置11と生地接続部材連結部36との最短の距離dを所定の長さとすることにより、このようなピンホールの光漏れの発生を抑制することができる。それに加えて、図8に示すように、第一の生地10と生地接続用テープ30との間に遮光部材40を配置することにより、ピンホールの光漏れを完全に無くし、カーテンの遮光を確実なものとすることができることを見出した。以下、本発明について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
まず、プレーンスタイルの遮光性昇降カーテン1についてさらに詳しく説明し、次に距離dを所定の長さとすることについて説明する。図5に、プレーンスタイルの遮光性昇降カーテン1の、第一の生地10を第二の生地20に接続する部分の断面を含む模式図を示す。図5は、図3と同様な図であるが、テープ縫製位置11の場所が異なっている。まず、図5を用いて、プレーンスタイルの遮光性昇降カーテン1についてさらに詳しく説明する。
【0026】
図5では、第一の生地10の表面に、1つ以上の生地接続用テープ30がテープ縫製位置11で縫製されている。第一の生地10と第二の生地20は、ほぼ同一の大きさと形状であり、これらの生地は重ねられ、生地接続用テープ30によって接続されることにより、カーテン生地として用いられる。
【0027】
カーテンを窓に設置した際に室外側に面する第二の生地20は、カーテンを遮光性とするために、遮光性生地などの遮光性材料を用いる。室内側に面する第一の生地10の材料は、遮光性生地などの遮光性材料であってもよいし、遮光性のない材料であってもよい。第一の生地10は、一般的に、室内に面する側の表面に意匠的なデザインを施すことが多いので、デザインを重視する用途の場合には、意匠性の高い一般的な生地を第一の生地10として用いることができる。ただし、遮光性を高めるという観点から、第一の生地10は、遮光性生地などの遮光性材料を用いたものであることが好ましい。
【0028】
生地接続用テープ30の一例として、一般的には「リングテープ」という名称で市販されているものを用いることができる。図7に、この形式の生地接続用テープ30の模式図を示す。(A)は、正面模式図であり、(B)は中心付近の断面模式図である。生地接続用テープ30は、帯状部材31と、生地接続部材35とを含む。生地接続部材35は、帯状部材の第一の生地に面する面とは反対の面に連結してある。
【0029】
生地接続用テープ30の帯状部材31は、一般的に樹脂製、例えばポリエステル製のメッシュ材料を用いたリボン状のテープであり、帯状部材の中心33には、15cm程度の間隔で生地接続部材35が連結している。なお、本明細書では、生地接続部材35が帯状部材31に連結している位置を生地接続部材連結部36という。帯状部材31の中央部には補強材が配置された補強部32となっており、生地接続部材35の取り付けを確実にしている。
【0030】
生地接続部材35は、接続紐37と接続留具38とを含む。接続紐37は、一般的に、径0.8mm程度の紐であり、その両端が、生地接続部材連結部36において帯状部材31に連結されている。そのため、接続紐37は輪を形成するような形状となっている。接続留具38は、一般的に、樹脂製のリング状の形状を有しており、「リング」の名称で知られている。接続留具38のリング状の形状の一部には隙間があるため、接続留具38は接続紐37の輪状の部分に着脱可能な構造となっている。なお、接続留具38のリング状の形状の一部には隙間がない構造のものも用いることもでき、その場合には、接続紐37をリングに結びつけることによって、接続留具38と接続紐37とを接続することも可能である。
【0031】
1つ以上の生地接続用テープ30は、生地接続部材35が所定の位置となるように、第一の生地10に縫製される。生地接続用テープ30の本数は、第一の生地10の、カーテンとして取り付けた場合の水平方向の幅によって異なる。通常、生地接続用テープ30はカーテンとして取り付けた場合、上下方向に延びるように縫製される。また、このとき、生地接続用テープ30の水平方向の間隔が20〜80cm程度、好ましくは40〜60cm程度の間隔となるように縫製する。また、生地接続用テープ30の水平方向の間隔は、均等にカーテンを上下させるために、および意匠性の観点から、等間隔とすることが好ましい。
【0032】
第一の生地10と第二の生地20の接続は、図5に示すように、生地接続用テープ30を介して行う。第二の生地は、少なくとも1つ以上の生地接続部材連結部36に対応する位置に小孔21を有する。なお「生地接続部材連結部36に対応する位置」とは、第一の生地10と第二の生地20とを所定のカーテンとなるように重ねた際に、帯状部材31に生地接続部材連結部36において連結されている接続紐37を小孔21に挿通して、接続留具38を接続紐37に装着することが可能となるような小孔21の位置をいう。
【0033】
生地接続用テープ30の接続紐37を第二の生地20の小孔21に挿通し、接続紐37が小孔21を貫通した状態とする。そして、接続留具38を接続紐37に装着することにより、接続留具38と接続紐37とを連結する。この結果、第二の生地20が第一の生地10と接続留具38の間の配置されることとなり、第一の生地10と第二の生地20が接続される。なお小孔21は、全ての生地接続部材連結部36に対応する位置に配置される必要は必ずしもなく、第一の生地10と第二の生地20の接続を確実にし、昇降コード3をリング状の接続留具38に挿通するという目的を達するのに十分な数であればよい。したがって、第二の生地20は、所定の位置に、少なくとも1つの小孔21を有すればよい。
【0034】
次に、テープ縫製位置11と生地接続部材連結部36との最短の距離dを所定の長さとすることについて説明する。
【0035】
図4において説明した従来のカーテンにおいて、テープ縫製位置11が生地接続用テープ30の中心に近い場合には、第二の生地20の小孔21に近い針穴12においては、小孔21を透過した光線52がさらに針穴12を通過することとなる。そこで、上記の光漏れを防止するために、生地接続用テープ30を第一の生地10に縫製して接合するテープ縫製位置11と生地接続部材連結部36との最短の距離をdとした場合、距離dを1mm以上とする。光漏れ防止を確実にするためには、距離dが2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましい。
【0036】
なお、生地接続部材連結部36は、所定の大きさを有するため、テープ縫製位置11と生地接続部材連結部36との最短の距離dは、テープ縫製位置11と生地接続部材連結部36の中心との距離より若干、短くなる。すなわち、距離dは、テープ縫製位置11と接続紐37の外周との最短の距離に相当する。
【0037】
図6および図7(A)に示すように、テープ縫製位置11が二箇所の場合、生地接続部材連結部36は、そのどちらのテープ縫製位置11からも、少なくとも上記所定の距離dだけ離れていることが必要である。また、第一の生地10に対する生地接続用テープの縫製は、必ずしも直線状に行う必要はないが、直線状に縫製しない場合であっても、生地接続部材連結部36は、そのどちらのテープ縫製位置11のどの位置からも、少なくとも上記所定の距離dだけ離れていることが必要である。
【0038】
上述のような縫製によって、小孔21を透過した光線52がさらに針穴12を通過することを避けることができる。なお、第一の生地10が遮光性材料ではない場合、小孔21からの光は減衰した光線53の透過を生じうるため、光漏れの防止は完全ではないが、光が減衰することにより一定の光漏れ防止効果を得ることができる。また、第一の生地10が遮光性材料である場合には、減衰した光線53の透過は生じないため、完全な光漏れ防止効果を得ることができる。そのため、第一の生地10が遮光性材料であることが好ましい。
【0039】
次に、本発明の別の態様のカーテンについて説明する。
【0040】
この態様のカーテンは、上述したような所定のテープ縫製位置11とすることに加えて、さらに光漏れ防止を確実にするために、図8に示すように、生地接続用テープ30と第一の生地10との間の小孔21に対応する位置に、小孔21より大きな寸法の遮光部材40をさらに含む構造とすることができる。「小孔21に対応する位置」とは、第一の生地10と第二の生地20を所定のカーテンを構成するように接続した際に、遮光部材40が小孔21からの光線52の入射を遮るような位置をいう。遮光部材40は小孔21より大きな寸法なので、遮光部材40を小孔21に対応する位置に配置することによって、小孔21からの光線52の入射を遮ることができる。なお、小孔21は、生地接続部材連結部36に対応する位置に配置されているので、遮光部材40は、地接続部材連結部36の位置を含むように、生地接続用テープ30と第一の生地10の間に配置する。
【0041】
遮光性材料としては、遮光性生地を用いることが好ましい。また、遮光性生地が第二の生地20と同じ生地であることが、コスト低下等の観点からさらに好ましい。
【0042】
遮光部材40は、第二の生地20の小孔21からの光漏れを防止できる大きさのものであれば、どのような形状であってよい。例えば、遮光部材40は、生地接続用テープ30の形状と同様に、テープ状の遮光性生地であることができる。また、遮光部材40は、第二の生地20の小孔21を覆うのに十分な大きさを有する遮光性生地の生地片であってもよい。遮光部材40の大きさは、小孔21より大きな寸法であるが、小孔21の外周より1mm以上大きな形状とすることが好ましく、2mm以上大きな形状とすることがさらに好ましい。遮光を確実にするためには、さらに小孔21の外周より3mm以上大きな形状とすることが好ましい。また、遮光性部材の取り付け方法は、粘着や縫製など、適宜選択することができる。しかし、こわばりの無い意匠性のあるカーテンを得ることができ、また作業が容易となるという観点から、生地接続用テープ30の縫製の際に、遮光部材40も一緒に第一の生地10に対して縫製することが好ましい。この場合、遮光部材40は、上述の所定の縫製を行うために十分な大きさであることが必要である。また、縫製をさらに容易にするという観点から、遮光部材40は、生地接続用テープ30の形状と同様に、テープ状の遮光性生地であることが好ましい。
【0043】
図9に、遮光部材40を含む構造の遮光性昇降カーテン1の一例として、第一の生地10を、第二の生地20に接続する部分の断面を含む模式図を示す。この遮光性昇降カーテン1は、生地接続用テープ30と第一の生地10との間に遮光部材40をさらに含んでいる。図9のカーテンの場合、遮光部材40はテープ状の形状である。以下、図9の遮光性昇降カーテン1をさらに詳しく説明する。
【0044】
図9では、第一の生地10の部屋の内部に向く面とは反対側の表面に、1つ以上の生地接続用テープ30が、遮光部材40とともに、テープ縫製位置11において縫製されている。第一の生地10と第二の生地20は、ほぼ同一の大きさと形状であり、これらは重ねられ、生地接続用テープ30により接続されることにより、カーテン生地として用いられる。
【0045】
カーテンを窓に設置した際に室外側に面する第二の生地20は、カーテンを遮光性とするために、遮光性生地などの遮光性材料を用いる。室内側に面する第一の生地10の材料は、遮光性生地などの遮光性材料であってもよいし、遮光性のない材料であってもよい。ただし、本態様の場合には遮光部材40を有するために、第一の生地10の材料が遮光性材料ではないものであっても光漏れ防止効果を得ることができる。また、第一の生地10は、一般的に、室内に面する側の表面に意匠的なデザインを施すことが多いので、意匠性の自由度の高い一般的な生地を第一の生地10として用いることが好ましい。
【0046】
生地接続用テープ30の一例として、一般的には、上述した「リングテープ」という名称で市販されているものを用いることができる。
【0047】
1つ以上の生地接続用テープ30は、生地接続部材35が所定の位置となるように、第一の生地10に縫製される。このとき、遮光部材40を生地接続用テープ30と第一の生地10の間に配置して縫製する。遮光部材がテープ状の形状の場合には、生地接続用テープ30の本数は、第一の生地10の、カーテンとして取り付けた場合の水平方向の幅によって異なる。また、遮光部材40は、生地接続用テープ30に対応して配置する。通常、生地接続用テープ30はカーテンとして取り付けた場合の上下方向に延びるように縫製される。また、このとき、生地接続用テープ30の水平方向の間隔が20〜80cm程度、好ましくは40〜60cm程度の等間隔となるように縫製する。また、生地接続用テープ30の水平方向の間隔は、均等にカーテンを上下させるために、および意匠性の観点から、等間隔とすることが好ましい。遮光部材40がテープ状の遮光性生地の場合には、生地接続用テープ30と同様に配置し縫製する。また、遮光部材40が生地片の場合には、全ての小孔21に対応する位置に遮光部材40の生地片が配置されるように縫製する。
【0048】
図9に示すように、第一の生地10と第二の生地20の接続は、生地接続用テープ30を介して行う。第二の生地は、少なくとも1つ以上の生地接続部材連結部36に対応する位置に小孔21を有する。生地接続用テープ30の接続紐37を第二の生地20の小孔21に挿通し、接続留具38を接続紐37に装着することにより、接続留具38と接続紐37とを連結する。この結果、第二の生地20が第一の生地10と接続留具38の間の配置されることとなり、第一の生地10と第二の生地20が接続される。
【0049】
本発明の遮光部材40を含む構造において、縫製の際の針穴からの光漏れを確実に防止するためには、上述したように、テープ縫製位置11を所定の位置とすることが必要である。すなわち、遮光部材40を第一の生地10に縫製して接合するテープ縫製位置11と生地接続部材連結部36との最短の距離をdとした場合、距離dを1mm以上とすることが好ましい。光漏れ防止をより確実にするためには、距離dが2mm以上であることがさらに好ましく、3mm以上であることが特に好ましい。
【0050】
図10に、本発明の遮光部材40を含む構造における光漏れ防止の原理的な模式図を示す。図6と比較し、図10においては、生地接続用テープ30と第一の生地10との間に遮光性材料からなる遮光部材40をさらに含む点が異なっている。そのため、太陽などの光源51から発した光線52は、生地等の幾何学的配置のため、小孔21と針穴12を通過することができない。さらに、図6の場合に生じていた減衰した光線53の透過も生じない。そのため、この構造のカーテンでは、より完全な光漏れの防止効果を発揮することができる。
【0051】
次に、本発明のカーテンの製造方法を述べる。
【0052】
まず、複数のカーテン生地を接続するための縫製位置を所定の位置とした構造のカーテンの製造方法について説明する。所定の大きさの第一の生地10と、第二の生地20を用意する。次に、第一の生地10と、第一の生地10の大きさに対応する所定の長さの生地接続用テープ30を用意し、所定の本数の生地接続用テープ30を、生地接続部材連結部が所定の位置となるように、第一の生地10に縫製する。このとき、テープ縫製位置11と生地接続部材連結部36との最短の距離dが、1mm以上であるように縫製することが、本発明の製造方法の特徴である。なお、光漏れ防止を確実にするためには、距離dが2mm以上であるように縫製することが好ましく、3mm以上であるように縫製することがより好ましい。次に、第二の生地20の、少なくとも1つの生地接続部材連結部に対応する位置に小孔21を形成する。生地接続部材35の接続紐37を小孔21に挿通し、接続留具38を装着することにより、遮光性昇降カーテン1の生地の部分が完成する。
【0053】
遮光性昇降カーテン1の生地の部分をヘッドレール2にマジックテープ(登録商標)等を用いて取り付け、昇降コード3をリング状の接続留具38に挿通し、カーテン下部に接続することにより、遮光性昇降カーテン1を製造することができる。
【0054】
次に、本発明の遮光部材40を含む構造のカーテンの製造方法について説明する。この構造のカーテンの製造方法は、基本的には、上述の製造方法と同じであるが、生地接続用テープ30を第一の生地10に縫製して接合する工程の前に、生地接続用テープ30と第一の生地10との間に遮光性材料からなる遮光部材40を配置する工程をさらに含むところが異なる。したがって、生地接続用テープ30と第一の生地10を縫製する際に、生地接続用テープ30と第一の生地10との間に挟まれた遮光部材40も一緒に縫製されることとなる。このとき、上述の場合と同様に、テープ縫製位置11と生地接続部材連結部36との最短の距離が1mm以上であるように縫製することが好ましい。なお、光漏れ防止を確実にするためには、距離dが2mm以上であるように縫製することが好ましく、3mm以上であるように縫製することがより好ましい。
【実施例】
【0055】
以下に示すように、本発明のカーテンを試作し、遮光性能を光漏れ試験の写真撮影により明らかにした。なお、本実施例中、遮光性生地の遮光等級は、社団法人日本インテリアファブリックス協会の定める遮光等級である。
【0056】
比較例
まず、比較例として、従来の構造のプレーンスタイルのカーテンを試作した。すなわち、比較例のカーテンの構造は、第一の生地として遮光性の無い一般的なカーテン表生地、第二の生地として遮光性生地(遮光1級)および生地接続用テープとしてリングテープをこの順番に並べてすべてを縫製したものとした。この比較例のカーテンの光漏れ試験として、このカーテンの一方の面に対して光を照射したときの、反対側の面の写真を図11に示す。この図のように、縫製の際の針穴から光漏れが生じた。また、漏れた光のために生地表面が視認できるほど明るくなった。
【0057】
実施例1
図5に示す構造のプレーンスタイルのカーテンを、実施例1として試作した。第一の生地として遮光性の無い一般的なカーテン表生地、第二の生地として遮光性生地(遮光1級)を用い、生地接続用テープとしてリングテープを用いた。第一の生地と生地接続用テープとの縫製は、テープ縫製位置と生地接続部材連結部との最短の距離dを1mmとなるようにして行った。この実施例1のカーテンの光漏れ試験として、このカーテンの一方の面に対して光を照射したときの、反対側の面の写真を図12に示す。この図のように、第一の生地から多少の光漏れが生じたものの、比較例と比べると、光漏れは大きく減少した。
【0058】
実施例2
本発明の遮光部材40を含む構造のカーテンである、図9に示す構造のプレーンスタイルのカーテンを、実施例2として試作した。第一の生地として遮光性の無い一般的なカーテン表生地、第二の生地として遮光性生地(遮光1級)を用い、生地接続用テープとしてリングテープを用いた。また、遮光部材として、第二の生地と同じ遮光性生地(遮光1級)をテープ状とした形状のものを用い、カーテン表生地とリングテープの間に配置し縫製た。第一の生地、遮光部材および生地接続用テープの縫製位置は、テープ縫製位置と生地接続部材連結部との最短の距離dを1mmとなるようにして行った。この実施例2のカーテンの光漏れ試験として、このカーテンの一方の面に対して光を照射したときの、反対側の面の写真を図13に示す。この図のように、実施例2のカーテンにおいては、光漏れは全く生じなかった。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】プレーンスタイルの遮光性昇降カーテンの、部屋の内部に向く側(表側)の模式図である。
【図2】プレーンスタイルの遮光性昇降カーテンの、窓の外へ向く側(裏側)の模式図である。
【図3】従来のプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンの、第一の生地を第二の生地に接続する部分の断面を含む模式図である。
【図4】従来のプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンの、光漏れの原理的模式図である。
【図5】従来のプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンの、第一の生地を第二の生地に接続する部分の断面を含む模式図である。
【図6】本発明の遮光性昇降カーテンの縫製位置を示す原理的模式図である。
【図7】生地接続用テープの模式図であり、(A)は正面模式図、(B)は中心付近の断面模式図である。
【図8】本発明の遮光性カーテンの構造を示す模式図である。
【図9】本発明の遮光性カーテンの、第一の生地を第二の生地に接続する部分の断面を含む模式図である。
【図10】本発明の遮光性カーテンの、光漏れ防止の原理的模式図である。
【図11】比較例のカーテンの、光漏れ試験の写真である。
【図12】実施例1のカーテンの、光漏れ試験の写真である。
【図13】実施例2のカーテンの、光漏れ試験の写真である。
【符号の説明】
【0060】
1 遮光性昇降カーテン
2 ヘッドレール
3 昇降コード
4 操作コード
5 ウェイトバー用ポケット
10 第一の生地
11 テープ縫製位置
12 針穴
20 第二の生地
21 小孔
30 生地接続用テープ、リングテープ
31 帯状部材
32 補強部
33 帯状部材の中心
35 生地接続部材
36 生地接続部材連結部
37 接続紐
38 接続留具、リング
40 遮光部材
51 光源
52 光線
53 減衰した光線
d テープ縫製位置と生地接続部材連結部との最短の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の生地と、
第一の生地と重ねられ、遮光性生地からなる第二の生地と、
第一の生地と第二の生地とを接続するための第一の生地に縫製して接合される1つ以上の生地接続用テープと、を含み、
生地接続用テープが、帯状部材と、生地接続部材連結部において帯状部材の第一の生地とは反対の面に連結する1つ以上の生地接続部材と、を有し、
第二の生地が、少なくとも1つの生地接続部材連結部に対応する位置に小孔を有し、
生地接続部材の少なくとも一部が、小孔を貫通することにより、第一の生地と第二の生地とを接続するプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンであって、
生地接続用テープを第一の生地に縫製して接合するテープ縫製位置と生地接続部材連結部との最短の距離が、1mm以上である、遮光性昇降カーテン。
【請求項2】
生地接続用テープと第一の生地との間の、小孔に対応する位置に、小孔より大きな遮光性材料からなる遮光部材をさらに含む、請求項1記載の遮光性昇降カーテン。
【請求項3】
第一の生地と、
第一の生地と重ねられ、遮光性生地からなる第二の生地と、
第一の生地と第二の生地とを接続するための第一の生地に縫製して接合される1つ以上の生地接続用テープと、を含み、
生地接続用テープが、帯状部材と、生地接続部材連結部において帯状部材の第一の生地とは反対の面に連結する1つ以上の生地接続部材と、を有し、
第二の生地が、少なくとも1つの生地接続部材連結部に対応する位置に小孔を有し、
生地接続部材の少なくとも一部が、小孔を貫通することにより、第一の生地と第二の生地とを接続するプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンであって、
生地接続用テープと第一の生地との間の、小孔に対応する位置に、小孔より大きな遮光性材料からなる遮光部材をさらに含む、遮光性昇降カーテン。
【請求項4】
遮光部材が、テープ状の遮光性生地である、請求項2または3記載の遮光性昇降カーテン。
【請求項5】
生地接続部材が、接続紐と、接続留具とを含み、接続紐が、生地接続部材連結部において帯状部材と連結し、接続留具が、第一の生地とは第二の生地をはさんで反対側にありかつ接続紐と連結する、請求項1〜4記載の遮光性昇降カーテン。
【請求項6】
第一の生地と、
第一の生地と重ねられ、遮光性生地からなる第二の生地と、
第一の生地と第二の生地とを接続するための第一の生地に縫製して接合される1つ以上の生地接続用テープと、を含み、
生地接続用テープが、1つの帯状部材と、生地接続部材連結部において帯状部材の第一の生地とは反対の面に連結する1つ以上の生地接続部材と、を有し、
第二の生地が、少なくとも1つの生地接続部材連結部に対応する位置に小孔を有し、
生地接続部材の少なくとも一部が、小孔を貫通することにより、遮光性昇降カーテンと第二の生地とを接続するプレーンスタイルの遮光性昇降カーテンの製造方法であって、
生地接続用テープを第一の生地に縫製して接合するテープ縫製位置と生地接続部材連結部との最短の距離が、1mm以上であるように、生地接続用テープを第一の生地に縫製して接合する工程を含む、遮光性昇降カーテンの製造方法。
【請求項7】
生地接続用テープを第一の生地に縫製して接合する工程の前に、生地接続用テープと第一の生地との間の、小孔に対応する位置に、小孔より大きな遮光性材料からなる遮光部材を配置する工程をさらに含む、請求項6記載の遮光性昇降カーテンの製造方法。
【請求項8】
遮光部材が、テープ状の遮光性生地である、請求項7記載の遮光性昇降カーテンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−18037(P2009−18037A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183084(P2007−183084)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(591254143)リリカラ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】