説明

遮光性硬化性組成物、ウエハレベルレンズ、及び遮光性カラーフィルタ

【課題】パターンエッジの形成性、分散性および保存安定性に優れた遮光性硬化性組成物、並びにそれを使用して作成された遮光部を有するウエハレベルレンズおよび遮光性カラーフィルタを提供すること。
【解決手段】(A)無機顔料、(B)ポリエステル構造を有する分散剤、(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物、(D)重合開始剤、及び(E)溶媒を含む遮光性硬化性組成物、並びにこの組成物を硬化して作成されたれ遮光部を有するウエハレベルレンズおよび遮光性カラーフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光性硬化性組成物、ウエハレベルレンズ、及び遮光性カラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、固体撮像素子上に被写体像を結像するレンズとを備えている。
【0003】
携帯端末の小型化・薄型化、そして携帯端末の普及により、それに搭載される撮像ユニットにも更なる小型化・薄型化が要請され、そして生産性が要請される。かかる要請に対して、複数のレンズが形成されたレンズ基板と、複数の固体撮像素子が形成されたセンサ基板とを一体に組み合わせ、その後に、それぞれにレンズ及び固体撮像素子を含むようにレンズ基板及びセンサ基板を切断して撮像ユニットを量産する方法が知られている。
また、ウエハ上にレンズを形成する方法をとることで、種々の簡易な形成方法が可能となり、例えば、レンズのみをガラスウエハ上等で作製し、個々のセンサと組み合わせるサイズに切断し、予め個片化された撮像素子と組み合わせて撮像ユニットを作製する方法、金型を用いて樹脂のみにより複数のレンズを形成し、これらをセンサ基板上に組み合わせ切断する方法、レンズを個々のセンサと組み合わせるサイズに切断し、予め個片化された撮像素子と組み合わせ、撮像ユニットを作製する方法などをとることができる。
【0004】
従来のウエハレベルレンズアレイとしては、ガラス等の光透過性材料で形成された平行平板の基板の表面に硬化性樹脂材料を滴下し、この樹脂材料を金型にて所定の形状に整形した状態で硬化させ、複数のレンズを形成したものが知られている(例えば特許文献1〜2参照)。ウエハレベルレンズのレンズ部周縁部またはレンズの一部には、通過する光の量を調整するため、遮光性膜や金属膜などからなる遮光部が形成されることがある。この遮光部は、一般に、硬化性の遮光性組成物を塗設してフォトリソグラフィ法を用いて形成されたり、金属を蒸着したりすることで形成される。
【0005】
また、他のウエハレベルレンズアレイとして、シリコン基板に複数の貫通孔を形成し、別途形成した球体状のレンズ素材を各貫通孔に配置し、半田によりレンズ素材を基板に接合した後にレンズ素材を研磨して、複数のレンズを形成したものも知られている(特許文献3参照)。この製造方法で得られたレンズにおいても、通過する光の量を調整するため、上記と同様の遮光性膜や金属膜などを設けることがある。
【0006】
また、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタには着色画素間の光を遮蔽し、コントラストを向上させる等の目的で、ブラックマトリクスと呼ばれる遮光膜が備えられている。また、固体撮像素子においてもノイズ発生防止、画質の向上等を目的として遮光性カラーフィルタが設けられる。
【0007】
これらウエハレベルレンズの遮光部の形成、液晶表示装置用カラーフィルタのブラックマトリクスや固体撮像素子用の遮光性カラーフィルタの形成を、遮光性を担う遮光材料を含有する光硬化性組成物(以下、「遮光性硬化性組成物」ともいう。)を用いて、フォトリソグラフィ法により形成する場合、遮光性硬化性組成物には、以下のような性能が求められる。即ち、硬化した組成物が高遮光性を有すると共に、未硬化組成物が現像液によって容易かつ綺麗に除去される現像性、および硬化部と未硬化部の境界が鋭く峻別されるパターンエッジの形成性のいずれにおいても優れていることが要求される。
【0008】
例えば、遮光性硬化性組成物に含まれる遮光材料の配合割合を多くすることにより、高い遮光性を有する硬化膜が得られるが、遮光材料の配合割合が高いと、例えば重合性化合物のような硬化、現像性等に寄与する成分の配合割合が少なくなる為、遮光性硬化性組成物の硬化性、現像性、パターンエッジの形成性等が悪くなる。また、遮光材料の配合割合の増加に合わせて多官能モノマーの配合割合を増加すると遮光性硬化性組成物の硬化性が向上し、感度、硬度、強度、密着性等が改善されるが、多官能モノマーの配合割合の増加により、遮光性硬化性組成物の現像性は更に悪くなってしまう。現像性が悪化すると、パターンエッジの形成性の悪化、現像残渣等の問題が顕著となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3926380号公報
【特許文献2】国際公開2008/102648号パンフレット
【特許文献3】米国特許第6426829号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記問題点を考慮してなされた本発明の目的は、高い遮光性を有する硬化膜が得られると共に、現像性およびパターンエッジの形成性に優れた遮光性硬化性組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、遮光性が高くパターンエッジの優れた遮光部を有するウエハレベルレンズを提供することを目的とする。
本発明の更に別の目的は、遮光性の高い遮光部を有する遮光性カラーフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記課題を解決する手段は、下記の<1>〜<13>の通りである。
<1>(A)無機顔料、(B)ポリエステル構造を有する分散剤、(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物、(D)重合開始剤、および(E)溶媒を含む遮光性硬化性組成物。
<2>前記(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物の分子量(M)を分子中に存在する重合性基の数(v)で除した値(M/v)が100〜3,000の範囲である<1>に記載の遮光性硬化性組成物。
<3>前記(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物のポリエステル構造がポリカプロラクトンである<1>または<2>に記載の遮光性硬化性組成物。
<4>前記(A)無機顔料がチタンブラックである<1>〜<3>のいずれかに記載の遮光性硬化性組成物。
【0012】
<5>前記(B)ポリエステル構造を有する分散剤が、pKaが6以下である酸基を有するモノマー(b−1)と質量平均分子量が1,000以上である下記式(1)または式(2)で表されるマクロモノマー(b−2)との共重合体である<1>〜<4>のいずれかに記載の遮光性硬化性組成物。
【化1】


式(1)〜式(2)において、XおよびXは各々水素原子または1価の有機基を表し、YおよびYは各々2価の連結基を表し、ZおよびZはそれぞれ独立に1価の有機基を表し、nおよびmは各々1から500の整数を表し、pおよびqは各々2から5の整数を表す。nまたはmが2以上の整数を表わす場合、複数あるpまたはqは互いに異なる整数であってもよい。
<6>前記(B)ポリエステル構造を有する分散剤が一般式(I)で表される樹脂である<1>〜<4>のいずれかに記載の遮光性硬化性組成物。
【化2】


一般式(I)中、Rは数平均分子量500〜30,000のポリエステルを表し、yは1または2を表す。
【0013】
<7>さらに、(F)有機顔料を含有する<1>〜<6>のいずれかに記載の遮光性硬化性組成物。
<8>前記(A)無機顔料を遮光性硬化性組成物の全固形分に対して5質量%〜70質量%含有する<1>〜<7>のいずれかに記載の遮光性硬化性組成物。
<9>前記(B)ポリエステル構造を有する分散剤を遮光性硬化性組成物の全固形分に対して0.1質量%〜50質量%含有する<1>〜<8>のいずれかに記載の遮光性硬化性組成物。
<10>前記(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物を遮光性硬化性組成物の全固形分に対して3質量%〜55質量%含有する<1>〜<9>のいずれかに記載の遮光性硬化性組成物。
<11>更にバインダポリマーを含有する<1>〜<10>のいずれかに記載の遮光性硬化性組成物。
【0014】
<12>基板上に存在するレンズの周縁部に、<1>〜<11>のいずれかに記載の遮光性硬化性組成物を硬化して形成した遮光部を有するウエハレベルレンズ。
<13>基板上に、<1>〜<11>のいずれかに記載の遮光性硬化性組成物を硬化して形成された遮光部を有するカラーフィルタ。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高い遮光性を有する硬化膜が得られると共に、現像性およびパターンエッジの形成性に優れた遮光性硬化性組成物が提供される。また、本発明によれば、遮光性が高くパターンエッジの優れた遮光部を有するウエハレベルレンズが提供される。更にまた、本発明によれば、遮光性の高い遮光部を有する遮光性カラーフィルタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ウエハレベルレンズアレイの一例を示す平面図である。
【図2】図1に示すウエハレベルレンズアレイのA−A線断面図である。
【図3】基板にレンズとなる成形材料を供給している状態を示す概略図である。
【図4】図4A〜図4Cは、基板にレンズを型で成形する手順を示す概略図である。
【図5】図5A〜図5Cは、レンズが成形された基板に本発明の遮光性硬化性組成物からなるパターン状の遮光膜を形成する工程を示す概略図である。
【図6】ウエハレベルレンズアレイの他の構成例を示す断面図である。
【図7】図7A〜図7Cは、本発明の遮光性硬化性組成物による遮光膜形成工程の他の態様を示す概略図である。
【図8】図8A〜図8Cは、本発明の遮光性硬化性組成物により形成されたパターン状の遮光層を有する基板にレンズを成形する工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の遮光性硬化性組成物について詳細に説明する。
ここで、 本明細書において、「ウエハレベルレンズ」とは、固体撮像素子に備えられるレンズであって、基板上に存在する個々のレンズと該レンズの周縁部に設けられた遮光部とからなるものを意味する。また、該ウエハレベルレンズからなる群を「ウエハレベルレンズアレイ」と呼ぶ。
<遮光性硬化性組成物>
本発明の遮光性硬化性組成物は、(A)無機顔料、(B)ポリエステル構造を有する分散剤、(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物、(D)重合開始剤、及び(E)溶媒を含む。
【0018】
(A)無機顔料
本発明の遮光性硬化性組成物に含まれる遮光材料としては、保存安定性、安全性の観点から(A)無機顔料が選択される。(A)無機顔料としては、紫外光から赤外光までの波長領域の遮光性を発現すべく、紫外光から赤外光まで吸光度を有する顔料が好ましい。(A)無機顔料としては、金属単体からなる顔料、金属酸化物、金属錯塩等から選ばれる金属化合物からなる顔料などを挙げることができる。
【0019】
具体的には、例えば、亜鉛華、鉛白、リトポン、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、沈降性硫酸バリウムおよびバライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)、ジルコングレー、プラセオジムイエロー、クロムチタンイエロー、クロムグリーン、ピーコック、ビクトリアグリーン、紺青(プルシアンブルーとは無関係)、バナジウムジルコニウム青、クロム錫ピンク、陶試紅、サーモンピンク等が挙げられる。また、黒色の無機顔料としては、Co、Cr、Cu、Mn,Ru、Fe、Ni、Sn、Ti及びAgからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属元素を含む金属酸化物、金属窒素物が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、また、2種以上の混合物として用いることもできる。
特に、紫外から赤外までの広い波長域での遮光性を発現する目的で、単独のみならず、複数種の顔料を混合し、使用することが可能である。
【0020】
また、遮光性と硬化性の観点から、銀または錫のいずれか少なくとも一方を含む金属顔料、チランブラックが好ましく、紫外から赤外までの遮光性の観点からチタンブラックが最も好ましい。
本発明においてチタンブラックとは、チタン原子を有する黒色粒子である。好ましくは低次酸化チタンや酸窒化チタン等である。チタンブラック粒子は、そのまま用いてもよいが、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムで被覆することが可能であり、また、特開2007−302836号公報に示されるような撥水性物質での処理も可能である。
また、前記チタンブラックは、分散性、着色性等を調整する目的でCu、Fe、Mn、V、Ni等の複合酸化物、酸化コバルト、酸化鉄、カーボンブラック、アニリンブラック等の黒色顔料を1種あるいは2種以上の組み合わせで含有してもよく、この場合、顔料の50質量%以上をチタンブラック粒子が占めるものとする。
【0021】
チタンブラックの市販品の例としては、三菱マテリアル社製チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C、13Rおよび13R−N、赤穂化成(株)ティラック(Tilack)Dなどが挙げられる。
【0022】
チタンブラックの製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報)、二酸化チタンまたは水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)、二酸化チタンまたは水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
チタンブラックの比表面積は、とくに限定がないが、かかるチタンブラックを撥水化剤で表面処理した後の撥水性が所定の性能となるために、BET法にて測定した値が通常5m/g〜150m/g程度、特に20m/g〜100m/g程度であることが好ましい。
【0024】
チタンブラックに代表される本発明に係る(A)無機顔料の粒径は、平均一次粒子径が5nmから10μmであることが好ましく、分散性、遮光性、経時での沈降性の観点から平均粒径が10nm〜1μmであることが好ましい。無機顔料粒子は、球状、平板状、針状、紡錘状など、どのような形態であっても良い。無機顔料の粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)撮影により求めることができる。TEM撮影により得られた無機顔料粒子の投影面積を求め、この面積に相当する円の直径を求めて粒子径とする。100個以上の粒子について円相当径を求め算術平均することにより平均一次粒子径とする。
本発明の遮光性硬化性組成物には、(A)無機顔料は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、後述するように、遮光性、色調の調整等を目的として、有機顔料や染料などを所望により併用してもよい。
遮光性硬化性組成物中の(A)無機顔料の含有量(二種以上を併用する場合には、それらの総含有量)は、全固形分に対し、5質量%〜70質量%であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることがさらに好ましい。
【0025】
(A)無機顔料を遮光性硬化性組成物に配合するに際しては、予め無機顔料を(B)ポリエステル構造を有する分散剤により分散してなる顔料分散物としてから配合することが、無機顔料を均一に分散することが容易であるので好ましい。以下、(B)ポリエステル構造を有する分散剤について説明する。
【0026】
(B)ポリエステル構造を有する分散剤(以下、(B)特定樹脂ともいう)
本発明の(B)特定樹脂は、ポリエステル構造を含有する。このことにより、分散性、保存安定性が向上する。これは、ポリエステル鎖と溶媒との相溶性が良好であるためであると考えられる。
【0027】
本発明の(B)特定樹脂は、(B−1)pKaが6以下である酸基を有するモノマー(b−1)と、質量平均分子量が1,000以上であるマクロモノマー(b−2)の共重合体あるいは、(B−2)下記一般式(I)で表される分散樹脂であることが、(A)無機顔料を均一かつ長期間安定して分散させる性能に優れ、良好な現像性を達成するという観点から好ましい。以下、詳細に説明する。
【0028】
<(B−1)pKaが6以下である酸基を有するモノマー(b−1)と、質量平均分子量が1,000以上であるマクロモノマー(b−2)の共重合体>
pKaが6以下である酸基を有するモノマー(b−1)としては、アクリル酸、メタクリル酸、p−スチレンカルボン酸、p−スチレンスルホン酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリル酸と2−ヒドロキシエチルモノサクシネートとのエステル、メタクリル酸と2−ヒドロキシエチルモノフタレートとのエステル、メタクリル酸と2−ヒドロキシエチルモノホスフェートとのエステル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0029】
また、質量平均分子量が1,000以上であるマクロモノマー(b−2)としては、下記式(1)または式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0030】
【化3】

【0031】
式(1)〜式(2)において、XおよびXはそれぞれ独立に水素原子或いは1価の有機基を表す。合成上の制約の観点から、好ましくは水素原子、或いは炭素数1から12のアルキル基であり、水素原子或いはメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)〜式(2)において、YおよびYはそれぞれ独立に2価の連結基であり、特に構造上制約されない。具体的には、下記の(Y−1)から(Y−20)の連結基などが挙げられる。下記構造でA、Bはそれぞれ、式(1)〜式(2)における左末端基、右末端基との結合を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)、(Y−13)であることがより好ましい。
【0032】
【化4】

【0033】
式(1)および式(2)において、ZおよびZはそれぞれ独立に1価の有機基であり、特に、構造は限定されないが、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基またはアミノ基などが挙げられる。この中でも、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有することが好ましく、炭素数5から24のアルコキシ基が好ましい。
式(1)および式(2)において、nおよびmは各々1から500の整数を表す。nおよびmは、分散安定性、現像性の点から、各々5〜60が好ましく、5〜40がより好ましく、5〜20がさらに好ましい。また、pおよびqは各々2から8の整数を表す。pおよびqは、分散安定性、現像性の点から、各々4〜6が好ましく、5が最も好ましい。
nまたはmが2以上の場合、それによって括られる複数の括弧内の構造は、互いにpまたはqが異なっていても良い。
マクロモノマーとしては、式(1)または式(2)で表わされる化合物は、それぞれnの値が異なる二種以上のもの、またはmの値の異なる二種以上のものを組み合わせて使用されてもよい。また、pの異なるもの、qの異なるものが2種以上混合されてもよい。
分散溶液への溶解性、分散性、現像性の観点から最も好ましくは、ポリエステル鎖がポリカプロラクトン側鎖であり、カルボン酸、スルホン酸、リン酸由来の酸基を有する樹脂が好ましい。
【0034】
(B−1)pKaが6以下である酸基を有するモノマー(b−1)と、質量平均分子量が1,000以上であるマクロモノマー(b−2)の共重合体には、その効果を損なわない範囲において、更に、共重合可能な他の構造のビニルモノマー(b−3)に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0035】
ここで使用可能なビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。このようなビニルモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」と記載することがある。
【0036】
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチルなどが挙げられる。
【0037】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0038】
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0039】
共重合体(B−1)は、モノマー(b−1)を全質量中に3質量%〜70質量%含むことが好ましく、より好ましくは5質量%〜50質量%含むことである。また、共重合体(B−1)は、マクロモノマー(b−2)を全質量中に30質量%〜97質量%含むことが好ましく、より好ましくは40質量%〜95質量%含むことである。この範囲とすることにより、(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物との相溶性に優れ、かつ現像性にも優れた遮光性硬化性組成物が得られる。
【0040】
本発明における共重合体(B−1)の質量平均分子量は、遮光性硬化性組成物中に(A)無機顔料が均一かつ安定に分散された状態のものが得られ、かつ良好な現像性が得られるという観点から、10,000以上300,000以下であることが好ましく、15,000以上200,000以下であることがより好ましく、20,000以上100,000以下であることが更に好ましく、25,000以上50,000以下であることが特に好ましい。なお、特定樹脂の質量平均分子量は、例えば、GPCによって測定することができる。
【0041】
<(B−2)一般式(I)で表される樹脂>
【0042】
【化5】

【0043】
一般式(I)中、Rは数平均分子量500〜30,000のポリエステルを表す。yは1又は2を表す。yが2を表す場合、二つのRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0044】
一般式(I)で表される分散剤は公知の方法(例えば、特開平3−112992号公報参照)で製造することができ、具体的には、末端にヒドロキシル基を有するポリエステルを無水リン酸又はポリリン酸と反応させることで製造することが出来る。ポリエステルとしては、ラクトンを開環重合したポリエステルが分散溶液への溶解性・分散性・現像性の観点から好ましく、中でもポリε−カプロラクトンが最も好ましい。
【0045】
の数平均分子量としては500〜30,000が好ましく、500〜20,000がさらに好ましく、500〜10,000が最も好ましい。
【0046】
前記(B−2)の樹脂の質量平均分子量は、500〜30,000が好ましく、500〜20,000がさらに好ましく、500〜10,000が最も好ましい。この範囲にあることで、分散安定性及び基板上での現像性が向上する。
【0047】
前記(B−2)の樹脂は、y=1のリン酸モノエステル、y=2のリン酸二エステルの混合物として得られる。リン酸モノエステルとリン酸二エステルの存在率は、モル比でリン酸モノエステル:リン酸二エステル=95:5〜65:35が好ましく、リン酸モノエステル:リン酸二エステル=95:5〜75:25であることが最も好ましい。この範囲にあることにより、分散安定性が向上する。リン酸モノエステルとリン酸二エステルの存在率は、特表2003−533455号公報に記載の31P NMR分光法により求めることができる。
以下、本発明の特定樹脂(B)の具体的構造を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
【化6】

【0049】
【化7】

【0050】
【化8】

【0051】
【化9】

【0052】
【化10】




【0053】
本発明における(B)特定樹脂の酸価は、5.0mgKOH/g以上250mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは15mgKOH/g以上220mgKOH/g以下の範囲、更に好ましくは30mgKOH/g以上200mgKOH/g以下の範囲であることが好ましい。酸価が250mgKOH/g以下であれば現像時におけるパターン剥離が抑えられ、また、5.0mgKOH/g以上あればアルカリ現像性がよい。
【0054】
本発明の遮光性硬化性組成物は、(A)無機顔料を(B)特定樹脂とさらにその他の顔料分散剤(以下、単に「併用分散剤」とも称する)を添加して分散してもよい。併用分散剤としては、例えば、(B)特定樹脂以外の公知の顔料分散剤や界面活性剤から適宜選択して用いることができる。
【0055】
併用分散剤としては、側鎖に複素環を有する高分子化合物が好ましい。このような高分子化合物としては、特開2008−266627号公報に記載の一般式(1)で表される単量体、または、マレイミド、マレイミド誘導体からなる単量体に由来する重合単位を含む重合体であることが好ましい。この重合体は、特開2008−266627号公報の段落番号〔0020〕〜〔0047〕に詳細に記載され、ここに記載の重合体を併用分散剤として本発明にも好適に使用しうる。
【0056】
その他の併用分散剤としては、市販の分散剤、界面活性剤なども使用可能である。併用分散剤として用いうる市販品としては、具体的には、例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学工業(株)製)、W001(裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(いずれもチバ・スペシャルテイケミカル社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(いずれもサンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000、32000、36000などの各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール(株)社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)、Disperbyk 101,103,106,108,109,111,112,116,130,140,142,162,163,164,166,167,170,171,174,176,180,182,2000,2001,2050,2150(ビックケミー(株)社製)が挙げられる。
その他、アクリル系共重合体など、分子末端もしくは側鎖に極性基を有するオリゴマーもしくはポリマーも併用分散剤として好適である。
【0057】
本発明に係る遮光性硬化性組成物に含まれる(B)特定樹脂の量は、遮光性硬化性組成物の全固形分に対して0.1質量%〜50質量%の範囲とすることが、(A)無機顔料が均一かつ安定に分散された状態のものが得られ、かつ良好な現像性が得られるという観点からが好ましい。より好ましい(B)特定樹脂の量は、遮光性硬化性組成物の全固形分に対して5質量%〜40質量%の範囲であり、10質量%〜30質量%の範囲がさらに好ましい。
【0058】
本発明に係る遮光性硬化性組成物に含まれる(B)特定樹脂の量は、(A)無機顔料に対して15質量%〜90質量%の範囲とすることが、遮光性硬化性組成物中に、(A)無機顔料が均一かつ安定に分散された状態のものが得られるという点で好ましい。更に好ましい(B)特定樹脂の量は、(A)無機顔料に対して20質量%〜70質量%の範囲である。
また、(B)特定樹脂以外の併用分散剤を併用する場合、その使用量は、(B)特定樹脂に対して30質量%〜300質量%の範囲とすることが好ましい。
【0059】
(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物(以下(C)特定重合性化合物ともいう)
本発明に係る(C)特定重合性化合物は、ポリエステル構造を含有し、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物である。
【0060】
(C)特定重合性化合物は、本発明に係る遮光性硬化性組成物を硬化したものが充分な硬化度有していること、他方で未硬化のものが現像液に容易に溶出される溶出性を有しているという理由から、その分子量(M)を分子中に存在する重合性基の数(v)で除した値(M/v)が100〜3,000であることが好ましく、150〜2,000であることがさらに好ましく、200〜1,500であることが最も好ましい。
【0061】
(C)特定重合性化合物に含まれるポリエステル構造としては、ラクトンを開環重合したポリエステル構造が好ましい。カプロラクトン構造を有する重合性化合物としては、その分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記式(11)で表されるカプロラクトン構造を有する重合性化合物が好ましい。
【0062】
【化11】

【0063】
(式中、6個のRは全てが下記式(12)で表される基であるか、または6個のRのうち1〜5個が下記式(12)で表される基であり、残余が下記式(13)で表される基である。)
【0064】
【化12】


【0065】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、mは1または2の数を示し、「*」は式(11)における結合位置を示す。)
【0066】
【化13】

【0067】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
このようなカプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(1)〜(3)においてm=1、式(2)で表される基の数=2、Rが全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(2)で表される基の数=3、Rが全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(2)で表される基の数=6、Rが全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(2)で表される基の数=6、Rが全て水素原子である化合物)等を挙げることができる。本発明において、カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0068】
カプロラクトン構造を有する重合性化合物のその他の例としては、例えば、KAYARAD HX−220、HX−620(日本化薬(株)製)が挙げられる。KAYARAD HX−220、HX−620の具体的構造は後記の通りである。
また、カプロラクトン構造を有する重合性化合物は公知の方法で製造することができる。このような製造方法としては、例えば、特開平6−16731号公報、特開平8−143813号公報、特表平9−507255号公報に記載されている方法などが挙げられる。
【0069】
本発明の(C)特定重合性化合物の具体的構造を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
【化14】

【0071】
【化15】

【0072】
【化16】

【0073】
本発明に係る遮光性硬化性組成物に含まれる(C)特定重合性化合物の量は、全固形分量を基準として、3質量%〜55質量%の範囲とすることが、(A)無機顔料が均一かつ安定に分散された状態のものが得られ、かつ良好な現像性が得られるという観点から好ましい。より好ましくは10質量%〜50質量%である。
【0074】
<他の重合性化合物>
本発明において、ポリエステル構造を有する重合性化合物だけでなく、他の重合性化合物の少なくとも一つを併用することにより、パターン形成性を向上させうることがある。
【0075】
上記他の重合性化合物として、具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。本発明における重合性化合物は一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0076】
より具体的には、モノマー及びそのプレポリマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0077】
また、前記重合性化合物としては、重合性モノマーとして、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性化合物として、特開2010−160418、特開2010−129825、特許第4364216号等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性重合性基を2官能以上有する化合物、カルド樹脂も使用することが可能である。
【0078】
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0254]〜[0257]に記載の化合物も好適である。
【0079】
上記のほか、下記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
【0080】
【化17】

【0081】
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)中のR、TおよびZは、以下に挙げる基から選ばれる。
【0082】
【化18】

【0083】
上記一般式(MO−1)〜(MP−5)において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するRおよびTの各々は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表されるラジカル重合性モノマーの各々において、複数のRの内の少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH、又は、−OC(=O)C(CH)=CHで表される基を表す。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表されるラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物が挙げられ、これらの化合物は本発明においても好適に用いることができる。
【0084】
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の、前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
【0085】
中でも、重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA ;日本化薬株式会社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。 このような他の重合性化合物としては、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましい。このような化合物は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。
【0086】
本発明に係る遮光性硬化性組成物における全重合性化合物(上記(C)特定重合性化合物とその他の重合性化合物の総量)の含有量としては、遮光性硬化性組成物の全固形分量に対して3質量%〜55質量%が好ましく、より好ましくは10質量%〜50質量%である。そして、上記(C)特定重合性化合物の含有量は、全重合性化合物に対して20質量%〜100質量%の範囲であることが好ましく、更に50質量%〜100質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0087】
(D)重合開始剤
本発明に係る(D)重合開始剤は、光や熱により分解して、上記(C)特定重合性化合物の重合を開始、促進する化合物である。このうち、波長300〜500nmの領域の光を吸収してラジカルを発生する化合物(以下、「光重合開始剤」ともいう。)が好ましい。
具体的には、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられるが、特にオキシムエステル化合物が密着性の観点から好ましい。
より具体的には、例えば、特開2006−78749号公報の段落番号[0081]〜[0100]、[0101]〜[0139]等に記載される重合開始剤が挙げられる。
本発明の遮光性硬化性組成物における(D)重合開始剤の含有量は、遮光性硬化性組成物の全固形分量に対して、0.1質量%〜30質量%の範囲とすることが、良好な硬化性と現像性が得られるとしい観点から好ましい。更に好ましい範囲は、であり、1質量%〜25質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。
【0088】
(E)溶媒
本発明の着色硬化性組成物を調製する際には、一般に溶剤を含有することができる。使用される溶剤は、該組成物の各成分の溶解性や遮光性硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特には限定されないが、特にバインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
前記溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、エチルセロソルブアセテートエチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどがある。
【0089】
前記の中でも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等がより好ましい。
これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。
本発明に係る遮光性硬化性組成物における全固形分の濃度が2質量%〜60質量%となるような範囲で(E)溶媒を含有させることが好ましい。
【0090】
(F)その他の添加剤
本発明に係る遮光性硬化性組成物には、前記(A)〜(E)の成分に加え、目的に応じて種々の添加剤を使用することができる。
(F−1)バインダーポリマー
本発明に係る遮光性硬化性組成物においては、皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、更にバインダーポリマーを使用することができる。バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。
例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0091】
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号の各公報等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、低露光適性の点で有利である。
また、欧州特許993966号明細書、欧州特許1204000号明細書、特開2001−318463号公報等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0092】
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体、及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0093】
バインダーポリマーは、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
バインダーポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
【0094】
バインダーポリマーのなかでも、側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂を含有することで、特に露光部の硬化性と未露光部のアルカリ現像性の双方を向上させることができる。
本発明に使用しうる側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーは、その構造において、非画像部除去性などの諸性能を向上させるために、樹脂がアルカリ可溶となるための酸基と、少なくとも1つの不飽和二重結合を有する。このような部分構造を有するバインダー樹脂は、特開2003−262958号公報に詳細に記載され、ここに記載の化合物を本発明にも使用することができる。
【0095】
本発明の遮光性硬化性組成物に使用されるバインダーポリマーの質量平均分子量は、現像時のパターン剥離抑制と現像性の観点から、30,000〜300,000であることが好ましく、35,000〜250,000であることがより好ましく、40,000〜200,000であることが更に好ましく、45,000〜100,000であることが特に好ましい。
なお、バインダーポリマーの質量平均分子量は、例えば、GPCによって測定することができる。
【0096】
本発明に係る遮光性硬化性組成物の全固形分中に対するバインダーポリマーの含有量は、0.1〜7.0質量%が好ましいく、パターン剥がれ抑制と現像残渣抑制の両立の観点より、0.3〜6.0質量%がより好ましく、1.0〜5.0質量%がさらに好ましい。
【0097】
(F−2)その他の遮光材料
本発明では、所望の遮光性を発現させるべく、公知の有機顔料や染料などの無機顔料以外の遮光材料を併用することが可能である。
併用することができる遮光材料としては、有機顔料では、例えば、特開2008−224982号公報の段落番号[0030]〜段落番号[0044]に記載の顔料や、C.I.Pigment Green 58、C.I.Pigment Blue 79の クロロ基を水酸基に変更したものなどが挙げられ、これらの中でも、好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0098】
C.I.Pigment Yellow 11,同24,同108,同109,同110,同138,同139,同150,同151,同154,同167,同180,同185、
C.I.Pigment Orange 36、
C.I.Pigment Red 122,同150,同171,同175,同177,同209,同224,同242,同254,同255、
C.I.Pigment Violet 19,同23,同29、同32、
C.I.Pigment Blue 15:1,同15:3,同15:6,同16,同22,同60,同66、
C.I.Pigment Green 7,同36,同37,同58、
C.I.Pigment Black 1,同7。
【0099】
遮光材料として使用可能な染料としては、特に制限はなく、公知の染料をてきぎ選択して使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に記載の色素である。
【0100】
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用できる。
本発明では、無機顔料との組み合わせにおいて、硬化性と遮光性を両立する組み合わせとして、チタンブラック顔料とオレンジ顔料及び/または赤顔料及び/またはバイオレット顔料を組み合わせることが400nm〜700nmの波長域の光を均等に吸収して中性黒色の色調を有する遮光性硬化性組成物が得られるという点で好ましく、最も好ましくはチタンブラック顔料と赤顔料の組み合わせである。
【0101】
(F−3)増感剤
本発明に係る遮光性硬化性組成物の(D)重合性化合物として、光重合開始剤を使用する場合には、重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長域の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、併用する重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
増感剤の好ましい例としては、特開2008−214395号公報の段落番号〔0085〕〜〔0098〕に記載された化合物を挙げることができる。
増感剤の含有量は、感度と保存安定性の観点から、遮光性硬化性組成物の全固形分の質量に対し、0.1質量%〜30質量%の範囲が好ましく、1質量%〜20質量%の範囲がより好ましく、2質量%〜15質量%の範囲が更に好ましい。
【0102】
(F−4)重合禁止剤
本発明に係る遮光性硬化性組成物には、該組成物の製造中或いは保存中において、重合性化合物の重合反応が生ずることを抑制するために、合禁止剤を含有させておくことが望ましい。重合禁止剤としては、公知の熱重合防止剤を用いることができ、具体的には、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、本発明に係る遮光性硬化性組成物の全固形分に対し約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
【0103】
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を含有させてもよい。このような高級脂肪酸誘導体を含有する遮光性硬化性組成物は、塗布・乾燥して塗膜とした際に、塗膜の表面に高級脂肪酸誘導体が偏在することで、塗膜中への酸素の侵入を抑制し、露光領域が酸素によって重合阻害を起こすことを効果的に抑制する。高級脂肪酸誘導体の添加量は、本発明に係る遮光性硬化性組成物の全質量に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
【0104】
(F−5)密着向上剤
本発明に係る遮光性硬化性組成物には、支持体などの硬質表面との密着性を向上させるために、密着向上剤を添加することができる。密着向上剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
シラン系カップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく挙げられる。
密着向上剤の添加量は、本発明に係る遮光性硬化性組成物の全固形分中0.5質量%〜30質量%が好ましく、0.7質量%〜20質量%がより好ましい。
特に本発明のレジストがガラス基板のレンズを作成する場合には、感度向上の観点から添加することが好ましい。
【0105】
本発明に係る遮光性硬化性組成物は、既述の(A)無機顔料、(B)ポリエステル構造を有する分散剤、(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物、(D)重合開始剤、(E)溶媒および、所望により併用される各種添加剤を混合し調製することができる。
【0106】
本発明の遮光性硬化性組成物が遮光性、現像性およびパターンエッジの形成性に優れている理由は下記のようであると推定される。即ち、(B)の分散剤がポリエステル構造を含み、(A)の無機顔料を均一に分散する性能が優れているので、無機顔料の配合割合が高い場合であっても均一な分散物が得られる。また、(C)の重合性化合物が、同様にポリエステル構造を有しているため、(B)の分散剤と共に(E)の溶媒に溶解した場合に相互の相溶性が良く、これらが相俟って(A)の無機顔料が均一に分散した遮光性硬化性組成物が得られる。更に、(B)の分散剤がポリエステル構造を含み、(C)の重合性化合物が、同様にポリエステル構造を有しているために、現像液に対する溶解性に優れた遮光性硬化性組成物が得られる。その結果、本発明に係る遮光性硬化性組成物を硬化し、現像液で現像した場合、現像液に対する硬化部分と未硬化部分のディスクリミネーションに優れ、未硬化の遮光性硬化性組成物が現像残渣を生ずることなく現像液で綺麗に除去される。その結果、本発明に係る遮光性硬化性組成物を用いて形成された遮光領域は、そのパターンエッジの切れが良い。
【0107】
本発明に係る遮光性硬化性組成物は、上記構成としたことから、高感度で硬化し、遮光性に優れた遮光膜を形成しうる。また、(F−1)バインダーポリマーのとして、アルカリ可溶性ポリマーを併用することで、アルカリ水溶液を現像液として使用して未硬化の遮光性硬化性組成物が除去されると共に、さらに高精細な遮光性パターンが形成されるため、ウエハレベルレンズ用の遮光膜や液晶表示装置用のブラックマトリクスの形成に有用である。
【0108】
<ウエハレベルレンズ>
本発明のウエハレベルレンズは、前記遮光性硬化性組成物を硬化してなる遮光膜をレンズ外周部に備えることを特徴とする。
以下、本発明のウエハレベルレンズについて説明する。
【0109】
図1は、複数のウエハレベルレンズを有するウエハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。
図1に示されるように、ウエハレベルレンズアレイは、基板10と、該基板10に配列されたレンズ12と、を備えている。ここで、図1では、複数のレンズ12は、基板10に対して2次元に配列されているが、1次元に配列されていてもよい。
【0110】
図2は、図1に示すウエハレベルレンズアレイのA−A線断面図である。
図2に示すように、ウエハレベルレンズアレイは、基板10と、該基板10に配列された複数のレンズ12とを備えている。複数のレンズ12は、基板10に対して1次元又は2次元に配列されている。
本発明のウエハレベルレンズは、基板10上に存在する1つのレンズ12とその周縁部に設けられた遮光膜14により構成される。本発明の遮光性硬化性組成物は、この遮光膜14の形成に用いられる。
本実施形態では、図1のように、複数のレンズ12が、基板10に対して2次元に配列されている構成を例に説明する。レンズ12は、一般的には、基板10と同じ材料から構成され、該基板10上に一体的に成形されるか、或いは、別の構造体として成形され、基板上に固定化されたものである。
ここでは、一例を挙げたが、本発明のウエハレベルレンズはこの態様に限定されず、多層構造をとるもの、ダイシングによりレンズモジュールに分離されたものなど種々の態様をとり得る。
【0111】
レンズ12を形成する材料としては、例えば、ガラスを挙げることができる。ガラスは種類が豊富であり、高屈折率を有するものを選択できるので、大きなパワーを持たせたいレンズの素材に好適である。また、ガラスは耐熱性に優れ、撮像ユニット等へのリフロー実装に耐えるという利点をも有する。
【0112】
レンズ12を形成する他の材料としては、樹脂が挙げられる。樹脂は加工性に優れており、型等でレンズ面を簡易且つ安価に形成するのに適している。
ウエハレベルレンズの形成には、エネルギー硬化性の樹脂を用いることが好ましい。該エネルギー硬化性の樹脂は、熱により硬化する樹脂、或いは活性エネルギー線の照射(例えば、熱、紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂のいずれであってもよい。
撮像ユニットのリフロー実装を考慮すると、軟化点が例えば200℃以上といった、軟化点の比較的高い樹脂が好ましく、軟化点が250℃以上の樹脂がより好ましい。
以下、レンズ材料として好適な樹脂について説明する。
【0113】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性シリコン樹脂、紫外線硬化性エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を例示することができる。エポキシ樹脂としては、線膨張係数が40〜80[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。
【0114】
熱硬化性樹脂としては、熱硬化性シリコン樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等を例示できる。例えば、シリコン樹脂としては、線膨張係数が30〜160[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.55のものを用いることができる。エポキシ樹脂は線膨張係数が40〜80[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。
フェノール樹脂は、線膨張係数が30〜70[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70のものを用いることができる。アクリル樹脂としては、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.60、好ましくは1.50〜1.60のものを用いることができる。
【0115】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂としては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、富士高分子工業株式会社製SMX−7852・SMX−7877、株式会社東芝製IVSM−4500、東レ・ダウコーニング社製SR−7010、等を例示することができる。
【0116】
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等を例示することができる。ポリカーボネートは、線膨張係数が60〜70[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。ポリサルフォン樹脂は、線膨張係数が15〜60[10−6/K]で、屈折率が1.63のものを用いることができる。ポリエーテルサルフォン樹脂は、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.65のものを用いることができる。
【0117】
一般に、光学ガラスの線膨張係数は20℃で4.9〜14.3[10−6/K]であり、屈折率は波長589.3nmで1.4〜2.1である。また、石英ガラスの線膨張係数は0.1〜0.5[10−6/K]であり、屈折率は約1.45である。
【0118】
レンズの形成に適用しうる硬化性の樹脂組成物としては、モールド形状の転写適性等、成形性の観点から、硬化前には適度な流動性を有していることが好ましい。具体的には、常温で液体であり、粘度が1000mPa・s〜50000mPa・s程度のものが好ましい。
【0119】
一方、レンズの形成に適用しうる硬化性の樹脂組成物は、硬化後にはリフロー工程を通しても熱変形しない程度の耐熱性を有していることが好ましい。該観点から、硬化物のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。樹脂組成物にこのような高い耐熱性を付与するためには、分子レベルで運動性を束縛することが必要であり、有効な手段としては、(1)単位体積あたりの架橋密度を上げる手段、(2)剛直な環構造を有する樹脂を利用する手段(例えばシクロヘキサン、ノルボルナン、テトラシクロドデカン等の脂環構造、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環構造、9,9’−ビフェニルフルオレン等のカルド構造、スピロビインダン等のスピロ構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平9−137043号公報、同10−67970号公報、特開2003−55316号公報、同2007−334018号公報、同2007−238883号公報等に記載の樹脂)、(3)無機微粒子など高Tgの物質を均一に分散させる手段(例えば特開平5−209027号公報、同10−298265号公報等に記載)等が挙げられる。これらの手段は複数併用してもよく、流動性、収縮率、屈折率特性など他の特性を損なわない範囲で調整することが好ましい。
【0120】
形状転写精度の観点からは硬化反応による体積収縮率が小さい樹脂組成物が好ましい。本発明に用いられる樹脂組成物の硬化収縮率としては10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。
【0121】
硬化収縮率の低い樹脂組成物としては、例えば、(1)高分子量の硬化剤(プレポリマ−など)を含む樹脂組成物(例えば特開2001−19740号公報、同2004−302293号公報、同2007−211247号公報等に記載、高分子量硬化剤の数平均分子量は200〜100,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜50,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜20,000の場合である。また該硬化剤の数平均分子量/硬化反応性基の数で計算される値が、50〜10,000の範囲にあることが好ましく、100〜5,000の範囲にあることがより好ましく、200〜3,000の範囲にあることが特に好ましい。)、(2)非反応性物質(有機/無機微粒子,非反応性樹脂等)を含む樹脂組成物(例えば特開平6−298883号公報、同2001−247793号公報、同2006−225434号公報等に記載)、(3)低収縮架橋反応性基を含む樹脂組成物(例えば、開環重合性基(例えばエポキシ基(例えば、特開2004−210932号公報等に記載)、オキセタニル基(例えば、特開平8−134405号公報等に記載)、エピスルフィド基(例えば、特開2002−105110号公報等に記載)、環状カーボネート基(例えば、特開平7−62065号公報等に記載)等)、エン/チオール硬化基(例えば、特開2003−20334号公報等に記載)、ヒドロシリル化硬化基(例えば、特開2005−15666号公報等に記載)等)、(4)剛直骨格樹脂(フルオレン、アダマンタン、イソホロン等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平9−137043号公報等に記載)、(5)重合性基の異なる2種類のモノマーを含み相互貫入網目構造(いわゆるIPN構造)が形成される樹脂組成物(例えば、特開2006−131868号公報等に記載)、(6)膨張性物質を含む樹脂組成物(例えば、特開2004−2719号公報、特開2008−238417号公報等に記載)等を挙げることができ、本発明において好適に利用することができる。また上記した複数の硬化収縮低減手段を併用すること(例えば、開環重合性基を含有するプレポリマーと微粒子を含む樹脂組成物など)が物性最適化の観点からは好ましい。
【0122】
本発明のウエハレベルレンズの形成には、高−低2種類以上のアッベ数の異なる樹脂組成物の使用が望まれる。
高アッベ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。
このような樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。
【0123】
低アッベ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり特に好ましくは20以下である。屈折率(nd)は1.60以上であることが好ましく、より好ましくは1.63以上であり、特に好ましくは1.65以上である。
このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば9,9’‐ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開2006/095610号公報、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
【0124】
また、ウエハレベルレンズの形成に使用される樹脂として、屈折率を高める目的やアッベ数を調整する目的のために、無機微粒子をマトリックス中に分散させてなる有機無機複合材料を使用することも好ましい態様である。
無機微粒子としては、例えば酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
【0125】
特に上記高アッベ数の樹脂に対しては、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂に対しては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。
無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。
また、無機微粒子には光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)または有機酸基を持つ分散剤などで表面修飾してもよい。
無機微粒子の数平均1次粒子サイズは通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。
ここで上述の数平均1次粒子サイズとは、例えばX線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
【0126】
無機微粒子の屈折率としては、22℃、589.3nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることが更に好ましく、2.00〜2.70であることが特に好ましい。
【0127】
無機微粒子の樹脂に対する含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10〜70質量%が更に好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
【0128】
有機無機複合材料に用いられる、マトリックスとなる樹脂としては、ウエハレベルレンズの材料として前記した紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂がいずれも使用できる。また、特開2007−93893号に記載された屈折率1.60より大きい樹脂、特開2007−211164号に記載された疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体、特開2007−238929号、特開2010−43191号、同2010−65063号、同2010−54817号に記載された高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂、特開2010−31186号、同2010−37368号に記載された熱可塑性樹脂等を挙げることができる。有機無機複合材料には、必要に応じて、可塑剤、分散剤等の添加剤を加えることができる。
【0129】
樹脂組成物に微粒子を均一に分散させるためには、例えばマトリックスを形成する樹脂モノマーとの反応性を有する官能基を含む分散剤(例えば特開2007−238884号公報実施例等に記載)、疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体(例えば特開2007−211164号公報に記載)、あるいは高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂(例えば特開2007−238929号公報、特開2007−238930号公報等に記載)等を適宜用いて微粒子を分散させることが望ましい。
【0130】
また、本発明に用いられるにはウエハレベルレンズ形成用の樹脂組成物には、シリコン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有化合物等の公知の離型剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤等の添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0131】
本発明のウエハレベルレンズの作製に用いる樹脂組成物には、必要に応じて硬化触媒または開始剤を配合することができる。具体的には、例えば特開2005−92099号公報段落番号〔0065〕〜〔0066〕等に記載の熱または活性エネルギー線の作用により硬化反応(ラジカル重合あるいはイオン重合)を促進する化合物を挙げることができる。これらの硬化反応促進剤の添加量は、触媒や開始剤の種類、あるいは硬化反応性部位の違いなどによって異なり一概に規定することはできないが、一般的には硬化反応性樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、0.5〜5質量%程度がより好ましい。
【0132】
本発明のウエハレベルレンズの作製に用いる樹脂組成物は、上記成分を適宜配合して製造することができる。この際、液状の低分子モノマー(反応性希釈剤)等に他の成分を溶解することができる場合には別途溶剤を添加する必要はないが、このケースに当てはまらない場合には溶剤を用いて各構成成分を溶解することにより樹脂組成物を製造することができる。該樹脂組成物に使用できる溶剤としては、組成物が沈殿することなく、均一に溶解または分散されるものであれば特に制限はなく適宜選択することができ、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、水等を挙げることができる。樹脂組成物が溶剤を含む場合には該組成物を基板及び/又は型の上にキャストし溶剤を乾燥させた後にモールド形状転写操作を行うことが好ましい。
【0133】
〔ウエハレベルレンズの形成〕
基板10は、レンズ12の成形材料と同じものを用いることができる。また、基板10が可視光に対して透明なガラスなどの材料かなるものであれば、レンズ12の成形材料とは異なる材料により形成されていてもよい。この場合には、基板10を形成する材料としては、レンズ12を形成する材料と線膨張係数が同じが極めて近い材料であることが好ましい。レンズ12を形成する材料と基板10を形成する材料との線膨張係数が互いに同じか近似する場合には、撮像ユニットへのウエハレベルレンズのリフロー実装において、線膨張率が異なることで生じる加熱時のレンズ12の歪みや割れを抑制しうる。
なお、図1及び図2中に図示してはいないが、基板10の光入射側の面には、赤外線フィルタ(IRフィルタ)が形成されていてよい。
【0134】
以下、図3〜図8を参照して、ウエハレベルレンズの形態及び作製について、ウエハレベルレンズアレイの作製方法の例にとり、具体的に説明する。
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(1)〕
図3は、基板に成形材料である樹脂(図3中にMと記載)を供給している状態を示す概略図である。図3に示すように、基板10のレンズを成形する部位にディスペンサ50を用いて成形材料Mを滴下する。ここでは、供給する1つの部位には、1つのレンズ12を形成するのに必要な量の成形材料Mが供給される。
また、図4(A)〜(C)は、基板10にレンズ12を型60で成形する手順を示す概略図である。
【0135】
基板10に成形材料Mを供給した後、図4Aに示すように、レンズを成形するための型60を配置する。型60には、レンズ12の形状を転写するための凹部62が、所望のレンズ12の数に応じて設けられている。
【0136】
図3に示すように、基板10のレンズ12を成形する部位にディスペンサ50を用いて成形材料Mを滴下する。ここでは、供給する1つの部位には、1つのレンズ12に相当する量の成形材料Mが供給される。
【0137】
基板10に成形材料Mを供給した後、基板10の成形材料Mを供給された面側に、図4(A)に示すように、レンズ12を成形するための型60を配置する。
ここで、型60には、レンズ12の形状を転写するための凹部62が、所望のレンズ12の数に応じて設けられている。
【0138】
図4(B)に示すように、型60を基板10上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部62の形状に倣って変形させる。そして、型60を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には、型60の外側から熱又は紫外線を照射して、成形材料Mを硬化させる。
【0139】
成形材料Mを硬化させた後、図4(C)に示すように、型60から基板1及びレンズ12を離型する。
【0140】
〔遮光膜の形成〕
次に、図5(A)〜(C)を参照して、レンズ12の周縁部に遮光膜14を形成する方法について説明する。
ここで、図5(A)〜(C)は、レンズ12が成形された基板10に遮光膜14を設ける工程を示す概略断面図である。
【0141】
遮光膜14の形成方法は、基板10上に、本発明の遮光性硬化性組成物を塗布して遮光性塗布層14Aを形成する遮光性塗布層形成工程(図5(A)参照。)と、該遮光性塗布層14Aを、マスク16を介してパターン露光する露光工程(図5(A)参照。)と、露光後の遮光性塗布層14Aを現像して未硬化部を除去し、パターン状の遮光膜14を形成する現像工程(図5(C)参照。)と、を含む。
パターン状の遮光膜14の形成は、レンズ12を作製する前でも、レンズ12を作製した後でも任意に行うことができが、ここでは、レンズ12を作製した後の方法について詳述する。
以下、遮光膜14の形成方法における各工程について説明する。
【0142】
〔遮光性硬化性組成物塗布層形成工程〕
遮光性塗布層形成工程では、図5(A)に示すように、基板10上に、遮光性硬化性組成物を塗布して該遮光性硬化性組成物からなる光反射率の低い遮光性塗布層14Aを形成する。このとき、遮光性塗布層14Aは、基板10の表面、及び、レンズ12のレンズ面12aとレンズ縁部12bの表面を全て覆うように形成される。
【0143】
本工程に用いうる基板10としては、特に制限はない。例えば、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスおよび透明樹脂等が挙げられる。
なお、ここで言う基板10とは、レンズ12と基板10を一体形成する態様においては、レンズ12と基板10の両方を含む形態を言う。
また、これらの基板1上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板1表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0144】
基板10及びレンズ12に遮光性硬化性組成物を塗布する方法としては、スリット塗布、スプレー塗布法、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
遮光性硬化性組成物の塗布直後の膜厚としては、塗布膜の膜厚均一性、塗布溶剤の乾燥のしやすさの観点から、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmがさらに好ましい。
【0145】
基板10上に塗布された遮光層14A(遮光性硬化性組成物塗布層)の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
【0146】
遮光性硬化性組成物の乾燥後の塗布膜厚(以下、適宜、「乾燥膜厚」と称する)は、所望の遮光性などの性能から任意に選択することができ、概ね0.1μm以上50μm未満の範囲である。
【0147】
〔露光工程〕
露光工程では、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層14Aをパターン状に露光する。パターン露光は走査露光でもよいが、図5(B)に示すように、所定のマスクパターンを有するマスク70を介して露光する態様が好ましい。
本工程における露光においては、塗布層14Aのパターン露光は、所定のマスクパターンを介して露光し、この露光により塗布層14Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、レンズ縁部12bの表面とレンズ12間の基板10の表面に光を照射するマスクパターンを用いる。こうすることで、レンズ面12aを除く領域の塗布層14Aのみが光照射によって硬化し、この硬化領域が遮光膜14を形成する。
露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。この放射線は単一波長の光源であっても良いし、高圧水銀灯のように全ての波長を含んだ光源を用いてもよい。
【0148】
〔現像工程〕
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、露光における光未照射部分、即ち、遮光性塗布層14Aの未硬化領域をアルカリ水溶液に溶出させ、光照射により硬化した領域だけを残す。
具体的には、図5(B)に示すように露光された遮光性塗布層14Aは、現像されることにより、図5(C)に示すように、レンズ面12aに形成された遮光性塗布層14Aのみが除去され、それ以外の領域に硬化された遮光膜14が形成される。
【0149】
現像工程で用いられる現像液に含まれるアルカリ剤としては、有機、または無機のアルカリ剤およびそれら組み合わせのいずれも用いることができる。本発明における遮光膜形成においては周囲の回路などに損傷を与えがたいという観点からは有機アルカリ現像液が望ましい。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機化合物等が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
【0150】
現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20秒間〜90秒間の範囲で行なわれる。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像液により塗布膜の未露光部を除去した後、純水で洗浄(リンス)する。即ち、現像処理後には、余剰の現像液を純水により十分に洗浄、除去し、さらに、乾燥工程に付す。
【0151】
なお、本実施形態の製造方法においては、上述した、塗布層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要に応じて、形成された遮光パターンを加熱(ポストベーク)及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0152】
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜250℃の熱硬化処理を行う。ポストベークの温度、および時間などの条件は、基板又はレンズの素材により、適宜設定することが出来る。例えば基板がガラスである場合は上記温度範囲の中でも180℃〜240℃が好ましく用いられる。
このポストベーク処理は、現像後に形成された遮光膜14を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
【0153】
なお、以上の手順では、レンズ12の形状が凹状である場合を例に説明したが、形状は特に限定されず、凸状や非球面の形状であってもよい。また、上記手順では、基板1の一方の面に複数のレンズ12が成形されたウエハレベルレンズを例に説明したが、両方の面に複数のレンズ12が成形された構成としてもよく、その場合には、両方の面に、レンズ面を除く領域に遮光層14が形成される。
【0154】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(2)〕
図6は、ウエハレベルレンズアレイの他の構成例を示す断面図である。
図6に示すウエハレベルレンズは、基板10とレンズ12とを同一の成形材料で同時に成形した構成(モノリシックタイプ)である。
このようなウエハレベルレンズを作成する際には、成形材料としては上述したものと同じものを用いることができる。また、この例では、基板10の一方の面(図中の上側の面)には、凹状のレンズ12が複数形成され、他方の面(図中の下側の面)には、凸状のレンズ20が複数形成されている。また、基板10のレンズ面12aを除く領域、つまり、基板10の表面及びレンズ縁部12bの表面にパターン状の遮光膜14が形成されている。遮光膜14を形成する際のパターニング方法としては、上述した手順を適用することができる。
【0155】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(3)〕
次に、図7(A)〜(C)及び図8(A)〜(C)を参照して、ウエハレベルレンズアレイの更なる他の構成例と、それを作製する手順について説明する。
ここで、図7(A)〜(C)は、パターン状の遮光膜14を形成する他の工程を示す概略図である。
また、図8(A)〜(C)は、まず、パターン状の遮光膜14を形成した後、レンズ12を成形する工程を示す概略図である。
【0156】
図3〜図6に示すウエハレベルレンズアレイの例では、レンズ12が設けられた基板10にパターン状の遮光膜14を形成するものであったが、以下に説明する手順では、まず、基板10にパターン状の遮光膜14を形成した後、基板10にレンズ12を成形する手順である。
【0157】
〔遮光膜の形成〕
先ず、図7(A)に示すように、基板10上に遮光性硬化性組成物を塗布して遮光性塗布層14Aを形成する遮光性塗布層形成工程を行う。
【0158】
その後、基板10上に塗布された遮光性塗布層14Aの乾燥をホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒間〜300秒間で行う。遮光性硬化性組成物の乾燥膜厚は、所望の遮光性などの性能から任意に選択することができ、概ね0.1μm以上50μm未満の範囲である。
【0159】
次に、図7(B)に示すように、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層14Aを、マスク70を介してパターン状に露光する露光工程を行う。マスク70は、所定のマスクパターンを有する。
本工程における露光においては、遮光性塗布層14をパターン露光することで、遮光性塗布層14Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、後工程でレンズ12を成形した際にレンズ12のレンズ開口14aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層14Aにのみ光を照射するマスクパターンを用いる。この方法によりレンズ12のレンズ開口14aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層14Aのみが光照射によって硬化する。なお、露光に際して用いることができる放射線としては、先に説明した手順と同様に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0160】
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、上記パターン露光における遮光性塗布層14Aの未硬化領域であるレンズ12のレンズ開口14aに相当する領域の遮光性塗布層14Aのみがアルカリ水溶液に溶出される。この際、図7(C)に示すように、レンズ12のレンズ開口14aの領域を除く領域の光硬化した遮光性塗布層14Aが基板10上に残存して、遮光膜14を形成する。
ここで、現像液であるアルカリ水溶液中のアルカリ剤としては、先に説明した手順と同じものを用いることができる。
現像処理後は、その後、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施す。
【0161】
本実施形態においても、上述した、塗布層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された遮光膜を上述のポストベーク及び/又は露光により硬化する硬化工程を施してもよい。
【0162】
〔レンズの形成〕
次に、遮光膜14を形成後に、レンズ12を形成する工程について説明する。
図8(A)に示すように、パターン状の遮光膜14が形成された基板10の上に、レンズ12を構成する成形材料Mがディスペンサ50により滴下される。成形材料Mは、レンズ12のレンズ開口14aに相当する領域を覆うように、該開口に隣接する遮光膜14の端部を一部含むように供給される。
【0163】
基板10に成形材料Mを供給した後、基板10の成形材料Mを供給された面側に、図8(B)に示すように、レンズを成形するための型80を配置する。型80には、レンズ12の形状を転写するための凹部82が、所望のレンズ12の数に応じて設けられている。
【0164】
型80を基板10上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部の形状に倣って変形させる。そして、型80を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には型の外側から熱又は紫外線を照射することで、成形材料Mを硬化させる。
【0165】
成形材料Mを硬化させた後、型80から基板10及びレンズ12を離型し、図8(C)に示すように、基板10にパターン状の遮光膜14を備えるウエハレベルレンズを得る。
【0166】
上述のように、ウエハレベルレンズに備えられるパターン状の遮光膜14は、図2に示すようにレンズ12のレンズ面10aを除く領域に設けた構成だけでなく、図8(C)に示すように、遮光膜14をレンズ12のレンズ開口14aを除く領域に設けた構成としてもよい。
【0167】
ウエハレベルレンズは、基板10の少なくとも一方の表面にパターン上に形成された、光反射率が低い遮光膜14によって、レンズ12のレンズ面12a又はレンズ開口14a以外の領域で遮光を十分にしつつ、反射光の発生を抑制できる。このため、撮像素子を備えた撮像モジュールに適用した場合に、撮像時に反射光に伴うゴーストやフレアといった不具合の発生を防止できる。
また、遮光膜14は基板の表面に設けられるため、ウエハレベルレンズに別の遮光部材などを取り付ける必要がなく、製造コストの増加を抑えることができる。
【0168】
なお、前述した特許文献2に示される構成のように、レンズの周囲に表面が凹凸の構造物を設ける構成の場合には、該構造物に入射した光が反射又は発散することで、ゴースト等の不具合が生じやすいことが懸念される。そこで、図2に示すようにレンズ12のレンズ面10aを除く領域にパターニングされた遮光膜14を設けた構成とすれば、レンズ面10a以外では光を遮光することができ、光学性能を改善できる。
【0169】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、前記遮光性硬化性組成物を使用して形成された遮光部(ブラックマトリックス)を備えることを特徴とする。
このようなカラーフィルタは、光透過性基板の上に、着色層からなり、互いに異なる色を呈する2以上の画素群を有し、前記画素群を構成する各画素は互いにブラックマトリックスにより離画されている構成を有し、該ブラックマトリックスは、本発明の前記遮光性硬化性組成物を用いて作製される。画素群は2つでも、3つでも4つ以上でもよい。例えば3つの場合は赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色相が用いられる。赤、緑、青の3種の画素群を配置する場合は、モザイク型、トライアングル型等の配置が好ましく、4種以上の画素群を配置する場合ではどのような配置であってもよい。
前記光透過性基板としては、表面に酸化珪素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス板、ノンアルカリガラス板、石英ガラス板等の公知のガラス板あるいはプラスチックフィルム等が用いられる。
カラーフィルタを作製するには、光透過性の基板に常法により2以上の画素群を形成した後、ブラックマトリックスで離画される部分を前記遮光性硬化性組成物を塗布し、パターン露光および現像することにより形成しても、或いは最初にブラックマトリックスを形成し、その後2以上の画素群を形成してもよい。
【実施例】
【0170】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、別に指定のない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
(合成例1)樹脂(P1)の合成
【0171】
【化19】

【0172】
モノマー(1)(メタクリル酸、和光純薬製)30g(0.35mol)、マクロモノマー(1)70g(0.047mol、GPCによる質量平均分子量(ポリスチレン換算)3,100)を1−メトキシ−2−プロパノール233gに加え、窒素気流下、80℃に加熱した。次に、ドデカンチオール1.54g(7.6mmol)、2,2’−ビスイソ酪酸ジメチル(V−601、和光純薬製)0.50gを添加し、2時間攪拌した。次に、2,2’−ビスイソ酪酸ジメチル(V−601、和光純薬製)0.50gを添加し、さらに2時間攪拌した。その後、2,2’−ビスイソ酪酸ジメチル(V−601、和光純薬製)0.50gを添加し、90℃に昇温して2時間撹拌し、本発明に係る(B)ポリエステル構造を有する分散剤である樹脂(P1)の1−メトキシ−2−プロパノール30%溶液を得た。GPC測定による質量平均分子量は25,000、数平均分子量は11,000、酸価は190mgKOH/gであった。
【0173】
(合成例2〜6)樹脂(P2)〜(P5)および比較樹脂P1の合成
表1に記載のモノマー、マクロモノマーを用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、本発明に係る(B)ポリエステル構造を有する分散剤である樹脂(P2)〜(P5)および比較樹脂P1を得た。
【0174】
【表1】

【0175】
【化20】

【0176】
(合成例7)樹脂(P6)の合成
【0177】
【化21】

【0178】
窒素雰囲気下、数平均分子量750のポリエチレングリコールモノメチルエーテル112.5g(0.15mol)、ε−カプロラクトン68.4g(0.60mol)及びジブチルスズラウレート0.18gを160℃で20時間加熱し、ポリエーテル−ポリエステルモノヒドロキシ体を得た。GPC測定による質量平均分子量は2,300、数平均分子量は1,100であった。次に五酸化リン84%含有しているポリリン酸7.0gを先に得られたポリエーテル−ポリエステルモノヒドロキシ体100gに加え、水分を除去しながら80℃で5時間反応させ、樹脂(P6)を得た。GPC測定による質量平均分子量は2,500、数平均分子量は1,200であった。また、リン酸モノエステルとリン酸二エステルの存在比は、31P NMRより88:12であった。
【0179】
(合成例7)重合性化合物(M1)の合成
3L三口フラスコに、2−ヒドロキシエチルアクリレート 370g、ε−カプロラクトン 730g、4−メトキシフェノール 0.40gおよびリン酸(98w/w%) 0.50gを入れ、120℃に加熱した。8時間後、液体クロマトグラフィーにて、ε−カプロラクトンの反応率が<99%であることを確認後、室温まで冷却し、淡黄色な液状の前駆体A1〔下記構造〕を得た。A1であることは、H-NMR、質量分析により確認した。
【0180】
【化22】

【0181】
アジポイルクロリド 18.1g、塩化メチレン 180mlを仕込み、25℃に調節し攪拌し、次いでこれに前駆体A1を71.6g、トリエチルアミンを42.8ml、4−ジメチルアミノピリジンを0.36g、4−メトキシフェノールを0.01gおよび塩化メチレンを300ml含む混合物を滴下した。次いで、反応混合物を水88g、リン酸 2g、炭酸水素ナトリウム5g及び食塩5gの混合水溶液800mlで3回洗浄し溶剤を減圧下、蒸発留去し釜残として、淡黄色な液状の下記構造を有する重合性化合物(M1)〔本発明に係る(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物〕得た。
【0182】
(合成例8〜11)重合性化合物(M2)〜(M5)の合成
特定化合物M1の構成要素を変更して、特定化合物M1の合成方法と同様の合成法により、下記構造を有する重合性化合物(M2)〜(M5)〔本発明に係る(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物〕を合成した。
【0183】
【化23】

【0184】
(合成例12)重合性化合物(M6)の合成
500mL三口フラスコに、ε-カプロラクトン 600g、1,3-プロパンジオール 100gを導入し、窒素を吹き込みながら、攪拌溶解した。モノブチル錫オキシド 0.1gを加え、100℃に加熱した。8時間後、液体クロマトグラフィーにて、原料が消失したのを確認後、80℃まで冷却した。2,6-ジt-ブチル−4−メチルフェノール0.1gを添加した後、2-メタクリロイロキシエチルイソシアネート27.2gを添加した。5時間後、H-NMRにて原料が消失したのを確認後、室温まで冷却し、液体状の下記構造を有する重合性化合物(M6)〔本発明に係る(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物〕を得た。M6であることは、H-NMR、質量分析により確認した。
【0185】
【化24】

【0186】
(合成例13)重合性化合物(M7)の合成
重合性化合物(M6)の構成要素を変更して、重合性化合物(M6)の合成方法と同様の合成法により、下記構造を有する重合性化合物(M7)〔本発明に係る(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物〕を合成した。
【0187】
【化25】

【0188】
〔顔料分散液1の調整〕
下記組成Iに示す成分を二本ロールにて高粘度分散処理を施し、分散物を得た。なお、高粘度分散処理の前にニーダーで30分混練することを行ってもよい。
【0189】
(組成I)
・平均一次粒径40nmチタンブラック〔(A)無機顔料〕 40部
(三菱マテリアルズ(株)製)(PigmentBlack35)
・樹脂(P1)のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート30%溶液〔(B)ポリエステル構造を有する分散剤及び(E)溶媒〕 5部
【0190】
得られた分散物に、下記組成IIに示す成分を添加し、3,000rpmの条件でホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いた、分散機(商品名:ディスパーマット GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して、顔料分散液1を得た。
【0191】
(組成II)
・樹脂(P1)のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート30%溶液〔(B)ポリエステル構造を有する分散剤及び(E)溶媒〕 20部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート〔(E)溶媒〕 150部
【0192】
〔顔料分散液2〜顔料分散液7の調整〕
顔料分散液1の調整と同様にして、但し、組成Iおよび組成IIで使用した樹脂(P1)に変えて、それぞれ樹脂(P2)、樹脂(P3)、樹脂(P4)、樹脂(P5)、樹脂(P6)または比較樹脂(P1)を使用して、顔料分散液2〜顔料分散液7を調整した。
【0193】
<遮光性硬化性組成物1の調製>
下記組成成分を攪拌機で混合した後、日本ポール製HDCII(高密度ポリプロピレン濾過精度6.0umを用いて濾過を行い、本発明に係る遮光性硬化性組成物1を調製した。
・ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/15/5/30〔モル比〕)〔アルカリ可溶性樹脂、バインダポリマー〕のプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート30%溶液 10部
・重合性化合物(M2)〔(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物〕 2.0部
・重合性化合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート) 2.0部
・IRGACURE OXE01(ciba社製)〔(D)重合開始剤〕 0.3部
・上記で調整した顔料分散物1 24部
・エチル−3−エトキシプロピオネート〔(E)溶媒〕 8部
【0194】
<遮光性硬化性組成物2〜遮光性硬化性組成物18の調製>
遮光性硬化性組成物1の調整と同様にして、但し、顔料分散液および重合性化合物として表2に記載のものを使用して、遮光性硬化性組成物2〜遮光性硬化性組成物18を調整した。遮光性硬化性組成物2〜16は本発明に係る遮光性硬化性組成物であり、遮光性硬化性組成物17および18は、比較用の遮光性硬化性組成物である。
【0195】
<遮光性硬化性組成物19の調製>
60℃に保温した純水200mlに錫コロイド(平均粒子系:20nm、固形分:20%、住友大阪セメント社製)15gと、銀コロイド(平均粒子系:7nm、固形分:20重量%、住友大阪セメント社製)60gとポリビニルピロリドン0.75gを水100mlに溶解した溶液を加え、コロイド溶液とした。
次いで、このコロイド溶液を60℃に保持した状態で60分間攪拌し、その後、超音波を5分間照射した。次いでこのコロイド溶液を遠心分離により濃縮し、固形分が25%のA液を得た。A液をフリーズドライ方法により乾燥し、粉末試料得た。
この粉末試料をチタンブラックの代わりに使用して、その余は顔料分散液1の調整と同様にして顔料分散液8を調整した。次いで、この顔料分散液8を使用し、その余は遮光性硬化性組成物1の調整と同様にして、本発明に係る遮光性硬化性組成物19を調整した。
【0196】
〔赤色顔料分散液の調製〕
下記組成物を直径0.3mmのジルコニアビーズを用いて、分散機(商品名:ディスパーマット GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して顔料分散液9を調製した。
・C.I.ピグメントレッド254〔(F)着色成分〕 30部
・樹脂溶液(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、モル比:80/10/10、質量平均分子量Mw:10,000、溶剤:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート60%、樹脂固形分濃度:40%) 10部
・溶剤:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート 200部
・分散剤:樹脂(P1)(プロピレングリコール1−メチルエーテル2−アセテート30%溶液) 30部
【0197】
〔顔料分散液9の調製〕
顔料分散液1の調整と同様にして、但し、顔料分散液1に代えて、顔料分散液1を20部と上記赤色顔料分散液を9部との混合物を用いて顔料分散液9を調整した。
【0198】
<遮光性硬化性組成物20の調製>
遮光性硬化性組成物1の調整と同様にして、但し、顔料分散液1に代えて顔料分散液9を使用して本発明に係る遮光性硬化性組成物20を調整した。
【0199】
【表2】

【0200】
前記表2に記載の重合性化合物M8は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、重合性化合物M9は、日本化薬(株)から市販されているKAYARAD DPCA−60、重合性化合物M10は、KAYARAD HX−220、重合性化合物M11はエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートである。KAYARAD DPCA−60およびKAYARAD HX−220の構造は、それぞれ本明細書の式(11)で表わされるカプロラクトン構造を有する重合性化合物の説明において記載したとおりの構造を有するものである。
【0201】
<ウエハレベルレンズ用遮光膜の作成及び評価>
以下の操作により、レンズ膜を形成した。
〔1.熱硬化性樹脂膜の形成〕
表3に示す硬化性組成物1〜4(2mL)を5×5cmのガラス基板(厚さ1mm、Schott社製、BK7)に塗布し、200℃で1分間加熱して硬化させ、レンズ上の残渣評価できる膜(樹脂膜1〜4)を形成した。
〔2.光硬化性樹脂膜の形成〕
表3に示す硬化性組成物5及び6(2mL)を5×5cmのガラス基板に塗布し、メタルハライドランプで3000mJ/cmの光を照射して硬化させ、レンズ上の残渣評価できる膜(樹脂膜5、6)を形成した。
【0202】
【表3】

【0203】
〔3.レンズ上での評価〕
塗布・加熱処理後の膜厚が2.0μmになるように、スピンコートの塗布回転数を調整して、レンズ膜を形成したガラスウエハ〔支持体〕上に、遮光性硬化性組成物1〜18を均一に塗布し、表面温度120℃のホットプレートにより120秒間加熱処理した。このようにして、膜厚2.0μmの塗膜〔遮光性硬化性組成物層〕を得た。
【0204】
〔露光工程〕
次いで、得られた塗布層を、高圧水銀灯を用い、10mmのホールパターンを有するフォトマスクを介して露光量500mJ/cmで露光した。
【0205】
〔現像工程〕
前記露光後の塗布層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3%水溶液を用い、23℃の温度で60秒間パドル現像を行った。その後スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し、パターン状の遮光膜を得た。
【0206】
−保存安定性(経時安定性)評価−
各遮光性硬化性組成物を室温で1ケ月保存した後、チタンブラックの沈降の度合いを下記判定基準に従って評価した。チタンブラックの沈降量は、可視光吸光度計(varian製cary-5)により、プロピレングルコールモノメチルエーテルアセテートで1,000倍に希釈した重合性組成物の吸光度変化率から算出したものであり、吸光度変化率が大きいと沈降が生じている度合いが大きい。また、許容範囲は5%未満である。
−判定基準−
○:0%以上2%未満のチタンブラックの沈降が観測された
△:2%以上5%未満のチタンブラックの沈降が観測された
×:5%以上のチタンブラックの沈降が観測された
【0207】
−レンズ上の現像性評価−
10mmのホールパターンの現像部をSEMにより観察し、残渣の個数を求めた。残渣の個数が少ないほど、現像性が良好であることを示す。
【0208】
−パターンエッジ形状評価−
遮光膜のパターンエッジ形状をSEMで観察した。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:縁部が精細であった。
△:縁部がやや精細でなかったが、実用上問題のない程度であった。
×:縁部が精細でなかった。
【0209】
−遮光性評価−
遮光性に関して、厚さ2μm400nm〜800nmで最大の透過率を示す。数値が少ない程良好である。1%未満の透過性は良好である。
【0210】
【表4】

【0211】
上記表4の結果より、本発明に係る遮光性硬化性組成物1〜16、19および20は優れた遮光性有する硬化膜が得られ、現像性およびパターンエッジの形成性に優れていることが分かる。そして、これら本発明に係る遮光性硬化性組成物を用いて製造されたレンズの周縁部に遮光部を有するウエハレベルレンズが良好な性能を有することが理解できよう。
さらにチタンブラックと赤色有機顔料とを併用することで遮光性もより向上することがわかる(実施例18および実施例36)。
これに対して、ポリエステル構造をもたない分散剤を用いた遮光性硬化性組成物17を使用した比較例1および比較例3、およびポリエステル構造を含まない重合性化合物を用いた遮光性硬化性組成物18を使用した比較例2および比較例4は、現像性およびパターンエッジの形成性が劣っていることが分かる。そして、これらの遮光性硬化性組成物17または18を用いて製造されたレンズの周縁部に遮光部を有するウエハレベルレンズは、パターンエッジの形状の劣った遮光部となってしまい、残渣の影響もあって、ウエハレベルレンズとして劣ったものであることが理解されよう。
【0212】
<ブラックマトリックスを有するカラーフィルタの作製>
〔ブラックマトリックスの形成〕
上記で得られた遮光性硬化性組成物を塗布・加熱処理後の膜厚が2.0μmになるように、スピンコートの塗布回転数を調整して、ガラスウエハにスピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上で120℃で2分加熱して遮光性硬化性組成物塗布層を得た。
次いで、得られた塗布層を、i線ステッパーを用い、パターンが0.1mmのIslandパターンを有するフォトマスクを通して500mJ/cmの露光量で露光した。
前記露光後の感光性層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3%水溶液を用い、23℃60秒間パドル現像を行った。その後スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し、パターン状の遮光膜を得た。
【0213】
−残渣の評価(現像性の評価)−
上記した露光工程で光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無をSEMで観察し、残渣を評価した。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった
△:未露光部に、残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった
×:未露光部に、残渣が著しく確認された。
【0214】
−パターンエッジ形状評価−
遮光膜のパターンエッジ形状をSEMで観察した。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:縁部が精細であった。
△:縁部がやや精細でなかったが、実用上問題のない程度であった。
×:縁部が精細でなかった。
【0215】
−遮光性評価−
遮光性に関して、厚さ2μm400nm〜800nmで最大の透過率を示す。数値が少ない程良好である。1%未満の透過性は良好である。
【0216】
【表5】

【0217】
上記表5の結果より、本発明の遮光性硬化性組成物を用いてなるブラックマトリックスは、ポリエステル構造をもたない分散剤を用いてチタンブラックを分散した遮光性硬化性組成物17を使用した比較例5に対し、現像性、パターン形状が良好であり、且つ、遮光性に優れるものであることがわかる。
さらにチタンブラックと赤色有機顔料とを併用することで遮光性もより向上することがわかる(実施例54)。
また、本発明の遮光性硬化性組成物を用いてなるブラックマトリックスは、ポリエステル構造をもたない重合性化合物のみを用いてチタンブラックを分散した遮光性硬化性組成物を使用した比較例6に対し、現像性、パターン形状が良好であり、且つ、遮光性に優れるものであることがわかる。
【0218】
〔有彩色着色重合性組成物の調製〕
実施例1で調製した遮光性硬化性組成物において、黒色顔料であるチタンブラックを、下記有彩色顔料に替えたほかは同様にして、それぞれ赤色(R)用着色重合性組成物R−1、緑色(G)用着色重合性組成物G−1、及び青色(B)用着色重合性組成物B−1を調製した。
〜RGB各色着色画素形成用の有彩色顔料〜
・赤色(R)用顔料
C.I.ピグメント・レッド254
・緑色(G)用顔料
C.I.ピグメント・グリーン36とC.I.ピグメント・イエロー219との30/70〔質量比〕混合物
・青色(B)用顔料
C.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との30/70〔質量比〕混合物
【0219】
〔カラーフィルタの作製〕
実施例1で作製した遮光性フィルタをブラックマトリックスとし、該ブラックマトリックス上に、前記赤色(R)用着色重合性組成物R−1を用いて、実施例1に記載の方法と同じ要領で80×80μmの赤色(R)の着色パターンを形成した。さらに、同様にして緑色(G)用着色重合性組成物G−1を用いて緑色(G)の有彩色着色パターンを、及び青色(B)用着色重合性組成物B−1を用いて青色(B)の有彩色着色パターンを順次形成して液晶表示装置用のブラックマトリクスを有するカラーフィルタを作製した。
【0220】
−評価−
フルカラーのカラーフィルタにITO透明電極、配向膜等の加工を施し、液晶表示装置を設けた。本発明の重合性組成物は塗布面が均一性が良好で、液晶表示装置は表示ムラもなく、画質は良好であった。
【符号の説明】
【0221】
10 基板
12 レンズ
14 遮光膜


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)無機顔料、(B)ポリエステル構造を有する分散剤、(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物、(D)重合開始剤、および(E)溶媒を含む遮光性硬化性組成物。
【請求項2】
前記(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物の分子量(M)を分子中に存在する重合性基の数(v)で除した値(M/v)が100〜3,000の範囲である請求項1に記載の遮光性硬化性組成物。
【請求項3】
前記(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物が有するポリエステル構造がポリカプロラクトンである請求項1または請求項2に記載の遮光性硬化性組成物。
【請求項4】
前記(A)無機顔料がチタンブラックである請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の遮光性硬化性組成物。
【請求項5】
前記(B)ポリエステル構造を有する分散剤が、pKaが6以下である酸基を有するモノマー(b−1)と質量平均分子量が1,000以上である下記式(1)または式(2)で表されるマクロモノマー(b−2)との共重合体である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の遮光性硬化性組成物。
【化1】


[式(1)〜式(2)において、XおよびXは各々水素原子または1価の有機基を表し、YおよびYは各々2価の連結基を表し、ZおよびZはそれぞれ独立に1価の有機基を表し、nおよびmは各々1から500の整数を表し、pおよびqは各々2から5の整数を表す。nまたはmが2以上の整数を表わす場合、複数あるpまたはqは互いに異なる整数であってもよい。]
【請求項6】
前記(B)ポリエステル構造を有する分散剤が下記一般式(I)で表される樹脂である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の遮光性硬化性組成物。
【化2】


[一般式(I)中、Rは数平均分子量500〜30,000のポリエステルを表し、yは1または2を表す。yが2を表す場合、二つのRは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項7】
さらに、(F)有機顔料を含有する請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の遮光性硬化性組成物。
【請求項8】
前記(A)無機顔料を遮光性硬化性組成物の全固形分に対して5質量%〜70質量%含有する請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の遮光性硬化性組成物。
【請求項9】
前記(B)ポリエステル構造を有する分散剤を遮光性硬化性組成物の全固形分に対して0.1質量%〜50質量%含有する請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の遮光性硬化性組成物。
【請求項10】
前記(C)ポリエステル構造を有する重合性化合物を遮光性硬化性組成物の全固形分に対して3質量%〜55質量%含有する請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の遮光性硬化性組成物。
【請求項11】
更にバインダポリマーを含有する請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の遮光性硬化性組成物。
【請求項12】
基板上に存在するレンズの周縁部に、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の遮光性硬化性組成物を硬化して形成した遮光部を有するウエハレベルレンズ。
【請求項13】
基板上に、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の遮光性硬化性組成物を硬化して形成された遮光部を有するカラーフィルタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−145663(P2011−145663A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273801(P2010−273801)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】