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遮光性紙カップ
説明

遮光性紙カップ

【課題】 遮光性を確保すると同時に、遮光層が透けて見えたり、反りやねじれが発生することがなく、容易に成形できるとともに、蓋をはがす場合に遮光層が露出することがない遮光性紙カップを提供すること。
【解決手段】 2枚の原紙11,12の間に遮光性印刷層13を備えた積層遮光紙10を用いて成形される遮光性紙カップ1で、積層遮光紙10の紙カップの内側となる原紙11の外側に、樹脂層14を介して遮光印刷層13を積層し、積層遮光紙13の2枚の原紙11,12の坪量の和が150〜350g/m2であり、かつ一方の原紙の坪量が他方の原紙の坪量に対して1.3倍以上とする。
これにより、坪量の大きい方の剛性により坪量の小さい方のそりやねじれを防止し、しかもいずれの原紙でも遮光性印刷層13を隠蔽し、容易に紙カップ1を成形する。また、蓋をはがす場合、原紙の層中で剥離を生じさせ遮光印刷層13の露出を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遮光性紙カップに関し、アルミなどの金属層を含まない積層遮光紙を用いることで、遮光性を確保すると同時に、遮光層が透けて見えたり、反りやねじれが発生することがなく、容易に成形できるとともに、蓋をはがす場合に遮光層が露出することがないようにしたり、さらに、金属探知をも可能としたものである。
【背景技術】
【0002】
食品の光のよる劣化防止については、従来から問題視され、遮光性を備えた紙カップが用いられており、例えばアイスクリームやヨーグルトなどの紙カップに対しても遮光性を付与したものが使用されている。
遮光性を付与した紙カップとしては、厚紙原紙にアルミニウム箔やアルミニウム蒸着層を設けた金属系の遮光層を備えた紙を用いて成形するものに替え、原紙に墨の印刷をしたり、樹脂に墨のマスターバッチを添加してラミネートした非金属系の紙を用いたものなどがある(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このような墨を用いる場合には、墨の色を隠蔽することが難しく、紙カップの外面または内面が濃いグレーになってしまう。
【0003】
そこで、紙による隠蔽効果を利用し、紙と紙の間に墨の印刷をすることにより内外面を白に近づけることが可能である(例えば、特許文献2〜3参照)。
また、紙と紙を接着剤で張り合わせたものを用いて成形した紙カップでは、隠蔽効果はあるものの、接着剤の臭気が残留するとともに、紙カップのサイドシーム端面に接着剤が露出するという問題がある(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平05−5445号公報
【特許文献2】特開2000−203557号公報
【特許文献3】特開2004−175019号公報
【特許文献4】特開平10−129741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、紙による隠蔽効果を利用する場合に、紙と紙を押し出しラミネートで貼り合せると、2枚の原紙の加熱時の収縮率が同じでも収縮方向の少しの違いにより反りやねじれが発生し、この紙を打ち抜き、カップを成形しようとすると、トラブルの原因になるという問題がある。
さらに、紙と紙の間に墨の印刷などを施した押し出しラミネートした紙を用いてカップを成形する場合には、カップの内側となる面にポリエチレンなどの樹脂層を設けることが行われるが、このような内側に樹脂層を備えたカップに蓋をシールし、蓋を剥がすと、樹脂層と共に内側の紙がはがれ、墨の印刷が露出し、開口部が黒くなるという問題がある。
また、紙カップ自体に対する工程検査や、紙カップに入れた食品に対し、金属探知を行う必要がある場合があり、遮光性を確保することと本来の目的にあった正常な金属探知を可能とすることの両立が望まれている。
【0006】
この発明は、上記従来技術の問題点と要望に鑑みてなされたもので、遮光性を確保すると同時に、遮光層が透けて見えたり、反りやねじれが発生することがなく、容易に成形できるとともに、蓋をはがす場合に遮光層が露出することがない遮光性紙カップを提供しようとするものである。
さらに、金属探知をも可能とした遮光性紙カップを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる従来技術の課題を解決するこの発明の請求項1記載の遮光性紙カップは、2枚の原紙の間に遮光性印刷層を備えた積層遮光紙を用いて成形される遮光性紙カップにおいて、前記積層遮光紙の前記紙カップの内側となる原紙外側に、樹脂層を介して前記遮光印刷層を積層する一方、当該積層遮光紙の2枚の原紙の坪量の和が150〜350g/m2であり、かつ一方の原紙の坪量が他方の原紙の坪量に対して1.3倍以上であることを特徴とするものである。
【0008】
この発明の請求項2記載の遮光性紙カップは、請求項1記載の構成に加え、前記積層遮光紙の一方の原紙のテーバーこわさが他方の原紙のテーバーこわさに対して1.7倍以上であることを特徴とするものである。
【0009】
この発明の請求項3記載の遮光性紙カップは、請求項1または2記載の構成に加え、前記積層遮光紙の前記紙カップの内側となる原紙の坪量が70g/m2以上とされ、かつ白色度が70%以上であることを特徴とするものである。
【0010】
この発明の請求項4記載の遮光性紙カップは、請求項1または2記載の構成に加え、前記積層遮光紙の樹脂層の外側に、白印刷層を1層ないし複数層設けて構成してなることを特徴とするものである。
【0011】
この発明の請求項5記載の遮光性カップは、請求項4記載の構成に加え、前記積層遮光紙の前記紙カップの内側となる原紙の坪量が30g/m2以上とされ、かつ白色度が70%以上であることを特徴とするものである。
【0012】
この発明の請求項6記載の遮光性紙カップは、請求項3〜5のいずれかに記載の構成に加え、前記積層遮光紙の樹脂層を白色樹脂層で構成したことを特徴とするものである。
【0013】
この発明の請求項7記載の遮光性紙カップは、請求項1〜6のいずれかに記載の構成に加え、前記積層遮光紙の遮光性印刷層をカーボンブラックによる墨印刷層とし、当該墨印刷層の原紙に塗布されるカーボンブラック量を4.45g/m2以上10.00g/m2以下として遮光性の確保および金属探知可能に構成したことを特徴とするものである。
ここで、坪量は、原紙を23℃、50%RH条件下で24時間以上調湿し、100mm×100mmにカットしてサンプルとし、このサンプルの質量(g)を電子天秤で測定することで算出したもの(g/m2)である。
【発明の効果】
【0014】
この発明の請求項1記載の遮光性紙カップによれば、2枚の原紙の間に遮光性印刷層を備えた積層遮光紙を用いて成形される遮光性紙カップにおいて、前記積層遮光紙の前記紙カップの内側となる原紙外側に、樹脂層を介して前記遮光印刷層を積層する一方、当該積層遮光紙の2枚の原紙の坪量の和が150〜350g/m2であり、かつ一方の原紙の坪量が他方の原紙の坪量に対して1.3倍以上であるので、2枚の原紙の坪量を変えることで、坪量の大きい方の剛性により坪量の小さい方のそりやねじれを防止し、しかもいずれの原紙でも遮光性印刷層を隠蔽でき、遮光性を確保すると同時に、遮光層が透けて見えたり、反りやねじれが発生することがなく、容易に紙カップを成形することができる。また、蓋をはがす場合に遮光印刷層の内側の原紙外側に樹脂層が設けてあるので、原紙の層間で剥離が生じることになって遮光印刷層の露出を防止することができる。さらに、原紙の層間で剥離するため、シール温度に左右されずに、ピール強度はある一定以上は強くならずに、蓋をはがすことができる。
【0015】
この発明の請求項2記載の遮光性紙カップによれば、前記積層遮光紙の一方の原紙のテーバーこわさが、他方の原紙のテーバーこわさに対して1.7倍以上であるので、2枚の原紙のテーバーこわさを変えることによってもこわさの大きい原紙で積層遮光紙のそりやねじれを防止することができる。
これにより、遮光性の確保と同時に、遮光層が透けて見えたり、そりやねじれの発生を防止することができる。
【0016】
この発明の請求項3記載の遮光性紙カップによれば、前記積層遮光紙の前記紙カップの内側となる原紙の坪量が70g/m2以上とされ、かつ白色度が70%以上であるので、2枚の紙の坪量が小さい方でも白色度を確保でき、しかもそりやねじれを防止することができる。2枚の原紙の間にある遮光性印刷層の隠蔽層として、白印刷層や白樹脂層を設けなくとも、カップの内側となる原紙の坪量が70g/m2以上あれば、実用品としての白色度を満足する。
【0017】
この発明の請求項4記載の遮光性紙カップによれば、前記積層遮光紙の樹脂層の外側に、白印刷層を1層ないし複数層設けて構成してなるので、白印刷層によって一層確実に遮光性印刷層が透けて見えることを防止することができる。
【0018】
この発明の請求項5記載の遮光性紙カップによれば、前記積層遮光紙の前記紙カップの内側となる原紙の坪量が30g/m2以上とされ、かつ白色度が70%以上であるので、2枚の紙の坪量が小さい方でも白色度を確保でき、そりやねじれを防止することができる。少なくとも隠蔽層として、白印刷層を1層ないし複数層設けている場合は、カップの内側となる原紙の坪量が30g/m2以上あれば、実用品の白色度を満足する。
【0019】
この発明の請求項6記載の遮光性紙カップによれば、前記積層遮光紙の樹脂層を白色樹脂層で構成したので、白色樹脂層と白印刷層によって一層確実に遮光性印刷層が透けて見えることを防止することができる。
【0020】
この発明の請求項7記載の遮光性紙カップによれば、前記積層遮光紙の遮光性印刷層をカーボンブラックによる墨印刷層とし、当該墨印刷層の原紙に塗布されるカーボンブラック量を4.45g/m2以上10.00g/m2以下として遮光性の確保および金属探知可能に構成したので、墨印刷層による遮光性の確保と同時に、金属探知機にかける場合にもカーボンブラックの影響を受けずに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の遮光性紙カップの一実施の形態にかかる半裁断面図、積層遮光紙の概略断面図である。
【図2】この発明の遮光性紙カップに用いる積層遮光紙の他の一実施の形態にかかる概略断面図である。
【図3】この発明の遮光性紙カップに用いる積層遮光紙のさらに他の一実施の形態にかかる概略断面図である。
【図4】原紙(11)Aの坪量と白色度の関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
この発明の遮光性紙カップ1は、2枚の原紙11,12の間に遮光性印刷層13を備えた積層遮光紙10を用いて成形される紙カップであり、例えばアイスクリームの容器やヨーグルトなどの容器として用いられるものである。
【0023】
この遮光性紙カップ1で使用される積層遮光紙10は、紙カップ1の内側となる原紙11外側に、樹脂層14を介して遮光印刷層13が積層される一方、積層遮光紙10の2枚の原紙11,12の坪量の和が150〜350g/m2であり、かつ2枚の原紙11,12の坪量の比が1:1.3以上1:10.7以下としてある。
このような積層遮光紙10の2枚の原紙11,12の坪量を変えることで、坪量の大きい方の剛性により坪量の小さい方の反りやねじれを防止し、しかもいずれの原紙11,12でも遮光性印刷層13を隠蔽して遮光性印刷層13が透けて見えることがないようにしている。
また、この積層遮光紙10では、積層される2枚の原紙11,12の坪量を変えることによる反りの発生防止効果について次のような実験を行い坪量の値を定めている。
【0024】
2枚の原紙11,12のうち一方の原紙Aの坪量(g/m2)を190,150,100,70,50,30としたものを用意し、他方の原紙Bの坪量(g/m2)を320,190としたものを用意した。そして、これら原紙(11)Aの内側に厚さ20μmのLDPE(低密度ポリエチレン樹脂)樹脂層15をラミネートなどで設け、この原紙(11)Aの外側に厚さ15μmのLDPE(低密度ポリエチレン樹脂)樹脂層14を介して遮光性印刷層13としてフレキソ墨印刷を設け、さらに原紙(12)Bを積層して積層遮光紙10を押出ラミネートなどで得た。
得られた積層遮光紙10から幅200mm×長さ60mmの長方形の試験片を切り出し、試験紙の4隅の水平面からの高さを反り量として測定し、4隅の反り量の値を平均して試験片の反り量とした。その結果を表1に示した。
【0025】
【表1】

【0026】
この積層遮光紙10の坪量を変えることによる反りの発生防止効果は、表1から明らかなように、坪量差を大きくすることにより、反り量を小さくすることができることが判る。
一方、このような積層遮光紙10を用いて、打ち抜き、成型の工程を経て行う紙カップ1の製造では、許容できる適正な反り量は、7.2mm以下である必要があることから、坪量は、1:1.3以上の比率差が範囲となる。
また、紙カップ1として成型可能な積層遮光紙10の坪量の範囲は、150〜350g/m2である。
したがって、2枚の原紙(11,12)A,Bで構成される積層遮光紙10では、以下の関係が必要となる。
坪量合計 150g/m2≦ A+B ≦350g/m2
坪量比 A : B= 1 : 1.3〜 1 : 1.3以上
これらの関係を同時に満たす2枚の原紙(11,12)A,Bで積層遮光紙10を構成することで、反りを抑えて容易に紙カップを成型することができる。好ましくは、原紙(11)Aの坪量に対して、原紙(12)Bの坪量は、1.3倍以上10.7倍以下である。
【0027】
なお、2枚の原紙(11,12)A,Bで構成される積層遮光紙10を用いて行う紙カップ1の成型では、紙カップの胴部が略円筒状であることから、坪量の小さい原紙(11)Aを内側に配置するが、逆に配置することも可能である。
また、このような積層遮光紙10の外側の原紙12の外面には、デザイン印刷が施され、必要に応じてデザイン印刷の外側に樹脂層がラミネートなどで設けられて遮光性紙カップ1が構成される。
【0028】
この積層遮光紙10を用いた紙カップ1では、蓋でシールする場合には、蓋の樹脂層と積層遮光性10の内側の樹脂層15とが接着されることになり、この樹脂層15に接着した蓋を剥がす場合には、原紙11の内外に樹脂層15,14が設けられ、外側の樹脂層14の外側に遮光性印刷層13が印刷してあることから、原紙11と樹脂層15,14の接合強度、蓋の樹脂層と樹脂層15の接着強度に比べ、原紙11自体の強度が小さく、原紙11中で剥離が生じ、原紙11が分割されるように剥がれる。
これにより、遮光性紙カップ1では、剥離した原紙11が表面に露出することになり、容器側に残った原紙11により、遮光性印刷層13の黒い部分が露出することが防止される。
【0029】
このような遮光性紙カップ1を構成する積層遮光紙10の層構成としては、図1に示した原紙11(A)の外側に少なくとも樹脂層14を介して墨印刷による遮光性印刷層13が設けられたもので良く、図2に示すように、内側の原紙11の外側の樹脂層14と墨印刷による遮光性印刷層13との間に白印刷層16を設けて紙カップ1の内側へ遮光性印刷層13が透けて見えることを防止するようにしても良い。さらに、図3に示すように、内側の原紙11の外側の樹脂層14と墨印刷による遮光性印刷層13との間に2層の白印刷層16,16を設けて紙カップ1の内側へ遮光性印刷層13が透けて見えることを一層確実に防止するようにしても良い。
なお、原紙11の外側の樹脂層14や原紙11の内側の樹脂層15としては、例えば次のような樹脂を用いることができ、LDPE,LLDPE,PE,PP,PET,PBT,PLA,PLAブレンド樹脂などを挙げることができる。
このような層構成を備えた積層遮光紙10は、例えば押し出しラミネート法などで製造される。
【0030】
また、積層遮光紙10の層構成として、図1〜図3に示す3つの実施の形態について説明したが、原紙11の外側に設ける樹脂層14を白色樹脂層として構成することで、紙カップ1の内側へ遮光性印刷層13が透けて見えることを一層確実に防止するようにしても良い。さらに、蓋をはがした時においても、遮光印刷層が透けて見えにくくなる。
なお、積層遮光紙10の外側の原紙12の外側には、これまでと同様、デザイン印刷が施され、必要に応じてさらにLDPE(低密度ポリエチレン樹脂)などの樹脂層が必要に応じて設けられる。
【0031】
次に、この遮光性紙カップ1に用いる積層遮光紙10としては、反りの発生を抑えることができる2枚の原紙11,12としてそれぞれの原紙のこわさを変えることによっても可能である。
ここでは、原紙のこわさとして、テーバーこわさ試験機(東洋精機製作所製)によりその値を測定した。
まず、原紙として坪量の異なる原紙を用意し、各原紙のこわさ(mN・m)を測定した。ここでは、2枚の原紙11,12のうち一方の原紙Aの坪量(g/m2)を260、190,150,100,70,50,30としたものを用意し、他方の原紙Bの坪量(g/m2)を320,190としたものを用意した。
それぞれのこわさ(mN・m)の測定結果を表2に示した。
そして、これら原紙(11)Aの内側に厚さ20μmのLDPE(低密度ポリエチレン樹脂)樹脂層15をラミネートなどで設け、この原紙(11)Aの外側に厚さ15μmのLDPE(低密度ポリエチレン樹脂)樹脂層14を介して遮光性印刷層13としてフレキソ墨印刷を設け、さらに原紙(12)Bを積層して積層遮光紙10を押出ラミネートなどで得た。
貼り合わせに用いる原紙(11)Aと原紙12Bのこわさを表1の測定方法と同様の方法で測定し、その結果を表3に示した。
【0032】
【表2】

【0033】
【表3】

【0034】
貼り合わせる原紙(11)Aと原紙(12)Bのこわさの比率を変えることによるそりの発生防止効果は、表3から明らかなように、こわさの差を大きくすることにより、反り量を小さくすることができることが判る。
一方、このような積層遮光紙10を用いて、打ち抜き、成型の工程を経て行う紙カップ1の製造では、許容できる適正な反り量は、7.2mm以下である必要があることから、こわさは、1:1.7以上の比率差が範囲となる。
したがって、2枚の原紙(11,12)A,Bで構成される積層遮光紙10では、一方の原紙のこわさが、他方の原紙のこわさの1.7倍以上のものを積層して使用すれば良く、これらの関係を同時に満たす2枚の原紙(11,12)A,Bで積層遮光紙10を構成することで、反りを抑えて容易に紙カップを成型することができる。好ましくは、こわさが1.7倍以上51倍以下である。
【0035】
次に、この発明の遮光性紙カップ1に用いる積層遮光紙10の白色度について測定した。
通常、紙カップでは、外側にはデザイン印刷などを施されることから、外側での白色度の問題は少なく、内側での白色度が問題となる。
そこで、紙カップ1の外側となる積層遮光紙10の原紙(12)Bの内側に遮光印刷層13としてフレキソ墨印刷を施したものと、遮光性印刷層13の内側にさらに白印刷を2層設けたものを用意し、さらに内側に原紙(11)Aとして坪量(g/m2)を190,150,100,70,50,30としたものを用意した。なお、原紙(12)Bの坪量(g/m2)は190のものである。
白色度の測定はオプトロン−ブライトネス(東洋精機製作所製)を用いて測定した。
白色度の測定結果を、表4に示した。また、遮光性印刷層13を覆う原紙(11)Aの坪量と白色度の関係を示したグラフを図4に示した。
【0036】
【表4】

【0037】
通常、遮光性印刷層13が透けて見えることがない白色度は、70%前後の値が必要とされており、これらの白色度の測定結果から、原紙(11)Aだけで白色度を確保しようとする場合には、坪量が最低70g/m2なければならないが、遮光性印刷層13を覆うように白色印刷層を2層に設けた場合には、原紙(11)Aとしては坪量が最低30g/m2あれば良いことがわかる。
したがって、遮光性紙カップ1とする場合には、積層遮光紙10の原紙Aの坪量とともに、遮光性印刷層13を覆う白色印刷層や白色樹脂層を設けることを組合わせることで、遮光性印刷層13が透けてグレーに見えることのない遮光性紙カップ1とすることができる。
【0038】
次に、この遮光性紙カップ1では、内容物によって金属探知を行う必要があるが、積層遮光紙10として遮光印刷層13にカーボンブラックを添加した墨印刷を行うと、金属反応が発生する場合があり、内容物の金属探知できないことになる。
そこで、遮光性の確保と金属探知機での反応を避けることができるカーボン量について検討した。
ここでは、サンプルとして坪量が190g/m2の原紙に遮光印刷層としてカーボン量を変えたフレキソ墨印刷を行い、その外側にフレキソ白印刷を2層設けたものを用いた。
このフレキソ墨印刷におけるカーボン量は出願人が従来から使用している遮光紙カップ用の原紙に塗布するカーボンブラックの使用量11.11g/m2を100%とし、この従来品に対してカーボン量を80(8.89g/m2),60(6.67g/m2),40(4.45g/m2),20(2.22g/m2),0(0g/m2)%とした(表5参照)。
なお、従来品は、坪量が220g/m2の原紙に遮光印刷層としてグラビア墨印刷を行い、その外側に墨印刷、白印刷および樹脂層として遮蔽コート15g/m2を設けたものである。
また、遮光性は、分光光度計V−550(日本分光製)を用い、全光線透過率(%)を測定した。なお、遮光性として必要とされる光線透過率は、可視光域において1.0%以下であれば、問題なく遮光性が得られる。
全光線透過率の測定結果は、表6に示した。この表から明らかなように、従来品(基準品)との比較および通常の遮光性に対する基準から原紙に塗布するカーボンブラック量を4.45g/m2以上とすることで、必要な遮光性が得られることが確認できた。
【0039】
次に、金属探知機での反応の回避について確認した。上記の遮光性を確保できる原紙に塗布するカーボンブラック量の確認結果から、遮光性に余裕のあるカーボンブラック量を6.67g/m2、7.78g/m2、8.89g/m2、10.00g/m2、11.11g/m2とした積層遮光紙を用い、アイスクリーム用の容量が129mLの遮光性紙カップを成型し、サンプルとした。
金属探知機は、コンベアー式金属探知機(日新電子工業製)を用い、検査感度を、SUS φ1.2mm,Fe φ0.7mmとした。
金属探知機での検査結果は、表7に示すとおりであり、原紙に塗布したカーボンブラック量が10.00g/m2以下のサンプルの遮光性紙カップでは金属反応がないことが確認できた。
【0040】
【表5】

【0041】
【表6】

【0042】
【表7】

【実施例】
【0043】
以下に、この発明の遮光性紙カップの実施例について説明する。
なお、これら実施例は、この発明を何ら限定するものではない。
(実施例1)
片面をラミネートしたアイスクリーム用の遮光性紙カップを成型した。
この遮光性紙カップに用いた積層遮光紙は、原紙Aとして坪量が30g/m2の食品用包装原紙を、原紙Aのカップ内側の樹脂層として20μmのLDPEを、原紙Aの外側には、樹脂層として、15μmの白PE層、フレキソ白印刷を2層、遮光性印刷層としてフレキソ墨印刷をそれぞれ設け、原紙Bとして坪量190g/m2の一般コート紙にデザイン印刷をし、押し出しラミネートで積層した。
この積層遮光紙では、反りの発生は抑えられ、遮光性紙カップの成型に支障はなかった。また、成型した遮光性紙カップでは、所定の遮光性が得られ、カップ内側へ遮光印刷層が透けて見えることもなく白色度に優れ、金属探知機での反応もなかった。さらに、蓋をシールした後、剥がした場合には、原紙A中で剥離し、遮光性印刷層が露出することもなかった。
(実施例2)
【0044】
両面をラミネートしたヨーグルト、アイスクリーム用の遮光性紙カップを成型した。
この遮光性紙カップに用いた積層遮光紙は、原紙Aとして坪量が50g/m2の耐酸紙を、原紙Aのカップ内側の樹脂層として37μmのLDPEを、原紙Aの外側には、樹脂層として、15μmの白PE層、フレキソ白印刷を2層、遮光性印刷層としてフレキソ墨印刷をそれぞれ設け、原紙Bとして坪量260g/m2の耐酸コート紙にデザイン印刷をし、この原紙Bの外側に、18μmのLDPEを設けて押し出しラミネートで積層した。
この積層遮光紙では、反りの発生は抑えられ、遮光性紙カップの成型に支障はなかった。また、成型した遮光性紙カップでは、所定の遮光性が得られ、カップ内側へ遮光印刷層が透けて見えることもなく白色度に優れ、金属探知機での反応もなかった。さらに、蓋をシールした後、剥がした場合には、原紙A中で剥離し、遮光性印刷層が露出することもなかった。
【符号の説明】
【0045】
1 遮光性紙カップ
10 積層遮光紙
11(A) 原紙
12(B) 原紙
13 遮光印刷層
14 樹脂層(カップ外側)
15 樹脂層(カップ内側)
16 白印刷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の原紙の間に遮光性印刷層を備えた積層遮光紙を用いて成形される遮光性紙カップにおいて、
前記積層遮光紙の前記紙カップの内側となる原紙外側に、樹脂層を介して前記遮光印刷層を積層する一方、当該積層遮光紙の2枚の原紙の坪量の和が150〜350g/m2であり、かつ一方の原紙の坪量が他方の原紙の坪量に対して1.3倍以上であることを特徴とする遮光性紙カップ。
【請求項2】
前記積層遮光紙の一方の原紙のテーバーこわさが他方の原紙のテーバーこわさに対して1.7倍以上であることを特徴とする請求項1記載の遮光性紙カップ。
【請求項3】
前記積層遮光紙の前記紙カップの内側となる原紙の坪量が70g/m2以上とされ、かつ白色度が70%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の遮光性紙カップ。
【請求項4】
前記積層遮光紙の樹脂層の外側に、白印刷層を1層ないし複数層設けて構成してなることを特徴とする請求項1または2記載の遮光性紙カップ。
【請求項5】
前記積層遮光紙の前記紙カップの内側となる原紙の坪量が30g/m2以上とされ、かつ白色度が70%以上であることを特徴とする請求項4記載の遮光性紙カップ。
【請求項6】
前記積層遮光紙の樹脂層を白色樹脂層で構成したことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の遮光性紙カップ。
【請求項7】
前記積層遮光紙の遮光性印刷層をカーボンブラックによる墨印刷層とし、当該墨印刷層の原紙に塗布されるカーボンブラック量を4.45g/m2以上10.00g/m2以下として遮光性の確保および金属探知可能に構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の遮光性紙カップ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−229046(P2012−229046A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99124(P2011−99124)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】