説明

遮光板破損検知方法及び装置

【課題】遮光板の使用限界を容易に判断できるようにする。
【解決手段】レーザ光を遮光する遮光板の破損を検知する遮光板破損検知方法であって、互いに間隔をおいて対向して配置した2枚の遮光板1,3間を密閉空間7とし、この密閉空間7内の圧力を圧力センサ17によって検知する。この検知圧力の変化によって遮光板1,3の破損を検知し、溶接キャビンにおける遮光板1,3で構成される遮蔽窓ガラス9の使用限界を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を遮光する遮光板の破損を検知する遮光板破損検知方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工時に使用するレーザ光を遮光する技術が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−94708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、レーザ加工装置においては、安全性を確保するために、加工時に使用するレーザ光を遮光することが必要となっている。その際使用する遮光板は、一般的に樹脂で構成していて、レーザ光を受けると徐々に溶融していくが、使用限界を判断することが極めて困難となっている。
【0005】
そこで、本発明は、遮光板の使用限界を容易に判断できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、レーザ光を遮光する遮光板の破損を検知する遮光板破損検知方法であって、互いに間隔をおいて対向して配置した2枚の前記遮光板間を密閉空間とし、この密閉空間内の圧力の変化によって前記遮光板の破損を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2枚の遮光板間の密閉空間内の圧力変化によって、遮光板の破損を検知することができ、これにより遮光板の使用限界を容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す遮光板破損検知装置の全体構成図である。
【図2】図1の遮光板破損検知装置を備える溶接キャビンの外観図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す遮光板破損検知装置における遮蔽窓ガラスの分解斜視図である。
【図4】図3の遮光板破損検知装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1に示すように、互いに間隔をおいて対向して配置した2枚の遮光板1,3は、例えばアクリル板などの樹脂板で構成している。このアクリル板にレーザ光を吸収して外部に漏洩するのを抑える物質を塗布し、これにより遮光板1,3はレーザ光を遮光する機能を備える。そして、この2枚の遮光板1,3相互間に、外周縁に設けたシール材5により密閉空間7を形成して図2に示す遮蔽窓ガラス9を構成している。
【0011】
図2に示す遮蔽窓ガラス9を備える溶接キャビン11内には、図示しないレーザ加工ヘッド及び、レーザ加工ヘッドを先端のアームで移動可能に支持するロボットを収容配置している。遮蔽窓ガラス9を通して溶接キャビン11内の作業状態などを監視する。溶接キャビン11の外部には、レーザ発振器13や操作盤15を配置している。
【0012】
なお、ここでは、図1に示す遮蔽窓ガラス9を構成する2枚の遮光板1,3のうち、遮光板3が溶接キャビン11内、すなわち溶接作業室側に位置し、遮光板1が溶接キャビン11の外側に位置するものとする。
【0013】
図1に示す遮蔽窓ガラス9における密閉空間7内は、例えば窒素などの不活性ガスを封入して大気圧よりも高い圧力Pに設定してある。この密閉空間7内の圧力を検知する圧力検知手段としての圧力センサ17と、圧力センサ17が検出する圧力が当初設定してある圧力Pよりも低くなったときに、溶接キャビン11側の遮光板3が溶融するなどして破損したと判断する破損判断手段としてのコントローラ19とを設けている。もちろん、コントローラ19は、溶接キャビン11の外側の遮光板1が何らかの原因で破損したときであても、圧力センサ17の検出圧力が低下するので、遮光板1が破損したと判断する。
【0014】
このように、遮光板1,3のうち少なくとも一方が破損したときに、コントローラ19は、遮蔽窓ガラス9の使用限界と判断し、別途設けた警報機に警報信号を出力するとともに、レーザ加工装置21におけるレーザ発振器13の作動を停止させる。これにより、レーザ光の溶接キャビン11外部への漏れを未然に防ぐことができ、遮蔽窓ガラス9の使用限界も容易に判断できる。
【0015】
なお、密閉空間7内を、上記実施形態では大気圧よりも高い圧力P(正圧)に設定しているが、大気圧よりも低い負圧に設定してもよい。
【0016】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、図3に示すように、前記図1に示した遮光板1,3と同様な遮光板23と、該遮光板23と同様な遮光板25に電気配線としての銅線27をシルク印刷した配線付遮光板29とを、銅線27が遮光板23側に位置するよう互いに重ね合わせている。その際、これら遮光板23と配線付遮光板29とは、4本の止め具31により固定して一体化し図2に示す遮蔽窓ガラス9として使用することになる。
【0017】
配線付遮光板29の銅線27は、遮光板25のほぼ全面に行き渡るように蛇行させてあり、その両端を互いに近接配置して設けた端子33,35に接続している。なお、この端子33,35は、前記した4本の止め具31のうちの2本を利用して、遮蔽窓ガラス9の角部にて固定している。止め具31の他の2本は、遮蔽窓ガラス9の他の角部にて固定している。
【0018】
そして、上記した各端子33,35を外部に突出させて、その各突出端部に、図4に示すように、電源37及び、断線検知手段としての電流計などの導通センサ39を直列に接続し、導通センサ39には第1の実施形態と同様のコントローラ19を接続する。
【0019】
なお、ここでは、遮光板23が溶接キャビン11内、すなわち溶接作業室側に位置し、配線付遮光板29が溶接キャビン11の外側に位置するものとする。
【0020】
第2の実施形態においては、溶接キャビン11内で使用するレーザ光の漏れ光を遮光するはずの遮光板23を、レーザ光が透過して配線付遮光板29に達することで、銅線27が断線し、この断線を導通センサ39が検知する。
【0021】
そして、この断線信号はコントローラ19が取り込み、コントローラ19は、遮光板23が溶融するなどして破損したと判断し、第1の実施形態と同様に、別途設けた警報機に警報信号を出力するとともに、レーザ加工装置21におけるレーザ発振器13の作動を停止させる。これにより、レーザ光の溶接キャビン11外部への漏れを未然に防ぐことができ、遮蔽窓ガラス9の使用限界も容易に判断できる。
【0022】
なお、上記した第2の実施形態において、配線付遮光板29を溶接キャビン11内、すなわち溶接作業室側に位置させ、遮光板23を溶接キャビン11の外側に位置させるようにしてもよい。
【0023】
なお、上記した各実施形態における遮光板破損検知装置においては、遮蔽窓ガラス9に相当するものを、人が頭に装着する防護ヘルメットの遮光マスクに適用することもできる。
【符号の説明】
【0024】
1,3,23 遮光板
7 密閉空間
17 圧力センサ(圧力検知手段)
19 コントローラ(破損判断手段)
27 銅線(電気配線)
29 配線付遮光板
39 導通センサ(断線検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を遮光する遮光板の破損を検知する遮光板破損検知方法であって、互いに間隔をおいて対向して配置した2枚の前記遮光板間を密閉空間とし、この密閉空間内の圧力の変化によって前記遮光板の破損を検知することを特徴とする遮光板破損検知方法。
【請求項2】
レーザ光を遮光する遮光板の破損を検知する遮光板破損検知方法であって、レーザ光を遮光しつつ気配線を備える配線付遮光板を設け、この配線付遮光板の前記レーザ光側に設けた前記遮光板からのレーザ光の入光による前記電気配線の断線を検知することで、前記遮光板の破損を検知することを特徴とする遮光板破損検知方法。
【請求項3】
レーザ光を遮光する遮光板の破損する遮光板破損検知装置であって、互いに間隔をおいて対向して配置した2枚の前記遮光板と、この2枚の遮光板相互間に形成した密閉空間内の圧力を検知する圧力検知手段と、この圧力検知手段が検知する圧力の変化によって前記遮光板の破損を判断する破損判断手段とを有することを特徴とする遮光板破損検知装置。
【請求項4】
レーザ光を遮光する遮光板の破損を検知する遮光板破損検知装置であって、レーザ光を遮光しつつ電気配線を備える配線付遮光板と、この配線付遮光板に重ね合わされてレーザ光を遮光する前記遮光板と、前記電気配線の断線を検知する断線検知手段と、この断線検知手段が、前記遮光板からのレーザ光の入光による前記電気配線の断線を検知したときに、前記遮光板が破損したと判断する破損判断手段とを有することを特徴とする遮光板破損検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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