説明

遮光膜用着色組成物、遮光膜及び遮光パターンの形成方法、並びに固体撮像素子及びその製造方法

【課題】短波長領域(例えば400nm未満)での透光性を保持しながら、赤外領域及び可視域(例えば400〜700nm)で高い遮光性を有し、剥がれの発生が抑制された遮光膜用着色組成物を提供する。
【解決手段】チタン原子を有する黒色チタン顔料から選ばれる少なくとも一種と、赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の中から選ばれる有機顔料の少なくとも1種とを含み、波長650nmの光の透過率が0.2%となるように成膜したときに、波長400〜700nmの光の透過率の最大値が1.5%以下であり、その最大透過率を示す波長を400〜550nmに有しており、波長400nmにおける光の透過率が0.1%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタンブラックなどのチタン原子(Ti)を含む黒色顔料を用いた遮光膜用着色組成物、遮光膜及び遮光パターンの形成方法、並びに固体撮像素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられるカラーフィルタには着色画素間の光を遮蔽し、コントラストを向上させる等の目的で、ブラックマトリクスと呼ばれる遮光膜が備えられている。また、固体撮像素子においては、裏面側の遮光や画素間の赤外領域の遮光によるノイズ発生防止、画質の向上等の目的で、遮光性のあるフィルタ膜が設けられている。
【0003】
液晶表示装置用のブラックマトリクスや、固体撮像素子に用いられる遮光用のフィルタ膜(遮光膜)を形成するための組成物としては、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色色材を含有する感光性樹脂組成物が知られている。
具体的には、例えば、感光性の樹脂組成物として、光学濃度の向上等のために特定のX線回折ピーク強度比を有するチタンブラックを含む感光性樹脂組成物(例えば、特許文献1〜2参照)や、特定の窒素濃度や特定の結晶子径を有するチタンブラックを含む感光性樹脂組成物(例えば、特許文献3〜5参照)が提案されている。また、遮光性材料として有機顔料と酸化チタン顔料や酸窒化チタンとからなる顔料混合物を含有する顔料分散組成物が開示されている(例えば、特許文献6参照)。
【0004】
また、固体撮像素子には、一般に、カラーフィルタ及びカラーフィルタを介して受光する受光素子上に配置されたマイクロレンズの上方に、素子内に入射される光の量を絞ったり光路を調節する等のために、遮光部分を持つ透光性の光学部材が配置されている。このような光学部材にも遮光部分が形成されており、この遮光部分は、例えば、透光部分以外の領域に金属膜を蒸着したり、あるいはカーボンブラック等の黒色剤を含むレジスト材料を用いて黒色膜を形成する等により形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3724269号公報
【特許文献2】国際公開第2005/037926号パンフレット
【特許文献3】特開2006−182627号公報
【特許文献4】特開2006−206891号公報
【特許文献5】特開2006−209102号公報
【特許文献6】特開平10−1626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から、カーボンブラックを含む膜は、広い波長領域に亘って高い遮光濃度を得ることが可能であるために広く利用されているが、光学濃度は長波長側から短波長側に次第に高くなり、長波長側に比べて短波長領域の光学濃度が極めて高いために、製造時に例えばg線,h線,i線などの紫外領域の光でパターン露光する際、光が膜内部まで届かず、露光が不充分になり、パターン形状の悪化や剥がれを招来しやすい傾向がある。
【0007】
チタンブラックは、赤外領域等の長波長光を遮断する遮光性を持つが、短波長側では光を透過することができる。そのため、紫外領域の光ではパターン露光を良好に行なえる。しかしながら、実際には、チタンを含む黒色顔料で黒着色された色相は、その透過領域が可視域(400〜700nm)にも及ぶため、可視域での遮光性は、汎用のカーボンブラックに比べると低くなりやすく、透過した光がデバイス上のノイズとなる場合がある。
【0008】
また、蒸着により成膜する場合、工程が煩雑であるほか、収縮の影響で膜面が反り上がって密着不良を来しやすい問題がある。また、蒸着膜は光反射性を持ち、それが悪影響を及ぼす懸念もある。
【0009】
一方、近年では、特に固体撮像素子の小型化が図られており、固体撮像素子用のカラーフィルタにおいては、着色パターンの薄層化(例えば厚み1μm以下)が求められ、遮光膜も薄膜化に対応する技術が求められている。
【0010】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、短波長領域(例えば400nm未満)での透光性を保持しながら、赤外領域及び可視域(例えば400〜700nm)で高い遮光性(すなわち黒濃度)を有し、構造のある基板上でも剥がれの発生が抑制された遮光膜用着色組成物、遮光能に優れ、剥がれの少ない遮光膜及び遮光パターンの形成方法、並びに、ノイズが少なく色再現性に優れた固体撮像素子及びその製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、カーボンブラックを用いた遮光膜のように広い波長領域で高い遮光能を持ちながら、400nm未満の短波長域では光(i線等)の透過率を保つため、黒色チタン顔料を含む組成に対して可視域の透過率を選択的に低くすることで、パターン形成性、密着性が高められるとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
【0012】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> チタン原子を有する黒色チタン顔料から選ばれる少なくとも一種と、赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の群から選ばれる有機顔料の少なくとも1種とを含み、波長650nmの光の透過率が0.2%となるように成膜したときに、波長400〜700nmの光の透過率の最大値が1.5%以下であり、その最大透過率を示す波長が400〜550nmに有しており、波長400nmにおける光の透過率が0.1%以上である遮光膜用着色組成物である。
<2> 前記黒色チタン顔料(tip)と前記有機顔料(orp)との質量比(tip:orp)が、90:10〜40:60であることを特徴とする前記<1>に記載の遮光膜用着色組成物である。
<3> 前記黒色チタン顔料の含有量が、全固形分質量に対して20質量%以上であることを特徴とする前記<2>に記載の遮光膜用着色組成物である。
<4> 前記黒色チタン顔料の含有量が、全顔料に対して35質量%以上であることを特徴とする前記<2>又は前記<3>に記載の遮光膜用着色組成物である。
<5> 前記有機顔料の少なくとも一種は、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ペリノン系顔料、ナフトールAS系顔料、アンスラキノン系顔料、ピラゾロン系顔料、又はイソインドリノン系顔料であることを特徴とする前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の遮光膜用着色組成物である。
<6> 更に、樹脂、重合性化合物、及び光重合開始剤を含み、光硬化性を有することを特徴とする前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の遮光膜用着色組成物である。
<7> 固体撮像素子用カラーフィルタの作製に用いられることを特徴とする前記<6>に記載の遮光膜用着色組成物である。
【0013】
<8> 前記<6>又は前記<7>に記載の遮光膜用着色組成物を支持体上に付与して着色膜を形成する工程と、前記着色膜をパターン状に露光する工程と、露光後の前記着色膜を現像して遮光パターンを形成する工程とを有する遮光パターンの形成方法である。
<9> チタン原子を有する黒色チタン顔料から選ばれる少なくとも一種と、赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の群から選ばれる有機顔料の少なくとも1種とを含み、波長650nmの光の透過率が0.2%であるときに、波長400〜700nmの光の透過率の最大値が1.5%以下であり、その最大透過率を示す波長を400〜550nmに有しており、波長400nmにおける光の透過率が0.1%以上である遮光膜である。
<10> 前記<8>に記載の遮光パターンの形成方法により形成された遮光膜である。
【0014】
<11> 少なくともカラーフィルタ及び受光領域を備えた半導体基板の受光面側に配置された透光性部材の上に、前記<6>に記載の遮光膜用着色組成物を付与して着色膜を形成する工程と、形成された着色膜をパターン状に露光する工程と、露光後の前記着色膜を現像して遮光パターンを形成する工程と、遮光パターンを形成した後の前記半導体基板を所定の素子単位に分離し、固体撮像素子を作製する工程とを有する固体撮像素子の製造方法である。
<12> 複数の受光素子を備えた半導体基板と、各受光素子に対向させて配置され、受光素子に入射する光を集光する集光機能を有する光学部材と、前記受光素子と前記光学部材との間に配置されたカラーフィルタと、前記光学部材の前記カラーフィルタと対向しない側に設けられ、前記複数の受光素子と向き合う領域以外の領域の少なくとも一部に、チタン原子を有する黒色チタン顔料から選ばれる少なくとも一種と、赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の中から選ばれる有機顔料の少なくとも1種とを含み、波長650nmの光の透過率が0.2%であるときに、波長400〜700nmの光の透過率の最大値が1.5%以下であり、その最大透過率を示す波長を400〜550nmに有しており、波長400nmにおける光の透過率が0.1%以上である遮光パターンを有する透光性部材とを備えた固体撮像素子である。
<13> 前記<9>又は前記<10>に記載の遮光膜を備えた固体撮像素子である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、短波長領域(例えば400nm未満)での透光性を保持しながら、赤外領域及び可視域(例えば400〜700nm)で高い遮光性(すなわち黒濃度)を有し、構造のある基板上でも剥がれの発生が抑制された遮光膜用着色組成物を提供することができる。また、
本発明によれば、遮光能に優れ、剥がれの少ない遮光膜及び遮光パターンの形成方法を提供することができる。さらに、
本発明によれば、ノイズが少なく色再現性に優れた固体撮像素子及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
【図2】図1の撮像部を拡大して示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、遮光膜用着色組成物、並びにこれを用いた遮光パターン及びその形成方法、固体撮像素子及びその製造方法について詳細に説明する。
【0018】
<遮光膜用着色組成物>
本発明の遮光膜用着色組成物は、チタン原子を有する黒色チタン顔料から選ばれる少なくとも一種と、赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の中から選ばれる有機顔料の少なくとも1種とを含み、波長650nmの光の透過率が0.2%となるように成膜したときに、波長400〜700nmの光の透過率の最大値を1.5%以下とし、その最大透過率を示す波長を400〜550nmに有しており、波長400nmにおける光の透過率を0.1%以上として構成したものである。
【0019】
本発明においては、着色材料として、黒色チタン顔料と赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の中から選ばれる有機顔料とを組み合わせ、従前のカーボンブラックやチタンブラックの組成系では不可能であった所定の透光特性を実現することで、ノイズ防止に必要な遮光能を具えながら、精細で剥がれが抑制された着色パターンを得ることができる。蒸着によらないので、膜面の反りによる剥がれも生じない。これにより、ノイズが少なく色再現性に優れたカラーフィルタ、ひいては固体撮像素子を提供することができる。
また、露光時の光の波長域における透過率をコントロールすることで、露光時の光拡散によるパターン形状の太りや、パターン断面が基板に近い程削れて細くなる逆テーパー化を抑制することができる。
【0020】
すなわち、黒色チタン顔料は、赤外領域を遮光できる一方で露光に用いる光の波長を含む低波長側では光を透過するが、それが可視域(特に400〜700nm)に及ぶことから、遮光の必要な赤外域及び可視域を選択的に遮光するため、短波長域で高すぎる遮光能を示すカーボンブラック等ではなく、赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料から選ばれる有機顔料を用いる。具体的には、波長650nmの光の透過率が0.2%となるように成膜したときに、波長400〜700nmの光の透過率の最大値を1.5%以下とし、その最大透過率を示す波長を400〜550nmに有しており、波長400nmにおける光の透過率を0.1%以上とすることで、広い波長領域において遮光に必要な所定の黒濃度(例えば、光学濃度(OD)3以上)を確保できる。
なお、光学濃度(OD)は、(株)島津製作所製UV−3600を用い、得られた膜の透過率測定を行ない、得られた透過率(%T)を下記式により変換してOD値とする。
OD値=−Log(%T/100)
【0021】
本発明においては、必要な遮光能とパターン剥離の防止効果をともに高める観点から、波長650nmの光の透過率が0.2%となるように成膜したときに、波長400〜700nmの光の透過率の最大値が1.5%以下(好ましくは0.01〜1.0%)であり、その最大透過率を示す波長を400〜550nm(好ましくは400〜460nm)に有しており、波長400nmにおける光の透過率が0.1%以上(好ましくは0.35〜1.0%)である。
【0022】
光の透過率を上記の範囲に調整するには、例えば、(1)黒色チタン顔料と赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の中から選ばれる有機顔料との混合比率を調整する、(2)有機顔料の種類を所望に応じて選択する、等の方法を挙げることができる。
具体的には、黒色チタン顔料及び有機顔料の混合割合は、有機顔料(orp)に対する黒色チタン顔料(tip)の質量比(tip:orp)が90:10〜40:60を満たすように混合することにより前記透過率に調製することができる。遮光性と密着性の向上効果の観点からは、質量比(tip:orp)が90:10〜60:40を満たす範囲がより好ましい。
さらに、赤色有機顔料及び/又は黄色有機顔料に対する黒色チタン顔料の質量比(tip:orp)が90:10〜40:60を満たす場合(より好ましくは90:10〜60:40を満たす場合)が好ましく、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ナフトールAS系顔料、及びアンスラキノン系顔料から選ばれる有機顔料に対する黒色チタン顔料の質量比(tip:orp)が、90:10〜40:60を満たす場合(より好ましくは90:10〜60:40を満たす場合)がより好ましい。
【0023】
また、黒色チタン顔料の遮光膜用着色組成物中における含有量は、前記黒色チタン顔料及び有機顔料の混合割合の範囲内において、組成物の全固形分質量に対して、20質量%以上であることが好ましい。黒色チタン顔料の含有量が20質量%以上であると、赤外領域において優れた遮光性を示し、短波長域(特に400nm未満)では光透過性が高く、精細で密着性に優れた着色パターンが得られる。黒色チタン顔料の含有量は、組成物の全固形分質量に対して、25〜70質量%がより好ましく、25〜50質量%が更に好ましい。
【0024】
また、黒色チタン顔料の全顔料中における含有量は、全顔料に対して、35質量%以上であることが好ましい。黒色チタン顔料の全顔料に対する含有量が35質量%以上であると、可視光域の遮光性を備えつつも、赤外領域での遮光性を保ち、短波長域(特に400nm未満)では高い光透過性が得られる。これより、広い波長領域で遮光性に優れており、精細で剥がれ難い高い密着性を有する着色パターンが得られる。黒色チタン顔料の含有量は、組成物の全顔料分質量に対して、40〜90質量%がより好ましく、50〜90質量%が更に好ましい。
【0025】
−黒色チタン顔料−
本発明における黒色チタン顔料は、チタン原子を有する黒色粒子(黒色顔料)である。黒色チタン顔料は、好ましくは低次酸化チタンやTiN(x,yは2未満の実数)で表される酸窒化チタン等である。
【0026】
黒色チタン顔料は、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。具体的には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムで被覆することが可能であり、また、特開2007−302836号公報に記載の撥水性物質での処理も可能である。
【0027】
前記黒色チタン顔料の製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報参照)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報参照)、二酸化チタン又は水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報参照)、二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報参照)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
黒色チタン顔料の平均一次粒子径は、特に制限はないが、分散性、着色性の観点から、3nm〜2000nmであることが好ましく、10nm〜500nmであることがより好ましく、10nm〜100nmであることが特に好ましい。
【0029】
前記黒色チタン顔料の比表面積は、特に限定がないが、黒色チタン顔料を撥水化剤で表面処理した後の撥水性が所定の性能となるために、BET法にて測定した値が通常5m/g〜150m/g程度、中でも20m/g〜100m/g程度が好ましい。
【0030】
前記黒色チタン顔料の市販品の例としては、三菱マテリアル社製(株式会社ジェムコ製)のチタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C、13R、13R−N、13M−T、赤穂化成(株)製のティラック(Tilack)Dなどが挙げられる。
黒色チタン顔料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
−有機顔料−
本発明における有機顔料としては、赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料から選ばれる顔料を用いる。赤色有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 9, 10, 14, 17, 22, 23, 31, 38, 41, 48:1, 48:2, 48:3, 48:4, 49, 49:1, 49:2, 52:1, 52:2, 53:1, 57:1, 60:1, 63:1, 66, 67, 81:1, 81:2, 81:3, 83, 88, 90, 105, 112, 119, 122, 123, 144, 146, 149, 150, 155, 166, 168, 169, 170, 171, 172, 175, 176, 177, 178, 179, 184, 185, 187, 188, 190, 200, 202, 206, 207, 208, 209, 210, 216, 220, 224, 226, 242, 246, 254, 255, 264, 270, 272, 279等が挙げられる。
紫色有機顔料としては、例えば、CI.Pigment Violet 1, 2, 19, 23, 27, 29, 32, 37, 42等が挙げられる。
黄色有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1, 2, 3, 4, 5, 6, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 20, 24, 31, 32, 34, 35, 35:1, 36, 36:1, 37, 37:1, 40, 42, 43, 53, 55, 60, 61, 62, 63, 65, 73, 74, 77, 81, 83, 86, 93, 94, 95, 97, 98, 100, 101, 104, 106, 108, 109, 110, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 123, 125, 126, 127, 128, 129, 137, 138, 139, 147, 148, 150, 151, 152, 153, 154, 155, 156, 161, 162, 164, 166, 167, 168, 169, 170, 171, 172, 173, 174, 175, 176, 177, 179, 180, 181, 182, 185, 187, 188, 193, 194, 199, 213, 214等が挙げられる。
また、橙色有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Orange 2, 5, 13, 16, 17:1, 31, 34, 36, 38, 43, 46, 48, 49, 51, 52, 55, 59, 60, 61, 62, 64, 71, 73等が挙げられる。
【0032】
有機顔料の中でも、短波長域(特に400nm以下)での光透過率を損なわず、可視域での遮光性を高める観点から、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ペリノン系顔料、ナフトールAS系顔料、アンスラキノン系顔料、ピラゾロン系顔料、又はイソインドリノン系顔料が好ましく、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ナフトールAS系顔料、アンスラキノン系顔料がより好ましい。特に、C.I.Pigment Red 122, 150, 171, 175, 177, 209, 224, 242, 254, 255, 264;C.I.Pigment Yellow 11, 24, 108, 109, 110, 138, 139, 150, 151, 154, 167, 180, 185;C.I.Pigment Orange 36, 38, 43, 64, 71が好ましい。
【0033】
−上記以外の顔料−
本発明の遮光膜用着色組成物には、上記の顔料以外に、光透過領域と遮光領域とにおける光の透過性を調節する等の目的で、緑色、青色、黒色等の他色の有機顔料や体質顔料を必要に応じて併用してもよい。他色の有機顔料の例としては、C.I. Pigment Green 7, 10, 36, 37, 58;C.I.Pigment Blue 1, 2, 15, 15:1, 15:2, 15:3, 15:4, 15:6, 16, 22, 60, 64, 66, 79, 80;C.I.Pigment Brown 25, 28;C.I.Pigment Black 1, 7、などを挙げることができる。前記体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ白、グロス白、チタンホワイト、ハイドロタルサイト等を挙げることができる。体質顔料の使用量は、黒色チタン顔料100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部であり、さらに好ましくは10〜40質量部である。
【0034】
前記黒色チタン顔料及び前記有機顔料を含む全顔料の遮光用着色組成物中における含有量としては、着色組成物の全固形分に対して、15〜60質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましい。全顔料の含有量が前記範囲である場合、可視光域から赤外領域において優れた遮光性を有しつつも、短波長域(特に400nm未満)では光透過性が高く、精細で密着性に優れた着色パターンが得られる。
【0035】
本発明の遮光膜用着色組成物は、上記顔料以外に、光重合開始剤、重合性化合物、樹脂を含ませて光硬化性に構成されていることが好ましい。また、遮光膜用着色組成物は、更に、前記顔料を分散するための顔料分散剤及び/又は顔料誘導体を含んでもよい。
【0036】
−樹脂−
本発明の遮光膜用着色組成物は、樹脂(後述の分散剤以外の樹脂)の少なくとも一種を含有することが好ましい。
樹脂としては、線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような線状有機ポリマーとしては、公知のものを任意に使用することができ、好ましくは、水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。
【0037】
線状有機ポリマーは、皮膜形成材としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤の現像材としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能である。
線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独あるいは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独あるいは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解もしくはハーフエステル化もしくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等が挙げられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
線状有機ポリマーのうち、弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーを、以下、「アルカリ可溶性樹脂」ともいう。
【0038】
上記のうち、側鎖にアリル基やビニルエステル基とカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂及び特開2000−187322号公報、特開2002−62698号公報に記載の、側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂や、特開2001−242612号公報に記載の、側鎖にアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れる点で好適である。また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等の各公報に記載の、酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーや、特開2002−107918に記載の酸基と二重結合を側鎖に有するウレタン系バインダーポリマーは、強度に優れるので耐刷性・低露光適性の点で有利である。また、欧州特許993966号明細書、欧州特許1204000号明細書、特開2001−318463号公報等に記載の、酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れる点で好適である。更に、水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また、硬化皮膜の強度を上げるため、アルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0039】
前記樹脂のうち、重合性基を有する樹脂が好ましく、前記重合性基として二重結合を含む基を有する樹脂がより好ましく、更に好ましくは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する樹脂である。樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0040】
また、樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは5,000以上であり、更に好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1,000以上であり、更に好ましくは2,000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
【0041】
樹脂は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
遮光膜用着色組成物の全固形分中における樹脂の含有量(2種以上の場合は総含有量)としては、特に制限はなく、本発明の効果をより効果的に得る観点から、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、10〜35質量%が特に好ましい。
【0042】
−重合性化合物−
本発明の遮光膜用着色組成物は、重合性化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。
重合性化合物としては、例えば、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物を挙げることができる。具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態のいずれであってもよい。
【0043】
前記モノマー及びその(共)重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの(共)重合体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの(共)重合体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と、単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、及び単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0044】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等が挙げられる。また、メタクリル酸エステルとして、例えば、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。さらに、イタコン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が、また、クロトン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が、イソクロトン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が、また、マレイン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。その他のエステルの例として、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0045】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で表される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH … (A)
〔但し、一般式(A)中、R及びRは、それぞれ独立にH又はCHを表す。〕
【0046】
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、遮光膜用着色組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、さらには4官能以上が好ましい。更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。また、遮光膜用着色組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、着色剤(顔料、染料)等、バインダーポリマー等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
【0047】
遮光膜用着色組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量(2種以上の場合は総含有量)としては、特に限定はなく、本発明の効果をより効果的に得る観点からは、10〜80質量%が好ましく、15〜75質量%がより好ましく、20〜60質量%が特に好ましい。
【0048】
−光重合開始剤−
本発明の遮光膜用着色組成物は、光重合開始剤の少なくとも一種を含有することが好ましい。光重合開始剤は、上記の光重合性化合物を重合させ得るものであれば特に限定されないが、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれるのが好ましい。
【0049】
光重合開始剤としては、例えば、ハロメチルオキサジアゾール化合物及びハロメチル−s−トリアジン化合物から選択される少なくとも一つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、オキシム系化合物、等が挙げられる。中でも、カラーフィルタの剥がれ(特に構造のある基板上にカラーフィルタを形成したときの剥がれ)をより抑制する観点等から、オキシム系化合物が好ましい。
【0050】
前記オキシム系化合物(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう)としては、特に限定はなく、例えば、特開2000−80068号公報、WO02/100903A1、特開2001−233842号公報等に記載のオキシム系化合物が挙げられる。
具体的な例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロプル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0051】
これらのうち、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンが好ましく、具体的には、例えばCGI−124、CGI−242(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0052】
また、特開2007−269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物も好ましい。
具体的には、オキシム化合物としては、下記式(I)で表される化合物が好ましい。なお、オキシム結合のN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
【0053】
【化1】

【0054】
前記式(I)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。
前記Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としては、ハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0055】
置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
【0056】
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましい。具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
【0057】
置換基を有していてもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましい。具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、及び、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
【0058】
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
【0059】
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
【0060】
置換基を有していてもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
【0061】
置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、及び、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
【0062】
置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
【0063】
前記Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は複素環カルボニル基を表す。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述のRで表される一価の置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0064】
中でも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する式(II)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
【0065】
【化2】

【0066】
前記式(I)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のシクロヘキシレン基、炭素数2〜12のアルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
中でも、Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0067】
前記式(I)中、Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0068】
式(I)においては、前記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
【0069】
【化3】

【0070】
オキシム化合物は、下記式(II)で表される化合物であることが好ましい。
【0071】
【化4】

【0072】
前記式(II)中、R及びXは、各々独立に一価の置換基を表し、A及びYは、各々独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。式(II)におけるR、A、及びArは、前記式(I)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
【0073】
前記Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述のRで表される一価の置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0074】
これらの中でも、Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(II)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
【0075】
前記Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「*」は、前記式(II)において、Yと隣接する炭素原子との結合位置を示す。
【0076】
【化5】

【0077】
中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
【化6】

【0078】
さらにオキシム化合物は、下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
【化7】

【0079】
前記式(III)中、R及びXは、各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。式(III)におけるR、X、A、Ar、及びnは、前記式(II)におけるR、X、A、Ar、及びnとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
【0080】
以下、好適に用いられるオキシム化合物の具体例(B−1)〜(B−10)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0081】
【化8】

【0082】
これら光重合開始剤には、増感剤や光安定剤を併用することができる。
また、本発明の遮光膜用着色組成物には、上記の光重合開始剤のほかに他の公知の開始剤を使用してもよい。
【0083】
光重合開始剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて含有することができる。
遮光膜用着色組成物の全固形分中における光重合開始剤の含有量(2種以上の場合は総含有量)は、本発明による効果をより効果的に得る観点から、3〜20質量%が好ましく、4〜19質量%がより好ましく、5〜18質量%が特に好ましい。
【0084】
−分散剤−
本発明における分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及びポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
本発明における分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0085】
分散剤は、黒色チタン顔料及び併用する有機顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、グラフトポリマー、線状ポリマーの末端に酸性基を有するポリマー、グラフトポリマーの末端に酸性基を有するポリマー、スターポリマー、ブロックポリマー等を用いることができる。その中でも、分散安定性の観点から、グラフトポリマーが好ましい。
また、分散剤の顔料表面を改質すると、分散樹脂の吸着を促進させる効果を有する。
前記グラフトポリマーの主鎖構造としては、特に限定はなく、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリエステル構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造などが挙げられるが、合成の簡便性の点から、ポリ(メタ)アクリル構造が好ましい。
【0086】
前記グラフトポリマーとして、グラフト共重合体を用いることができる。
グラフト共重合体としては、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有することが好ましい。この場合のグラフト鎖とは、共重合体の主鎖の根元から、主鎖から枝分かれしている基の末端までを示す。
遮光膜用着色組成物において、このグラフト共重合体は、黒色チタン顔料に分散性を付与する分散樹脂であり、優れた分散性と、グラフト鎖による溶媒との親和性を有するために、黒色チタン顔料の分散性、及び、経時後の分散安定性に優れる。また、感光性樹脂組成物としたとき、グラフト鎖による重合性化合物もしくはその他の併用可能な樹脂などとの親和性を有するので、アルカリ現像で残渣を生じにくくなる。
【0087】
グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり分散性は向上するが、一方グラフト鎖が長すぎると黒色チタン顔料への吸着力が低下して分散性は低下してしまう。このため、本発明で使用されるグラフト共重合体としては、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数が40〜10000であることが好ましく、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数が50〜2000であることがより好ましく、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数が60〜500であることがさらに好ましい。
【0088】
グラフト鎖のポリマー構造としては、ポリ(メタ)アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエーテルなどを用いることができるが、グラフト部位と溶媒との相互作用性を向上させ、それにより分散性を高めるために、ポリ(メタ)アクリル構造、あるいはポリ(メタ)アクリル、ポリエステル、ポリエーテルを有するグラフト鎖であることが好ましく、ポリエステル、ポリエーテルを有することがより好ましい。
【0089】
このようなポリマー構造をグラフト鎖として有するマクロモノマーの構造としては、ポリマー主鎖部と反応可能な置換基を有し、且つ本発明の要件を満たしていれば、特に限定されないが、好ましくは、反応性二重結合性基を有するマクロモノマーを好適に使用することができる。
【0090】
グラフト共重合体の合成に好適に用いられる市販マクロモノマーとしては、AA−6(東亜合成社製)、AA−10(東亜合成社製)、AB−6(東亜合成社製)、AS−6(東亜合成社製)、AN−6(東亜合成社製)、AW−6(東亜合成社製)、AA−714(東亜合成社製)、AY−707(東亜合成社製)、AY−714(東亜合成社製)、AK−5(東亜合成社製)、AK−30(東亜合成社製)、AK−32(東亜合成社製)、ブレンマーPP−100(日油社製)、ブレンマーPP−500(日油社製)、ブレンマーPP−800(日油社製)、ブレンマーPP−1000(日油社製)、ブレンマー55−PET−800(日油社製)、ブレンマーPME−4000(日油社製)、ブレンマーPSE−400(日油社製)、ブレンマーPSE−1300(日油社製)、ブレンマー43PAPE−600B(日油社製)、などが用いられる。このなかでも、好ましくは、AA−6(東亜合成社製)、AA−10(東亜合成社製)、AB−6(東亜合成社製)、AS−6(東亜合成社製)、AN−6(東亜合成社製)、ブレンマーPME−4000(日油社製)などが用いられる。
【0091】
本発明におけるグラフト共重合体におけるグラフト部位としては、少なくとも下記式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましい。
【0092】
【化9】

【0093】
式(1)〜式(5)において、X、X、X、X、X、及び、Xは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。合成上の制約の観点から、好ましくは水素原子、あるいは炭素数1から12のアルキル基であり、水素原子あるいはメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)〜式(5)において、Y、Y、Y、Y、及び、Yはそれぞれ独立に2価の連結基であり、特に構造上制約されない。具体的には、下記の(Y−1)から(Y−20)の連結基などが挙げられる。下記構造でA、Bはそれぞれ、式(1)〜式(5)における左末端基、右末端基との結合を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)、(Y−13)であることがより好ましい。
【0094】
【化10】

【0095】
式(1)〜式(5)において、Z、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に1価の有機基であり、特に、構造は限定されないが、具体的には、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、あるいはヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、あるいはヘテロアリールチオエーテル基、アミノ基などが挙げられる。この中でも、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有することが好ましく、炭素数5から24のアルキル基が好ましく、その中でも、特に炭素数5から24の分岐アルキル基あるいは炭素数5から24の環状アルキル基が好ましい。
式(1)〜式(5)において、n、m、p、q、及び、rはそれぞれ1から500の整数である。
【0096】
グラフト共重合体において、式(1)〜式(5)で表される構造単位は、質量換算で、グラフト共重合体の総質量に対し10%〜90%の範囲で含むことが好ましく、30%〜70%の範囲で含むことがより好ましい。この範囲内であると黒色チタン顔料の分散性が高く、レジストにした際の現像性が良好である。また、本発明に使用されるグラフト共重合体において、2種以上の構造が異なるグラフト共重合体を含有することができる。
【0097】
式(5)中、Rは1価の有機基を表し、特に構造上限定はされないが、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基である。また、Rとしてはグラフト共重合体中に構造の異なるRを2種以上混合して用いてもよい。
【0098】
グラフト共重合体として、グラフト部位以外に黒色チタン顔料と相互作用を形成しうる官能基を導入することができる。その中で、例えば、酸基を有する構造単位、塩基性基を有する構造単位、配位性基を有する構造単位、反応性を有する構造単位などが挙げられる。
【0099】
前記酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基などがあり、特に好ましいものは、黒色チタン顔料への吸着力が良好で、且つ分散性が高いカルボン酸基である。これらを1種あるいは2種以上用いることができる。
このような酸基を導入することで、グラフト共重合体のアルカリ現像性を向上させるという利点をも有する。
本発明のグラフト共重合体に好適に使用されるこれら共重合成分の含有量は、0.1モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、アルカリ現像による画像強度のダメージ抑制という観点から、1モル%以上30モル%以下である。
【0100】
前記塩基性基としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、N原子を含むヘテロ環、アミド基などがあり、特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で且つ分散性が高い第3級アミノ基である。これらを1種あるいは1種以上用いることができる。本発明のグラフト共重合体に好適に使用されるこれら共重合成分の含有量は、0.01モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、0.01モル%以上30モル%以下である。
【0101】
前記配位性基、反応性を有する基としては、例えば、アセチルアセトキシ基、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、酸無水物、酸塩化物などがあり、特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で分散性が高いアセチルアセトキシ基である。これらを1種あるいは1種以上用いることができる。本発明のグラフト共重合体に好適に使用されるこれら共重合成分の含有量は、0.5モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、1モル%以上30モル%以下である。
【0102】
グラフト部位以外に黒色チタン顔料及び/又は有機顔料と相互作用を形成しうる官能基の構造としては、上記のグラフト部位以外に黒色チタン顔料及び/又は有機顔料と相互作用を形成しうる官能基を含有していればよく、特に限定はされないが、下記一般式(i)〜(iii)のいずれかで表される単量体から得られる繰り返し単位の少なくとも1種を有することが好ましい。
【0103】
【化11】

【0104】
前記式(i)〜(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、又は炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
、R、及びRは、より好ましくは水素原子、又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、水素原子又はメチル基である。R、及びRは、水素原子であることが特に好ましい。
Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
【0105】
Lは、単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、2価の複素環基及びそれらと酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)又はカルボニル基(−CO−)との組合せ等が挙げられる。
【0106】
前記2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。前記脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
【0107】
前記2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜10が最も好ましい。また、前記芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
【0108】
前記2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
【0109】
Lは、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lはオキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としてはポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
【0110】
上記式(i)〜(iii)中、Zは、グラフト部位以外に黒色チタン顔料及び/又は有機顔料と相互作用を形成しうる官能基を表し、カルボン酸、第三級アミノ基であることが好ましく、カルボン酸であることがより好ましい。また、Yは、メチン基又は窒素原子を表す。
【0111】
上記式(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、又は炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、Z、又は−L−Zを表す。ここで、L及びZは、上記におけるものと同義である。R、R、及びRとしては、水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0112】
本発明においては、上記一般式(i)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zがカルボン酸である化合物が好ましい。また、上記一般式(ii)で表される単量体として、Rが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。また、上記一般式(iii)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Zがカルボン酸である化合物が好ましい。
更にはこの場合に、前記式(1)で表される構造単位を有し、かつYが(Y−2)又は(Y−13)を表す場合が特に好ましい。
【0113】
以下に、式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例を示す。
メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とコハク酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とフタル酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とテトラヒドロキシフタル酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物と無水トリメリット酸の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とピロメリット酸無水物の反応物、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸オリゴマー、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、4−ビニル安息香酸、ビニルフェノール、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0114】
グラフト共重合体中における酸性基を有する単量体などの黒色チタン顔料及び/又は有機顔料と相互作用を形成しうる官能基の含有量は、黒色チタン顔料及び/又は有機顔料との相互作用、分散安定性、及び現像液への浸透性の観点から、グラフト共重合体に対して0.05〜90質量%が好ましく、1.0〜80質量%がより好ましく、10〜70質量%が更に好ましい。
【0115】
さらに、遮光膜用着色組成物に含まれるグラフト共重合体は、画像強度などの諸性能を向上する目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、前記グラフト部位を有する構造単位及び黒色チタン顔料及び/又は有機顔料と相互作用を形成しうる官能基に加えて、さらに種々の機能を有する他の構造単位、例えば、分散物に用いられる分散媒との親和性を有する官能基、などを有する構造単位を共重合成分として含むことができる。
【0116】
本発明に係るグラフト共重合体において、共重合可能な共重合成分としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類などから選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。これらを1種あるいは2種以上用いることができ、グラフト共重合体中、これら共重合成分の好適に使用される含有量は、0モル%以上90モル%以下であり、特に好ましくは、0モル%以上60モル%以下である。含有量が前記の範囲において、充分なパターン形成が得られる。
【0117】
グラフト共重合体を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合してもよい。
【0118】
このようなグラフト共重合体の具体例としては、以下の例示化合物1〜53が挙げられる。なお、各構成単位(主鎖部分)の添数字(wt%)は質量基準(質量%)である。
【0119】
【化12】

【0120】
【化13】

【0121】
【化14】

【0122】
【化15】

【0123】
【化16】

【0124】
【化17】

【0125】
【化18】

【0126】
【化19】

【0127】
また、本発明における分散剤は、顔料表面を改質することで、分散樹脂の吸着を促進させる効果を有する。
【0128】
本発明においては、黒色チタン顔料の沈降現象をより効果的に防止して分散性を飛躍的に向上させる点で、酸価が50mgKOH/g以上の分散剤が好ましく、70〜200mgKOH/gの分散剤が好ましい。分散剤の酸価が50mgKOH/g以上であると、チタンブラック(及び場合により併用する顔料)の表面に吸着しやすく、再凝集を防止するように作用する。また、黒色チタン顔料及び赤色、黄色、橙色の有機顔料の表面へのアンカー部位を有する点で、末端変性型高分子、ブロック型高分子が好ましい。
【0129】
前記グラフト共重合体以外の分散剤の例として、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物なドの高分子分散剤、及びポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。本発明に使用可能な分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk-101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK-P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400、4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821、同PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG-710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS-860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA-703-50、DA-705、DA-725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN-B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL-18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS-IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。また、川研ファインケミカル(株)製のヒノアクトT−8000Eなどの両性分散剤も挙げられる。
これらの分散剤は、一種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0130】
分散剤の重量平均分子量としては、現像時のパターン剥離抑制と現像性の観点から、10,000以上300,000以下が好ましく、15,000以上200,000以下がより好ましく、20,000以上100,000以下が更に好ましく、25,000以上50,000以下が特に好ましい。なお、重量平均分子量は、例えば、GPCによって測定することができる。
【0131】
本発明の遮光膜用着色組成物の全固形分中における分散剤の含有量としては、分散性、分散安定性の観点から、0.1〜50質量%の範囲が好ましく、5〜40質量%の範囲がより好ましく、10〜30質量%の範囲がさらに好ましい。
【0132】
−溶剤−
本発明の遮光膜用着色組成物は、溶剤として、種々の有機溶剤を用いることができる。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどが挙げられる。
これらの有機溶剤は、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
溶剤に対する固形分の濃度は、2〜60質量%であることが好ましい。
【0133】
−界面活性剤−
本発明の遮光膜用着色組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0134】
特に、本発明の遮光膜用着色組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する遮光膜用着色組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行なえる点で有効である。
【0135】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、遮光膜用着色組成物中における溶解性も良好である。
【0136】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
【0137】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
【0138】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0139】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
【0140】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製の「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
【0141】
界面活性剤の添加量は、遮光膜用着色組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
【0142】
−その他の成分−
遮光膜用着色組成物は、増感剤、共増感剤、熱重合防止剤、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる密着向上剤(シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等)、並びに硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や可塑剤、感脂化剤等の公知の添加剤などの成分を含有してもよい。また、必要に応じて、連鎖移動剤、露光、現像後の後加熱で膜の硬化度を上げるためのアゾ系化合物や過酸化物系化合物などの熱重合開始剤、熱重合成分、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤、ジオクチルフタレートなどの可塑剤、低分子量有機カルボン酸などの現像性向上剤、その他充填剤、上記のアルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物、酸化防止剤、凝集防止剤などの各種添加物、並びに、膜の強度、感度を高める目的で多官能チオールやエポキシ化合物を含有することができる。
【0143】
前記増感剤としては、既述の光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましく、例えば、以下に列挙する化合物類に属し、かつ300〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類、チオキサントン類、シアニン類、メロシアニン類、フタロシアニン類、チアジン類、アクリジン類、アントラキノン類、スクアリウム類、アクリジンオレンジ類、クマリン類、ケトクマリン類、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン類、トリフェニルメタン類、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
また、前記共増感剤は、前記光重合開始剤や前記増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による光重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。共増感剤の例としては、アミン類(トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等)、チオール及びスルフィド類(2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等)、アミノ酸化合物(例:N−フェニルグリシン等)、有機金属化合物(例:トリブチル錫アセテート等)、水素供与体、イオウ化合物(例:トリチアン等)等が挙げられる。
また、前記熱重合防止剤を添加することにより、組成物の製造中あるいは保存中に光重合性化合物の不要な熱重合を阻止することができる。熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。また、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミド等の高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。
【0144】
本発明の遮光膜用着色組成物は、例えば、固体撮像素子において、半導体基板の受光素子形成面における受光領域以外の領域を遮光する用途、半導体基板の受光素子形成面の反対側を遮光する用途、並びに、カラーフィルタ及び受光素子等の受光領域を備えた半導体基板の受光面側に配置された透光性部材の透光部分以外の領域を遮光する用途など種々の用途に好適に用いることができる。透光性部材の透光領域以外の領域を遮光する場合、例えば、ウエハ上に設けられた受光素子、カラーフィルタ、及びマイクロレンズの上に透光性部材を設け、ウエハレベルでその透光領域以外の領域に対して、後述のように塗布膜形成工程により本発明の遮光膜用着色組成物を載せ、さらに露光工程とパターン形成工程とを施すことにより遮光パターンを形成できる。
【0145】
<遮光膜及び遮光パターンの形成方法>
本発明の遮光膜(遮光パターンを含む)は、チタン原子を有する黒色チタン顔料から選ばれる少なくとも一種と、赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の群から選ばれる有機顔料の少なくとも1種とを含み、波長650nmの光の透過率が0.2%であるときに、波長400〜700nmの光の透過率の最大値を1.5%以下とし、その最大透過率を示す波長を400〜550nmに有しており、波長400nmにおける光の透過率を0.1%以上として構成されたものである。
【0146】
本発明の遮光膜は、好ましくは、既述の本発明の遮光膜用着色組成物を用い、この遮光膜用着色組成物を支持体上に付与して着色膜を形成する工程(以下、「着色膜形成工程」ということがある。)と、形成された着色膜をパターン状に露光する工程(以下、「露光工程」ということがある。)と、露光後の着色膜を現像して遮光パターンを形成する工程(以下、「パターン形成工程」ということがある。)とを設けて作製される。
【0147】
本発明のカラーフィルタは、遮光能に優れており、構造のある基板上に形成された場合でも、剥がれが抑制されたものである。
【0148】
遮光膜の厚みとしては、特に限定はなく、本発明による効果をより効果的に得る観点から、0.1μm〜10μmが好ましく、0.3μm〜5.0μmがより好ましく、0.5μm〜3.0μmが特に好ましい。また、カラーフィルタのパターンサイズとしては、特に限定はなく、本発明による効果をより効果的に得る観点から、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、300μm以下が特に好ましい。下限については、1μmが望ましい。
【0149】
遮光膜は、波長650nmの光の透過率が0.2%であるとき、波長400〜700nmの光の透過率の最大値が1.5%以下であり、その最大透過率を示す波長を400〜550nmに有しており、波長400nmにおける透過率が0.1%以上である関係を有している。好ましい透過率については既述の通りである。
【0150】
以下、本発明の遮光パターンの形成方法における各工程を説明する。
−着色膜形成工程−
着色膜形成工程では、支持体上に、本発明の遮光膜用着色組成物を付与して着色膜を形成する。遮光膜用着色組成物の付与は、遮光膜用着色組成物を所望の支持体上に塗布やインクジェット法による吐出等を行なって形成することが可能である。
【0151】
支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)基板などが挙げられる。また裏面照射素子などにも用いることができる。CMOS基板などでは、着色膜はその上に設けられた保護膜上に形成されるのが好ましく、保護膜としてはSiN、SiON、SiOなどの無機膜が挙げられる。また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。本発明の遮光パターン及びその形成方法においては、支持体として、構造のある基板(即ち、パターン構造物が形成された基板)を用いた場合に、本発明による剥がれ抑制の効果がより効果的に奏される。パターン構造物としては、薄膜トランジスタ、光電変換素子、パッシベーション膜等の各種のパターン構造物、並びに、形成しようとするカラーフィルタに先立って既に基板上に設けられている着色パターン(例えば、赤色パターン、緑色パターン、青色パターン、透明パターン等)であってもよい。
【0152】
支持体上への本発明の遮光膜用着色組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。遮光膜用着色組成物の塗布膜厚(乾燥膜厚)としては、解像度と現像性の観点から、0.35μm〜3.0μmが好ましく、0.50μm〜2.5μmがより好ましい。
【0153】
支持体上に塗布された遮光膜用着色組成物は、通常は70℃〜130℃で2分〜4分程度の条件下で乾燥され、着色膜が形成される。
【0154】
−露光工程−
露光工程では、前記塗布膜形成工程で形成された着色膜を、例えばマスクを介して、パターン状に露光して硬化させる(マスクを介して露光する場合には、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる)。
【0155】
露光は放射線の照射により行なうことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線(好ましくは350〜450nmの波長域)が好ましく用いられ、高圧水銀灯がより好まれる。照射強度は5mJ〜3000mJが好ましく、10mJ〜2000mJがより好ましく、10mJ〜1000mJが最も好ましい。
【0156】
露光は、プロキシミティ方式、ミラープロジェクション方式、及びステッパー方式のいずれの方式で露光を行なってもよいが、特にステッパー方式(縮小投影露光機を用いた縮小投影露光方式)で露光を行なうのが好ましい。ステッパー方式は、露光量を段階的に変動しながら露光を行なうことによってパターンを形成するものであり、ステッパー露光を行なった際に特にパターンの矩形性を良好にすることができる。
また、ステッパー露光に用いる露光装置としては、例えば、i線ステッパー(商品名:FPA−3000i5+、キャノン(株)製)等を用いることができる。
【0157】
−パターン形成工程−
前記露光工程に引き続いて、露光後の着色膜を例えばアルカリ現像処理により現像して遮光パターンを形成する。パターン形成工程では、露光工程における着色膜の非照射部分をアルカリ水溶液等に溶出させることにより、光照射部分だけが残る。
【0158】
現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない点で、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度は、通常は20℃〜30℃であり、現像時間は20〜240秒である。
【0159】
前記現像液としては、有機アルカリ化合物を0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%の濃度となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が挙げられる。有機アルカリ化合物としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどを用いることができる。なお、アルカリ性水溶液を現像液として用いた場合、一般には現像後に純水で洗浄(リンス)が行なわれる。
【0160】
本発明の遮光パターンの形成方法においては、上記の着色膜形成工程、露光工程、及びパターン形成工程に加え、必要により、現像後のパターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を更に設けてもよい。
【0161】
本発明の遮光膜は、少なくともカラーフィルタ及び受光領域を備えた半導体基板の受光面側に配置された透光性部材に設けられ、透光性部材の透光領域を除いた部分、すなわち受光領域へ光を導き、その光量を調節するための遮光膜として適用することができる。
【0162】
<固体撮像素子及びその製造方法>
本発明の第1の態様に係る固体撮像素子は、既述の本発明のカラーフィルタを設けて構成されたものである。本発明の固体撮像素子は、遮光能に優れ、剥がれが少ない本発明のカラーフィルタを備えるため、ノイズが低減され、色再現性に優れる。
【0163】
本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の遮光膜が備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はない。例えば、支持体上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる受光素子を有し、支持体の受光素子形成面側(例えば、受光部以外の部分や色調整用画素部等)又は該形成面の反対側に本発明の遮光膜を備えて構成したものが挙げられる。
【0164】
また、本発明の第2の態様に係る固体撮像素子は、複数の受光素子を備えた半導体基板と、各受光素子に対向させて配置され、受光素子に入射する光を集光する集光機能を有する光学部材と、受光素子と光学部材との間に配置されたカラーフィルタと、光学部材のカラーフィルタと対向しない側に設けられ、複数の受光素子と向き合う領域以外の領域の少なくとも一部に、チタン原子を有する黒色チタン顔料から選ばれる少なくとも一種と、赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の中から選ばれる有機顔料の少なくとも1種とを含み、波長650nmの光の透過率が0.2%であるときに、波長400〜700nmの光の透過率の最大値が1.5%以下であり、その最大透過率を示す波長が400〜550nmに有しており、波長400nmにおける光の透過率が0.1%以上である遮光パターンを有する透光性部材と、を設けて構成されたものである。この透光性部材は、既述の本発明の遮光膜用着色組成物を用いて形成された遮光パターンを有する透光性部材とすることができる。
第2の態様の固体撮像素子は、遮光膜用着色組成物を用いて形成された遮光パターンを有する透光性部材を備えるため、遮光能に優れ、光量を絞ったり光路の調節が良好に行なえ、剥がれが少なく、色再現性に優れる。
【0165】
前記半導体基板は、支持体と、CCDイメージセンサー(固体撮像素子)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極と、フォトダイオード及び転送電極上に設けられたフォトダイオードの受光部のみが開口したタングステン等からなる遮光膜と、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜とを備えたものでもよい。
前記光学部材は、例えば、入射した光を受光エリアに集光するための例えばマイクロレンズ等であってもよい。
前記透光性部材は、カラーフィルタと受光素子等の受光領域とを備えた半導体基板上の受光面側に配置される光学部材であり、例えば、ウエハ上に該ウエハ側から順にフォトダイオード(受光素子)、カラーフィルタ、マイクロレンズを設けた構造上に配置されてもよい。この透光性部材は、入射する光を透過する光透過部(好ましくは、入射光を集光するレンズ部材等の集光手段)と、この光透過部を除く領域に形成され、チタン原子を有する黒色チタン顔料、並びに赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の中から選ばれる有機顔料を含み、波長650nmの光の透過率が0.2%であるとき、波長400〜700nmの光の透過率の最大値が1.5%以下であり、その最大透過率を示す波長を400〜550nmに有しており、波長400nmにおける光の透過率が0.1%以上である遮光パターン(遮光部)とを備えた構成であってもよい。
【0166】
固体撮像素子の構成例を図1〜図2を参照して説明する。なお、図1〜図2では、各部を明確にするため、相互の厚みや幅の比率は無視して一部誇張して表示している。
図1に示すように、固体撮像装置9は、矩形状の固体撮像素子10と、固体撮像素子10の上方に保持され、この固体撮像素子10を封止する透明なカバーガラス11とを備えている。さらに、このカバーガラス11上には、スペーサー21を介してレンズ層53が重ねて設けられている。レンズ層53は、支持体51とレンズ材52とで構成されている。レンズ層53は、支持体51とレンズ材52とが一体成形された構成でもよい。支持体51として用いられる基板の種類としては、特に限定されず、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等が用いることができる。レンズ層51の周辺領域LSに迷光が入射すると光の拡散によりレンズ材52での集光の効果が弱くなり、撮像部10aに届く光が低減する。また、迷光によるノイズの発生も生じる。そのため、このレンズ層51の周辺領域LSは、黒色チタン顔料を含む遮光膜54が設けられて遮光されている。
【0167】
固体撮像素子10は、その受光面となる撮像部10aに結像した光学像を光電変換して、画像信号として出力する。この固体撮像素子10は、2枚の基板を積層した積層基板(支持体)12を備えている。積層基板12は、同サイズの矩形状のチップ基板12a及び回路基板12bからなり、チップ基板12aの裏面に回路基板12bが積層されている。
【0168】
チップ基板12aとして用いられる基板の種類は特に限定されず、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板、酸化膜、窒化シリコン等が用いられる。
【0169】
チップ基板12aの表面中央部には、撮像部10aが設けられている。また、撮像部10aの周縁領域Sに迷光が入射すると、この周縁領域S内の回路から暗電流(ノイズ)が発生するため、この周縁領域Sは、黒色チタン顔料を含む遮光膜55が設けられて遮光されている。チップ基板12aの表面縁部には、複数の電極パッド17が設けられている。電極パッド17は、チップ基板12aの表面に設けられた図示しない信号線(ボンディングワイヤでも可)を介して、撮像部10aに電気的に接続されている。
【0170】
回路基板12bの裏面には、各電極パッド17の略下方位置にそれぞれ外部接続端子18が設けられている。各外部接続端子18は、積層基板12を垂直に貫通する貫通電極19を介して、それぞれ電極パッド17に接続されている。また、各外部接続端子18は、図示しない配線を介して、固体撮像素子10の駆動を制御する制御回路、及び固体撮像素子10から出力される撮像信号に画像処理を施す画像処理回路等に接続されている。
【0171】
図2に示すように、撮像部10aは、受光素子21、カラーフィルタ22、マイクロレンズ23等の半導体基板25上に設けられた各部から構成される。カラーフィルタ22は、青色画素40B、赤色画素40R、緑色画素40G、及びブラックマトリクス41を有している。
【0172】
半導体基板25は、前述のチップ基板12aと同様に、液晶表示装置に用いられるガラス基板や固体撮像素子に用いられる光電変換素子基板等の周知の各種基板が用いられる。半導体基板25の表層にはpウェル層26が形成されている。このpウェル層26内には、n型層からなり光電変換により信号電荷を生成して蓄積する受光素子21が正方格子状に配列形成されている。
【0173】
受光素子21の一方の側方には、pウェル層26の表層の読み出しゲート部27を介して、n型層からなる垂直転送路28が形成されている。また、受光素子21の他方の側方には、p型層からなる素子分離領域29を介して、隣接画素に属する垂直転送路28が形成されている。読み出しゲート部27は、受光素子21に蓄積された信号電荷を垂直転送路28に読み出すためのチャネル領域である。
【0174】
半導体基板25の表面上には、ONO(Oxide-Nitride-Oxide)膜からなるゲート絶縁膜31が形成されている。このゲート絶縁膜31上には、垂直転送路28、読み出しゲート部27、及び素子分離領域29の略直上を覆うように、ポリシリコン又はアモルファスシリコンからなる垂直転送電極32が形成されている。垂直転送電極32は、垂直転送路28を駆動して電荷転送を行わせる駆動電極と、読み出しゲート部27を駆動して信号電荷読み出しを行わせる読み出し電極として機能する。信号電荷は、垂直転送路28から図示しない水平転送路及び出力部(フローティングディフュージョンアンプ)に順に転送された後、電圧信号として出力される。
【0175】
垂直転送電極32上には、その表面を覆うようにタングステン等からなる遮光膜34が形成されている。遮光膜34は、受光素子21の直上位置に開口部を有し、それ以外の領域を遮光している。遮光膜34上には、BPSG(borophospho silicate glass)からなる絶縁膜35、P−SiNからなる絶縁膜(パシベーション膜)36、透明樹脂等からなる下平坦化膜37等からなる透明な中間層が設けられている。カラーフィルタ22は、中間層上に形成されている。
【0176】
第3の態様の固体撮像素子は、少なくともカラーフィルタ及び受光領域を備えた半導体基板の受光面側に配置された透光性部材の上に、既述の本発明の遮光膜用着色組成物を塗布して塗布膜を形成する工程(塗布膜形成工程)と、形成された塗布膜をパターン状に露光する工程(露光工程)と、露光後の塗布膜を現像して遮光パターンを形成する工程(パターン形成工程)と、遮光パターンを形成した後の半導体基板を、所定の素子単位に分離して固体撮像素子を形成する工程(以下、「素子形成工程」ということがある。)とを有する方法(本発明の固体撮像素子の製造方法)により作製されたものである。
第3の態様の固体撮像素子においては、その透光性部材に形成された遮光パターンが遮光能に優れており、ウエハ上に直接ウエハレベルで形成された遮光パターンの剥がれが抑制される。
【0177】
本発明の固体撮像素子の製造方法における塗布膜形成工程、露光工程、及びパターン形成工程は、既述の本発明の遮光パターンの形成方法における各工程と同様に行なうことができる。これより、透光性部材の透光部分以外の領域に選択的に高遮光性の遮光パターンが形成され、透光部分から受光領域に所定の光量、光路で光を入射できる。
【0178】
第3の態様においては、少なくともカラーフィルタと受光素子等の受光領域とを備えた半導体基板の上に、ウエハレベルで遮光パターンを形成するものであるので、遮光パターンが形成された半導体基板を、素子形成工程により所定の素子単位に分離し、個々の固体撮像素子とする。
【実施例】
【0179】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0180】
(実施例1)
<分散剤の合成>
500mL三口フラスコに、ε−カプロラクトン600.0g、2−エチル−1−ヘキサノール22.8gを導入し、窒素を吹き込みながら、攪拌溶解した。モノブチル錫オキシド0.1gを加え、100℃に加熱した。8時間後、ガスクロマトグラフィーにて原料が消失したのを確認後、80℃まで冷却した。2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1gを添加した後、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート27.2gを添加した。5時間後、H−NMRにて原料が消失したのを確認後、室温まで冷却し、固体状の前駆体M1〔下記構造〕を200g得た。M1であることは、H−NMR、IR、質量分析により確認した。
【0181】
【化20】

【0182】
前記前駆体M1を30.0gと、NKエステル CB−1を70.0gと、ドデシルメルカプタン2.3gと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート233.3gとを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これに、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬工業(株)製の「V−601」)0.2gを加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行なった。2時間後、さらにV−601を0.2g加え、3時間加熱攪拌した後、下記分散剤1の30%溶液を得た。
分散剤1の組成比は、x=35質量%、y=65質量%であり、分散剤1の酸価、重量平均分子量(Mw)は、80mgKOH/g、31000であった。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により測定し、ポリスチレン換算で算出した値である。GPCは、HLC-8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムをTSKgel SuperHZM-H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製)として測定した。
【0183】
【化21】

【0184】
<顔料分散液の調製>
下記組成の諸成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3000rpmの条件にて3時間攪拌し、混合溶液とした。このときのチタンブラック及び赤色有機顔料の含有割合を下記表1に示す。
<組成>
・チタンブラック ・・・25部
(13M−T,三菱マテリアル(株)製;黒色チタン顔料)
・赤色有機顔料(IrgazinDPP Red BTR、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製;ジケトピロロピロール系顔料) ・・・8.4部
・前記分散剤1 ・・・11.3部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・55.3部
【0185】
得られた混合溶液に対し、分散装置(ビーズミル)として、寿工業(株)製のウルトラアペックスミルUAM015を使用して下記条件にて分散処理を開始した。
<分散条件>
・ビーズ径:φ0.05mm
・ビーズ充填率:75体積%
・ミル周速:12m/sec
・分散処理する混合液量:680g
・循環流量(ポンプ供給量):13kg/hour
・処理液温度:25〜30℃
・冷却水:水道水
・ビーズミル環状通路内容積:0.15L
【0186】
分散開始後、上記条件により分散処理を行いながら30分間隔(1パスの時間)で体積平均粒子径の測定を行なった。このとき、体積平均粒子径は、分散時間(パス回数)とともに減少していったが、次第にその変化量が少なくなった。そして、分散時間を更に30分間延長したときの1パスあたりの体積平均粒子径の変化が10nm以下となった時点(即ち、体積平均粒子径の変化が10nm/パス以下となった時点;ここまでが「一段目の分散処理」である)で、この分散液に以下に示す分散剤1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液120gを追加した。
<組成>
・前記分散剤1 ・・・30部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・70部
【0187】
この溶液(分散剤)の追加後、さらに分散処理を10パス継続し、1パス(30分間)あたりの体積平均粒子径の変化が再び10nm以下になった時点(ここまでが「二段目の分散処理」である)でチタンブラック分散液の完成とした。以上のようにして、顔料分散液を調製した。
【0188】
<感光性樹脂組成物の調製>
下記組成を混合し、感光性樹脂組成物(遮光膜用着色組成物)を調製した。
<感光性樹脂組成物の組成>
・前記顔料分散液 ・・・50部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(下記T−1)・・・ 8部
・オキシム系光重合開始剤(下記K−1) ・・・ 5部
・樹脂(下記J−1;重量平均分子量Mwは以下に示す。) ・・・10部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・27部
【0189】
【化22】

【0190】
<カラーフィルタの作製>
6インチのシリコンウエハ及びガラス基板(Cornig 1737)を用意し、このシリコンウエハ上、又はガラス基板上に、それぞれ上記で得た遮光膜用着色組成物をスピンコート法で塗布し、ホットプレート上で120℃にて2分間加熱することにより着色膜を形成した。次いで、この着色膜に対して、プロキシミティ方式の露光機を用い、100μm格子模様のフォトマスクを介して露光量400mJ/cm(照度50mW/cm)にて露光を行なった。露光後の着色膜を、23℃のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3%水溶液にて覆い、60秒間静止した。静止後、純水を回転式のノズルにてシャワー上に散布してテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3%水溶液を洗い流し、さらに純水にて水洗し、サイズ100μm格子の遮光パターンを得た。
【0191】
<評価>
シリコンウエハ又はガラス基板上に形成した遮光パターンについて、下記評価を行なった。評価結果は下記の表1に示す。
(2.1)遮光パターンの形状及び剥がれ
SEM(S−4800H、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用い、ガラス基板、シリコンウエハの上に形成した遮光パターンを膜面に垂直な平面で切断した切断面を2万倍で観察し、切断面の形状と剥がれの有無を下記の評価基準にしたがって評価した。なお、切断面の形状が逆テーパー、順テーパーであるものは、遮光パターンの遮光性が不均一であり、表示画像のコントラストを損ない、デバイスの性能を悪化させる。
<評価基準>
A:剥がれがなく、切断面は矩形であった。
B:僅かに剥がれがみられ、切断面はやや順テーパー状であったが、実用上支障のない範囲であった。
C:所々に剥がれがみられ、切断面は逆テーパー状であった。
D:剥がれはなかったが、切断面は顕著な逆テーパー状であった。
E:全面に亘って剥がれがみられ、切断面も逆テーパー状であった。
【0192】
(2.2)透過率
上記で得られた遮光膜用着色組成物を用い、露光においてフォトマスクを介さず全面露光した以外は、前記カラーフィルタの作製おける場合と同様の条件でガラス基板(Cornig 1737)上に形成された遮光膜の波長650nmの光の透過率が0.2%になるように膜厚を調整し、遮光膜を形成した。形成された遮光膜の波長400〜700nmにおける最大透過率(%)及びその最大透過率を示す波長(nm)を、U−4100〔(株)日立ハイテクノロジーズ製〕を用いて測定した。
【0193】
(2.3)ノイズ
図1に示すように、シリコンウエハ上の撮像部10aの周縁領域S、及び/又は、ガラス基板上のレンズ層53の周縁領域LSに、遮光パターンを形成し、固体撮像素子を駆動してノイズによる影響の有無を下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:ノイズが低く抑えられ、デバイスへの影響はみられなかった。
B:ノイズの影響が僅かにみられたが、実用上支障のない範囲であった。
C:ノイズの低減効果が小さく、デバイス動作に影響が及んだ。
【0194】
(実施例2〜15、比較例1〜4)
実施例1において、顔料分散液の調製に用いた赤色有機顔料の種類や比率などを下記表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを作製し、評価を行なった。評価結果は下記の表1に示す。
【0195】
【表1】

【0196】
前記表1に示すように、カラーフィルタ及び受光素子を備えた半導体基板上の受光面側に配置されるいわゆるウエハレベルレンズ等のガラス基板(透光性部材)に直接、ウエハレベルで遮光パターンを形成する場合、実施例では、波長400〜700nmでの光透過率が低く抑えられると同時に、波長400nmの短波長域では光透過率を保持されていた。また、形成された遮光パターンは、断面形状が矩形で剥離の発生のない遮光パターンが得られた。すなわち、図1に示すように、シリコンウエハ上の撮像部10aの周縁領域S及びガラス基板上のレンズ層53の周縁領域LSのいずれにも遮光膜を適用可能であった。シリコンウエハに形成する場合にも、ガラス基板(透光性部材)に直接、ウエハレベルで遮光パターンを形成する場合と同様に断面形状が矩形で剥離の発生のない遮光パターンが得られた。その結果、シリコンウエハ上の撮像部10aの周縁領域S及びガラス基板上のレンズ層53の周縁領域LSに遮光膜を形成した固体撮像素子では、デバイスノイズが低く抑えられた。また、シリコンウエハ上の撮像部10aの周縁領域S、又はガラス基板上のレンズ層53の周縁領域LSのいずれか一方に遮光膜を形成した場合にも、同様のデバイスノイズ低減効果が得られた。
これに対して、比較例では、断面形状がテーパー状に傾斜ができてしまい、剥離も防止できなかった。そのため、作製された固体撮像素子は、ノイズの程度が小さく抑えられなかった。
【符号の説明】
【0197】
10・・・固体撮像素子
21・・・受光素子
22・・・カラーフィルタ
23・・・マイクロレンズ
53・・・レンズ層
54,55・・・遮光パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン原子を有する黒色チタン顔料から選ばれる少なくとも一種と、赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の群から選ばれる有機顔料の少なくとも1種とを含み、
波長650nmの光の透過率が0.2%となるように成膜したときに、波長400〜700nmの光の透過率の最大値が1.5%以下であり、その最大透過率を示す波長を400〜550nmに有しており、波長400nmにおける光の透過率が0.1%以上である遮光膜用着色組成物。
【請求項2】
前記黒色チタン顔料(tip)と前記有機顔料(orp)との質量比(tip:orp)が、90:10〜40:60であることを特徴とする請求項1に記載の遮光膜用着色組成物。
【請求項3】
前記黒色チタン顔料の含有量が、全固形分質量に対して20質量%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遮光膜用着色組成物。
【請求項4】
前記黒色チタン顔料の含有量が、全顔料に対して35質量%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の遮光膜用着色組成物。
【請求項5】
前記有機顔料の少なくとも一種は、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ペリノン系顔料、ナフトールAS系顔料、アンスラキノン系顔料、ピラゾロン系顔料、又はイソインドリノン系顔料であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の遮光膜用着色組成物。
【請求項6】
更に、樹脂、重合性化合物、及び光重合開始剤を含み、光硬化性を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の遮光膜用着色組成物。
【請求項7】
固体撮像素子用カラーフィルタの作製に用いられることを特徴とする請求項6に記載の遮光膜用着色組成物。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の遮光膜用着色組成物を支持体上に付与して着色膜を形成する工程と、
前記着色膜をパターン状に露光する工程と、
露光後の前記着色膜を現像して遮光パターンを形成する工程と、
を有する遮光パターンの形成方法。
【請求項9】
チタン原子を有する黒色チタン顔料から選ばれる少なくとも一種と、赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の群から選ばれる有機顔料の少なくとも1種とを含み、波長650nmの光の透過率が0.2%であるときに、波長400〜700nmの光の透過率の最大値が1.5%以下であり、その最大透過率を示す波長を400〜550nmに有しており、波長400nmにおける光の透過率が0.1%以上である遮光膜。
【請求項10】
請求項8に記載の遮光パターンの形成方法により形成された遮光膜。
【請求項11】
少なくともカラーフィルタ及び受光領域を備えた半導体基板の受光面側に配置された透光性部材の上に、請求項6に記載の遮光膜用着色組成物を付与して着色膜を形成する工程と、
形成された着色膜をパターン状に露光する工程と、
露光後の前記着色膜を現像して遮光パターンを形成する工程と、
遮光パターンを形成した後の前記半導体基板を所定の素子単位に分離し、固体撮像素子を作製する工程と、
を有する固体撮像素子の製造方法。
【請求項12】
複数の受光素子を備えた半導体基板と、
各受光素子に対向させて配置され、受光素子に入射する光を集光する集光機能を有する光学部材と、
前記受光素子と前記光学部材との間に配置されたカラーフィルタと、
前記光学部材の前記カラーフィルタと対向しない側に設けられ、前記複数の受光素子と向き合う領域以外の領域の少なくとも一部に、チタン原子を有する黒色チタン顔料から選ばれる少なくとも一種と、赤色有機顔料、黄色有機顔料、紫色有機顔料、及び橙色有機顔料の中から選ばれる有機顔料の少なくとも1種とを含み、波長650nmの光の透過率が0.2%であるときに、波長400〜700nmの光の透過率の最大値が1.5%以下であり、その最大透過率を示す波長を400〜550nmに有しており、波長400nmにおける光の透過率が0.1%以上である遮光パターンを有する透光性部材と、
を備えた固体撮像素子。
【請求項13】
請求項9又は請求項10に記載の遮光膜を備えた固体撮像素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−57964(P2011−57964A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153323(P2010−153323)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】