説明

遮断性にすぐれるナノ複合体組成物

本発明は、遮断性ナノ複合体組成物に係り、スチレン系樹脂、遮断性樹脂ナノ複合体及び相溶化剤が乾燥混合された組成物であって、機械的強度にすぐれ、かつ酸素遮断性、有機溶媒遮断性及び湿気遮断性が優れているだけではなく、成形性にすぐれ、さまざま遮断性物品を製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチレン系樹脂、層状粘土化合物と遮断性樹脂とのナノ複合体及び相溶化剤を乾燥混合して形成された組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スチレン系樹脂は、成形加工性にすぐれ、かつ寸法安定性も良好であり、特に、ABS樹脂の場合、スチレンの光沢、電気特性、加工性;アクリロニトリルの耐熱性、剛性、耐油性、耐候性;ブタジエンの耐衝撃性など各物性の均衡が調和した樹脂であって、さまざまな分野に使われている。しかし、それらは、酸素遮断性が要求される食品包装や耐化学的遮断性が要求される容器などの適用においては限界を有している。従って、共押出(co-extrusion)、ラミネーションまたはコーティングなどを介して他の樹脂と多層で使われてきた。
【0003】
エチレン−ビニルアルコール共重合体またはポリアミド系樹脂は、優秀なガス遮断性と透明性とにより、多層成形プラスチック製品に使われている。しかし、前記エチレン−ビニル共重合体またはポリアミド系樹脂は、汎用樹脂に比べて高価なので、それらを少なく使用しても、優れた遮断性を得ることができる樹脂組成物に対する要求が引き続いてあった。
【0004】
一方、高分子マトリックスにナノサイズの層状粘土化合物を混合し、完全剥離(fully expoliated)、部分剥離(partially exfoliated)、または層間挿入(intercalated)、部分挿入(partially intercalated)形態のナノ複合体を形成すれば、かようなモルフォロジーによって遮断性が向上するので、これを利用した遮断性物品が注目されている。
ところで、前記のようなナノ複合体は、成形過程後にも剥離形態のモルフォロジーを維持することが何よりも重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明が解決しようとする第一の技術的課題は、機械的強度及び成形性にすぐれ、酸素遮断性、有機溶媒遮断性及び湿気遮断性が優秀であり、かつ成形後にもナノ複合体の剥離形態のモルフォロジーが維持される遮断性ナノ複合体組成物を提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする第二の技術的課題は、前記遮断性ナノ複合体組成物を成形して製造された物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を達成するために、本発明の第1の面では、(a)スチレン系樹脂40ないし98重量部と、(b)エチレン−ビニルアルコール共重合体/層状粘土化合物ナノ複合体、ポリアミド/層状粘土化合物ナノ複合体、アイオノマー/層状粘土化合物ナノ複合体、及びポリビニルアルコール/層状粘土化合物ナノ複合体のうちから選択された一種以上の遮断性樹脂ナノ複合体0.5ないし60重量部と、(c)相溶化剤1ないし30重量部とが乾燥混合された組成物を提供する。
【0008】
本発明の一実施態様によれば、前記スチレン系樹脂としては、ポリスチレン(PS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)樹脂またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂などを挙げることができる。
【0009】
前記遮断性ナノ複合体のうち、遮断性樹脂と層状粘土化合物との重量比は、58.0:42.0ないし99.9:0.1であり、望ましくは、85.0:15.0ないし99.0:1.0である。前記遮断性樹脂の重量比が58.0未満ならば、層状粘土化合物の凝集物が発生して分散が適切になされず、遮断性樹脂の重量比が99.9を超えれば、遮断性の上昇効果が微小であって望ましくない。
【0010】
本発明の他の実施様態によれば、前記層状粘土化合物がモンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイト、雲母、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、スティーブンサイト、バーミキュライト、ハロサイト、ヴォルコンスキー石、スコナイト(suconite)、マガダイト及びケニアライトからなる群から選択された一種以上でありうる。
【0011】
本発明のさらに他の実施様態によれば、前記ポリアミドが、1)ナイロン4.6、2)ナイロン6、3)ナイロン6.6、4)ナイロン6.10、5)ナイロン7、6)ナイロン8、7)ナイロン9、8)ナイロン11、9)ナイロン12、10)ナイロン46、11)MXD6、12)無定形ポリアミド、13)1)〜12)のポリアミドのうち2以上の成分を有する共重合ポリアミド、または14)1)〜12)のポリアミドのうち2以上の混合物が選択されて使われうる。
【0012】
本発明のさらに他の実施様態によれば、前記アイオノマーが溶融指数0.1ないし10g/10分(190℃、2,160g)の範囲でありうる。
【0013】
本発明のさらに他の実施様態によれば、前記相溶化剤がアミド官能基(−CO−NH)と反応可能な官能基を有する変性ABS樹脂、スチレン−マレイミド共重合体、エポキシ変性ポリスチレン共重合体のうち一種以上でありうる。
【0014】
本発明の第2の面では、前記ナノ複合体組成物を成形して製造された物品が提供される。
【0015】
本発明の一実施様態によれば、前記物品は、容器、フィルム、パイプまたはシートでありうる。
【0016】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0017】
本発明の遮断性ナノ複合体組成物は、(a)スチレン系樹脂40ないし98重量部と、(b)エチレン−ビニルアルコール共重合体/層状粘土化合物ナノ複合体、ポリアミド/層状粘土化合物ナノ複合体、アイオノマー/層状粘土化合物ナノ複合体、及びポリビニルアルコール/層状粘土化合物ナノ複合体のうちから選択された一種以上の遮断性樹脂ナノ複合体0.5ないし60重量部と、(c)相溶化剤1ないし30重量部とが乾燥混合されたものである。
【0018】
前記スチレン系樹脂は、ポリスチレン(PS)、スチレンアクリロニトリル樹脂(SAN)またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂などを使用できる。ポリスチレンとしては、汎用ポリスチレン(GPPS)、高衝撃ポリスチレン(HIPS)を挙げることができる。
【0019】
前記スチレン系樹脂は、40ないし98重量部で含まれることが望ましく、さらに望ましくは、70ないし96重量部で含まれることである。前記スチレン系樹脂が40重量部未満ならば、成形が容易ではなく、98重量部を超えれば、遮断性向上効果が落ちて望ましくない。
【0020】
前記スチレン系樹脂を連続相で使用すれば、製品成形加工が容易であるという点で有利である。
【0021】
本発明の遮断性樹脂ナノ複合体は、層状粘土化合物(clay)をエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミド、アイオノマー及びポリビニルアルコール(PVA)のうちから選択された一種以上の遮断性樹脂と混合して製造できる。
【0022】
前記層状粘土化合物は、有機物が層状粘土化合物の層間に介在している有機化された層状粘土化合物であることが望ましい。前記層状粘土化合物内の有機物含有量は、1ないし45重量%であることが望ましい。有機物含有量が1重量%未満ならば、層状粘土化合物と遮断性樹脂との相溶性が落ち、45重量%を超えれば、遮断性樹脂鎖の層間挿入が容易ではなくして望ましくない。
【0023】
前記層状粘土化合物は、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイト、雲母、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、スティーブンサイト、バーミキュライト、ハロサイト、ヴォルコンスキー石、スコナイト(suconite)、マガダイト、及びケニアライトからなる群から一種以上選択されることが望ましく、有機物は、一級ないし四級アンモニウム、ホスホニウム、マレイン酸塩、コハク酸塩、アクリレート、ベンジル化水素、及びオキサゾリン、ジメチルジステアリルアンモニウムからなる群から選択される官能基を含む有機物であることが望ましい。
【0024】
本発明に使われるエチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量は、10ないし50モル%であることが望ましい。前記エチレンの含有量が10モル%未満である場合には、加工性が低下して溶融成形が困難であり、50モル%超える場合には、酸素遮断性、及び液体遮断性が十分ではないという問題点がある。
【0025】
本発明に使われるポリアミドは、1)ナイロン4.6、2)ナイロン6、3)ナイロン6.6、4)ナイロン6.10、5)ナイロン7、6)ナイロン8、7)ナイロン9、8)ナイロン11、9)ナイロン12、10)ナイロン46、11)MXD6、12)無定形ポリアミド、13)1)〜12)のポリアミドのうち2以上の成分を有する共重合ポリアミド、または14)1)〜12)のポリアミドのうち2以上の混合物が選択されて使われうる。
【0026】
本発明に使われるアイオノマーは、アクリル酸とエチレンとの共重合体であることが望ましく、溶融指数は、0.1ないし10g/10min(190℃、2,160g)の範囲であることが望ましい。
【0027】
前記遮断性樹脂ナノ複合体は、0.5ないし60重量部で含まれることが望ましく、さらに望ましくは、3ないし30重量部で含まれることである。遮断性樹脂ナノ複合体が0.5重量部未満ならば、遮断性向上効果が少なく、60重量部を超えれば、加工が容易ではなくして望ましくない。
【0028】
遮断性樹脂ナノ複合体で、層状粘土化合物が不連続相である遮断性樹脂内部に微細に剥離されるほどすぐれた遮断効果を発揮する。これは、遮断性樹脂の内部に微細に剥離された層状粘土化合物が遮断膜を形成することとなり、ナノ複合体の遮断性及び機械的物性を向上させる役割を果たし、窮極的に組成物自体の遮断性及び機械的物性を向上させる効果まで得ることである。従って、本発明では、遮断性樹脂と層状粘土化合物とを混練し、遮断性樹脂内に層状粘土化合物をナノサイズで分散させ、高分子鎖と層状粘土化合物との接触面積を最大化し、ガス透過抑制及び液体透過抑制機能を極大化する。
【0029】
本発明に使われる相溶化剤は、前記スチレン系樹脂と遮断性樹脂ナノ複合体との相溶性を向上させ、安定した構造の組成物を形成させる作用を行う。
【0030】
前記相溶化剤としては、アミド官能基(−CO−NH)と反応可能な官能基を有する変性ABS樹脂、スチレン−マレイミド共重合体、エポキシ変性ポリスチレン共重合体からなる群から一種以上選択される化合物、またはそれらの混合物を使用できる。
【0031】
前記エポキシ変性ポリスチレン共重合体を相溶化剤として使用する場合には、スチレン70ないし99重量部及び下記化学式1で表示されるエポキシ化合物1ないし30重量部を含む主鎖と、アクリル系単量体1ないし80重量部からなる分枝とを含む共重合体が望ましく、ナノ複合体ブレンド総100重量部に対して1〜80重量部で含まれる。
【0032】
【化1】

前記化学式1の式で、R、及びR’は、それぞれ独立的に分子構造の末端に二重結合基を有するC−C20の脂肪族またはC−C20の芳香族化合物の残基である。
【0033】
【化2】

【0034】
また、前記変性ABS樹脂は、共役ジエン系ゴム存在下で、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物及びそれらと共重合可能な他のビニル単量体であるアクリル酸アルキルエステル化合物からなる成分を共重合させた樹脂である。前記共役ジエン系ゴムは、ゴムを必ず含み、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダムまたはブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、またはブタジエン−イソプレン共重合体を単独で使用するか、または二種以上を併合して使用でき、望ましくは、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体を使用できる。
【0035】
また、前記芳香族ビニル化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン、またはo−メチルスチレンのうちから選択し、単独で使用するか、または二種以上を併用でき、望ましくは、スチレンを使用できる。
【0036】
また、前記ビニルシアン化合物は、アクリロニトリルを望ましく使用できる。
【0037】
また前記アクリル酸アルキルエステル化合物には、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートのようなメタクリル酸エステルがあり、このうちから選択して単独で使用したり、または二種以上を併用できる。
【0038】
前記変性ABS樹脂をさらに具体的に説明すれば、メチルメタクリロニトリル・ブタジエンスチレン、アクリロニトリルブタジエン・メタクリル酸メチルスチレンなどがある。かような変性ABS樹脂は、乳化重合により得られるゴム質重合体の存在下で単量体、乳化剤、重合開始剤を使用してグラフト共重合させて製造したグラフト共重合体である。すなわち、かような前記変性ABS樹脂は、ブタジエンを主体とする合成ゴムと、アクリル酸エステルがグラフトされたアクリロニトリル−スチレン共重合体と混合するか、またはポリブタジエン主鎖に、乳化重合によりアクリル酸エステルがグラフトされたアクリロニトリル−スチレンを乳化剤、重合開始剤を使用してグラフト共重合させて製造されたグラフト共重合体である。
【0039】
前記相溶化剤は、1ないし30重量部で含まれることが望ましく、さらに望ましくは、2ないし15重量部で含まれることである。前記相溶化剤が1重量部未満ならば、組成物の成形時に成形物の機械的物性が劣り、30重量部を超えれば、組成物の成形加工が容易ではなくして望ましくない。
【0040】
本発明の組成物の製造時に乾燥混合(dry-blending)するが、それは、ペレット形態の遮断性樹脂/層状粘土化合物ナノ複合体、相溶化剤、及びスチレン系樹脂を一定の組成比でペレット混合器に同時投入して混合することを意味する。
【0041】
また、本発明では、前記の通りに製造された組成物をペレット化した後で成形し、遮断性物品を得る。
【0042】
すなわち、前記のような組成物を押出機で溶融混合して遮断性特性を維持した状態でペレット化する。このとき、遮断性特性を維持した状態でペレット化するためには、押出温度及び押出機のL/D比が特に重要である。押出温度は、160ないし270℃であり、細部的には、遮断性樹脂によって少しずつ変わることがあるが、例えば、遮断性樹脂がエチレンビニルアルコールである場合には、190ないし210℃であり、ポリアミドである場合には、240ないし265℃であることが望ましい。前記押出温度が160℃未満ならば、押出機に過負荷が発生して加工が困難であり、270℃を超えれば、ペレットの物性が低下してしまい望ましくない。
【0043】
押出機のL/D比は、望ましくは、30以下、さらに望ましくは、20以下である。L/D比が30より大きければ、溶融混合が過度になされ、ナノ複合体の遮断性モルフォロジーの維持が困難になるという問題点がある。
【0044】
前記ペレット化されたナノ複合体を成形し、遮断性物品を製造する。
【0045】
このとき、成形方法は、中空成形、押出成形、プレス成形及び射出成形を始めとして、一般的な成形方法を利用できる。
【0046】
遮断性物品としては、容器、シート、パイプ、フィルムなどを挙げることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明の遮断性ナノ複合体組成物は、機械的強度にすぐれ、酸素遮断性、有機溶媒遮断性及び湿気遮断性の耐化学的遮断性が優秀であるだけではなく、成形性にすぐれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、実施例を介し、本発明についてさらに詳細に説明するが、下記実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を制限しようとするものではない。
【実施例】
【0049】
以下、実施例で使用した材料は、次の通りである:
EVOH:E105B(クラレ社製)使用、
ナイロン6:EN300(KPケミカル製)使用、
スチレン系樹脂:ABS RS−800(LG化学製)使用、
相溶化剤:製造例1で製造された変性ABS樹脂、
clay:Closite 30B(SCP製)使用、
熱安定剤:IR 1098(ソンウォン社)使用。
【0050】
[製造例1(変性ABS樹脂の製造)]
アクリロニトリルモノマー、スチレンモノマー、及びアクリル酸エステルから選択されたメチルメタクリレート化合物からなる単量体混合物100重量部に対して水105重量部を入れ、ブタジエン・ラテックスをシードとしてバッチ(batch)法で窒素ガス雰囲気内で反応温度を70℃に加熱した。そして、t−ドデシルメルカプタン0.6重量部、ステアリン酸ナトリウム0.5重量部及び硫酸カリウム0.5重量部を含有する一次単量体相を製造し、水50重量部に過硫酸カリウム0.1重量部を溶解させて製造した溶液を前記一次単量体相とは別に添加しながら、3時間一次重合反応を行った。次に、さらに前記反応混合物に、t−ドデシルメルカプタンを0.6重量部を含有する二次単量体相を製造し、水50重量部に過硫酸カリウム0.1重量部を溶解させて製造した溶液を、前記同様に別に添加しながら3時間の間二次重合反応を行った。反応完結後、反応器を70℃に2時間の間維持させて重合反応を終結し、この樹脂に硫酸アルミニウム3重量部を加えて塩析して濾過した後、水で洗浄して乾燥工程を経て変性ABS樹脂を製造した。
【0051】
[製造例2(EVOH−層状粘土化合物ナノ複合体の製造)]
エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH、E−105B(エチレン含有率44モル%)、クラレ社製、溶融指数:5.5g/10min、密度:1.14g/cm))97重量%を二軸押出機(SMプラテック、同方向回転二軸押出機、Φ40)の主ホッパに投入し、層状粘土化合物として有機化されたモンモリロナイト(Southern Clay Products、米国、Closite 20A)3重量%、及び前記エチレン−ビニルアルコール共重合体と有機化されたモンモリロナイトとを合わせた量100重量部に対して熱安定剤IR 1098 0.1重量部をサイドフィーダに分離投入した後、エチレン−ビニルアルコール共重合体/層状粘土化合物ナノ複合体をペレット形態に製造した。このとき、押出温度は180−190−200−200−200−200−200℃であり、スクリュー速度は300rpmであり、吐出条件は30kg/hrであった。
【0052】
[製造例3(ナイロン6−層状粘土化合物ナノ複合体の製造)]
ポリアミド(ナイロン6、EN300)97重量%を二軸押出機(SMプラテック、同方向回転二軸押出機、Φ40)の主ホッパに投入し、層状粘土化合物として有機化されたモンモリロナイト3重量%、及び前記ポリアミドと有機化されたモンモリロナイトとを合わせた量100重量部に対して熱安定剤IR 1098 0.1重量部をサイドフィーダに分離投入した後、ポリアミド/層状粘土化合物ナノ複合体をペレット形態に製造した。このとき、押出温度は220−225−245−245−245−245−245℃であり、スクリュー速度は300rpmであり、吐出条件は40kg/hrであった。
【0053】
[実施例1]
前記製造例2で製造したEVOHナノ複合体30重量部、相溶化剤4重量部、及び前記製造例1で製造したスチレン系樹脂66重量部を乾燥混合機(ミョンウ分体システム、Double cone mixer、MYDCM−100)内に投入して30分間乾燥混合した後、押出成形機(自作品、L/D=20)で210−225−235−235℃の加工温度で0.8mm厚のシートを押出成形した。
【0054】
[実施例2]
前記製造例3で製造したナイロン6ナノ複合体30重量部、相溶化剤4重量部及び前記製造例1で製造したスチレン系樹脂66重量部を乾燥混合機(ミョンウ分体システム、Double cone mixer、MYDCM−100)内に投入して30分間乾燥混合した後、押出成形機(自作品、L/D=10)で210−225−235−235℃の加工温度で0.8mm厚のシートを押出成形した。
【0055】
[実施例3]
前記製造例3で製造したナイロン6ナノ複合体4重量部、相溶化剤2重量部及び前記製造例1で製造したスチレン系樹脂94重量部を乾燥混合機(ミョンウ分体システム、Double cone mixer、MYDCM−100)内に投入して30分間乾燥混合した後、押出成形機(自作品、L/D=10)で210−225−235−235℃の加工温度で0.8mm厚のシートを押出成形した。
【0056】
[実施例4]
前記製造例3で製造したナイロン6ナノ複合体45重量部、相溶化剤15重量部及び前記製造例1で製造したスチレン系樹脂60重量部を乾燥混合機(ミョンウ分体システム、Double cone mixer、MYDCM−100)内に投入して30分間乾燥混合した後、押出成形機(自作品、L/D=10)で210−225−235−235℃の加工温度で0.8mm厚のシートを押出成形した。
【0057】
[実施例5]
前記製造例3で製造したナイロン6ナノ複合体45重量部はベルト型フィーダ(K−TRON1号機)、相溶化剤15重量部はベルト型フィーダ(K−TRON2号機)、及び前記製造例1で製造したスチレン系樹脂60重量部はベルト型フィーダ(K−TRON3号機)を介して押出成形機(自作品、L/D=10)の主ホッパ内に乾燥混合状態で投入し、210−225−235−235℃の加工温度で0.8mm厚のシートを押出成形した。
【0058】
[比較例1]
層状粘土化合物として、有機化されたモンモリロナイトを使用しないことを除いては、実施例1と同じ方法で0.8mm厚さシートを製作した。
【0059】
[比較例2]
層状粘土化合物として、有機化されたモンモリロナイトを使用しないことを除いては、実施例2と同じ方法でシートを製作した。
【0060】
[比較例3]
スチレン系樹脂を単独で使用し、240−265−265−265℃の加工温度でシートを押出成形した
【0061】
[遮断性試験]
ガス遮断性(cc/m・日・気圧)
前記実施例1ないし5及び比較例1ないし3で製造したシートを1日間の間23℃の温度及び50%の相対湿度条件で放置した後、ガス透過率測定機(米国・Mocon、OX−TRAN 2/20)を利用して測定した。
【0062】
【表1】

【0063】
前記表1から分かるように、実施例1ないし5は、比較例1ないし比較例3のシートに比べ、ガス遮断性にすぐれるということが分かる。
【0064】
本発明を実施例に基づいて説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者ならば、本発明の範囲および趣旨から逸脱しない範囲で多様な変更および変形が可能であるということを理解することができるであろう。従って、本発明の技術的範囲は、説明された実施形態によって定められず、特許請求の範囲により定められねばならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)スチレン系樹脂40ないし98重量部と、
(b)エチレン−ビニルアルコール共重合体/層状粘土化合物ナノ複合体、ポリアミド/層状粘土化合物ナノ複合体、アイオノマー/層状粘土化合物ナノ複合体、及びポリビニルアルコール/層状粘土化合物ナノ複合体のうちから選択された一種以上の遮断性ナノ複合体0.5ないし60重量部と、
(c)相溶化剤1ないし30重量部とが乾燥混合された組成物を成形して製造された遮断性ナノ複合体組成物。
【請求項2】
前記スチレン系樹脂が、ポリスチレン(PS)、スチレンアクリロニトリル樹脂(SAN)またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)であることを特徴とする請求項1に記載の遮断性ナノ複合体組成物。
【請求項3】
前記ポリスチレンは、汎用ポリスチレン(GPPS)、または高衝撃スチレン(HIPS)であることを特徴とする請求項2に記載の遮断性ナノ複合体組成物。
【請求項4】
前記層状粘土化合物が、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイト、雲母、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、スティーブンサイト、バーミキュライト、ハロサイト、ヴォルコンスキー石、スコナイト(suconite)、マガダイト及びケニアライトからなる群から選択された一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の遮断性ナノ複合体組成物。
【請求項5】
前記層状粘土化合物が層状粘土化合物内に1ないし45重量%の有機物を含むことを特徴とする請求項1に記載の遮断性ナノ複合体組成物。
【請求項6】
前記有機物が一級ないし四級アンモニウム、ホスホニウム、マレイン酸塩、コハク酸塩、アクリレート、ベンジル化水素、ジメチルジステアリルアンモニウム及びオキサゾリンからなる群から選択されるいずれか1つの官能基を含む有機物であることを特徴とする請求項5に記載の遮断性ナノ複合体組成物。
【請求項7】
前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量が10ないし50モル%であることを特徴とする請求項1に記載の遮断性ナノ複合体組成物。
【請求項8】
前記ポリアミドが、1)ナイロン4.6、2)ナイロン6、3)ナイロン6.6、4)ナイロン6.10、5)ナイロン7、6)ナイロン8、7)ナイロン9、8)ナイロン11、9)ナイロン12、10)ナイロン46、11)MXD6、12)無定形ポリアミド13)1)〜12)のポリアミドのうち2以上の成分を有する共重合ポリアミド、または14)1)〜12)のポリアミドのうち2以上の混合物からなる群から選択された一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の遮断性ナノ複合体組成物。
【請求項9】
前記アイオノマーが溶融指数0.1ないし10g/10分(190℃、2,160g)の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の遮断性ナノ複合体組成物。
【請求項10】
前記相溶化剤が、アミド官能基(−CO−NH)と反応可能な官能基を有する変性ABS樹脂、スチレン−マレイミド共重合体、及びエポキシ変性ポリスチレン共重合体からなる群から選択された一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の遮断性ナノ複合体組成物。
【請求項11】
前記変性ABS樹脂は、メチルメタクリロニトリル・ブタジエンスチレンまたはアクリロニトリルブタジエン・メタクリル酸メチルスチレンであることを特徴とする請求項10に記載の遮断性ナノ複合体組成物。
【請求項12】
前記遮断性ナノ複合体のうち、遮断性樹脂と層状粘土化合物との重量比は、58.0:42.0ないし99.9:0.1であることを特徴とする請求項1に記載の遮断性ナノ複合体組成物。
【請求項13】
請求項1から請求項12のうちいずれか1項に記載の組成物を成形して製造された遮断性物品。
【請求項14】
前記物品が、容器、フィルム、パイプまたはシートであることを特徴とする請求項13に記載の遮断性物品。
【請求項15】
前記物品が、中空成形、押出成形、プレス成形または射出成形により製造されることを特徴とする請求項13に記載の遮断性物品。

【公表番号】特表2008−514776(P2008−514776A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534518(P2007−534518)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【国際出願番号】PCT/KR2005/003275
【国際公開番号】WO2006/080683
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】