説明

遮熱性塗料組成物

【課題】乾燥時間が短くヒートアイランド防止用のアスファルト舗装面等の遮熱に好適な新規な構成の遮熱性塗料組成物を提供すること。
【解決手段】熱可塑性結合材(粘着付与材)をマトリックスとし、硬質骨材、体質材、可塑剤及び赤外線反射顔料を必須成分とする熱溶融型の遮熱性塗料組成物。該組成物は、熱可塑性結合材:10〜25質量%、硬質骨材:10〜20質量%、体質材:30〜65質量%、可塑剤:0.5〜5質量%、及び赤外線反射顔料:0.25〜5質量%を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱性塗料組成物、特に、アスファルト舗装面等に遮熱性塗膜を形成するのに好適な新規な熱溶融型の遮熱性塗料組成物に関する。
【0002】
ここでは、アスファルト舗装面を主として例に採り説明するが、他のコンクリート舗装面、さらには、建築物屋上舗装面等にも適用して、ヒートアイランド現象を防止できるものである。
【背景技術】
【0003】
道路舗装に多いアスファルト舗装は黒色であるため太陽光エネルギーを吸収しやすく、夏の路面温度が高くなりやすい。土、緑地等のように水の吸収と発散のないアスファルト舗装が多い都市部では、熱の吸収蓄熱の増大、反射率の低下により路面温度が高くなり、環境温度も高くなる。夏季には特に顕著となり、夜になっても気温が低くならずにヒートアイランド現象が問題となっている。
【0004】
道路舗装等を原因とするヒートアイランド現象の防止対策としては、遮熱性塗料を舗装面に塗布して遮熱性塗膜を形成することが考えられる。
【0005】
例えば、特許文献1では、「速乾性の水性樹脂組成物と1種または2種以上の赤外線反射顔料とを含有し、波長350〜2100nmの波長域における塗膜の日射反射率が30%以上であることを特徴とする速乾性の遮熱水性塗料組成物。」が提案されている(請求項1等)。そして、該遮熱水性塗料組成物は、「常乾型かつ極めて速乾性であり、遮熱性に優れ、塗膜物性も優れている。そのため、主として建物の外装および内装用途、フロア用途、鉄部材用途あるいは道路用途に使用でき、特にアスファルト密着性に優れるため、道路用途に好適に使用できる。」旨、効果の項に記載されている(段落0014)。
【0006】
また、特許文献2では、「舗装体の表層の表面に硬化型樹脂液を塗布する方法において、硬化型樹脂液としてラジカル架橋型の2液常温硬化型樹脂液を用いると共に、該2液常温硬化型樹脂液を構成する有機過酸化物を含有する樹脂液及び有機過酸化物を含有しない樹脂液のいずれか一方の樹脂液を舗装体の表面に塗布し、かくして形成された一方の樹脂液からなる塗膜状物の上に他方の樹脂液を塗布することを特徴とする舗装体の表面処理方法」において、「樹脂液が可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料を含有する」構成が提案されている(請求項1・3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−146062号公報(請求項1・段落0014等)
【特許文献2】特開2004−19121号公報(請求項1・3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1・2で提案されている遮熱性塗料組成物では、昨今の道路開放のための時間をできるだけ短くする要請に応え難いと考えられる。
【0009】
即ち、特許文献2の実施例では、第1液を塗布30分経過後、第2液をその上に塗布後15分の硬化時間が必要であり(段落0024)、また、特許文献1の塗料組成物では、速乾性がJIS K5665のタイヤ付着性試験で15分以内であり(請求項7)、実施例でも、乾燥時間:12〜14分と依然として長い。
【0010】
さらには、特許文献1・2は、合成樹脂系塗料であるため、厚塗り(1mm以上)を予定していない。例えば、特許文献2では、乾燥膜厚500μm(段落0046(註23))である。このため、耐摩耗性(耐久性)に問題が発生し易いと考えられる。
【0011】
本発明は、上記にかんがみて、乾燥時間が短く、且つ、耐摩耗性にも問題が発生し難くて、アスファルト舗装面等に遮熱性を付与する遮熱性塗膜を形成するのに好適な新規な構成の遮熱性塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意開発に努力をする過程で、下記構成とすれば、上記課題を解決できることを知見して、下記構成の遮熱性塗料組成物に想到した。
【0013】
熱可塑性結合材(粘着付与材)をマトリックスとし、硬質骨材、体質材、可塑剤及び赤外線反射顔料を必須成分とする熱溶融型の遮熱性塗料組成物であって、
前記熱可塑性結合材の色相(ガードナー法)8以下であり、
熱可塑性結合材:10〜25質量%、可塑剤:0.5〜5質量%、硬質骨材:10〜20質量%、体質材(体質顔料):30〜65質量%及び赤外線反射顔料:0.25〜5質量%を含有することを特徴とする。
【0014】
熱可塑性結合材の色相(ガードナー法)8以下とするとともに、赤外線反射顔料を含有させることにより、協働して遮熱性が格段に向上することを知見して本発明に想到した。
【0015】
上記構成の遮熱性塗料組成物において、前記硬質骨材、体質材および可塑剤が淡色系であること、が望ましい。上記の如く、各成分を淡色系とすることにより、塗膜の調色が容易になるとともに、日射反射率の低下を抑制できる。
【0016】
上記各構成の遮熱性塗料組成物において、前記体質材の一部が無機中空微粒子に置換され、該無機中空微粒子の配合組成が、配合組成全量中5〜25質量%、さらには、10〜20質量%であることが望ましい。
【0017】
塗膜の熱伝達率が低下して舗装面の温度上昇が抑制される。
【0018】
上記構成の遮熱性塗料組成物において、赤外線反射顔料の日射反射率が15%以上(望ましくは20%以上)(赤外線反射顔料が混合系の場合、混合系構成顔料の最低値)であることが望ましい。通常、調色のために複数の顔料を組み合わせるが、そのときの塗膜の日射反射率は、加重平均とはならず、低い方の日射反射率に依存することを本発明者らは確認している。
【0019】
さらに、上記各構成の遮熱性塗料組成物において、硬質骨材が、モース硬さ5以上、さらにはモース硬さ6以上のものであることが望ましい。特に、珪石粉は、モース硬さ7と他の硬質骨材に比して硬くて耐摩耗性(耐久性)に優れた塗膜を得易いとともに、白色度が高くて、前述と同様、塗膜の色相に影響を与え難いとともに日射反射率の低下抑制にも寄与する。
【0020】
上記各構成の塗料組成物を用いての密粒度アスファルト系舗装(半たわみ性舗装を含む。)、モルタルコンクリート舗装などのコンクリート系舗装面上に遮熱性塗膜を形成する方法は、遮熱性塗料組成物を溶融塗布して0.5〜3mmの遮熱性塗膜を形成する構成となり、さらには、前記遮熱性塗料組成物を溶融塗布した後、該塗膜の硬化前に滑り止め粒体を散布する構成とすることが望ましい。
【0021】
滑り止め粒体を散布することで、舗装面の滑り止め性を増大させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の遮熱性塗料組成物は、従来のアスファルト舗装より、後述の遮熱性試験において、表面温度を略11〜18℃低下させることができた。その効果により、アスファルトやコンクリートの舗装面の熱の吸収蓄熱を防止し環境温度を低下することができ、ヒートアイランド現象の抑制が期待できる。そして、本発明の遮熱性塗料組成物は、道路舗装面ばかりでなく、屋上舗装面にも適用でき、ヒートアイランド現象の抑制への寄与も期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明で配合組成を示す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
【0024】
本発明の遮熱性塗料組成物は、熱可塑性結合材(粘着付与材)をマトリックスとし、硬質骨材、体質材、可塑剤及び赤外線反射顔料を必須成分とする熱溶融型のものである。
【0025】
そして、上記熱可塑性結合材は、施工温度(たとえば200℃)で施工可能な粘度を有し、且つ、色相(ガードナー法)8以下(望ましくは6以下)であるものなら特に限定されない。施工温度200℃における施工可能な粘度とは、粘性率が0.5〜2.6 dPa(望ましくは1.0〜2.0dPa)をいう。
【0026】
例えば、脂肪族系石油樹脂;ポリブテン等の石油系炭化水素樹脂;クマロン・インデン樹脂等のクマロン系樹脂;フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等のフェノール系樹脂;テルペン・フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂等のテルペン系樹脂;合成ポリテルペン樹脂;芳香族系炭化水素樹脂;不飽和炭化水素重合体;イソプレン系樹脂;水素添加炭化水素樹脂;炭化水素系粘着化樹脂;水素添加ロジン、水素添加ロジンのエステル樹脂、重合ロジン、硬化ロジン等のロジン誘導体等が使用可能である。
【0027】
上記熱可塑性結合材のうち、脂肪族系石油樹脂又は石油系炭化水素樹脂であることが望ましい。これらは、他の熱可塑性結合材に比して、より淡色のもの(色相(ガードナー法)6以下)を安定して得易く、コスト的にも安定しているためである。
【0028】
また、熱可塑性結合材の配合組成は、10〜25%、さらには、13〜23%が望ましい。配合組成が過少では、粘性率が高くて良好な流動性が得難く施工性(作業性)が低下し、他方、過多では、耐汚染性が低下したり、溶融時に体質材、硬質骨材が沈降したりして、綺麗な塗膜を得難い。
【0029】
硬質骨材としては、塗膜に耐摩耗性および滑り止め性を付与できるモース硬さ5以上の粗粒子(0.1〜2mm)であれば特に限定されないが、耐摩耗性(耐久性)の見地から、モース硬さ6以上、平均粒径0.3〜0.7mmが望ましく、着色上および日射反射率を低下させない見地から、通常、淡色系のものを使用することが望ましい。ここで、淡色系とは、白色系、淡黄色系、乃至透明系を意味する。
【0030】
例えば、珪石粉、アルミナ粉及びガラス粉(石英ガラス、ソーダ石灰系、チタン-バリウム系など)、さらには、日射エネルギーで暖まりにくい成分を含むセラミック骨材等の内から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。特に、白色度や透明度が高く、モース硬さも大きい珪石粉(モース硬さ7)やガラスビーズ(モース硬さ6〜7)等を好適に使用できる。
【0031】
硬質骨材の配合組成は10〜20%、さらには、12〜18%が望ましい。
【0032】
硬質骨材の配合組成が過少では、塗膜摩耗の途中での塗膜に、必要な滑り止め性が得難いとともに、耐摩耗性も低下する(塗膜耐久性が低下する。)。硬質骨材の配合組成が過多では、溶融時の液相比率が低下して粘度が増大し、溶融時に必要な流動性を得難くなり、塗布作業性が低下する(良好な塗膜外観を得難い。)。結果として、耐衝撃性や接着性も悪くなる。
【0033】
体質材としては、塗膜に適度の強度を確保できる無機充填材であれば特に限定されないが、硬質骨材の場合と同様、着色上および日射反射率の低下を抑制する見地から、通常、淡色系(白色度が高い)のものを使用する。
【0034】
具体的には、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の内から1種又は2種以上、適宜選択して使用できる。そして、体質材は、微粒子(平均粒子径:1〜10μm)と粗粒子(平均粒径:0.1〜1mm)とを10/90〜70/30の混合粉体とすることが好ましい。粗粒子間に微粒子が入り込んで塗膜強度を確保し易い。
【0035】
体質材の配合組成は、30〜65%、さらには、35〜65%が望ましい。
【0036】
過少であると耐汚染性が低下したり、溶融時に硬質骨材、体質材が沈降したりしやすくなる。過多であると、硬質骨材の場合と同様、溶融時の粘度が高く流動性が得られないため塗布作業性が低下する。また耐衝撃性や接着性も悪くなる。
【0037】
必然的ではないが、上記体質材の一部を、塗膜の熱伝達率低下のために、無機中空微粒子に置換してもよい。無機中空微粒子の配合組成は、5〜25%、望ましくは、5〜15%とする。無機中空微粒子が過少では、塗膜の熱伝達率低下による舗装面の温度上昇の抑制作用を奏し難く、過剰であると、体質材の比率が低下して、コスト的に不利である。また、無機中空微粒子は塗膜成分となったとき圧潰(破砕)し易く、結果的に耐摩耗性が低下する(塗膜耐久性が低下する。)。
【0038】
無機中空微粒子としては、例えば、ガラスバルーン、セラミックバルーン、シリカバルーン、シラスバルルーン、フライアッシュバルーン、等のうちから1種又は2種以上を選択して使用することができる。特に、ガラスバルーンやセラミックバルーンで、それらの粒径が1〜200μmのものを好適に使用できる。
【0039】
上記のうち、淡色系のものを使用することが着色上および日射反射率の低下抑制の見地から望ましい。
【0040】
可塑剤としては、フタル酸エステル類、大豆油等の植物油、植物油変性アルキド樹脂、エポキシ化油、液状合成ゴム類、鉱物油(ナフテン系、パラフィン系、オレフィン系)等の内から1種又は2種以上、適宜選択して使用することができる。特に、フタル酸エステル類(アルキル炭素数6〜12)や植物油変性アルキド樹脂が望ましい。淡色系で可塑化効率が良好であるとともに、200℃前後の高温でも変色や揮発が少ないためである。
【0041】
可塑剤の配合組成は、0.5〜5%、さらには、1〜3%が望ましい。配合組成が過少では、耐衝撃性及び接着性において問題が発生し易く、他方、過多では、耐汚染性及び乾燥性に問題が発生し易い。
【0042】
赤外線反射顔料とは、「波長領域約800nm以上で高い反射を示す顔料」を意味し、以下のような有機系顔料乃至無機系顔料がある。なお、日射反射率の分かっている顔料については、併記した。
【0043】
<白> 日射反射率(%)
酸化チタン 83〜89
亜鉛華
酸化マグネシウム
酸化カルシウム
酸化バリウム
<黒>
鉄、クロムの複合酸化物 21〜24
銅、マグネシウムの複合酸化物
銅、ビスマスの複合酸化物 29
鉄、クロム、コバルトの複合酸化物、 23
<赤>
キナクリドンレッド 54
亜鉛、鉄、クロムの複合酸化物 38
酸化第二鉄 20〜28
<青>
シアニンブルー
ジオキサジンバイオレット
コバルト、アルミニウムの複合酸化物 42〜47
コバルト、アルミニウム、クロムの複合酸化物 31
<黄>
ビスマス、バナジウム、アルミニウムの複合酸化物 73
ニッケル、バリウム、チタンの複合酸化物 66
ニッケル、アンチモン、チタンの複合酸化物 72
<緑>
コバルト、ニッケル、亜鉛の複合酸化物 27
コバルト、ニッケル、チタン、亜鉛の複合酸化物 21〜25
上記のうち日射反射率が高いものが望ましい。
【0044】
ここで、赤外線反射顔料の配合組成は、要求日射反射率に応じて異なるが、0.25〜5%、さらには、0.5〜4%が望ましい。
【0045】
さらに、その他の添加剤として、適宜、沈降防止剤、表面改質剤、汚れ防止剤及び流動性付与剤等を配合することができる。具体的には、添加剤として、ポリエチレンワックス等が好適に使用できる。
【0046】
ポリエチレンワックスの配合組成は、1〜5%、さらには、2〜3%が望ましい。過多であると硬質骨材、体質材が沈降しやすくなり、無機中空微粒子が表面に浮きあがりやすくなる。耐汚染性も悪くなる。
【0047】
通常、遮熱性塗料組成物を溶融塗布した後、該塗膜の硬化前に滑り止め粒体を散布する。塗布手段としては、スリッター式塗布機やロータ式塗布機を用いて、アスファルト塗装面等に塗布して遮熱性塗膜の施工を行う。このとき、加熱溶融温度は、200℃前後とする。
【0048】
そして、滑り止め粒体としては、粒子径:0.1〜2mmものを使用することができる。具体的には、前述の硬質骨材のうち大粒径のものを使用できる。特に、珪石粉、アルミナ粉、ガラス粉、さらには、表面に日射エネルギーで暖まりにくい成分を含むセラミック粉を適宜、1種又は2種以上を選択して使用することもできる。
【0049】
なお、滑り止め粒体の散布量は、0.3〜1kg/m、さらには、0.5〜0.8kg/mとすることが望ましい。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。
【0051】
<塗料の調製>
表1に示す処方の塗料組成物(1.0〜2.0kg)をホーロー鍋に少しずつ加え、ガスコンロで20分程度かけて、温度が、180±20℃になるように加熱溶融する。その際、局部加熱を起こさないよう、ステンレススプーンでかき混ぜる。
【0052】
なお、表1における各顔料名の後の括弧内の数値は、日射反射率を示す。
【0053】
<試験体の調製>
下記仕様の密粒度アスファルトコンクリートブロック(180×180×30mm)の上面(180×180mmの面)に厚さ1.7mmで各塗料を塗布した。そして、硬化前に珪石粉を塗膜表面に散布固着させたものを試験体とした。
【0054】
<コンクリートブロック仕様>
舗装用アスファルト 10容量%
粗骨材(砕石等) 34容量%
細骨材(砂) 47容量%
フィラー(石粉) 5容量%
空隙 4容量%、
<塗膜乾燥時間>
各試験体に対して、JIS―K5665で規定された合成ゴム製の柔らかいタイヤを有する、重さ15.8kgの試験ロールを使用して塗膜上を転がし、塗装後タイヤに塗膜が付着しなくなるまでの乾燥時間を求めた。
【0055】
<遮熱性試験>
上記各試験体を24時間放置後、試験体より高さ395mmから250Wの赤外線ランプを照射し、塗膜(比較品は密粒度アスファルトコンクリートブロック)の表面に熱電対を貼り、データロガーを用いて表面温度を測定し温度上昇を計測した。
【0056】
上記密粒度アスファルトコンクリートブロックの未塗布のものを対照例として同様の遮熱性試験を行なった。
【0057】
<試験結果>
試験結果を示す表1から、本発明の塗料組成物は、乾燥時間が3分以内と、従来の合成樹脂系塗料に比して、格段に短いことが分かる。
【0058】
また、遮熱性も対照例である密粒度アスファルトコンクリートブロックに比して、表面温度を11℃乃至18℃も低下することが確認できた。
【0059】
さらに、塗膜の遮熱性(日射反射率)は、赤外線反射顔料が混合系の場合、混合系構成顔料の最低値に依存することも確認できた。
【0060】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性結合材(粘着付与材)をマトリックスとし、硬質骨材、体質材、可塑剤及び赤外線反射顔料を必須成分とする熱溶融型の遮熱性塗料組成物であって、
前記熱可塑性結合材の色相(ガードナー法)8以下であり、
該配合組成が、熱可塑性結合材(粘着付与材):10〜25質量%、硬質骨材:10〜20質量%、体質材:30〜65質量%、可塑剤:0.5〜5質量%、赤外線反射顔料:0.25〜5質量%である、
ことを特徴とする遮熱性塗料組成物。
【請求項2】
前記硬質骨材、体質材および可塑剤が淡色系であることを特徴とする請求項1記載の遮熱性塗料組成物。
【請求項3】
前記体質材の一部が無機中空微粒子に置換され、該無機中空微粒子の配合組成が、配合組成全量中5〜25質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の遮熱性塗料組成物。
【請求項4】
前記赤外線反射顔料の日射反射率が15%以上(前記赤外線反射顔料が混合系の場合、混合系構成顔料の最低値が)であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の遮熱性塗料組成物。
【請求項5】
前記硬質骨材が、モース硬さ5以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか一記載の遮熱性塗料組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一記載の遮熱性塗料組成物を用いての密粒度アスファルト系舗装(半たわみ性舗装を含む。)モルタルコンクリート舗装などのコンクリート系舗装面上に遮熱性塗膜を施工する方法であって、
前記遮熱性塗料組成物を溶融塗布して0.5〜3mmの遮熱性塗膜を形成することを特徴とする遮熱性塗膜の施工方法。
【請求項7】
さらに、前記遮熱性塗膜の硬化前に滑り止め粒体を散布することを特徴とする請求項6記載の遮熱性塗膜の施工方法。

【公開番号】特開2011−184638(P2011−184638A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53632(P2010−53632)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000159021)株式会社キクテック (42)
【Fターム(参考)】