説明

遮熱性膜材料

【課題】優れた遮熱性と快適な明るさを両立させ、特に、テント倉庫、中・大型テントや、トラック幌、日除けテント等の膜構造物空間に好適に用いられる遮熱性膜材料の提供。
【解決手段】本発明の遮熱性膜材料は、重量平均粒子径0.6〜1.5μmの粗粒酸化チタンと、干渉雲母粒子とを含む熱可塑性樹脂で構成された赤外線反射樹脂層を、繊維基布の少なくとも1面に形成してなり、10〜20%の可視光透過率(JIS Z8722)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮熱性が優れる膜材料に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、優れた遮熱性と、快適な明るさを与える透光性の両方を兼備し、特に、テント倉庫、中・大型テントや、トラック幌、日除けテント等の膜構造物の用途に好適に用いられる、遮熱性膜材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
繊維材料より形成された基布に、熱可塑性樹脂を、コーティング法、ディッピング法、カレンダー法又はTダイ押出し法などの方法により被覆した膜材料は、組立及び施工が容易であり、構造等のデザインの自由度が高い等の理由から、テント倉庫、中・大型テント等の膜構造物や、トラック幌、日除けテント等広い分野で利用されている。しかしながら、従来の膜材料は、太陽光線に含まれる近赤外線に対する透過性又は吸収性が高く、このため膜材料の表面側から透過又は吸収された近赤外線が膜材の裏面側に接する空間を直接暖め、また吸収された赤外線は膜材の温度を上昇させて輻射熱として膜材裏面側からも放出される。このような膜材料を使用し膜構造物空間(例えばテント倉庫)を形成した場合、夏季の強い太陽光線の下では膜構造物内部の温度が極度に高くなるため、人が長時間作業することが困難となり、またそれを日除けテントに用いた場合は、まぶしさを防ぎ、紫外線を減少させる効果はあるけれども、冷涼効果に関してはほとんど認められない程度であった。テント倉庫の場合、通常の建築物同様冷房を用いれば内部の温度を下げることも可能であるが、冷房の効率が非常に低くなり、エネルギーコストやそれに伴う環境面への負担を考えると、従来のテント倉庫は、実用上満足できるものではなかった。
【0003】
太陽光線に含まれる近赤外線を反射するシートを提供する技術は、古くから行われており、例えば、アルミニウムをポリエステルフィルム表面に蒸着したものを積層させるもの(特許文献1)が知られている。このシートを屋外で膜材料として使用した場合は表面のアルミニウム蒸着層の摩耗強度が悪いため、長期の使用には適さない。また、プラスチック樹脂にアルミニウム粉末を特定量含有させたシート(特許文献2)などが知られている。特許文献1及び2に記載のようなシートは、アルミニウム蒸着フィルムや、アルミニウム粉末含有シートが、光線を吸収することによってフィルムやシート自体が高温に加熱され、これらのフィルムやシートからなる構造体の内部に直接太陽光はとどかないものの、熱伝導による間接的な加熱があり、さらにフィルムやシート自体の熱による劣化も懸念される。
【0004】
一方、基布に被覆した熱可塑性樹脂層の温度上昇を防止するために低熱伝導性を付与する方法として、熱可塑性樹脂層中に中空球状体と白色顔料を併用した技術もあるが(例えば、特許文献3、特許文献4)、中空球状体自体には遮熱効果がないため、熱可塑性樹脂層表面に露出した場合は遮熱効果が低下し、また中空球状体を含有することにより熱可塑性樹脂層の被膜強度が低下し、樹脂層の摩耗強度も低いため、屋外で長期使用する膜材料としては不適切である。
【0005】
また、顔料用酸化チタン(粒子径0.2〜0.4μm)を含有した樹脂層が、太陽光線に含まれる近赤外線を散乱させ、遮熱性を示すこと(例えば、特許文献5、特許文献6)が知られている。しかしこれらの方法で、より優れた遮熱性を得るには、樹脂層に含有する酸化チタンを増量する必要があり、このようにすると樹脂層の隠蔽性が増し膜材料の透光性が低下し、快適な明るさは得られず、この様な膜材料を用いたテント倉庫内部では、日中でも暗く照明が必要になるという問題がある。従って遮熱性と透光性とを両立した膜材料が望まれていた。
【0006】
この問題を改良する試みとして、重量平均粒子径0.6〜1.5μmの粗粒酸化チタンを含有した熱可塑性樹脂フィルムや塗膜(例えば、特許文献7、特許文献8)が知られている。また、酸化チタンで被覆された雲母粒子を含有した熱可塑性樹脂フィルムやシート(例えば、特許文献9、特許文献10)も知られている。これらの熱可塑性樹脂フィルム、シートや塗膜は、農業用フィルムや農業用被覆材に使用されており、顔料用酸化チタン(粒子径0.2〜0.4μm)を含有した場合に比べ、透光性は向上するものの、可視光透過率が高いことを優先しており、実質的な遮熱性は低いのが現状である。更に、粗粒酸化チタンを含有した熱可塑性樹脂層によって、より優れた遮熱性を得るには、樹脂層に含有する粗粒酸化チタンを増量する必要があり、粗粒酸化チタンの含有量が少ない範囲では透光性向上に効果があるが、含有量が多くなると顔料用酸化チタンと同様に樹脂層の隠蔽性が増し膜材料の透光性が低くなり、快適な明るさは得られないという問題があった。また、酸化チタンで被覆された雲母粒子を含有した熱可塑性樹脂フィルムやシートでは、酸化チタンで被覆された雲母粒子を含有することによる透光性の低下量が小さく、高透光性を維持できるが、一方、含有量を多くしても優れた遮熱性は得られないという問題があった。
【0007】
近年、膜材料を使用した膜構造空間は照明の省エネルギーの面から明るいことが求められ、その明るさも人間にとって快適な心地の良い明るさが求められている。具体的には、まぶしくなく柔らかい明るさで、膜構造空間内で空の雲の流れが分るような明るさであり、膜材料の透光率としては10〜20%の可視光透過率(JIS Z8722)に相当する明るさが求められている。可視光透過率が10〜20%を有する膜材料は既に各種あるが、これらは総じて遮熱性が低いという問題点があった。このように、快適な明るさである10〜20%の可視光透過率と優れた遮熱性とを併せ持った膜材料はまだ提供されていない。
【0008】
【特許文献1】特開2000−71858号公報
【特許文献2】特開平8−81567号公報
【特許文献3】特開2004−10903号公報
【特許文献4】特開2001−220502号公報
【特許文献5】特開2006−233139号公報
【特許文献6】特開2006−335949号公報
【特許文献7】特開2006−314218号公報
【特許文献8】特開2007−295858号公報
【特許文献9】特開平10−290635号公報
【特許文献10】特開2007−111002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、優れた遮熱性と快適な明るさを与える透光性とを併せて具備し、特に、テント倉庫、中・大型テントや、トラック幌、日除けテント等の膜構造物の用途に好適に用いられる遮熱性膜材料を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意検討の結果、特定範囲の重量平均粒子径を有する粗粒酸化チタンと干渉雲母粒子を熱可塑性樹脂層中に配合する事により、優れた遮熱性と快適な明るさを両立させた遮熱性膜材料が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の遮熱性膜材料は、繊維材料より形成された基布と、その少なくとも1面に形成された赤外線反射樹脂層とからなり、かつ10〜20%の可視光透過率(JIS Z8722)を有する膜材料であって、前記赤外線反射樹脂層が、重量平均粒子径0.6〜1.5μmの粗粒酸化チタンと、干渉雲母粒子とを含む熱可塑性樹脂により構成されていることを特徴とするものである。
本発明の遮熱性膜材料において、前記赤外線反射樹脂層が、前記赤外線反射樹脂層の質量に対して、5〜15質量%の前記粗粒酸化チタンと、1〜5質量%の前記干渉雲母粒子とを含むことが好ましい。
本発明の遮熱性膜材料において、前記干渉雲母粒子が、酸化チタン薄膜、又は酸化チタン/酸化ケイ素/酸化チタンによる複層構造を有する薄膜により被覆されていることが好ましい。
本発明の遮熱性膜材料において、前記赤外線反射樹脂層の上に防汚層がさらに形成されていることが好ましい。
本発明の遮熱性膜材料は、10%以下の日射熱取得率(JIS R3106)を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の膜材料は、優れた遮熱性と快適な明るさとを併せ有するものであり、それを、例えば、テント倉庫、中・大型テントや、トラック幌、日除けテント等の膜構造物の形成に使用することにより、遮熱性があり、且つ心地よい明るさのある快適な空間を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の遮熱性膜材料に含まれる基布を形成する繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維などの合成繊維、木綿、麻などの天然繊維、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの無機繊維が挙げられ、これらは、単独または2種以上からなる混用繊維によって構成されていてもよく、その形状はマルチフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、モノフィラメント糸条、スプリットヤーン糸条、テープヤーン糸条などいずれであってもよい。本発明に使用される繊維基布は、織布、編布、不織布のいずれでもよい、織布を用いる場合、平織、綾織、繻子織、模紗織などいずれの構造をとるものでもよいが、平織織物は、得られる膜材の縦緯物性バランスに優れているため好ましく用いられる。編布を用いるときはラッセル編の緯糸挿入トリコットが好ましく用いられる。これら編織物は、少なくともそれぞれ、糸間間隙をおいて平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸条により構成された粗目状の編織物(空隙率は最大80%、好ましくは5〜50%)、及び非粗目状編織物(糸条間に実質上間隙が形成されていない編織物)を包含する。不織布としてはスパンボンド不織布などが使用できる。繊維基布には必要に応じて撥水処理、吸水防止処理、接着処理、難燃処理などが施されていても良い。
【0014】
本発明の遮熱性膜材料に使用する赤外線反射樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを包含する)としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、およびフッ素含有共重合体樹脂などを、単独で用いてもよく、もしくは、2種以上を併用してもよい。これらの熱可塑性樹脂のなかでは、塩化ビニル樹脂(可塑剤、安定剤等を配合した軟質〜半硬質塩化ビニル樹脂を包含する)、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、及びフッ素含有共重合体樹脂等を用いることが好ましい。上記塩化ビニル樹脂及び塩化ビニル系共重合体樹脂とは、具体的に、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−エチレン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体樹脂、塩化ビニル−アクリル酸共重合体樹脂、及び塩化ビニル−ウレタン共重合体樹脂などを包含する。また上記オレフィン樹脂及びオレフィン系共重合体樹脂は、具体的に、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴム(EPRゴム)とのリアクター重合樹脂、これらのポリマーアロイ体であるPP−EPR樹脂、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−共役ジエン系ゴム(EPDMゴム)とのリアクター重合樹脂、もしくはこれらのポリマーアロイ体であるPP−EPDM樹脂などを包含する。本発明の採光膜材の熱可塑性樹脂被覆層は有機顔料、無機顔料による着色が可能であり、必要に応じて可塑剤、安定剤、充填剤、紫外線吸収剤、接着剤、防炎剤、防黴剤、滑剤等を含むことができる。
【0015】
本発明の遮熱性膜材料に使用する赤外線反射樹脂層を構成する粗粒酸化チタンの重量平均粒子径は0.6〜1.5μmであることが好ましい。重量平均粒子径が0.6μm未満では、それを少量を含有させた場合、波長が400nm以上700nm未満にある可視光領域の光線の平均透過率が低下するとともに、波長が700nm以上2000nm未満の近赤外光領域における光線の平均透過率が高くなり、そのために得られる赤外線反射樹脂層が白色化して光線透過率が不十分になる。また、前記重量平均粒子径が1.5μmを超えると、近赤外領域における光線の散乱効率が低下し、結果として近赤外光領域における光線の平均透過率が高くなり、遮熱性が低下する。また、本発明に用いる上記粗粒酸化チタン粒子は、長期耐候性を得るために、表面被覆されていることが好ましく、例えば酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物によって粗粒酸化チタン粒子に対して0.05〜3質量%で表面被覆された粗粒酸化チタン粒子が好ましい。
【0016】
本発明の遮熱性膜材料に使用する赤外線反射樹脂層に含まれる干渉雲母粒子は、雲母粒子表面が、酸化チタン薄膜、又は酸化チタン/酸化ケイ素/酸化チタン(TiO2/SiO2/TiO2)の3層による複層構造を有する薄膜で被覆され、かつ5〜100μm、特に25〜75μmの粒子径を有する光干渉性粒子である。雲母粒子表面に対する酸化チタン薄膜による被覆率は、35〜70%に限定されることが好ましく、45〜60%であることがより好ましい。それが35%未満の場合は、太陽光からの熱線に対する遮蔽性が不足することがある、またそれが70%を越える場合には、赤外線反射樹脂層の透光性が不十分になることがあり、或いは、酸化チタンの有する触媒活性によって赤外線反射樹脂層の耐候性が不十分になることがある。この干渉雲母粒子の製造方法には、特に限定はなく、例えば、四塩化チタンの加水分解により雲母粒子表面に水酸化チタンを被覆させ、更に、焼結して酸化チタンを結晶化させる方法が挙げられる。なお、上記薄膜の雲母粒子表面への被覆率とは、表面が薄膜で被覆された雲母粒子中における薄膜の質量比率を表したものをいい、酸化チタンの量は二酸化チタン換算の質量である。
【0017】
膜材料の赤外線反射樹脂層中に粗粒酸化チタンのみを含有させた場合、その含有量が少ないときは、得られる膜材料は10〜20%の可視光透過率を有するが、遮熱性は低く、10%以下の日射熱取得率は得られない。また、含有量が多いときは、得られる膜材料の遮熱性が向上し、10%以下の日射熱取得率を得られるが、膜材料の隠蔽性が増し、可視光透過率10〜20%の快適な明るさは得られない。
【0018】
膜材料の赤外線反射樹脂層中に、干渉雲母粒子のみを含有させた場合は、その含有量の調整により30%以上の光線透過率を維持して、遮熱性を付与することは可能であるが、この遮熱性のレベルは不十分であり、干渉雲母粒子の含有量を増やしても遮熱性の向上は小さく、得られる膜材料において、可視光透過率10〜20%の快適な明るさと、10%以下の日射熱取得率との両方を達成することは困難である。
【0019】
本発明の遮熱性膜材料において、膜材料の赤外線反射樹脂層に、粗粒酸化チタンと干渉雲母粒子を、ともに含有することによって、初めて、膜材料として、可視光透過率10〜20%の快適な明るさと、日射熱取得率10%以下の優れた遮熱性を発揮することが可能になる。
【0020】
本発明の遮熱性膜材料の赤外線反射樹脂層に含まれる粗粒酸化チタンの含有量は、赤外線反射樹脂層の質量に対して、5〜15質量%であることが好ましく、8〜12質量%であることがより好ましい。含有量が5質量%未満の場合は、膜材料の遮熱性が低下し、干渉雲母粒子と組合せても、10%以下の日射熱取得率は得られないことがある。また、その含有量が15質量%を越える場合は、膜材料の隠蔽性が増大し10〜20%の可視光透過率が得られないことがある。
【0021】
本発明の遮熱性膜材料の赤外線反射樹脂層中の干渉雲母粒子の含有量は、粗粒酸化チタン5〜15質量%との組合せで、前記赤外線反射樹脂層の質量に対して1〜5質量%であることが好ましく、2〜4質量%であることがより好ましい。干渉雲母粒子の含有量が1質量%未満の場合は、膜材料の遮熱性が不十分になり、粗粒酸化チタンと組合せても、10%以下の日射熱取得率が得られないことがある。また、干渉雲母粒子の含有量が5質量%を越える場合は、膜材料の表面色及び透光色が虹彩色となり、ギラツキやイラツキが発生し、この膜材料により囲われた空間は、透光性はあるが、快適な明るさが得られないことがある。
【0022】
本発明の遮熱性膜材料において、その経時的な汚れの付着による遮熱効果及び、透光性の低下を防止し、且つ美観を維持するために、前記赤外線反射樹脂層の上に少なくとも1層の防汚層を設けることができる。前記防汚層は遮熱性膜材料の遮熱性及び透光性を損なわず、極度の隠蔽性を伴わないものである限り、その形成方法及び素材に特に限定はない。このような防汚層は、例えば、溶剤に可溶化されたアクリル系樹脂もしくはフッ素系樹脂の少なくとも1種以上からなる樹脂溶液を塗布して形成した塗膜、これらにシリカ微粒子、またはコロイダルシリカを含む塗膜、オルガノシリケート及び/又はその縮合体を含む塗布剤を塗布して形成された親水性被膜層、光触媒性無機材料(例えば光触媒性酸化チタン)と結着剤とを含む塗布剤を塗布して形成された光触媒層、少なくとも最外表面がフッ素系樹脂により形成されたフィルムを接着剤もしくは熱溶融加工により積層したフィルム層等から適宜選択することができる。
【0023】
本発明の遮熱性膜材料は、繊維材料より形成された基布と、その少なくとも1面上に形成された熱可塑性樹脂被覆層とを有する可撓性膜材であって、その形態は、ターポリン、帆布等の防水性膜材、またはメッシュシートであることが好ましい。これらのうち、帆布及びメッシュシートを製造するには、有機溶剤に可溶化した熱可塑性樹脂、水中で乳化重合された熱可塑性樹脂エマルジョン(ラテックス)、あるいは熱可塑性樹脂を水中に強制分散させ安定化したディスパージョン樹脂などの水分散樹脂、軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾル、等を用いるディッピング加工(繊維布帛への両面加工)、及びコーティング加工(繊維布帛への片面加工、または両面加工)等を用いることができる。ターポリンはカレンダー成形法、またはTダイス押出法により成形されたフィルム又はシートを、繊維基布の片面または両面に接着層を介在して積層する方法、あるいは繊維布帛の両面に目抜け空隙部を介して熱ラミネート積層する方法により製造することが好ましく、さらにディッピング加工、またはコーティング加工と、フィルム積層の組み合わせ方法によっても製造可能である。
【実施例】
【0024】
本発明を下記実施例、および比較例により更に説明する。
下記実施例において、初期および屋外曝露1年後の可視光透過率、日射熱取得率評価に用いた試験方法は下記の通りである。
(1)可視光透過率
膜材料の可視光透過率を、分光測色計CM−3600d(コニカミノルタ(株)製)を使用し、JIS Z8722に従って測定した。
(2)日射熱取得率
膜材料の日射熱取得率は、分光光度計V−670型(日本分光(株)製)を使用し、日射透過率、日射吸収率を測定し、JIS R3106に準拠し式(1)に従って算出した。
日射熱取得率:η=a+b(1/αti)/(1/αti+1/αto) …(1)
αto : 屋外側表面の総合熱伝達率(常用値25W/m2K)
αti : 室内側表面の総合熱伝達率(常用値9W/m2K)
a : 日射透過率
b : 日射吸収率
(3)屋外曝露試験
屋外曝露台上に、試験膜材の表面を上にして南向きに傾斜角30度に設置して屋外曝露試験(1年間)を行った。
【0025】
実施例1
(1)シート基体の作製(下塗り層及び塩化ビニル系赤外線反射樹脂層の形成)
(A)下塗り層の形成
基布として、下記組織のポリエステルフィラメント平織物を用いた。
(1000d×1000d)/(22本/2.54cm×25本/2.54cm)
質量:215g/m2
この基布を、ペースト塩化ビニル樹脂を含む下記配合1の樹脂組成物の溶剤希釈液中に浸漬して、基布に樹脂液を含浸し、絞り、150℃で1分間乾燥後、185℃で1分間熱処理し、基布に対し、樹脂を145g/m2付着させて、下塗り層を形成した。
<配合1>下塗り層
ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(可塑剤) 70質量部
エポキシ化大豆油 4質量部
炭酸カルシウム 10質量部
Ba−Zn系安定剤 2質量部
トルエン(溶剤) 20質量部
(B)塩化ビニル系赤外線反射樹脂層の形成
次に、ストレート塩化ビニル樹脂を含む、下記配合2の樹脂組成物からなる、おもて面用の赤外線反射樹脂フィルム(0.16mm厚)と、下記配合3の樹脂組成物からなるうら面用の樹脂フィルム(0.16mm厚)とを、カレンダーで作成し、それぞれ前記下塗り層含浸基布のおもて面及びうら面上に貼着して、おもて面及びうら面にそれぞれに200g/m2の赤外線反射樹脂層及び樹脂層を形成し、合計重量760g/m2の遮熱性膜材料を作製した。
<配合2>塩化ビニル系赤外線反射樹脂層(おもて面用)
軟質塩化ビニル樹脂 90質量%
ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(可塑剤) 55質量部
エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(防炎剤) 6質量部
Ba−Zn系安定剤 2質量部
質量平均粒子径0.8〜1.2μmの粗粒酸化チタン 8質量%
(酸化アルミニウムによる表面被覆率:2.4質量%)
干渉雲母粒子 2質量%
(粒子径:25〜65μm、TiO2/SiO2/TiO2による複層構造を有する薄 膜による被覆率:45質量%)
<配合3>塩化ビニル系樹脂フィルム(うら面)
ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(可塑剤) 55質量部
エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(防炎剤) 6質量部
Ba−Zn系安定剤 2質量部
この遮熱性膜材料を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0026】
実施例2
実施例1と同様にして遮熱性膜材料を作製した。但し、赤外線反射樹脂層の上に次のように防汚層を形成した。
実施例1で作製した膜材料の、おもて面側赤外線反射樹脂層の上に、アクリル樹脂として下記配合4の樹脂組成物の溶剤希釈液を、グラビヤコーターを用いて、塗布量が25g/m2になるように塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却し、5g/m2の防汚層を形成した。
<配合4>アクリル樹脂防汚層
商標:アクリプレン ペレットHBS001(三菱レイヨン(株)製) 20質量部
トルエン−MEK(50/50重量比)(溶剤) 80質量部
得られた遮熱性膜材料を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0027】
実施例3
実施例1と同様にして遮熱性膜材料を作製した。但し、おもて面側塩化ビニル系赤外線反射樹脂層の組成を下記配合5の樹脂組成に変更し、更にこのおもて面側赤外線反射樹脂層の上に、接着保護層を介して光触媒防汚層を形成した。
<配合5>塩化ビニル系赤外線反射樹脂層(おもて面用)
軟質塩化ビニル樹脂 84質量%
ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(可塑剤) 55質量部
エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン 6質量部
Ba−Zn系安定剤 2質量部
質量平均粒子径0.8〜1.2μmの粗粒酸化チタン 12質量%
(酸化アルミニウムによる表面被覆率:2.4質量%)
干渉雲母粒子 4質量%
(粒子径:25〜65μm、TiO2/SiO2/TiO2による複数構造を有する薄 膜被覆率:45質量%)
前記おもて面側赤外線反射樹脂層の上に、光触媒防汚層を形成するために下記配合6,7の接着保護層用、及び光触媒防汚層用樹脂組成物の溶剤希釈液を、それぞれ、グラビヤコーターを用いて、塗布量が15g/m2になるように塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却し、1.5g/m2の接着保護層および光触媒防汚層を形成し、遮熱性膜材料を作製した。
<配合6>光触媒防汚層の接着保護層
シリコン含有量3mol%のアクリルシリコン樹脂を8重量%(固形分)
の含有量で含有するエタノール−酢酸エチル(50/50重量比)
溶液 100質量部
ポリシロキサンとしてメチルシリケートMS51(コルコート(株))
の20%エタノール溶液 8質量部
シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン 1質量部
<配合7>光触媒防汚層
酸化チタン含有量10重量%に相当する硝酸酸性酸化チタンゾルを
分散させた水−エタノール(50/50重量比)溶液 50質量部
酸化珪素含有量10重量%に相当する硝酸酸性シリカゾルを
分散させた水−エタノール(50/50重量比)溶液 50質量部
得られた遮熱性膜材料を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0028】
実施例4
(1)シート基体の作製(下塗り層及び赤外線反射樹脂層の形成)
(A)下塗り層の形成
基布として、下記組織のポリエステルフィラメント平織物を用いた。
(1000d×1000d)/(22本/2.54cm×25本/2.54cm)
質量:215g/m2
この基布を、ポリウレタン系樹脂を含む下記配合8の樹脂組成物の溶剤希釈液中に浸漬して、基布に樹脂液を含浸し、絞り、150℃で1分間乾燥後、185℃で1分間熱処理し、基布に対し樹脂を145g/m2付着させて、下塗り層を形成した。
<配合8>ポリウレタン系樹脂下塗り層
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂ディスパージョン 100質量部
(商標:レザミンD−9075E:固形分濃度38質量%:大日精化工業(株))
環式ホスホン酸エステル化合物 5質量部
(商品名:K−19A:明成化学工業(株))
メラミン被覆ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000) 10質量部
(商標:エクソリットAP462:クラリアントジャパン(株))
メラミンシアヌレート(商標:MC640:日産化学(株)) 10質量部
カルボジイミド化合物(硬化剤) 5質量部
(商標:カルボジライトV−02:有効成分40質量%:日清紡績(株))
パラフィン系撥水剤(吸水防止剤) 10質量部
(商標:TH−44、日華化学(株))
(B)オレフィン系赤外線反射樹脂層の形成
次に、オレフィン系樹脂を含む、下記配合9の樹脂組成物からなるおもて面用赤外線反射樹脂フィルム(0.16mm厚)と、下記配合10の樹脂組成物からなるうら面用樹脂フィルム(0.16mm厚)とをカレンダーで作成し、それぞれ前記下塗り層含浸基布のおもて面及びうら面に貼着して、おもて面及びうら面のそれぞれに200g/m2の赤外線反射樹脂層及び樹脂層を形成し、合計重量760g/m2の遮熱性膜材料を作製した。
<配合9>オレフィン系赤外線反射樹脂層(おもて面)
オレフィン系樹脂 84質量%
ポリプロピレン樹脂 50質量部
(商標:キャタロイKS−353P:サンアロマー(株))
スチレン系共重合体樹脂 25質量部
(商標:ハイブラー7125(HVS−3):(株)クラレ)
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 25質量部
(商標:エバスレン410P:大日本インキ化学工業(株))
塩基性ヒンダードアミン化合物 1質量部
熱劣化防止剤 0.2質量部
メラミン被覆ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000)
20質量部
メラミンシアヌレート 20質量部
質量平均粒子径0.8〜1.2μmの粗粒酸化チタン 12質量%
(酸化アルミニウムによる被覆率:2.4質量%)
干渉雲母粒子 4質量%
(粒子径:25〜65μm、TiO2/SiO2/TiO2による複層構造を有する薄 膜による被覆率:45質量%)
<配合10>オレフィン系樹脂フィルム(うら面)
ポリプロピレン樹脂 50質量部
(商標:キャタロイKS−353P:サンアロマー(株))
スチレン系共重合体樹脂 25質量部
(商標:ハイブラー7125(HVS−3):(株)クラレ)
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 25質量部
(商標:エバスレン410P:大日本インキ化学工業(株))
塩基性ヒンダードアミン化合物 1質量部
熱劣化防止剤 0.2質量部
メラミン被覆ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000)
20質量部
メラミンシアヌレート 20質量部
得られた遮熱性膜材料を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜4で得られた膜材料は、日射熱取得率が10%以下の優れた遮熱性と10〜20%の可視光透過率を示し、まぶしくなく柔らかい快適な明るさを示す膜材料であった。また、さらに実施例2,3は赤外線反射樹脂層の上に防汚層が形成されており、屋外曝露1年後も初期の遮熱性、透光性を維持していた。
【0029】
比較例1
実施例1と同様にして遮熱性膜材料を作製した。但し、実施例1の赤外線反射樹脂層の配合を下記配合11のように変更して、干渉雲母粒子を配合せず粗粒酸化チタンのみを10質量%配合した。
<配合11>塩化ビニル系赤外線反射樹脂層(おもて面)
軟質塩化ビニル樹脂 90質量%
ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(可塑剤) 55質量部
エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(防炎剤) 6質量部
Ba−Zn系安定剤 2質量部
質量平均粒子径0.8〜1.2μmの粗粒酸化チタン 10質量%
(酸化アルミニウムによる被覆率:2.4質量%)
得られた膜材料を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
表1に示されているように、比較例1の膜材料は、実施例1で得られた膜材料に比べ、可視光透過率は同レベルであるが、日射熱取得率は10%を越え遮熱性が劣り、優れた遮熱性と快適な明るさを両立できない膜材料であった。
【0030】
比較例2
実施例1と同様にして遮熱性膜材料を作製した。但し、実施例1の赤外線反射樹脂層の配合を下記配合12のように変更して、干渉雲母粒子を配合せず粗粒酸化チタンのみを15質量%配合した。
<配合12>塩化ビニル系赤外線反射樹脂層(おもて面)
軟質塩化ビニル樹脂 85質量%
ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(可塑剤) 55質量部
エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(防炎剤) 6質量部
Ba−Zn系安定剤 2質量部
質量平均粒子径0.8〜1.2μmの粗粒酸化チタン 15質量%
(酸化アルミニウム被覆率:2.4質量%)
得られた膜材料を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較例2の膜材料は、実施例1で得られた膜材料に比べ、可視光透過率は低く、日射熱取得率も10%を越え遮熱性が劣り、遮熱性と快適な明るさを両立できない膜材料であった。
【0031】
比較例3
実施例1と同様にして遮熱性膜材料を作製した。但し、実施例1の赤外線反射樹脂層の配合を下記配合13のように変更して、干渉雲母粒子を配合せず粗粒酸化チタンのみを20質量%配合した。
<配合13>塩化ビニル系赤外線反射樹脂層(おもて面)
軟質塩化ビニル樹脂 80質量%
ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(可塑剤) 55質量部
エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(防炎剤) 6質量部
Ba−Zn系安定剤 2質量部
質量平均粒子径0.8〜1.2μmの粗粒酸化チタン 20質量%
(酸化アルミニウムによる被覆率:2.4質量%)
得られた膜材料を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較例3の膜材料は、実施例1で得られた膜材料に比べ、日射熱取得率は同レベルであるが、赤外線反射樹脂層の隠蔽性が強く、可視光透過率は10%未満で低く、遮熱性と快適な明るさを両立できない膜材料であった。
比較例1〜3に示すように、赤外線反射樹脂層に、干渉雲母粒子を配合せず粗粒酸化チタンのみを単独で使用した場合は、含有部数を増やせば遮熱性は向上するが、同時に透光性も低下するため、優れた遮熱性と快適な明るさを両立できなかった。
【0032】
比較例4
実施例1と同様にして遮熱性膜材料を作製した。但し、実施例1の赤外線反射樹脂層の配合を下記配合14のように変更して、粗粒酸化チタンを配合せず干渉雲母粒子のみを3質量%配合した。
<配合14>塩化ビニル系赤外線反射樹脂層(おもて面)
軟質塩化ビニル樹脂 97質量%
ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(可塑剤) 55質量部
エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(防炎剤) 6質量部
Ba−Zn系安定剤 2質量部
干渉雲母粒子 3質量%
(粒子径:25〜65μm、TiO2/SiO2/TiO2による複層構造を有する薄 膜による被覆率:45質量%)
得られた膜材料を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較例4の膜材料は、実施例1で得られた膜材料に比べ、可視光透過率は20%を超え、まぶしく、また、日射熱取得率も20%と高く遮熱性は劣り、遮熱性と快適な明るさを共に両立できない膜材料であった。
【0033】
比較例5
実施例1と同様にして遮熱性膜材料を作製した。但し、実施例1の赤外線反射樹脂層の配合を下記配合15のように変更して、粗粒酸化チタンを配合せず干渉雲母粒子のみを10質量%配合した。
<配合15>赤外線反射樹脂層
軟質塩化ビニル樹脂 90質量%
ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(可塑剤) 55質量部
エポキシ化大豆油 4質量部
三酸化アンチモン(防炎剤) 6質量部
Ba−Zn系安定剤 2質量部
干渉雲母粒子 10質量%
(粒子径:25〜65μm、TiO2/SiO2/TiO2による複層構造を有する薄 膜による被覆率:45質量%)
得られたこの膜材料を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較例5の膜材料は、実施例1で得られた膜材料に比べ、可視光透過率は同レベルであるが、膜材料表面色や透過色が虹彩色をおびて快適な明るさを示さなかった。また、日射熱取得率は10%を大きく越え遮熱性が劣り、優れた遮熱性と快適な明るさを両立できない膜材料であった。
比較例4,5に示すように、赤外線反射樹脂層に、粗粒酸化チタンを配合せず干渉雲母粒子のみを単独で使用した場合は、含有部数を増やしても透光性の低下は少ないが、一方、遮熱性のレベルは低く、優れた遮熱性と快適な明るさを両立できなかった。
【0034】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の遮熱性膜材料は、従来両立が困難とされていて優れた遮熱性と快適な明るさとの両方を併せ持ち、特にテント倉庫、中・大型テントや、トラック幌、日除けテント等の膜構造物の形成に使用することにより、遮熱性があり且つ心地よい明るさのある快適な空間を提供することが可能となり、また、夏場の作業環境を改善し、照明、冷房などに費やすエネルギーを削減する事が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料より形成された基布と、その少なくとも1面に形成された赤外線反射樹脂層とからなり、かつ10〜20%の可視光透過率(JIS Z8722)を有する膜材料であって、前記赤外線反射樹脂層が、重量平均粒子径0.6〜1.5μmの粗粒酸化チタンと、干渉雲母粒子とを含む熱可塑性樹脂により構成されていることを特徴とする遮熱性膜材料。
【請求項2】
前記赤外線反射樹脂層が、前記赤外線反射樹脂層の質量に対して、5〜15質量%の前記粗粒酸化チタンと、1〜5質量%の前記干渉雲母粒子とを含む、請求項1に記載の遮熱性膜材料。
【請求項3】
前記干渉雲母粒子が、酸化チタン薄膜、又は、酸化チタン/酸化ケイ素/酸化チタンによる複層構造を有する薄膜により被覆されている、請求項1又は2に記載の遮熱性膜材料。
【請求項4】
前記赤外線反射樹脂層の上に防汚層がさらに形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遮熱性膜材料。
【請求項5】
10%以下の日射熱取得率(JIS R3106)を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の遮熱性膜材料。

【公開番号】特開2009−279814(P2009−279814A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133408(P2008−133408)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000239862)平岡織染株式会社 (81)
【Fターム(参考)】