説明

遮熱性被膜形成用塗料組成物及びそれを用いた塗装方法

本発明は、(A)屈折率1.30〜1.60の範囲内の被膜を形成する樹脂成分、及び(B)平均1次粒子径が500〜2,000nmの範囲内で、且つ屈折率が1.80〜3.00の範囲内である白色顔料を含有する遮熱性被膜形成用塗料組成物、並びに該塗料組成物を用いた塗装方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、建築物等の内部温度の上昇を抑制する遮熱性被膜を形成できる塗料組成物及びそれを用いた塗装方法に関する。
【背景技術】
太陽光の照射等による建築物の内部温度の上昇を抑制することは、空調費の節減等のため、必要である。特に、ビル、住宅等の建材として使用されるコンクリート等の無機建材は、高い蓄熱性を有し、建築物内部の温度上昇を促進するので、上記必要性が大きい。
一方、石油用タンク、穀物用タンク等においては、太陽光の照射によってタンク内外の温度差が拡大するので、揮発成分の蒸発、穀物の劣化等が起こるという問題がある。
従って、建築物の外壁及び屋根、タンクの外面等に十分な遮熱効果を付与し得る遮熱性被膜形成用塗料組成物の開発が要望されている。
従来、平均粒子径200〜300nm程度の二酸化チタン顔料を含む塗料組成物により形成される白色塗膜は、下地隠蔽性に優れ、ある程度の遮熱効果を発揮することが知られている。しかし、その遮熱効果は満足すべきものではなかった。また、上記塗料組成物に、更に着色顔料を配合して、塗膜を濃色に着色した場合には、遮熱効果が著しく低下してしまう。
特開平2−185572号は、耐候性に優れた樹脂成分、酸化ジルコニウム等の太陽熱遮蔽顔料及び複合酸化物系着色顔料を含有する太陽熱遮蔽塗料組成物を開示している。該組成物によれば、遮熱性を有し、耐候性に優れる塗膜を形成できるが、濃色系塗膜の場合には、遮熱効果がみられない場合があった。
特開平11−323197号は、セラミック製の中空粒子(セラミックバブル)及びセラミックバブルを緻密積層させる構造保持剤を含有する遮熱性塗料を開示している。この塗料によれば、単層で遮熱効果の高い塗膜を得ることができるが、セラミックバブルの粒子径が5〜150μmと大きいため、塗膜の光沢が低下するという問題があった。
【発明の開示】
本発明の目的は、遮熱効果に優れ、十分な下地隠蔽性及び光沢を有する塗膜を形成できる遮熱性被膜形成用塗料組成物及びそれを用いた塗装方法を提供することにある。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の記載により明らかになるであろう。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した。その結果、平均1次粒子径が500〜2,000nmの範囲内で、且つ屈折率が1.80〜3.00の範囲内である白色顔料が、熱線である赤外線を反射・散乱する作用を有すること、この白色顔料を、屈折率1.30〜1.60の被膜を形成する樹脂成分に配合した塗料組成物によれば、遮熱効果に優れ、且つ十分な下地隠蔽性及び光沢を有する塗膜を形成できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
本発明は、以下の遮熱性被膜形成用塗料組成物及びそれを用いた塗装方法を提供する。
1.(A)屈折率1.30〜1.60の範囲内の被膜を形成する樹脂成分、及び
(B)平均1次粒子径が500〜2,000nmの範囲内で、且つ屈折率が1.80〜3.00の範囲内である白色顔料
を含有する遮熱性被膜形成用塗料組成物。
2.樹脂成分(A)が、架橋型アクリル樹脂又は非架橋型アクリル樹脂を含有する上記項1に記載の塗料組成物。
3.樹脂成分(A)が、カルボニル基含有アクリル共重合体及びヒドラジン誘導体を含有する上記項1に記載の塗料組成物。
4.樹脂成分(A)が、マレイミド基含有アクリル共重合体を含有する上記項1に記載の塗料組成物。
5.樹脂成分(A)が、不飽和脂肪酸変性アクリル樹脂を含有する上記項1に記載の塗料組成物。
6.白色顔料(B)が、二酸化チタン及び/又は酸化亜鉛である上記項1に記載の塗料組成物。
7.白色顔料(B)の配合割合が、樹脂成分(A)100重量部に対して、10〜140重量部である上記項1に記載の塗料組成物。
8.更に、平均1次粒子径が400nm未満の白色顔料(C)を含有する上記項1に記載の塗料組成物。
9.白色顔料(C)が、二酸化チタン及び/又は酸化亜鉛である上記項8に記載の塗料組成物。
10.白色顔料(C)の配合割合が、樹脂成分(A)100重量部に対して、10〜140重量部である上記項8に記載の塗料組成物。
11.白色顔料(B)及び白色顔料(C)の重量比が、10/90〜90/10の範囲内である上記項8に記載の塗料組成物。
12.更に、着色顔料(D)を含有する上記項1に記載の塗料組成物。
13.着色顔料(D)として、補色関係にある複数の有彩色顔料を含有する上記項12に記載の塗料組成物。
14.上記項1に記載の遮熱性被膜形成用塗料組成物である上塗り塗料組成物。
15.更に、着色塗料(D)を含有し、JIS Z 8729に規定されるL表色系に基づく明度(L値)20〜70の塗膜を形成し得る上記項14に記載の上塗り塗料組成物。
16.上記項1に記載の遮熱性被膜形成用塗料組成物である下塗り塗料組成物。
17.JIS Z 8729に規定されるL表色系に基づく明度(L値)70〜98の塗膜を形成し得る上記項16に記載の下塗り塗料組成物。
18.被塗物に、上記項14に記載の上塗り塗料組成物を、単層で塗装する塗装方法。
19.被塗物に、下塗り塗料組成物を塗装後、該塗面上に上記項14に記載の上塗り塗料組成物を塗装する塗装方法。
20.被塗物に、上記項16に記載の下塗り塗料組成物を塗装後、該塗面上に上塗り塗料組成物を塗装する塗装方法。
21.上塗り塗料組成物が、ペリレン系顔料を含有する塗料組成物である上記項20に記載の塗装方法。
【発明の効果】
本発明の遮熱性被膜形成用塗料組成物によれば、樹脂成分(A)の被膜の屈折率、及び白色顔料(B)の平均粒子径及び屈折率を、それぞれ特定範囲内に調整したことにより、以下のような顕著な効果が得られる。
(1)建築物等の各種被塗物上に、遮熱効果に優れ、十分な下地隠蔽性及び光沢を有する塗膜を、単層で又は複層で形成できる。従って、被塗物内部の温度上昇の抑制に貢献できる。
(2)樹脂成分(A)の種類等を選択することにより、形成される塗膜に、耐汚染性、耐候性等の機能を付与することができる。
(3)当該塗料組成物に、着色顔料を含有させて、上塗り塗料として使用することにより、遮熱効果に優れ且つ濃色等の色調のバリエーションが豊富な塗膜を得ることが可能である。従って、建築物等の被塗物の外壁、屋根等に塗装することにより、被塗物内部の温度上昇を抑制できるのに加えて、美粧性に優れた外観とすることができる。
(4)当該塗料組成物から形成される塗膜が特定の明度となるように調整して、下塗り塗料として使用することにより、遮熱効果及び隠蔽性に優れる下塗り塗膜を形成できる。従って、この下塗り塗膜上に塗装される上塗り塗料の塗膜の色調に悪影響を及ぼすことがなく、良好な外観の遮熱効果に優れた複層塗膜を形成できる。このような複層塗膜によれば、例えば、上塗り塗膜が濃彩色の外観であっても、複層塗膜全体として、外観不良を起こすことなく、被塗物の美観を長期的に保持しながら、その内部温度上昇を抑制できる。
遮熱性被膜形成用塗料組成物
本発明の遮熱性被膜形成用塗料組成物は、屈折率が1.30〜1.60の範囲内の被膜を形成する樹脂成分(A)、及び平均1次粒子径が500〜2,000nmの範囲内で且つ屈折率が1.80〜3.00の範囲内の白色顔料(B)を含有する。
本発明塗料組成物においては、上記樹脂成分(A)に、上記白色顔料(B)を組み合わせたことにより、白色顔料(B)の有する赤外線を反射・散乱する作用が、効果的に発揮され、得られる塗膜の遮熱効果が優れることになる。ここで、白色顔料(B)の上記作用は、特に波長780〜2,100nm程度の近赤外線を、効率よく反射・散乱する作用である。
樹脂成分(A)
樹脂成分(A)は、屈折率が1.30〜1.60、好ましくは1.35〜1.58、より好ましくは1.40〜1.55の範囲内の被膜を形成するものである。
樹脂成分(A)の被膜の屈折率が1.60を超えると、白色顔料(B)による赤外線の反射・散乱の効率を低下させるばかりか、塗膜の隠蔽性及び外観が低下することがあるので、好ましくない。
また、白色顔料(B)が赤外線を効率よく反射・散乱させるためには、樹脂成分(A)の被膜の屈折率は、白色顔料(B)の屈折率よりも小さいことが必要である。白色顔料(B)の屈折率から樹脂成分(A)の被膜の屈折率を差し引いた値は、0.20以上、好ましくは0.45〜1.40、より好ましくは0.80〜1.00である。かかる屈折率差が0.20未満では、赤外線が透過する割合が多くなり、好ましくない。
本明細書において、樹脂成分(A)の被膜の屈折率は、樹脂成分(A)の遊離被膜を作成し、これをJIS K 0062に記載のアッベ屈折率計で測定したものである。
樹脂成分(A)としては、該成分により形成される被膜が上記範囲の屈折率となるものであれば、その内容は制限されない。樹脂成分(A)は、水溶性もしくは水分散性樹脂、有機溶剤に可溶性もしくは分散性の樹脂、又は粉体樹脂のいずれであってもよい。また、樹脂成分(A)は、本発明塗料組成物が、主に、建築物等の外面等の屋外での塗装に使用されることから、常温で乾燥できる樹脂であることが望ましい。
また、樹脂成分(A)は、架橋型樹脂及び非架橋型樹脂のいずれであってもよい。
架橋型樹脂は、通常、自己架橋性樹脂を、又は架橋性官能基含有樹脂と架橋剤とを、媒体に溶解又は分散した状態で使用される。媒体としては、水及び/又は有機溶剤を使用する。架橋型樹脂を含有する塗料組成物は、塗装後に、媒体が揮発することによって、架橋反応が起こり、3次元架橋塗膜を形成する。
一方、非架橋型樹脂は、通常、媒体に溶解又は分散した状態で使用される。媒体としては、水及び/又は有機溶剤を使用する。非架橋型樹脂を含有する塗料組成物は、塗装後に、媒体が揮発することによって塗膜を形成する。非架橋型樹脂としては、例えばセルロース誘導体、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等を挙げることができる。
樹脂成分(A)としては、架橋型アクリル樹脂又は非架橋型アクリル樹脂を使用するのが、本発明の組成物から形成される塗膜の光沢が良好である点から、望ましい。
また、樹脂成分(A)としては、カルボニル基含有アクリル共重合体とその架橋剤であるヒドラジン誘導体との組み合わせ、マレイミド基含有アクリル共重合体、不飽和脂肪酸変性アクリル共重合体等の架橋型樹脂が好ましい。カルボニル基含有アクリル共重合体は、単独で非架橋型樹脂として用いても構わない。
樹脂成分(A)であるカルボニル基含有アクリル共重合は、エマルションとして用いることが好ましい。
カルボニル基含有アクリル共重合体エマルションは、例えば一般的な乳化重合法に従い、乳化剤としての界面活性剤の存在下に、カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体及びその他のエチレン性不飽和単量体を共重合することにより容易に製造できる。
カルボニル基含有エチレン性不飽和単量体は、1分子中に、アルデヒド基及びケト基から選ばれる少なくとも1個のカルボニル含有基と重合可能な二重結合とを有する単量体である。該単量体としては、例えば、(メタ)アクロレイン、ホルミルスチロール、炭素数4〜7のビニルアルキルケトン、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。炭素数4〜7のビニルアルキルケトンとしては、例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなどが挙げられる。
その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物;パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらの中で、得られる共重合体の被膜の屈折率及び共重合性の面から好ましい単量体として、スチレン、炭素数が1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
カルボニル基含有アクリル共重合体エマルションに、ヒドラジン誘導体を組み合わせることにより、常温で架橋する樹脂成分とすることができ、耐水性、耐候性等に優れる架橋塗膜が形成できる。
ヒドラジン誘導体としては、ヒドラジド基、セミカルバジド基及びヒドラゾン基から選ばれる少なくとも一種の官能基を1分子あたり2個以上有する化合物を挙げることができる。2個以上の官能基は、同じであっても異なっていてもよい。
ヒドラジド基を1分子あたり2個以上有する化合物としては、例えば、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどの炭素数2〜18の飽和脂肪族ジカルボン酸のジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸のジヒドラジド;フタル酸、テレフタル酸又はイソフタル酸のジヒドラジド;ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジド又はテトラヒドラジド;ニトリロトリ酢酸トリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド;エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジン又はヒドラジン水化物と反応させてなるポリヒドラジドなどが挙げられる。
上記ヒドラジド化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジドなどの飽和脂肪酸ジカルボン酸のジヒドラジドが好適である。
セミカルバジド基を1分子あたり2個以上有する化合物としては、例えば、炭酸ジヒドラジド、ビスセミカルバジド;ジイソシアネート化合物又はこれから誘導されるポリイソシアネート化合物に、N,N−置換ヒドラジン又は上記ヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド;該ポリイソシアネート化合物と親水性基含有活性水素化合物との反応物中のイソシアネート基に上記ジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水性多官能セミカルバジド;該多官能セミカルバジドと水性多官能セミカルバジドとの混合物等が挙げられる。上記ジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。N,N−置換ヒドラジンとしては、N,N−ジメチルヒドラジン等が挙げられる。親水性基含有活性水素化合物としては、ポリエーテルポリオール類、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等が挙げられる。
ヒドラゾン基を1分子あたり2個以上有する化合物としては、例えば、ビスアセチルジヒドラゾンが好適に使用できる。
上記ヒドラジン誘導体は、それぞれ単独で使用することができ、又は2種もしくはそれ以上組み合わせて使用してもよい。ヒドラジン誘導体の使用量は、樹脂成分(A)の被膜の屈折率を、1.30〜1.60の範囲内にするためには、カルボニル基含有アクリル共重合体エマルションの不揮発分に対して0.1〜10.0重量%程度の範囲内がよい。
樹脂成分(A)であるマレイミド基含有アクリル共重合体は、エマルションとして、使用することが好ましい。マレイミド基含有アクリル共重合体エマルションは、マレイミド基が光照射により2量化する性質を有することにより、太陽光の照射下、常温で自己架橋反応が進行するものである。
該エマルションは、例えば一般的な乳化重合法に従い、乳化剤としての界面活性剤の存在下に、マレイミド基含有エチレン性不飽和単量体及びその他のエチレン性不飽和単量体を共重合することにより容易に製造することができる。
マレイミド基含有エチレン性不飽和単量体としては、下記式(1)及び(2)で表される化合物を用いるのが好ましい。

各式中、R及びRは、独立して、水素原子又はメチル基を示す。R及びRは、独立して、炭素数4以下のアルキル基を示す。nは1〜6の整数を示す。
その他のエチレン性不飽和単量体としては、前記カルボニル基含有アクリル共重合体エマルションの製造に用いるその他のエチレン性不飽和単量体として列記したものと同様のものを使用することができる。
樹脂成分(A)として、カルボニル基含有アクリル共重合体エマルション及びマレイミド基含有アクリル共重合体エマルションを併用することもできる。この場合の併用割合は、前者/後者の固形分重量比で3/97〜97/3程度、好ましくは10/90〜90/10程度の範囲である。また、この併用の場合、カルボニル基含有アクリル樹脂に対して、前記ヒドラジン誘導体を組み合わせて使用することもできる。
樹脂成分(A)として、有機溶剤可溶型である不飽和脂肪酸変性アクリル樹脂を、好ましく使用できる。不飽和脂肪酸変性アクリル樹脂は、常温で酸化重合することにより、自己架橋する。また、該樹脂中の不飽和脂肪酸成分により、白色顔料(B)配合により発生することがある塗膜光沢の低下を有効に抑制できる。
上記不飽和脂肪酸変性アクリル樹脂は、例えば、有機溶剤の存在下でエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体およびその他のエチレン性不飽和単量体を共重合させてエポキシ基含有アクリル共重合体を調製し、そのエポキシ基に不飽和脂肪酸を付加反応させることにより得ることができる。
エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体は、1分子中に、少なくとも1個のエポキシ基と重合可能な二重結合とを有する単量体である。該単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
その他のエチレン性不飽和単量体としては、前記カルボニル基含有アクリル共重合体エマルションの製造に用いるその他のエチレン性不飽和単量体として列記したものと同様のものを使用することができる。
不飽和脂肪酸は、形成塗膜を酸化硬化せしめるために導入されるものである。該脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ダイズ油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸等が挙げられる。
また、上記脂肪酸変性アクリル樹脂は、耐候性を向上させる等の目的でシリコン樹脂等で改質してもよい。
また、樹脂成分(A)としては、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂に水酸基を含有させた樹脂を主剤として、これにポリイソシアネートなどの架橋剤を使用直前に混合する2液型の樹脂組成物も使用できる。例えば、水酸基含有アクリル樹脂を含有するベース樹脂(主剤)に、ポリイソシアネート硬化剤を併用するウレタン硬化型2液型塗料を、好ましく使用できる。
樹脂成分(A)は、必要に応じて、耐汚染化剤としてのオルガノシリケート化合物を含有することができる。該化合物により、形成塗膜が、親水性になり、雨水等により表面が洗浄され易くなるため、汚れにくくなるという利点が得られる。
上記オルガノシリケート化合物としては、例えば、下記式(3)で表される直鎖状の縮合物をあげることができる。

式中、Rは、独立して、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。mは1〜100の整数を示す。
炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−オクチル基などのアルキル基;フェニル基などのアリール基等が好ましい。
上記式(3)のオルガノシリケート化合物としては、Rが炭素数1〜4の低級アルキル基であってmが2〜15のものが、より好ましい。
上記オルガノシリケート化合物としては、上記式(3)で表される直鎖状の化合物以外に、分岐状の化合物又は環状の化合物も包含される。
また、樹脂成分(B)が水性である場合においては、上記オルガノシリケート化合物に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール系化合物を反応させて、変性オルガノシリケート化合物として、配合してもよい。
樹脂成分(A)は、顔料を分散させるために用いられる樹脂を含有していてもよい。顔料分散用樹脂としては、公知のアニオン系樹脂、ノニオン系樹脂、カチオン系樹脂を制限なく使用できる。白色顔料(B)の分散性を向上させるため、アニオン系樹脂、特にカルボン酸系樹脂を用いるのが好ましい。また、樹脂成分(A)が水性の場合は、ポリカルボン酸系樹脂を、又有機溶剤型の場合は、水酸基含有カルボン酸エステル系樹脂を、用いるのが好ましい。分散用樹脂の配合量としては、塗料組成物に含まれる全顔料に対して1〜10重量%程度が好適である。
白色顔料(B)
本発明の組成物に用いられる白色顔料(B)は、形成塗膜に遮熱性を付与するものであり、平均1次粒子径が500〜2,000nm、好ましくは550〜1,600nm、より好ましくは600〜1,400nmの範囲内であって、且つ屈折率が1.80〜3.00、好ましくは1.90〜2.80、好ましくは1.95〜2.70の範囲内である。
白色顔料(B)は、上記粒子径及び屈折率を有することにより、塗膜中で波長780〜2,100nm程度の近赤外線を効率的に反射・散乱することができ、遮熱性顔料としての効果を発揮することができる。効果的な白色顔料としては、二酸化チタン及び酸化亜鉛が挙げられ、これらの少なくとも一種を用いるのが好ましい。二酸化チタンを用いるのが特に好ましい。
白色顔料(B)の平均1次粒子径が500nm未満では、可視光を効率よく散乱することはできるが、波長780〜2,100nm程度の赤外線を透過してしまい、形成塗膜の遮熱効果が不十分になる。一方2,000nmを超えると、形成塗膜の隠蔽性及び光沢が低下するので、好ましくない。また、屈折率が1.80未満では、形成塗膜の遮熱効果が十分でなく、又隠蔽性の点からも好ましくない。
ここで、平均1次粒子径とは、個々の独立した顔料粒子の粒子径の平均値である。一般に顔料粒子は凝集して存在しているので、通常の粒子径分布測定装置では粒子の凝集したものと個々の独立した粒子を区別して測定することは困難であるが、電子顕微鏡観察等により、独立した顔料粒子自体の平均粒子径を判定することが可能である。
本明細書において、顔料の「平均1次粒子径」は、電子顕微鏡観察により判定したものである。また、顔料の「屈折率」は、JIS K 0062に記載のアッベ屈折率計で測定した値である。
本発明において、白色顔料(B)としての二酸化チタンの結晶系は、上記した平均粒子径と屈折率の範囲であれば、ルチル型であってもアナターゼ型であってもよい。また、二酸化チタン表面を、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、二酸化珪素等の無機酸化物;アミン、アルコール等の有機化合物などで被覆処理をしてもよい。
本発明においては、十分な遮熱効果を得る点から、形成塗膜の中に含まれる白色顔料(B)の顔料体積濃度(pigment volume concentration;PVC)が、5〜30%程度であるのが好ましく、6〜25%程度であるのがより好ましい。従って、このような顔料体積濃度となるように、樹脂成分(A)に白色顔料(B)を配合する。顔料体積濃度は、塗膜中に含まれる顔料の体積百分率である。顔料体積濃度は、走査型電子顕微鏡により測定した塗膜断面の面積に対するその顔料の占める総面積の割合として算出することができる。
白色顔料(C)
本発明の遮熱性被膜形成用塗料組成物においては、平均1次粒子径が400nm未満、好ましくは200〜300nm程度の白色顔料(C)をさらに含有することが、本発明組成物から形成される塗膜の下地隠蔽性を向上させることができる点から、好ましい。
かかる白色顔料(C)としては、二酸化チタン及び酸化亜鉛が挙げられ、これらの少なくとも一種を用いるのが好ましい。二酸化チタンを用いるのが特に好ましい。
上記二酸化チタン(C)の結晶型は、ルチル型、アナターゼ型のいずれであってもよいが、形成される塗膜の隠蔽性及び耐候性に優れる点から、ルチル型が好ましい。
着色顔料(D)
本発明の遮熱性被膜形成用塗料組成物は、着色顔料(D)をさらに含有することもできる。着色顔料(D)とは、塗膜に所望の色彩を与えるための顔料をいい、通常、無彩色顔料と有彩色顔料に分類することができる。
無彩色顔料としては、白色顔料及び黒色顔料等が挙げられる。白色顔料としては、例えば、鉛白、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトポン、硫化亜鉛、アンチモン白、白色顔料(B)及び白色顔料(C)以外の二酸化チタン又は二酸化亜鉛等が挙げられる。黒色顔料としては、例えば、アゾメチン系顔料、ペリレン系顔料、グラファイト等が挙げられる。
上記黒色顔料の内、ペリレン系顔料は、赤外線を吸収し難く、得られる塗膜の遮熱効果の低下が小さい点から、好ましい。一方、黒色顔料として、カーボンブラックを使用することもできるが、カーボンブラックは赤外線を吸収し易く、得られる塗膜の遮熱効果を大きく低下させるので、好ましくない。
有彩色顔料としては、前記無彩色顔料を除く着色顔料が包含される。例えば、黄色酸化鉄、チタンイエロー、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アゾメチンイエロー、ビスマスバナデート、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー等の黄色顔料;パーマネントオレンジ等の橙色顔料;赤色酸化鉄、ナフトールAS系アゾレッド、アンサンスロン、アンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドン系赤顔料、ジケトピロロピロール、ウォッチングレッド、パーマネントレッド等の赤色顔料;コバルト紫、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料;コバルトブルー、フタロシアニンブルー、スレンブルーなどの青色顔料;フタロシアニングリーンなどの緑色顔料等を挙げることができる。
該着色顔料(D)は、一種単独で使用してもよいし、必要に応じて2種以上を選択し組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、着色顔料(D)として、補色関係にある複数の有彩色顔料を含有せしめることにより、上記白色顔料(B)の存在下においても、濃色の塗膜を形成することができ、幅広い明度の塗膜を得ることができる。
補色関係にある複数の有彩色顔料とは、例えば、マンセルの色相環でお互いほぼ反対の位置にある有彩色の2色の顔料が挙げられる。補色関係にある有彩色の組合せとして、例えば、赤と緑、青と橙色、黄と青紫、紫と黄緑などがあげられる。
遮熱性被膜形成用塗料組成物の配合組成及び調製方法
本発明の遮熱性被膜形成用塗料組成物において、白色顔料(B)の配合割合は、樹脂成分(A)100重量部に対して、10〜140重量部程度が好ましく、15〜120重量部程度がより好ましい。白色顔料(B)の配合量がこの範囲内であれば、形成塗膜中に含まれる白色顔料(B)の顔料体積濃度を5〜30%程度の範囲内とすることができ、十分な遮熱効果を得ることができる。
本発明組成物が、白色顔料(C)を含有する場合、白色顔料(C)の配合割合は、樹脂成分(A)100重量部に対して、10〜140重量部程度が好ましく、15〜120重量部程度がより好ましい。白色顔料(C)の配合量がこの範囲内であれば、十分な下地隠蔽性を有する塗膜が得られる。
また、この場合、白色顔料(B)及び白色顔料(C)の重量比が、10/90〜90/10程度の範囲内であるのが好ましく、20/80〜80/20程度の範囲内であるのがより好ましい。この範囲内で白色顔料(B)及び白色顔料(C)を併用することにより、形成塗膜の遮熱効果と下地隠蔽性とを共に良好にすることができる。
本発明塗料組成物が着色顔料(D)を含有する場合、その含有量は限定されず、塗膜を所望の色彩とするのに必要な量を配合することができる。但し、着色顔料としてカーボンブラックを配合する場合は、得られる塗膜の遮熱効果が大きく低下しないように、樹脂成分(A)100重量部に対して、0.1重量部以下程度の少量に抑えることが望ましい。
本発明の遮熱性被膜形成用塗料組成物は、必要に応じて、体質顔料、防錆顔料、光輝性顔料、表面調整剤、界面活性剤、硬化触媒、分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、凍結防止剤、硬化促進剤、反応遅延剤などの塗料用添加剤を含有することができる。
上記体質顔料としては、例えば、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト等を挙げることができる。
本発明の遮熱性被膜形成用塗料組成物は、以上に述べた各成分を、公知の方法に従って、混合することにより、調製することができる。樹脂成分は、有機溶剤溶液、エマルション等の形態である場合は、そのまま混合することができる。また、顔料成分は、分散用樹脂と混合してペースト状としてから、混合してもよい。また、各成分の混合時に、必要に応じて、有機溶剤、水又はこれらの混合物を、加えてもよい。
本発明の塗料組成物は、固形分含量40〜80重量%程度の液状塗料組成物であるのが好ましい。また、液状塗料組成物は、有機溶剤型及び水性型のいずれであってもよい。
本発明組成物が含有する有機溶剤としては、各成分製造時に用いたものであってもよいし、各成分混合時に追加したものであってもよい。
本発明組成物に使用できる有機溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−オクタン、2,2,2−トリメチルペンタン、イソオクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;ミネラルスピリット、C9芳香族炭化水素含有率95重量%以上の石油系炭化水素混合溶剤、石油エーテル、石油ベンジン、石油ナフサ等の石油系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤;イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶剤等を挙げることができる。
上記有機溶剤は、単独で、又は2種以上を混合して、用いることができる。また、必要に応じて、水と混合して用いることができる。
遮熱性被膜形成用塗料組成物の用途
本発明の遮熱性被膜形成用塗料組成物は、各種建築物等に遮熱性被膜を形成する場合において、単層仕上げ用の上塗り塗料、二層仕上げ用の上塗り塗料又は下塗り塗料として使用することができる。また、三層以上の複層塗膜用の中塗り塗料としても使用できる。
本発明塗料組成物を、上塗り塗料として使用する場合、着色顔料(D)を配合して、JIS Z 8729に規定されるL表色系に基づく明度(L値)20〜70程度、好ましくは22〜68程度の塗膜を形成し得る組成物とすることによって、濃色の外観を有する塗膜を形成できる。
上記L値の範囲の塗膜を得るためには、白色顔料(B)及び着色顔料(D)を、白色顔料(B)/着色顔料(D)の重量比で95/5〜5/95程度、好ましくは90/10〜60/40程度の範囲内にすることが好適である。
上記L値は、塗膜の明度の指標であり、100は純白を、0は純黒を示す。L値は、公知の測色計を用いて、測定できる。
本発明の塗料組成物を、単層仕上げ用の上塗り塗料に使用する場合又は二層仕上げの下塗り塗料に使用する場合は、形成塗膜の破断伸び率が、20℃で80〜500%程度であることが好ましく、100〜400%程度の範囲内であることがより好ましい。破断伸び率がこの範囲内であると、被塗面にワレが発生した場合に、形成塗膜が追随することができ、好適である。
また、本発明塗料組成物を、下塗り塗料として使用する場合、JIS Z 8729に規定されるL表色系に基づく明度(L値)70〜98程度、好ましくは75〜97程度の塗膜を形成し得る組成物とすることにより、該塗膜の上層塗膜の明度等の色調に悪影響を及ぼさないことができる。
上記L値の範囲の塗膜を得るためには、白色顔料(B)及び着色顔料(D)を、白色顔料(B)/着色顔料(D)の重量比で100/0〜90/10程度とすることが好ましく、99/1〜95/5程度の範囲内とすることがより好ましい。
遮熱性被膜形成用塗料組成物を用いた塗装方法
本発明の遮熱性被膜形成用塗料組成物は、以下に示す種々の塗装方法において、好適に使用することができる。
被塗物及び塗装手段
本発明塗料組成物を適用する被塗物としては、遮熱性被膜を形成する必要がある被塗物であれば、限定されない。好ましい被塗物としては、建設構造物が挙げられる。建設構造物の具体例としては、ビル、住宅、工場、倉庫、店舗、学校等の建築物;石油用タンク、穀物用タンク等の貯蔵槽等が挙げられる。
また、被塗物の被塗面としては、建築物の外壁、屋根、タンクの外面等が好ましい。
上記被塗面の材質としては、金属、コンクリート、石膏ボード、スレート、サイディング材、磁器タイル、軽量気泡コンクリート、モルタル、レンガ、石材等の無機基材;木材、プラスチック等の有機基材が挙げられる。金属としては、鉄、亜鉛、鉄−亜鉛合金、アルミニウム等が挙げられる。
また、被塗面には、既に塗膜が設けられていてもよい。このような塗膜としては、アクリル樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系などの塗膜が挙げられる。
上記被塗面には、必要に応じて、公知のシーラー、下地調整剤等の塗膜を設けておいてもよい。
本発明塗料組成物の塗装手段としては、例えば、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、リシンガン、万能ガン、ハケなどの公知の塗装器具を挙げることができる。塗装後は、通常、常温で、乾燥又は乾燥及び架橋させて、乾燥塗膜を得る。但し、加熱等により、強制乾燥することもできる。
乾燥膜厚は、通常、10〜2,000μm程度、好ましくは20〜1,500μm程度の範囲内とすることができる。
本発明塗料組成物を用いる具体的な塗装方法としては、例えば、下記方法I、II及びIIIを挙げることができる。
方法Iは、被塗物に、本発明の上塗り塗料組成物を塗装する単層仕上げ塗装方法である。
上記単層仕上げで塗装する場合には、通常、乾燥膜厚が200〜2,000μm程度、好ましくは300〜1,500μm程度の範囲内となるように塗装することが好適である。この場合、上記乾燥膜厚の範囲内となるように、同じ塗料組成物を、複数回塗り重ねてもよい。
方法IIは、被塗物に、下塗り塗料組成物を塗装後、該塗面上に本発明の上塗り塗料組成物を塗装する二層仕上げ塗装方法である。
方法IIにおける下塗り塗料組成物としては、建築物の外壁、屋根等に塗装する下塗り塗料として用いられる公知の有機溶剤型塗料組成物及び水性塗料組成物をいずれも使用できる。例えば、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、アルキド樹脂エマルション、脂肪酸変性アクリル樹脂エマルション等の樹脂成分及び顔料を含有する水性塗料組成物が好ましい。
方法IIにおける下塗り塗料組成物の塗装方法としては、本発明塗料組成物の場合と同様の方法を採用できる。
方法IIにおける下塗り塗料組成物は、通常、乾燥膜厚が10〜300μm程度、好ましくは20〜200μm程度の範囲内となるように塗装することが好適である。
また、方法IIにおける本発明の上塗り塗料組成物は、通常、乾燥膜厚が10〜150μm程度、好ましくは30〜100μm程度の範囲内となるように塗装することが好適である。
方法IIIは、被塗物に、本発明の下塗り塗料組成物を塗装後、該塗面上に上塗り塗料組成物を塗装する二層仕上げ塗装方法である。
方法IIIにおける本発明の下塗り塗料組成物は、通常、乾燥膜厚が20〜1,000μm程度、好ましくは40〜800μm程度の範囲内となるように塗装することが好適である。
また、方法IIIにおける上塗り塗料組成物としては、建築物の外壁、屋根等に塗装する上塗り塗料として用いられる公知の有機溶剤型塗料組成物及び水性塗料組成物をいずれも使用できる。例えば、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、脂肪酸変性アクリル樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション等の樹脂成分及び顔料を含有する水性塗料組成物が好ましい。また、建築物の外壁、屋根等を濃色の外観とする場合には、該上塗り塗料組成物が、ペリレン系顔料を含有する塗料組成物であることが、本発明下塗り塗料組成物の塗膜及び該上塗り塗料組成物の塗膜からなる二層塗膜の遮熱効果を低下させない点から、好ましい。
方法IIIにおける上塗り塗料組成物の塗装方法としては、本発明塗料組成物の場合と同様の方法を採用できる。
方法IIIにおける上塗り塗料組成物は、通常、乾燥膜厚が10〜300μm程度、好ましくは20〜200μm程度の範囲内となるように塗装することが好適である。
また、上記方法I〜III以外の塗装方法として、被塗物に、本発明の下塗り塗料組成物を塗装後、該塗面上に本発明の上塗り塗料組成物を塗装する二層仕上げ塗装方法も採用できる。
更に、被塗物に、公知の下塗り塗料組成物を塗装後、本発明の塗料組成物を中塗り塗料組成物として塗装し、更にこの中塗り塗面上に公知の上塗り塗料組成物を塗装する三層仕上げ塗装方法も採用できる。
かくして、本発明塗料組成物を用いて、各種被塗物上に、遮熱効果等に優れた塗膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、塗膜の遮熱効果の試験に使用する温度測定装置の概略を示した断面図である。図1において符号1は光源を、2は試験用の遊離塗膜を、3は発泡スチロール製の箱を、4〜6は熱電対温度計を、それぞれ示す。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより一層具体的に説明する。
各例において、「部」は「重量部」を示す。顔料の平均1次粒子径は、電子顕微鏡(商品名「LUZEX AP」、ニレコ(株)製)を使用して、観察し判定した。また、JIS Z 8729に規定されるL表色系に基づくL値は、測色計(商品名「カラーコンピュータSM−7」、スガ試験機(株)製)を用いて測定した。
顔料ペーストの製造
製造例1
1リットルのステレンス容器に、下記に示す顔料ペースト用の配合成分を入れ、攪拌機にて30分間攪拌し分散して水性顔料ペースト(P−1)を作成した。
上水 100部
エチレングリコール 40部
分散用樹脂(注1) 20部
消泡剤(注2) 20部
増粘剤(注3) 20部
クレー(注4) 100部
二酸化チタン粉末(注5) 120部
二酸化チタン粉末(注6) 120部
上記(注1)〜(注6)は、下記のものを示す。
(注1)分散用樹脂:商品名「ノプコスパース44C」、サンノプコ社製、ポリカルボン酸ナトリウム系樹脂、固形分43重量%。
(注2)消泡剤:商品名「SNデフォーマー364」、サンノプコ社製。
(注3)増粘剤:商品名「フジケミHEC KF100」、フジケミカル社製。
(注4)クレー:商品名「POLYGROSS 90」、J.M.Huber社製、平均粒子径5μm、屈折率1.30。
(注5)二酸化チタン粉末:商品名「TITANNIX JR−605」、テイカ(株)製、屈折率2.72、平均1次粒子径250nm。
(注6)二酸化チタン粉末:商品名「TITANNIX JR−1000」、テイカ(株)製、屈折率2.72、平均1次粒子径1,000nm。
製造例2
製造例1において、二酸化チタン粉末(注5)120部を使用せず、二酸化チタン粉末(注6)の使用量を240部とする以外は、製造例1と同様にして、水性顔料ペースト(P−2)を作成した。
製造例3
製造例1において、二酸化チタン粉末(注6)120部に代えて、酸化亜鉛粉末(注7)120部を用いる以外は、製造例1と同様にして、水性顔料ペースト(P−3)を作成した。
上記(注7)は、下記のものを示す。
(注7)酸化亜鉛粉末:商品名「酸化亜鉛2種」、堺化学工業(株)製、屈折率2.00、平均1次粒子径600nm。
製造例4
製造例1において、二酸化チタン粉末(注6)120部を使用せず、二酸化チタン粉末(注5)の使用量を240部とする以外は、製造例1と同様にして、水性顔料ペースト(P−4)を作成した。
製造例5
1リットルのステレンス容器に、下記に示す配合成分を入れ、攪拌機にて30分間攪拌し分散して、有機溶剤系顔料ペースト(P−5)を作成した。
ミネラルスピリット 100部
分散用樹脂(注8) 40部
消泡剤(注9) 20部
二酸化チタン粉末(注6) 240部
上記(注8)及び(注9)は、下記のものを示す。
(注8)分散用樹脂:商品名「BYK−109」、ビックケミー社製、水酸基含有カルボン酸エステル系樹脂、固形分100重量%。
(注9)消泡剤:商品名「BYK−066」、ビックケミー社製。
製造例6
製造例5において、二酸化チタン粉末(注6)240部に代えて、二酸化チタン粉末(注10)240部を用いる以外は、製造例5と同様にして、有機溶剤系顔料ペースト(P−6)を作成した。
上記(注10)は、下記のものを示す。
(注10)二酸化チタン粉末:商品名「TITANNIX JR−805」、テイカ(株)製、屈折率2.72、平均1次粒子径250nm。
製造例7
製造例5において、二酸化チタン粉末(注6)240部に代えて、二酸化チタン粉末(注5)240部を用いる以外は、製造例5と同様にして、有機溶剤系顔料ペースト(P−7)を作成した。
製造例8
製造例5において、二酸化チタン粉末(注6)240部に代えて、酸化亜鉛粉末(注7)240部を用いる以外は、製造例5と同様にして、有機溶剤系顔料ペースト(P−8)を作成した。
カルボニル基含有アクリル共重合体エマルション(a)の製造
製造例9
フラスコに、脱イオン水36部およびアニオン性界面活性剤(注11)0.36部を入れ、窒素置換後、80℃まで加温し、内液を80℃に維持しながら0.1部の過硫酸アンモニウムを加えた後、下記組成の単量体エマルションを3時間にわたって滴下した。
単量体エマルション組成
脱イオン水 52.4部
ダイアセトンアクリルアミド 10部
アクリル酸 0.5部
スチレン 17.5部
メチルメタクリレート 18部
2−エチルヘキシルアクリレート 18部
n−ブチルアクリレート 36部
アニオン性界面活性剤(注11) 9.6部
過硫酸アンモニウム 0.2部
滴下終了後30分より30分間に渡り、0.1部の過硫酸アンモニウムを1部の脱イオン水に溶かした溶液を滴下し、さらに2時間80℃に保ってエマルション(a)を得た。
上記(注11)は、下記のものを示す。
(注11)アニオン性界面活性剤:商品名「Newcol 707SF」、日本乳化剤(株)製、ポリオキシエチレン鎖を有する硫酸アンモニウム塩、固形分30重量%。
得られた樹脂エマルションをガラス板(150mm×100mm×2mm)にドクターブレードを用いて塗装し、温度23℃、相対湿度50%の条件で2週間、乾燥及び養生した後、塗膜を剥離して、乾燥膜厚約1mmの遊離塗膜を得た。この遊離塗膜の屈折率を、JIS K 0062に記載のアッベ屈折率計を用いて、測定したところ、1.52であった。
マレイミド基含有アクリル共重合体エマルション(b)の製造
製造例10
フラスコ中で、下記式(4)で表されるマレイミド基含有モノマー10部、n−ブチルメタクリレート50部、メチルメタクリレート25部、n−ブチルアクリレート14部およびメタクリル酸1部を混合し、その混合物に脱イオン水100部およびラジカル重合性界面活性剤(商品名「アクアロンHS10」、第一工業製薬(株)製、重合性不飽和基及びオキシエチレン基を有する硫酸アンモニウム塩)0.5部を添加し、回転ホモミキサーを用いて単量体エマルションを作製した。
一方、脱イオン水45部およびラジカル重合性界面活性剤(「アクアロンHS10」)0.5部を入れたフラスコ内部を窒素置換した後、温度80℃まで加温し、内液を温度80℃に維持しながら、そこへ過硫酸アンモニウム1部と上記単量体エマルジョンのうち2重量%分を添加し、添加後15分後から残りの単量体エマルジョンを2時間かけて滴下し、さらにそのまま2時間熟成した。熟成後冷却し、中和剤として10重量%アンモニア水を3部滴下して、樹脂エマルション(b)を得た。
このエマルションから、製造例9と同様にして、遊離塗膜を調製し、その屈折率を測定したところ、1.52であった。

脂肪酸変性アクリル樹脂(c)の製造
製造例11
フラスコ中に、ミネラルスピリット100部を仕込み、窒素ガスを通気しながら、115℃まで撹拌下に昇温した。次に、温度を115℃に保ちながら、スチレン25部、n−ブチルメタクリレート15部、i−ブチルメタクリレート20部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、グリシジルメタクリレート20部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部の混合物を、4時間かけて滴下した。ついで、115℃で2時間熟成した後、140℃に昇温してからアマニ油脂肪酸30部及び反応触媒としてN,N−ジメチルアミノエタノール0.4部を加え、160℃で5時間保持して脂肪酸の付加反応を行った。樹脂酸価をKOH滴定法で追跡し、樹脂酸価が1.0以下になった時点を終点とした。反応終了後、キシレン45部を加えて希釈して不揮発分50重量%の褐色透明で粘調な脂肪酸変性共重合体溶液を得た。次に、100℃まで冷却し、フラスコに水分離器を装備し、シリコン樹脂(シラノール基を有するポリアルキルフェニルシロキサン、商品名「SH−6018」、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)20部、ミネラルスピリット14部、キシレン6部及び反応触媒としてのテトラ−n−ブチルチタネート0.20部を加え、165℃まで昇温し、還流系中で水分離器で水を分離しながら5時間反応させて不揮発分約50重量%の褐色透明で粘調なシリコン含有脂肪酸変性アクリル樹脂(c)を得た。
アクリル共重合体エマルション(d)の製造
製造例12
フラスコに、脱イオン水36部およびアニオン性界面活性剤(注11)0.36部を入れ、窒素置換後、80℃まで加温し、内液を80℃に維持しながら0.1部の過硫酸アンモニウムを加えた後、下記組成の単量体エマルションを3時間にわたって滴下した。
単量体エマルション組成
脱イオン水 52.4部
アクリル酸 0.5部
スチレン 17.5部
メチルメタクリレート 28部
2−エチルヘキシルアクリレート 18部
n−ブチルアクリレート 36部
アニオン性界面活性剤(注11) 9.6部
過硫酸アンモニウム 0.2部
滴下終了後30分より30分間に渡り、0.1部の過硫酸アンモニウムを1部の脱イオン水に溶かした溶液を滴下し、さらに2時間80℃に保ってエマルション(d)を得た。
樹脂エマルション(R−1)の製造
製造例13
2リットルのステンレス容器に、上記エマルション(a)およびエマルション(b)を、固形分重量比がエマルション(a):エマルション(b)=50:5となるように混合したものを550部、上水50部、アジピン酸ジヒドラジド1部を入れ、均一になるように攪拌して、樹脂エマルション(R−1)を得た。
樹脂溶液(R−2)の製造
製造例14
1リットルのステンレス容器に、固形分55重量%のアクリルポリオール樹脂(ガラス転移温度55℃、商品名「アクリディックA−370」、大日本インキ化学工業(株)製)550部、ミネラルスピリット50部を入れ、均一に攪拌して、樹脂溶液(R−2)を得た。
遮熱性塗膜形成用上塗り塗料組成物の製造
【実施例1】
1リットルのステレンス容器に、水性顔料ペースト(P−1)270部を入れ、さらに、樹脂エマルション(R−1)600部、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール モノイソブチレート60部を攪拌しながら入れ、アンモニア水でpH7〜9に調整して、水性塗料組成物を得た。
この塗料組成物において、樹脂成分100重量部に対する平均1次粒子径250nmの二酸化チタン粉末の配合割合は20部で、平均1次粒子径1,000nmの二酸化チタン粉末の配合割合は20部であった。
ここで、塗料組成物中の樹脂成分は、樹脂エマルション(R−1)の樹脂固形分と水性顔料ペースト(P−1)中の樹脂固形分との合計量である。
【実施例2】
実施例1において、水性顔料ペースト(P−1)に代えて、水性顔料ペースト(P−2)を同量配合する以外は、実施例1と同様にして、水性塗料組成物を得た。
この塗料組成物において、樹脂成分100重量部に対する平均1次粒子径1,000nmの二酸化チタン粉末の配合割合は40部であった。
ここで、塗料組成物中の樹脂成分は、樹脂エマルション(R−1)の樹脂固形分と水性顔料ペースト(P−2)中の樹脂固形分との合計量である。
【実施例3】
実施例1において、樹脂エマルション(R−1)に代えて、アクリル共重合体エマルション(d)を固形分で同量となるように配合する以外は、実施例1と同様にして、水性塗料組成物を得た。
この塗料組成物において、樹脂成分100重量部に対する平均1次粒子径250nmの二酸化チタン粉末の配合割合は20部で、平均1次粒子径1,000nmの二酸化チタン粉末の配合割合は20部であった。
【実施例4】
下記の方法により、ベース樹脂と硬化剤からなる二液ウレタン硬化型有機溶剤型塗料組成物を調製した。
1リットルのステレンス容器に、有機溶剤系顔料ペースト(P−5)280部を入れ、さらに、製造例13で得た樹脂溶液(R−2)600部を攪拌しながら入れ、アクリルポリオール樹脂を含有するベース樹脂溶液を得た。
別に、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「デュラネートTSS−100」、旭化成(株)製)50部とエチルシリケートの低縮合物(商品名「ES−48」、コルコート社製)10部を混合して、硬化剤を得た。塗料として使用する際には、上記ベース樹脂溶液の固形分100部に対して該硬化剤を20部配合する。
この塗料における樹脂成分100重量部に対する平均1次粒子径1,000nmの二酸化チタン粉末の配合割合は50部であった。
【実施例5】
1リットルのステレンス容器に、有機溶剤系顔料ペースト(P−5)280部を入れ、さらに、製造例11で得た脂肪酸変性アクリル樹脂(c)600部を混合し、攪拌して、常温架橋型の有機溶剤型塗料組成物を得た。
この塗料における樹脂成分100重量部に対する平均1次粒子径1,000nmの二酸化チタン粉末の配合割合は50部であった。
濃色上塗り塗料組成物の製造
【実施例6】
1リットルのステレンス容器に、下記に示す配合成分を入れ、攪拌機にて30分間攪拌し、分散した後に、アンモニア水でpH7〜9に調整して、水性カラー塗料組成物(チョコレート色)を調製した。
上水 100部
エチレングリコール 20部
顔料分散用樹脂(注1) 10部
消泡剤(注2) 10部
増粘剤(注3) 10部
クレー(注4) 50部
赤色顔料ペースト(注12) 80部
緑色顔料ペースト(注13) 20部
二酸化チタン顔料(注6) 60部
製造例9で得た樹脂エマルション(a) 500部
製造例10で得た樹脂エマルション(b) 50部
2,2,4−トリメチル−1,3−ペン
タンジオール モノイソブチレート 60部
上記(注12)及び(注13)は、下記のものを示す。
(注12)赤色顔料ペースト:商品名「NS BROWN C522」、山陽色素社製、顔料;赤色酸化鉄(含有量50重量%)。
(注13)緑色顔料ペースト:商品名「NS GREEN 4711」、山陽色素社製、顔料;フタロシアニングリーン(含有量30重量%)。
【実施例7】
実施例1において、水性顔料ペースト(P−1)に代えて、水性顔料ペースト(P−3)を同量配合する以外は、実施例1と同様にして、水性塗料組成物を得た。
比較例1
実施例1において、水性顔料ペースト(P−1)に代えて、水性顔料ペースト(P−4)を同量配合する以外は、実施例1と同様にして、水性塗料組成物を得た。
比較例2
実施例4において、有機溶剤系顔料ペースト(P−5)に代えて、有機溶剤系顔料ペースト(P−6)を同量配合する以外は、実施例4と同様にして、アクリルポリオール樹脂を含有するベース樹脂溶液を得た。このベース樹脂溶液と、実施例4に記載の硬化剤とからなる二液ウレタン硬化型有機溶剤型塗料組成物を得た。
比較例3
実施例5において、有機溶剤系顔料ペースト(P−5)に代えて、有機溶剤系顔料ペースト(P−7)を同量配合する以外は、実施例5と同様にして、常温架橋型の有機溶剤型塗料組成物を得た。
比較例4
1リットルのステレンス容器に、有機溶剤系顔料ペースト(P−8)280部を入れ、さらに、塩化ビニル系樹脂(商品名「45%カネビラックLE−Y」、鐘淵化学社製、被膜の屈折率1.75)600部を混合し、攪拌して、常温乾燥型の有機溶剤型塗料組成物を得た。
上記実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた各塗料組成物について、樹脂被膜の屈折率、その塗膜の顔料体積濃度及び破断伸び率を、下記試験方法に従って測定した。
樹脂被膜の屈折率
各塗料組成物から顔料成分を除いた組成の樹脂組成物を作成し、これをガラス板(150mm×100mm×2mm)にドクターブレードを用いて塗装し、温度23℃、相対湿度50%の条件で2週間、乾燥及び養生した後、塗膜を剥離して、乾燥膜厚約1mmの遊離塗膜を得た。この遊離塗膜の屈折率を、JIS K 0062に記載のアッベ屈折率計を用いて、測定した。
顔料体積濃度(PVC)
各塗料組成物をガラス板(150mm×100mm×2mm)にドクターブレードを用いて塗装し、温度23℃、相対湿度50%の条件で2週間、乾燥及び養生した後、塗膜を剥離して、乾燥膜厚約1mmの遊離塗膜を得た。この遊離塗膜の断面写真を走査型電子顕微鏡(商品名「JSM−5310LV」、日本電子社製)にて撮影して、SEM写真を得た。塗膜断面のSEM写真において、樹脂成分に基づく連続相と顔料成分に基づく分散相とが観察された。該遊離塗膜を波長型EPMA(商品名「JXA−8100」、日本電子社製)にて解析して、SEM写真で観察される分散相のうち、二酸化チタン及び酸化亜鉛に起因する分散相を特定した。特定された二酸化チタンに起因する分散相について、SEM写真における拡大倍率から長径と短径を換算し、これらの平均が500〜2,000nmの分散相を平均1次粒子径が1,000nmの二酸化チタンとし、400nm未満の分散相を平均1次粒子径が250nmの二酸化チタンとした。また、特定された酸化亜鉛に起因する分散相について、長径と短径の平均が500〜2,000nmの分散相を平均1次粒子径が600nmの酸化亜鉛とした。
該SEM写真に観察された分散相のうち、各白色顔料に起因する分散相を上記基準で夫々特定し、塗膜断面積に対するその分散相の面積の合計の割合を算出することにより顔料体積濃度(%)を算出した。
破断伸び率(%)
各塗料組成物を離型紙(200mm×200mm)にドクターブレードを用いて塗装し、温度23℃、相対湿度50%の条件で2週間、乾燥及び養生した後、塗膜を剥離して、乾燥膜厚約1mmの遊離塗膜を得た。この遊離塗膜の破断伸び率を、引張試験機(商品名「オートグラフAG2000B型」、島津製作所(株)製)を用い、20℃の温度で、引張速度200mm/分の条件で測定した。
上記試験結果を、表1に示す。

表1において、JR−605、JR−1000及びJR−805は、平均1次粒子径250nmの二酸化チタン粉末「TITANNIX JR−605」(商品名、テイカ(株)製)、平均1次粒子径1,000nmの二酸化チタン粉末「TITANNIX JR−1000」(商品名、テイカ(株)製)及び平均1次粒子径250nmの二酸化チタン粉末「TITANNIX JR−805」(商品名、テイカ(株)製)を、それぞれ示す。また、酸化亜鉛は、平均1次粒子径600nmの酸化亜鉛粉末(商品名「酸化亜鉛2種」、堺化学工業(株)製)を示す。
実施例8〜14および比較例5〜8
スレート板(70mm×150mm×5mm)に、実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた各塗料組成物を、乾燥膜厚が1,000μmとなるようにドクターブレードを用いて塗装し、23℃(相対湿度50%)にて14日間乾燥させて、試験塗板を得た。
また、スレート板に代えて、ガラス板(150mm×100mm×2mm)を用いた他は同様に、塗装及び乾燥し、次いで乾燥塗膜を剥離して遊離塗膜を得た。
上記で得られた各試験塗板について、光沢、下地隠蔽性及びL値を調べた。また、上記で得られた各遊離塗膜について、遮熱効果を調べた。各試験方法は、以下の通りである。
光沢
各試験塗板の鏡面光沢度(60°グロス)を測定した。大きいほど光沢が高いことを意味する。
下地隠蔽性
各試験塗板を目視で観察し、次の基準で評価した。Aは下地が観察できず隠蔽性が良好であることを、Bは下地が観察でき、隠蔽性が不良であることを、それぞれ示す。

各試験塗板の塗膜について、測色計(商品名「カラーコンピュータSM−7」、スガ試験機(株)製)を用いてJIS Z 8729に規定されるL表色系に基づくL値を測定した。
遮熱効果
上記遊離塗膜の遮熱効果を、図1に示した温度測定装置を用いて、調べた。図1は、該装置の概略を示した断面図である。図1において符号1は光源を、2は試験用の遊離塗膜を、3は発泡スチロール製の箱を、4〜6は温度センサーとして用いられる熱電対温度計を、それぞれ示す。
光源1としては、赤外線を含む光を発する白熱電球(商品名「レフランプ」、100W、東芝(株)製)を用いた。乾燥膜厚1,000μmの遊離塗膜(50mm×70mm)を、箱3の上面に設けられた遊離塗膜と同じ大きさの穴に、設置した。光源1と遊離塗膜2の距離は15cmとした。熱電対温度計を、遊離塗膜2の表面と裏面及び箱3の内部に夫々設置した。
光源1の電源を入れ、遊離塗膜表面に赤外線を含む光を照射しながら、塗膜の表面、裏面及び箱内部の各温度を測定し、各温度が一定値に収束したときの各温度を調べた。箱内部温度が低いほど、遮熱効果が高いことを意味する。
上記試験結果を、表2に示す。

実施例15および比較例9
スレート板(70mm×150mm×5mm)に、アクリル樹脂エマルション系下塗り塗料組成物(商品名「アレスホルダーGII」、関西ペイント(株)製、顔料体積濃度62%、20℃での破断伸び率120%)を、乾燥膜厚が1mmとなるようにドクターブレードを用いて塗装し、室温(23℃)で16時間乾燥させた後、該塗面上に実施例1又は比較例1で得られた塗料組成物を乾燥膜厚が50μmとなるようにドクターブレードを用いて塗装し、室温(23℃)で14日間乾燥させ、試験塗板とした。
【実施例16〜17】
スレート板(70mm×150mm×5mm)に、実施例2で得られた塗料組成物を、乾燥膜厚が150μmとなるようにドクターブレードを用いて塗装し、室温(23℃)で16時間乾燥させた。次いで、該塗面上に実施例1又は比較例1で得られた塗料組成物を、乾燥膜厚が50μmとなるように塗装し、室温(23℃)で14日間乾燥させ、試験塗板とした。
上記実施例15〜17及び比較例9で得られた各試験塗板について、前記方法により、光沢、下地隠蔽性及びL値を調べた。また、スレート板に代えてガラス板を用いて得られた各遊離塗膜について、前記方法により遮熱効果を調べた。
上記試験結果を、表3に示す。

表3において、ホルダーGIIは、アクリル樹脂エマルション系下塗り塗料組成物(商品名「アレスホルダーGII」、関西ペイント(株)製)を示す。
顔料ペーストの製造
製造例15
1リットルのステレンス容器に、下記に示す顔料ペースト用の配合成分を入れ、攪拌機にて30分間攪拌し分散して水性顔料ペースト(P−9)を作成した。
上水 100部
エチレングリコール 40部
分散用樹脂(注1) 20部
消泡剤(注2) 20部
増粘剤(注3) 20部
二酸化チタン粉末(注5) 120部
二酸化チタン粉末(注6) 120部
製造例16
1リットルのステレンス容器に、下記に示す顔料ペースト用の配合成分を入れ、攪拌機にて30分間攪拌し分散して水性顔料ペースト(P−10)を作成した。
上水 100部
エチレングリコール 40部
分散用樹脂(注1) 20部
消泡剤(注2) 20部
増粘剤(注3) 20部
二酸化チタン粉末(注5) 110部
二酸化チタン粉末(注6) 110部
赤色顔料ペースト(注12) 10部
緑色顔料ペースト(注13) 10部
製造例17
1リットルのステレンス容器に、下記に示す顔料ペースト用の配合成分を入れ、攪拌機にて30分間攪拌し分散して水性顔料ペースト(P−11)を作成した。
上水 100部
エチレングリコール 40部
消泡剤(注2) 20部
増粘剤(注3) 20部
赤色顔料ペースト(注12) 40部
緑色顔料ペースト(注13) 40部
製造例18
1リットルのステレンス容器に、下記に示す顔料ペースト用の配合成分を入れ、攪拌機にて30分間攪拌し分散して水性顔料ペースト(P−12)を作成した。
上水 100部
エチレングリコール 40部
分散用樹脂(注1) 20部
消泡剤(注2) 20部
増粘剤(注3) 20部
二酸化チタン粉末(注5) 120部
二酸化チタン粉末(注6) 120部
ペリレン系黒色顔料(注14) 5部
上記(注14)は、下記のものを示す。
(注14)ペリレン系黒色顔料:商品名「PALIOGEN BLACK S 0084」、BASF社製。
製造例19
1リットルのステレンス容器に、下記に示す顔料ペースト用の配合成分を入れ、攪拌機にて30分間攪拌し分散して水性顔料ペースト(P−13)を作成した。
上水 100部
エチレングリコール 40部
消泡剤(注2) 20部
増粘剤(注3) 20部
カーボンブラック顔料ペースト(注15) 20部
上記(注15)は、下記のものを示す。
(注15)カーボンブラック顔料ペースト:商品名「NSブラックC−628」、山陽色素社製。
製造例20
1リットルのステレンス容器に、下記に示す顔料ペースト用の配合成分を入れ、攪拌機にて30分間攪拌し分散して水性顔料ペースト(P−14)を作成した。
上水 100部
ヒドロキシエチルセルロース(増粘剤) 0.5部
分散用樹脂(注16) 6.6部
ペリレン系黒色顔料(注14) 33.3部
上記(注16)は、下記のものを示す。
(注16)分散用樹脂:商品名「BYK−190」、ビッグ・ケミー社製、ポリカルボン酸系樹脂、固形分40重量%。
遮熱性塗膜形成用下塗り塗料組成物の製造
【実施例18】
1リットルのステレンス容器に、下記配合成分を、攪拌機にて30分間攪拌混合することにより、水性下塗り塗料組成物を得た。
水性顔料ペースト(P−10) 350部
製造例9で得た樹脂エマルション(a) 200部
2,2,4−トリメチル−1,3−ペン
タンジオール モノイソブチレート 20部
増粘剤(注17) 5部
上水 50部
上記(注17)は、下記のものを示す。
(注17)増粘剤:商品名「DKシックナーSCT−275」、サンノプコ社製。
実施例19〜22及び比較例10〜12
実施例18において、顔料ペースト及び樹脂エマルションを下記表4に示す組み合わせとする以外は、実施例18と同様の配合組成にて、各下塗り塗料組成物を得た。
表4には、各下塗り塗料組成物から形成される塗膜のL値を併記した。L値は、各塗料組成物をガラス板に、乾燥膜厚が150μmとなるように、ドクターブレードを用いて塗装し、温度23℃、相対湿度65%で2日間乾燥後、前記と同様に測色計を使用して測定した。

表4における樹脂エマルションR−3、R−4及びR−5は、以下のものを示す。
R−3:シリコーン樹脂エマルション、商品名「38%サンモールEW102」、サンノプコ社製、被膜の屈折率1.55。
R−4:アクリル樹脂エマルション、商品名「54%MK−250」、大日本インキ化学工業(株)製、被膜の屈折率1.55。
R−5:塩化ビニル樹脂エマルション、商品名「45%モビニール」、クラリアントポリマー(株)製、被膜の屈折率1.75。
製造例21
1リットルのステレンス容器に、下記配合成分を、攪拌機にて30分間攪拌混合することにより、黒色水性上塗り塗料組成物を得た。
水性顔料ペースト(P−14) 265部
製造例9で得た樹脂エマルション(a) 200部
2,2,4−トリメチル−1,3−ペン
タンジオール モノイソブチレート 20部
増粘剤(注17) 5部
上水 50部
実施例23〜30及び比較例13〜15
スレート板(100mm×150mm×4mm)に、表5の組み合わせにて各下塗り塗料組成物及び上塗り塗料組成物をドクターブレードを用いて塗装し、試験塗板を作成し、各試験に供した。下塗り塗料組成物は乾燥膜厚が150μmに、上塗り塗料組成物は乾燥膜厚が60μmとなるように塗装し、乾燥条件は共に温度23℃、相対湿度50%にて14日間である。
上記実施例23〜30及び比較例13〜15で得られた各試験塗板について、前記方法により、光沢、下地隠蔽性及びL値を調べた。
また、スレート板に代えてガラス板を用いて得られた各遊離塗膜について、前記方法と同様にして、遮熱効果を調べた。更に、各遊離塗膜について、赤外線反射率を、下記方法により、調べた。
赤外線反射率
乾燥した遊離塗膜について、分光反射率測定機(商品名「UV−3100PC」、島津製作所(株)製)を使用して、波長780nm〜2,100nmの近赤外線領域における分光反射率を測定し、次いでJIS A 5759に定義される日射反射率を算出し、その結果を赤外線反射率(%)とした。
上記試験結果を、表5に併記する。

表5における上塗り塗料T−1、T−2及びT−3は、以下のものを示す。
T−1:商品名「アレスアクアグロス 白」、関西ペイント(株)製、カルボニル基含有アクリル樹脂エマルション塗料、樹脂成分100部に対して平均粒子径220nmの二酸化チタン顔料50部含有。
T−2:商品名「アレスアクアヤネシリコン グレー」、関西ペイント(株)製、カルボニル基含有アクリル樹脂エマルション塗料、樹脂成分100部に対して平均粒子径220nmの二酸化チタン顔料50部及びカーボンブラック0.8部含有。
T−3:商品名「アレスアクアヤネシリコン クリーム」、関西ペイント(株)製、カルボニル基含有アクリル樹脂エマルション塗料、樹脂成分100部に対して平均粒子径220nmの二酸化チタン顔料50部及び黄色酸化鉄2部含有。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)屈折率1.30〜1.60の範囲内の被膜を形成する樹脂成分、及び
(B)平均1次粒子径が500〜2,000nmの範囲内で、且つ屈折率が1.80〜3.00の範囲内である白色顔料
を含有する遮熱性被膜形成用塗料組成物。
【請求項2】
樹脂成分(A)が、架橋型アクリル樹脂又は非架橋型アクリル樹脂を含有する請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
樹脂成分(A)が、カルボニル基含有アクリル共重合体及びヒドラジン誘導体を含有する請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項4】
樹脂成分(A)が、マレイミド基含有アクリル共重合体を含有する請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項5】
樹脂成分(A)が、不飽和脂肪酸変性アクリル樹脂を含有する請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項6】
白色顔料(B)が、二酸化チタン及び/又は酸化亜鉛である請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項7】
白色顔料(B)の配合割合が、樹脂成分(A)100重量部に対して、10〜140重量部である請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項8】
更に、平均1次粒子径が400nm未満の白色顔料(C)を含有する請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項9】
白色顔料(C)が、二酸化チタン及び/又は酸化亜鉛である請求項8に記載の塗料組成物。
【請求項10】
白色顔料(C)の配合割合が、樹脂成分(A)100重量部に対して、10〜140重量部である請求項8に記載の塗料組成物。
【請求項11】
白色顔料(B)及び白色顔料(C)の重量比が、10/90〜90/10の範囲内である請求項8に記載の塗料組成物。
【請求項12】
更に、着色顔料(D)を含有する請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項13】
着色顔料(D)として、補色関係にある複数の有彩色顔料を含有する請求項12に記載の塗料組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の遮熱性被膜形成用塗料組成物である上塗り塗料組成物。
【請求項15】
更に、着色塗料(D)を含有し、JIS Z 8729に規定されるL表色系に基づく明度(L値)20〜70の塗膜を形成し得る請求項13に記載の上塗り塗料組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の遮熱性被膜形成用塗料組成物である下塗り塗料組成物。
【請求項17】
JIS Z 8729に規定されるL表色系に基づく明度(L値)70〜98の塗膜を形成し得る請求項16に記載の下塗り塗料組成物。
【請求項18】
被塗物に、請求項14に記載の上塗り塗料組成物を、単層で塗装する塗装方法。
【請求項19】
被塗物に、下塗り塗料組成物を塗装後、該塗面上に請求項14に記載の上塗り塗料組成物を塗装する塗装方法。
【請求項20】
被塗物に、請求項16に記載の下塗り塗料組成物を塗装後、該塗面上に上塗り塗料組成物を塗装する塗装方法。
【請求項21】
上塗り塗料組成物が、ペリレン系顔料を含有する塗料組成物である請求項20に記載の塗装方法。

【国際公開番号】WO2005/019358
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【発行日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513377(P2005−513377)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012332
【国際出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】