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遮熱膜の形成方法及び内燃機関
説明

遮熱膜の形成方法及び内燃機関

【課題】短時間に且つ安価に遮熱膜を内燃機関の燃焼室内壁に形成する。
【解決手段】内燃機関10におけるシリンダボア12とシリンダヘッド15下面とピストン13頂部とで区画される燃焼室16の内壁に遮熱膜23を形成する方法であって、中空の金属製又は合金製のマイクロカプセル25が含有されたメッキ液を用いて燃焼室16の内壁にメッキを施すことで、メッキ層24及びメッキ層24内に介在するマイクロカプセル25を含む遮熱膜23を燃焼室16の内壁に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関におけるシリンダボアとシリンダヘッド下面とピストン頂部とで区画される燃焼室の内壁に遮熱膜を形成する方法、及び、シリンダボアとシリンダヘッド下面とピストン頂部とで区画される燃焼室を備える内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
遮熱層を内燃機関の燃焼室内壁に形成することで、燃焼室内の燃焼ガスからの熱伝達を低減させて燃費の向上を図る技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1等に記載されているように、アルミ製のピストン本体頂面部に、熱伝導率の低いセラミック製のピストンヘッド部分を、ピストン本体との間に空気層(隙間)を設けて取り付けるという方法が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−4585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の方法では、セラミック製のピストンヘッド部分の熱容量が大きく、吸気行程中もピストンヘッド部分の温度が高い状態となり得る。そのため、充填効率が上がらず、却って燃費が悪化してしまう虞がある。
【0006】
また、膜厚の薄い遮熱膜を燃焼室内壁に形成することが考えられる。しかしながら、公知の工法(例えば、溶射等)では、遮熱膜の施工に時間がかかり、また、遮熱膜を安価に大量生産することができない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、短時間に且つ安価に遮熱膜を内燃機関の燃焼室内壁に形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明は、内燃機関におけるシリンダボアとシリンダヘッド下面とピストン頂部とで区画される燃焼室の内壁に遮熱膜を形成する方法であって、中空の金属製又は合金製のマイクロカプセルが含有されたメッキ液を用いて前記燃焼室の内壁にメッキを施すことで、メッキ層及び前記メッキ層内に介在する前記マイクロカプセルを含む遮熱膜を前記燃焼室の内壁に形成することを特徴とする遮熱膜の形成方法である。
【0009】
前記マイクロカプセルを、前記メッキ液の主成分と同一材質の材料により製造しても良い。
【0010】
また、本発明は、シリンダボアとシリンダヘッド下面とピストン頂部とで区画される燃焼室を備える内燃機関において、前記燃焼室の内壁に形成された遮熱膜を備え、前記遮熱膜は、前記燃焼室の内壁に形成されたメッキ層と、前記メッキ層内に介在する中空の金属製又は合金製のマイクロカプセルとを含むことを特徴とする内燃機関である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、短時間に且つ安価に遮熱膜を内燃機関の燃焼室内壁に形成することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る遮熱膜の形成方法が適用される内燃機関を示し、(a)は内燃機関の概略図であり、(b)は(a)のA部拡大図である。
【図2】マイクロカプセルを作る方法の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る遮熱膜の形成方法を示す説明図である。
【図4】変形例に係る内燃機関の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0014】
図1(a)に示すように、本実施形態に係る内燃機関(本実施形態では、直噴式ディーゼルエンジン)10は、シリンダブロック11に形成されたシリンダボア12と、シリンダボア12内を上下に往復運動(摺動)するピストン13と、シリンダブロック11の上部にガスケット14を挟んで取り付けられたシリンダヘッド15とを備えている。シリンダボア12と、シリンダヘッド15の下面と、ピストン13の頂部とで囲まれた空間が、燃焼室16を形成する。シリンダヘッド15には、燃焼室16に連通する吸排気ポート(吸気ポート17及び排気ポート18)と、吸気ポート17を開閉する吸気弁19と、排気ポート18を開閉する排気弁20と、燃料を上方から燃焼室16内に噴射する燃料噴射弁(インジェクタ)21とが設けられている。また、ピストン13の頂面13aには、キャビティ(図例では、リエントラントタイプのキャビティ)13bが凹設されている。
【0015】
図1(a)に示す内燃機関(直噴式ディーゼルエンジン)10では、例えばピストン13が圧縮上死点付近に位置するときに燃料を燃料噴射弁21から燃焼室16内に噴射することで、燃焼室16内の燃料が自着火して燃焼する。燃料噴射弁21の先端部には噴口22が複数設けられており、各噴口22は、ピストン13の圧縮上死点付近において噴口22から噴射された燃料がキャビティ13bのリップ部13cに向かうように指向されている。
【0016】
本実施形態では、燃焼室16を形成するピストン13の頂部に、燃焼室16内の燃焼ガスからピストン13への伝熱を抑制するための遮熱膜(遮熱層)23が形成される。より詳細には、図1(a)及び(b)に示すように、遮熱膜23は、ピストン13の頂面13a及びキャビティ13bの一部(図例では、キャビティ13bのリップ部13c近傍)に形成され、中空の金属製又は合金製のマイクロカプセル25を含有するメッキ液を用いてピストン13の頂部にメッキを施してなる。そのため、本実施形態の遮熱膜23は、ピストン13の頂部に形成されたメッキ層24と、メッキ層24内に介在するマイクロカプセル25とを含むものである。つまり、本実施形態の遮熱膜23は、マイクロカプセル25の内部空間により形成される遮熱層(遮熱空気層)として機能するものである。
【0017】
次に、本実施形態に係る遮熱膜23の形成方法を図2及び図3を用いて説明する。
【0018】
〔1〕マイクロカプセルの準備
マイクロカプセル25を作る方法は種々あるが、マイクロカプセル25を作る方法の一例を図2に示す。つまり、マイクロカプセル25を作る方法は、以下に説明する方法には限定はされない。
【0019】
本実施形態では、ニッケルメッキを用いると想定し、マイクロカプセル25をニッケル製とする。
【0020】
先ず、図2(a)に示すように、ニッケルの子粒子を、樹脂製の母粒子に、衝撃力により打ち込む。つまり、子粒子を母粒子に高速で噴射する。その後、図2(b)に示すように、母粒子と子粒子との結合体を加熱し、図2(c)に示すように、結合体(子粒子)から母粒子を溶かし出して中空のニッケル製のマイクロカプセル25とする。
【0021】
マイクロカプセル25の粒径Rは、例えば0.1〜20μm程度とする。また、マイクロカプセル25の外殻となる子粒子は、ナノ粒子サイズのものとする。
【0022】
なお、本実施形態においてマイクロカプセル25をニッケル製としたのは、後述する無電解メッキの場合は、ニッケルメッキとすることが多いためである。ニッケルメッキ以外のメッキとする場合は、そのメッキの種類に応じて子粒子も変える。つまり、マイクロカプセル25を、メッキ液の主成分と同一材質の材料により製造するのが好ましい。
【0023】
しかしながら、マイクロカプセル25の材料は、メッキ液の主成分と同一材質の材料には限定はされず、種々の材料(例えば、メッキ液の主成分よりも融点が高い材料)を用いることが可能である。
【0024】
〔2〕遮熱膜の形成
上述の〔1〕で準備したニッケル製のマイクロカプセル25を、アルミ合金製のピストン13(被メッキ体)に付着させるために、無電解メッキを用いる。
【0025】
無電解メッキとは、例えば図3に示すように、メッキ槽26内における金属塩(M;本実施形態では、Ni)と還元剤(Red)とが共存する溶液(無電解メッキ液)に、被メッキ体を浸漬させてメッキを被メッキ体の表面に成膜させるもので、還元剤(Red)の酸化(Ox)によって放出される電子が金属イオンに転移し、被メッキ体の表面に金属被膜が形成される。
【0026】
無電解メッキの際に、上述の〔1〕で準備したニッケル製のマイクロカプセル25を無電解メッキ液中に浮遊(混合)させておくと、上述の反応でニッケルが被メッキ体の表面に成膜する際に、マイクロカプセル25も取り込まれ、図1(b)に示すような気泡層(遮熱膜23)をピストン13(被メッキ体)に形成することができる。
【0027】
遮熱膜23の厚さTは、例えば50〜100μm程度とする。
【0028】
なお、メッキの手法は無電解メッキには限定はされず、他の手法のメッキ(例えば、電気メッキ)であっても良い。また、メッキの種類はニッケルメッキには限定はされず、ニッケルメッキ以外のメッキであっても良い。
【0029】
以上要するに、本実施形態によれば、中空の金属製又は合金製のマイクロカプセル25が含有されたメッキ液を用いて燃焼室16を形成するピストン13の頂部にメッキを施すことで、メッキ層24及びメッキ層24内に介在するマイクロカプセル25を含む遮熱膜23をピストン13の頂部に形成するので、短時間に且つ安価に遮熱膜23をピストン13(相手部材)に形成することが可能となる。
【0030】
即ち、本実施形態では、中空の金属製又は合金製のマイクロカプセル25が含有されたメッキ液を用いて燃焼室16を形成するピストン13の頂部にメッキを施すので、溶射等と比較して短時間に且つ安価に遮熱膜23をピストン13(相手部材)に形成することが可能となる。また、本実施形態の遮熱膜23は、マイクロカプセル25の内部空間により形成される遮熱層(遮熱空気層)として機能するものであるので、メッキ液の主成分やマイクロカプセル25の材料自体に熱伝導率の低いものを採用する必要はない。そのため、メッキ液の主成分やマイクロカプセル25の材料は種々の材料を使用することができる。
【0031】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【0032】
例えば、上述の実施形態では、ピストン13の頂部に遮熱膜23を形成したが、これには限定はされず、図4に示すように、燃焼室16を形成するシリンダヘッド15の下面又はシリンダボア12に遮熱膜23を形成することも可能である。シリンダヘッド15の下面に遮熱膜23を形成する場合には、図4に示すように、シリンダヘッド15の下面における燃焼室16内に臨む部分のみに遮熱膜23を形成しても良く、図示はしないが、シリンダヘッド15の下面全体に遮熱膜23を形成しても良い。また、シリンダボア12に遮熱膜23を形成する場合には、遮熱膜23の表面にホーニング加工等の表面処理を施すことが考えられる。
【0033】
また、上述の実施形態では、ピストン13の頂面13a及びキャビティ13bの一部に遮熱膜23を形成したが、これには限定はされず、ピストン13の頂部に遮熱膜23を形成する際には、図4に示すように、ピストン13の頂面13a及びキャビティ13bの全体に遮熱膜23を形成しても良い。
【0034】
また、内燃機関10は、ディーゼルエンジンには限定はされず、ガソリンエンジン等であっても良い。さらに、内燃機関10は、直噴式のものには限定はされず、火花点火式のものであっても良い。
【符号の説明】
【0035】
10 内燃機関
12 シリンダボア
13 ピストン
15 シリンダヘッド
16 燃焼室
23 遮熱膜
24 メッキ層
25 マイクロカプセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関におけるシリンダボアとシリンダヘッド下面とピストン頂部とで区画される燃焼室の内壁に遮熱膜を形成する方法であって、中空の金属製又は合金製のマイクロカプセルが含有されたメッキ液を用いて前記燃焼室の内壁にメッキを施すことで、メッキ層及び前記メッキ層内に介在する前記マイクロカプセルを含む遮熱膜を前記燃焼室の内壁に形成することを特徴とする遮熱膜の形成方法。
【請求項2】
前記マイクロカプセルを、前記メッキ液の主成分と同一材質の材料により製造する請求項1に記載の遮熱膜の形成方法。
【請求項3】
シリンダボアとシリンダヘッド下面とピストン頂部とで区画される燃焼室を備える内燃機関において、前記燃焼室の内壁に形成された遮熱膜を備え、前記遮熱膜は、前記燃焼室の内壁に形成されたメッキ層と、前記メッキ層内に介在する中空の金属製又は合金製のマイクロカプセルとを含むことを特徴とする内燃機関。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−87721(P2013−87721A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230652(P2011−230652)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】