説明

遮蔽空間を作る方法および該方法を適用して構成された遮蔽構造体

本発明は、以下の段階、すなわち、事実上均一に縮む材料で作られた可撓性包囲体1を、フレーム部材2aの組立体を含む支持フレーム2の周囲に装着する段階、および、包囲体1に、収縮を生じさせる物理的現象を働かせて収縮後に、包囲体1が支持フレーム2を緊密に抱え込む態様で形成された遮蔽構造体を強化する段階を含む空間遮蔽方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種活動に割当てられる空間を遮蔽する方法に関するものである。また、本発明は、この方法を適用して得られる遮蔽構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用途を限定するものではないが、さらに特別な関心事として、本発明は、実施現場において建設場所を、限定された時間の間、遮蔽できる方法と装置を産業的事業で利用可能にすることを目的とする。
【0003】
多くの場合、大寸法であるかもしれない、暫定的に形成された作業空間内で作業できるようにすることは避けられない。例えば、スレート仕上げされたビルディングの修理やアスベスト除去、或る種の産業装置、ヨットやその他の大型船舶などの改装や改造の場合がそうである。
【0004】
このような建設場所の設置は、以下の幾つかの制約に十分答えるものでなければならない。
・産業建設現場での施工に関する厳格化されつつある規則。
・環境保護のための要求条件。
・依頼者から出される要求の多い仕様。
・前記制約に適合し難い、或る範囲の不十分な解決方法と手段。
【0005】
空間容積を暫定的に覆うための、剛性の大きな支持構造体に張架された柔軟な材料から成るテントや支柱形式の従来方法と装置は、集会(会合、ショー、食事など)のような或る種の活動、物品の保管などに適しており、それらについては適当な場所を一般に二次元的な配置で用意することができる。しかしながら、多くの場合、それらは産業現場の覆いには適用できず、その場所は、修理または改造すべき構造体(ビルディング、ボート等)の位置、および/または、後者の形状によって決まる。
【0006】
現在のところ、建設場所を囲う臨時遮蔽カバーは、もともと剛性の大きな構造体と、カバー(防水布、張り合わせパネル、布、織物、プラスチック・フィルムなど)とで構成されており、このカバーは、剛性の大きな構造体に各種の固定具または連結装置によって取付けられるか、または、前記支持構造体の上にカバーとして単に配置された後、地上固定システム(例えば、US−2044351またはUS−2003−01405596に記載されているようなものであるが、それらは実際には建設場所の遮蔽に適用することはできない)によって横断方向に緊張され、そのカバーとしての状態および緊張力を保持される。例えば過酷な気象条件(風雪)に対する遮蔽構造体の耐力のような、外的作用力に耐える能力を保証するために、この臨時構造体は、その支持構造体の部材、および/または、その固定システムに対して大きな荷重を強いて、本来の機械的強度を保証するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、特に、各種の産業的建設場所を現地で囲う上での問題点に対する有利な技術的解決方法を提供することである。
【0008】
さらに一般的に云うと、本発明は、例えば臨時シェルター、クリーン・ルーム、臨時作業のための気密室、臨時格納庫、臨時保管庫、小屋等の各種適用例を意図した、時間がかからず、経済的で、可能ならば持ち運びできる遮蔽構造体の建設の容易化を提案供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、フレーム部材を組み合せて構成した支持フレームの周囲に概ね均一に収縮する材料から成る薄い外側カバーを巻付け、そのカバーに収縮を生じる適当な物理的現象を働かさせ、カバーの収縮により、前記フレーム部材の周囲に緊密に該カバーを巻付かせて遮蔽構造体を補剛し、もって本物の構造体になす方法によって、この目的が達成される。
【0010】
この方法の好適実施形態によれば、支持フレームは、連結部品で互いに取付けられることが好ましい管状部材で形成される。高性能な仕上がりの構造体を得るためには、組立て時にこれらの部材にカバー材料の縮みに加えて応力付与を行うこともできる。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、支持フレームの少なくとも或る部材、または全部材がケーブルで作られる。
【0012】
この方法の興味ある実施形態によれば、高温空気に曝されると縮む材料で、可撓性カバーを形成し、支持フレームに装着したカバーを高温空気に曝し、次いで冷却して支持フレーム上で収縮させる。
【0013】
この方法の興味ある実施形態によれば、可撓性カバーが熱収縮するプラスチック・フィルムで形成される。
【0014】
本発明による遮蔽構造体は、フレーム部材を組立てて構成される支持フレームと、前記フレーム部材の周囲に収縮して巻付くことで前記支持フレームと一体化される可撓性カバーとを含んでなることが特に注目される。
【0015】
好ましい実施態様によれば、フレーム部材は連結部品によって連結することが好ましいとされる簡単な相互固定によって組立てられ、また、フレーム部材は可撓性カバーにより組立て状態に保持されて前記フレーム構造が強化される。
【0016】
本発明は、特に以下のこと、すなわち
強い制約のある環境のもとであっても、容易且つ迅速に所定位置に配置することができるとともに持ち運ぶことができるという多くの機械的特徴を備えた軽量な遮蔽構造体の建設、
それぞれの環境の下で建設場所、作業、対象物およびその他の物品の保護、隔離および/または統合、
作業場所全体の十分な管理、
過酷な気象条件に対する優れた機械的耐力の獲得、
を可能にすることは明白となる。
【0017】
前記目的、特徴および利点は、以下の説明および添付図面によって明らかになるだろう。
【実施例】
【0018】
限定するものではないが、本発明による利点、方法の実施例および遮蔽構造の実施例を説明するために、前記図面が参照される。
【0019】
この方法によれば、事実上均一に縮む性質または特徴を有する材料で作られた可撓性カバー1がフレーム部材2aを組立てて構成された支持フレーム2の少なくとも一部の周囲に取付けられ、このカバー1には収縮を引起こす適当な物理的現象が作用されて、これにより縮み作用が生じた後に前記カバーはフレーム部材2aの上に緊密に張渡されるようになされる。
【0020】
フレーム構造2は、建設される遮蔽構造体の寸法に適した長さおよび直径の剛性管状部材2aを互いに取付けることで組立てられて構成される。これらの管状部材は、直接に互いに嵌合できるように、またはチューブ状連結部材2bによって組立てることができるように形成される。
【0021】
建設される遮蔽構造体の寸法に応じて、支持フレーム2の管状部材2aは金属(鋼、アルミニュウムなど)、剛性ポリマー、複合材料で作ることができる。
【0022】
本発明方法の別の利点は、遮蔽構造体の寸法に対して比較的小さな断面を有する部材で支持フレーム2を作ることが可能なことにあると指摘できる。例えば、本発明を実施する他の方法によれば、支持フレーム2の或るフレーム部材または全てのフレーム部材を金属ケーブルまたは繊維ロープで形成することができる。支持フレーム2は、剛性の大きな部材とケーブルから成る組立体でこれを形成してもよい。
【0023】
さらに正確に云えば、フレーム部材の構成部品は、
遮蔽構造体自体の重量、
カバーの縮み能力、
遮蔽構造体の環境(風、雪等の過酷な気象条件)、
遮蔽構造体の使用(商品の保管、作業場所の遮蔽など)、
フレーム部材の機械的特性によって導出される特徴に合うようになされる。
【0024】
カバー1は、収縮反応を引起す適当な物理的現象の作用を受けると、事実上均一に収縮する特徴を有する可撓性材料で形成される。
【0025】
カバー1は、高温空気に触れるように設置した後、冷却する間に縮む特徴または特性を有する材料で形成するのがよい。
【0026】
しかしながら、カバーの物理化学的な特徴に応じて、カバーを冷気に触れさせるようにする、電磁放射に曝す等のその他の物理的現象を働かせることで、カバーを収縮させることも考えられる。
【0027】
好適には、高温空気に触れさせた後、冷却の間に、縮む特徴を有するポリエチレン等から成る押出し成形フィルムのような可塑性、熱可塑性の縮みラップ・フィルムで、カバー1が形成される。
【0028】
非限定的な例として、カバー1が、一層または複数層の熱可塑性フィルムで形成することができ、最小積層厚さ250μm、および、最小収縮能力1.0MPaを示す。このようなカバーと30mm径の複合管チューブから成るフレーム部材とによる幅6m、高さ4.5mで、両傾斜屋根を有する遮蔽構造体の平均線形重量は、概ね、支持フレーム=10kg、カバー=5kgである。
【0029】
可撓性カバーは、熱溶接等の方法で、互いに結合された多数の幅材またはパネルで形成可能である。これは、透明、半透明、不透明であってよく、または、着色してもよい。
【0030】
フレーム部材2a,2bを互いに簡単に組み合わせた後、形成されるべき遮蔽構造体の寸法に応じて、支持フレーム2の少なくとも一部の周囲または全周に、可撓性カバー1が装着される。
【0031】
次いで、可撓性カバー1は、周知の高温空気発生装置3により供給される高温空気に接触せしめられる。この高温空気発生装置3は、例えば、支持フレーム2で形成されて前記カバーで覆われた囲いの中に設置されて、構造体の容積を十分に加熱することのできる移動可能な高温空気発生装置から成る(図2)。また、支持フレーム上での前記フィルムの縮みを冷却処理で達成するために、支持フレームを取囲む熱可塑性フィルムの表面上に高温空気を噴射するための指向性ジェット(ヒート・ガン)を備えた手持ち具を用いてもよい。
【0032】
高温空気の供給停止は可撓性カバー1の冷却をもたらし、カバー1はそれ自体が縮んで、簡単な取付けにより組付けられたフレーム部材2a,2bに緊密に巻付き、このことが、それらの部材の相対的な動きを抑制する作用を有するとともに、その拘束された支持フレーム2を圧力および/または応力の作用下に置けるように、したがって与えられた拘束力を支える全ての部材および結合部を強化できるようにする。このようにして作られた遮蔽構造体は、たとえ、そのフレームが軽量かつ断面または直径が小さな部材で作られていても、気象条件に耐える特に優れた品質を付与する剛性または強度および気密性を示す。
【0033】
支持構造体2上の可撓性カバーの縮みは、遮蔽構造体の寸法に応じて1つの領域から次の領域へと逐次に、または、前記カバーの全面で同時に行うことができる。
【0034】
本発明による遮蔽構造体は、片傾斜または両傾斜の屋根を有するトンネル形状、アーチ、プリズム、平行六面体、円柱形等の各種形状を有することができる。それらは地面に支索で固定される。それらは全長にわたって他の支持箇所を有することができるが、なくてもよい。
【0035】
遮蔽構造体の比較的長い部材(柱間)は、遮蔽構造体の環境によって生じる応力、例えば動的な風圧に対抗するように予応力を与えておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明方法の実施により得られる遮蔽構造体の一実施例の部分断面斜視図。
【図2】縮みを生じる物理的現象を作用させる前の支持フレームの一部の上の可撓性カバーの一部の配置を示す断面図。
【図3】図2に類似する断面図であって、収縮を生じる物理的現象を働かせた後の支持フレームの周囲に緊密に巻付いたカバーを示す断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム部材(2a)を組み合わせて形成して成る支持フーム(2)の周囲に、概ね均一に収縮可能な材料で形成された可撓性カバー(1)を巻付け、そのカバーに縮みが生じる適切な物理現象を働かせ、もって、収縮後に、前記カバー(1)が前記フレーム部材(2a)をきつく包み込み、かくして強化された遮蔽構造体が得られることを特徴とする空間遮蔽方法。
【請求項2】
前記支持フレーム(2)が、互いに組み合せて成る管状部材(2a)で構成されることを特徴とする請求項1に記載された空間遮蔽方法。
【請求項3】
前記フレーム部材(2a)が連結部品(2b)の装着によって組立てられることを特徴とする請求項2に記載された空間遮蔽方法。
【請求項4】
前記支持フレーム(2)の構成部材の少なくとも一部がケーブルで形成されることを特徴とする請求項1に記載された空間遮蔽方法。
【請求項5】
前記可撓性カバー(1)が、高温空気に触れるように装着された後に収縮する材料で形成され、
また、前記可撓性カバーが、前記支持フレーム(2)の周囲に装着された後で、高温空気に接触せしめられ、その後、高温空気の供給停止により冷却されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載された空間遮蔽方法。
【請求項6】
前記可撓性カバー(1)が熱可塑性フィルムで形成されることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された空間遮蔽方法。
【請求項7】
前記カバー(1)が、最小積層厚250μm、最小収縮能力1.0MPaを有する一層または複数層の熱可塑性フィルムで形成されることを特徴とする請求項6に記載された空間遮蔽方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載された方法の実施によって形成されて成る空間遮蔽構造体。
【請求項9】
フレーム部材(2a)を組み合わせて形成して成る支持フレーム(2)と、前記フレーム部材(2a)の周囲で収縮させることによって前記支持フレーム(2)と一体化される可撓性カバー(1)とを含むことを特徴とする空間遮蔽構造体。
【請求項10】
前記支持フレーム(2)が、互いに組み合わされれた管状部材(2a)で構成され、前記管状部材の上に緊密に張架された可撓性カバー(1)によって組立て位置に維持されることを特徴とする請求項9に記載された空間遮蔽構造体。
【請求項11】
前記支持フレーム(2)の少なくとも或るフレーム部材がケーブルで形成され、また、可撓性カバー(1)が、ケーブルで形成された前記支持フレームの周囲に収縮によって装着されていることを特徴とする請求項9に記載された空間遮蔽構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−533335(P2008−533335A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501352(P2008−501352)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000509
【国際公開番号】WO2006/097599
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(507310684)
【Fターム(参考)】