説明

遮蔽装置

【課題】上方からのみならず横からの雨水と風の浸入も抑制する遮蔽装置を提供する。
【解決手段】遮蔽装置1は、互いに平行に配置されていると共に伸縮可能に構成された4つの円弧形状を有する第1のフレーム2と、第1のフレーム2をそれぞれ支える支柱3と、両側に配置された支柱それぞれの下端に取付けられて扇形状のビニール製のシートの要部分に取付けられていると共に略U字形の複数の第2のフレームの端部がそれぞれ回動可能にまとめて取付けられる固定具4と、一方の固定具4に一方の端部が回動可能にまとめて取付けられていると共に他方の固定具4に他方の端部が回動可能にまとめて取付けられた略U字形の複数の第2のフレーム5と、第1のフレーム2、支柱3及び複数の第2のフレーム5に取付けられて遮蔽装置の屋根部と側面部を構成する折畳み可能な耐水性を有するビニール製のシート6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮蔽装置に関する。詳しくは、例えば建造物の壁面との間や、地面との間に所定の空間を形成する遮蔽装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、学校での運動会や地域の祭り等において、日光や雨を避けるために、パイプ支柱及び防水性を有する布もしくはビニールの覆いを組立ててつくった、集会用テント、運動会用テントと呼ばれる合掌型の折畳みテントが広く使われている。
【0003】
しかし、従来の折畳みテントは、雨天の場合に、防水性を有する布もしくはビニールの屋根に雨水が溜まったり、風で飛んでいた雨水の雫が垂れてきたりするので、折畳みテントの端にいる人は、どうしても雨露に濡れてしまっていた。
【0004】
そこで、特許文献1には、図7に示すような折畳みテントが開示されている。即ち、布またはビニール101でできた屋根の部分の生地を全開し、屋根形の形状にするために骨組みパイプ102を使用して屋根パイプを組立て、組立てたパイプへ布またはビニール101を覆い被せ、屋根部分の内側より布またはビニール101の取付用の紐を骨組みパイプ102に縛り付けすることによりテントの屋根ができあがり、このテント屋根へ下から4本の支柱103を立ててテントを完成させ、雨水の雫が垂れてくる位置に雨樋104を取付ける。取付方法は、テント屋根の前後外周部の近傍またはテント屋根全外周部の近傍へS字状樋受107を雨樋104へ間隔を置いて骨組みパイプ102から雨樋104へ支承取付けする方法である。また、支柱103の上部の雨樋104と雨樋104との継ぎ目の1箇所または2箇所に雨樋受105を取付け、雨樋受105から支柱103に並設するように排水樋106を取付ける。また支柱103と排水樋106を重なり合うように支承させるためのX状支持板108も取付けられている。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3057257号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の折畳みテントでは、上方からの雨水は雨樋によって排出されるが、横風等によって横から雨水が入り込んでしまい、テント内の人が依然として濡れてしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、上方からのみならず横からの雨水と風の浸入も抑制する遮蔽装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の遮蔽装置は、複数の線状フレームと、該複数の線状フレームに取付けられた折畳み可能な遮蔽シートとを有する、所定の空間を形成する遮蔽装置であって、前記複数の線状フレームはそれぞれ、前記遮蔽シートが折畳まれた位置と前記遮蔽シートが展開された位置との間を移動可能に構成されたことを特徴とする。
【0009】
ここで、複数の線状フレームがそれぞれ、遮蔽シートが折畳まれた位置と遮蔽シートが展開された位置との間を移動可能に構成されていることによって、支柱等他の部材を用いずに線状フレーム及び遮蔽シートで上部及び側面が囲まれた所定の空間を形成することができる。
【0010】
また、本発明の遮蔽装置において、複数の線状フレームはそれぞれ、互いに平行に配置されていると共に伸縮可能に構成された場合、遮蔽装置の規模が大きくても、複数のフレームが平行に配置されているため充分な強度を有することができる。
【0011】
更に、本発明の遮蔽装置において、複数の線状フレームの端部が取付けられる複数の固定具を備え、複数の線状フレームそれぞれの一方の端部は一方の固定具に回動可能にまとめて取付けられ、複数の線状フレームそれぞれの他方の端部は他方の固定具に回動可能にまとめて取付けられた場合、遮蔽シートが折畳まれたときには線状フレームを重ねておくことができ、大きな収納スペースを必要としない。
【0012】
また、本発明の遮蔽装置において、複数の線状フレームは、第1の方向へ伸長または回動する第1のフレーム群と第2の方向へ伸長または回動する第2のフレーム群とに分けられ、第1の方向と第2の方向は互いに対向する場合、上部が開閉される空間を形成でき、適宜、開放的な空間を形成できる。
【0013】
また、複数の線状フレームが第1の方向と第2の方向それぞれに伸長または回動する本発明の遮蔽装置において、複数の線状フレームのうち、他のフレーム群と接触する線状フレームの領域にゴム製の磁石が取付けられた場合、しっかりとフレーム同士を接合できるので、上部から所定の空間内への雨水の浸入も防ぐことができる。
【0014】
また、本発明の遮蔽装置において、遮蔽シートは、メッシュシートを介して複数の線状フレームに取付けられた場合、線状フレームと遮蔽シートとの間にメッシュシートが配置されることになるため、遮蔽シートの表面を伝った雨水が線状フレームにせき止められて遮蔽シート上に溜まることなく、メッシュシートを通過して排出される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る遮蔽装置は、上方からのみならず横からの雨水と風の浸入も抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した遮蔽装置の一例を示す概略図である。ここで、図1(a)は開いた状態の遮蔽装置を示し、図1(b)は閉じた状態の遮蔽装置を示す。
図1(a)及び図1(b)において、本発明の遮蔽装置1は、互いに平行に配置されていると共に伸縮可能に構成された4つの円弧形状を有する第1のフレーム2と、これら第1のフレーム2をそれぞれ支える支柱3と、支柱3のうち両側に配置された支柱それぞれの下端に取付けられて扇形状のビニール製のシートの要(かなめ)部分に取付けられていると共に略U字形の複数の第2のフレームの端部がそれぞれ回動可能にまとめて取付けられる固定具4と、一方の固定具4に一方の端部が回動可能にまとめて取付けられていると共に他方の固定具4に他方の端部が回動可能にまとめて取付けられた略U字形の複数の第2のフレーム5と、第1のフレーム2、支柱3及び複数の第2のフレーム5に取付けられて遮蔽装置の屋根部と側面部を構成する折畳み可能な耐水性を有するビニール製のシート(遮蔽シートの一例である。)6とを備えている。
【0017】
また、第1のフレーム2はそれぞれ、筒状の円弧形状を有する第1の構成部材2Aと、第1の構成部材2A内に滑走可能に取付けられた筒状の円弧形状を有する第2の構成部材2Bと、第2の構成部材2B内に滑走可能に取付けられた筒状の円弧形状を有する第3の構成部材2Cとで構成されており、第1の構成部材2Aの両端を通って第2の構成部材2Bが滑走して伸び、第2の構成部材2Bそれぞれの一端を通って第3の構成部材2Cが滑走して伸び、第1のフレーム2が伸びる構成となっており、また、第2の構成部材2Bが滑走して第1の構成部材2Aの両端を通って第1の構成部材2A内に収まり、第3の構成部材2Cが滑走して第2の構成部材2Bそれぞれの一端を通って第2の構成部材2B内に収まり、第1のフレーム2が縮む構成となっている。
【0018】
また、各構成部材は円弧形状を有しているので、各構成部材が滑走すると各構成部材は、ビニール製のシート6が折畳まれた位置(図1(a)参照。)からビニール製のシート6が展開された位置(図1(b)参照。)まで円弧状に移動することになる。
また、略U字形の複数の第2のフレーム5はそれぞれ、一方の端部が一方の固定具に、他方の端部が他方の固定具にそれぞれまとめて回動可能に取付けられているので、ビニール製のシート6が折畳まれた位置(図1(a)参照。)からビニール製のシート6が展開された位置(図1(b)参照。)まで端部を軸に円弧状に移動することになる。
また、支柱3それぞれは、第1の構成部材2Aに取付けられて第1の構成部材2Aを支えている。
また、図1(a)に示すように、複数の第2のフレーム5はそれぞれ、第2の構成部材2B及び第3の構成部材2Cと交差する位置において、第2の構成部材2B及び第3の構成部材2Cにそれぞれの長さ方向へ滑車7によって滑走可能に取付けられている。
【0019】
図1(b)に示す閉じた状態では、第1のフレーム2の先端及びビニール製のシート6の自由辺が地面と接しており、第1及び第2のフレームとビニール製のシートとで囲まれた空間が形成される。また、地面と接する、第1のフレーム2及びビニール製のシート6の各領域には、ゴムが取付けられたり、閉じた状態において地面から約1m上までの範囲に位置する遮蔽シートとしてゴム製のシートを用いたり、ビニール製のシートの上からゴムを張りつけたりしてもよい。
また、例えば第2の構成部材2Bを滑走させるにとどめて一方の第1のフレーム2の先端を地面に接触させないことで、囲まれた空間内への出入口を形成することもできる。
【0020】
また、第1のフレーム2を構成する第2の構成部材2Bや第3の構成部材2Cに第2のフレーム5は取付けられているので、第2の構成部材2Bや第3の構成部材2Cを動かして第1のフレーム2を伸縮させれば第2のフレーム5も回動させることができ、第1のフレーム2を伸縮させることができればどのような方法を用いてもよいが、例えば各構成部材に取付けられた滑車にワイヤーを通し、このワイヤーを引くことで第1のフレーム2を伸縮させる方法や、径の異なる複数の円筒体が油圧で伸縮する油圧シリンダーを各構成部材内に取付けてこの油圧シリンダーを伸縮させて第1のフレーム2を伸縮させる方法が用いられる。
ここで、フレームがそれぞれ、遮蔽シートが折畳まれた位置と遮蔽シートが展開された位置との間を移動可能に構成されていれば、必ずしも第1のフレームは円弧形状を有していなくてもよく例えば直線形状を有して真っ直ぐ移動してもよく、また、第2のフレームは必ずしも両端部がそれぞれ固定具に回動可能に取付けられていなくてもよい。
【0021】
図2は、図1に示す破線領域Aの拡大断面図である。図2において、第2のフレーム5の上半分は、連結具9によって、第2の構成部材2B内を長さ方向に滑走する滑車7に連結されており、これにより第2のフレーム5は第2の構成部材2Bに、長さ方向へ滑走可能に取付けられている。また、第3の構成部材2Cに対しても同様に第2のフレーム5は長さ方向へ滑走可能に取付けられている。
また、図2において、ビニール製のシート6にはメッシュシート10が取付けられており、また、第2のフレーム5から下方へ延びた2つのフラットバー8がメッシュシート10の一端を挟み、メッシュシート10の他端がビニール製のシート6にミシン縫い等で取付けられることにより、ビニール製のシート6は、メッシュシート10を介して第2のフレーム5に取付けられている。
また、第2のフレーム5は直径76.3mmの円柱形状を有するが、必ずしもこのような形状及びサイズにしなくてもよい。
【0022】
図3は、本発明を適用した遮蔽装置をビルの外壁に適用した例を説明する概略図である。ここで、図3(a)は開いた状態の遮蔽装置を示し、図3(b)は閉じた状態の遮蔽装置を示す。
図3において、本発明の遮蔽装置1は、互いに平行に配置されていると共に伸縮可能に構成された5つの円弧形状を有する第1のフレーム2と、建造物11の外壁に一端が取付けられると共に他端が第1のフレーム2のそれぞれに取付けられて第1のフレーム2を支持する支持部材12と、両側の第1のフレーム2にそれぞれ取付けられた扇形状のビニール製のシートの要部分に取付けられていると共に略U字形の複数の第2のフレームの端部がそれぞれ回動可能にまとめて取付けられる固定具4と、一方の固定具4に一方の端部が回動可能にまとめて取付けられていると共に他方の固定具4に他方の端部が回動可能にまとめて取付けられた略U字形の複数の第2のフレーム5と、第1のフレーム2、建造物11の外壁及び複数の第2のフレーム5に取付けられて遮蔽装置の屋根部と側面部を構成する折畳み可能な耐水性を有するビニール製のシート6とを備えている。
【0023】
また、第1のフレーム2はそれぞれ、筒状の円弧形状を有する第1の構成部材2Aと、第1の構成部材2A内に滑走可能に取付けられた筒状の円弧形状を有する第2の構成部材2Bと、第2の構成部材2B内に滑走可能に取付けられた筒状の円弧形状を有する第3の構成部材2Cとで構成されており、第1の構成部材2Aの一端を通って第2の構成部材2Bが滑走して伸び、第2の構成部材2Bの一端を通って第3の構成部材2Cが滑走して伸び、第1のフレーム2が伸びる構成となっており、また、第2の構成部材2Bが滑走して第1の構成部材2Aの一端を通って第1の構成部材2A内に収まり、第3の構成部材2Cが滑走して第2の構成部材2Bの一端を通って第2の構成部材2B内に収まり、第1のフレーム2が縮む構成となっている。
【0024】
また、複数の第2のフレーム5はそれぞれ、第2の構成部材2B、第3の構成部材2C及び第4の構成部材2Dと交差する位置において、第2の構成部材2B及び第3の構成部材2Cにそれぞれの長さ方向へ滑走可能に取付けられている。
また、各構成部材は円弧形状を有しており、略U字形の複数の第2のフレーム5はそれぞれ一方の端部が一方の固定具に、他方の端部が他方の固定具にそれぞれまとめて回動可能に取付けられているので、ビニール製のシート6が折畳まれた位置(図3(a)参照。)からビニール製のシート6が展開された位置(図3(b)参照。)まで円弧状に移動することになり、建造物11の外壁から所定の距離離れた位置まで本発明の遮蔽装置1によって囲まれた空間を形成する。
ここで、フレームがそれぞれ、遮蔽シートが折畳まれた位置と遮蔽シートが展開された位置との間を移動可能に構成されていれば、必ずしも第1のフレームは円弧形状を有していなくてもよく例えば直線形状を有して真っ直ぐ移動してもよく、また、第2のフレームは必ずしも両端部がそれぞれ固定具に回動可能に取付けられていなくてもよい。
【0025】
図4は、本発明を適用した遮蔽装置を地中に配置した第1の態様を説明する概略図である。ここで、図4(a)は開いた状態の遮蔽装置を示し、図4(b)は閉じた状態の遮蔽装置を示す。
図4において、本発明の遮蔽装置1は、互いに平行に配置されていると共に伸縮可能に構成された4つの円弧形状を有する第1のフレーム2と、扇形状のビニール製のシートの要部分に取付けられていると共に略U字形の複数の第2のフレームの端部がそれぞれ回動可能にまとめて取付けられる固定具4と、一方の固定具4に一方の端部が回動可能にまとめて取付けられていると共に他方の固定具4に他方の端部が回動可能にまとめて取付けられた略U字形の複数の第2のフレーム5と、第2のフレーム5に取付けられて遮蔽装置の屋根部と側面部を構成する折畳み可能な耐水性を有するビニール製のシート6とを備えている。
【0026】
また、第1のフレーム2はそれぞれ、筒状の円弧形状を有する第1の構成部材2Aと、第1の構成部材2A内に滑走可能に取付けられた筒状の円弧形状を有する第2の構成部材2Bと、第2の構成部材2B内に滑走可能に取付けられた筒状の円弧形状を有する第3の構成部材2Cと、第3の構成部材2C内に滑走可能に取付けられた第4の構成部材2Dとで構成されて、伸縮する構成となっている。また、第1の構成部材2Aは、地中に位置したままである。
また、断面形状が略U字形であると共に両端がそれぞれ固定具4上に配置されて両端を軸に回動可能に構成された雨樋13が、第4の構成部材2Dそれぞれの先端及び、第4の構成部材2Dの先端付近に位置すると共に遮蔽装置の両側に位置する第2のフレーム5に取付けられており、図4(a)に示すように、第1のフレーム2が縮んで全ての第1のフレーム2の構成部材と第2のフレーム5とビニール製のシート6とが地中に収納された場合、雨樋13は、これら部材が収納されたスペースの蓋となって雨樋13の底面が地面と略同じ高さに位置することになる。
【0027】
また、複数の第2のフレーム5はそれぞれ、第2の構成部材2B、第3の構成部材2C及び第4の構成部材2Dと交差する位置において、第2の構成部材2B、第3の構成部材2C及び第4の構成部材2Dにそれぞれの長さ方向へ滑走可能に取付けられている。
また、各構成部材は円弧形状を有しており、略U字形の複数の第2のフレーム5はそれぞれ一方の端部が一方の固定具に、他方の端部が他方の固定具にそれぞれまとめて回動可能に取付けられているので、ビニール製のシート6が折畳まれた位置(図4(a)参照。)からビニール製のシート6が展開された位置(図4(b)参照。)まで円弧状に移動することになり、地上に略U字形に配置されていると共にドア15及びシャッター16が形成されたコンクリート製の壁14に雨樋13が接触し、本発明の遮蔽装置1と壁14とで囲まれたドーム型建造物が形成される。
【0028】
また、図4(b)に拡大して示すように、第1のフレーム2が地中から伸びて、第4の構成部材2Dの先端等に取付けられた雨樋13が壁14に接触する。また、雨樋13は、断面形状が略U字形であるので、本発明の遮蔽装置1によって形成されたドーム型建造物の湾曲した屋根を伝って落ちる雨水を受けることができる。
【0029】
図5は、本発明を適用した遮蔽装置を地中に配置した第2の態様を説明する概略図である。ここで、図5(a)は開いた状態の遮蔽装置を示し、図5(b)は閉じた状態の遮蔽装置を示す。
図5において、本発明の遮蔽装置1は、互いに平行に配置されていると共に第1の方向へ伸長可能に構成された5つの円弧形状を有する第1のフレーム2と、互いに平行に配置されていると共に第2の方向へ伸長可能に構成された5つの円弧形状を有する第1のフレーム2と、扇形状のビニール製のシートの要部分に取付けられていると共に略U字形の複数の第2のフレームの端部がそれぞれ回動可能にまとめて取付けられる固定具4と、一方の固定具4に一方の端部が回動可能にまとめて取付けられていると共に他方の固定具4に他方の端部が回動可能にまとめて取付けられた略U字形の複数の第2のフレーム5と、第2のフレーム5に取付けられて遮蔽装置の屋根部と側面部を構成する折畳み可能な耐水性を有するビニール製のシート6とを備えている。
【0030】
また、第1のフレーム2はそれぞれ、筒状の円弧形状を有する第1の構成部材2Aと、第1の構成部材2A内に滑走可能に取付けられた筒状の円弧形状を有する第2の構成部材2Bと、第2の構成部材2B内に滑走可能に取付けられた筒状の円弧形状を有する第3の構成部材2Cと、第3の構成部材2C内に滑走可能に取付けられた第4の構成部材2Dとで構成されて、伸縮する構成となっている。また、第1の構成部材2Aは、地中に位置したままである。
また、第1のフレーム2を構成する各構成部材に第2のフレーム5は取付けられているので、各構成部材を動かして第1のフレーム2を伸縮させれば第2のフレーム5も回動させることができ、第1のフレーム2を第1の方向へ伸長させれば、第2のフレーム5も第1の方向へ回動する。また、第1の方向と第2の方向は互いに対向しており、第1の方向へ第1のフレーム2を伸長させると共に第2の方向へもう一方の第1のフレーム2を伸長させることで、各構成部材は円弧形状を有しており、略U字形の複数の第2のフレーム5はそれぞれ一方の端部が一方の固定具に、他方の端部が他方の固定具にそれぞれまとめて回動可能に取付けられているので、ビニール製のシート6が折畳まれた位置(図5(a)参照。)からビニール製のシート6が展開された位置(図5(b)参照。)まで円弧状に移動することになり、図5(a)に示すような地上に何もない状態から、図5(b)に示すような本発明の遮蔽装置1で囲まれたトンネル型の所定空間が形成される。
【0031】
また、第1の方向へ伸長する第1のフレーム2の先端及び第1の方向へ回動する先頭の第2のフレーム5と、第2の方向へ伸長する第1のフレーム2の先端及び第2の方向へ回動する先頭の第2のフレーム5とは、遮蔽装置が閉じた状態において互いに接触するが、第1のフレーム2及び第2のフレーム5それぞれの接触する領域にゴム磁石を取付けたり、第1の方向へ伸長する第1のフレーム2の先端に凹部を形成し、第2の方向へ伸長する第1のフレーム2の先端に凸部を形成して嵌合させたりして、遮蔽装置が閉じた際に屋根部の隙間形成を抑制することが好ましい。
ここで、フレームがそれぞれ、遮蔽シートが折畳まれた位置と遮蔽シートが展開された位置との間を移動可能に構成されていれば、必ずしも第1のフレームは円弧形状を有していなくてもよく例えば直線形状を有して真っ直ぐ移動してもよく、また、第2のフレームは必ずしも両端部がそれぞれ固定具に回動可能に取付けられていなくてもよい。
【0032】
図6は、本発明を適用した遮蔽装置を地中に配置した第3の態様を説明する概略図である。ここで、図6(a)は開いた状態の遮蔽装置を示し、図6(b)は閉じた状態の遮蔽装置を示す。
図6において、本発明の遮蔽装置1は、扇形状のゴム製のシートの要部分に取付けられていると共に略U字形の複数の第2のフレームの端部がそれぞれ回動可能にまとめて取付けられる固定具4と、一方の固定具4に一方の端部が第1の方向へ回動可能にまとめて取付けられていると共に他方の固定具4に他方の端部が第1の方向へ回動可能にまとめて取付けられた略U字形の複数の第2のフレーム5と、一方の固定具4に一方の端部が第2の方向へ回動可能にまとめて取付けられていると共に他方の固定具4に他方の端部が第2の方向へ回動可能にまとめて取付けられた略U字形の複数の第2のフレーム5と、第2のフレーム5に取付けられて遮蔽装置の屋根部と側面部を構成する折畳み可能な耐水性を有するゴム製のシート(遮蔽シートの一例である。)20とを備えている。
また、図6に示された本発明の遮蔽装置1は、他の図に示された本発明の遮蔽装置と異なり、伸縮可能な第1のフレーム2を備えていないので、第1のフレーム2を地中に収納するために地面を深く掘り下げる必要がない。
【0033】
また、図6(a)に示すように、本発明の遮蔽装置1が開いた状態即ち地中に収納された状態において、一番上に位置する第2のフレーム(先頭のフレーム)5は、図6(b)に示すように本発明の遮蔽装置1が閉じた状態において対向する方向から回動してきたフレームと接触する領域を有し、各先頭のフレームの接触領域には互いに異なる磁極を有するゴム磁石17が取付けられている。また、ゴム磁石の代わりにゴムパッキンを使用してもよい。
また、本発明の遮蔽装置1を作動させて閉じた状態にする場合、先頭のフレームが油圧式リフト機18によって持ち上げられると、他の第2のフレームは、先頭のフレームに取付けられたゴム製のシート20によって引っ張られて順次持ち上げられ、図6(b)に示すように先頭のフレームが地面に対して略垂直な位置に到達すると、互いに接触して作動が終了し、図6(a)に示すように地上に何もない状態から、図6(b)に示すような本発明の遮蔽装置1で囲まれたドーム型の所定空間が形成される。この場合、油圧式リフト機18によって先頭のフレームが持ち上げられた状態が維持される。
また、固定具4は、本発明の遮蔽装置1が収納される地中の収納スペース19の底面に設置されていて、収納スペース19の高さの範囲内に位置しており、また、収納スペース19の底面に接するゴム製のシート20は、フラットバー8を介して収納スペース19の底面にビスで固定されている。
また、略U字形の複数の第2のフレーム5はそれぞれ一方の端部が一方の固定具に、他方の端部が他方の固定具にそれぞれまとめて回動可能に取付けられているので、ゴム製のシート20が折畳まれた位置(図6(a)参照。)からゴム製のシート20が展開された位置(図6(b)参照。)まで円弧状に移動することになり、図6(a)に示すような地上に何もない状態から、図6(b)に示すような本発明の遮蔽装置1で囲まれたドーム型の所定空間が形成される。
【0034】
ここで、第1のフレーム2を備えずに、第2のフレーム5を備えた例を説明したが、第2のフレーム5を備えずに第1のフレーム2を備えた遮蔽装置であってもよいことは勿論である。
【0035】
このように、本発明の遮蔽装置は、複数の線状フレームがそれぞれ、遮蔽シートが折畳まれた位置と遮蔽シートが展開された位置との間を移動可能に構成されているので、支柱等他の部材を用いずに線状フレーム及び遮蔽シートで上部及び側面が囲まれた所定の空間を形成することができ、上方からのみならず横からの雨水の浸入も抑制することができる。
【0036】
また、複数の線状フレームはそれぞれ、互いに平行に配置されていると共に伸縮可能に構成されているので、遮蔽装置の規模が大きくても、複数のフレームが平行に配置されているため充分な強度を有することができる。
【0037】
また、複数の線状フレームの端部が取付けられる複数の固定具を備え、複数の線状フレームそれぞれの一方の端部は一方の固定具に回動可能にまとめて取付けられ、複数の線状フレームそれぞれの他方の端部は他方の固定具に回動可能にまとめて取付けられているので、遮蔽シートが折畳まれたときには線状フレームを重ねておくことができ、大きな収納スペースを必要としない。
【0038】
また、複数の線状フレームは、第1の方向へ伸長または回動する第1のフレーム群と第2の方向へ伸長または回動する第2のフレーム群とに分けられ、第1の方向と第2の方向は互いに対向するので、上部が開閉される空間を形成でき、適宜、開放的な空間を形成できる。
【0039】
また、複数の線状フレームが第1の方向と第2の方向それぞれに伸長または回動し、複数の線状フレームのうち、他のフレーム群と接触する線状フレームの領域にゴム製の磁石が取付けられているので、しっかりとフレーム同士を接合できるので、上部から所定の空間内への雨水の浸入も防ぐことができる。
【0040】
また、遮蔽シートは、メッシュシートを介して複数の線状フレームに取付けられているので、線状フレームと遮蔽シートとの間にメッシュシートが配置されることになるため、遮蔽シートの表面を伝った雨水が線状フレームにせき止められて遮蔽シート上に溜まることなく、メッシュシートを通過して排出される。
【0041】
また、ゲートボール場、テニス場、野球場、イベント会場等において、本発明の遮蔽装置を地中に設置しておけば、雨天の際には簡単に屋内空間を形成することができ、また、晴天の際には地中に収納して地上に何も残らず広場として使用できる。
また、家屋が建つ土地の地中に、家屋を囲むように設置しておけば、台風等から家屋を守ることもできる。また、家屋等の建造物外壁に設置すれば、建造物内への大水の侵入も防止できる。この際、遮蔽シートをゴム製のシートにしたり、2つの方向から開閉するタイプではフレームの接触領域にゴム磁石やゴムパッキンを使用したりすればより効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明を適用した遮蔽装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1に示す破線領域Aの拡大断面図である。
【図3】本発明を適用した遮蔽装置をビルの外壁に適用した例を説明する概略図である。
【図4】本発明を適用した遮蔽装置を地中に配置した第1の態様を説明する概略図である。
【図5】本発明を適用した遮蔽装置を地中に配置した第2の態様を説明する概略図である。
【図6】本発明を適用した遮蔽装置を地中に配置した第3の態様を説明する概略図である。
【図7】従来の折畳みテントを説明する概略図である。
【符号の説明】
【0043】
1 遮蔽装置
2 第1のフレーム
2A 第1の構成部材
2B 第2の構成部材
2C 第3の構成部材
2D 第4の構成部材
3 支柱
4 固定具
5 第2のフレーム
6 ビニール製のシート
7 滑車
8 フラットバー
9 連結具
10 メッシュシート
11 建造物
12 支持部材
13 雨樋
14 壁
15 ドア
16 シャッター
17 ゴム磁石
18 油圧式リフト機
19 収納スペース
20 ゴム製のシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の線状フレームと、該複数の線状フレームに取付けられた折畳み可能な遮蔽シートとを有する、所定の空間を形成する遮蔽装置であって、
前記複数の線状フレームはそれぞれ、前記遮蔽シートが折畳まれた位置と前記遮蔽シートが展開された位置との間を移動可能に構成された
ことを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
前記複数の線状フレームはそれぞれ、互いに平行に配置されていると共に伸縮可能に構成された
ことを特徴とする請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記複数の線状フレームの端部が取付けられる複数の固定具を備え、
前記複数の線状フレームそれぞれの一方の端部は一方の前記固定具に回動可能にまとめて取付けられ、前記複数の線状フレームそれぞれの他方の端部は他方の前記固定具に回動可能にまとめて取付けられた
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記複数の線状フレームは、第1の方向へ伸長する第1のフレーム群と第2の方向へ伸長する第2のフレーム群とに分けられ、同第1の方向と同第2の方向は互いに対向する
ことを特徴とする請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記複数の線状フレームは、第1の方向へ回動する第1のフレーム群と第2の方向へ回動する第2のフレーム群とに分けられ、同第1の方向と同第2の方向は互いに対向する
ことを特徴とする請求項3に記載の遮蔽装置。
【請求項6】
前記複数の線状フレームのうち、他のフレーム群と接触する線状フレームの領域にゴム製の磁石が取付けられた
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遮蔽装置。
【請求項7】
前記遮蔽シートは、メッシュシートを介して前記複数の線状フレームに取付けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の遮蔽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−231680(P2008−231680A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68862(P2007−68862)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(507088015)
【Fターム(参考)】