説明

遮音部材

【課題】 液体の圧力が加わっても、良好な遮音性を維持する遮音部材を提供する。
【解決手段】 液体中で使用される平板状の遮音部材1において、前記遮音部材1の内部であって厚さ方向の一方の側に設けられていると共に、前記長さ方向に垂直な平面による断面が、幅方向の一方の側から他方の側に向かうにしたがって広くなるような形状に形成されている第1の空間3と、前記遮音部材1の内部であって厚さ方向の他方の側に設けられていると共に、前記長さ方向に垂直な平面による断面が、幅方向の他方の側から一方の側に向かうにしたがって広くなるような形状に形成されている第2の空間5とを有し、厚さ方向から眺めたときに、前記第1の空間3の少なくとも一部と前記第2の空間5の少なくとも一部とが互いに重なり合っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮音部材に係り、特に、圧力の高い液体中で音を遮音するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中で使用される遮音板として、ゴム等を積層して内部に空間を設けた構成のもの(たとえば特許文献1参照)や、前記空間内に独立気泡ゴムやプラスチックハニカムを配置した構成のもの(たとえば特許文献2、特許文献3参照)が知られている。
【0003】
ここで、水中で使用される遮音板の原理について説明する。
【0004】
音は媒質が振動することによって伝達されるが、互いの性質が異なる媒質の境界においては音の一部が反射される。
【0005】
たとえば、水中に鉄板を沈め、水中のある1箇所で音波を発生させると、この音波が前記鉄板に到達し、この鉄板で水との境界で、音波の一部が反射され他の一部が前記鉄板を媒質として前記鉄板中を伝わる。
【0006】
仮に、前記鉄板での前記音波の反射率(反射係数)が大きいならば、音波は水と鉄板との境界で反射され前記鉄板内にはほとんど入り込まず、したがって、前記鉄板は遮音板として作用することになる。
【0007】
一方、前記鉄板での前記音波の反射率が小さいと仮定すると、音波は前記鉄板内に入り込み、したがって、前記鉄板は遮音板として作用しないことになる。
【0008】
互いの性質が異なる各媒質の境界における音波の反射率が高いか否かは、各媒質の密度ρと各媒質中での音速cとの積ρcの値に依存する。この積ρcの値の差(比)が大きいほど、反射率が高くなる。なお、前記積ρcは、音波の伝達媒質の性質を表す物理定数であり、前記積ρcを固有音響抵抗(specific acoustic resistance)という場合がある。
【0009】
たとえば、水の密度ρは、約1g/cmであり、水中での音速cは、約1500m/secであるので、前記音響抵抗ρは、約1500(単位は省略)になる。また、ゴム(たとえばウレタンゴム)の密度ρは、約1.5g/cmであり、ゴム中での音速cは、約2000m/secであるので、前記音響抵抗ρは、約3000(単位は省略)になる。そして、前記ゴムの音響抵抗ρと前記水の音響抵抗ρとの比rは、約2になる。
【0010】
一方、空気の密度ρは、約1.13×10−3g/cmであり、空気中での音速cは、約330m/secであるので、前記音響抵抗ρは、約3.73×10−2(単位は省略)になり、前記水の音響抵抗ρと前記空気の音響抵抗ρとの比rは、約4.02×10になる。
【0011】
したがって、ゴムと水との境界よりも、ゴムと空気との境界のほうが、はるかに多くの音を反射することになる。さらに、ゴムは、空気中では良好な遮音部材として作用するが、水中では、遮音部材としては適していないということも言える。
【0012】
前記従来の遮音板は、ゴムと空気との境界では、音の反射率が高いことに着目し、ゴム内に空気等で満たされた空間を設けているものである。
【特許文献1】特開2001−166779号公報
【特許文献2】特開平8−160965号公報
【特許文献3】特開平8−294980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、水中の深いところに前記特許文献1に記載の従来の遮音板を設置すると、水中の高い圧力によって、前記遮音板内の空間の一部が押し潰され、前記空間の一方の内壁(前記遮音板の厚さ方向の一方の内壁)と前記空間の他方の内壁(前記遮音板の厚さ方向の他方の内壁)とが、前記空間のたとえば中央部で互いに接触する場合がある。
【0014】
このように内壁同士が接触した部位が形成されると、前記内壁同士の接触部位では、空気が存在していないので、音波が伝達しやすくなり、遮音板の遮音性が阻害されるという問題がある。
【0015】
また、前記特許2に記載の従来の遮音板では、空間内に独立気泡ゴムを設けてあるので、水中で圧力がかかっても、前記特許文献1に記載の従来の遮音板のように、空間の内壁同士が接触するおそれは少ないが、独立気泡ゴムが設けてあることにより、空気のみで空間が形成されている場合に比べ、音波の反射率が低下する。なお、水中の圧力により前記空間内の独立気泡ゴムが圧縮されると、音波の反射率が一層低下することがある。
【0016】
さらに、前記特許3に記載の従来の遮音板では、空間内にプラスチックハニカムを設けてあるので、水中で圧力がかかっても、前記特許文献2に記載の前記従来の遮音板と同様に、空間の内壁同士が接触するおそれはないが、前記ハニカムを音波が通過し、空気のみで空間が形成されている場合に比べ、音波の反射率が低下する。
【0017】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、液体中で使用される遮音部材において、前記液体の圧力が加わっても、良好な遮音性を維持することができる遮音部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載の発明は、液体中で使用される遮音部材において、前記遮音部材の内部で前記遮音部材の一方の側に設けられている第1の空間と、前記遮音部材の内部で前記遮音部材の他方の側に設けられていると共に、前記遮音部材の内部に存在している内部隔壁を間にして、前記第1の空間から離れて設けられている第2の空間とを有し、前記遮音部材の一方の側と前記遮音部材の他方の側とを互いに結ぶ方向から眺めたときに、前記第1の空間の少なくとも一部と前記第2の空間の少なくとも一部とが互いに重なり合っており、前記遮音部材の外部の液体の圧力で、前記一方の側における前記遮音部材の外部と前記第1の空間との間に形成されている第1の隔壁が前記遮音部材の内側に撓み、前記第1の隔壁と前記内部隔壁とが互いに接触して第1の接触部が形成されるようになっており、前記遮音部材の外部の液体の圧力で、前記他方の側における前記遮音部材の外部と前記第2の空間との間に形成されている第2の隔壁が前記遮音部材の内側に撓み、前記第2の隔壁と前記内部隔壁とが互いに接触して第2の接触部が形成されるようになっており、前記遮音部材の一方の側と前記遮音部材の他方の側とを互いに結ぶ方向から眺めたときに、前記第1の接触部と前記第2の接触部とは、前記第1の空間と前記第2の空間とが互いに重なり合っている範囲内に存在していると共に、前記遮音部材の外部の液体の圧力が所定の大きさの圧力になるまでは、前記第1の接触部と前記第2の接触部とが異なったところに形成されるようになっている遮音部材である。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遮音部材において、前記遮音部材の外形は平板状に形成されており、前記第1の空間は、前記遮音部材の厚さ方向の一方の側で、前記遮音部材の厚さ方向の端面に沿って広がって形成されており、前記2の空間は、前記遮音部材の厚さ方向の他方の側で、前記遮音部材の厚さ方向の端面に沿って広がって形成されている遮音部材である。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載に遮音部材において、前記遮音部材の外部の液体の圧力が前記所定の大きさの圧力になるまでに形成される前記第1の接触部における前記第1の空間の厚さが、前記第1の接触部が形成される部位以外の部位における前記第1の空間の厚さよりも薄くなっており、前記遮音部材の外部の液体の圧力が前記所定の大きさの圧力になるまでに形成される前記第2の接触部における前記第2の空間の厚さが、前記第2の接触部が形成される部位以外の部位における前記第2の空間の厚さよりも薄くなっている遮音部材である。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の遮音部材において、前記遮音部材の外部の液体の圧力が前記所定の大きさの圧力になるまでに形成される前記第1の接触部以外の部位を前記第1の空間に形成するための第1の補強部材が設けられており、前記遮音部材の外部の液体の圧力が前記所定の大きさの圧力になるまでに形成される前記第2の接触部以外の部位を前記第2の空間に形成するための第2の補強部材が設けられている遮音部材である。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の遮音部材において、前記補強部材は、前記遮音部材同士を互いに接続するための接続部材としての機能を備えた部材である遮音部材である。
【0023】
請求項6に記載の発明は、液体中で使用される平板状の遮音部材において、前記遮音部材の内部であって前記遮音部材の厚さ方向の一方の側で前記遮音部材の幅方向に延伸し前記遮音部材の長さ方向に延伸して設けられていると共に、前記長さ方向に垂直な平面による断面が、前記遮音部材の幅方向の一方の側から他方の側に向かうにしたがって広くなるような形状に形成されている第1の空間と、前記遮音部材の内部であって前記遮音部材の厚さ方向の他方の側で前記遮音部材の幅方向に延伸し前記遮音部材の長さ方向に延伸して前記第1の空間とは離れて設けられていると共に、前記長さ方向に垂直な平面による断面が、前記遮音部材の幅方向の前記他方の側から前記一方の側に向かうにしたがって広くなるような形状に形成されている第2の空間とを有し、前記遮音部材の厚さ方向から眺めたときに、前記第1の空間の少なくとも一部と前記第2の空間の少なくとも一部とが互いに重なり合っている遮音部材である。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の遮音部材において、前記第1の空間の、前記遮音部材の幅方向の他方の側に位置している端部、この端部の近傍、または、前記遮音部材の幅方向の端部に補強部材が設けられている遮音部材である。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の遮音部材において、前記遮音部材の肉部は合成樹脂、ゴム等の高分子化合物で構成されている遮音部材である。
【0026】
請求項9に記載の発明は、液体中で使用される平板状の遮音部材において、前記遮音部材の内部で前記遮音部材の幅方向に延伸し前記遮音部材の長さ方向に延伸して設けられている空間を有し、前記遮音部材の肉部は、金属で構成されており、前記遮音部材の全体の比重が、前記液体の比重とほぼ等しいか、前記液体の比重よりも僅かに大きくなっている遮音部材である。
【0027】
請求項10に記載の発明は、液体中で使用される遮音部材において、前記遮音部材の内部には複数の空間が設けられており、前記遮音部材の一方の側と前記遮音部材の他方の側とを互いに結ぶ方向から眺めたときに、前記各空間の少なくとも一部が互いに重なり合っており、前記遮音部材の外部の液体の圧力により、前記各空間が変形し前記各空間の内壁の一部が互いに接触して接触部が形成されるようになっており、前記遮音部材の一方の側と前記遮音部材の他方の側とを互いに結ぶ方向から眺めたときに、前記接触部は、前記各空間が重なり合っている範囲内に形成されると共に、前記遮音部材の外部の液体の圧力が所定の大きさの圧力になるまでは、前記各空間が重なり合っている全範囲をおおうように、前記各空間のうちのいずれかの空間の非接触部が存在している遮音部材である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、液体中で使用される遮音部材において、前記液体の圧力が加わっても、良好な遮音性を維持することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る遮音部材1の概略構成を示す図であり、図2は、図1におけるII矢視を示す図であり、図3は、図1におけるIIIA−IIIB断面を示す図である。
【0030】
遮音部材1は、海水中、湖水中、河川の水中等の液中で使用されるものである。本実施形態では、海水中で使用される場合を例に掲げて説明する。
【0031】
前記遮音部材1の外形は、たとえば、矩形状であって平板状に形成されており、遮音部材1の肉部(材質部)は、液体を通さない合成樹脂(たとえば、アクリル、ポリエチレン)、ゴム(たとえば、ネオプレンゴム、シリコンゴム)等の高分子化合物で構成されており、前記遮音部材1の内部には、空気等の気体が入っている第1の空間3と第2の空間5とが設けられている。
【0032】
前記第1の空間3は、たとえば、前記遮音部材1の厚さ方向の一方の側で、前記遮音部材1の厚さ方向の端面に沿って、板状に広がって形成されて設けられており、前記2の空間5も、前記遮音部材1の厚さ方向の他方の側で、前記遮音部材1の厚さ方向の端面に沿って、板状に広がって形成されて設けられている。
【0033】
前記第2の空間5は、前記遮音部材1の内部に存在している内部隔壁7を間にして、前記第1の空間3から離れた状態で(前記第1の空間3とは連通していない状態で)設けられている。
【0034】
そして、前記遮音部材1の前記一方の側と前記遮音部材1の前記他方の側とを互いに結ぶ方向(前記遮音部材1の厚さ方向)から眺めると、図2の符号17で示す範囲で、前記第1の空間3の一部と前記第2の空間5の一部とが、互いに重なり合っている。
【0035】
なお、前記第1の空間3の全部と前記第2の空間5の全部とが互いに重なり合うように構成されていてもよく(図4や図5参照)、または、前記第1の空間3の一部と前記第2の空間5の全部とが互いに重なり合うように構成されていてもよい。すなわち、前記第1の空間3の少なくとも一部と前記第2の空間5の少なくとも一部とが互いに重なり合うように構成されていてもよい。
【0036】
前記遮音部材1を海水中の深いところに設置した場合、前記遮音部材1の外部の海水の圧力で、前記一方の側(遮音部材1の厚さ方向の一方の側)における前記遮音部材の外部と前記第1の空間3との間に形成されている第1の隔壁9が、前記遮音部材1の内側に図3に破線で示すように撓み、前記第1の隔壁9の一部と前記内部隔壁7の一部とが互いに接触して第1の接触部11が形成されるようになっている。
【0037】
また、前記他方の側(遮音部材1の厚さ方向の他方の側)における前記遮音部材1の外部と前記第2の空間5との間に形成されている第2の隔壁13が、前記遮音部材1の内側に図3に破線で示すように撓み、前記第2の隔壁13の一部と前記内部隔壁7の一部とが互いに接触して第2の接触部15が形成されるようになっている。
【0038】
また、前記遮音部材1の一方の側と前記遮音部材1の他方の側とを互いに結ぶ方向(前記遮音部材1の厚さ方向)から眺めたときに、前記第1の接触部11と前記第2の接触部15とは、前記第1の空間3と前記第2の空間5とが互いに重なり合っている範囲17内に存在していると共に、前記遮音部材1の外部の海水圧力が所定の大きさの圧力になるまでは、前記第1の接触部11と前記第2の接触部15とが異なったところに形成されるようになっている(図2、図3参照)。
【0039】
さらに、前記遮音部材1を海水中の深いところに設置する前の状態、すなわち、前記遮音部材1の外部に大きな圧力がかかっておらず前記遮音部材1が変形していない状態では、前記第1の接触部11における前記第1の空間3の厚さ(前記遮音部材1の厚さ方向の厚さ)は、前記第1の接触部が形成される部位以外の部位19における前記第1の空間3の厚さ(前記遮音部材1の厚さ方向の厚さ)よりも、薄くなっている。つまり、図3に示す厚さT1よりも厚さT3のほうが薄くなっている。
【0040】
また、前記第1の空間3の場合と同様に、前記第2の接触部15における前記第2の空間5の厚さ(前記遮音部材1の厚さ方向の厚さ)は、前記第2の接触部が形成される以外の部位21における前記第2の空間5の厚さ(前記遮音部材の厚さ方向の厚さ)よりも、薄くなっている。つまり、図3に示す厚さT5よりも厚さT7のほうが薄くなっている。
【0041】
ここで、前記各空間3、5の形態について例を掲げてより詳しく説明する。
【0042】
図3に示すように、前記第1の空間3は、前記遮音部材1の厚さ方向の一方の側で前記遮音部材1の幅方向に延伸していると共に前記遮音部材1の長さ方向に延伸して、前記遮音部材1の厚さ方向で薄く形成されて設けられている。
【0043】
また、前記第1の空間3の断面(遮音部材1の長さ方向に垂直な平面による断面)は、前記遮音部材1の幅方向の一方の側から他方の側に向かうにしたがって徐々に広くなるような三角形状に形成されている。
【0044】
前記第2の空間5は、前記遮音部材1の厚さ方向の他方の側で前記遮音部材1の幅方向に延伸していると共に前記遮音部材1の長さ方向に延伸して、前記遮音部材1の厚さ方向で薄く形成されて設けられている。
【0045】
また、前記第2の空間5の断面(遮音部材1の長さ方向に垂直な平面による断面)は、前記遮音部材1の幅方向の他方の側から一方の側に向かうにしたがって徐々に広くなるような三角形状に形成されている。
【0046】
さらに、前記遮音部材1の厚さ方向から眺めたときに、前記第1の空間3の一部と前記第2の空間5の一部とが互いに重なり合っている(図2の符号17参照)。
【0047】
さらに、詳しく説明すると、図3に示すように、前記第1の空間3の断面形状は、1つ目の角が直角よりも僅かに小さな角度であり、2つ目の角が小さな鋭角である直角三角形状に形成されている。また、直角を挟んでいる一方の短い辺が前記遮音部材1の幅方向の他方の端面の近くに位置しており(端面と平行になるように位置しており)、直角を挟んでいる他方の長い辺が前記遮音部材1の厚さ方向の一方の面と平行になっていると共に、前記2つ目の小さな角が前記遮音部材1の幅方向の一方の面の近くに位置している。
【0048】
前記第2の空間5の断面形状も、前記第1の空間3の断面形状と同様に、1つ目の角が直角よりも僅かに小さな角度であり、2つ目の角が小さな鋭角である直角三角形状に形成されている。また、直角を挟んでいる一方の短い辺が前記遮音部材1の幅方向の一方の端面の近くに位置しており(端面と平行になるように位置しており)、直角を挟んでいる他方の長い辺が前記遮音部材1の厚さ方向の他方の面と平行になっていると共に、前記2つ目の小さな角が前記遮音部材1の幅方向の前記他方の面の近くに位置している。
【0049】
また、前記第1の空間3、前記第2の空間5が前述したように形成され配置されていることにより、前記第1の空間3の前記三角形状の断面の斜辺と、前記第2の空間5の前記三角形状の断面の斜辺とは、互いに平行になっており、前記各斜辺の間には、前記第1の空間3と前記第2の空間5とを仕切っている内部隔壁7が形成されている。
【0050】
なお、前述したように、前記遮音部材1の厚さ方向から眺めたときに、図4(遮音部材における内部空間の別の配置形態を示す図であり、図1のIIIA−IIIB断面に相当する図)に示すように、前記第1の空間3の全部と、前記第2の空間5の全部が互いに重なっていてもよい。さらに、前記第1の空間3の一部と、前記第2の空間5の全部が互いに重なっていてもよい。
【0051】
また、図5(遮音部材における内部空間の別の配置形態を示す図であり、図1のIIIA−IIIB断面に相当する図)に示すように、第1の空間3の断面形状を、前記遮音部材1の幅方向の他方の側から前記遮音部材1の幅方向の一方の側の端部の近傍までの間では、前記一方の側に向かうにしたがって徐々に広くなっており、前記遮音部材1の幅方向の一方の側の端部の近傍から前記遮音部材1の幅方向の一方の側の端部までの間では、急激に狭くなるような三角形状に形成してもよい。さらに、前記第2の空間5を前記第1の空間3と同様な形状に形成してもよい。
【0052】
なお、図3〜図5に示す各空間3、5は、前記遮音部材1の長さ方向で一様な形状になっているが、必ずしも一様な形状である必要はなく、前記遮音部材1の長さ方向で形状が適宜変化していてもよい。
【0053】
ところで、前記遮音部材1には、図3で示すように、前記第1の接触部11以外の部位19を前記第1の空間3に形成するための第1の補強部材(たとえば金属等の剛性の互い部材で構成された補強部材)23が設けられている。
【0054】
前記第1の補強部材23は、前記第1の空間3の、前記遮音部材1の幅方向の他方の側に位置している端部で、前記遮音部材1の厚さ方向に延びて設けられている。また、前記第1の補強部材23の幅(前記遮音部材1の幅と同じ方向の幅)は狭くなっており、したがって、遮音部材1の厚さ方向に垂直な断面による前記第1の補強部材23の断面は小さく形成されている。
【0055】
なお、前記補強部材23は、前記遮音部材1の長さ方向に連続して設けられていてもよいし、間隔をあけて断続的に設けられていてもよい。
【0056】
また、前記遮音部材1には、前記第2の接触部15以外の部位21を前記第2の空間5に形成するために、第1の補強部材23と同様な第2の補強部材25が、前記第2の空間5の、前記遮音部材1の幅方向の一方の側に位置している端部に設けられている。
【0057】
なお、図6(補強部材の他の設置形態を示す図)に示すように、前記第1の補強部材23が、前記第1の空間3の、前記遮音部材1の幅方向の他方の側に位置している端部の近傍に設けられていてもよい。
【0058】
すなわち、たとえば、PS1で示すように前記第1の空間3内や、PS5で示すように前記遮音部材1の幅方向の端部に設けられていてもよい。さらに、前記第2の補強部材25についても、前記第1の補強部材23と同様に、PS3やPS7で示す位置に設置されていてもよい。
【0059】
また、前記各補強部材23、25がPS5やPS7で示すように前記遮音部材1の幅方向の端部に設けられている場合において、前記各補強部材23、25を、前記遮音部材1の厚さ方向に延出させ、この延出した部分によって、前記遮音部材1同士を互いに接続するための接続部材としての機能を、前記各補強部材23、25が備えるようにしてもよい。
【0060】
つまり、前記各補強部材23、25を互いに接触させて対向させ、ボルト等の締結具で前記延出した部分を互いに固定することによって、前記各遮音部材1を互いに接続するようにしてもよい。
【0061】
また、図4や図5に示す遮音部材においても、図3や図6に示す遮音部材1と同様に、補強部材23、25を設置してもよい。
【0062】
遮音部材1によれば、遮音部材1の一方の側と遮音部材1の他方の側とを互いに結ぶ方向(たとえば遮音部材1の厚さ方向)から眺めたときに、前記遮音部材1の外部の海水の圧力が所定の大きさの圧力になるまでは、前記第1の接触部11と前記第2の接触部15とが異なったところに形成されるようになっている。
【0063】
したがって、前記所定の圧力になるまでは、前記遮音部材1の厚さ方向から前記遮音部材1に進入した音波が、固有音響抵抗(背景技術のところで説明)が大きく異なることによって、前記遮音部材1の内部に存在している第1の空間3(圧力により破線で示すように小さくなった空間)と前記遮音部材1の材質部(肉部)との境界で反射するか、前記遮音部材1の内部に存在している第2の空間5(圧力により破線で示すように小さくなった空間)と前記遮音部材の材質部(肉部)との境界で反射するので、海水の圧力が加わっても、良好な遮音性を維持することができる。
【0064】
すなわち、図3に各矢印AR1で示すように、図3の下から遮音部材1に向かって音波が到来した場合、この音波は、前記第1の空間3(圧力により破線で示すように小さくなった空間)と前記遮音部材1の材質部との境界、または、前記第2の空間5(圧力により破線で示すように小さくなった空間)と前記遮音部材1の材質部との境界のところで反射され、良好な遮音性を維持することができる。
【0065】
なお、大きな圧力がかかっていない場合には、前記遮音部材1の厚さ方向から眺めたときに、第1の空間3と第2の空間5とが互いに重なり合っている部位が、広く形成されているので、遮音効果は当然に維持されている。
【0066】
また、遮音部材1によれば、各補強部材23、25が設けられているので、各補強部材23、25が設けられている箇所において前記第1の空間3や前記第2の空間5が一層つぶれにくくなっており、遮音部材1がより圧力の高い海水中で使用されても、遮音効果を維持することができる。
【0067】
また、各補強部材23、25が設けられているので、第1の空間3や第2の空間5の厚さ(前記遮音部材1の厚さ方向における厚さ)を薄くしても、海水中で圧力がかかったときに、前記第1の接触部11と前記第2の接触部15とを異なったところに形成させることができ、遮音部材1の厚さを薄く形成しても、遮音性を良好な状態に保つことができるようになっている。
【0068】
また、遮音部材1において、前記各補強部材23、25に、前記各遮音部材1同士を互いに接続するための接続部材としての機能を持たせれば、別途接続用部材を設けることなく、各遮音部材1同士を容易に接続することができる。
【0069】
さらに、遮音部材1によれば、前記遮音部材1の肉部を、比重が海水の比重に近いゴムや合成樹脂で構成してあるので、遮音部材1全体の比重(内部に形成されている各空間3、5を含めた比重)が海水の比重に近くなっており、したがって、前記遮音部材1を海中に沈めて設置した場合、前記遮音部材1の重量が海水の浮力で小さくなり、前記遮音部材1を支持することが容易になる。
【0070】
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態に係る遮音部材1aの概略構成を示す図であり、図1のIIIA−IIIB断面に相当する図である。
【0071】
第2の実施形態に係る遮音部材1aは、遮音部材の内部に形成されている各空間(第1の空間33、第2の空間35)の形態が、前記第1の実施形態に係る遮音部材1と異なり、その他の点は、前記第1の実施形態に係る遮音部材1とほぼ同様に構成されほぼ同様の効果を奏する。
【0072】
すなわち、発明の第2の実施形態に係る遮音部材1aは、第1の空間33と第2の空間35とを内部に備えている。
【0073】
そして、前記第1の空間33は、前記遮音部材1aの厚さ方向の一方の側で、前記遮音部材1aの幅方向に延伸し前記遮音部材1aの長さ方向に延伸し、前記遮音部材1aの厚さ方向で薄く形成されて設けられていると共に、前記長さ方向に垂直な平面による断面が、前記遮音部材1aの幅方向の一方の側の部位から前記遮音部材1aの幅方向の中間部に至るまでは第1の所定の幅T11を備えた矩形状に形成され、前記遮音部材1aの幅方向の前記中間部から前記遮音部材1aの幅方向の他方の側の部位に至るまでは第1の所定の幅T11よりも広い第2の所定の幅T13を備えた矩形状に形成されていることにより、「L」字状に形成されている。
【0074】
また、前記第2の空間35は、前記遮音部材1aの厚さ方向の他方の側で、前記遮音部材1aの幅方向に延伸し前記遮音部材の長さ方向に延伸し、前記遮音部材1aの厚さ方向で薄く形成されて設けられていると共に、前記長さ方向に垂直な平面による断面が、前記遮音部材1aの幅方向の他方の側の部位から前記遮音部材1aの幅方向の中間部に至るまでは第3の所定の幅T15を備えた矩形状に形成され、前記遮音部材1aの幅方向の中間部から前記遮音部材1aの幅方向の一方の側の部位に至るまでは第3の所定の幅T15よりも広い第4の所定の幅T17を備えた矩形状に形成されていることにより、「L」字状に形成されている
また、前記遮音部材1aの厚さ方向から眺めたときに、前記第1の空間33の一部(幅T11の部位)と前記第2の空間35の一部(幅T15の部位)とが互いに重なり合っている。
【0075】
そして、前記遮音部材1aを圧力が高い海水中に設置すると、図7に破線で示すように、前記遮音部材1aの外壁が撓み、各空間33、35に各接触部37、39が形成されるが、これらの各接触部37、39は、前記遮音部材1aの厚さ方向から眺めたときに、前記第1の実施形態に係る遮音部材1と同様に、互いが異なる箇所に形成されるようになっている。
【0076】
なお、補強部材23は、たとえば、前記第1の空間33の端部(前記第2の所定の幅T13で形成されている部位の端部)に設けられており、補強部材25は、たとえば、前記第2の空間35の端部(前記第4の所定の幅T17で形成されている部位の端部)に設けられている。
【0077】
[第3の実施形態]
図8は、本発明の第3の実施形態に係る遮音部材1bの概略構成を示す図であり、図1のIIIA−IIIB断面に相当する図である。
【0078】
第3の実施形態に係る遮音部材1bは、遮音部材の内部に形成されている各空間(第1の空間43、第2の空間45)の形態が、前記第1の実施形態に係る遮音部材1と異なり、その他の点は、前記第1の実施形態に係る遮音部材1とほぼ同様に構成されほぼ同様の効果を奏する。
【0079】
すなわち、発明の第3の実施形態に係る遮音部材1bは、第1の空間43と第2の空間45とを内部に備えている。
【0080】
そして、前記第1の空間43は、前記遮音部材1bの厚さ方向の一方の側で、前記遮音部材1bの幅方向に延伸し前記遮音部材1bの長さ方向に延伸し、前記遮音部材1bの厚さ方向で薄く形成されて設けられていると共に、前記遮音部材1bの長さ方向に垂直な平面による断面が、長い帯状(たとえば長方形状)に形成されている。
【0081】
また、前記第2の空間45も、前記第1の空間43と同様に、前記遮音部材1bの厚さ方向の他方の側で、前記遮音部材1bの幅方向に延伸し前記遮音部材1bの長さ方向に延伸し、前記遮音部材1bの厚さ方向で薄く形成されて設けられていると共に、前記長さ方向に垂直な平面による断面が、長い帯状(たとえば長方形状)に形成されている。
【0082】
また、前記遮音部材1bの厚さ方向から眺めたときに、前記第1の空間43の少なくとも一部と前記第2の空間45の少なくとも一部とが互いに重なり合っている。
【0083】
たとえば、前記第1の空間43は、前記遮音部材1bの幅方向の一方の端面の近傍から他方の端面から所定の距離だけ離れたところまで、延伸して形成されている。前記第2の空間45は、前記遮音部材1bの幅方向の他方の端面の近傍から一方の端面から所定の距離だけ離れたところまで、延伸して形成されている。
【0084】
そして、前記遮音部材1bを圧力が高い海水中に設置すると、図8に破線で示すように、前記遮音部材1bの外壁が撓み、各空間43、45に各接触部47、49が形成されるが、これらの各接触部47、49は、前記遮音部材1bの厚さ方向から眺めたときに、前記第1の実施形態に係る遮音部材1と同様に、互いが異なる箇所に形成されるようになっている。
【0085】
なお、補強部材23は、前記遮音部材1bの幅方向の一方の端面の近傍に位置している前記第1の空間43の端部に設けられており、補強部材25は、前記遮音部材1bの幅方向の他方の端面の近傍に位置している前記第2の空間45の端部に設けられている。
【0086】
さらに、図9(第3の実施形態に係る遮音部材の変形例を示す図であり、図8に対応する図)に示すように、前記第1の空間43と同様に形成された第1の空間53と、前記第2の空間45と同様に形成された第2の空間55とを配置し、前記遮音部材1bの厚さ方向から眺めた場合、第1の空間53の全部と前記第2の空間55の全部とが互いに重なり合うようにしてもよい。
【0087】
この場合、補強部材23を、たとえば、前記遮音部材の幅方向の一端部側で前記第1の空間53内に設置し、補強部材25を、たとえば、前記遮音部材の幅方向の他端部側で前記第2の空間55内に設置するようにする。
【0088】
すると、図9に破線で示すように海水の圧力で前記遮音部材の外壁が撓み各空間53、55に各接触部57、59が形成されても、これらの各接触部57、59は、前記遮音部材の厚さ方向から眺めたときに、前記第1の実施形態に係る遮音部材1と同様に、互いが異なる箇所に形成される。
【0089】
ところで、前記各実施形態では、第1の内部空間と第2の内部空間とを適宜設けてあるが、次のような構成の遮音部材にしてもよい。
【0090】
すなわち、外形が平板状に形成され、内部で前記遮音部材の幅方向に延伸し前記遮音部材の長さ方向に延伸し、前記遮音部材の厚さ方向で薄く形成されて設けられている空間を有し、肉部が鋼等の金属(剛性の高い部材)で構成され、全体の比重(全体の重量を空間と肉部との容積で除した値)が、前記海水の比重とほぼ等しいか、海水の比重よりも僅かに大きくなっている遮音部材にしてもよい。
【0091】
前記遮音部材によれば、全体の比重が、海水の比重とほぼ等しいか、海水の比重よりも僅かに大きくなっている。したがって、前記遮音部材を海中に沈めて設置した場合、前記遮音部材の重量が小さくなり、前記遮音部材を支持することが容易になる。
【0092】
また、剛性の高い金属で遮音部材の肉部が形成されているので、海水中の圧力によっても、遮音部材が変形しにくくなっており、したがって空間が潰れにくくなっており、良好な遮音性を維持することができる。
【0093】
ところで、前記各実施形態に係る遮音部材では、2つの空間を設けてある場合を例に掲げて説明したが、前記空間が3つ以上の複数設けられていてもよい。
【0094】
すなわち、前記各実施形態に係る遮音部材において、前記遮音部材の内部には複数の空間が独立して設けられており、前記遮音部材の一方の側と前記遮音部材の他方の側とを互いに結ぶ方向から眺めたときに、前記各空間の少なくとも一部が互いに重なり合っており、前記遮音部材の外部の液体の圧力により、前記各空間が変形し前記各空間の内壁の一部が互いに接触して接触部が形成されるようになっており、前記遮音部材の一方の側と前記遮音部材の他方の側とを互いに結ぶ方向から眺めたときに、前記接触部は、前記各空間が重なり合っている範囲内に形成されると共に、前記遮音部材の外部の液体の圧力が所定の大きさの圧力になるまでは、前記各空間が重なり合っている全範囲をおおうように、前記各空間のうちのいずれかの空間の非接触部(前記接触部以外の部位)が存在しているようにしてもよい。
【0095】
換言すれば、前記遮音部材の一方の側と前記遮音部材の他方の側とを互いに結ぶ方向から眺めたときに、前記遮音部材の外部の液体の圧力が所定の大きさの圧力になるまでは、前記各空間が重なり合っている範囲のうちのいずれの部位においても、前記各空間のうちのいずれかの空間の非接触部が存在しているようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る遮音部材の概略構成を示す図である。
【図2】図1におけるII矢視を示す図である。
【図3】図1におけるIIIA−IIIB断面を示す図である。
【図4】遮音部材の内部空間の別の配置形態を示す図であり、図1のIIIA−IIIB断面に相当する図である。
【図5】遮音部材の内部空間の別の配置形態を示す図であり、図1のIIIA−IIIB断面に相当する図である。
【図6】補強部材の他の設置形態を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る遮音部材の概略構成を示す図であり、図1のIIIA−IIIB断面に相当する図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る遮音部材の概略構成を示す図であり、図1のIIIA−IIIB断面に相当する図である。
【図9】第3の実施形態に係る遮音部材の変形例を示す図であり、図8に対応する図である。
【符号の説明】
【0097】
1、1a、1b 遮音部材
3、33、43 第1の空間
5、35、45 第2の空間
7 内部隔壁
9 第1の隔壁
11 第1の接触部
13 第2の隔壁
15 第2の接触部
19 第1の接触部以外の部位
21 第2の接触部以外の部位
23、25 補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中で使用される遮音部材において、
前記遮音部材の内部で前記遮音部材の一方の側に設けられている第1の空間と;
前記遮音部材の内部で前記遮音部材の他方の側に設けられていると共に、前記遮音部材の内部に存在している内部隔壁を間にして、前記第1の空間から離れて設けられている第2の空間と;
を有し、前記遮音部材の一方の側と前記遮音部材の他方の側とを互いに結ぶ方向から眺めたときに、前記第1の空間の少なくとも一部と前記第2の空間の少なくとも一部とが互いに重なり合っており、
前記遮音部材の外部の液体の圧力で、前記一方の側における前記遮音部材の外部と前記第1の空間との間に形成されている第1の隔壁が前記遮音部材の内側に撓み、前記第1の隔壁と前記内部隔壁とが互いに接触して第1の接触部が形成されるようになっており、
前記遮音部材の外部の液体の圧力で、前記他方の側における前記遮音部材の外部と前記第2の空間との間に形成されている第2の隔壁が前記遮音部材の内側に撓み、前記第2の隔壁と前記内部隔壁とが互いに接触して第2の接触部が形成されるようになっており、
前記遮音部材の一方の側と前記遮音部材の他方の側とを互いに結ぶ方向から眺めたときに、前記第1の接触部と前記第2の接触部とは、前記第1の空間と前記第2の空間とが互いに重なり合っている範囲内に存在していると共に、前記遮音部材の外部の液体の圧力が所定の大きさの圧力になるまでは、前記第1の接触部と前記第2の接触部とが異なったところに形成されるようになっていることを特徴とする遮音部材。
【請求項2】
請求項1に記載の遮音部材において、
前記遮音部材の外形は平板状に形成されており、
前記第1の空間は、前記遮音部材の厚さ方向の一方の側で、前記遮音部材の厚さ方向の端面に沿って広がって形成されており、
前記2の空間は、前記遮音部材の厚さ方向の他方の側で、前記遮音部材の厚さ方向の端面に沿って広がって形成されていることを特徴とする遮音部材。
【請求項3】
請求項2に記載に遮音部材において、
前記遮音部材の外部の液体の圧力が前記所定の大きさの圧力になるまでに形成される前記第1の接触部における前記第1の空間の厚さが、前記第1の接触部が形成される部位以外の部位における前記第1の空間の厚さよりも薄くなっており、
前記遮音部材の外部の液体の圧力が前記所定の大きさの圧力になるまでに形成される前記第2の接触部における前記第2の空間の厚さが、前記第2の接触部が形成される部位以外の部位における前記第2の空間の厚さよりも薄くなっていることを特徴とする遮音部材。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の遮音部材において、
前記遮音部材の外部の液体の圧力が前記所定の大きさの圧力になるまでに形成される前記第1の接触部以外の部位を前記第1の空間に形成するための第1の補強部材が設けられており、
前記遮音部材の外部の液体の圧力が前記所定の大きさの圧力になるまでに形成される前記第2の接触部以外の部位を前記第2の空間に形成するための第2の補強部材が設けられていることを特徴とする遮音部材。
【請求項5】
請求項4に記載の遮音部材において、
前記補強部材は、前記遮音部材同士を互いに接続するための接続部材としての機能を備えた部材であることを特徴とする遮音部材。
【請求項6】
液体中で使用される平板状の遮音部材において、
前記遮音部材の内部であって前記遮音部材の厚さ方向の一方の側で前記遮音部材の幅方向に延伸し前記遮音部材の長さ方向に延伸して設けられていると共に、前記長さ方向に垂直な平面による断面が、前記遮音部材の幅方向の一方の側から他方の側に向かうにしたがって広くなるような形状に形成されている第1の空間と;
前記遮音部材の内部であって前記遮音部材の厚さ方向の他方の側で前記遮音部材の幅方向に延伸し前記遮音部材の長さ方向に延伸して前記第1の空間とは離れて設けられていると共に、前記長さ方向に垂直な平面による断面が、前記遮音部材の幅方向の前記他方の側から前記一方の側に向かうにしたがって広くなるような形状に形成されている第2の空間と;
を有し、前記遮音部材の厚さ方向から眺めたときに、前記第1の空間の少なくとも一部と前記第2の空間の少なくとも一部とが互いに重なり合っていることを特徴とする遮音部材。
【請求項7】
請求項6に記載の遮音部材において、
前記第1の空間の、前記遮音部材の幅方向の他方の側に位置している端部、この端部の近傍、または、前記遮音部材の幅方向の端部に補強部材が設けられていることを特徴とする遮音部材。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の遮音部材において、
前記遮音部材の肉部は合成樹脂、ゴム等の高分子化合物で構成されていることを特徴とする遮音部材。
【請求項9】
液体中で使用される平板状の遮音部材において、
前記遮音部材の内部で前記遮音部材の幅方向に延伸し前記遮音部材の長さ方向に延伸して設けられている空間を有し、
前記遮音部材の肉部は、金属で構成されており、前記遮音部材の全体の比重が、前記液体の比重とほぼ等しいか、前記液体の比重よりも僅かに大きくなっていることを特徴とする遮音部材。
【請求項10】
液体中で使用される遮音部材において、
前記遮音部材の内部には複数の空間が設けられており、
前記遮音部材の一方の側と前記遮音部材の他方の側とを互いに結ぶ方向から眺めたときに、前記各空間の少なくとも一部が互いに重なり合っており、
前記遮音部材の外部の液体の圧力により、前記各空間が変形し前記各空間の内壁の一部が互いに接触して接触部が形成されるようになっており、
前記遮音部材の一方の側と前記遮音部材の他方の側とを互いに結ぶ方向から眺めたときに、前記接触部は、前記各空間が重なり合っている範囲内に形成されると共に、前記遮音部材の外部の液体の圧力が所定の大きさの圧力になるまでは、前記各空間が重なり合っている全範囲をおおうように、前記各空間のうちのいずれかの空間の非接触部が存在していることを特徴とする遮音部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−30228(P2006−30228A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204161(P2004−204161)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】