説明

遷移金属錯体、該遷移金属錯体の製造方法、三量化用触媒、および1−ヘキセンの製造方法

【課題】エチレンの三量化反応により1−ヘキセンを製造することが可能な触媒成分となる新規な遷移金属錯体を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される遷移金属錯体等。


(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、X〜X及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子を有しても炭素原子数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数6〜20のアリール基等である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遷移金属錯体、該遷移金属錯体の製造方法、三量化用触媒、および1−ヘキセンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
α−オレフィンは金属触媒によるエチレンのオリゴマー化により製造される工業的に重要な原料モノマーである。しかしながら、エチレンのオリゴマー化は通常Shultz−Flory分布に従いα−オレフィンの混合物を与えるため、選択的なα−オレフィンを製造しうる触媒系の開発は産業的に非常に重要である。
【0003】
例えば、特許文献1には、式(Cp−B(R)Ar)TiRで示されるハーフメタロセンチタン錯体が、活性化助触媒成分の存在下、選択的なエチレンの三量化用触媒成分として働くことが報告されている。
【0004】
これらの式(Cp−B(R)Ar)TiRで示されるシクロペンタジエンとアリール基が結合されたハーフメタロセンチタン錯体として、トリフェニルメチル基をシクロペンタジエンの置換基として有する、[1−トリフェニルメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライドが合成され、その分子構造が決定されているが、そのエチレン三量化触媒としての利用については報告されていない(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004−524959
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Organometallics 2002,21,5122−5135.
【非特許文献2】J.Organomet.Chem.1995,498,37−39.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、エチレンの三量化反応により1−ヘキセンを製造することが可能な触媒成分となる新規な遷移金属錯体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の第1は、一般式(1)で表される遷移金属錯体にかかるものである。

(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、
、X、X、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R20(3つのR20はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR20にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R21(2つのR21はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR21にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19のうち少なくとも一つは、ハロゲン原子、該アルキル基、該アルコキシ基、該アリール基、該アリールオキシ基、該アラルキル基、該アラルキルオキシ基、該置換シリル基または該2置換アミノ基であり、
、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R10、R11、R12、R13及びR14のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R15、R16、R17、R18及びR19のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。)
【0009】
また、本発明の第2は、前記遷移金属錯体と活性化助触媒成分とを接触させて得られる三量化用触媒にかかるものである。
【0010】
さらに、本発明の第3は、三量化用触媒の存在下、エチレンを三量化させる1−ヘキセンの製造方法にかかるものである。
【0011】
また、本発明の第4は、前記一般式(1)で表される遷移金属錯体の製造方法にかかるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、エチレンの三量化反応により1−ヘキセンを製造することが可能な触媒成分に好適な遷移金属錯体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において「置換基」という語は、化合物や基を構成するハロゲン原子を包含したものである。
さらに、本発明において、一般式(2)及び(4)で表される置換シクロペンタジエン化合物には、各シクロペンタジエニル環の二重結合位置がそれぞれ異なる異性体が存在するが、本発明においては、該置換シクロペンタジエニル化合物は、それらのうちのいずれか、またはそれらの混合物を表わす。
【0014】
<遷移金属錯体(1)(三量化用触媒成分)>
以下、一般式(1)で表される遷移金属錯体について詳述する。
遷移金属錯体(1)において、Mは元素周期律表の第4族元素を示し、例えばチタン原子、ジルコニウム原子及びハフニウム原子等が挙げられる。これらの中でも、チタン原子が好ましい。
【0015】
前記遷移金属錯体(1)において、置換基X、X、X、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は上述のとおりの定義であり、その具体例を以下に示す。
【0016】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子である。
【0017】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基の「炭素原子数1〜20のアルキル基」の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基及びn−エイコシル基などが挙げられる。これらのうち好ましいアルキル基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基及びアミル基等を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアルキル基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アルキル基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数1〜20の範囲であると好ましく、炭素原子数1〜10の範囲がさらに好ましい。好適なハロゲン原子を置換基として有するアルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等を挙げることができる。
【0018】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基の「炭素原子数6〜20のアリール基」の具体例としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基及びアントラセニル基などが挙げられる。これらのうち好ましいアリール基としては、炭素原子数6〜10のアリール基であり、さらに好ましはフェニル基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアリール基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アリール基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数は6〜20の範囲であると好ましく、6〜10の範囲がさらに好ましい。具体的に好適な、ハロゲン原子を置換基として有するアリール基は、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基等を挙げることができる。
【0019】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基の「炭素原子数7〜20のアラルキル基」の具体例としては、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが挙げられる。これらのうち好ましいアラルキル基としては、炭素原子数7〜10のアラルキル基であり、さらに好ましくはベンジル基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアラルキル基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アラルキル基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数は7〜20の範囲であると好ましく、7〜10の範囲がさらに好ましい。
【0020】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基の「炭素原子数1〜20のアルコキシ基」の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などが挙げられる。これらのうち好ましいアルコキシ基としては、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアルコキシ基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アルコキシ基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数1〜20の範囲であると好ましく、1〜10の範囲がさらに好ましい。
【0021】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルコキシ基の「炭素原子数2〜20のアルコキシ基」の具体例としては、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などが挙げられる。これらのうち好ましいアルコキシ基としては、炭素原子数2〜10のアルコキシ基であり、さらに好ましくはエトキシ基及びtert−ブトキシ基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアルコキシ基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アルコキシ基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数2〜20の範囲であると好ましく、2〜10の範囲がさらに好ましい。
【0022】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の「炭素原子数6〜20のアリールオキシ基」の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基及びアントラセノキシ基などが挙げられる。これらのうち好ましいアリールオキシ基としては、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基であり、さらに好ましくはフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアリールオキシ基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アリールオキシ基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数は6〜20の範囲であると好ましく、6〜10の範囲がさらに好ましい。
【0023】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の「炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基」の具体例としては、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられる。これらのうち好ましいアラルキルオキシ基としては、炭素原子数7〜10のアラルキルオキシ基であり、さらに好ましくはベンジルオキシ基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアラルキルオキシ基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アラルキルオキシ基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数は7〜20の範囲であると好ましく、7〜10の範囲がさらに好ましい。
【0024】
−Si(R20(3つのR20はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基又はハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR20にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基において、R20はそれぞれ独立に、水素原子;炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基など)、アリール基(フェニル基など)などのハイドロカルビル基;ハイドロカルビル基にある水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わったハロゲン化ハイドロカルビル基であり、3つのR20の炭素原子数の合計が1〜20の範囲である。この3つのR20の炭素原子数の合計は3〜18の範囲が好ましい。該置換シリル基の具体例としては、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基、これらの基においてハイドロカルビル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わった基などのハイドロカルビル基又はハロゲン化ハイドロカルビル基を1つ有する1置換シリル基;ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基、これらの基においてハイドロカルビル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わった基などのハイドロカルビル基及び/又はハロゲン化ハイドロカルビル基を2つ有する2置換シリル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、これらの基においてハイドロカルビル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わった基などのハイドロカルビル基及び/又はハロゲン化ハイドロカルビル基を3つ有する3置換シリル基などが挙げられる。これらのうち好ましくは3置換シリル基であり、さらに好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わった基である。
【0025】
−N(R21(2つのR21はそれぞれ独立にハイドロカルビル基又はハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR21にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基において、R21はそれぞれ独立に、ハイドロカルビル基又はハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR21の炭素原子数の合計が2〜20の範囲であり、2〜10の範囲がさらに好ましい。かかるハイドロカルビル基およびハロゲン化ハイドロカルビル基は、前記置換シリル基のハイドロカルビル基およびハロゲン化ハイドロカルビル基として説明したものと同じである。また、この2つのR21は互いに結合して、これらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成していてもよい。かかる2置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロインドリル基、ジヒドロイソインドリル基、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わった基などが挙げられる。これらのうち、好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わった基である。
【0026】
、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する基同士は結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する基同士は結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R10、R11、R12、R13及びR14のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する基同士は結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R15、R16、R17、R18及びR19のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する基同士は結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。ここでいう環とは、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換された、飽和もしくは不飽和のハイドロカルビル環などである。その具体例としては、シクロプロパン環、シクロプロペン環、シクロブタン環、シクロブテン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘプタン環、シクロヘプテン環、シクロオクタン環、シクロオクテン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環である。
【0027】
、R、R及びRの具体例としては、その部分構造式(5)

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
において、例えば、次のような部分構造を挙げることができる。
【0028】
シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、n−プロピルシクロペンタジエニル、イソプロピルシクロペンタジエニル、n−ブチルシクロペンタジエニル、sec−ブチルシクロペンタジエニル、tert−ブチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、トリメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、フェニルシクロペンタジエニル、ベンジルシクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、メチルテトラヒドロインデニル、ジメチルテトラヒドロインデニル、オクタヒドロフルオレニル、
【0029】
ここに例示したシクロペンタジエニル部分構造のうち、好ましいシクロペンタジエニル部分構造はテトラメチルシクロペンタジエニルなどである。
【0030】
、R、R、R及びRの好ましい組み合わせとしては、その部分構造式(6)

(式中、R、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)、
【0031】
10、R11、R12、R13及びR14の好ましい組み合わせとしては、その部分構造式(7)

(式中、R10、R11、R12、R13及びR14は前記と同じ意味を表す。)、
【0032】
およびR15、R16、R17、R18及びR19の好ましい組み合わせとしては、その部分構造式(8)

(式中、R17、R18、R19、R20及びR21は前記と同じ意味を表す。)
において、それぞれ独立に、例えば、次のような部分構造を挙げることができる。
【0033】
フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、テトラメチルフェニル、ペンタメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、ジイソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ジ−tert−ブチルフェニル、tert−ブチルメチルフェニル、ジ(tert−ブチル)メチルフェニル、ナフチル、アントラセニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、フルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、ビフェニル、ベンジルフェニル、メトキシフェニル、フェノキシフェニル、ベンジルオキシフェニル、トリメチルシリルフェニル、ジメチルアミノフェニル
【0034】
ここに例示した部分構造のうち、より好ましい部分構造はフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、ジエチルフェニル、トリメチルシリルフェニルなどである。
【0035】
遷移金属錯体(1)を具体的に例示すると、次のような錯体を挙げることができる。
【0036】
[1−トリフェニルメチル−2−メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−3−メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2,3−ジメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2,4−ジメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−3,4−ジメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2,3,4−トリメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2,3,5−トリメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2−エチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−3−エチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2−n−プロピル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−3−n−プロピル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2−イソプロピル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−3−イソプロピル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2−n−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−3−n−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2−sec−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−3−sec−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2−tert−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−3−tert−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2−フェニル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−3−フェニル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2−ベンジル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−3−ベンジル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−インデニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2−メチルインデニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−テトラヒドロインデニル]チタニウムトリクロライド、[9−トリフェニルメチル−フルオレニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルメチル−2−メチルテトラヒドロインデニル]チタニウムトリクロライド、[9−トリフェニルメチル−オクタヒドロフルオレニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリメチルシリル−3−トリフェニルメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリエチルシリル−3−トリフェニルメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリイソプロピルシリル−3−トリフェニルメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−tert−ブチルジメチルシリル−3−トリフェニルメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、
【0037】
[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,3−ジメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,4−ジメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3,4−ジメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,3,4−トリメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,3,5−トリメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−エチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−エチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−n−プロピル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−n−プロピル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−イソプロピル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−イソプロピル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−n−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−n−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−sec−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−sec−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−tert−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−tert−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−フェニル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−フェニル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−ベンジル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−ベンジル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−インデニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−メチルインデニル]チタニウムトリクロライド、[9−トリ(3−メチルフェニル)メチル−フルオレニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−テトラヒドロインデニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−メチルテトラヒドロインデニル]チタニウムトリクロライド、[9−トリ(3−メチルフェニル)メチル−オクタヒドロフルオレニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリメチルシリル−3−トリ(3−メチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリエチルシリル−3−トリ(3−メチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリイソプロピルシリル−3−トリ(3−メチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−tert−ブチルジメチルシリル−3−トリ(3−メチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、
【0038】
[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,3−ジメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,4−ジメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3,4−ジメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,3,4−トリメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,3,5−トリメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−エチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−エチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−n−プロピル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−n−プロピル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−イソプロピル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−イソプロピル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−n−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−n−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−sec−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−sec−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−tert−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−tert−ブチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−フェニル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−フェニル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−ベンジル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−ベンジル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−インデニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−メチルインデニル]チタニウムトリクロライド、[9−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−フルオレニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−テトラヒドロインデニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−メチルテトラヒドロインデニル]チタニウムトリクロライド、[9−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−オクタヒドロフルオレニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリメチルシリル−3−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリエチルシリル−3−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリイソプロピルシリル−3−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−tert−ブチルジメチルシリル−3−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、
【0039】
などの塩素化チタン錯体が挙げられる。また、ここに例示する錯体において、「チタニウム」を「ジルコニウム」に置き換えた塩素化ジルコニウム錯体、又は「ハフニウム」に置き換えた塩素化ハフニウム錯体などの塩素化遷移金属錯体、「クロライド」を「フルオリド」に置き換えたフッ素化チタン錯体、「ブロマイド」に置き換えた臭素化チタン錯体、「アイオダイド」に置き換えたヨウ素化チタン錯体などのハロゲン化チタン錯体、「ハイドライド」に置き換えた水素化チタン錯体、「メチル」に置き換えたメチル化チタン錯体などのアルキル化チタン錯体、「フェニル」に置き換えたフェニル化チタン錯体などのアリール化チタン錯体、「ベンジル」に置き換えたベンジル化チタン錯体などのアラルキル化チタン錯体、「メトキシド」に置き換えたメトキシ化チタン錯体、「n−ブトキシド」に置き換えたn−ブトキシ化チタン錯体、「イソプロポキシド」に置き換えたイソプロポキシ化チタン錯体などのアルコキシ化チタン錯体、「フェノキシド」に置き換えたフェノキシ化チタン錯体などのアリールオキシ化チタン錯体、「ベンジロキシド」に置き換えたベンジロキシ化チタン錯体などのアラルキルオキシ化チタン錯体、「ジメチルアミド」に置き換えたジメチルアミド化チタン錯体、「ジエチルアミド」に置き換えたジエチルアミド化チタン錯体などのアミド化チタン錯体も同様に例示される。
【0040】
式(1)の遷移金属錯体として、好ましくは、[1−トリメチルシリル−3−トリフェニルメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリメチルシリル−3−トリ(3−メチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリメチルシリル−3−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、などが挙げられる。
【0041】
<遷移金属錯体(1)の製造方法>
遷移金属錯体(1)は例えば、式(2)

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は前記と同義であり



を表す。]
で示される置換シクロペンタジエン化合物(以下、置換シクロペンタジエン化合物(2)と略す)と、塩基とを反応させる工程;および
前記置換シクロペンタジエン化合物(2)と塩基との反応物に、
以下の一般式(3)

(式中、M、X、X及びXは前記と同義であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R20(3つのR20はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR20にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R21(2つのR21はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR21にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、mは0または1を表す。)
で示される遷移金属化合物を反応させる工程を有する製造方法により製造することができる。以下、前記置換シクロペンタジエン化合物(2)と塩基とを反応させる工程を「第1反応工程」、前記置換シクロペンタジエン化合物(2)と塩基との反応物に、遷移金属化合物(3)を反応させる工程を「第2反応工程」ということがある。
【0042】
前記置換シクロペンタジエン化合物(2)において、そのシクロペンタジエン環の二重結合の位置が異なる異性体は以下の構造異性体のことである。

置換シクロペンタジエニル化合物(2)には、各シクロペンタジエニル環の二重結合位置がそれぞれ異なる異性体が存在するが、本発明においてはそれらのうちのいずれか、またはそれらの混合物を表わす。
【0043】
置換シクロペンタジエン化合物(2)としては、例えば、次のような化合物を挙げることができる。
【0044】
1−トリフェニルメチル−2−メチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−メチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2,3−ジメチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2,4−ジメチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3,4−ジメチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2,3,4−トリメチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2,3,5−トリメチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−エチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−エチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−n−プロピル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−n−プロピル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−イソプロピル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−イソプロピル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−n−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−n−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−sec−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−sec−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−tert−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−tert−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−フェニル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−フェニル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−ベンジル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−ベンジル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−インデン、1−トリフェニルメチル−2−メチルインデン、9−トリフェニルメチル−フルオレン、1−トリフェニルメチル−テトラヒドロインデン、1−トリフェニルメチル−2−メチルテトラヒドロインデン、9−トリフェニルメチル−オクタヒドロフルオレン
【0045】
1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−メチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−メチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,3−ジメチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,4−ジメチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3,4−ジメチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,3,4−トリメチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,3,5−トリメチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−エチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−エチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−n−プロピル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−n−プロピル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−イソプロピル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−イソプロピル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−n−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−n−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−sec−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−sec−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−tert−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−tert−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−フェニル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−フェニル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−ベンジル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−ベンジル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−インデン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−メチルインデン、9−トリ(3−メチルフェニル)メチル−フルオレン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−テトラヒドロインデン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−メチルテトラヒドロインデン、9−トリ(3−メチルフェニル)メチル−オクタヒドロフルオレン
【0046】
1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−メチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−メチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,3−ジメチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,4−ジメチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3,4−ジメチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,3,4−トリメチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,3,5−トリメチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−エチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−エチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−n−プロピル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−n−プロピル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−イソプロピル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−イソプロピル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−n−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−n−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−sec−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−sec−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−tert−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−tert−ブチル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−フェニル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−フェニル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−ベンジル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−ベンジル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−インデン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−メチルインデン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−テトラヒドロインデン、9−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−フルオレン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−メチルテトラヒドロインデン、9−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−オクタヒドロフルオレン
【0047】
前記遷移金属化合物(3)において、置換基Xは上述のとおりの定義であり、その具体例としてはX、X及びXで挙げたものと同様のものを挙げることができる。
【0048】
前記遷移金属化合物(3)としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンなどのハロゲン化チタン;テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、ジクロロビス(ジメチルアミノ)チタン、トリクロロ(ジメチルアミノ)チタン、テトラキス(ジエチルアミノ)チタンなどのアミドチタン;テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、ジクロロジイソプロポキシチタン、トリクロロイソプロポキシチタンなどのアルコキシチタンなどが挙げられる。また、これらの各化合物の「チタン」を「ジルコニウム」又は「ハフニウム」に置き換えた化合物などが挙げられる。これらのうち、好ましい遷移金属化合物(3)は四塩化チタンである。
【0049】
前記第1反応工程において、置換シクロペンタジエン化合物(2)と反応させる塩基としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムトリメチルシリルアセチリド、リチウムアセチリド、トリメチルシリルメチルリチウム、ビニルリチウム、フェニルリチウム及びアリルリチウムなどの有機リチウム化合物に代表される有機アルカリ金属化合物などが挙げられる。
【0050】
塩基の使用量は、置換シクロペンタジエニル化合物(2)1モルあたり、0.5〜5モルの範囲であればよい。
【0051】
前記第1反応工程における置換シクロペンタジエン化合物(2)と塩基との反応においては、前記有機アルカリ金属化合物と共にアミン化合物を用いていもよい。かかるアミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、アニリン、エチレンジアミンなどの第1級アミン化合物;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−デシルアミン、ピロリジン、ヘキサメチルジシラザン、ジフェニルアミンなどの第2級アミン化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルピロリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどの第3級アミン化合物;が挙げられる。かかるアミン化合物の使用量は、有機アルカリ金属化合物1モルあたりに、10モル以下であると好ましく、0.5〜10モルの範囲であるとより好ましく、1〜5モルの範囲であるとさらに好ましい。
【0052】
前記第1反応工程において、置換シクロペンタジエン化合物(2)と塩基とを反応させる際には溶媒の存在下で反応させることが好ましい。また、溶媒を用いるときには、該溶媒中で置換シクロペンタジエン化合物(2)及び塩基を反応させた後、この反応混合物中に遷移金属化合物(3)を加えることにより、置換シクロペンタジエン化合物(2)及び塩基の反応物に、遷移金属化合物(3)をさらに反応させることができる。なお、置換シクロペンタジエン化合物(2)及び塩基を反応させた反応混合物には固体が析出することがあるが、この場合には、析出した固体が溶解するまで溶媒を追加したり、析出した固体をろ過等により、一旦分離してもよく、分離した固体に溶媒を加えて溶解させたり、懸濁させた後で、遷移金属化合物(3)を加えてもよい。また、溶媒を用いる場合、該溶媒に置換シクロペンタジエン化合物(2)、塩基及び遷移金属化合物(3)を同時に加えることにより、第1反応工程と第2反応工程とを略同時に実施することもできる。
【0053】
第1反応工程又は、第1反応工程及び第2反応工程に用いる溶媒は、これらの工程に係る反応の進行を著しく妨げない不活性な溶媒が用いられる。かかる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族ハイドロカルビル系溶媒;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族ハイドロカルビル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒;ヘキサメチルホスホリックアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの極性溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒といった非プロトン性溶媒などが例示される。かかる溶媒は単独もしくは2種以上を混合して用いることができ、その使用量は、置換シクロペンタジエン化合物(2)1重量部にあたり、1〜200重量部が好ましく、3〜50重量部がさらに好ましい。
【0054】
遷移金属化合物(3)の使用量は、置換シクロペンタジエン化合物(2)1モルあたり、0.5〜3モルの範囲が好ましく、0.7〜1.5モルの範囲がさらに好ましい。
【0055】
第1反応工程及び第2反応工程における反応温度は、−100℃以上、溶媒の沸点以下であればよく、好ましくは−80〜100℃の範囲である。
【0056】
かくして第1反応工程及び第2反応工程を経て得られた反応混合物からは各種公知の精製方法により、生成した遷移金属錯体(1)を取り出すことができる。例えば、第1反応工程及び第2反応工程の後に、生成した沈殿を濾別後、濾液を濃縮して遷移金属錯体を析出させた後、これを濾取する方法などによって目的の遷移金属錯体(1)を得ることができる。
【0057】
<遷移金属錯体(1)の製造方法>
遷移金属錯体(1)は例えば、式(4)

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は前記と同義であり、Dは、ケイ素原子またはスズ原子であり、
22、R23及びR24は、
それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R20(3つのR20はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR20にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R21(2つのR21はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR21にある炭素原子数の合計が2〜20であり、



を表す。]
で示される置換シクロペンタジエン化合物(以下、置換シクロペンタジエン化合物(4)と略す)
以下の一般式(3)

(式中、M、X、X及びXは前記と同義であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R20(3つのR20はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR20にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R21(2つのR21はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR21にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、mは0または1を表す。)
で示される遷移金属化合物を反応させる工程を有する製造方法により製造することができる。
【0058】
前記置換シクロペンタジエン化合物(4)において、そのシクロペンタジエン環の二重結合の位置が異なる異性体は以下の構造異性体のことである。

置換シクロペンタジエン化合物(4)には、各シクロペンタジエニル環の二重結合位置がそぞれ異なる異性体が存在するが、本発明においてはそれらのうちのいずれか、またはそれらの混合物を表わす。
【0059】
置換シクロペンタジエン化合物(4)において、Dはケイ素原子またはスズ原子である。これらの中でも、ケイ素原子が好ましい。
【0060】
置換シクロペンタジエン化合物(4)としては、例えば、次のような化合物を挙げることができる。
【0061】
1−トリフェニルメチル−2−メチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−メチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2,3−ジメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2,4−ジメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3,4−ジメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2,3,4−トリメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2,3,5−トリメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2,3,4,5−テトラメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−エチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−エチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−n−プロピル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−n−プロピル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−イソプロピル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−イソプロピル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−n−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−n−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−sec−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−sec−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−tert−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−tert−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−フェニル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−フェニル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−2−ベンジル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−ベンジル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリフェニルメチル−3−トリメチルシリル−インデン、1−トリフェニルメチル−2−メチル−3−トリメチルシリル−インデン、9−トリフェニルメチル−9−トリメチルシリル−フルオレン、1−トリフェニルメチル−3−トリメチルシリル−テトラヒドロインデン、1−トリフェニルメチル−2−メチル−3−トリメチルシリル−テトラヒドロインデン、9−トリフェニルメチル−9−トリメチルシリル−オクタヒドロフルオレン
【0062】
1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−メチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−メチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,3−ジメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,4−ジメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3,4−ジメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,3,4−トリメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,3,5−トリメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2,3,4,5−テトラメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−エチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−エチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−n−プロピル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−n−プロピル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−イソプロピル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−イソプロピル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−n−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−n−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−sec−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−sec−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−tert−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−tert−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−フェニル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−フェニル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−ベンジル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−ベンジル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−トリメチルシリル−インデン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−メチル−3−トリメチルシリル−インデン、9−トリ(3−メチルフェニル)メチル−9−トリメチルシリル−フルオレン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−3−トリメチルシリル−テトラヒドロインデン、1−トリ(3−メチルフェニル)メチル−2−メチル−3−トリメチルシリル−テトラヒドロインデン、9−トリ(3−メチルフェニル)メチル−9−トリメチルシリル−オクタヒドロフルオレン
【0063】
1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−メチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−メチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,3−ジメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,4−ジメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3,4−ジメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,3,4−トリメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,3,5−トリメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2,3,4,5−テトラメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−エチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−エチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−n−プロピル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−n−プロピル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−イソプロピル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−イソプロピル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−n−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−n−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−sec−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−sec−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−tert−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−tert−ブチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−フェニル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−フェニル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−ベンジル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−ベンジル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−トリメチルシリル−インデン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−メチル−3−トリメチルシリル−インデン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−3−トリメチルシリル−テトラヒドロインデン、9−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−9−トリメチルシリル−フルオレン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−2−メチル−3−トリメチルシリル−テトラヒドロインデン、9−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−9−トリメチルシリル−オクタヒドロフルオレン
【0064】
などのトリメチルシリル置換シクロペンタジエン化合物が挙げられる。また、ここに例示する錯体において、「トリメチルシリル」を「トリエチルシリル」に置き換えたトリエチルシリル置換シクロペンタジエン化合物、又は「tert−ブチルジメチルシリル」に置き換えたtert−ブチルジメチルシリル置換シクロペンタジエン化合物、「トリイソプロピルシリル」に置き換えたトリイソプロピルシリル置換シクロペンタジエン化合物、「クロロジメチルシリル」に置き換えたクロロジメチルシリル置換シクロペンタジエン化合物、「ジクロロメチルシリル」に置き換えたジクロロメチルシリル置換シクロペンタジエン化合物、「トリクロロシリル」に置き換えたトリクロロシリル置換シクロペンタジエン化合物、「トリメチルスズ」に置き換えたトリメチルスズ置換シクロペンタジエン化合物、「トリ−n−ブチルスズ」に置き換えたトリ−n−ブチルスズ置換シクロペンタジエン化合物も同様に例示される。
【0065】
置換シクロペンタジエン化合物(4)と遷移金属錯体(3)とを反応させる際には溶媒の存在下で反応させることが好ましい。また、溶媒を用いるときには、該溶媒中で置換シクロペンタジエン化合物(4)に遷移金属化合物(3)を加えることにより反応させることができる。また、溶媒を用いる場合、該溶媒に置換シクロペンタジエン化合物(4)及び遷移金属化合物(3)を同時に加えることもできる。
【0066】
用いる溶媒は、これらの工程に係る反応の進行を著しく妨げない不活性な溶媒が用いられる。かかる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族ハイドロカルビル系溶媒;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族ハイドロカルビル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒;ヘキサメチルホスホリックアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの極性溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒といった非プロトン性溶媒などが例示される。かかる溶媒は単独もしくは2種以上を混合して用いることができ、その使用量は、置換シクロペンタジエン化合物(4)1重量部にあたり、1〜200重量部が好ましく、3〜50重量部がさらに好ましい。
【0067】
遷移金属化合物(3)の使用量は、置換シクロペンタジエン化合物(4)1モルあたり、0.5〜3モルの範囲が好ましく、0.7〜1.5モルの範囲がさらに好ましい。
【0068】
反応温度は、−100℃以上、溶媒の沸点以下であればよく、好ましくは−80〜100℃の範囲である。
【0069】
かくして得られた反応混合物からは各種公知の精製方法により、生成した遷移金属錯体(1)を取り出すことができる。例えば、生成した沈殿を濾別後、濾液を濃縮して遷移金属錯体を析出させた後、これを濾取する方法などによって目的の遷移金属錯体(1)を得ることができる。
【0070】
<活性化助触媒成分>
活性化助触媒成分としては、次の化合物(A)及び化合物(B)を挙げることができる。化合物(A)と化合物(B)を併用してもよい。
化合物(A):下記化合物(A1)、(A2)および(A3)からなる化合物群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1):一般式 (EAl(G)3−aで表される有機アルミニウム化合物
(A2):一般式 {−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン
(A3):一般式 E{−Al(E)−O−}Al(Eで表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、E、EおよびEは、炭素原子数1〜8のハイドロカルビル基を表し、Gは、水素原子またはハロゲン原子を表し、aは1〜3の整数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。Eが複数ある場合、複数のEは互いに同じであっても異なっていてもよい。Gが複数ある場合、複数のGは互いに同じであっても異なっていてもよい。複数のEは互いに同じであっても異なっていてもよい。複数のEは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
化合物(B):下記化合物(B1)、(B2)および(B3)からなる化合物群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1):一般式 BQで表されるホウ素化合物
(B2):一般式T(BQで表されるボレート化合物
(B3):一般式(L−H)(BQで表されるボレート化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q、Q、QおよびQは、それぞれ同一または相異なり、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基または炭素原子数2〜20のジハイドロカルビルアミノ基を表し、Tは無機または有機のカチオンを表し、(L−H)はブレンステッド酸を表す。)
【0071】
化合物(A1)〜(A3)において、E、EおよびEにおける炭素原子数1〜8のハイドロカルビル基としては、例えば、炭素原子数1〜8のアルキルなどが挙げられ、炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。
【0072】
一般式 (EAl(G)3−aで表される有機アルミニウム化合物(A1)としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられ、トリアルキルアルミニウムとしては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウムなどが挙げられ、ジアルキルアルミニウムクロライドとしては、例えば、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライドなどが挙げられ、アルキルアルミニウムジクロライドとしては、例えば、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライドなどが挙げられ、ジアルキルアルミニウムハイドライドとしては、例えば、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0073】
(A2):式{−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン又は(A3)式E{−Al(E)−O−}AlEで表される構造を有する線状のアルミノキサンにおけるE及びEとしては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基及びネオペンチル基等のアルキル基があげられる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E及びEはそれぞれ独立にメチル基又はイソブチル基であり、bは2〜40であり、cは1〜40である。
【0074】
上記のアルミノキサンは各種の方法で作られる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて作ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族ハイドロカルビルなど)に溶かした溶液を水と接触させて作る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させて作る方法が例示できる。
【0075】
化合物(B1)〜(B3)において、Q、Q、QおよびQは、好ましくは、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基である。Tにおける無機のカチオンとしては、例えば、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが挙げられ、有機のカチオンとしては、例えば、トリフェニルメチルカチオンなどが挙げられる。(BQ1234としては、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。ブレンステッド酸である(L−H)としては、例えば、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられる。
【0076】
一般式 BQで表されるホウ素化合物(B1)としては、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどが挙げられる。
【0077】
一般式T(BQで表されるボレート化合物(B2)としては、例えば、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ビス−トリメチルシリルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げられる。
【0078】
一般式(L−H)(BQで表されるボレート化合物(B3)としては、例えば、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ビス−トリメチルシリルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ビス−トリメチルシリルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ビス−トリメチルシリルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0079】
<三量化用触媒>
本発明の三量化用触媒とは、上記の遷移金属錯体(1)と活性化助触媒成分とを接触させて得られ三量化用触媒であり、エチレンを三量化させて1−ヘキセンを製造することができる触媒である。
【0080】
かかる活性化助触媒成分としては上記の化合物(A)及び化合物(B)を挙げることができる。また化合物(A)と化合物(B)を併用してもよい。
【0081】
各触媒成分の使用量としては、化合物(A)(アルミニウム原子換算)と触媒成分として使用する遷移金属錯体(1)のモル比(化合物(A)(アルミニウム原子換算)/遷移金属錯体(1))は、通常0.01〜10000であり、好ましくは5〜5000である。また、化合物(B)と触媒成分として使用する遷移金属錯体(1)のモル比(化合物(B)/遷移金属錯体(1))は、通常0.01〜100、好ましくは0.5〜10である。
【0082】
各触媒成分を溶液状態で使用する場合、触媒成分として使用する遷移金属錯体(1)の濃度は、通常0.0001〜5ミリモル/リットルであり、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルである。化合物(A)の濃度は、アルミニウム原子換算で、通常0.01〜500ミリモル/リットルで、好ましくは、0.1〜100ミリモル/リットルである。化合物(B)の濃度は、通常0.0001〜5ミリモル/リットルであり、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルである。
【0083】
各触媒成分を接触させる方法は、特に限定されるものではない。遷移金属錯体(1)と活性化助触媒成分とを予め接触させて三量化用触媒を調製し、該三量化用触媒を反応器に供給してもよい。また、各触媒成分を任意の順序で反応器に供給し、反応器内で接触処理を行ってもよい。
【0084】
<1−ヘキセンの製造方法>
本発明の1−ヘキセンの製造方法は、三量化用触媒の存在下、エチレンを三量化させて1−ヘキセンを製造する方法である。
【0085】
三量化反応は、特に限定されるものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族ハイドロカルビル、ベンゼン、トルエン等の芳香族ハイドロカルビル、又はメチレンジクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化ハイドロカルビルを溶媒として用いる三量化反応、又はスラリー状態での三量化反応、ガス状のエチレン中での三量化反応等が可能である。
【0086】
三量化反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれかの方法において行うことができる。
【0087】
エチレンの圧力は、通常、常圧〜10MPaであるが、好ましくは常圧〜5MPaの範囲である。
【0088】
三量化反応の温度は、通常−50℃〜220℃の範囲を取り得る。好ましくは0℃〜170℃の範囲である。
【0089】
三量化反応の時間は、一般的に、目的とする反応装置により適宜決定されるが、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。
【実施例】
【0090】
以下、実施例および比較例により本発明を説明する。
<遷移金属錯体の製造>
物性測定は次の方法で行った。
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)
装置:BRUKER社製 DPX300
試料セル:5mmφチューブ
測定溶媒:CDCl
試料濃度:約10mg/0.5mL
測定温度:室温(約25℃)
測定パラメータ:5mmφプローブ、EXMOD NON、OBNUC H、積算回数 16回以上
繰り返し時間:ACQTM 6秒、PD 1秒
内部標準:CDCl(7.26ppm)
(2)カーボン核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)
装置:BRUKER社製 DPX300
試料セル:5mmφチューブ
測定溶媒:CDCl
試料濃度:約10mg/0.5mL
測定温度:室温(約25℃)
測定パラメータ:5mmφプローブ、EXMOD zgpg30、OBNUC 13C、積算回数 256回以上
繰り返し時間:ACQTM 1.4秒、PD 2秒
内部標準:CDCl(77.0ppm)
(3)電子イオン化質量分析(EI−MS)
装置:日本電子社製 JMS−T100GC
イオン化電圧:70eV
イオン源温度:230℃
加速電圧:7kV
MASS RANGE:m/z 35−1200
(4)電界脱離質量分析(FD−MS)
装置:日本電子社製 JMS−700
加速電圧:8kV
カソード:0kV
カーボンエミッター
MASS RANGE:m/z 10−2000
【0091】
[実施例1]
「[1−トリメチルシリル−3−トリフェニルメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド(以下、「錯体1」という。)の合成」
【0092】
「1−トリメチルシリル−3−トリフェニルメチル−シクロペンタジエンの合成」
1−トリメチルシリル−3−トリフェニルメチル−シクロペンタジエンは公知の方法(J.Organomet.Chem.1995,485,173−178.)に従って合成した。
【0093】
「錯体1の合成」
窒素雰囲気下、1−トリメチルシリル−3−トリフェニルメチル−シクロペンタジエン(0.97g、2.15mmol)、トリエチルアミン(1.09g、10.76mmol)のトルエン溶液(39mL)に、−78℃でn−ブチルリチウムの1.65Mヘキサン溶液(1.56mL、2.58mmol)を滴下し、徐々に室温まで昇温させた後、35℃で3時間攪拌した。得られた混合物を−78℃になるまで冷却し、同温度で四塩化チタン(0.45g、2.37mmol)をトルエン(5mL)に溶解させた溶液を滴下した。再び、昇温し、室温で終夜攪拌した。反応後、溶媒を減圧下で濃縮した後、残渣にヘプタンを加えて濾過することにより不溶物を除去し、濾液から溶媒を減圧下で濃縮した。ペンタンを加えて得られた固体を濾過して少量のペンタンで洗浄した後、減圧乾燥することにより、錯体1(0.25g、収率21.7%)を黄土色固体として得た。
H−NMR(CDCl、δppm):0.35(s、9H)、6.75(t、J=2.1Hz、1H)、7.02−7.34(m、17H)
13C−NMR(CDCl、δppm):−0.60、62.92、126.32、127.24、127.65、127.83、129.69、130.78、144.79、145.03、157.51
質量スペクトル(EI−MS、m/z):532(M
【0094】
[実施例2]
「[トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド(以下、「錯体2」という。)の合成」
【0095】
「1−トリメチルシリル−3−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエンの合成」
窒素雰囲気下、トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエン(1.45g、3.69mmol)、テトラヒドロフラン(29mL)を加えた。この混合物を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウムの1.65Mヘキサン溶液(2.69mL、4.43mmol)を滴下し、35℃まで昇温させた後、その温度で1.5時間攪拌した。得られた混合物に0℃で、クロロトリメチルシラン(0.64g、5.91mmol)を滴下した後、室温まで昇温させた。反応後、溶媒を減圧下で濃縮した後、残渣にトルエンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて分液した。油相を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過して溶媒を減圧下で濃縮した。ジエチルエーテル/メタノールから再結晶を行い、1−トリメチルシリル−3−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエン(0.55g、収率32.0%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(CDCl、δppm): −0.01(s、9H)、2.22(s、18H)、3.22(s、1H)、6.13(br s、1H)、6.25−6.28(m、1H)、6.36−6.40(m、1H)、6.81(s、3H)、6.84(s、6H)
13C−NMR(CDCl、δppm):−1.65、21.57、49.72、60.85、127.22、128.53、130.62、132.06、134.91、136.27、146.78、151.10
質量スペクトル(EI−MS、m/z):464(M
【0096】
「錯体2の合成」
窒素雰囲気下、1−トリメチルシリル−3−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエン(0.70g、1.50mmol)のトルエン溶液(15mL)に、−30℃で四塩化チタン(0.30g、1.57mmol)をトルエン(4mL)に溶解させた溶液を滴下した。昇温し、室温で13日間攪拌した。反応後、溶媒を減圧下で濃縮した後、残渣にヘキサンを加えて得られた固体を濾過して少量のヘキサンで洗浄した。トルエンとペンタンを加えた後、固体を濾過して少量のペンタンで洗浄した後、減圧乾燥することにより、錯体2(0.20g、収率24.4%)を黄色固体として得た。
H−NMR(CDCl、δppm):2.23(s、18H)、6.65(s、6H)、6.89−6.93(m、5H)、7.00(t、J=2.6Hz、2H)
13C−NMR(CDCl、δppm):21.58、62.44、123.86、124.75、128.68、128.68、136.98、145.06、155.07
質量スペクトル(EI−MS、m/z):544(M
【0097】
[実施例3]
「[1−トリメチルシリル−3−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド(以下、「錯体3」という。)の合成」
【0098】
「錯体3の合成」
窒素雰囲気下、1−トリメチルシリル−3−トリス(3,5−ジメチルフェニル)メチル−シクロペンタジエン(1.74g、3.74mmol)、トリエチルアミン(1.89g、18.70mmol)のトルエン溶液(70mL)に、−78℃でn−ブチルリチウムの1.63Mヘキサン溶液(2.75mL、4.49mmol)を滴下し、徐々に室温まで昇温させた後、50℃で6時間攪拌した。得られた混合物を−78℃になるまで冷却し、同温度で四塩化チタン(0.78g、4.11mmol)をトルエン(9mL)に溶解させた溶液を滴下した。再び、昇温し、室温で終夜攪拌した。反応後、溶媒を減圧下で濃縮した後、残渣にヘプタンを加えて濾過することにより不溶物を除去し、濾液から溶媒を減圧下で濃縮した。ペンタンを加えて−20℃に冷却することにより得られた不溶物を除去し、濾液から溶媒を減圧下で濃縮する操作を4回繰り返すことにより錯体3を含む混合物を黄土色固体として得た。フェロセンを内部標準物質として用いてH−NMRにより決定した錯体3の含量は60wt%であった(0.48g、収率21%)
質量スペクトル(EI−MS、m/z):616(M
【0099】
<1−ヘキセンの製造>
(1)1−ヘキセン活性
ガスクロマトグラフィー(島津GC−2010、DB−1カラム)を用いて分析した。
(2)公知な遷移金属錯体の合成
[1−トリフェニルメチル−シクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド(以下、「錯体4」という。)は公知の手法(J.Organomet.Chem.1995,485,173−178.)に従って合成した。
【0100】
[実施例4]
減圧乾燥後、アルゴンで置換した0.4リットルの攪拌機付きオートクレーブに、トルエン60mL、Al濃度が9.0wt%(3.5mmol/mL)であるメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製 TMAO−s)0.88mLを仕込み、系内の温度を40℃まで昇温した後、エチレンを0.5MPaまで導入し、系内を安定させた。これに、錯体1のトルエン溶液(1μmol/mL)0.60mLを投入した。反応中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、40℃で30分反応し、エタノールを1.0mL投入して反応を停止した。その後、エチレンをパージして、オートクレーブ内の内容物をエタノール−塩酸で脱灰し、ろ過した。1−ヘキセンが1.5×10g/mol錯体/hの活性で得られ、重合体が24mg得られた。
【0101】
[比較例1]
減圧乾燥後、アルゴンで置換した0.4リットルの攪拌機付きオートクレーブに、トルエン60mL、Al濃度が9.0wt%(3.5mmol/mL)であるメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製 TMAO−s)0.88mLを仕込み、系内の温度を40℃まで昇温した後、エチレンを0.5MPaまで導入し、系内を安定させた。これに、錯体4のトルエン溶液(1μmol/mL)0.60mLを投入した。反応中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、40℃で30分反応し、エタノールを1.0mL投入して反応を停止した。その後、エチレンをパージして、オートクレーブ内の内容物をエタノール−塩酸で脱灰し、ろ過した。1−ヘキセンが0.6×10g/mol錯体/hの活性で得られ、重合体が12mg得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される遷移金属錯体。
一般式(1)

(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、
、X、X、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R20(3つのR20はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR20にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R21(2つのR21はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR21にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19のうち少なくとも一つは、ハロゲン原子、該アルキル基、該アルコキシ基、該アリール基、該アリールオキシ基、該アラルキル基、該アラルキルオキシ基、該置換シリル基または該2置換アミノ基であり、
、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R10、R11、R12、R13及びR14のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R15、R16、R17、R18及びR19のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。)
【請求項2】
一般式(1)におけるMがチタン原子である請求項1に記載の遷移金属錯体。
【請求項3】
一般式(1)におけるRがトリメチルシリル基である請求項1または2に記載の遷移金属錯体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の遷移金属錯体からなる三量化用触媒成分。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の遷移金属錯体と活性化助触媒成分とを接触させて得られる三量化用触媒。
【請求項6】
活性化助触媒成分が次の化合物(A)を含む請求項5に記載の三量化用触媒。
化合物(A):下記化合物(A1)、(A2)および(A3)からなる化合物群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1):一般式 (EAl(G)3−aで表される有機アルミニウム化合物
(A2):一般式 {−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン
(A3):一般式 E{−Al(E)−O−}Al(Eで表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、E、EおよびEは、炭素原子数1〜8のハイドロカルビル基を表し、Gは、水素原子またはハロゲン原子を表し、aは1〜3の整数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。Eが複数ある場合、複数のEは互いに同じであっても異なっていてもよい。Gが複数ある場合、複数のGは互いに同じであっても異なっていてもよい。複数のEは互いに同じであっても異なっていてもよい。複数のEは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
【請求項7】
活性化助触媒成分が次の化合物(B)を含む請求項5または6に記載の三量化用触媒。
化合物(B):下記化合物(B1)、(B2)および(B3)からなる化合物群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1):一般式 BQで表されるホウ素化合物
(B2):一般式T(BQで表されるボレート化合物
(B3):一般式(L−H)(BQで表されるボレート化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q、Q、QおよびQは、それぞれ同一または相異なり、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基または炭素原子数2〜20のジハイドロカルビルアミノ基を表し、Tは無機または有機のカチオンを表し、(L−H)はブレンステッド酸を表す。)
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の三量化用触媒の存在下、エチレンを三量化させる1−ヘキセンの製造方法。
【請求項9】
一般式(2)

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は前記と同義であり




を表す。]
で示される置換シクロペンタジエン化合物と、塩基とを反応させる工程;および
前記置換シクロペンタジエン化合物(2)と塩基との反応物に、
以下の一般式(3)

(式中、M、X、X及びXは前記と同義であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R20(3つのR20はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR20にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R21(2つのR21はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR21にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、mは0または1を表す。)
で示される遷移金属化合物を反応させる工程を有する、請求項1に記載の一般式(1)で表される遷移金属錯体の製造方法。
【請求項10】
一般式(4)

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は前記と同義であり、Dは、ケイ素原子またはスズ原子であり、
22、R23及びR24は、
それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R20(3つのR20はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR20にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R21(2つのR21はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR21にある炭素原子数の合計が2〜20であり、



を表す。]
で示される置換シクロペンタジエン化合物と以下の一般式(3)

(式中、M、X、X及びXは前記と同義であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R20(3つのR20はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR20にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R21(2つのR21はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR21にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、mは0または1を表す。)
で示される遷移金属化合物とを反応させる工程を有する、請求項1に記載の一般式(1)で表される遷移金属錯体の製造方法。

【公開番号】特開2012−211117(P2012−211117A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78768(P2011−78768)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】