説明

選択のモノマーを含む高級分枝状コポリマー、それを含む組成物、および化粧方法

【課題】 本発明の目的は、所望の化粧品特性を提供することを同時に可能にしながら、処方物内での分離の問題を回避する新規で特殊な高級分枝状コポリマーを提供することによって従来技術の欠点を克服することである。さらに、これらのポリマーは、親油性媒体の化粧組成物中で処方するのが容易である。
【解決手段】 本発明は、それぞれが少なくとも1個の分枝点を含む少なくとも2種のポリマー分枝を含む高級分枝状コポリマーに関するものであり、該コポリマーの1つの分枝が、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、およびアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群から選択される少なくとも1種の第一の選択のモノマーを含み、該コポリマーの第二の分枝が、前記第一のモノマーと同一または異なり前記群から選択される第二の選択のモノマーを含む高級分枝状コポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な高級分枝状コポリマー、および該コポリマーを含む組成物、特に化粧または皮膚科学的組成物、詳細には局所用の皮膚科学的組成物に関する。また、本発明は、これらコポリマーの、ケラチン物質、より詳細には身体または顔の皮膚、および唇のメイクアップおよび/またはケアの分野における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
美容学の分野では、皮膚、唇、毛髪、まつ毛または爪などの問題とするケラチン物質上に、沈積物、特に粘着性または皮膜を形成する沈着物を形成できる組成物を入手することを目標とすることが多い。
【0003】
特に、これらの組成物は、色彩(メイクアップまたは染毛組成物)、艶または艶消し(皮膚のメイクアップまたはケア組成物)、形状などの物理的特性(髪用組成物、特に整髪組成物)、およびケアまたは保護的特性(ケア組成物、例えば保湿またはUV-防護組成物)を提供することができる。
【0004】
一般に、目標は、その化粧沈着物が、時間に関する良好な持続性および滞留力、さらには物質に対する良好な粘着性をもつべきことである。特に、この沈着物が、摩擦などの機械的攻撃および他の物体との接触による色移りに抵抗し、さらには水、汗、涙、雨、皮脂、および油類に耐え得ることが望ましい。このことは、特にメイクアップの分野、詳細には長期の色堅牢性および艶滞留力、ならびに色移り抵抗性が望まれる口紅の分野、色が堅牢で、メイクアップ当初の艶消しが皮脂および汗の分泌にもかかわらずできる限り長持ちし、また色移り抵抗性が求められるファンデーション、アイシャドーおよびパウダーの分野でそうである。さらに、メイクアップ組成物は、付いている状態が心地よく、質感があまりにも粘着性であってはならない。
【0005】
相互に矛盾することの多いこれらの特性のすべてを1つの組成物内で調和させるために、化学的性質を大きく異にし、それぞれが所望の性質の1つを備えた2種以上のポリマーのブレンド物を採用することが可能である。しかしながら、異なる化学的性質を有し、必ずしも互に相溶とは限らないポリマーのブレンド物を使用すると、組成物中で分離の問題が生じる。
【0006】
ランダムポリマー、例えばモノマーの統計的混合による通常のフリーラジカル重合によって得られる通常のアクリルポリマーを使用しても、これらの問題点を十分に解決できない。なぜなら、従来技術で周知のランダムポリマーは、ポリマー鎖の組成に関して分散性を示し、このことが、さらに処方物内でのポリマーの分離につながるからである。
【0007】
毛髪美容学での使用のために提案されている高級分枝状ポリマーも知られており、出願WO01/96429では、これらの高級分枝状ポリマーが、引き続き第二のアクリルモノマーの存在下に重合させることのできる懸垂したアリル単位を含むポリマーを得るために、第一のアクリルモノマー、および異なる反応性を有する2つの重合可能な官能基を有する分枝用モノマーから調製される。
【0008】
しかし、この文献に記載されているポリマーは水性媒体に可溶であり、詳細には油性媒体または溶剤など、美容学で一般的に採用される親油性媒体中で処方することは困難である。しかし、口紅およびファンデーションなど、ある種の化粧用メイクアップ組成物は脂肪相を含むのが極めて一般的である。
【特許文献1】WO01/96429
【特許文献2】EP815848
【特許文献3】WO97/35541
【特許文献4】EP895467
【特許文献5】EP96459
【特許文献6】US5,625,005
【特許文献7】WO97/18247
【特許文献8】WO-A-99/03894
【非特許文献1】Polymer Handbook,3rd ed.1989,John Wiley
【非特許文献2】「Chimie et physico-chimie des polymeres」, M.Fontanille,Y.Gnanou (publ.Dunod) 2002,page 368
【非特許文献3】Macromolecules 2002,35,pp.1146-48, Jho JY and Yoo SH
【非特許文献4】Polym.Prepr.1996,37(2),413-14
【非特許文献5】Matyjaszewski,「Progress in polymer science」, 26(3),337-77,2001、Annex2.2
【非特許文献6】Chem,review 2001,101/12,3737
【非特許文献7】Mueller,「Macromolecules」34/18,62026-13,2001
【非特許文献8】JACS,117,page 5641(1995)
【非特許文献9】Chem.review 2001,101(12),p.3681
【非特許文献10】「Synthesis of nitroxy-functionalized polybutadiene by anionic polymerization using a nitroxy-functionalized terminator」,Macromolecules 1997,volume 30,pp.4238-42
【非特許文献11】「Macromolecular engineering via living free radical polymerizaiton」,Macromol.Chem.Phys.1998,vol.199,pp.923-35
【非特許文献12】Chem.Review 2001,101/12,p.3787
【非特許文献13】Charleux et al., Advance in Polymer Science 142,pp.1-69,1999
【非特許文献14】Eric Grulke,「Solubility parameter values」, Polymer Handbook, 3rd edition, chapter VII,pp.519-59
【非特許文献15】C.M.Hansen,「The three dimentional solubility」, J.Paint Technol.39,105(1967)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、所望の化粧品特性を提供することを同時に可能にしながら、処方物内での分離の問題を回避する新規で特殊な高級分枝状コポリマーを提供することによって従来技術の欠点を克服することである。さらに、これらのポリマーは、親油性媒体の化粧組成物中で処方するのが容易である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
とりわけ、驚くべきことに、意外にも、本発明者は、組成に関して極めて特定の要件に合致するある種の高級分枝状ポリマーによって、上に示した要求を完全に満足させることが可能になることを見出すに至った。
【0011】
従って、まず、本発明は、少なくとも2種、特に3種のポリマー分枝を含み、該分枝のそれぞれが、互いに異なりかつ独立の少なくとも3官能性の分枝点を少なくとも1個含有する高級分枝状コポリマーであって、第一の分枝が、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群から選択される少なくとも1種の第一の選択のモノマーを含み、かつ少なくとも1個の第二の分枝が、前記第一のモノマーと同一または異なり、かつ前記の群から選択される少なくとも1種の好ましい第二の選択のモノマーを含むことを特徴とする高級分枝状コポリマーを提供する。
【0012】
本発明は、さらに、前記コポリマーを含有する化粧組成物または医薬組成物、特に皮膚科学組成物を提供する。
【0013】
本発明によるポリマーは、著しく柔軟で、かつ少しもべとつかない皮膜を得ることを可能にするという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明において、「高級分枝状ポリマー」は、第一の分枝または第二の分枝のいずれかを形成する少なくとも2種、特に3種のポリマー分枝を含み、各分枝が、異なりかつ独立の少なくとも3官能性の分枝点を少なくとも1個含有し、かつ互いに異なり独立の少なくとも3官能性の分枝点を少なくとも2個形成できるポリマーであると定義できる。各分枝点は、好ましくは、少なくとも1個の鎖の内部に配置される。
【0015】
分枝は、好ましくは、多官能性化合物、特に、好ましくは異なる反応性を有する後に規定または説明する化合物によって互いに連結されている。
【0016】
本発明において、用語「3官能性分枝点」とは、3つのポリマー分枝の接合点を意味し、その少なくとも2つの分枝は化学的構成および/または構造を異にする。例えば、ある分枝は、親水性でよく、すなわち主として親水性モノマーを含むことができ、他の分枝は疎水性でよく、すなわち主として疎水性モノマーを含むことができる。さらなる分枝が、ランダムポリマーまたはブロックポリマーを補足的に形成してもよい。
【0017】
同様に、用語「少なくとも3官能性の分枝」とは、少なくとも3つのポリマー分枝の、例えばn個のポリマー分枝の接合点を意味し、その中のn-1個の分枝は少なくとも化学的構成および/構造を異にする。
【0018】
用語「鎖の内部」とは、その鎖の2つの末端を形成する原子を除いて、ポリマー鎖内に位置する原子を意味する。
【0019】
「第一の分枝」は、モノマーの重量で最大比率を占める分枝またはポリマー連鎖である。
【0020】
第一の分枝でない分枝を「第二の分枝」と呼ぶ。
【0021】
本発明による「高級分枝状ポリマー」という概念の定義は、特に、
- 分枝またはグラフトポリマー;すなわち、例えば、Tgが0〜30℃で炭素/フッ素骨格を有するコポリマーおよび25℃を超えるTgを有する堅い接枝について文献EP815848に記載されたポリマー、または堅い親水性ビニル/アクリル骨格および柔軟な疎水性接枝について文献WO97/35541に記載されたポリマーなど、複数の3官能性分枝点を有する主鎖を含み、その各分枝点から直鎖の側鎖が出て、その側鎖は1種または複数のブロックを含むことが可能であり、これらの側鎖が主鎖と性質を同じくするまたは異にするポリマー、
- 櫛型ポリマー(グラフトポリマーの特殊ケース);すなわち、複数の3官能性分枝点を有する主鎖を含み、その分枝点のそれぞれから直鎖の側鎖が出て(ポリマー科学基本用語解説/IUPAC/1996年)、分枝点が規則的間隔で配置されたポリマー、
- 星型ポリマー;すなわち、その分枝点のすべてがたった1つの点に位置するポリマー、
を包含しない。
【0022】
本発明においては、第一の分枝または第二の分枝を形成する少なくとも2種のポリマー分枝を含み、その分枝のそれぞれは、互いに異なり独立な少なくとも3官能性の分枝点を少なくとも1個含み、互いに異なり独立な少なくとも2つの3官能性分枝点を形成でき、各分枝点が好ましくは少なくとも1個の鎖の内部に配置された高級分枝状ポリマーが好ましい。
【0023】
ここに示す例示に束縛されるものではないが、本発明によるコポリマーは、次の図式
【0024】
【化1】

【0025】
[式中、AおよびBは以下で規定する選択のモノマーおよび/または追加のモノマーを表し、mおよびnはそれらの重合度であり、Xは各分枝上に存在し、以下で規定する多官能性化合物から生じることのできる3官能性分枝点を表す]による例示が可能と考えることができる。
【0026】
本発明によるコポリマーは、その少なくとも若干の利点として、有利なレオロジー特性を保持しながら、化粧用有機媒体、特に親油性溶剤および/または化粧オイルを含む媒体中で採用するのが容易であるという利点を有する。
【0027】
特に、本発明によるコポリマーは、溶剤、特に親油性溶剤、および/または化粧オイルに対して良好な溶解性を示す。
【0028】
媒体に「可溶」なポリマーとは、25℃において該媒体中で沈殿を形成せず、有利には澄明溶液を形成するポリマーを意味することを想起されたい。
【0029】
有利には、本発明によるコポリマーは、25℃、1気圧においてイソドデカン中に少なくとも3重量%の濃度で、好ましくは少なくとも5重量%、さらには少なくとも10重量%の濃度で可溶である。
【0030】
従って、本発明によるコポリマーは、高級分枝状コポリマー、すなわち、第一の分枝または第二の分枝のいずれかを形成できる少なくとも2種、特に少なくとも3種のポリマー分枝を含み、該分枝のそれぞれが、特に、互いに異なり独立な少なくとも3官能性の分枝を少なくとも2つ形成できるように、互いに異なり独立な少なくとも3官能性の分枝点を少なくとも1個含むコポリマーである。
【0031】
有利には、本発明による高級分枝状コポリマーは、特にフリーラジカル重合が可能な1種または複数のエチレン性モノマーから誘導される、該ポリマーの分枝を形成するための単位を含み、各分枝はホモポリマー類、またはランダム、交互、ブロックもしくはグラジエントコポリマー類からなるポリマー連鎖の形態であることが可能であり、好ましくは各分枝がホモポリマーまたは直鎖ランダムコポリマーの形態である。
【0032】
本発明によるコポリマーは、少なくとも1種の第一の選択のモノマーを含む少なくとも1種の第一の分枝またはポリマー連鎖、および前記の特定第一のモノマーと同一または異なる少なくとも1種の第二の選択のモノマーを含む少なくとも1種の第二連鎖(または第二の分枝)を含む。
【0033】
本発明において、「選択のモノマー」とは、次のリスト、すなわち、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルから選択されるモノマーを意味する。
【0034】
各分枝または連鎖は、当然のことながら選択のモノマーの混合物を含み、各分枝は異なる化学組成および/構造を有することが可能である。
【0035】
第一の分枝が、該分枝の総重量に対して80重量%〜100重量%、好ましくは100重量%の選択のモノマーを含むホモポリマーまたはランダムコポリマーの形態であるコポリマーが極めて特に好ましい。
【0036】
また、第二の分枝または第二の分枝群が、該分枝の総重量に対して80重量%〜100重量%、好ましくは100重量%の1種または複数の選択のモノマーを含むホモポリマーまたはランダムコポリマーの形態であるコポリマーが好ましい。
【0037】
従って、本発明によるコポリマーは、第一の選択のモノマー、あるいは少なくとも2種の選択のモノマーまたはさらに3種の選択のモノマーからなる混合物、あるいは1種または2種の選択のモノマーと以下で規定する1種または複数の追加のモノマーとの混合物を含む第一の分枝を含むことができる。
【0038】
また、本発明によるコポリマーは、前記の第一の選択のモノマーと異なるまたは前記の第一の選択のモノマーと同じ選択のモノマーを含んでもよく、単独または1種または複数のその他の選択のモノマーとのおよび/または以下で規定する1種または複数の追加のモノマーとの混合物であってよい選択のモノマーを含むことのできる、少なくとも1種の第二の分枝を含むことができる。
【0039】
一般的に、最終コポリマー中における選択のモノマーから選択されるモノマーの総量は、好ましくは、最終コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して選択のモノマーの50重量%〜100重量%、特に60重量%〜98重量%、さらには70重量%〜97重量%、より好ましくは80重量%〜96重量%、優先的には90重量%〜95重量%の好ましいモノマーである。
【0040】
本発明によるコポリマーは、最終コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対する比率で表して、第一の分枝中に存在する詳細には25重量%〜75重量%、例えば30重量%〜70重量%の第一の選択のモノマー、および同一分枝または他の分枝中に存在してもよい詳細には25重量%〜75重量%、詳細には30重量%〜70重量%の第二の選択のモノマーを含むことができる。
【0041】
本発明によるコポリマーは、最終コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対する比率で表して、最終コポリマーの重量に対して場合によっては、1重量%〜40重量%、特に5重量%〜30重量%、さらには10重量%〜25重量%の選択のモノマーから選択される第三のモノマーをさらに含むことができる。
【0042】
同一分枝中または異なる分子中の如何にかかわらず次のモノマーの組み合わせ、すなわち、
- アクリル酸イソボルニルとメタクリル酸イソボルニル、
- アクリル酸イソボルニルとアクリル酸イソブチル、
- アクリル酸イソボルニルとメタクリル酸イソブチル、
- アクリル酸イソボルニルとアクリル酸2-エチルヘキシル、
- メタクリル酸イソボルニルとアクリル酸イソブチル、
- メタクリル酸イソボルニルとメタクリル酸イソブチル、
- メタクリル酸イソボルニルとアクリル酸2-エチルヘキシル、
- アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニルとアクリル酸2-エチルヘキシル、
- アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニルとアクリル酸イソブチル、
- アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソブチルとアクリル酸2-エチルヘキシル、
- アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソブチルとアクリル酸イソブチル、および
- メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソブチルとアクリル酸イソブチル、
を含むコポリマーが極めて特に好ましい。
【0043】
極めて優先的には、
- 第一の分枝中にアクリル酸イソボルニル、第二の分枝中にアクリル酸イソブチル、
- 第一の分枝中にアクリル酸イソボルニル、第二の分枝中にアクリル酸2-エチルヘキシル、
- 第一の分枝中にメタクリル酸イソボルニル、第二の分枝中にアクリル酸イソブチル、
- 第一の分枝中にメタクリル酸イソボルニル、第二の分枝中にアクリル酸2-エチルヘキシル、
- 第一の分枝中にアクリル酸イソボルニルおよびメタクリル酸イソボルニル、第二の分枝中にアクリル酸イソブチル、
- 第一の分枝中にアクリル酸イソボルニルおよびメタクリル酸イソボルニル、第二の分枝中にアクリル酸2-エチルヘキシル、
- 第一の分枝中にアクリル酸イソボルニルおよびメタクリル酸イソブチル、第二の分枝中にアクリル酸イソブチル、
- 第一の分枝中にアクリル酸イソボルニルおよびメタクリル酸イソブチル、第二の分枝中にアクリル酸2-エチルヘキシル、
- 第一の分枝中にメタクリル酸イソボルニルおよびメタクリル酸イソブチル、第二の分枝中にアクリル酸イソブチル、または
- 第一の分枝中にメタクリル酸イソボルニルおよびメタクリル酸イソブチル、第二の分枝中にアクリル酸2-エチルヘキシル、
を含むコポリマーを挙げることができる。
【0044】
本発明によるコポリマーは、さらに、選択のモノマーから選択されるモノマーとは異なる少なくとも1種の追加のモノマーを含むことができる。
【0045】
この追加のモノマーまたは追加のモノマーの混合物は、最終コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して0重量%〜50重量%、特に2重量%〜40重量%、さらには3重量%〜30重量%、より好ましくは4重量%〜20重量%、優先的には5重量%〜10重量%の量で存在できる。
【0046】
これまたはこれらの追加のモノマーは、当然のことながら前に挙げた選択のモノマーを除く、以下のモノマーおよびそれらの塩、すなわち、
(i)式CH2=CHCOORまたはCH2=C(CH3)COORの(メタ)アクリレート、
[式中Rは、
- O、N、SおよびPから選択される1個または複数の挿入されたヘテロ原子が場合によっては存在し、かつ/または-OH、ハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)、基-NR4R5(R4およびR5は同一または異なり水素またはC1〜C6の直鎖もしくは分枝のアルキル基またはフェニル基を表す)、および/または5〜30個のオキシアルキレン単位の繰り返しからなるポリオキシアルキレン基、特にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレンで場合によっては置換されていることが可能な、1〜30個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキル基、
- 該シクロアルキル基がその鎖中にO、N、Sおよび/またはPから選択される1個または複数のヘテロ原子を含むことが可能で、かつ/または-OHおよびハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1個または複数の置換基によって場合によっては置換されていることが可能な、C3〜C12シクロアルキル基、
- C4〜C20アリールまたはC5〜C30アラルキル基(C1〜C8アルキル基を有する)
を表し、
特に、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、オクチル、ラウリル、イソオクチル、イソデシル、ドデシル、シクロヘキシル、t-ブチルシクロヘキシル、ステアリル、2-エチルパーフルオロヘキシル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシブチル、2-ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、イソボルニル、フェニル、2-フェニルエチル、t-ブチルベンジル、ベンジル、フルフリルメチルまたはテトラヒドロフルフリルメチル基、メトキシ-ポリオキシエチレン(またはPOE-メチル)基、POE-ベヘニルまたはトリフルオロエチル基、またはジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチルまたはジメチルアミノプロピル基であってよい]、
(ii)式CH2=CHCONR4R5またはCH2=C(CH3)CONR4R5の(メタ)アクリルアミド
[式中、R4およびR5は、同一または異なり、水素原子または
a)O、N、SおよびPから選択される1個または複数の挿入されたヘテロ原子が場合によっては存在し、さらにヒドロキシル基、ハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)、および基Si(R4R5)(R4およびR5は同一または異なりC1〜C6アルキル基またはフェニル基を表す)から選択される1個または複数の置換基で場合によっては置換されていることが可能な、1〜18個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキル基、
特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、デシル、イソデシル、シクロデシル、ドデシル、シクロドデシル、イソノニル、ラウリル、t-ブチルシクロヘキシルまたはステアリル基、2-エチルパーフルオロヘキシル基、または2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシブチルおよび2-ヒドロキシプロピルなどのC1〜4ヒドロキシアルキル基、またはメトキシエチル、エトキシエチルおよびメトキシプロピルなどのC1〜4アルコキシ-C1〜4アルキル基、
b)イソボルニル基などのC3〜C12シクロアルキル基、またはフルフリルメチルまたはテトラヒドロフルフリルメチルなどの複素環アルキル基(炭素原子が1〜4個のアルキルを有する)、
c)フェニル基などのC4〜C20アリール基、または
d)2-フェニルエチル、t-ブチルベンジルまたはベンジルなどのC5〜C30アラルキル基(C1〜C8アルキル基を有する)を表す]、
(iii)例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルホスホン酸またはアクリルアミドプロパンスルホン酸など、少なくとも1個のカルボン酸、ホスホン酸もしくはスルホン酸または無水物官能基を含むエチレン性不飽和モノマー、ならびにその塩、
(iv)式R6O-CH=CH2のビニルエーテル、または式R6-COO-CH=CH2のビニルエステル
[式中、R6は、1〜22個の炭素原子を含む直鎖もしくは分枝のアルキル基、または3〜6個の炭素原子を含む環状アルキル基、および/または例えばベンゼン、アントラセンもしくはナフタレン型の芳香族基を表す]、
(v)式CH2=CH-R9、CH2=CH-CH2-R9またはCH2=C(CH3)=CH2-R9のビニル化合物
[式中、R9は、ヒドロキシル、ハロゲン(ClもしくはF)またはNH2基、またはOR10基(R10はフェニル基もしくはC1〜C12アルキルを表し、そのモノマーはビニルもしくはアリルエーテルである)、アセトアミド基(NHCOCH3)、OCOR11基(R11は炭素が2〜12個の直鎖もしくは分枝のアルキル基を表し、そのモノマーはビニルもしくはアリルエステルである)、あるいは
- O、N、SおよびPから選択される1個または複数の挿入されたヘテロ原子が場合によっては存在し、さらにヒドロキシル基、ハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)および基Si(R4R5)(R4およびR5は同一または異なりC1〜C6アルキル基またはフェニル基を表す)から選択される1個または複数の置換基で場合によっては置換されていることが可能な、1〜18個の炭素を有する直鎖もしくは分枝のアルキル基、
- イソボルニルまたはシクロヘキサンなどのC3〜C12シクロアルキル基、
- フェニルなどのC3〜C20アリール基、
- 2-フェニルエチルまたはベンジルなどのC4〜C30アラルキル基(C1〜C8アルキル基を有する)、
- O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その環が芳香族または非芳香族である4-〜12-員環複素環基、および
- フルフリルメチルまたはテトラヒドロフルフリルメチルなどの複素環アルキル基(炭素が1〜4個のアルキルを有する)から選択される基である]、
(vi)特にメチルスチレン、クロロスチレンまたはクロロメチルスチレンなど、スチレンおよびその誘導体、
(vii)メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシロキサンおよびメタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランなど、1個または複数のケイ素原子を含むエチレン性不飽和モノマー、
- およびそれらの塩、およびそれらの混合物、
から単独または組合せで選択できる。
【0047】
これらの追加のモノマーの中でも、極めて特に、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、シクロヘキシル、メトキシエチル、エトキシエチル、トリフルオロエチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、2-ヒドロキシプロピルおよび2-ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリルアミド、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、さらにそれらの塩、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0048】
追加のモノマーとして、少なくとも1個の重合可能な末端基を有する炭素またはシリコーンマクロモノマーを採用することも可能である。これは、その末端の1つの末端だけに末端基、特に、重合反応中に問題のモノマーと反応してポリマーの側鎖を形成する能力のある重合可能な末端基を含む任意のポリマー、特にオリゴマーであり、前記末端基は、有利には、骨格を形成するモノマーとのフリーラジカル重合が可能なエチレン性不飽和基であってよい。前記マクロモノマーによって、コポリマーの側鎖を形成することが可能になる。マクロモノマーの重合可能な基は、有利には、フリーラジカル重合が可能なエチレン性不飽和基であってよい。前記の重合可能な末端基は、特に、ビニルまたは(メタ)アクリレート基であってよい。採用できる追加のマクロモノマーの中でも、特に、次のマクロモノマーおよびその塩を挙げることができる。すなわち、
(i)ビニルまたは(メタ)アクリレート基から選択される重合可能な末端基を有する直鎖または分枝のC8〜C22アルキル(メタ)アクリレートホモポリマーおよびコポリマー:その中でも、モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(アクリル酸2-エチルヘキシル)マクロモノマー、モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(ドデシルアクリル酸)またはポリ(メタクリル酸ドデシル)マクロモノマー、およびモノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(アクリル酸ステアリル)またはポリ(メタクリル酸ステアリル)マクロモノマーを挙げることができる。この種のマクロモノマーは、詳細には特許EP895467およびEP96459に記載されている。
(ii)エチレン性不飽和末端基を有するポリオレフィン、特に(メタ)アクリレート末端基を有するポリオレフィン:このようなポリオレフィンの例としては、特に、該マクロモノマーが(メタ)アクリレート末端基を有するという条件で、次のマクロモノマー、すなわち、ポリエチレンマクロモノマー、ポリプロピレンマクロモノマー、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマーのマクロモノマー、ポリエチレン/ポリブチレンコポリマーのマクロモノマー、ポリイソブチレンマクロモノマー、ポリブタジエンマクロモノマー、ポリイソプレンマクロモノマー、およびポリ(エチレン/ブチレン)-ポリイソプレンマクロモノマーを挙げることができる。この種のマクロモノマーは、特に、(メタ)アクリレート反応性末端基を有するエチレン/プロピレンマクロモノマーについて述べたUS5,625,005中に記載されている。特に、Kraton PolymersからKraton Liquid L-1253の名称で販売されているようなポリ(エチレン/ブチレン)メタクリレートを挙げることができる。
(iii)モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリジメチルシロキサン、特に次式(IIa)
【0049】
【化2】

【0050】
[式中、
- R8は、水素原子またはメチル基、好ましくはメチル基を意味し、
- R9は、1〜10個の炭素原子を有し、かつ1個または2個のエーテル結合-O-を場合によっては含む直鎖または分枝の、好ましくは直鎖の二価炭化水素基、好ましくはエチレン、プロピレンまたはブチレンを意味し、
- R10は、1〜10個の炭素原子、詳細には2〜8個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチルを意味し、
- nは、1〜300の範囲の、好ましくは3〜200の範囲の、優先的には5〜100の範囲の整数を意味する]のポリジメチルシロキサン。
【0051】
シリコーンマクロモノマーとしては、特に、UCT(United Chemical Technologies Inc.)からPS560-K6の名称で、またはGelest Inc.からMCR-M17の名称で販売されているようなモノメタクリロイルオキシプロピルジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0052】
塩の中でも、酸基をLiOH、NaOH、KOH、Ca(OH)2、NH4OHまたはZn(OH)2などの無機塩基を用いて、あるいは第一級、第二級または第三級アルキルアミン、特にトリエチルアミンまたはブチルアミンなどの有機塩基で中和することによって得られる塩を挙げることができる。この第一級、第二級または第三級アルキルアミンは、1個もしくは複数の窒素および/または酸素原子を含んでもよく、従って、例えば1個または複数のアルコール官能基を含んでもよく、詳細には2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリエタノールアミンおよび2-ジメチルアミノプロパノールを挙げることができる。リシンまたは3-(ジメチルアミノ)プロピルアミンを挙げることもできる。
【0053】
また、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸およびホウ酸など、鉱酸の塩を挙げることができる。1個または複数のカルボン酸、スルホン酸またはリン酸基を含んであってよい有機酸の塩を挙げることもできる。これらの酸は、直鎖、分枝、または環状の脂肪族酸あるいは芳香族酸であってよい。これらの酸は、さらに、OおよびNから選択される1個または複数のヘテロ原子を例えばヒドロキシル基の形態で含むことができる。特に、プロピオン酸、酢酸、テレフタル酸、クエン酸および酒石酸を挙げることができる。
【0054】
好ましくは、本発明によるコポリマーは、少なくとも1種の「高Tg」分枝またはポリマー連鎖、すなわち、20℃以上、特に20℃〜150℃まで、詳細には30℃〜120℃、より詳細には40℃〜100℃のTgを有する分枝または連鎖を含む。
【0055】
この分枝は、好ましくは、ポリマーの総重量に対して50重量%以上、特に55重量%〜95重量%、優先的には60重量%〜90重量%の量で存在する。
【0056】
同様に、好ましくは、本発明によるコポリマーは、少なくとも1種の「低Tg」分枝または連鎖、すなわち厳密に20℃未満、すなわち-150℃〜19℃、換言すれば-100℃〜0℃、より詳細には-80℃〜-5℃、さらには-70℃〜-10℃のTgを有する分枝または連鎖を含む。
【0057】
この分枝は、好ましくは、ポリマーの総重量に対して50重量%未満、特に5重量%〜45重量%、優先的には10重量%〜40重量%の量で存在する。
【0058】
好ましくは、「高Tg」分枝は、該分枝の総重量に対して30重量%〜100重量%、特に40重量%〜95重量%、より好ましくは50重量%〜90重量%の比率で存在できる、以下で規定する本質的に「高Tg」なモノマーを含む。
【0059】
同様に、「低Tg」分枝は、該分枝の総重量に対して30重量%〜100重量%、特に40重量%〜95重量%、より好ましくは50重量%〜90重量%の比率で存在できる、以下で規定する本質的に「低Tg」のモノマーを含む。
【0060】
第一の分枝が「高Tg」であり、少なくとも1種の第二の分枝が「低Tg」であるコポリマーが極めて特に好ましいことに留意されたい。
【0061】
さらに、本発明によるコポリマーは、好ましくは、少なくとも1種の「高Tg」モノマー、すなわち20℃以上、特に20℃〜150℃、有利には30℃〜120℃、さらに有利には40℃〜100℃のTgを有するモノマー、またはこのようなモノマーの混合物を含む。
【0062】
これまたはこれらの「高Tg」モノマーは、選択のモノマーおよび/または追加のモノマーから選択できる。
【0063】
「高Tg」モノマーまたは「高Tg」モノマー群は、コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して40重量%〜100重量%、特に50重量%〜80重量%、より好ましくは55重量%〜70重量%の比率で存在できる。
【0064】
従って、本発明によるコポリマーは、同様に、少なくとも1種の「低Tg」モノマー、すなわち厳密に20℃未満、特に-150℃〜19℃、より好ましくは-100℃〜0℃、さらに有利には-80℃〜-5℃、さらには-70℃〜-10℃のTgを有するモノマー、またはこのようなモノマーの混合物を含むことができ、それ故、前記モノマーまたはモノマー群は、コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して0重量%〜60重量%、特に20重量%〜50重量%、より好ましくは30重量%〜45重量%の比率で存在可能である。
【0065】
これらの「低Tg」モノマーは、選択のモノマーおよび/または追加のモノマーから選択できる。
【0066】
参考までに、アクリル酸イソボルニルは94℃のTgを有し、メタクリル酸イソボルニルは110℃、メタクリル酸イソブチルは53℃のTgを有し、従って、これらはすべて20℃を超えるTgを有する「高Tg」モノマーであり、一方、アクリル酸イソブチルは-24℃のTgを有し、アクリル酸2-エチルヘキシルは-50℃のTg有し、従ってこれらはすべて20℃未満のTgを有する「低Tg」モノマーであることに留意されたい。
【0067】
本発明の説明において、表現「Tgモノマー」とは、そのホモポリマーがそのようなTgを有するそれらのモノマーを意味する。本発明において、Tg(またはガラス転移温度)は、例えばPolymer Handbook、第3版、1989年、John Wileyなどの参考便覧中に見出すことのできる、Fox則として知られている次の関係
【0068】
【数1】

【0069】
iは問題の連鎖中のモノマーiの質量分率であり、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(ケルビン)である]によって、各連鎖の構成モノマーの理論Tgから決められる理論Tgである。
【0070】
優先的には、本発明によるコポリマーは、選択のモノマーおよび/または追加のモノマーから選択できる、かつコポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して40重量%〜100重量%、特に50重量%〜80重量%、より好ましくは55重量%〜70重量%の比率で存在できる1種または複数の親油性モノマーを含む。
【0071】
従って、本発明によるコポリマーは、選択のモノマーからおよび/または追加のモノマーから選択できる、かつコポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して0重量%〜60重量%、特に20重量%〜50重量%、より好ましくは30重量%〜45重量%の比率で存在できる1種または複数の親水性モノマーを含むことができる。
【0072】
本発明によるコポリマーは、好ましくは、選択のモノマーおよび/または追加のモノマーから選択できる100重量%の親油性モノマーを含む。
【0073】
第一の分枝が親油性であるコポリマーが極めて特に好ましく、第一の分枝と第二の分枝のすべてが親油性であるコポリマーがさらに好ましい。
【0074】
参考までに、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルは極めて特に親油性であることに留意されたい。
【0075】
本発明において、親油性モノマーとは任意の非親水性モノマーを意味する。
【0076】
親水性モノマーとは、そのホモポリマーが水溶性である、すなわち、25℃、1気圧、かつ少なくとも1重量%の濃度において、水中で沈殿を形成せず、有利には澄明溶液を形成する任意のモノマーを意味する。
【0077】
当業者は、一般的知識、特に各モノマーの相対的反応性、そのTgおよびその親油性に基づいて、モノマーおよびそれらの量を所望する効果の関数として選択することが可能である。極めて特に、該溶剤媒体に可溶であるコポリマーが得られるように、モノマーおよびそれらの量、さらには溶剤媒体を選択する。
【0078】
しかし、本発明によるコポリマーがアクリル酸および/またはメタクリル酸を含む場合、これまたはこれらのモノマーは、最終コポリマーに対するその親油性を保持するために、好ましくは、該ポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して20重量%の最大量、特に15重量%未満、さらには10重量%未満の量で存在する。
【0079】
本発明によるコポリマーの数平均分子質量は、2,000g/モル〜1,500,000g/モル、特に5,500g/モル〜1,000,000g/モル、より好ましくは6,000g/モル〜900,000g/モルであるのが好ましい。
【0080】
重量平均(Mw)および数平均(Mn)分子質量は、溶離液としてのTHF、直鎖ポリスチレン標準で作製した校正曲線、および屈折率検出器を使用する液体ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0081】
本発明による高級分枝状コポリマーは、それ自体当業者に周知である重合方法で得ることができる。
【0082】
極めて特に、多官能性化合物の存在下でのフリーラジカル重合からなる少なくとも1つの段階を含む方法を挙げることができる。
【0083】
かくして、
- コポリマーを形成するために想定したエチレン性モノマーもしくはモノマー群、または好ましくはそれら、すなわち前に規定した選択のモノマーもしくは選択のモノマー群および/または追加のモノマーもしくは追加のモノマー群の一部、および、
- 少なくとも1種の多官能性化合物、すなわち、少なくとも2個の重合可能な官能基または不飽和を含み、「鎖延長剤」とも呼ばれ後に規定する化合物、
を反応させることが可能である。
【0084】
反応は2段階で実施することができ、第一段階は、第一の分枝を形成するために想定したモノマーを少量の多官能性化合物の存在下に共重合させることを含み、該多官能性化合物の官能基の反応性は、第一の分枝を形成するために想定したモノマーが、多官能性化合物の最初の官能基と優先的に反応し、少なくとも1個の別な未反応官能基を残すようなものであることが好ましい。
【0085】
第二段階では、別な分枝を形成する能力のあるモノマーを添加することができ、そのモノマーは、多官能性化合物の未反応官能基と優先的に反応し、高級分枝状コポリマーを形成する。この第二段階で、さらなる多官能性化合物を添加することが可能である。
【0086】
多官能性化合物の官能基群は異なる反応性を示すものが選択される。例えば、多官能性化合物は、急速に重合する(メタ)アクリレート官能基、およびより遅く重合するアリル官能基を含むことができる。
【0087】
多官能性化合物の例として、特に、下記式(I)
【0088】
【化3】

【0089】
[式中、
- RaおよびRcは、水素、または1〜22個の炭素原子、特に1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキル基から互いに独立に選択され、好ましくはRaが水素原子でよく、好ましくはRcがメチル基でよく、
- Rbは、1〜22個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝の二価アルキレン基、または3〜6個の炭素原子を有する二価シクロアルキレン基、または6〜18個の炭素原子を有する二価アリーレン基、または7〜24個の炭素原子を有する二価アルカリーレン基、好ましくはRbがメチレン基であり、
- mおよびnは、互いに独立に1、2、3または4であり、和m+nは2以上、好ましくはm=n=1である]の化合物を挙げることができる。
【0090】
多官能性化合物または鎖延長剤としては、(メタ)アクリル酸アリル、およびより好ましくはメタクリル酸アリルが極めて特に好ましい。
【0091】
前記の多官能性化合物は、最終コポリマーの総重量に対して化合物の0.05重量%〜15重量%、有利には0.1重量%〜10重量%、優先的には0.5重量%〜5重量%の量で使用できる。
【0092】
従って、本発明は、
- 少なくとも2個の重合可能な官能基を含む少なくとも1種の多官能性化合物の存在下に、前に規定した選択のモノマーもしくは選択のモノマー群および/または追加のモノマーもしくは追加のモノマー群から選択されるいくつかの想定したモノマーをフリーラジカル重合させることを含む第一段階、および
- 場合によっては多官能性化合物の存在下に選択のモノマーもしくは選択のモノマー群および/または追加のモノマーもしくは追加のモノマー群から選択される想定したモノマーをフリーラジカル重合させることを含む第二段階、
を含む方法によって得ることのできるコポリマーをさらに提供する。
【0093】
また、高級分枝状コポリマーは、
- フリーラジカル的重合が可能な想定したエチレン性モノマーまたはモノマー群、および
- 少なくとも1個の不飽和および重合を開始する能力のある少なくとも1個の部位を含み、従って鎖成長を促進する能力のある部位、すなわち二重結合を含む部位、および鎖を開始する能力のある部位Aを含み、続いて、温度、UV照射、または不飽和を重合させる機構とは異なる任意の機構で活性化する化合物を反応させることによって合成することもできる。
【0094】
この方法は、「自己縮合ビニル重合(self-condensing vinyl polymerization)」と呼ばれる。これについては、「Chimie et Physico-chimie des polymeres」M.Fontanille、Y.Gnanou(Publ.Dunod)2002年、368頁に記載されている。
【0095】
高級分枝状ポリマーを形成するためには、飽和および/または鎖を開始する能力のある部位Aが、制御されたフリーラジカル重合の機構によって、特に、詳細にはMacromolecules、2002年、35巻1146〜48頁、Jho JYおよびYoo SH、またはPolym.Prepr.、1996年、37巻(2)、413〜14頁、またはMatyjaszewski、「Progress in polymer science」、26巻(3)、337〜77頁、2001年、補遺2.2、Chem.review、2001年、101巻/12号、3737頁、Mueller「Macromolecules」34巻/18号、62026〜13頁、2001年に記載されている原子移動ラジカル重合(ATRP)の方法によって反応する能力があればよい。
【0096】
一般的に、原子移動フリーラジカル重合は、
- 少なくとも1個の移動可能なハロゲン原子を有する開始剤、
- 開始剤および「休止(dormant)」ポリマー鎖を用いた変換段階に関与する能力のある遷移金属を含む化合物、
- および、窒素(N)、酸素(O)、リン(P)または硫黄(S)原子を含み、遷移金属を含む前記化合物への結合を経由して配位する能力のある化合物から選択可能な配位子、
の存在下で1種または複数のフリーラジカル重合が可能なモノマーを重合させることによって起こる。
【0097】
この方法は、特に、出願WO97/18247およびJACS、117巻、5641頁(1995年)に発表されたMatyjasezwskiらの論文中に記載されている。ハロゲン原子は、好ましくは塩素または臭素原子である。
【0098】
この場合、鎖を開始する能力のある部位Aは、例えば、R1-Cl(R1=ベンゼン、OCOCH(CH3)-)であってよい。
【0099】
使用できるその他の方法の中でも、例えばChem.review、2001年、101巻(12)、3681頁に記載のニトロキシド法を挙げることができる。ニトロキシドとの反応によるフリーラジカル重合の技術は、成長するフリーラジカル種をC-O NR1R2型(R1およびR2は互いに独立に2〜30個の炭素原子を有するアルキルラジカルであってよい)の結合形態に封鎖すること、あるいは、例えば2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル環など、窒素原子を用いて4〜20個の炭素原子を有する環を一緒に形成することにある。
【0100】
この重合技術は、特に、Macromolecules、1997年、30巻、4238〜42頁に発表された論文「ニトロキシ-官能化停止剤を使用するアニオン重合によるニトロキシ-官能化ポリブタジエンの合成(Synthesis of nitroxy-functionalized polybutadiene by anionic polymerization using a nitroxy-functionalized terminator)」およびMacromol.Chem.Phys.、1998年、199巻、923〜35頁に発表された「リビングフリーラジカル重合による高分子工学(Macromolecular engineering via living free radical polymerizations)」
、あるいは出願WO-A-99/03894に記載されている。
【0101】
この場合、鎖を開始する能力のある部位Aは、例えば式
【0102】
【化4】

【0103】
を有することができる。
【0104】
また、例えばChem.Review、2001年、101巻/12号、3787頁に記載されているアニオン重合法、さらに例えばAdvances in Polymer Science、142巻、1〜69頁、1999年、中にCharleuxらが記載しているカチオン重合法を採用することも可能である。
【0105】
本発明によるコポリマーは、有機化粧用媒体、特に油性または親油性溶剤型の媒体中で、有利なレオロジー特性を保持しながら容易に採用できるという利点がある。
【0106】
コポリマーは、化粧組成物または医薬組成物、特に局所皮膚科学組成物中に、組成物の総重量に対して0.1重量%〜95重量%、好ましくは0.5重量%〜90重量%、特に1重量%〜80重量%、さらには5重量%〜70重量%の量で存在できる。
【0107】
コポリマーは、例えば化粧用有機溶剤または化粧用オイル中に溶解された形態で組成物中に存在できる。実際、本発明によるコポリマーはそれらの中に極めて特に溶解可能であり、それらのコポリマーを有利なレオロジー特性を保持しながらそれらの中に採用できることに留意されたい。
【0108】
本発明による化粧組成物または医薬組成物、特に皮膚科学組成物は、前記コポリマーに加え、生理学的に許容できる媒体、特に化粧または皮膚科学的に許容できる媒体、換言すれば顔または身体の皮膚、唇、毛髪、まつ毛、まゆ毛および爪などのケラチン物質に影響を及ぼさない媒体を含む。
【0109】
有利には、組成物は溶剤媒体を含むことができ、該溶剤媒体は、好ましくは親油性であるオイルおよび/または溶剤、および、さらにワックス、ペースト状脂肪性物質、ガムなど、外界温度で固体である脂肪物質、ならびにさらにそれらの混合物をそれ自体含有してもよい脂肪相であってよい。
【0110】
脂肪相の成分の中でも、優先的には、20(MPa)1/2以下、好ましくは18(MPa)1/2以下、より好ましくは17(MPa)1/2以下のHansen溶解度空間による全溶解度パラメータを有するオイルおよび/または溶剤を挙げることができる。
【0111】
Hansen溶解度空間による全溶解度パラメータδは、著作「Polymer Handbook」第3版、VII章、519〜59頁のEric Grulkeによる論文「溶解度パラメータ値(Solubility parameter values)」中で、次の関係、
δ=(dD2+dP2+dH2)1/2
[式中、
- dDは、分子衝突中に誘導される双極子形成から生じるLondon分散力を記述し、
- dPは、永久双極子間のDebye相互作用力を記述し、そして
- dHは、明確な相互作用力(水素結合、酸/塩基、供与体/受容体型など)を記述する]によって定義される。
【0112】
Hansen溶解度空間での溶剤の定義は、C.M.HansenによるJ.Paint Technol.、39巻、105頁(1967年)の論文「三次元溶解パラメータ(The three dimensional solubility)」に記載されている。
【0113】
Hansen溶解度空間による20(MPa)1/2以下の全溶解度パラメータを有するオイルおよび/または溶剤の中でも、天然または合成の、場合によっては分枝の、炭素油、炭化水素、フルオロオイルから単独、または混合物で選択される揮発性または非揮発性のオイル類;6個を超える炭素原子、特に6〜30個の炭素原子を有するエーテルおよびエステル類;6個を超える炭素原子、特に6〜30個の炭素原子を有するケトン類;6〜30個の炭素原子を有し、その炭化水素鎖が置換基を含まない脂肪族脂肪質モノアルコール類を挙げることができる。
【0114】
「非揮発性オイル」とは、外界温度および大気圧で少なくとも1時間は皮膚上に滞留する能力があり、かつ特に、外界温度(25℃)および大気圧で0.01mmHg(1.33Pa)未満のゼロではない蒸気圧を有するオイルである。
【0115】
特に、流動パラフィン(またはワセリン)、スクアレン、水素化ポリイソブチレン(Parleam油)、パーヒドロスクアレン、ミンク油、マカダミア油、タートル油、大豆油、スウィートアーモンド油、セロフィルム油、パーム油、グレープシード油、ゴマ油、コーン油、アララ(arara)油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油または穀物胚芽油、またはkarite(シア)バターなど、植物、鉱物、動物または合成起源の非揮発性炭素油、特に炭化水素油類;ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸およびステアリン酸のエステルなど、6を超える炭素原子、特に6〜30個の炭素原子を有する直鎖、分枝または環状のエステル類;長鎖のアルコールまたは酸(すなわち6〜20個の炭素原子をもつもの)から誘導されるエステル、特に、式中Rが7〜19個の炭素原子を含む高級脂肪酸の残基を表し、R'が3〜20個の炭素原子を含む炭化水素鎖を表す式RCOOR'のエステル、特に、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸または乳酸2-オクチルドデシル、コハク酸ジ(2-エチルヘキシル)、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセロールまたはトリイソステアリン酸ジグリセロールなどのC12〜C36エステル類;高級脂肪酸、特に、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはイソステアリン酸などのC14〜C22酸類;高級脂肪族アルコール、特に、セタノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコールまたはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコールまたはオクチルドデカノールなどのC16〜C22アルコール類、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0116】
また、デカノール、ドデカノール、オクタデカノール;ヘプタン酸またはオクタン酸のトリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリドなど、炭素原子が4〜10個の脂肪酸の液状トリグリセリド類;流動パラフィンおよびその誘導体、ワセリン、ポリデセン、Parleamのような水素化ポリイソブテンなど、鉱物または合成起源の直鎖または分枝炭化水素類;例えばパーセリン油、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリルなど、合成のエステルおよびエーテル類、特に脂肪酸のエステルおよびエーテル類;乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、および脂肪族アルコールのヘプタン酸エステル、オクタン酸エステルおよびデカン酸エステルなどのヒドロキシエステル類;ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールなどのポリオールエステル類;ペンタエリスリトールのエステル類;オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノールおよび2-ウンデシルペンタデカノールなど、12〜26個の炭素原子を有する脂肪族アルコール類を挙げることができる。
【0117】
また、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンおよびアセトンなど、外界温度で液体であるケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、およびジプロピレングリコールモノn-ブチルエーテルなど、外界温度で液体であるプロピレングリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸n-ブチル、および酢酸イソペンチルなどの短鎖(全部で3〜8個の炭素原子を有する)エステル類;ジエチルエーテル、ジメチルエーテルまたはジクロロジエチルエーテルなど、外界温度で液体であるエーテル類;デカン、ヘプタン、ドデカン、イソドデカン、イソヘキサデカンおよびシクロヘキサンなど、外界温度で液体であるアルカン類;トルエンおよびキシレンなど、外界温度で液体である環状芳香族化合物類;ベンズアルデヒドおよびアセトアルデヒドなど、外界温度で液体であるアルデヒド類;およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0118】
揮発性化合物の中では、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、および例えばIsoparやPermethylの商標で販売されるオイルなど、揮発性の非シリコーン油、特にC8〜C16のイソパラフィン類、特にイソドデカン(Permethyl 99A)を挙げることができる。
【0119】
より優先的には、外界温度で液体である揮発性または非揮発性アルカン、より詳細にはデカン、ヘプタン、ドデカン、イソドデカン、イソヘキサドデカン、シクロヘキサン、イソデカン、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0120】
これらのオイルおよび/または溶剤は、一般に、該組成物の総重量に対して0.01重量%〜95重量%、好ましくは0.1重量%〜90重量%、より好ましくは10重量%〜85重量%、より有利には30重量%〜80重量%の量で存在できる。
【0121】
組成物は、さらに、水、あるいは、水とアルコール特にエタノール、イソプロパノールまたはn-プロパノールなど、2〜5個の炭素原子を有する低級直鎖または分枝のモノアルコール類、およびグリセロール、ジグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、ペンチレングリコール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール類、あるいは親水性のC2〜C4アルデヒドおよびC2エーテル類などの1種または複数の親水性有機溶剤との混合物を含有する親水性媒体を含むことができる。
【0122】
水、または水と親水性有機溶剤の混合物は、本発明による組成物中に、該組成物の総重量に対して0.1重量%〜80重量%、好ましくは1重量%〜70重量%の量で存在できる。
【0123】
本発明による組成物は、ワックスおよび/またはガム類を含むこともできる。
【0124】
本発明で、ワックスとは、外界温度(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体の状態変化を示し、30℃以上で120℃までの範囲に及ぶこともできる融点を有する親油性化合物を意味する。ワックスを液体状態に変換すること(融解)によって、ワックスを場合によっては存在するオイルと混和可能とし、顕微鏡的に均一な混合物を形成することが可能であるが、その混合物の温度を外界温度にすることによって、ワックスは混合物のオイル中で再び結晶化する。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばMettlerからDSC30の名称で販売されている熱量計を使って測定できる。
【0125】
ワックスは、炭化水素、フルオロおよび/またはシリコーンワックスでよく、植物、鉱物、動物および/または合成起源であってよい。特に、ワックスは、25℃を超える、より有利には45℃を超える融点を示す。本発明の組成物に使用できるワックスとしては、蜜蝋、カルナバワックスまたはカンデリラワックス、パラフィン、ミクロクリスタリンワックス、セレシンまたはオゾケライト、ポリエチレンワックスまたはフィシャートロプシュワックスなどの合成ワックス、および16〜45個の炭素原子を有するアルキル-またはアルコキシ-ジメチコンなどのシリコーンワックスを挙げることができる。
【0126】
ガムは、一般に、高分子量のポリジメチルシロキサン(PDMS)またはセルロースガムまたは多糖類であり、ペースト状物質は、一般に、ラノリン類およびそれらの誘導体などの炭化水素化合物、あるいはPDMSである。
【0127】
固体の種類および量は希望する機械的特性および質感で決まる。組成物は、おおむね、該組成物の総重量に対して0.01重量%〜50重量%、さらに有利には1重量%〜30重量%のワックスを含むことができる。
【0128】
本発明による組成物は、さらに、当業者に周知の、水溶性染料、脂溶性染料、および顔料、真珠母、薄片状物などの微粉着色料から選択される1種または複数の着色料を含むことができる。着色料は、組成物内に、該組成物の重量に対して0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.01重量%〜30重量%の量で存在できる。
【0129】
顔料とは、生理学的媒体に不溶であり、組成物の着色を目的とした、任意形状の無機または有機の白色または有色粒子を意味する。真珠母とは、任意形状の真珠光沢粒子、特に殻内のある種の軟属腫によって作られた、あるいは合成された粒子を意味する。顔料は、白色または有色の、無機および/または無機顔料であってよい。無機顔料としては、場合によっては表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、さらに酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色または赤色)または酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリーンブルー、クロム水和物およびフェリックブルー、ならびにアルミニウム粉および銅粉などの金属粉末を挙げることができる。有機顔料としては、炭素ブラック、D&C顔料、およびコチニールカルミン、バリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはアルミニウムをベースにしたレーキを挙げることができる。真珠光沢顔料は、チタン被覆マイカまたはオキシ塩化ビスマスなどの白色真珠光沢顔料;酸化鉄で被覆したチタンマイカ、特にフェリックブルーまたは酸化クロムで被覆したチタンマイカ、前に述べた型の有機顔料で被覆したチタンマイカなどの有色真珠光沢顔料;およびオキシ塩化ビスマスをベースにした真珠光沢顔料から選択できる。
【0130】
水溶性染料としては、ポンソーの二ナトリウム塩、アリザニングリーンの二ナトリウム塩、キノリンイエロー、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンのモノナトリウム塩、フクシンの二ナトリウム塩、キサントフィルおよびメチレンブルーを挙げることができる。
【0131】
本発明による組成物は、さらに、1種または複数のフィラーを、特に該組成物の総重量に対して0.01重量%〜50重量%の範囲、好ましくは0.01重量%〜30重量%の範囲の量で含むことができる。フィラーとは、組成物を製造する温度に無関係に組成物の媒体に不溶である任意形状の無色または白色の鉱物性または合成の粒子を意味する。これらのフィラーは、詳細には組成物のレオロジーまたは質感を改善するのに役立つ。フィラーは、小板、球または楕円状など、結晶学的形態(例えば、板状晶、立方晶、六方晶、斜方晶など)に無関係に任意の形状の無機または有機性フィラーであってよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド(ナイロン(登録商標))粉末(AtochemのOrgasol(登録商標))ポリ-β-アラニン粉末およびポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー(テフロン(登録商標))の粉末、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ボロン、中空ポリマー微小球、例えばポリビニルビニリデンクロリド/アクリルニトリル例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industries)の、およびアクリル酸コポリマー(Dow Corningのpolytrap(登録商標))の微小球、およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、東芝のTospearls(登録商標)、エラストマー性ポリオルガノシロキサンの粒子、沈降炭酸カルシウムおよび炭酸水素ナトリウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカ微小球(MaprecosのSilica Beads(登録商標))、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、8〜22個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0132】
組成物は、さらに、皮膜形成ポリマーなどのさらなるポリマーを含むことができる。本発明によれば、「皮膜形成ポリマー」とは、それだけで、または皮膜形成助剤の存在下に、物質、特にケラチン物質に接着する連続皮膜を形成する能力のあるポリマーを意味する。本発明の組成物に使用できるフィルム形成ポリマーとしては、フリーラジカルまたはポリ縮合型の合成ポリマー、天然起源のポリマー、およびそれらの混合物、特にアクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレアおよびニトロセルロースなどのセルロース系ポリマーを挙げることができる。
【0133】
本発明による組成物は、また、ビタミン、増粘剤、ゲル化剤、痕跡成分、軟化剤、金属イオン封止剤、香料、アルカリ化または酸性化剤、防腐剤、日焼け止め、界面活性剤、抗酸化剤、脱毛防止剤、抗フケ剤、噴射剤、セラミド、またはそれらの混合物など、美容術で一般的に使用される成分を含むこともできる。当業者は、これまたはこれら任意の補足化合物、および/またはそれらの量を、本発明による組成物の有利な特性が想定した添加によって悪影響を受けない、あるいは実質的に受けないように選択することに留意することを認識されたい。
【0134】
本発明による組成物は、特に、懸濁液、分散液、溶液特に有機溶液、ゲル、乳液特に水中油(O/W)もしくは油中水(W/O)乳液または多相(W/O/Wもしくはポリオール/O/WもしくはO/W/O)乳液の形態、あるいはクリーム、ペースト、ムース、特にイオン性もしくはノニオン性脂質の小胞分散液、2相もしくは多相ローション、スプレー、粉末、ペースト特にフレキシブルペースト(特に、コーン/プレート構造で10分間測定した後に、25℃、200s-1の剪断速度で0.1〜40Pa.s程度の動粘度を有する)の形態を取ることができる。組成物は無水状、すなわち無水ペーストでもよい。
【0135】
当業者は、一方では使用する成分の性質、特にそれら成分のビヒクルへの溶解性、および他方では予定した組成物の応用分野を考慮に入れながら、一般的知識を基にして、適当な提供形態およびその調製方法を選択することが可能である。
【0136】
本発明による組成物は、メイクアップ組成物、特にファンデーション、ブラッシャー、アイシャドーなどの肌色製品;口紅またはリップケア製品などのリップ製品;コンシーラー製品;ブラッシャー、マスカラまたはアイライナー;まゆ毛メイクアップ製品、リップペンシルまたはアイペンシル;ネイルワニスまたはネイルケア製品などのネイル用製品;ボディメイクアップ製品;またはヘアーメイクアップ製品(髪用マスカラまたはラッカー)であることができる。
【0137】
本発明による組成物は、顔、首、手または身体の皮膚を保護またはケアするための組成物、特に皮膚につやを与えることを可能にする抗シワ組成物または抗疲労組成物、または保湿もしくはトリートメント組成物;または抗日光もしくは人工日焼け組成物であることができる。
【0138】
本発明による組成物は、また、ヘア製品、特にヘアスタイルまたは髪の形状を維持するためのヘア製品であることもできる。ヘア組成物は、好ましくは、シャンプー、ゲル、セットローション、スタイリングローション、ラッカーまたはスプレーなどの固定組成物およびスタイリング組成物である。ローションは、組成物の気化状形態または泡状形態での組成物の応用に備え、各種の形態、特にスプレーディスペンサー、ポンプフラスコ、またはエアゾール容器中に包装できる。この種の包装形態は、例えば、毛髪を固定または手入れするためのスプレーまたはムースを得ることが希望である場合に参考になる。
【0139】
本発明による組成物は、有利には、メイクアップ組成物、特にファンデーションまたは口紅である。
【0140】
本発明は、さらに、該物質に前に規定した化粧用組成物を塗布することを含む、ケラチン物質、特に身体または顔の皮膚、唇、爪、ヘアおよび/またはまつ毛をメイクアップまたはケアするための化粧方法を提供する。
【0141】
特に、本発明は、該物質に前に規定した化粧ファンデーション組成物または口紅組成物を塗布することを含む、顔の皮膚および/または唇をメイクアップする化粧方法を提供する。
【0142】
後に続く実施例中で本発明をより詳細に説明する。
【0143】
動的貯蔵弾性率E'の測定方法
動的貯蔵弾性率E'は、DMTA(動力学温度分析)によって測定される。
【0144】
E'を測定するために、厚さが約250±50μm、幅が5mm、長さが10mmのポリマーフィルム試料について、23℃、相対湿度55〜55%で4日間乾燥した後に、TA InstrumentsのDMTA装置(DMA2980型)を使用して粘弾性測定試験を実施する。この試料に引張応力をかける。試料は、1Hzの周波数で±8μmの正弦変位を重ねた弱い静的力(≒0.1N)を受ける。従って、影響は変形の程度が小さい線形場で起こる。この引張張力は、その試料について、1分当たり3℃の温度変化で-150℃から+200℃まで変化する温度で付加される。
【0145】
次いで、DMAを使用し、供試ポリマーの複合弾性率E*=E'+iE(ここでE'は動的貯蔵弾性率を意味し、Eは動的損失弾性率を意味する)を測定する。
【0146】
22℃における複合弾性率の値は、周波数1Hzでの動的貯蔵弾性率E'を導くのに使用される。
【実施例1】
【0147】
中心撹拌、窒素導入口、温度計および冷却器を備えた500ml反応器に、75gのヘプタンを仕込み90℃まで加熱する。
【0148】
次いで、次のもの、すなわち
- 供給流1:35gのアクリル酸イソボルニル、34gのメタクリル酸イソボルニルおよび1gのメタクリル酸アリルを1時間に渡って、
- 供給流2:1gのTrigonox 21Sおよび25gのヘプタンを48時間に渡って導入する。
【0149】
供給流1が終了したら、30gのアクリル酸2-エチルヘキシルを含む供給量3を2時間に渡って導入する。
【0150】
加熱を90℃で一定に維持する。供給流2を終えた後に、系を3時間、溶剤を還流した状態にする。
【0151】
120gのイソドデカンを添加し、次いで減圧下でヘプタンを留去し、固体含量が51%であるポリマーのイソドデカン溶液を得る。
- ガラス転移温度:10℃
- 弾性率の測定値:E'=64±3MPa
【実施例2】
【0152】
以下のものを含む無水ファンデーションを調製する(重量%)。
- ポリエチレンワックス 12%
- 揮発性シリコーンオイル 25%
- フェニルトリメチコン 20%
- ポリメチレンメタクリレート微小球 12%
- 実施例1からのポリマーの固体分が51%であるイソドデカン溶液 12%
- イソドデカン 残り100%まで
【0153】
ワックスを融解し、次いで、全体が澄明になったら撹拌しながらフェニルトリメチコンを添加し、さらにシリコーンオイル、その後、微小球、イソドデカンおよびポリマーを添加する。混合物を15分間均一化し、次いで、得られる組成物を注型し、放冷する。これにより無水ファンデーションが得られる。
【実施例3】
【0154】
以下のものを含む口紅を調製する。
- ポリエチレンワックス 15%
- 実施例1からのポリマーの固体分が51%であるイソドデカン溶液 20%
- 水素化ポリイソブテン(日本油脂のParleam) 25%
- 顔料 10%
- イソドデカン 残り100%まで
【0155】
得られる組成物は、次に続く唇に対する応用において良好な化粧品特性を示す。
【実施例4】
【0156】
以下を含むファンデーション組成物を調製する(重量%)。
A相
- セチルジメチコンコポリオール(GoldschmidtのAbil EM90) 3g
- コハク酸イソステアリルジグリセリル(CondeaのImwitor 780K) 0.6g
- 顔料(酸化鉄および酸化チタン) 10g
- ポリアミド粉末(ナイロン-12) 8g
- 実施例1のポリマーの固体分が51%であるイソドデカン溶液 17g
- 香料 十分な量
- イソドデカン 10g
B相
- 硫酸マグネシウム 0.7g
- 防腐剤 十分な量
- 水 残り100gまで
【0157】
得られる組成物は、良好な化粧品特性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種、特に3種のポリマー分枝を含み、該分枝のそれぞれが、互いに異なりかつ独立である少なくとも1個の少なくとも3官能性の分岐点を含有する高級分枝状コポリマーであって、第一の分枝が、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群から選択される少なくとも1種の第一の選択のモノマーを含み、かつ少なくとも1種の第二の分枝が、前記第一のモノマーと同一または異なり、かつ前記の群から選択される少なくとも1種の第二の選択のモノマーを含むことを特徴とする高級分枝状コポリマー。
【請求項2】
前記分枝が少なくとも2個の重合可能な官能基を含む多官能性化合物によって互いに連結されている、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
前記多官能性化合物が、下記式(I)
【化1】

[式中、
RaおよびRcは、水素、または1〜22個の炭素原子、特に1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキル基から互いに独立に選択され、好ましくはRaが水素原子でよく、好ましくはRcがメチル基でよく、
Rbは、1〜22個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝の二価アルキレン基、または3〜6個の炭素原子を有する二価シクロアルキレン基、または6〜18個の炭素原子を有する二価のアリーレン基、または7〜24個の炭素原子を有する二価のアルカリーレン基であり、好ましくは、Rbはメチレン基であり、
mおよびnは、互いに独立に1、2、3または4であり、和m+nは2以上、好ましくはm=n=1である]に相当する、請求項2に記載のコポリマー。
【請求項4】
前記多官能性化合物が(メタ)アクリル酸アリル、より好ましくはメタクリル酸アリルである、請求項3に記載のコポリマー。
【請求項5】
各分枝が、ホモポリマー型の、あるいはランダム、交互、ブロック、またはグラジエントコポリマー型のポリマー連鎖の形態である、請求項1から4の一項に記載のコポリマー。
【請求項6】
各分枝が、直鎖のランダムコポリマーまたはホモポリマーの形態である、請求項1から5の一項に記載のコポリマー。
【請求項7】
前記第一の分枝が、該分枝の重量に対して80重量%〜100重量%、好ましくは100重量%の、前記群から選択される1種または複数の選択のモノマーを含むホモポリマーまたはランダムコポリマーの形態であり、かつ/または前記第二の分枝が、該分枝の重量に対して80重量%〜100重量%、好ましくは100重量%の、前記群から選択される1種または複数の選択のモノマーを含むホモポリマーまたはランダムコポリマーの形態である、請求項1から6の一項に記載のコポリマー。
【請求項8】
最終コポリマーにおける前記群から選択されるモノマーの総量が、該最終コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して、50重量%〜100重量%、特に60重量%〜98重量%、さらには70重量%〜97重量%、より好ましくは80重量%〜96重量%、優先的には90重量%〜95重量%である、請求項1から7の一項に記載のコポリマー。
【請求項9】
パーセントを最終コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して表示して、第一の分枝中に存在する25重量%〜75重量%、例えば30重量%〜70重量%の前記群から選択される第一の選択のモノマー、および、同一の分枝または他の分枝中に存在できる、25重量%〜75重量%、特に30重量%〜70重量%の前記群から選択される第二の選択のモノマーを含む、請求項1から8の一項に記載のコポリマー。
【請求項10】
パーセントを最終コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して表示して、最終コポリマーの重量に対して、1重量%〜40重量%、特に5重量%〜30重量%、さらには10重量%〜25重量%の前記群から選択される第三のモノマーを場合によっては含んでもよい、請求項1から9の一項に記載のコポリマー。
【請求項11】
同一分枝または異なる分枝中に次のモノマーの組合せ、すなわち
アクリル酸イソボルニルとメタクリル酸イソボルニル、
アクリル酸イソボルニルとアクリル酸イソブチル、
アクリル酸イソボルニルとメタクリル酸イソブチル、
アクリル酸イソボルニルとアクリル酸2-エチルヘキシル、
メタクリル酸イソボルニルとアクリル酸イソブチル、
メタクリル酸イソボルニルとメタクリル酸イソブチル、
メタクリル酸イソボルニルとアクリル酸2-エチルヘキシル、
アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニルとアクリル酸2-エチルヘキシル、
アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニルとアクリル酸イソブチル、
アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソブチルとアクリル酸2-エチルヘキシル、
アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソブチルとアクリル酸イソブチル、および
メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソブチルとアクリル酸イソブチル
を含む、請求項1から10の一項に記載のコポリマー。
【請求項12】
第一の分枝中にアクリル酸イソボルニル、第二の分枝中にアクリル酸イソブチル、
第一の分枝中にアクリル酸イソボルニル、第二の分枝中にアクリル酸2-エチルヘキシル、
第一の分枝中にメタクリル酸イソボルニル、第二の分枝中にアクリル酸イソブチル、
第一の分枝中にメタクリル酸イソボルニル、第二の分枝中にアクリル酸2-エチルヘキシル、
第一の分枝中にアクリル酸イソボルニルおよびメタクリル酸イソボルニル、第二の分枝中にアクリル酸イソブチル、
第一の分枝中にアクリル酸イソボルニルおよびメタクリル酸イソボルニル、第二の分枝中にアクリル酸2-エチルヘキシル、
第一の分枝中にアクリル酸イソボルニルおよびメタクリル酸イソブチル、第二の分枝中にアクリル酸イソブチル、
第一の分枝中にアクリル酸イソボルニルおよびメタクリル酸イソブチル、第二の分枝中にアクリル酸2-エチルヘキシル、
第一の分枝中にメタクリル酸イソボルニルおよびメタクリル酸イソブチル、第二の分枝中にアクリル酸イソブチル、または
第一の分枝中にメタクリル酸イソボルニルおよびメタクリル酸イソブチル、第二の分枝中にアクリル酸2-エチルヘキシル
を含む、請求項1から11の一項に記載のコポリマー。
【請求項13】
最終コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して0重量%〜50重量%、特に2重量%〜40重量%、さらには3重量%〜30重量%、より好ましくは4重量%〜20重量%、優先的には5重量%〜10重量%の量で存在できる少なくとも1種の追加のモノマーをさらに含む、請求項1から12の一項に記載のコポリマー。
【請求項14】
前記の追加のモノマーが、以下のモノマー、さらにはそれらの塩、すなわち
(i)式CH2=CHCOORまたはCH2=C(CH3)COORの(メタ)アクリレート、
[式中、Rは、
O、N、SおよびPから選択される1個または複数の挿入ヘテロ原子が場合によっては存在し、かつ/または、-OH、ハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)、基-NR4R5(R4およびR5は同一または異なり水素またはC1〜C6の直鎖もしくは分枝のアルキル基またはフェニル基を表す)、および/または5〜30個のオキシアルキレン単位の繰り返しからなるポリオキシアルキレン基、特にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレンから選択される1個または複数の置換基で場合によっては置換されていることが可能な、1〜30個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキル基、
シクロアルキル基がその鎖中にO、N、Sおよび/またはPから選択される1個または複数のヘテロ原子を含むことが可能であり、かつ/または、-OHおよびハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1個または複数の置換基で場合によっては置換されていることことが可能なC3〜C12シクロアルキル基、
C4〜C20アリール基、またはC5〜C30アラルキル基(C1〜C8アルキル基を有する)
を表し、
特に、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、オクチル、ラウリル、イソオクチル、イソデシル、ドデシル、シクロヘキシル、t-ブチルシクロヘキシル、ステアリル、2-エチルパーフルオロヘキシル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシブチル、2-ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、イソボルニル、フェニル、2-フェニルエチル、t-ブチルベンジル、ベンジル、フルフリルメチルまたはテトラヒドロフルフリルメチル基、メトキシ-ポリオキシエチレン(またはPOE-メチル)基、POE-ベヘニルまたはトリフルオロエチル基、またはジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチルまたはジメチルアミノプロピル基であってよい]、
(ii)式CH2=CHCONR4R5またはCH2=C(CH3)CONR4R5の(メタ)アクリルアミド
[式中、R4およびR5は、同一または異なり、水素原子、または
a)O、N、SおよびPから選択される1個または複数の挿入ヘテロ原子が場合によっては存在し、さらに、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)、および基Si(R4R5)(R4およびR5は同一または異なりC1〜C6アルキル基またはフェニル基を表す)から選択される1個または複数の置換基で場合によっては置換されていることが可能な1〜18個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキル基、
特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、デシル、イソデシル、シクロデシル、ドデシル、シクロドデシル、イソノニル、ラウリル、t-ブチルシクロヘキシルまたはステアリル基、2-エチルパーフルオロヘキシル基、または2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシブチルおよび2-ヒドロキシプロピルなどのC1〜4ヒドロキシアルキル基、またはメトキシエチル、エトキシエチルおよびメトキシプロピルなどのC1〜4アルコキシ-C1〜4アルキル基、
b)イソボルニル基などのC3〜C12シクロアルキル基、またはフルフリルメチルまたはテトラヒドロフルフリルメチルなどのヘテロシクロアルキル基(炭素原子が1〜4個のアルキルを有する)、
c)フェニル基などのC4〜C20アリール基、または
d)2-フェニルエチル、t-ブチルベンジルまたはベンジルなどのC5〜C30アラルキル基(C1〜C8アルキル基を有する)を表す]、
(iii)例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルホスホン酸またはアクリルアミドプロパンスルホン酸など、少なくとも1個のカルボン酸、ホスホン酸もしくはスルホン酸または無水物官能基を含むエチレン性不飽和モノマー、ならびにその塩、
(iv)式R6O-CH=CH2のビニルエーテル、または式R6-COO-CH=CH2のビニルエステル
[式中、R6は、1〜22個の炭素原子を含む直鎖もしくは分枝のアルキル基、または3〜6個の炭素原子を含む環状アルキル基、および/または、例えばベンゼン、アントラセンもしくはナフタレン型の芳香族基を表す]、
(v)式CH2=CH-R9、CH2=CH-CH2-R9またはCH2=C(CH3)=CH2-R9のビニル化合物
[式中、R9は、ヒドロキシル、ハロゲン(ClもしくはF)またはNH2基、または基OR10 (R10はフェニル基もしくはC1〜C12アルキルを表し、そのモノマーはビニルもしくはアリルエーテルである)、アセトアミド基(NHCOCH3)、基OCOR11 (R11は直鎖もしくは分枝である炭素が2〜12個のアルキル基を表し、そのモノマーはビニルもしくはアリルエステルである)、あるいは
O、N、SおよびPから選択される1個または複数の挿入ヘテロ原子が場合によっては存在し、さらに、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)および基Si(R4R5)(R4およびR5は同一または異なりC1〜C6アルキル基またはフェニル基を表す)から選択される1個または複数の置換基で場合によっては置換されていることが可能な1〜18個の炭素を有する直鎖もしくは分枝のアルキル基、
イソボルニルまたはシクロヘキサンなどのC3〜C12シクロアルキル基、
フェニルなどのC3〜C20アリール基、
2-フェニルエチルまたはベンジルなどのC4〜C30アラルキル基(C1〜C8アルキル基を有する)、
O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その環が芳香族または非芳香族である4-〜12-員環複素環基、および
フルフリルメチルもしくはテトラヒドロフルフリルメチルなどの複素環アルキル基(炭素が1〜4個のアルキルを有する)から選択される基である]、
(vi)特にメチルスチレン、クロロスチレンまたはクロロメチルスチレンなど、スチレンおよびその誘導体、
(vii)メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシロキサンおよびメタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランなど、1個または複数のケイ素原子を含むエチレン性不飽和モノマー、
およびそれらの塩、およびそれらの混合物
から単独または組合せで選択される、請求項13に記載のコポリマー。
【請求項15】
前記追加のモノマーが、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、シクロヘキシル、メトキシエチル、エトキシエチル、トリフルオロエチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、2-ヒドロキシプロピルおよび2-ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリルアミド、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、およびそれらの塩、およびそれらの混合物から選択される、請求項13および14のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項16】
前記追加のモノマーが、少なくとも1個の重合可能な末端基、特にビニルまたは(メタ)アクリレート基を有する炭素またはシリコーンのマクロモノマーから選択される、請求項13から15の一項に記載のコポリマー。
【請求項17】
前記追加のマクロモノマーが、次のマクロモノマーおよびそれらの塩、すなわち
(i)ビニルまたは(メタ)アクリレート基から選択される重合可能な末端基を有する直鎖または分枝のC8〜C22アルキル(メタ)アクリレートホモポリマーおよびコポリマー[モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)マクロモノマー、およびモノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(ステアリルアクリレート)またはポリ(ステアリルメタクリレート)マクロモノマーを挙げることができる]、
(ii)エチレン性不飽和末端基を有するポリオレフィン、特に(メタ)アクリレート末端基を有するポリオレフィン、および特に、マクロモノマーが(メタ)アクリレート末端基を有することを条件として、次のマクロモノマー、すなわちポリエチレンマクロモノマー、ポリプロピレンマクロモノマー、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマーマクロモノマー、ポリエチレン/ポリブチレンコポリマーマクロモノマー、ポリイソブチレンマクロモノマー、ポリブタジエンマクロモノマー、ポリイソプレンマクロモノマー、およびポリ(エチレン/ブチレン)-ポリイソプレンマクロモノマー、
(iii)モノ(メタ)アクリレートを有するポリジメチルシロキサン、特に次式(IIa)
【化2】

[式中、
R8は、水素原子またはメチル基、好ましくはメチル基を意味し、
R9は、1〜10個の炭素原子を有し、1個または2個のエーテル結合-O-を場合によっては含む直鎖または分枝の、好ましくは直鎖の二価炭化水素基、好ましくはエチレン、プロピレンまたはブチレンを意味し、
R10は、1〜10個の炭素原子、特に2〜8個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチルを意味し、
nは、1〜300の範囲の、好ましくは3〜200の範囲の、優先的には5〜100の範囲の整数を意味する]のポリジメチルシロキサン、
から単独または混合物で選択される、請求項16に記載のコポリマー。
【請求項18】
少なくとも1種の「高Tg」の分枝またはポリマー連鎖、すなわち20℃以上、特に20℃から150℃まで、詳細には30℃〜120℃、より詳細には40℃〜100℃のTgを有する分枝または連鎖を含む、請求項1から17の一項に記載のコポリマー。
【請求項19】
前記高Tg分枝が、該ポリマーの総重量に対して50重量%以上、特に55重量%〜95重量%、優先的には60重量%〜90重量%の量で存在する、請求項18に記載のコポリマー。
【請求項20】
少なくとも1種の「低Tg」の分枝またはポリマー連鎖、すなわち厳密に20℃未満の、換言すれば-150℃〜19℃、詳細には-100℃〜0℃、より詳細には-80℃〜-5℃、さらには-70℃〜-10℃のTgを有する分枝または連鎖を含む、請求項1から19の一項に記載のコポリマー。
【請求項21】
前記低Tg分枝が、該ポリマーの総重量に対して50重量%未満、特に5重量%〜45重量%、優先的には10重量%〜40重量%の量で存在する、請求項20に記載のコポリマー。
【請求項22】
前記高Tg分枝が、該分枝の総重量に対して30重量%〜100重量%、特に40重量%〜95重量%、より好ましくは50重量%〜90重量%の比率で存在する高Tgモノマーを含む、請求項18および19のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項23】
前記低Tg分枝が、該分枝の総重量に対して30重量%〜100重量%、特に40重量%〜95重量%、より好ましくは50重量%〜90重量%の比率で存在する低Tgモノマーを含む、請求項20および21のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項24】
前記第一の分枝が「高Tg」であり、第二の分枝の少なくとも1種が「低Tg」である、請求項18から23の一項に記載のコポリマー。
【請求項25】
少なくとも1種の「高Tg」モノマー、すなわち20℃以上、特に20℃〜150℃、より詳細には30℃〜120℃、さらには有利には40℃〜100℃のTgを有するモノマー、またはこのようなモノマーの混合物を含む、請求項1から24の一項に記載のコポリマー。
【請求項26】
前記「高Tg」モノマーが、該コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して40重量%〜100重量%、特に50重量%〜80重量%、より好ましくは55重量%〜70重量%の比率で存在する、請求項25に記載のコポリマー。
【請求項27】
少なくとも1種の「低Tg」モノマー、すなわち厳密に20℃未満の、特に-150℃〜19℃、より詳細には-100℃〜0℃、さらには有利には-80℃〜-5℃、さらには-70℃〜-10℃のTgを有するモノマー、またはこのようなモノマーの混合物を含む、請求項1から26の一項に記載のコポリマー。
【請求項28】
前記「低Tg」モノマーが、該コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して0重量%〜60重量%、特に20重量%〜50重量%、より好ましくは30重量%〜45重量%の比率で存在する、請求項27に記載のコポリマー。
【請求項29】
コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して40重量%〜100重量%、特に50重量%〜80重量%、より好ましくは55重量%〜70重量%の比率で存在できる少なくとも1種の親油性モノマーを含む、請求項1から28の一項に記載のコポリマー。
【請求項30】
コポリマー中に存在するモノマーの総重量に対して0重量%〜60重量%、特に20重量%〜50重量%、より好ましくは30重量%〜45重量%の比率で存在できる少なくとも1種の親水性モノマーを含む、請求項1から29の一項に記載のコポリマー。
【請求項31】
前記第一の分枝が親油性であり、かつより好ましくは第一の分枝および第二の分枝の双方のすべてが親油性である、請求項1から30の一項に記載のコポリマー。
【請求項32】
2,000g/モル〜1,500,000g/モル、特に5,500g/モル〜1,000,000g/モル、より好ましくは6,000g/モル〜900,000g/モルの数平均分子質量を有する、請求項1から31の一項に記載のコポリマー。
【請求項33】
イソドデカン中に25℃、1気圧において少なくとも3重量%の濃度で、好ましくは少なくとも5重量%、さらには少なくとも10重量%の濃度で溶解できる、請求項1から32の一項に記載のコポリマー。
【請求項34】
少なくとも2個の重合可能な官能基を含む少なくとも1種の多官能性化合物、および前記請求項で規定した、選択のモノマーおよび/または追加のモノマーから選択されるいくつかの想定したモノマーの存在下でのフリーラジカル重合を含む第一段階、
前記請求項で規定した選択のモノマーおよび/または追加のモノマーから選択される想定したモノマーの、場合によっては多官能性化合物の存在下でのフリーラジカル重合を含む第二段階、を含む工程によって得られるコポリマー。
【請求項35】
前記多官能性化合物が次式(I)
【化3】

[式中、
RaおよびRcは、水素、または1〜22個の炭素原子、特に1〜3個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルキル基から互いに独立に選択され、好ましくはRaが水素原子でよく、好ましくはRcがメチル基でよく、
Rbは、1〜22個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝の二価アルキレン基、または3〜6個の炭素原子を有する二価シクロアルキレン基、または6〜18個の炭素原子を有する二価アリーレン基、または7〜24個の炭素原子を有する二価アルカリーレン基であり、好ましくはRbがメチレン基であり、
mおよびnは互いに独立に1、2、3または4であり、和m+nは2以上で、好ましくはm=n=1である]に相当する請求項34に記載のコポリマー。
【請求項36】
前記多官能性化合物が、(メタ)アクリル酸アリル、より好ましくはメタクリル酸アリルである、請求項35に記載のコポリマー。
【請求項37】
前記多官能性化合物が、最終コポリマーの総重量に対して、化合物の0.05重量%〜15重量%、より有利には0.1重量%〜10重量%、優先的には0.5重量%〜5重量%の量で使用される、請求項34から36の一項に記載のコポリマー。
【請求項38】
生理学上許容できる媒体、特に化粧または皮膚科学上許容できる媒体中に請求項1〜37のいずれか一項により規定した少なくとも1種の高級分枝状コポリマーを含む、化粧組成物または医薬組成物、特に局所皮膚科学組成物。
【請求項39】
前記コポリマーが、組成物の総重量に対して0.1重量%〜95重量%、好ましくは0.5重量%〜90重量%、特に1重量%〜80重量%、さらには5重量%〜70重量%の量で存在する、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
少なくとも1種の脂肪相を含み、該脂肪相が、油、溶剤、好ましくは親油性溶剤、および、ワックス、ペースト状脂肪性物質、ガムなどの外界温度で固体である脂肪性物質、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項38および39のいずれかに記載の組成物。
【請求項41】
Hansen溶解度空間による20(MPa)1/2以下、好ましくは18(MPa)1/2以下、より好ましくは17(MPa)1/2以下の全溶解度パラメータを有するオイルおよび/または溶剤から選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
Hansen溶解度空間による20(MPa)1/2以下の全溶解度パラメータを有する前記のオイルおよび/または溶剤が、天然もしくは合成の、場合によっては分枝の炭素、炭化水素およびフルオロオイルから単独もしくは混合物で選択できる揮発性もしくは非揮発性のオイル類;6個を超える炭素原子、特に6〜30個の炭素原子を有するエーテルおよびエステル類;6個を超える炭素原子、特に6〜30個の炭素原子を有するケトン類;および6〜30個の炭素原子を有し、その炭化水素鎖が置換基を含まない脂肪族脂肪性モノアルコールから選択される、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記のオイルおよび/または溶剤が、流動パラフィン(またはワセリン)、スクアレン、水素化ポリイソブチレン(Parleam油)、パーヒドロスクアレン、ミンク油、マカダミア油、タートル油、大豆油、スウィートアーモンド油、カロフィルム油、パーム油、グレープシード油、ゴマ油、コーン油、アララ(arara)油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油または穀物胚芽油、またはkarite(シア)バターなど、植物、鉱物、動物または合成起源の非揮発性炭素油、特に炭化水素油類;ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸およびステアリン酸のエステルなど、6を超える炭素原子、特に6〜30個の炭素原子を有する直鎖、分枝または環状のエステル類;長鎖のアルコールまたは酸(すなわち6〜20個の炭素原子をもつもの)から誘導されるエステル、特に、式中Rが7〜19個の炭素原子を含む高級脂肪酸の残基を表し、R'が3〜20個の炭素原子を含む炭化水素鎖を表す式RCOOR'のエステル、特に、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸または乳酸2-オクチルドデシル、コハク酸ジ(2-エチルヘキシル)、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセロールまたはトリイソステアリン酸ジグリセロールなどのC12〜C36エステル類;高級脂肪酸、特に、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはイソステアリン酸などのC14〜C22酸類;高級脂肪族アルコール、特に、セタノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコールまたはオクチルドデカノール、およびそれらの混合物、デカノール、ドデカノール、オクタデカノールなどのC16〜C22アルコール類;それらの混合物;デカノール、ドデカノール、オクタデカノノール;ヘプタン酸またはオクタン酸のトリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリドなど、炭素原子が4〜10個の脂肪酸の液状トリグリセリド類;流動パラフィンおよびその誘導体、ワセリン、ポリデセン、Parleamなどの水素化ポリイソブテンなど、鉱物または合成起源の直鎖または分枝の炭化水素類;合成のエステルおよびエーテル、特に、例えばパーセリン油、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリルなどの脂肪酸のエステルおよびエーテル類;乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、および脂肪族アルコールのヘプタン酸エステル、オクタン酸エステルおよびデカン酸エステルなどのヒドロキシエステル類;ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールなどのポリオールエステル類;およびペンタエリスリトールのエステル類;オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノールおよび2-ウンデシルペンタデカノールなど、12〜26個の炭素原子を有する脂肪性アルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンおよびアセトンなど、外界温度で液体であるケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、およびジプロピレングリコールモノn-ブチルエーテルなど、外界温度で液体であるプロピレングリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸n-ブチル、および酢酸イソペンチルなどの短鎖(全部で3〜8個の炭素原子を有する)エステル類;ジエチルエーテル、ジメチルエーテルまたはジクロロジエチルエーテルなど、外界温度で液体であるエーテル類;デカン、ヘプタン、ドデカン、イソドデカン、イソヘキサデカンおよびシクロヘキサンなど、外界温度で液体であるアルカン類;トルエンおよびキシレンなど、外界温度で液体である環状芳香族化合物類;ベンズアルデヒドおよびアセトアルデヒド、およびそれらの混合物など、外界温度で液体であるアルデヒド類;揮発性非シリコーン油、特にイソドデカン、イソデカンなどのC8〜C16イソパラフィン類から選択される、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
外界温度で液体である揮発性または非揮発性アルカン、より詳細にはデカン、ヘプタン、ドデカン、イソドデカン、イソヘキサドデカン、シクロヘキサン、イソデカン、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種のオイルおよび/または溶剤を含む、請求項38から43の一項に記載の組成物。
【請求項45】
組成物の総重量に対して少なくとも0.01重量%から95重量%、好ましくは0.1重量%〜90重量%、より好ましくは10重量%〜85重量%、さらに有利には30重量%〜80重量%の少なくとも1種のオイルおよび/または溶剤を含む、請求項38から44の一項に記載の組成物。
【請求項46】
水または水と親水性有機溶剤の混合物を含む親水性媒体、ワックス、ガム、着色料、フィラー、ポリマー特に皮膜形成ポリマー、ビタミン、増粘剤、ゲル化剤、痕跡成分、軟化剤、金属イオン封止剤、香料、アルカリ化または酸性化剤、防腐剤、日焼け止め、界面活性剤、抗酸化剤、脱毛防止剤、抗フケ剤、噴射剤、セラミド、またはそれらの混合物から選択される成分をさらに含む、請求項38から45の一項に記載の組成物。
【請求項47】
懸濁液、分散液、溶液特に有機溶液、ゲル、乳液特に水中油(O/W)もしくは油中水(W/O)乳液または多相(W/O/Wもしくはポリオール/O/WもしくはO/W/O)乳液の形態の、あるいはクリーム、ペースト、ムース、特にイオン性もしくはノニオン性脂質の小胞分散液、2相もしくは多相ローション、スプレー、粉末、ペースト特にフレキシブルペースト、あるいは無水型たとえば無水ペーストの形態での、請求項38から46の一項に記載の組成物。
【請求項48】
メイクアップ組成物、特にファンデーション、ブラッシャー、アイシャドーなどの肌色製品;口紅またはリップケア製品などのリップ製品;コンシーラー製品;ブラッシャー、マスカラまたはアイライナー;まゆ毛メイクアップ製品、リップペンシルまたはアイペンシル;ネイルワニスまたはネイルケア製品などのネイル用製品;ボディメイクアップ製品;ヘアーメイクアップ製品(髪用マスカラまたはラッカー)の形態の、あるいは、顔、首、手または身体の皮膚を保護またはケアするための組成物、特に皮膚につやを与えることを可能にする抗シワ組成物または抗疲労組成物、または保湿もしくはトリートメント組成物;または抗日光もしくは人工日焼け組成物;または特に髪のヘアスタイルもしくは形状を保つためのヘア組成物の形態での、請求項38から47の一項に記載の組成物。
【請求項49】
メイクアップ組成物、特にファンデーションまたは口紅の形態での、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
ケラチン物質、特に身体または顔の皮膚、唇、爪、髪および/またはまつ毛をメイクアップまたはケアする化粧方法であって、該物質に請求項38から49のいずれか一項に記載の化粧用組成物を塗布することを含む化粧方法。
【請求項51】
顔の皮膚および/または唇をメイクアップする化粧法であって、該物質に請求項49に記載の化粧用ファンデーション組成物または口紅組成物を塗布することを含む化粧方法。

【公開番号】特開2006−37109(P2006−37109A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−219528(P2005−219528)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】