説明

選択可能な複数の粒子放出器を備える荷電粒子源

【課題】透過型電子顕微鏡(TEM)、走査透過型電子顕微鏡(STEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、集束イオン・ビーム(FIB)システムなどの集束粒子ビーム・システム用の荷電粒子源を提供すること。
【解決手段】この源は、荷電粒子システムの軸を中心とすることができる小さな領域内にある独立してアドレス指定可能な多数の放出器を使用する。1つのチップから放出させ、または2つ以上のチップから同時に放出させることを可能にするため、これらの放出器は全て、個別に制御することができる。1つの放出器だけが活動化されるモードは高輝度に対応し、複数の放出器が同時に活動化されるモードは、高い角強度およびより低い輝度を提供する。単一の放出器を逐次的に使用することによって源の寿命を延ばすことができる。全ての放出器に対する機械/電気組合せアラインメント手順が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、集束荷電粒子ビーム・システムに関し、具体的には、集束荷電粒子ビームを発生させる目的に使用される荷電粒子源に関する。
【背景技術】
【0002】
電子顕微鏡と集束イオン・ビーム・システムの両方を備える荷電粒子システムでは一般に、荷電粒子ビームを使用して画像化し、(任意選択で)処理する対象であるターゲットの表面に荷電粒子ビームを集束させるために、カラムが使用される。このカラム内では、荷電粒子源が、初期電子ビームまたは初期イオン・ビームを発生させ、その初期ビームは次いで荷電粒子「銃」に入り、荷電粒子銃は一般に、それらの荷電粒子を集束させて概ね平行なビームとし、このビームはカラムの本体に入る。カラムの本体内で、このビームを、ブランキング(blanking)し(すなわちオン/オフし)、偏向させ(ターゲット表面のさまざまな位置へ移動させ)、ターゲットの表面に集束させることができる。荷電粒子が生じる源内の構成要素は「放出器(emitter)」と呼ばれ、放出器は一般に、非常に鋭い金属尖端を備える。先行技術では、この荷電粒子源が一般に、電子を放出する冷陰極電界放出器もしくはショットキー放出器、またはイオン(通常は正に帯電したイオン)を放出するガス電界イオン化イオン源もしくは液体金属イオン源などの荷電粒子放出器を1つだけ備える。液体金属イオン源(Liquid Metal Ion Source)(LMIS)の場合にはこの金属尖端が液体だが、他のタイプの源ではこの金属が固体であり、しばしば「チップ(tip)」と呼ばれる。電子放出器としてカーボン・ナノチューブを使用することもできる。しかしながら、全ての場合に、これらの放出器は、寿命が有限であることを特徴とする。放出器の寿命は、チップの表面の汚染、イオン衝撃によるチップの腐食などのさまざまな因子によって制限され、これらの因子により、チップは、時間の経過とともに丸くなり、ついには、許容される引出し電圧ではもはや放出を持続させることができなくなる。
【0003】
荷電粒子カラムの動作を最適化するためには、カラムの対称軸(または光軸)に対して源を正確に、一般的にはカラムの対称軸(または光軸)から5μmないし20μm以内に、源を配置する必要がある。そのため、荷電粒子源は一般に、システム動作中の源の運動を可能にする多軸運動アセンブリによって支持される。カラムによって形成されたターゲット上の画像を観察し、次いで、求められている特定の用途に対する十分なコントラストおよび分解能をその画像が有するようになるまで、源を移動させる。場合によっては、画像化に加えて、電子ビーム誘起エッチング(electron beam induced etching)(EBIE)、電子ビーム誘起付着(electron beam induced deposition)(EBID)、イオン・ミリング、イオン・ビーム誘起エッチング(IBIE)、イオン・ビーム誘起付着(IBID)、2次イオン質量分析(secondary ion mass spectrometry)(SIMS)などのターゲットの処理を実行するために、荷電粒子ビームを使用することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、集束荷電粒子システム内の複数放出器荷電粒子源を、複数の放出モードで動作することができるように構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの放出モードは、次々に使用される多数の単一放出器を逐次的に使用することによって、以前に達成可能であった寿命よりもはるかに長い源寿命を可能にする。その場合、源全体の寿命は個々の放出器の寿命の和となる。他の放出モードは、ターゲットを高速処理するため、この多数の放出器を使用して大きなビーム電流を達成する。
【0006】
上記に、以下の本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなり広く概説した。下記に、本発明の追加の特徴および利点を説明する。開示される着想および特定の実施形態を、本発明の目的と同じ目的を達成するために他の構造を変更しまたは設計するベースとして、容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【0007】
次に、本発明および本発明の利点のより完全な理解のため、添付図面に関して書かれた以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】複数の荷電粒子放出器と放出器制御回路とを備える荷電粒子源の概略図である。
【図2】本発明の複数放出器荷電粒子源を実装することができる例示的な荷電粒子カラムの側断面図である。
【図3】図1の源のオンアクシス(on−axis)放出器の図2のカラムを横切る荷電粒子軌道の側面図である。
【図4】図1の源のオフアクシス(off−axis)放出器の図2のカラムを横切る荷電粒子軌道の側面図である。
【図5】背面アドレス指定される6つの冷陰極電界放出器を備える本発明の第1の実施形態の各種図である。
【図6】背面アドレス指定される12個の冷陰極電界放出器を備える本発明の第2の実施形態の各種図である。
【図7】前面アドレス指定される6つの冷陰極電界放出器を備える本発明の第3の実施形態の各種図である。
【図8】前面アドレス指定される12個の冷陰極電界放出器を備える本発明の第4の実施形態の各種図である。
【図9】前面アドレス指定され、横ガス供給開口を有する12個のガス電界イオン化イオン放出器を備える本発明の第5の実施形態の各種図である。
【図10】前面アドレス指定され、軸ガス供給開口を有する12個のガス電界イオン化イオン放出器を備える本発明の第6の実施形態の各種図である。
【図11】前面アドレス指定され、軸液体金属供給開口を有する複数の液体金属イオン源を備える本発明の第7の実施形態の側断面図である。
【図12】背面アドレス指定される本発明の荷電粒子源用の制御回路の単純化された電気接続図である。
【図13】前面アドレス指定される本発明の荷電粒子源用の制御回路の単純化された電気接続図である。
【図14A】図1の放出器アレイ内の単一の荷電粒子放出器から放出された荷電粒子の概略側面図である。
【図14B】図14Aの荷電粒子源の概略拡大図である。
【図15A】図1の放出器アレイ内の多数の荷電粒子放出器から放出された荷電粒子の概略側面図である。
【図15B】図15Aの荷電粒子源の概略拡大図である。
【図16】本発明の複数放出器源に適用可能なアラインメント(alignment)工程の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、荷電粒子(電子またはイオン)の集束ビームを使用して、ターゲットを画像化し、(任意選択で)ターゲットを処理する荷電粒子システムに関する。これらのシステムは一般に、荷電粒子源を使用して初期ビームを形成し、この初期ビームは次いで、カラム内のレンズ、ブランカ(blanker)、偏向器などの静電要素および(任意選択の)磁気要素によって加速され、集束され、ブランキングされ、偏向される。荷電粒子システムが許容可能に機能するためには、源が適正に動作することが決定的に重要である。源の動作は一般に、以下のパラメータによって特徴づけることができる(ただしこれらに限定されるわけではない)。
【0010】
1)全放出電流
2)放出パターン、すなわち源から粒子がどのように出てくるのか?
3)放出エネルギー分布
4)仮想源のサイズ、すなわち放出領域の大きさがどれくらいか?
5)源の寿命、すなわち劣化するまでに源が何時間放出するのか?
本発明の荷電粒子源の実施形態は、上記のパラメータのうちのいくつかのパラメータについて、先行技術の単一放出器源で可能な制御よりも優れた制御を可能にする。実施形態は、スピント(Spindt)チップ放出器を含む冷陰極電界放出器(cold field emitter)(CFE)、カーボン・ナノチューブ放出器、ショットキー源、ガス電界イオン化源(gaseous field ionization source)(GFIS)、液体金属イオン源(LMIS)など、任意のタイプの放出器を使用することができる。
【0011】
本発明の実施形態はいくつかのモードで動作することができる。高輝度動作モード(high brightness operating mode)では、多数の放出器のうちの作動させた単一の放出器から荷電粒子ビームが生成される。このモードは、高い輝度および中程度の放出電流を特徴とし、仮想源のサイズが非常に小さいため、ターゲットの表面に小さな集束スポットを形成することができる。高角強度動作モード(high angular intensity operating mode)では、多数の放出器のうちの複数の放出器を同時に作動させて、より大きな全ビーム電流(したがってより高い角強度)を生み出すが、その代償として、仮想源のサイズがより大きくなり、輝度がより低くなる。このモードは、ターゲットの表面に、より大きな高電流スポットを形成することを可能にする。独立してアドレス指定可能な本発明の複数放出器源は、アレイの背面において個々の放出器のアドレスを指定する手段と、アレイの前面において個々の放出器のアドレスを指定する手段の二者択一の手段があることを特徴とする。独立してアドレス指定可能であるとは、独立して放出器に荷電粒子を放出させ、または独立して放出器に荷電粒子を放出させないようにすることができることを意味する。実施形態では、それぞれの放出器が、独立してアドレス指定可能であるとして示されるが、いくつかの実施形態では、一群の放出器をアドレス指定することができる。例えば、中心の放出器を、独立してアドレス指定可能な放出器とし、環をなす複数のオフアクシス放出器を、中心放出器から独立した1つのグループとしてアドレス指定することは可能だが、その環のそれぞれの放出器を個別にアドレス指定することはできない放出器とする。電子を放出する冷陰極電界放出器、ならびにイオンを放出するガス電界イオン化(GFI)源および液体金属イオン(LMI)源を含む本発明の7つの例示的な実施形態が記載される。
【0012】
複数の放出器を同時に作動させる動作モードでは、全放出電流を先行技術よりも大きくすることが可能である。複数の放出器を一度に1つずつ逐次的に使用すると、先行技術に比べて源の寿命を大幅に延長することができる。放出パターン(チップの幾何形状の関数)、放出エネルギー分布(いくつかのチップ関連因子および放出電流関連因子の関数)、源のサイズ(単一放出器動作の場合)など、このほかのパラメータのうちのいくつかのパラメータは、先行技術に対するものと同じである。
【0013】
好ましいいくつかの実施形態では、全ての放出器が整列しているとみなすことができ、小さなアラインメント偏向を使用することができる十分に小さなカラム軸の半径の内側に、源内の多数の放出器がある。2つの異なる放出器アドレス指定方式(背面アドレス指定方式および前面アドレス指定方式)用の代表的な電気制御回路が、異なる放出モード(単一放出器放出モードおよび複数放出器放出モード)で動作している本発明の角強度および輝度の分析とともに提示される。最後に、源内の全ての放出器に対するアラインメント手順であって、全ての動作モードにおいてオンアクシス・チップとオフアクシス・チップの両方のチップの性能を最適化することを可能にする手順が記載される。
【0014】
以下のセクションでは、最初に、複数放出器源の概念を、源全体のサイズおよび源内の放出器の例示的なコンパクトな分布に関して説明する。次に、本発明の源を実装することができるカラムを、ターゲット上に集束スポットを形成する主レンズに対して機械的および静電的ビームアラインメントを説明する代表的なオンアクシス軌道およびオフアクシス軌道と共に示す。次に、電子源とイオン源の両方を含む本発明の7つの実施形態を説明し、源内の個々の放出器を独立してアドレス指定する2つの方法を例示する。この源用の単純化された電気制御回路を示し、単一の放出器を作動する方法と複数の放出器を作動する方法の両方を例示する。さまざまな動作モードにおける源の角強度および輝度の根源について論じ、高輝度動作と高角強度動作の両方を例示する。最後に、中心(オンアクシス)放出器と複数のオフアクシス放出器の両方に対するアラインメント手順を示す。
【0015】
独立してアドレス指定可能な複数の荷電粒子放出器を備える荷電粒子源
図1は、複数の荷電粒子放出器101〜112と放出器制御回路140とを備える荷電粒子源100の概略図を示す。第1の放出器101は放出器アレイの中心に位置する。5つの放出器102〜106からなる第1の放出器環が放出器101を取り囲んでいる。6つの放出器107〜112からなる第2の放出器環が第1の放出器環を取り囲んでいる。したがって、放出器101を中心とする半径136の円134内に合計12個の放出器101〜112が位置する。それぞれの放出器101〜112には対応するそれぞれの制御線121〜132が接続されている。例えば、制御線121は、放出器101が作動中である(すなわち荷電粒子を放出している)かどうかを判定する。放出器制御回路140は、荷電粒子システム制御装置(図示せず)に接続された制御ケーブル142によって制御される。放出器101〜112のアーキテクチャの詳細については、下記の第1から第7の実施形態(図5〜11)において説明する。これらのさまざまな実施形態の制御回路の詳細については、後に図12〜13において説明する。
【0016】
走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査透過型電子顕微鏡(STEM)、集束イオン・ビーム(FIB)カラムなどの荷電粒子カラム内のあらゆる荷電粒子源を適正に動作させるために考慮すべき事項は、カラムの光軸に対する荷電粒子源のアラインメントである。従来の(すなわち単一放出器)荷電粒子源の放出器は一般に、カラムの軸から最大でも5μmないし20μm以内のところに、カラムの軸に対して整列するように、機械的に配置される。許容することができる不整列の正確な量は、カラム設計および動作モードの詳細、特にターゲットに対する源の縮小(demagnification)によって決定される。過大な不整列は、ターゲット位置において達成可能なビーム・スポット・サイズ、形状および電流密度に不利な影響を与えるオフアクシス幾何収差およびオフアクシス色収差を誘起する。したがって、荷電粒子源は一般に、荷電粒子システムが動作しているあいだカラム軸に対して源を物理的に整列させることを可能にする機械的運動アセンブリの中に取り付けられる。このリアルタイム・アラインメント工程を補助するために頻繁に使用される1つの手順が、荷電粒子源を含む銃内のレンズの電圧または電流の「ウォブリング(wobbling)」である。このウォブリングは、非常に低い周波数(一般に0.1〜0.3Hz)でのレンズの強さの小さな変動を構成し、銃内のレンズの軸に対して荷電粒子源が整列していない場合、この変動によって、ターゲットの画像が振動的に運動する。次いで、X−Y運動(場合によってはさらにZ運動および傾斜運動(Zはカラム軸である))を使用して源を移動させて、この画像「ウォブル(wobble)」を低減させ、または(好ましくは)排除する。このウォブルの低減または排除によって、カラムに対して源が機械的に整列したことが示される。
【0017】
源に含まれる放出器のアレイを含む荷電粒子源は、このアラインメント手順に複雑さを加える。これは、それらの放出器のうち、一度にカラムの軸上に物理的に配置することができる放出器は1つだけであるためである。後により詳細に説明する図16は、本発明の複数放出器源に適用可能なアラインメント工程の概要を示している。他のアラインメント工程を使用することもできる。図16の工程は最初に、当業者によく知られているビーム「ウォブリング」工程を使用して、カラム軸に対して中心放出器を機械的に整列させる。画像ウォブリングが見られないことをもって、中心放出器はカラム軸に対して整列しているとみなす。この整列が達成された後、残りの(オフアクシス)放出器を順に作動し、画像ウォブリングを排除するのに必要な、アラインメント偏向器(ターゲットを画像化するのに使用するビーム偏向器とすることができる)に対するX−Y設定を決定する。記載された実施形態では、1)中心放出器をカラムに対して機械的に整列させる(中心放出器をオンアクシス放出器にする)ことができ、2)全てのオフアクシス放出器が電気的に整列され、3)オフアクシス放出器のカラム軸からの機械的オフセットはそれぞれ異なるため、それぞれの放出器は、別個の固有のX−Yアラインメント偏向を有する、ことに留意されたい。
【0018】
荷電粒子カラムの実施形態
図2は、本発明の荷電粒子源202を実装することができる例示的な荷電粒子カラム200の側断面図である。源202と引出し電極204の間に「引出し」電圧が印加される。源202が電子を放出する場合、このバイアス電圧は一般に+3000Vから+5000Vである。源202が正イオンを放出する場合、このバイアス電圧は一般に−7000Vから−15000Vである。全ての場合に、源202内の放出器は一般に、放出器202と引出し電極204の間のほぼ全ての電圧降下を放出器チップの近傍(数10μm)に集める傾向を有する針または円錐(一般に「チップ」と呼ばれる)などの非常に鋭い構造を備える。荷電粒子の初期放出は一般に、半角が約30°(すなわち立体角がπ(π30°/180°)2≒0.86ステラジアン)の円錐形になる。荷電粒子「銃」は、源202、引出し電極204、銃集束電極206および銃出口電極208を備える。銃内には、銃出口電極208内に取り付けられたビーム画定開口(beam−defining aperture)(BDA)210も示されている。銃集束電極206に集束電圧が印加され、銃出口電極208がグランド電位(0V)にバイアスされる。したがって、この例では、ターゲットもグランド電位にバイアスされているため、銃を出た荷電粒子はすでに、その最終的なビーム・エネルギーを有する。引出し電極204、集束電極206および出口電極208上の異なる電圧は、銃内のカラム軸上およびカラム軸の近くに電界を誘導する。この電界は、図3および4の軌道図に示されているように、荷電粒子を偏向させ、集束させる。ある場合、特に、ターゲット位置においてより小さなビームが望ましく、したがってより高い源の縮小が必要とされる場合には、最小集束(minimal focusing)の効果がある。他の場合には、銃が、概ね平行なビームを形成し、形成されたビームは次いで、主レンズによって、より低い縮小でターゲット上に集束され、より大きな電流を有するより大きなビームを生成する。銃の下方には、電極212および214を備えるビーム・ブランカがある。ビームがオンのとき、電極212および214はともに一般に0Vであり、したがってビーム230は、偏向されずにブランカおよびビーム・ブランキング開口(beam−blanking aperture)(BBA)216を通過する。ビームをオフにするためには、電極212に正電圧を、電極214に負電圧を印加し、それによって、ビーム230が偏向されて軸を外れ、BBA216に当たるようにする。一般的なブランキング電圧は5Vから10Vであり得る。
【0019】
BBA216の下方には、上偏向器218および下偏向器220がある。これらの偏向器はともに一般に(静電および/または磁気)四極子または八極子である。全ての場合に、偏向は双極子場を必要とし、当業者にはよく知られているとおり、より均一な電界を生成することによって偏向収差を低減させる目的には、八極子など、より高次の電極構成が使用される。偏向器218および220は「2重偏向器」を構成し、この2重偏向器は、図3および4に示されているように、主レンズに入るビームの位置と傾きの両方を制御することができる。電極222、224および226は、ターゲット228の表面の位置232にビーム230を集束させる主レンズを構成する。ここに示した例では、電極222上の電圧と電極226上の電圧が同じであり、グランドに対して0Vである。次いで、集束させるために、電極224上の電圧を0Vとは異なる電圧にして、電極222、224および226間に必要な集束電界を発生させる。源202から電子を放出させる場合、電極224上の電圧が<0Vである場合には、主レンズは「減速レンズ」であり、電極224上の電圧が>0Vである場合には、主レンズは「加速レンズ」である。源202から正イオンを放出させる場合には、これらの電圧を逆にすることになる。本発明の複数放出器源202とともに使用する目的には、両方のタイプの主レンズ構成がともに適している。
【0020】
オンアクシス荷電粒子放出器およびオフアクシス荷電粒子放出器の例示的な軌道
図3は、オンアクシス放出器302(図1の源100の放出器101など)の図2のカラム200を横切る荷電粒子軌道の側面図300である。カラム200は、光軸312、ビーム画定開口(BDA)210およびブランキング開口(BBA)216を有する。図2の電極204、206および208を備える銃レンズは、収束レンズ304によって概略的に示されている。同様に、図2の電極222、224および226を備える主レンズは、収束レンズ306によって示されている。この例では、放出器302が、オンアクシス放出器(図1の放出器101に対応する)であり、放出器302は、カラム200に対して機械的に整列されている(図16のアラインメント手順を参照されたい)。したがって、ビーム314もオンアクシスであり、オンアクシスでかつ軸に平行に主レンズ306に入るようにビーム314の向きを定めるのに、上偏向器218または下偏向器220上のアラインメント電圧を一切必要としない。ビーム314は、主レンズ306によって、ターゲット308の表面のオンアクシスの位置310に集束する。カラム・アラインメントの目標は、ここで示したように、ビーム314が、軸312上で、軸312に平行に進んで、主レンズ306に入ることを保証することである。ビーム314を構成するさまざまな軌道は光線追跡プログラムSIMION 7.0によって生成した。それらの軌道は図2に示したカラム設計に対応する。
【0021】
図4は、オフアクシス放出器402(例えば図1の源100の放出器102〜112のうちの任意の1つの放出器)の図3のカラムと同じカラムを横切る荷電粒子軌道の側面図400である。図3と図4の主な違いは以下の2つである:1)放出器402はオフアクシス放出器であり、2)双極子偏向電界を発生させるために、上偏向器218および下偏向器220を作動させており、その結果、ビーム414に、それぞれ矢印416および418によって示された力ベクトルが作用している。図4の左側の銃内において、放出器402がオフアクシス放出器であることの影響を見ることができる。ビーム414は最初、軸312に向かって下方へ偏向され、示されているように、軸312よりも低い位置で銃から現れ、下向きの角度を有する。上偏向器218および下偏向器220上に必要なX−Yアラインメント偏向電圧を発生させるために、図16のアライメント手順はすでに実行されていると仮定する。偏向器218および220内の双極子場によって誘起された組み合わされたビーム偏向の結果は、軸312上で、かつ軸312に平行に主レンズ306に入るようにビーム414の向きを定めることである。その結果、ビームは、ターゲット308のオンアクシスの位置410に集束する(すなわち、位置410は図3の位置310に等しい)。
【0022】
第1の実施形態 − 背面アドレス指定される6つの冷陰極電界放出器のアレイを有する電子源
図5(A)〜(D)は、背面アドレス指定される6つの冷陰極電界放出器を備える本発明の第1の実施形態の各種図である。「背面アドレス指定」は、それぞれの放出器501〜506に引出し電圧(上記図1の議論を参照されたい)を印加する方法を指し、このアドレス指定法では、全ての放出器501〜506が共通の引出し電極508を共用するが、放出器チップはそれぞれ固有の背面電気接続521〜526を有する。図(A)は、電子源の上面図(すなわちカラムから源の内部を見た図であり、電子は図の平面から放出されることになる)500を示し、中心に放出器501があり、放出器501は、5つのオフアクシス放出器502〜506によって取り囲まれている。図(B)は、図(A)の方向と同じ方向から源の全ての層を透かして見た「X線」上面図520である。この図では、6つの背面アドレス指定接続521〜526を見ることができる。図(C)540および図(D)560はそれぞれ、図(B)に示された断面A−Aおよび断面B−Bを示す。この源は、基板546上に製造することができ、基板546は、二酸化シリコンなどの絶縁層でコーティングされた半導体ウェーハ、またはセラミックなどの絶縁材料とすることができる。
【0023】
側断面図A−Aでは、中心放出器501およびオフアクシス放出器504を見ることができる。6つの放出器501〜506は全て、一般にモリブデンまたはタングステンから製造され、一般にニッケルであり得る概ね円筒形の柱542上に支持することができる。図(C)および図(D)に示された背面接続521〜526を介して、それぞれの放出器501〜506に電圧が印加される。絶縁層544が、図(A)に示されているように源の前面の全体にわたって連続した導電性の前面ゲート層508を支持している。この絶縁層544はさらに、一部の放出器だけを作動させた場合に(その結果、図(C)の521と524などの近隣の背面接続間に電圧差が生じる)、それぞれの背面接続521〜526を互いに電気的に分離する役目を果たす。本発明のこの第1の実施形態の動作については、後の図12の説明で論じる。
【0024】
第2の実施形態 − 背面アドレス指定される12個の冷陰極電界放出器のアレイを有する電子源
図6(A)〜(D)は、背面アドレス指定される12個の冷陰極電界放出器を備える本発明の第2の実施形態の各種図である。「背面アドレス指定」は、それぞれの放出器601〜612に引出し電圧(上記図1の議論を参照されたい)を印加する方法を指し、このアドレス指定法では、全ての放出器601〜612が共通の引出し電極614を共用するが、放出器チップはそれぞれ固有の背面接続621〜632を有する。図(A)は、電子源の上面図(すなわちカラムから源の内部を見た図であり、電子は図の平面から放出されることになる)600を示し、中心に放出器601があり、放出器601は、11個のオフアクシス放出器602〜612によって取り囲まれている。図(B)は、図(A)の方向と同じ方向から源の全ての層を透かして見た「X線」上面図620である。この図では、12個の背面アドレス指定接続621〜632を見ることができる。図(C)640および図(D)660はそれぞれ、図(B)に示された断面C−Cおよび断面D−Dを示す。この源は、基板646上に製造することができ、基板646は、二酸化シリコンなどの絶縁層でコーティングされた半導体ウェーハ、またはセラミックなどの絶縁材料とすることができる。
【0025】
側断面図C−Cでは、中心放出器601およびオフアクシス放出器604を見ることができる。12個の放出器601〜612は全て、一般にモリブデンまたはタングステンから製造され、一般にニッケルであり得る概ね円筒形の柱642上に支持することができる。図(C)および図(D)に示された背面接続621〜632を介して、それぞれの放出器601〜612に電圧が印加される。絶縁層644が、図(A)に示されているように源の前面の全体にわたって連続した導電性の前面ゲート層614を支持している。この絶縁層644はさらに、一部の放出器だけが活動化された場合に(その結果、図(C)の621と624などの近隣の背面接続間に電圧差が生じる)、それぞれの背面接続621〜632を互いに電気的に分離する役目を果たす。本発明のこの第2の実施形態の動作については、後の図12の説明で論じる。
【0026】
第3の実施形態 − 前面アドレス指定される6つの冷陰極電界放出器のアレイを有する電子源
図7(A)〜(D)は、前面アドレス指定される6つの冷陰極電界放出器を備える本発明の第3の実施形態の各種図である。「前面アドレス指定」は、それぞれの放出器701〜706に引出し電圧(上記図1の議論を参照されたい)を印加する方法を指し、このアドレス指定法では、全ての放出器701〜706が共通の導電性ベース746を共用するが、放出器チップ701〜706はそれぞれ固有の引出し電極721〜726を有する。図(A)は、電子源の上面図(すなわちカラムから源の内部を見た図であり、電子は図の平面から放出されることになる)700を示し、中心に放出器701があり、放出器701は、5つのオフアクシス放出器702〜706によって取り囲まれている。図(B)は、図(A)の方向と同じ方向から源の全ての層を透かして見た「X線」上面図720である。この図では、6つの前面アドレス指定接続721〜726を見ることができる。図(C)740および図(D)760はそれぞれ、図(B)に示された断面E−Eおよび断面F−Fを示す。この源は、導電性基板746上に製造することができ、基板746は、導電層(モリブデン、クロムなど)でコーティングされた絶縁材料(セラミック、無ドープの半導体ウェーハなど)、または濃くドープされた半導体ウェーハなどの導電材料とすることができる。
【0027】
側断面図E−Eでは、中心放出器701およびオフアクシス放出器704を見ることができる。6つの放出器701〜706は全て、一般にモリブデンまたはタングステンから製造され、一般にニッケルであり得る概ね円筒形の柱742上に支持することができる。図(C)および図(D)に示された共通の基板746を介して、全ての放出器701〜706に同じ電圧が印加される。絶縁層744が、引出し電極721〜726を含むパターン形成された前面ゲート層を支持している。絶縁層748が、引出し電極721〜726を覆い、間を埋めて、近隣の引出し電極間の電気絶縁および引出し電極と遮蔽層708の間の電気絶縁を提供する。遮蔽層708は、図(A)に示されているように源の前面の全体にわたって連続した導電層である。遮蔽層708は、源の前面の全体にわたって共通の電圧を提供して、源の動作中の近隣の放出器間の電気光学的分離を容易にする役目を果たす。本発明のこの第3の実施形態の動作については、後の図13の説明で論じる。
【0028】
第4の実施形態 − 前面アドレス指定される12個の冷陰極電界放出器のアレイを有する電子源
図8(A)〜(D)は、前面アドレス指定される12個の冷陰極電界放出器を備える本発明の第4の実施形態の各種図である。「前面アドレス指定」は、それぞれの放出器801〜812に引出し電圧(上記図1の議論を参照されたい)を印加する方法を指し、このアドレス指定法では、全ての放出器801〜812が共通の導電性ベース846を共用するが、放出器チップ801〜812はそれぞれ固有の引出し電極821〜832を有する。図(A)は、電子源の上面図(すなわちカラムから源の内部を見た図であり、電子は図の平面から放出されることになる)800を示し、中心に放出器801があり、放出器801は、11個のオフアクシス放出器802〜812によって取り囲まれている。図(B)は、図(A)の方向と同じ方向から源の全ての層を透かして見た「X線」上面図820である。この図では、12個の前面アドレス指定接続821〜832を見ることができる。図(C)840および図(D)860はそれぞれ、図(B)に示された断面G−Gおよび断面H−Hを示す。この源は、導電性基板846上に製造することができ、基板846は、導電層(モリブデン、クロムなど)でコーティングされた絶縁材料(セラミック、無ドープの半導体ウェーハなど)、または濃くドープされた半導体ウェーハなどの導電材料とすることができる。
【0029】
側断面図G−Gでは、中心放出器801およびオフアクシス放出器804を見ることができる。12個の放出器801〜812は全て、一般にモリブデンまたはタングステンから製造され、一般にニッケルであり得る概ね円筒形の柱842上に支持することができる。図(C)および図(D)に示された共通の基板846を介して、全ての放出器801〜812に同じ電圧が印加される。絶縁層844が、引出し電極821〜832を含むパターン形成された前面ゲート層を支持している。絶縁層848が、引出し電極821〜832を覆い、間を埋めて、近隣の引出し電極間の電気絶縁および引出し電極と遮蔽層814の間の電気絶縁を提供する。遮蔽層814は、図(A)に示されているように源の前面の全体にわたって連続した導電層である。遮蔽層814は、源の前面の全体にわたって共通の電圧を提供して、源の動作中の近隣の放出器間の電気光学的分離を容易にする役目を果たす。本発明のこの第4の実施形態の動作については、後の図13の説明で論じる。
【0030】
第5の実施形態 − 前面アドレス指定され、横ガス供給開口を有する12個のガス電界イオン化放出器のアレイを有するイオン源
図9(A)〜(D)は、前面アドレス指定され、横ガス供給開口を有する12個のガス電界イオン化(GFI)イオン放出器を備える本発明の第5の実施形態の各種図である。「前面アドレス指定」は、それぞれの放出器901〜912に引出し電圧(上記図1の議論を参照されたい)を印加する方法を指し、このアドレス指定法では、全ての放出器901〜912が共通の導電性ベース946を共用するが、放出器チップはそれぞれ固有の引出し電極921〜932を有する。図(A)は、イオン源の上面図(すなわちカラムから源の内部を見た図であり、正イオンは図の平面から放出されることになる)900を示し、中心に放出器901があり、放出器901は、11個のオフアクシス放出器902〜912によって取り囲まれている。図(B)は、図(A)の方向と同じ方向から源の全ての層を透かして見た「X線」上面図920である。この図では、12個の前面アドレス指定接続921〜932を見ることができる。図(C)940および図(D)960はそれぞれ、図(B)に示された断面I−Iおよび断面J−Jを示す。この源は、導電性基板946上に製造することができ、基板946は、導電層(モリブデン、クロムなど)でコーティングされた絶縁材料(セラミック、無ドープの半導体ウェーハなど)、または濃くドープされた半導体ウェーハなどの導電材料とすることができる。基板946はさらに、イオン化用のガスを、側断面図J−JおよびX線図(B)に示された個々の供給穴916を通してそれぞれの放出器チップ901〜912に供給するフィード・ガス・プレナム950を含む。ガスは、供給システム(図示せず)からプレナム950に供給され、この供給システムは、圧力を調整して、放出器チップ901〜912と対応するそれぞれの引出し電極921〜932との間の真空絶縁破壊およびアーク発生を引き起こす可能性がある、穴916を通した過大なガスの流出を防ぐ。
【0031】
側断面図I−Iでは、中心放出器901およびオフアクシス放出器904を見ることができる。12個の放出器901〜912は全て、一般にモリブデンまたはタングステンから製造され、一般にニッケルであり得る概ね円筒形の柱942上に支持することができる。図(C)および図(D)に示された共通の基板946を介して、全ての放出器901〜912に同じ電圧が印加される。絶縁層944が、引出し電極921〜932を含むパターン形成された前面ゲート層を支持している。絶縁層948が、引出し電極921〜932を覆い、間を埋めて、近隣の引出し電極間の電気絶縁および引出し電極と遮蔽層914の間の電気絶縁を提供する。遮蔽層914は、図(A)に示されているように源の前面の全体にわたって連続した導電層である。遮蔽層914は、源の前面の全体にわたって共通の電圧を提供して、源の動作中の近隣の放出器間の電気光学的分離を容易にする役目を果たす。本発明のこの第5の実施形態の動作については、後の図13の説明で論じる。
【0032】
第6の実施形態 − 前面アドレス指定され、軸ガス供給開口を有する12個のガス電界イオン化放出器のアレイを有するイオン源
図10(A)〜(D)は、前面アドレス指定され、軸ガス供給開口を有する12個のガス電界イオン化(GFI)放出器を備える本発明の第6の実施形態の各種図である。「前面アドレス指定」は、それぞれの放出器1001〜1012に引出し電圧(上記図1の議論を参照されたい)を印加する方法を指し、このアドレス指定法では、全ての放出器1001〜1012が共通の導電性ベース1046を共用するが、放出器チップはそれぞれ固有の引出し電極1021〜1032を有する。図(A)は、イオン源の上面図(すなわちカラムから源の内部を見た図であり、正イオンは図の平面から放出されることになる)1000を示し、中心に放出器1001があり、放出器1001は、11個のオフアクシス放出器1002〜1012によって取り囲まれている。図(B)は、図(A)の方向と同じ方向から源の全ての層を透かして見た「X線」上面図1020である。この図では、12個の前面アドレス指定接続1021〜1032を見ることができる。図(C)1040および図(D)1060はそれぞれ、図(B)に示された断面K−Kおよび断面L−Lを示す。この源は、導電性基板1046上に製造することができ、基板1046は、(導電層モリブデン、クロムなど)でコーティングされた絶縁材料(セラミック、無ドープの半導体ウェーハなど)、または濃くドープされた半導体ウェーハなどの導電材料とすることができる。基板1046はさらに、イオン化用のガスを、側断面図L−Lに示された中心開口1016を通してそれぞれの放出器チップ1001〜1012に供給するフィード・ガス・プレナム1050を含む。ガスは、供給システム(図示せず)からプレナム1050に供給され、この供給システムは、圧力を調整して、放出器チップ1001〜1012と対応するそれぞれの引出し電極1021〜1032との間の真空絶縁破壊およびアーク発生を引き起こす可能性がある、中心開口1016を通した過大なガスの流出を防ぐ。
【0033】
側断面図K−Kでは、中心放出器1001およびオフアクシス放出器1004を見ることができる。12個の放出器1001〜1012は全て、一般にモリブデンまたはタングステンから製造され、一般にニッケルであり得る概ね円筒形の中空の柱1042上に支持することができる。図(C)および図(D)に示された共通の基板1046を介して、全ての放出器1001〜1012に同じ電圧が印加される。絶縁層1044が、引出し電極1021〜1032を含むパターン形成された前面ゲート層を支持している。絶縁層1048が、引出し電極1021〜1032を覆い、間を埋めて、近隣の引出し電極間の電気絶縁および引出し電極と遮蔽層1014の間の電気絶縁を提供する。遮蔽層1014は、図(A)に示されているように源の前面の全体にわたって連続した導電層である。遮蔽層1014は、源の前面の全体にわたって共通の電圧を提供して、源の動作中の近隣の放出器間の電気光学的分離を容易にする役目を果たす。本発明のこの第6の実施形態の動作については、後の図13の説明で論じる。
【0034】
第7の実施形態 − 前面アドレス指定され、軸液体金属供給開口を有する12個の液体金属イオン放出器のアレイを有するイオン源
図11は、前面アドレス指定され、軸液体金属供給開口を有する複数の液体金属イオン源を備える本発明の第7の実施形態1100の側断面図である。この第7の実施形態の源の全体的な構造は、図10の第6の実施形態の構造と同じだが、第7の実施形態では、プレナム1050および供給開口が、イオン化用の液体金属をそれぞれの放出器チップに輸送する目的に使用される点が異なる。一般的な液体金属は、ガリウム、インジウムなどの純金属、またはシリコン−金、ベリリウム−シリコン−金、ベリリウム−金などの合金である。ガリウムなどの一部の金属では、金属を溶融し、溶融した金属が、プレナム1150から、開口1116、1151および1154を通って流れて、1161、1164などのテイラー円錐(Taylor cone)を形成するようにするのに、加熱がほとんどまたは全く必要ない。他の金属は、それらの金属の融点に到達するためにある量の加熱を必要とする。一般的な最大融点は最高でも摂氏数百度であり得る。側断面図K’−K’は、図10の側断面図K−Kに液体金属を追加したものに相当し、この液体金属は、プレナム1150内ならびに開口1116、1151および1154内にあって、テイラー円錐1161および1164を形成する。テイラー円錐1161および1164は、中空の柱1101および1104によって、引出し電極1121および1124の中心に置かれる。12本の支柱(図11には1101および1104だけが示されている)は全て、一般にモリブデンまたはタングステンから製造することができる。共通の基板1146を介してそれぞれの支柱に同じ電圧が印加される。絶縁層1144が、1121、1124などの引出し電極を含むパターン形成された前面ゲート層を支持している。絶縁層1148が、引出し電極を覆い、間を埋めて、近隣の引出し電極間の電気絶縁および引出し電極と遮蔽層1114の間の電気絶縁を提供する。遮蔽層1114は、源の前面の全体にわたって連続した導電層である。遮蔽層1114は、源の前面の全体にわたって共通の電圧を提供して、源の動作中の近隣の放出器間の電気光学的分離を容易にする役目を果たす。本発明のこの第7の実施形態の動作については、後の図13の説明で論じる。
【0035】
各種実施形態に対する電気制御回路
図12は、背面アドレス指定される本発明の荷電粒子源用の制御回路の単純化された接続図であり、この回路は、図5〜6に示した第1および第2の実施形態に適用可能である。電線1221〜1223によってバイアス電源1231〜1233に順番に接続された3つの背面接続1211〜1213を介して、それぞれの放出器1201〜1203に電圧が印加される。バイアス電源1231〜1233は、共通ゲート(引出し)電極1204に対する引出し電圧をチップ1201〜1203に供給する。共通ゲート1204には、共通ゲート電圧電源1234が、電線1224によって接続されている。グランド1248と電源1231〜1234に対する共通基準電圧接続1240との間には、ビーム加速電圧電源1246が接続されている。この回路の動作を例示するため、放出器1201からは放出させたいが、放出器1202および1203からは放出させたくないと仮定する。最初に、初期化ステップとして、電源1231〜1234および1246の出力を0Vに設定する。荷電粒子の放出を誘起させるのに必要な任意の1つの放出器1201〜1203と共通引出し電極1204との間の電圧差をVextractionとする。2番目に、荷電粒子(電子またはイオン)がチップ1201から放出される際の所望のエネルギーに対応する電圧を共通接続1240に供給するように、ビーム加速電圧源1246を設定する。3番目に、4つの全ての電源1231〜1234を、Vextractionに等しい出力電圧を供給するように設定する。この時点で、3つの放出器1201〜1203のうちのどの1つの放出器と共通ゲート(引出し電極)1204との間にも電圧差はない。したがって、放出器は非活動化状態のままであり、荷電粒子を放出してはいない。次に、放出器1201を活動化させるため、電源1231の電圧出力を0Vに引き下げる。そうすると、放出器1201と共通ゲート1204の間にVextractionに等しい電圧差が生じ、それによってチップ1201からの放出が誘起される。一方、チップ1202〜1203と共通ゲート1204の間には電圧差がないため、チップ1202〜1203についてはそれまで通り放出は起こらない。チップ1202またはチップ1203を活動化させるときにも同様の手順に従うことになる。チップ1201〜1203のアレイ中の2つ以上のチップを同時に活動化させるためには(図15参照)、電源1231〜1233のうちの対応する電源の出力を0Vに設定する。ここに示した例は、3つの放出器1201〜1203のみの制御を示しているが、チップ・バイアス電圧源の数は、例えば図5および7については6、図6および8〜11については12など、源内の制御すべき放出器の数に等しくなるように設定されることは明らかである。
【0036】
図13は、前面アドレス指定される本発明の荷電粒子源用の制御回路の単純化された接続図であり、この回路は、図7〜11に示した第3の実施形態から第7の実施形態に適用可能である。放出器1302〜1303は全て共通して、基板1360および接続1340を介してビーム加速電圧源1346に接続されている。電線1321〜1323によってゲート電源1331〜1333に順番に接続された3つの前面接続1321〜1323をそれぞれ介して、引出し電極1311〜1313に電圧が印加される。ゲート電源1331〜1333は、共通ベース電圧に対する引出し電圧をチップ1201〜1203に供給する。共通遮蔽電極1314には、共通遮蔽電圧電源1334が、電線1324によって接続されている。グランド1348と電源1331〜1334に対する共通基準電圧接続1340との間には、ビーム加速電圧電源1346が接続されている。この回路の動作を例示するため、放出器1301からは放出させたいが、放出器1302および1303からは放出させたくないと仮定する。最初に、初期化ステップとして、電源1331〜1334および1346の出力を0Vに設定する。荷電粒子の放出を誘起させるのに必要な任意の1つの放出器1301〜1303とそれに対応する引出し電極1311〜1313との間の電圧差をVextractionとする。2番目に、荷電粒子(電子またはイオン)がチップ1301から放出される際の所望のエネルギーに対応する電圧を共通接続1340に供給するように、ビーム加速電圧電源1346を設定する。3番目に、共通遮蔽電圧電源1334を、一般にVextractionに等しいか、またはそれよりも大きくすることができる遮蔽電圧を供給するように設定する。この時点で、3つの放出器1301〜1303のうちのどの1つの放出器と3つの引出し電極1311〜1313のうちの対応するそれぞれの電極との間にも電圧差はない。したがって、全ての放出器は非活動化状態のままであり、荷電粒子を放出してはいない。次に、放出器1301を活動化させるため、電源1331の電圧出力をVextractionまで高める。そうすると、放出器1301と引出し電極1311の間にVextractionに等しい電圧差が生じ、それによってチップ1301からの放出が誘起される。一方、チップ1302〜1303とそれぞれの引出し電極1312〜1313の間には電圧差がないため、チップ1302〜1303についてはそれまで通り放出は起こらない。チップ1302またはチップ1303を活動化させるときにも同様の手順に従うことになる。チップ1301〜1303のアレイ中の2つ以上のチップを同時に活動化させるためには(図15参照)、電源1331〜1333のうちの対応する電源の出力を、同時にVextractionに設定する。ここに示した例は、3つの放出器1301〜1303のみの制御を示しているが、ゲート・バイアス電圧源の数は、例えば図5および7については6、図6および8〜11については12など、源内の制御すべき放出器の数に等しくなるように設定されることは明らかである。
【0037】
各種実施形態の異なる動作モードの角強度および輝度
図14Aは、源1402内の単一の荷電粒子放出器1404から放出された荷電粒子の概略側面図1400である。荷電粒子、すなわち図5〜8の荷電粒子である電子または図9〜11の荷電粒子であるイオンは一般に、放出軸1408を中心とする半角1406が約30°(およそ0.52ラジアン)の円錐形の立体角1410の中に放出される。その場合、源1402の角強度は以下のとおりである。
【0038】
角強度=(放出器1404からの電流)/[π(角度1406)2
輝度は次のようになる。
【0039】
輝度=(角強度)/[π(仮想源の直径)2/4]
図14Aの例では、図5〜8の放出器などの冷陰極電界放出器の場合に、仮想源の直径が非常に小さいことがあり、したがって、角強度が必ずしも非常に大きくない場合であっても、単一放出器モードで(すなわち1つの放出器だけが活動化された状態で)動作している源1402の輝度が非常に高くなることがあり得る。したがって、単一放出器動作を「高輝度モード」と呼ぶことができる。
【0040】
図14Bは、非常に小さな仮想源サイズを示す図14Aに示した荷電粒子源の概略拡大図1420であり、仮想源のサイズは、冷陰極電界放出器で直径が約2nmまで小さくなることがあり、液体金属源では直径が20nmまでの範囲にあることがあることを示す。
【0041】
図15Aは、源1502内の放出器アレイ中の3つの荷電粒子放出器1504〜1506から放出された荷電粒子の概略側面図1500である。荷電粒子、すなわち図5〜8の荷電粒子である電子または図9〜11の荷電粒子であるイオンは一般に、放出軸1508を中心とする半角1506が約30°(およそ0.52ラジアン)の円錐形の立体角1510の中に放出される。源1502のサイズよりもはるかに大きな距離のところにおいて、これらの放出器の円錐形の放出パターンは、それらの全てが結合して、それぞれの個々の放出器1504〜1506の放出電流の和に等しい全電流を有する荷電粒子の単一の円錐となることに留意されたい。その場合、源1502の角強度は以下のとおりである。
【0042】
角強度=(放出器1504〜1506からの全電流)/[π(角度1506)2
輝度は次のようになる。
【0043】
輝度=(角強度)/[π(仮想源1514の直径)2/4]
図15Aの例では、仮想源の直径はもはや、単一の放出器の仮想源サイズによっては決まらず、その代わりに、図15Bに示されているように、源1502内の放出器1504〜1506の全体的な分布に依存する。
【0044】
図15Bは、図15Aに示した荷電粒子源の概略拡大図1520である。放出器1504〜1506の全体の空間分布は、放出軸1508に垂直な距離1514に及ぶ。したがって、輝度の計算に関しては、仮想源のサイズが図14の場合よりもはるかに大きく、その結果、この動作モードの輝度はより低くなる。しかしながら、活動化された放出器の総数(この例では3)によって全放出電流が増大するため、角強度は増大する。したがって、複数放出器動作を「高角強度モード」と呼ぶことができる。
本発明の複数放出器源用のアラインメント工程
図16は、本発明の複数放出器源に適用可能なアラインメント工程1600の流れ図である。このアラインメント工程は、図1において上で論じたとおり、中心放出器(例えば図1の放出器101)を機械的に整列させ、次いで、放出器アレイ内の残りの全ての(オフアクシス)放出器(例えば図1の放出器102〜112)に対して電気的なアラインメントを使用する。最初に、ブロック1602で、画像がウォブリングした(すなわち荷電粒子システムの画像化画面上で画像が左右に、および/または上下に移動した)ときにシステム・オペレータがその画像を追跡することができる十分に遅い0.1ないし0.3Hzなどの非常に低い周波数で、銃のレンズの強さを(電圧またはレンズ電流を周期的に振動させることによって)上下にウォブリングさせるように、荷電粒子銃を制御する電子装置を設定する。次に、ブロック1604で、中心放出器(例えば図1の101)だけを作動させて、カラムに沿って荷電粒子を放出し、それによってブロック1606でターゲットの画像を形成する。機械的な調整を必要とせずに源が偶然に整列することはまれなので、一般に、この画像は最初、いくらかウォブリングする。判断ブロック1608で、その画像がウォブリングしていると判断された場合には、ブロック1612へと続く経路1610を進み、ブロック1612で、源の機械的運動を使用して、放出器アレイ全体をカラム軸に対して再配置する。観察された画像ウォブルの軸および大きさと、このウォブリングを低減させる正確な機械的運動との間には通常、既知の相関がある。源を移動させた後、ブロック1606へ戻る経路1614を進み、ブロック1606で、次のターゲット画像化を実行して、残存している画像ウォブルを観察する。ブロック1608で、画像がもはやウォブリングしていないと判断されたら、中心放出器は、カラムに対して機械的に十分に整列したとみなし、繰返しブロック1630内のブロック1632へと続く経路1616を進む。
【0045】
繰返しブロック1630内の全てのブロックを、放出器k=2,3,...,Nに対して実行する。Nは、アレイ内の放出器の総数である。これによって、それぞれのオフアクシス放出器k(k>1)をカラムに対して電気的に整列させることができる。この整列は、カラムに対して機械的に整列させた中心放出器の場合とは異なることに留意されたい。放出器アレイは中心放出器のほぼ中心にあるため、源アレイの機械的アラインメントは、オフアクシス放出器の平均不整列を最小化し、それによって平均X−Yアラインメント電圧を低減させる。ブロック1632で放出器kを作動させた後、ブロック1634で、ブロック1606の場合と同じく画像を形成する。その画像がウォブリングしていると判断ブロック1636で判定した場合には、ブロック1640へと続く経路1638を進み、ブロック1640で、系統的な手順を使用して、X−Yアラインメント偏向(静電偏向器の電圧または磁気偏向器の電流とすることができる)を設定する。観察された画像ウォブルの軸および大きさと、このウォブリングを低減させる正確な電気的なX−Yビーム偏向との間には通常、既知の相関がある。ブロック1640で、放出器kのX−Yアラインメント偏向を変更し、保存した後、ブロック1634へ戻る経路1642を進み、ブロック1634で、次のターゲット画像化を実行して、残存している画像ウォブルを観察する。ブロック1636で、画像がもはやウォブリングしていないと判断されたら、放出器kは、カラムに対して電気的に十分に整列したとみなされる。k<Nの場合には、kを1増分し、ブロック1630を繰り返す。k=Nの場合には、経路1644をたどり、ブロック1650へ進む。ブロック1650は、源内の全ての放出器(例えば図1の放出器101〜112)の動作準備が完了したことを意味する。
【0046】
電気的にアドレス指定可能であるとして放出器を説明したが、機械的に放出器を移動させてカラム軸と整列させることも可能である。
【0047】
本発明の実施形態およびそれらの利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。上記のグリッドに対する電圧源は、単一の電源に由来するものとし、分圧器を使用することができるが、それぞれのグリッドに対して別個の電源を使用することもでき、または分圧器と電源のある組合せを使用することもできる。上記の例は、2次粒子の軌道を変化させるのに電界を提供するが、磁界を使用することもできる。とは言え、その場合には、1次ビームに対する磁場の影響を考慮しなければならない。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載された工程、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発される工程、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このような工程、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0048】
100 荷電粒子源
101〜112 荷電粒子放出器
121〜132 制御線
140 放出器制御回路
200 荷電粒子カラム
202 荷電粒子源
218 上偏向器
220 下偏向器
228 ターゲット
232 ターゲット表面の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットの表面に荷電粒子ビームを集束させるカラムと、
前記カラムの軸に概して平行に荷電粒子を放出するようにそれぞれが構成された多数の荷電粒子放出器を備える荷電粒子源と、
前記多数の荷電粒子放出器のそれぞれの放出器に対する1つの接続、または前記多数の荷電粒子放出器のうちの全てではない一群の放出器に対する1つの接続を有するように構成された多数の電気接続と、
前記多数の荷電粒子放出器を制御する放出器制御回路と
を備える荷電粒子システム。
【請求項2】
前記放出器制御回路は、前記放出器のうちの全てではない放出器が同時に放出するようにすることができる、請求項1に記載の荷電粒子システム。
【請求項3】
前記放出器制御回路は、複数の放出器が同時に放出するようにすることができ、前記複数の放出器は、前記カラムが集束させる荷電粒子を生成する、請求項1に記載の荷電粒子システム。
【請求項4】
前記放出器制御回路は、前記荷電粒子システムが、単一の放出器が荷電粒子を放出するモード、または複数の放出器が同時に荷電粒子を放出するモードで動作するようにすることができる、請求項1に記載の荷電粒子システム。
【請求項5】
荷電粒子を放出し、または荷電粒子を放出しないように、前記放出器のうちの少なくとも2つの放出器を独立してアドレス指定することができ、それにより、前記放出器が同時に放出し、または逐次的に放出するようにすることができる、請求項1に記載の荷電粒子システム。
【請求項6】
前記荷電粒子が電子である、請求項1に記載の荷電粒子システム。
【請求項7】
前記荷電粒子がイオンである、請求項1に記載の荷電粒子システム。
【請求項8】
前記放出器が冷陰極電界電子放出器である、請求項2に記載の荷電粒子システム。
【請求項9】
前記放出器がガス電界イオン化イオン放出器である、請求項3に記載の荷電粒子システム。
【請求項10】
前記放出器が液体金属イオン放出器である、請求項3に記載の荷電粒子システム。
【請求項11】
前記荷電粒子カラムがアラインメント偏向器を備える、請求項1に記載の荷電粒子システム。
【請求項12】
前記多数の荷電粒子放出器のうちのそれぞれの放出器が、放出器チップおよび引出し電極を備える、請求項1に記載の荷電粒子システム。
【請求項13】
前記放出器制御回路が、それぞれの放出器チップに別個の電圧を印加するように構成された、請求項8に記載の荷電粒子システム。
【請求項14】
前記放出器制御回路が、それぞれの引出し電極に別個の電圧を印加するように構成された、請求項8に記載の荷電粒子システム。
【請求項15】
ターゲットの表面に電子ビームを集束させるカラムと、
前記カラムの軸に概して平行に電子を放出するようにそれぞれが構成された多数の電子放出器を備える電子源と、
前記多数の電子放出器のそれぞれの放出器に対する1つの接続を有するように構成された多数の電気接続と、
放出器制御回路と
を備える電子ビーム・システム。
【請求項16】
前記電子放出器が冷陰極電界放出器であり、冷陰極電界放出器がそれぞれ、放出器チップおよび引出し電極を備える、請求項11に記載の電子ビーム・システム。
【請求項17】
前記放出器制御回路が、それぞれの放出器チップに別個の電圧を印加するように構成された、請求項12に記載の電子ビーム・システム。
【請求項18】
前記放出器制御回路が、それぞれの引出し電極に別個の電圧を印加するように構成された、請求項12に記載の電子ビーム・システム。
【請求項19】
ターゲットの表面にイオン・ビームを集束させるカラムと、
前記カラムの軸に概して平行にイオンを放出するようにそれぞれが構成された多数のイオン放出器を備えるイオン源と、
前記多数のイオン放出器のそれぞれの放出器に対する1つの接続を有するように構成された多数の電気接続と、
放出器制御回路と
を備える集束イオン・ビーム・システム。
【請求項20】
前記イオン放出器がガス電界イオン化イオン放出器であり、ガス電界イオン化イオン放出器がそれぞれ、放出器チップおよび引出し電極を備える、請求項15に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項21】
前記放出器制御回路が、それぞれの放出器チップに別個の電圧を印加するように構成された、請求項16に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項22】
前記放出器制御回路が、それぞれの引出し電極に別個の電圧を印加するように構成された、請求項16に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項23】
前記イオン放出器が液体金属イオン放出器であり、液体金属イオン放出器がそれぞれ、放出器チップおよび引出し電極を備える、請求項15に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項24】
前記放出器制御回路が、それぞれの放出器チップに別個の電圧を印加するように構成された、請求項19に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項25】
前記放出器制御回路が、それぞれの引出し電極に別個の電圧を印加するように構成された、請求項19に記載の集束イオン・ビーム・システム。
【請求項26】
荷電粒子ビーム・システムを動作させる方法であって、
複数の荷電粒子放出器を提供するステップと、
前記複数の放出器からの荷電粒子を試料表面に集束させる能力を有する集束カラムを提供するステップと、
前記複数の荷電粒子放出器から逐次的に荷電粒子を放出させ、前記集束カラムによって前記荷電粒子を集束させるステップと
を含む方法。
【請求項27】
前記複数の荷電粒子放出器から同時に荷電粒子を放出させ、前記集束カラムによって前記荷電粒子を集束させるステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−142269(P2012−142269A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−270754(P2011−270754)
【出願日】平成23年12月11日(2011.12.11)
【出願人】(501419107)エフ・イ−・アイ・カンパニー (78)
【Fターム(参考)】